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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2008年10月15日群れるカワラヒワ

秋田 足利 直哉

 大潟にマガンやヒシクイが飛来する直前の「冬の到来」を感じさせるサインとして昨日は”ノスリの数が増える”ことを取り上げましたが、今日は”カワラヒワが大きな群れになる”ことを取り上げようと思います。
 
 【カワラヒワ】は大潟で観察する機会のとっても多い野鳥です。春先にはペアで忙しく巣作り→子育てする姿が観察できていましたし、夏には幼鳥をつれて家族単位(?)で行動する姿が観察できていました。それが秋の盛りを迎えた現在は数百羽の大きな群れとなって行動しています。



 数百羽の群れはあまりの広範囲に散らばっているので写真に納めるのは、とっても難しく『もの凄く沢山いる』感が写真から伝わりにくいのが心苦しいのですが(写真が下手な私の言い訳です。ハイ・・・)、画面全体に点々と映っている茶色い陰が【カワラヒワ】だと思ってご覧下さい。



 その数百羽が一斉に飛び上がるシーンは迫力があってとっても絵になるシーン(実際に絵にするのは難しいですが・・・)です。図鑑などには『冬になると群れる』と既述されていますし、以前拝見させていただいた秋田の愛鳥家T氏の写真にも大きな群れで映る【カワラヒワ】の写真があって、私自身も「こんなシーンが見たいな~」と思っていました。やっぱり実際に生で見ると”凄い”です。

 調べてみると「冬になると群れる」鳥は他にもいるみたいです。次はどんな野鳥の群れに出会えるでしょうか?秋から冬にかけての野鳥観察は『群れ』が一つのキーワードです!!


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2008年10月14日片足バランス

秋田 足利 直哉

 どういう訳か・・・大潟村にマガンやヒシクイがやってくるのは県内外の主な飛来地にかなりの数がやってきたという知らせを聞いてから暫く経過した後、一番最後(?)にようやくやってきます。その間、各地の情報を羨ましく感じながら「大潟には未だ来ないのかな?」なんて思いながら北の空を見上げたりしています。

 しかし保護区周辺にいる野鳥たちを観察していると「冬の到来」を感じさせる光景がいくつもあります。その一つが”ノスリの数が増える”こと。このところ大潟を巡視するとあちこちで【ノスリ】を見ることが出来て「増えたな~」と実感しています。

 先日、承水路でカモのカウントをしている最中に道路の直ぐそばに【ノスリ】を見つけました。このまま車で近づいて飛び去ってしまうのを眺めるのも勿体ないと思って【ノスリ】の観察をしました。
 【ノスリ】が止まっているのは道路沿いの田んぼにある直径3~4cm程のパイプの上なのですが、窮屈そうにしながらもバランスをとって稲刈り後の田んぼの方を見やって様子をうかがっていました。



 細いパイプの上でジッとバランスをとるのも疲れるのでしょうか?暫くするとその場で足踏みをするような仕草をし始めました。しっくりとくる位置を探しているかのようでしたが、なかなか定まりません。そのうちに【ノスリ】がとった姿勢は・・・



 右足一本での片足立ちでした。左足はダランと伸ばし、右足でパイプを上から鷲掴み(鷹掴み?)してバランスをとっていました。
 愛嬌のある顔立ちをしていてもやはり猛禽類ですね!伸びた左足の見た目の力強さ、片足で楽々とバランスをとる右足の力強さを感じました。
 この脚が支えるのは身体だけではなく彼らの命そのものですからね。力強いはずです!

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2008年10月10日エクリプスと換羽中

秋田 足利 直哉

 先月下旬から大潟村の水辺にカモたちが飛来し始め、日に日にその数を増やしつつあります。しかし、そこで問題になるのが”カモの識別”です。
 カモは一般にメスが地味な羽色で、オスはその種毎に特徴のある鮮やかな羽色をしています。が!この時期のオスは「エクリプス」というメスのような地味な羽色をしているものが殆どです。



 【マガモ】オスのエクリプス。一見すると羽の感じから「マガモのメス」と思ってしまいますが、よく見ると嘴が黄色っぽく見えています。エクリプスで羽が変わっても、変わらない場所があります。その場所は種によって異なりますがそのポイントをしっかり押さえて、そのポイントが観察できれば識別は出来ます。



 【マガモ】オスの換羽中の個体。ここまで変化していれば、直ぐに【マガモ】オスと識別できますね?この2枚の写真は同じ日に同じ水辺で撮影したものですが、これだけの差があります。カモ達は水辺を埋め尽くすくらい大きな群れで過ごしているのですが、その中から種別にカウントするのはなかなか難しい!この時期は特に難しい!!

