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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2007年09月05日ステップ1と2

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所の足利直哉です。大潟草原鳥獣保護区ではヨシ原にいた小鳥たちの声や姿がなくなり、ちょっと寂しくなりました。夏の終わりです。

でもそこは国指定鳥獣保護区!他にも野鳥が観察出来る場所は沢山あります。今日はその環境で野鳥勉強中の私が色々な方々からアドバイスを頂いて自分なりに感じた野鳥観察のポイントを書きます。私のように野鳥に興味を持ち始めた方々の参考になれば幸いです。

ステップ1『自分なりの探鳥地をもつ』
 双眼鏡や図鑑をもっていざ野鳥観察へ!
 →でも何処に行けば野鳥にあえるの?
 →鳥獣保護区だから野鳥がたくさんいるだろうと思ってきたけど本当にたくさんいて何処をどう見て良いか解らない。
 と言うことはありませんか?ちなみに下の例は私の体験談です。そこで・・
先ずは身近な場所に自分なりの野鳥観察の場所を決める。欲張らずにはじめ、小さな公園や池に絞って観察すると良いようです。私の場合電車通勤をしているので、毎朝の駅のホームや車窓が自分なりの観察ポイント。大潟では南の池と西部承水路が重点的な観察ポイントです。

<ゴイサギ成鳥>今、南の池ではゴイザギがたくさん見られます。

ステップ2『観察記録をつける』
 観察時に見た野鳥を可能な限りメモします。名前が解る場合は種類を記入しますし、解らない場合は大きさ・色・鳴き声などなどなんでもとりあえずメモして後で図鑑を調べる手がかりにします。
 メモの内容は場所・日時・気象状況は勿論、鳥の種類・数・行動など気が付いたことならなんでも!それを1年間継続すると1年後には驚くほどのデータ量になり、それが渡りの時期や繁殖期を知るきっかけになって知識の幅も広がっていくそうです。
 私の自己評価ですが、6月に比べ少しは役に立つ記録が出来るようになって きました。


<ゴイサギ幼鳥>はじめはこれがゴイサギとは知らずに特徴をメモしてきていました。メモが役に立った一例です。

観察場所を絞って、記録を付けていたら幼鳥の羽色が淡くなってきた事に気づきました。

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2007年08月31日高場森にて

秋田 足利 直哉

 秋田自然保護官事務所の足利直哉です。今日で8月も終わり!森吉では夏の終わりと秋の始まりが混じり合い、季節の移ろいを感じることが出来ます。

 そんな中、火曜日に高場森へ巡視に行ってきました。高場森は標高900m、森吉山本峰から遠くはずれ、登山者の姿を見る事はほとんどありません。しかし高場森は643haの広い範囲に、通常標高650m前後が分布域とされる天然杉が広がり『桃洞・佐渡のスギ原生林』として天然記念物に指定されている隠れた名山です。花粉症の原因として悪者扱いされているスギですが、標高850~900mに自生するスギの大木には言葉を失います。

天然スギ・胸高直径は約90cm、樹高は25m前後です。

高場森の北側には、トウド沢が複雑に入り組み、手つかずのブナ林が豊富な鳥獣保護区の特別保護地区が広がります。この森の中からはクマゲラをはじめとするキツツキたちのドラミングの音が心地よく響き渡ります。そんな森の向こうには、十和田八幡平国立公園の八幡平エリアが望めます。焼山(1366.1m)や八幡平(1613.3m)、畚岳(1577,8m)を眺めて的確な名前を付けたものだと感心していました。焼山は今も火山活動を続ける荒涼とした山肌が見えるし、八幡平はなだらかに広い台地状の姿だし、畚岳も確かにそこだけこんもりして※注モッコのようです。それをゆっくりと見ていたら、そこに人が横たわっているように見えてきた!同行していた畠山レンジャーに「あの辺り、人の顔に見えませんか?」と聞いてみたら「本当だ、なんか観音様にも見えるな」と・・そう言われるとさっきまで鼻筋の通った綺麗な女性を思い描いていたのに観音様に見えてくるから不思議です。(少なくとも我々にはそう見えていました)

あの山々では鹿角自然保護官事務所のAR大堀さんが活躍してます。

目線を南側に移していったんですよ・・・すると!

あえて写真に細工はしませんでした。いかがですか?見えますか?

