ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2007年10月30日最終章と序章

秋田 足利 直哉

 秋田県の紅葉は現在、いわゆる中山間地域に見頃が移ってきました。平野部の見頃はまだ少し先のようです。

 そこで、森吉の最近の様子をレポートします。紅葉ですが、昨日見た段階では見頃は山麓を走る県道の川を隔てた対岸から太平湖にかけてが最盛期と云ったところです。

船上から見た太平湖の紅葉(先週末)
 
 鳥獣保護区のある山麓高原はすでに紅葉シーズンの最終章と云った雰囲気。山岳部に至っては落葉が進み広葉樹の落ち葉の絨毯の上を歩く季節限定の楽しみが始まりました。

接地感と浮遊感の中間とでも云いましょうか・・絶妙な感覚が気に入ってます。

 更に標高を上げて頂稜部へ行くと既に雪と氷の世界の幕が開いています。序章と云ったところです。21日には初冠雪も記録したそうです。(昼過ぎまでの儚い雪化粧であったそうですが・・)日陰の部分には霜柱が見られたり、湿地では薄氷がはってます。麓では「山燃ゆる」紅葉が見られ、頂上付近では「山凍みる」世界が徐々に勢力を広げつつあります。



頂稜部では氷の世界が幕開け。コケも凍っていました。

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2007年10月25日使者がやってきた

秋田 足利 直哉

あちこちでハクチョウが飛来した。マガンが飛来したというニュースを聞くようになりました。そういえばいつの間にか最高気温も20度に達しなくなりました。冬の使者は確実に季節が変わっていくことを知らせてくれます。

 先週、大潟草原に大潟中学校の生徒4名と先生2名が校外学習に来てくれました。この生徒達に会うのは2回目です。(生徒達は3回目の訪問ですが・・)
 大潟中学校では総合学習の時間に「社会科学」「人文科学」「自然科学」の3チャンネルからそれぞれが好きな分野を選択し、学習をします。彼らはその自然科学の中から『大潟村の野鳥』を選択し取り組んでいます。そんな彼らの力になれれば私たちも嬉しいので管理員の加賀谷さんと二人、仲間に入れてもらいました。
 
 生徒達は来月にこれまでの成果をまとめた発表会を控えています。そこで彼らがこれまでに観察し撮影した野鳥の画像を加賀谷さんに見てもらい判別してもらいます。それらの画像は手作りの大潟村地図の上に貼り付けられ観察記録としてまとめる予定だそうです。でも今回はその発表会を過ぎても野鳥観察は続けたいという希望もあって管理員の加賀谷さんとっておきの「これから見られる野鳥」の観察場所を聞いて付箋紙を貼り付けていました。本当に熱心なんですよ!

観察した場所に野鳥の写真を貼り付けていく。
 
実際に観察も行いました。まずは管理棟の二階から。今管理棟からは池に居るコガモの群れが観察されます。そのコガモたちを観察していたらチュウヒがやってきました。それを見てコガモたちは一斉に飛び立ちます。チュウヒとコガモの鬼ごっこは暫く続きました。そこへもう一羽の猛禽類が・・よく見るとオオタカです。オオタカは悠然と木の上に止まりその様子を眺めているようでした。加賀谷さん曰く「オオタカはしっかり狙いを定めて獲物を狙う」そうです。また反対側の水路上空にはミサゴが独特の動きから水面めがけて急降下を繰り返していました。更に上空ではトビがくるりと輪を描いています。一口に猛禽と言っても全く習性が違うのですね。


一斉に飛び立つコガモの群れ。迫力が伝わればいいのですが・・

 更に足を伸ばして北の池へ。ここは私も最近お気に入りの観察スポットでカモ類が多く見られます。この日は5種類のカモ類を観察しましたが、思っていたよりも数が少ない。それではと大潟村の北辺へ。そこはマガンやヒシクイが飛来する場所だそうですが、近くにはカモ類も見られます。北の池からこちらに移動していないか?と期待していきました。すると残念ながらまたしても期待はずれ・・意気消沈しかけたその時、ある生徒が『あそこに黒い鳥がいるよ!』と。『えっドコ何処?』と指さす方向を見やるとマガンが9羽、ヒシクイガ4羽いるではありませんか!びっくりです。『凄い。大潟村では今季初観察だよ』と加賀谷さんが興奮気味。スコープで観察していると別の方向からもマガンの声がします。『あれ?他にもいるの?』と見渡しても見つかりません。それでも鳴き声は確かに聞こえます。『あそこ!』と指さした先は上空。そうなんですマガンが飛来した現場を生で見ちゃったんです!!それには一同大興奮です。(特に大人4人でしたが・・)時を忘れて暫く見とれていました。

飛来したマガンの群れ。遙か上空から旋回しながら下降してきました。その数は1000を超えるものでした。

マガンを観察しています。生徒よりも大人達がスコープを使う時間が長かったかも?

