ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2008年09月30日指折り数えて待った日

秋田 足利 直哉

 今日は大潟中学校の総合学習で『大潟の野鳥』をテーマに取り組んでいる3年生のグループがフィールドワークで野鳥観察をする日!我々はその野鳥観察のお手伝いをさせていただいていて、前回6月27日(http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2008/06/30/index.html)に今年度第1回目の野鳥観察をした次の日から楽しみにしていた日である!!そんな特別な日を入念な下見をして迎えました。

 玄関を開けて元気よく管理棟に入ってくる生徒達と挨拶を交わす。既に顔馴染みになっている生徒達や先生と言葉を交わす中で、先生から「A君は今日の観察を指折り数えて楽しみにしてたんですよ!」との言葉。なんと、私が楽しみにしていた日を生徒達も楽しみにしてくれていました!!


 しかし、なかなか物事全てが上手くいくなんてこともなく・・・例年であればこの時期に北から渡ってきたカモたちで賑わっている大潟村も今年はカモの飛来が遅く、まだチラホラと姿が見える程度。更には草原で繁殖した小鳥たちも姿を消していて、いわゆる”鳥枯れ”状態・・・下見をしながらも『どうしたらいいかな?』と頭を悩ませていました。
 しかし大潟村は国内でも有数の探鳥地!普段から観察できる野鳥もたくさんいます。それに加えて大潟村と周囲を囲む旧八郎潟の水域に長期滞在中の稀少な野鳥たちも観察することにしました。



 最初の観察場所は管理棟から直ぐ近くの場所。MY双眼鏡とスコープで観察しました。



 スコープを覗いている生徒の後ろから観察している生徒と観察されている野鳥を一緒に写したのですが・・・さすがに遠すぎますね?彼が観察しているのは・・・



 【タンチョウ】です。ここ暫くは大潟村で元気に過ごしていた【タンチョウ】でしたが、稲刈りの最盛期となって田んぼに人影が増えてから少しの間、行方が解らなくなっていました。きっと人影のない安全な場所で過ごしていたのでしょう。
 幸いにも当日の朝、稲刈りの終わった田んぼで落ち穂を啄んでいた【タンチョウ】を見つける事が出来ました。もう一つの幸いは【タンチョウ】が生徒達が観察に来る時間までその場所にいてくれたこと!!【タンチョウ】には”首を長くして”この日を待っていた我々の気持ちが伝わっていたのでしょうか?


 その後も多くの野鳥を観察して楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいました。その楽しい出来事を全て書くとこの日の私の日記は”超大作”となってしまうのでこの辺で・・・(^^);


 

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2008年09月29日ニュウナイスズメ

秋田 足利 直哉

 今、秋田では稲刈りの最盛期を迎えています。先週末には雹が降ったりと不安定な天気だったせいもあってか、天気に恵まれた今日は忙しそうに田んぼで作業をする方々が大勢見られました。
 朝は黄金色の景色だったのが、夕方帰るときには綺麗に刈り取られてさっぱりとした状態になっていました。そんな状況を野鳥たちはそれぞれの思いで見つめていたようでした。


 農家の方々が着々と稲刈りを進める様子を落ち着きなく見守る(?)のは、先日この日記で頭を垂れた稲穂に群がる様子を紹介した【ニュウナイスズメ】達です。
 これまで好きなだけ新米を食べていたであろう【ニュウナイスズメ】達はドンドン刈り取られていく田んぼをどんな気持ちで見ていたのでしょうか?観察していると未だ稲刈りがなされていない田んぼに大挙して行ってはみるものの、直ぐそばで作業をしている方がいたり、農道をトラックが忙しく往来する度にヨシ原へと逃げ込んできます。
 どうにかして新米を口にしたいらしく、ヨシ原から様子をうかがっていたようですが障害が多すぎて近づくに近づけない。意を決して田んぼに向かってもいつもとは勝手が違って、食べるに食べられずに直ぐに逃げ帰らざるを得ないといった感じでした。

 それで仕方なく(?)ヨシの穂を口にする【ニュウナイスズメ】も見かけました。おそらく今週末には大半の田んぼで稲刈りが終わるでしょうから、この先の彼らの主食は米ではなく他の稲科植物の穂になるのでしょうね。
 秋田の美味しい新米をいち早く食べてイイ思いをした彼らは間もなく、次の生活場所へと移動していきます。今、いる【ニュウナイスズメ】の中には昨年食べたその味が忘れられなくてまたやってきた個体がいるかも知れませんね?
と、言うことは・・・