【マガモ】オスの特徴をまとめてみると・・・
①頭部は緑色(光の具合や個体差で黒~濃紫にみえることも)。
②首に白い頸輪がある。
③胸が焦茶色。
④制止時に見える肩、背、腹、脇腹や翼の初列風切、中雨覆、小雨覆といった大部分の羽が灰白色。
⑤翼鏡は青紫色でそれを挟んで次列風切の先端と大雨覆の先端が白色。
⑥腰、上尾筒、下尾筒羽は黒色。
⑦尾羽が白く中央尾羽が黒い巻羽。
⑧嘴は黄色で先端の一部が黒色。
⑨足は赤橙色。

 ①~⑦は羽に関する特徴なので「エクリプス」の時期にはこれらの特徴は失われてしまいます。ですから上の写真では①~⑦の特徴は見られません。しかし⑧⑨の特徴は1年中見られる特徴で、上の写真でも⑧の特徴は確認出来ます。しかも嘴が黄色いカモは【マガモ】オス以外には居ませんから、識別の決め手になります。

 と、いったような事を頭の中でぐるぐると考えながらカモの識別をして、それぞれの種別にカウントしていくわけです。先ほど「難しい」と書いたこの時期のカモの識別ですが、こうして少しずつ解ってきて、識別出来るようになるのが楽しく感じつつあります。
 でも、また実際に野外で識別・カウントをやるとなると「??」って思う個体に出会ってしまうんだろうなぁ~(苦笑)


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2008年10月09日オオバンの親子(最終回)

秋田 足利 直哉

 これまでこの日記で数回にわたり報告してきた今年生まれの【オオバン】の成長記録ですが、先日見たときにはもう殆ど親鳥と変わらない大きさと姿になっていました。



 普段の生活も親鳥に頼らず単独で過ごしていることも多く、立派に一人前の【オオバン】に成長しています。
 この時は承水路上をエレキ(トローリング・モーター)を付けたボートが移動してきたのを見て、それぞれ離れて過ごしていた2羽が避難してきましたので、じっくり観察しました。



 個別に観察しても幼鳥なのか成長なのか、識別するのが難しいのですが、こうして並んでくれると見比べることが出来ます。成長(右)は嘴の付け根部分から伸びる「額板」が頭のてっぺんまで伸びているのに対し、幼鳥(左)は額の途中(我々人間の感覚では眉間辺りでしょうか?)までとなっています。
 

 本当に野鳥達の成長の早さと変化の大きさには驚かされるばかりです。
6月24日http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2008/06/378.htmlに報告したときにはまだ裸出した赤い肌に黄色い産毛が見えていて、体も小さかったのに・・・
7月18日http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2008/07/408.htmlの報告では全身に羽が生え、体の大きさも親鳥に近づいてはいたものの未だ自分で上手に餌を採ることが出来なくて親鳥におねだりをしていました。それが今では立派に一人立ちしていますからね~!
 生まれてから約5ヶ月、彼らが大きく成長して立派に独り立ちをしてます。ですから【オオバン】の成長報告はこれで終了です!



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2008年10月08日去年、植樹した苗木を見てきました

秋田 足利 直哉

 山に吹く風も随分冷たくなってきたし、すっかり日が短くなってきました。それに対応して森吉を巡視するときに使うザックに薄手のシェルジャケット、コンパクトに収納できるダウンジャケット、ニット帽、手袋、更にはヘッドランプを追加しました。ちょっと荷物は増えますがどれも欠かすことの出来ない装備です!

 
 先日の日記で、観察会&植樹体験の募集についてチラッと書いたところですが、去年植樹したところはどうなっているのかな?と気になったので先日様子を観てきました。



 その場所は晴れていれば玉川温泉&焼山や岩手山まで望める絶好のロケーションです。この日も良く晴れていましたのでその展望も楽しんできました。
 
 昨年はブナの苗木を植樹したのですが、結論から言うと活着率65%といったところです。残念ながら枯れてしまっている苗木も散見される一方、元気に育っている苗木も確かに見られました。



 昨年の観察会&植樹体験に参加された方が付けたブルーのテープが着いていた苗木は葉も沢山着いていて元気いっぱいに見えました。この苗木はこのまま順調に成長して100年先、200年先・・の再生された森の礎になってくれるんじゃないか?という期待を持たせてくれました。