それにしてもこの日はアクティブレンジャーになって最高の観察が出来た日でした。何という幸運でしょうか。帰宅してからも興奮していたくらいです。マガンやヒシクイが冬の使者ならばこの生徒達は私にとって『幸運の使者』かもしれません。その彼らが最後に「野鳥たちのために僕たちにも出来ることはありませんか?」と質問をしてきました。我々は「もっともっと鳥に興味関心をもって鳥たちが住みやすい大潟村になるようにゴミのない街にするなど鳥にとって住みやすい自然環境を守ってください」とお願いしました。

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2007年10月22日ステップ3と4

秋田 足利 直哉

 以前のこの日記で私なりに考える野鳥観察のポイントをステップ1・2として書きましたが今回はその続編です。アクティブレンジャーになってから個人的にも折に触れ野鳥観察をしていますが、その中で感じたことです。

ステップ3「大きさの物差しを持つ」
 観察中に、例えば猛禽類を見つけたとします。「あの鳥は何かな?」とまずはじっくり観察するのですが、その鳥が自分の知らない鳥であったとしましょう。ベテランであれば「○○の特徴があるから△△だ」とすぐに分かるのでしょうが私のような初心者にはなかなか難しい。そこでまずは大きさの物差しとして猛禽類であれば「トビより大きいか?小さいか?」というのを着眼点にしています。よく図鑑でも「カラスと同じくらい」等といった記述がありますよね?

トビ  一般的によく見られるトビは猛禽類の大きさの基準に適している。

コサギ  大潟で見られる代表的な白鷺はチュウダイサギ。それに見慣れるとコサギは随分小さく見える。

ステップ4「鳥の観察に適した時間を知る」
 皆さん動物園に行った経験はお持ちだと思いますが「動物がみんな寝ていてつまんない」なんて思ったことはありませんか?習性として夜行性の動物は昼間は寝て過ごす事が多いようです。野鳥を観察する場合にも同じようなことが言えるようです。
 例えば草原性の小鳥は夜明けともに活動を初め、陽が高くなるとあまり鳴かなくなる。あるいは猛禽類は朝寝坊が多く昼近くであっても盛んに活動する姿が見られる。など・・その種類によって活発な時間帯とそうでない時間帯があるようです。私の経験からして観察の絶好の時間帯を逃すと迫力に雲泥の差が出てきます。


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2007年10月17日自然再生へ向けて植樹体験

秋田 足利 直哉

 日曜日に森吉山麓赤水渓谷で観察会を実施したことは既に報告しましたが、観察会終了後参加者の皆さんにご協力いただき、秋田県「水と緑推進課・森づくり計画班」「自然保護課・自然環境班」とタッグを組んで森吉山麓高原の自然再生事業に係るブナの苗木を植樹しました。

 森吉山麓には既にいくつか紹介しているように全国に誇る豊かな自然がいっぱいなのですが、一方では昭和49年から54年、58年に畜産振興と山村所得の向上と雇用の拡大を期待して大規模な草地造成が行われました。現在はその一部を「野外活動基地」として整備していますが大半は手つかずのままです。再生が必要だとされる区域は487.7haに及びます。(東京ドーム10万個以上という計算になります。)そこを?『ブナ林の多様な価値を取り戻す』?『クマゲラの棲める森を作る』ことをコンセプトに失われたブナ林を再生させようとする取り組みが始まりました。

 多様な価値を取り戻すためにはその取り組みも多様でなければならないし、携わる人もそこから得られる知恵も多様でなければならないと私は考えています。まだ始まったばかりのこの取り組み、是非多くの方からご協力・ご指導いただきたいと思います。

ブナの実が豊作だった年に森吉山麓で採取した種を育てた2年生のブナ稚樹

植樹風景:大きく育ってくれることを願って!