【ニュウナイスズメ】オス♂

【ニュウナイスズメ】メス♀

 農家の方々にとってはせっかく苦労して育てたお米を勝手に食べてしまう困った【ニュウナイスズメ】ですが、その姿はなかなか可愛い!
 お馴染みの【スズメ】と違ってホオに黒い斑点が無く、オスとメスの羽が異なり、オスは明るいレンガ色でメスは薄い茶色の羽に白い眉毛がチャームポイントです!

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2008年09月26日頑張る外来種バスター

秋田 足利 直哉

 ここ数日でようやく西部承水路にも渡ってきたカモの姿を見るようになってきました。「いよいよこの時期がやってきたな」とワクワクしてきます。
 先日も水面で羽を休める20羽ほどのカモの群れを見つけたので双眼鏡で観察しました。しかしこの時期のカモのオスは図鑑などに載っているような綺麗な羽ではなくエクリプスという地味な羽をしている個体がほとんどですからパッと見ただけでは何の種類なのか良くわからない場合が多々あります。この時もちょっと遠かった上に、左側へどんどん逃げていくようだったので急いでスコープを用意して観察し、ようやく【オナガガモ】の群れであることが解りました。暫くはそんな観察が続きそうです。
 
 さて、話は逸れて・・・スコープを覗いて観察している最中に、右側から「ばっしゃーーん」という大きな音がしました。直ぐに【ミサゴ】か?と思ってその方向を見るとやはり【ミサゴ】でした。見ると大きな魚を捕らえています。


 「これは随分と大きな魚を捕まえたな」と感心しながら見ると捉えたのは【オオクチバス】のようです。西部承水路ではほぼ毎日のようにバス釣りの方の姿を見かけますが、ほぼ100%釣った魚を入れる道具を持っていないようです。つまり釣った魚はリリースしていると言うこと・・・。ここではリリース禁止になっているんですけどね・・・。
 西部承水路はじめ旧八郎潟でも他の地域同様こうした外来魚の侵入による在来魚の減少が問題となっています。しかしなかなか具体的な対策が打たれないまま今日に至っているのですが、そうした中で孤軍奮闘しているのが魚食性の【ミサゴ】です。



 図鑑によれば【ミサゴ】の嘴の先端から尾羽の先までは57cmだそうです。ざっと見ても【ミサゴ】の半分以上あるようですから30cmオーバーは確実です。釣り人から見れば40cmを越えなければ大物とは言わないそうですが、【ミサゴ】にとってはかなりの大物であったようです。
 よくみると【オオクチバス】の頭に爪を立てて暴れないようにしっかりと固定して飛んでいきました。しかも「重っ」っと言わんばかりの鳴き声を上げながら・・・。


 以前にもこの日記でお話ししたように【ミサゴ】の観察機会が増えているように感じられるということはそれだけ、ここでの餌の確保がしやすくなっているということですよね?
 それを地元太公望の「以前に比べて在来の魚がつれなくなった」という話と合わせて考えると・・・今後【ミサゴ】への期待が大きくなっていくかも知れません!もちろんそれだけで良いとは思えませんけど。


 

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2008年09月25日ヒツジグサ

秋田 足利 直哉

 今日は事務所の窓を開けていると”寒い”と感じます。ついこの間まで窓から入る風も熱く感じていたはずですが・・・

 
 今日は南の池の花の話題を取り上げます。
 南の池で咲く花と言えば『蓮』です。以前この日記で『蓮にくる鳥』をご紹介した7月22日から約10日ほどで南の池の蓮は見頃となりました。その時期は”お花見”に来られる方がいたり、池の畔でカメラを構えている方も見かけたのですが、今はすっかり花も散ってしまい閑散としています。