 これから先もこの場所に植えた苗木達を見守っていくつもりです。


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2008年10月07日保護区内を歩いていたキツネ

秋田 足利 直哉

 北東北の標高の高い山では頂上部での紅葉が見頃となっています。私の廻りでは「今年の紅葉はここ数年では一番綺麗なような気がする」なんて声も聞かれます。週末は何処に行こうかな?と迷ってしまいますね~


 さて先日、大潟草原の巡視中に道路の前を横切る動物の姿が目に飛び込んできました。


 【ホンドキツネ】です。地図を見てもらえれば一目瞭然なのですが、大潟村は周囲を旧八郎潟の残存湖(現在は承水路と呼んでいる)に囲まれた言わば『島』となっています。元々の陸地と干拓されて生まれた大潟村とはいくつかの橋で繋がっています。
 元々動物が生息しているはずのない大潟村に、キツネが居たということはその橋のどれかを渡って侵入してきたと言うことです。野鳥目線で見れば「天敵となりうる動物が少なく繁殖・生息環境として良好な場所」だと思うのですが、キツネ目線では「ライバルとなる他の動物が少ないから棲みやすい場所」なんでしょうね?何とも自由に動き回っていたように見えました。

 いずれにしても大潟村の中に生息する動物たちが増えている事は疑いようのない事実のようです。しかし大潟村の場合それが「生物の多様性」と言って良いものか?議論が必要な事のように思えます。

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2008年10月06日総合学習のお手伝い

秋田 足利 直哉

 今日は北秋田市の米内沢(よないざわ)小学校の6年生31名+引率教諭2名が総合学習の授業の一環として森吉山野生鳥獣センターに来てくれました。
 彼らの総合学習のテーマは、北秋田市の特産物・北秋田市出身の著名人など自分たちの住む「北秋田市」に関連したテーマで学習に取り組んでいるそうで、「森吉山にすむ生き物」もその中の一つ。今日はそのテーマで学習に取り組んでいる児童もそうでないテーマで取り組んでいる児童もみんなで勉強しに来てくれました。

 せっかく小学生達が勉強しに来てくれるんだから私も勉強してから彼らのお手伝いをしようと、改めて鳥獣保護区を含めた森吉山麓で生息調査されたデータなどを見返したり、彼らの学校のことをちょっと調べてみたり・・・私自身このように下調べして事に望むのは久しぶりでしたし、元々児童生徒学生達と接する時間が好きなので、ワクワクしながら到着を待っていました。

 私が貰った時間は30分。その時間で「森吉山麓に住む生き物たち」をテーマに話をさせていただきました。ワクワクして迎えた時間は児童達の元気な挨拶と、話を聞く姿勢の良さから調子にのってしまい、ついつい(悪い癖が出てしまい)オーバーしてしまいました。



 私の話が長引いたおかげで館内を見学する時間が短くなってしまいました。それでも一通り館内を見学して、展示してあるクマゲラの採餌木を見て「これを本当にクマゲラがあけたの?」と驚いていました。こんな素直な反応に保護官も案内解説員も児童達と一緒に楽しそうに館内を見て回っていました。
 ほとんどの児童は森吉山野生鳥獣センターを見学するのは初めてということで、じっくりゆっくり見学していただきたかったのですが、時間の制限がありあっという間に帰る時間となってしまいました。



 帰り際、「森吉山にすむ生き物」をテーマに学習に取り組んでいる児童が「ありがとうございました。とっても参考になりました。」と言ってくれました。我々もちゃんと彼らのお手伝いができたようで一安心!!褒められると嬉しいものですね?(笑) これを糧にもっともっと沢山の児童生徒のお手伝いが出来たらいいなぁ~と思っています。


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2008年10月03日雁がゆく

秋田 足利 直哉

 今日は森吉山麓で巡視をしてきたのですが、12時を少し回った頃、山の中では普段聞くはずのない鳥の声が上空から聞こえてきました。



 甲高い声を上げながら、棹になり鉤になり50羽ほどの大きな鳥が南を目指して飛んでいきます。遠すぎてハッキリと確認できませんでしたが鳴き声から判断するに【マガン】の群れであったと思われます。
 私が確認した森吉山東麓という位置と飛んでいった方向からすると、目指す先は宮城県伊豆沼あたりでしょうか?

 さて、いよいよ本格的な雁達の渡りが始まったのでしょうか?それならこれから我々の上空を次々と渡っていく鳥の姿が見られることでしょう!そして今週は確認できませんでしたが、大潟村でもそろそろ【マガン】や【ヒシクイ】の姿を見ることが出来るかも知れません!またあの賑やかなシーズンの到来です!!