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2007年10月15日【実施報告】観察会:紅葉の赤水渓谷散策

秋田 足利 直哉

 昨日の日曜日に森吉山麓を舞台にした今年最後の観察会を行いました。週の半ばまでの天気予報はその日だけピンポイントで雨でしたが、前日の予報では晴れ!当日も現地に向かう車窓に朝日が眩しく入り込む絶好の行楽日和となりました。
 参加者は40名。9歳の少年から71歳の元気な方まで幅広い層から参加していただきました。幅広いと言えば今回は東京都府中市からもご家族で参加して頂きました。「テレビで放送された赤水渓谷がとてもすばらしく是非行ってみたい」との思いでわざわざこの観察会のためにお越し頂きました。県内から参加した方々も「ず?っと行ってみたかった」とおっしゃる方が大勢いました。改めて私は良いところで仕事してるなぁ?なんて思ってしまいました。

 まずは3班に分かれてブナの森を歩き6月の観察会で行った桃胴の滝がある桃胴沢とこの日の目的地である赤水沢の合流点を目指します。森の紅葉は3分程度でしょうか?ようやく色づき始めたカエデやウルシの朱赤が目をひきます。歩道の脇には名残を惜しむようにトリカブトとリンドウがどちらもたった1輪咲いてました。

皆さん念願の赤水渓谷を楽しみに歩いていきます。

 沢の合流点からは赤水渓谷沿いの歩道へ!この日は「天国の散歩道」と賞される赤水渓谷に人気が集中!渓谷の紅葉を見ようと多くの人が向かっていきます。やや道悪の歩道を進み、入渓前の滑りやすい1枚岩を慎重に下るとそこには森吉を代表する景勝地が待ってます。

赤水渓谷に降り立つとこの光景が目に入ります。

 渓谷はとても穏やかで気持ちの良い風が流れ、カワガラスの鳴き声も心地よく響きます。渓谷沿いの斜面には色づいた葉が見え、その赤や黄に混じって針葉樹の常緑や空の青や水面の輝きも全てが主役級の美しさです。もう何処を見て良いのか迷ってしまいます。こういう時、自分のボキャブラリーの無さに情けなくなりますが、きっとどんな言葉を使ってもこの美しさは形容しきれないのだろうと思います。
 でもそこは渓谷ですから、上ばかり見ているわけにはいきません。赤水渓谷には大小数多くの甌穴があって中には背丈を優に超える深さの物もあります。それ以外にも深みもありますから十分に注意が必要です。

浅瀬を選んで進んでいきます。


足下に気をつけながらも目線は自然に上へ・・


赤水渓谷は一枚岩が浸食されて出来たU字状の穏やかな渓谷です。

 天国の散歩道とは良いコピーを付けたものだと感心しますが、同時に納得もします。自然に顔がほころび笑みが溢れ、気分は穏やかになり時間がゆっくり流れるような錯覚をおこします。「えっもう帰る時間なの?」という声が聞かれましたが、後ろ髪を引かれつつ帰路へとつきました。

皆さん満足げに帰路につきました。

 少し気が早いですが、来年もまた魅力たっぷりの森吉山麓で観察会を実施する予定です。秋田自然保護官事務所一同、皆さんとお会いする日を楽しみにいたしております。

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2007年10月11日アニマルトラック

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利直哉です。今、山を歩くとクリやドングリやトチの実など様々な木の実が見られ、サワモダシ(ナラタケ)やナメコなどのキノコも見られます。秋の実り真っ盛りです。

 そんな木の実やキノコを見ながら歩いていると、登山者の足跡に混じって動物の残した痕跡を見ることが出来ます。
 以前受講した講習会で「アニマルトラック」とは動物が残した痕跡全般のことを総称したものだと教わりました。英語のanimal=動物とtrack=通った跡・足跡を併せてanimaltrack=動物の通った跡・動物の足跡と解することが出来ます。日本語の足跡と言う表現は英語のそれとややニュアンスが異なるので、私の場合は書籍等を参考として、長く続く一連のアシアトを【足跡】とし、1つの足によって付けられたものや、非連続的なアシアトを【足痕】と表記するようにしています。
 足跡・足痕が残りやすいのは砂の上や雪の上です。どちらも柔らかくて爪や肉球なども観察できて見つけた時は、ついついじっくり見てしまいます。個人的に動物の残した痕跡は、山や森など自然の中に入る時の楽しみの一つです。今回は最近見つけた砂の上の動物の足跡と足痕の一部を取り上げてみました。