 昨日の南の池の蓮です。花が綺麗なだけに散った後は余計に寂しく感じられます。

 しかし!!そんな来る人もいなくなった池の片隅で、ひっそりと花盛りを迎えている花があります↓。


 北海道~九州の池や沼でふつうに見ることのできる【ヒツジグサ】です。もちろん秋田でも普通に見ることが出来ます。しかし南の池の【ヒツジグサ】は池の端も端・・・その先には排水路となっている場所に僅か写真に写っているこれだけですが、可憐な白い花を咲かせています。
 大潟村はかつて琵琶湖に次ぐ日本で2番目に広い湖であった八郎潟を埋め立て、昭和32年から20年の歳月をかけて生まれた約17200haの人工の大地です。大潟村は昭和41年に最初の入植者を迎えていますから、すくなくともそれ以降に蓮にしろ【ヒツジグサ】にしろ多分、”人の手”で今ある場所に植栽されたのだと思われます。
 その後、私が想像するに・・・蓮は南の池の主役に抜擢され目立つところに植栽され、年々数を増やし現在に至り、かたや【ヒツジグサ】は何かのついで(?)に池の端の排水路の手前に植栽されたのではないでしょうか?しかもその排水路は昨年、工事が行われ【ヒツジグサ】は大きな危機を迎えましたが、それを乗り越えて現在に至っている・・・。


 現在の境遇に大きな格差が南の池の『蓮』と【ヒツジグサ】にはあります。この格差は今後も変わらないのでしょうか?
 蓮は確かに鑑賞にうってつけな綺麗な花でしょうが、原産地を調べてみるとインド周辺だそうです。それに対し【ヒツジグサ】は昔から日本各地で見られていて、環境省が2008年5月に作成した『日本の野生生物』という小冊子にも掲載されています。(『日本の野生生物』は環境省が所管する各地の施設で入手できます。)



 咲いている場所があまりにも目立たないし、解りにくいですが見ていただくと「この花も綺麗だね」と思っていただけると思います。それが格差の解消に繋がっていくかも?と、いうのは”白い花が好き”という個人的好みが根拠になっているかも知れませんが・・・

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2008年09月24日独特のポーズ

秋田 足利 直哉

 『暑さ寒さも彼岸まで』とはよく言ったもので、一雨毎に涼しさから寒さへと移行しつつあると実感しています。


 野鳥観察を続けていると気付くのですが、野鳥たちにはその種独特のポーズや仕草というのがあります。先日、大潟に行った際にこのところこの日記での登場頻度が高い【カンムリカイツブリ】がそんな独特のポーズを見せてくれたのでご紹介します。



 今年生まれた幼鳥が見せてくれたカイツブリの仲間がよく見せる、”水面で伸び上がり体をブルブルッと震わせる”ポーズです。これはよく見かける動きではあるのですがいつやるか解らないので写真に撮るのが難しい・・・毎度そのチャンスを伺いながら先日ようやく撮れました。
 彼らなりのストレッチとか背伸びのような行動なのでしょうか?これをした後の彼らの顔がとても気持ちよさそうに見えます。私には大きく息を吐いて「ふぅ~」と言っているかのように見えました!




 それとは対照的に、成鳥が見せてくれたのは、とってもゆっくりとした背伸び(?)でした。翼を持ち上げ、首を伸ばしています。息を止めて「んんっ」とでも言いながら体を伸ばしている感じ!そして終わった後は「んあぁぁぁぁ~」と一気に息を吐いたかのようでした。
 このポーズを生で見るのは初めてだったのですが、とっても気持ちよさそうでしたし、この動きを自分に置き換えてその息づかいまでもが想像できる面白い観察でした。


 野鳥たちの可愛い顔や美しい羽も魅力的ではあるのですが、時々見せるこのようなポーズや仕草にふれる度に、彼らへのより一層の親しみを感じ、その魅力が更に深まっていくのを感じながら巡視をしています。


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2008年09月22日【実施報告】自然観察会『太平湖から小又峡の甌穴を訪ねる』

秋田 足利 直哉

 観察会の日、私の目覚ましは午前5時40分にセットされていましたが、それより早い時間に目が覚めてしまいました。子供の頃から遠足の日などには興奮していつもよりも早く起きてしまうことがよくあった私ですが、今日はそれが理由ではありません。
 窓の外では雷が鳴っています。それも徐々に音が大きく響いてきました。雨も激しく屋根を叩いています。こうなると正直、気が重くなります。しかし天気予報では「午後から天気が回復」と伝えていますし、参加者の方々へのご案内にも「雨天の場合は森吉山野生鳥獣センター周辺のブナ林の散策に変更して実施」と明記してありますしね!