もしかして・・・このクマゲラが棲む豊かな森も、天然杉が分布する奇跡の森もこの観音様が見守っていてくれたから?全く信心のない私がそんなことを思うなんて!と自分でもちょっと驚きましたが、後世に残していかなければならない自然の中に今、自分が居るのだと感じ、アクティブレンジャーとして出来ることを精一杯やっていこうと決意を新たにした巡視でした。

※注:モッコとは土木工事や農作業時に土や砂を運搬するのに用いた、縄などを網状に編んで四隅に釣綱を付けた物で、そこに2本の棒をさし、前後二人で担いだ。

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2007年08月21日【実施報告】自然観察会『森吉山麓高原ブナ林で森林浴』

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所のアクティブレンジャー足利直哉です。
8月19日(日)森吉山麓高原で自然観察会「森吉山麓高原のブナ林で森林浴」を実施しました。

 この日起きると窓の外からは激しい雨の音。もう一度寝ようかと思ってしまったほどでした。思い直して出かけましたが観察会には秋田市から参加する方も多数。当日になって欠席者が出てしまうのではないかという不安が・・・(残念ながらその不安は的中しました)
しかし、秋田峠を越えて森吉山のある北秋田市が近づくと雨は止み、道路は乾いていました。野生鳥獣センターが近づくと雲間から僅かに青空も除いています。明るい兆しに迎えられて森吉山麓高原に到着しました。

 34名の参加者が集まり、畠山レンジャーが観察会のリーダー・スタッフを紹介し、コースの概要・注意事項を説明して観察会が幕開け。その後森吉山荘さんのご協力で、一同バスに乗って黒石川林道とノロ川登山道の出会いまで移動。降りたところで3班に分かれて順次歩き始めました。

森吉山野生鳥獣センターのレクチャー広場でオープニング

登山道入口で各班に分かれて散策・観察会開始です。

 空は雨を堪えていましたが、曇天独特の生温さを感じていましたが、驚いた事にブナ林に入った途端蒸し暑さが消え去り、風も無いのに汗が引いていくのが解ります。ブナ林にはエアコンのドライ機能が付いているようです。皆さんも「いや?涼しな!」「山の中さはエアコン効いてるな!」と涼しさを実感している様子でした。※「 」内は秋田弁でお読みください。


大きな森の懐に潜り込んでしまったような錯覚さえ覚えます。

 この日、印象的だったのがキノコ。登山道沿いには色々なキノコが顔を出していましたが、中でも真っ赤でツルツルしたキノコと褐色の大きなキノコが目を引きました。私の印象は間違いなくどちらも毒キノコ!!しかも猛毒に違いない!!と思ったのですがなんと・・食べられると言うではありませんか!!もう話題はそのキノコに集中。赤いキノコはタマゴダケ。毒キノコの代名詞のようなテングダケ科のキノコですがこれは肉厚で美味いらしい。褐色のキノコはアカヤマドリ。美味と言うほどではないが食べ応えのあるキノコだそうだ。
そうは言っても誰も採ろうとはしない。だってねえ・・・苦笑

<タマゴダケ>
「これを食べる勇気はない」と言う方が大半でした。

<アカヤマドリ>
小学生の男の子は「メロンパン」と呼んでました。なるほど・・・

 結局、雨は持ち堪え無事に観察会は終了。この日一日、さわやかなブナ林や印象的なキノコを見ながら一緒に歩いてすっかりうち解けた参加者同士が連絡先を交換しあう姿に心が温かくなった一日でした。
『注意』キノコは自己判断せず必ず詳しい方に確認してもらってから食べるようにしましょう!!

 尚、東北地方環境事務所のHPにも観察会の報告記事があります。併せてご覧ください。

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2007年08月17日ただいま勉強中!

秋田 足利 直哉

残暑お見舞い申し上げます。秋田自然保護官事務所の足利直哉です。
 
 秋田自然保護官事務所が所管する鳥獣保護区に『大潟草原鳥獣保護区』があります。
 さて・・秋田県の地図を思い浮かべてみてください。何となくタツノオトシゴの横顔に似ていませんか?鼻に当たる部分がナマハゲで有名な男鹿半島。そして目に当たる部分が八郎潟残存湖と干拓によって生まれた大潟村です。大潟草原鳥獣保護区は西より(鼻に近い方)のほぼ中央に位置します。(秋田県の目頭とでも言いましょうか?)