カモシカの足痕ややずんぐりした太めの蹄が特徴的。

ツキノワグマの足痕これは前足と後ろ足の違いや爪痕が明瞭に残ってました。

タヌキ(?)の足痕。4指が確認できる。やや幅が広いのでタヌキの物と推定しました。右に写るのは比較対象の私の足です。


「おまけ」胸高周囲が2mを越える大木ブナに残ったツキノワグマの爪痕。途中滑ったであろう痕跡も見えます。

1枚目から3枚目までは、森吉山麓の赤水渓谷にて撮影。4枚目は白神山地のモニタリングサイト内にて撮影。

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2007年10月04日コジュリンの巣

秋田 足利 直哉

だいぶ朝晩は冷え込むようになりましたね?。先日、朝の通勤通学時に自転車を運転する人の中に手袋をしている人を見かけました。まだ日中は上着なしで過ごせますが・・・

 暖かい日が続いた10月1~3日に大潟草原鳥獣保護区の特別保護区内で鳥の巣を探してきました。鳥たちの生活に支障の無いようにすっかり小鳥の姿が無くなったこの時期に行いました。期間中に見つけたのはコジュリンの巣が二つとキジのねぐら(?)を3ケ所などです。写真は両方ともコジュリンの巣と言うことでした。上段の写真を巣1、下段を巣2として大まかな様子を言いますと・・

コジュリンの巣1

巣1・・短軸8cm×長軸12cmの楕円形
   密生しているノイバラの中にあって地上からの高さ95cm
   形が崩れ巣自体も落下寸前の不安定な状態
   周囲は背丈を超えるヨシ・ススキが繁茂し東側1m程度のところに背丈の低いヨシ原が広がっている

コジュリンの巣2

巣2・・直径11cmの円形で厚みは3cm程度
   イグサの株の中にあって地上からの高さは15cm
   イグサにしっかりと絡まり安定感もある
   周囲は1m程度の背丈の低いヨシが広がり、見通しがよい

この小さな巣からもいくつものドラマが想像できました。一緒に巣を探した方々と色々想像を膨らませて話を知るのは楽しいですね?。勉強になります。ここから巣立ったコジュリンたちは今ごろ何処でどのように過ごしているのでしょうか?

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2007年09月28日森吉山麓高原への道路復旧

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利直哉です。秋田では明日から国体がスタートします。街には県外のナンバーがいつもよりかなり多く、交通量自体も多いようです。大会期間中の安全と選手の皆さんの健闘を祈念いたします。

 さて先日の豪雨によって不通となっていました森吉山麓高原への県道比内森吉線が突貫工事によって仮復旧を致しました。あくまでも『仮』ですので道路崩落の現場や土砂崩れの現場の生々しさを横目に見ながら慎重に通過することになります。県道森吉比内線は都合三カ所の片側交互通行区間があります。その先、森吉山麓高原へ続く市道大印ノロ川線は10カ所を越える道路の崩落がありますが、何とか通行可能との県と市の判断で明日土曜日から通行が出来ますが・・・普通車に限定されます。大型車両は通行できませんのでご注意ください。また道路の崩落現場には何の処置も施されてはいませんので慎重に通過しなければなりません。当然車同士のすれ違いも出来なくなっていますので速度をいつも以上に控えて通行ください。譲り合いもお願いします。

市道大印ノロ川線の崩落箇所・・この様な崩落が10カ所以上

 さて秋田自然保護官事務所が所管する森吉山野生鳥獣センターですが被害もなく道路の開通に合わせて再開致します。センターを拠点とした各歩道も地元有志の方々が歩道・木道の補修を行いました。桃洞滝や兎滝まで散策を楽しむことが出来ます。しかし・・いつも以上に慎重な行動をお願い致します。また黒石川林道や高場森林道は崩落によって通行は出来ません。ご注意ください。

地元有志の方々による木道の補修作業

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2007年09月20日森吉山・森吉山鳥獣保護区へのアクセス道路被災状況

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利直哉です。
去る9月18日未明までに降った豪雨によって森吉山周辺は大きな被害に見舞われました。昨日その状況を確認しに行ってきましたが、被害の大きさに絶句してしまいます・・・

でも何とかその中から森吉山鳥獣保護区となっている森吉山麓高原・太平湖?小又峡・中ノ又?立又渓谷等へ向かう道路の被災状況を取り上げます。ただしこの情報は私の私見も含まれていて、正規の情報ではありません。道路情報等は各専門機関にお問い合わせの上、正確かつ最新の情報を得るようにしてください。
・先ず国道105号線は北秋田市阿仁から南に向かうことは出来ません。土砂崩れと道路崩落が起こっているそうです。
・今回最も被害の大きかった阿仁前田地区から太平湖へ向かう県道は、連瀬沢付近で道路崩落、電柱流出、電線切断となっています。
・その県道から分岐して野生鳥獣センター等へ向かう市道もやはり崩落と土砂崩れで通行不可能だそうです。
・大館市比内から太平湖に向かう道路も土砂崩れの連続で通行は不可能だそうです。つまり森吉山荘、杣温泉、森吉山麓高原等は電気もない状態で孤立しています。