 森吉が近づくにつれ、雨脚が弱まってきたように感じながら車を走らせ、順調に集合場所である太平湖グリーンハウスに到着。受付準備などをしながら「この天気だから当日の急なキャンセルも結構あるかもな・・」なんて考えていました。
 結局のところ2組の方が時間になっても来られなかったものの、31名の参加者にお集まりいただき観察会を実施いたしました。

 まずは、遊覧船で小又峡の遊歩道入口まで渡してもらいます。晴れていれば甲板に出て湖面を渡る風を受けて気持ちよいクルージングとなるはずでしたが、まだ小雨がぱらついていました。そのせいか、約30分の湖面クルーズもいつもより長く感じられました。
 


 船を下りて観察会はスタート!この頃にはだいぶ小降りとなっていましたが、足下が濡れているために慎重に歩いていきました。幸い(?)この時は我々以外のお客さんが少なく、観察も安全確保もしやすい状況で行うことが出来ました。結局、雨に降られたのは最初の1時間くらいだけでしたし・・・




 3つの班に分かれて、それぞれ講師が小又峡の地質・咲いている花・実を付けている樹木・生息している野鳥等の解説をするのですが、参加者の皆さんも熱心な方が多く、写真やメモをとったり、質問したり・・ちょっとマニアな解説かな?と思うような内容にも興味津々でした。
 


 何と言っても小又峡の最大の魅力は、約200万年(※これには諸説あり)前に森吉火山の噴火によって噴出した大規模火砕流が長い年月を掛けて浸食された独特の地形が観察できることです。
 火山の噴火によって短期間で噴出した同じような岩質で覆われ、のちの浸食によって刻まれた深い峡谷である小又峡は足下の岩も見上げた両側の岩壁も同じ一枚岩となっています。その底では今も水の浸食が繰り返され、様々な滝や淵などが見られるのですが、遊歩道の終点にある三階滝は参加者の女性に「これが見たかったのよ!」と言わせる魅力を秘めた小又峡の主役です!
 これまでほぼ平坦な道が続いていましたが、三階滝に逢うためには短い階段を上ります。階段の下では三階に分かれた滝の最上段の一部が見えていますが、階段を上るごとにその姿が大きく見えだし、階段を上り詰めた展望地では最上階から滝壺までを一望することが出来ます。それを見た参加者の男性は「良い姿の滝だね~」と言っていました。私も同感です!!

 もっともっと小又峡の魅力を書いて、まだ来たことのない方々にPRしたいところですが、今回は長くなってしまいましたし、この辺で・・・ 
  

 最後になりましたが、この観察会でご協力いただいた『太平湖グリーンハウス』の皆さんに感謝を申し上げます。


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2008年09月19日ヤマカガシ

秋田 足利 直哉

 秋は来る冬に備えて、或いは繁殖期を迎えて活動が活発になる動物たちが沢山います。秋はそんな動物たちで森が賑やかになる時期でもあります。


 森吉山麓でよく見かけるヘビの代表格である【ヤマカガシ】も秋が繁殖期となり、このところ活動が活発になりつつあるようです。彼らの姿はこれまでも登山道脇などで見かけていましたが、最近は車が通る道路の上で頻繁に見かけるようになりました。先日は1日に2回、道路を横断途中の【ヤマカガシ】に出会いました。



 この時は観察しようかと思い、車を止めて降りた途端に方向を変えて今きた方向へ戻っていきました。写真はそんな瞬間を写した物です。【ヤマカガシ】は本来臆病な性格だそうで、人間を見かけるとほとんどの場合、この様に逃げていくのだそうです。



 また、【ヤマカガシ】はちょっと高いところが好きなようです。先月の画像になりますが、笹の上でのんびり過ごしているところを見かけました。時には木の枝股で過ごしていたりもします。

 このような生態をじっくり観察したい気持ちもあるのですが、ご存じのように【ヤマカガシ】は毒をもつヘビです。しかも2種類の毒をもっています。
 一つは主に獲物を食べる時に用いられる毒で、あごの後ろ側にある分泌腺から喉の奥にある牙を伝ってきます。もう一つはあまり知られていないのかも知れませんが、首の後ろの辺りから出されるステロイド系の毒で、主に【ヤマカガシ】が天敵に捕まった場合に逃げるために放たれます。もし毒が目に入ったりすると失明のおそれがあるほどの強いものだそうです。