大潟草原鳥獣保護区は大きく3つのブロックに分けられます。
?特別保護地区・・東側を防風のための松林がベルト状に連なり、その西側に         干拓以来ほぼ変わらないヨシ原が広がる。
?東区・・干拓記念「南の池公園」とその北側の未利用地。
?西区・・八郎潟残存湖の西側(西部承水路)が大きく蛇行している箇所の野石     橋以南。
 それぞれの地区に特徴があり、その違いによって観察できる鳥も実に様々です。現在は丁度夏鳥が子育てをほぼ終え、草原の小鳥たちのオーケストラはその規模を縮小していますが、水面では遠足にでも出かけるかのように親鳥と一緒になって行動範囲を広げる幼鳥の姿が多く見られるようになりました。上空の猛禽類も春先に比べて随分数が増えたような気がします。
 
 私自身、野鳥に関してはまだ勉強を始めたばかり。見かけた鳥・鳴き声の聞こえる鳥の名前が判別できるのは、ほんの一部(ごく僅か?)それでも双眼鏡を覗いて見えた鳥が、知っている鳥であれば「あっ○○だ!」となんだか妙に嬉しい。反面、折角見ても種類が解らなければ悔しさにも感じられる残念な気がします。でもその鳥を自分なりに特徴を観察したり、写真に納めたりして、あとで図鑑を見て調べる。そこで種類が特定できて、また別の日にその鳥を観察したときは、思わず「おおおおおおぅ!居たぁ?○○だぁ?」と一人大感動しています。
 数少ない私が知っている鳥の中から今日現在、ヨシ原や承水路の水面で観察できる鳥を撮影してきました。しかしなかなか皆さんにお見せできるような写真を撮るのは難しいです・・・涙



<ホオアカ>
頬に紅をさしたような羽根色が名前の由来。ヨシの先に比較的長く留まって鳴いているので発見も撮影もしやすい。


<コジュリン♂>
黒頭巾が特徴で、連続して鳴くので発見しやすい。頬に注意して観察するとよく似たオオジュリン♂と見分けられる。


<カンムリカイツブリ♀・幼鳥3羽>
承水路で繁殖しています。幼鳥は「うり坊」のような縞模様が見られます。この幼鳥たちは自分で魚が捕れるようになってきました。

 
 もっともっと頑張って良いシーンが撮れるようにしないと・・でも見とれてしまってなかなかカメラに手が行かないんですよ・・これが目下の悩みです!

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2007年08月10日熊にご用心!!!

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所のAR足利直哉です。


 唐突ですが、今年も各地での目撃情報が多く聞かれていますね。私もすでに巡視中に1度(成熊)、車での移動中に1度(小熊)の2度、短い期間に熊を見てます。2度とも森吉山麓高原エリアです!
 森吉はキノコのシーズンに入りました。例年多くの方々がキノコを目指して森吉山や周辺の山や沢に入ります。そこで注意しなくてはならないのが、熊!!(もちろん他にもありますが・・)山の中には熊の足跡や糞以外にも色々な痕跡があります。本来、熊をはじめとする野生鳥獣の生息域に我々の方がお邪魔しているのですから、足跡や糞などがそこにあっても当たり前なのですが、出来れば熊には会いたくないですよね?その為には鈴を鳴らすなどの対策を各自で行う必要があります。自分の存在を熊に知らせるためです。
 
 ちなみに森吉山鳥獣保護区の管理員から『山の中で定期的に爆竹を鳴らす人がいた。』と言う報告を受けています。どうか爆竹はご遠慮ください。山には他の鳥獣も沢山いて、その中には子育ての真っ最中!なんて種もいるのです。

この日はキクラゲを見つけました。いよいよキノコのシーズンですが・・・

このように人工物が欠けていたり壊れていたら要注意です。

熊が蜂の巣を掘り返した痕ではないかと言うことでした・・この場合は熊だけでなく蜂にも注意が必要です!!

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2007年08月03日安の滝

秋田 足利 直哉

秋田自然保護官事務所のアクティブレンジャー足利直哉です。

 当事務所で管理業務を行っている森吉山鳥獣保護区内には大小様々な滝があります。その姿・形・規模にはそれぞれの個性があって私たちの目を楽しませてくれます。その中から先月末に巡視した安の滝を紹介します。
 安の滝へ行くには国道105号線の比立内地区から県道河辺阿仁線を東進し、打当地区を通過して立又川沿いに進みます。細い道を注意しながら進むと安滝林道への分岐点を迎えます。その林道を5㎞進んだ先に安滝園地があり、滝への遊歩道がスタートします。
 遊歩道は全長1.9㎞。前半は渓谷沿いの緩やかな道、後半は渓谷の右岸をトラバース気味に登る道となる。傾斜がきつくなり汗も流れ出す頃、安の滝が見えてきます。安の滝にはいくつかの展望台があるのでお気に入りのポイントを探してみてください。個人的には写真にある小滝を従えた姿も良いのですが、やはり滝壺までの全景を見渡せるポイントが良いなあと思います。
 秋田をはじめ北東北の梅雨も明けて本格的な暑さが始まりました。夏の暑い日、滝を見ながら涼しい一時を過ごしてみてはいかがですか?


手前に小滝を従えた安の滝 安の滝は日本の滝100選に選ばれてます。

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