阿仁前田?太平湖間の県道上、連瀬沢付近の被災状況
・比立内から打当を経て安の滝、立又渓谷へ向かう県道も打当集落を過ぎた辺りから土砂崩れが連続していて通行不可能です。
・阿仁スキー場へ向かう道路はやはり道路が崩落していますが、辛うじて片側車線のみが残り通行が可能です。しかしその現場を通過するには肝を冷やします。また至る所に小規模な土砂崩れの痕が見られます。阿仁スキー場ゴンドラは今週末も予定通り運行するそうですが、登山道の状況把握までは出来ていないそうですから安全との保証はありません。

阿仁スキー場アクセス道路上の被災状況

このように森吉山鳥獣保護区には今の所、何処からも立ち入ることは出来ません。また各登山道などの安全が確認されるまでには尚一層の時間を要します。被災地は復旧に向けて動き出しましたがまだまだ立ち直るまでには時間が必要です。

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2007年09月10日地元の中学生

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利直哉です。

 先週木曜日に森吉山鳥獣保護区のある北秋田市の鷹巣中学校1年生4名が引率の先生1名と連れだって野生鳥獣センターに来所されました。「郷土の自然」をテーマにして取り組んでいる彼らが、自分たちの学校の校歌にも歌われている森吉山にはどんな動物や鳥や昆虫が住んでいるのか調べる目的です。
 まず私が『森吉山周辺の自然環境や森吉山鳥獣保護区について』概要を話して、センターの案内解説員から館内の展示物やよく見られる動物や鳥の話をしてもらいました。はじめ緊張していた生徒達ですが徐々にうち解けてきます。一緒に館内の展示物を見て回る時には会話もスムーズになっていました。
 来月の下旬にはこれまでの学習成果と今回の見学などを踏まえて発表する機会があるそうで、熱心に質問したり、生徒同士で「これもメモした方が良いな!」とか「ここも写真撮っておいて!」等と発表資料作りを見据えて熱心に取り組んでました。多分教室で見せる顔よりもイキイキしていたのではないでしょうか?

案内解説員の佐藤が館内の展示物・施設の説明をしました。

 この日は天気も良かったので森の散策もしました。周辺の森にもキツツキたちが採餌した枯木があります。生徒達はその穴に指を入れて『すっと下まで続いているよ』とか『この穴にキツツキが嘴を突き刺して、舌で虫を捕まえたんだね』等と早速体験学習です。そこで私が『クマゲラが営巣できそうな木を探してみよう』と課題を出しました。地元の研究者達によるとクマゲラは「ある程度の太さと高さがあって、低いところに枝が無く真っ直ぐで、風が吹き込まない方向に開けた空間がある場所にあるブナ」を選ぶそうです。すると早速「あれなんて良いんじゃない?」とある生徒が言えば『周りの木が混んでいるからダメだ』と別の生徒が言い、またある生徒が『これは周りに木がないし太いから大丈夫じゃない?』と言えば『右の枝がなければ良いんだけどな?』と別の生徒が答える。『自然がイッパイのように見えるけどクマゲラ目線ではそうじゃないんだな・・』といった感想が漏れます。そうなんですよね・・人間は自分たちの感覚で色んな事を言い、行動してしまうけど鳥や動物の感覚になればいつもの森も違って見えてくるのです。豊かに見える森も人間が自分本位の利用をすれば動物や鳥の命を危険さらす可能性だってあります。この生徒達には私の言いたかったことが伝わったようで嬉しかったです。

みんなでセンター周辺の森を散策しました。

 しかし残念なことにキツツキたちが採餌した枯木の根元に空瓶が落ちていました。一人の生徒に拾って貰ったのですが、瓶を私に渡す時『誰だ!キツツキの大事な餌場にゴミを捨てるのは!許せない!!』と怒っています。その後も飴の包み紙などを拾いましたがその都度腹を立てています。『ここでクマゲラが餌を食べられなくなったらどうするんだ』『クマゲラが住むこの森を汚すんじゃない』と・・・
 私の話のまとめとして『クマゲラの棲むこの森は北秋田市が全国に誇る日本の宝物だからみんなで大切にしていこう』と言ったのですが日本の宝はそれだけではなかったようです。この生徒達も『北秋田市が誇る日本の宝物』です。

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