 このところキノコ採りの最盛期となって入山者も増えてきました。【ヤマカガシ】も活発に動き回っています。そうすると出会い確率も上がるでしょう!時にはお互い、至近距離まで接近してから気付く事もあるかも知れません。そんな時でも噛まれる心配は少ないと思われます。が、うっかり手を出したりするともう一つの毒を放たれてしまうかも知れません。用心が必要です!
 しかし、本来【ヤマカガシ】はとっても臆病な性格だそうです。時に威嚇してくる場合があるそうですが大半は逃げ出しますし、場合によっては死んだふりをする時もあるとか・・・

 もし【ヤマカガシ】に出会ったら、彼らは我々以上に慌てていることでしょうから、むやみに近づかずに彼らが逃げていくのを見送ってあげましょう。【ヤマカガシ】は自らの身の危険を感じない限り、我々人間にとって特段危険な存在ではないのですから・・・


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2008年09月18日ヘビの脱皮

秋田 足利 直哉

 朝夕にはだいぶ涼しくなって、山に行くとひんやりした清涼感が感じられる良い時期になってきました。ぼちぼち紅葉も始まってきたようです。

 先日、森吉山麓の林道でヘビの抜け殻を見つけました。森吉では抜け殻自体は特段珍しくもないので、「あっ、またヘビの抜け殻があるな・・」くらいのリアクションで素通りしそうになったのですが、その直前に【ヤマカガシ】と出会っていて、そのサイズと抜け殻のサイズが何となく似たような大きさだったので、ちょっと気になって足を止めて観察しました。その【ヤマカガシ】が抜け殻の主とは言い切れないですけど・・・



 思えば・・・私自身、ヘビの抜け殻をじっくり観察したのは初めてだったかも知れません。よーーく見ると、なかなか面白い素材でした。
 
 ところで、ヘビの脱皮はどの様にして行われるのでしょうか?考えられるのは・・・・
①我々が寝袋で寝ている状態を脱皮直前のヘビとイメージ
 →我々が寝袋から抜け出すようにして脱皮が行われる。
②我々がロングスパッツ(女性ならばストッキングが解りやすいかも?)をはいている状態を脱皮直前のヘビとイメージ
 →ウエストの部分だけを引っ張って脱ぎ捨てるようにして脱皮が行われる。
の2つの方法であろうと思いますが、①では脱皮前に外界に接していた面が脱皮後も同じく外界に接していて、②では逆に脱皮前に体に接していた面が脱皮後は外界に接することになりますよね?



 先ずは頭側の部分を見てみましょう。ここを見ると①の方が有力かな?と思えてきませんか?頭の方の皮がくしゃくしゃになっています。寝袋から抜け出すとこんな感じになりませんか?
 ちょうどブドウを食べるときのように、長い体をした蛇が”すぽっ”と古い皮から抜け出すように脱皮したんじゃないか?と・・・しかし次の写真を見ると!
 


 蛇の体には無数の”うろこ”のような物がありますよね?その”うろこ”は体に付着しているのですから凹凸は『凸状』になっていますよね?ところがこの写真をよーーーくご覧下さい。確かに”うろこ”状の凹凸は見られますが『凹状』になっているのが確認できます。(写真をクリックすると拡大されます。)
 と、いうことは②の方法で脱皮していることになります。ちょうど靴下を急いで脱いだ時に靴下が裏返しになるように・・・

 実際の脱皮は、口の辺りに出来た裂け目を岩や樹木等凹凸に擦り付けながら徐々に脱皮後の新しい体が露出し、同時に古い皮は徐々に裏返っていって、完了するのだそうです。

 良く見るものでも、知っていることでも、実際に現物を観察すると、そこから受けるインパクトが違いますね。まさに「百聞は一見にしかず」です!