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2008年10月02日森林の再生に向けて

秋田 足利 直哉

 朝夕の寒暖の差が大きくなり、木々の葉が色づき始め、秋の深まりが実感できるようになってきた今日この頃ですが、この時期は植樹の適期でもあるんだそうです。
 考えてみれば、この時期の広葉樹は間もなく迎える紅葉→落葉に向けて自らの体内に冬を越すための養分を蓄えている時期。春や夏は成長期に当たるので、そんな時期に土から掘り返して新たな場所へ植樹するのは成長を阻害することになりそうです。この時期であれば”成長”から”命の継続”へとスイッチが切り替わっているでしょうから確かに植樹の適期と言えそうです。

 そこで現在、森吉山麓では広葉樹の植樹準備を進めています。そもそも何故、植樹をする必要があるのかというと・・・当地では昭和49年から63年にかけて放牧地を造成するために広大な森が伐採され草地へと姿を変えていきました。そして一時は放牧地となり多くの牛が放牧されていたそうですが、様々な要因でその規模を徐々に縮小し、現在は僅か数十頭が細々と放牧されているに過ぎません。そして残ったのは広大な草地と言うわけです。


 写真の建物は森吉山野生鳥獣センターです。その周辺に草地(荒れ地?)が広がっているのが分かるかと思います。

 当地では『森吉山麓高原自然再生協議会』を立ち上げ、秋田県を中心に広大な草地を森へ戻していこうという取り組みが行われています。我々もその協議会の一員として協力しているのですが、それとはまた別に自前で細々と広葉樹の森を広げる活動をしています。
 

 これが今年植樹する予定のブナやミズナラの広葉樹の一部です。これらは森吉山野生鳥獣センター近くの手作りの苗畑や秋田県の管理する青少年野外活動基地の近くの苗畑に種を植えて4年間育ててきたものです。

 生育の良い物は50cmを越える大きさに成長していますが、当地は県内有数の豪雪地帯ということもあり、苗木の生育には大差が付いています。今年の植樹にはまだ使えそうもない苗が大きく成長するようにビニールのポットから苗畑に直接植える床替えを行いました。


 森林再生は長い期間を掛けて行わなければならない根気のいる活動です。これらの苗木はその活動を支える大切な財産です。大きく成長してくれることを願わずにはいられません!

 実際の植樹はこれから行う予定です。その際にはまた、この日記でご報告しますね。

 そして植樹に興味をお持ちの方・・・10月19日開催予定の自然観察会はノロ川登山道を歩いたあと、森吉山麓高原でブナの植樹を行います。現在観察会&植樹体験の参加者を募集中です。お問い合わせ・申し込みは秋田自然保護官事務所TEL:018(867)8588・FAX:018(867)8589まで。


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2008年10月01日勝手に紅葉のピーク予想

秋田 足利 直哉

 森吉山野生鳥獣センターの案内解説員から聞くと、このところ「紅葉のピークはいつ頃か?」という旨の問い合わせが増えてきているそうです。それについては聞かれる方も困っているようで「例年10月の半ば以降に見頃になりますけど・・・」といった内容で返答しているそうです。

 確かに「せっかく行くなら一番良い時に!」と言う思いから、紅葉のピークに合わせて出かけたいと思うのが人情でありましょう!しかし、案内解説員の「この先の天候によって前後するので予想が難しいから・・」と言う悩みもこれまた当然のことですよね?

 そこで役に立つかどうかは解りませんし、その予想が外れても責任は持てませんが、私が持つデータから勝手な予想をしてみようかな?と思います。

 
 私は森吉山麓にてあるブナの定点観測を続けています。その前を通る度に写真撮影をして来るのですが、その写真にちょっとした変化が見られてきました。


 撮影したのは9月26日です。写真を見ると僅かに色づいた葉が見えるかと思います。


 それで、上の写真と同じように僅かに葉が色づいた写真を探してみると・・・昨年の9月27日に撮影したものがそれに酷似していました。


 このように僅かに色づき始めてから1ヶ月弱経過した昨年10月23日に撮影した写真ではまさに”紅葉のピーク”といえる鮮やかな色彩を見せていました。
 そこで私の(勝手な)予想では、桃洞滝などのある森吉山麓の『紅葉のピークは昨年並みの10月20日過ぎ』となります。ただし、これは定点観測から見た単なる比較から予想したものなので、保証はいたしかねます!あしからず・・・


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