 余談ですが・・蛇の皮を財布に入れておくとお金が貯まるって話を聞いたことがあると思います。私もその話を聞いて、大いなる期待をしてここ数年間財布に入れて過ごしていますが、未だにその恩恵がないまま今日に至っています。

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2008年09月17日喉元を過ぎる

秋田 足利 直哉

 【タンチョウ】が大潟を気に入って、過ごし始めて結構な日数となりましたが、再び秋田の「タンチョウ熱」が上がってきたように感じられます。
 そろそろ田んぼも稲刈りの時期を迎えようとしているので、農家の方々が田んぼで作業を開始しますから【タンチョウ】の居場所も限られてくるかも知れません・・・そうなった際には『是非大潟草原鳥獣保護区の管理棟前の水辺にお越し下さい』と伝えたい気持ちになっています。


 さて、そんな【タンチョウ】ですが、現在、田んぼ沿いの水路でタニシやアメリカザリガニ等を主食として日々を過ごしているようです。私が観察したときには水路の中に入ってタニシを探し、見つけたものを次々と食べていました。



 タニシを咥えているシーンも面白いかも!と思いつつシャッターを押していると、ちょっとした”動き”が目に飛び込んできました。



 当の本人(タンチョウ)は直ぐに次のタニシを物色しているのですが、その長~い首に卓球の球くらいのでっぱりがあって、それが徐々に体の方へ動いていっています。つまり飲み込んだタニシが【タンチョウ】の喉元を過ぎる過程が解るんです。『うわぁ~すげぇ~』とシャッターを押しっぱなしに!すると・・・



 写真に赤い矢印を付けておきましたので、確認してみてください。1枚目の写真では嘴で咥えたタニシが見えていますが、2枚目の写真では向かって左側にでっぱりが見えています。それがこの3枚目になると喉とは真逆の頸側に移動していきました。


 私は食べ物が口から胃に移動する際に通る食道は喉元にあるものと思っていましたからもの凄い違和感というか、衝撃でした!!自分の体で考えてみると3枚目の写真のでっぱりの位置には首の骨(頸椎)がありますから、その辺りを食べ物が通過するなんて!って本当にびっくりでした。

 しかもその経過時間がやたらと長いんです。まず思い出してみてください。我々が熱い物や冷たい物を飲み込んだときに、食べ物が食道を通過している感覚というのを感じることがありませんか?きっと【タンチョウ】の場合もそのスピードと大差ない速度で通過しているのだろうと思いますが、なにせこの長い首ですからね~!そのおかげで長い時間面白い観察が出来ましたけど。


 ところで・・・アメリカザリガニを食べたときはどうなっているのでしょうかね?

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2008年09月16日ハナビラニカワタケ

秋田 足利 直哉

 しばらくの間、更新が滞ってしまいスミマセンでした。これからまた巡視中に「へぇ~」と感じたネタをドンドン書いていきますので、よろしくお願いいたします。


 さて、このところ好天が続き山を歩いていても本当に気持ちの良い日が続きました。と、言うことはキノコの最盛期到来です。山仲間の皆さんも「今年はどうか?」と気になり始めたようです。

 森吉は特にキノコ採りが盛んな地域でその分、”採られた後のキノコ”を見る機会が多くてなかなかキレイな形のキノコを写真に撮るのが難しいです。もちろん、毒キノコはキレイに残っていますけど・・・
 
 先日、そんな森吉で【キクラゲ】が採られた後の倒木の陰にキレイな花びらのような形をしたキノコを見つけました。見た感じはキクラゲのようなプルプルしたゼラチン質(?)のようですが、色も発生の仕方も異なっていました。



 調べてみますと・・・【ハナビラニカワタケ】という可食のキノコで、秋田ではヤマクラゲとかカンテン、コンニャクなどと呼ばれているそうです。
 その時は図鑑を持参していなかったので、そうとは知らずに写真だけ撮って帰ってきました。今頃はもうなくなっているでしょうね~(苦笑)。図鑑には「大量には採れない」とも書いてありますから写真を撮れただけラッキーだったかもしれません。
 
 この時期は春先に比べて花の数が少なくなりますが、その代わりといってはなんですが、キノコが目を楽しませてくれます。中でもこの【ハナビラニカワタケ】は「目で楽しむキノコ」の代表格かも知れません。
 それにしてもキノコにも”花びら”があったんですね?私的には、昔(幼稚園の頃?)薄~い紙と輪ゴムで作った「お花」を連想してしまいましたがどうでしょうかね?

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