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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2011年12月09日ノスリの止まり木

秋田 足利 直哉

 辺りが暗くなり始めると・・「ふたご座流星群」の流れ星が見られないか?と期待しながら見上げるのですがこれまでは厚い雲に覆われて星は全く見えず・・・でも今日は晴れ間ものぞいていましたのでもしかして!!なんて期待しています。お願いしたい事がイッパイあるんでね^^。明日の皆既月食はどうだろう?見られるでしょうか?


 
 冬になると大潟村には【ノスリ】が増えることは各団体の探鳥会や野鳥観察会でも語られている事ですし、この日記でも何度もお伝えしていることですので、そろそろ頭の片隅の一角を占めている情報になってる事だと思います。
 そこで今日の日記は、あっちこっちで見られる【ノスリ】のお気に入りの止まり木について書こうと思います。


 『止まり木』と言えば・・・大潟では防風林とか街路樹とか公園の植栽木なんかを思い浮かべますよね?『止まり木』って言うくらいですから当然ですよね。
 でも大潟で見られるノスリはそうした自然物(※植栽した木を自然物と言うのか?とも思いますが・・・)では無く人工物をよく利用します。例えば電柱のてっぺんや電線などは定番ですし、道路標識や看板などもよく使います。でも【ノスリ】が一番気に入っているんじゃないか?もしくは【ノスリ】の世界で流行っているんじゃないか?と思われるポイントがあります!!






 それがここ!!電柱の横から飛び出ているでっぱり(←なんていう名前なんでしょうか?)。電気工事などの際に作業する方が電柱に上るときに使用するここです!!電柱の下が草むらであったり田んぼの畦であったりと地面が確認できる場所であればかなりの頻度で【ノスリ】の姿が見られます。

 ここがお気に入りの理由は想像するしかありませんが・・・足場は安定しているだろうし、電柱が風や陽の光を遮るかも知れないし、狙った獲物から自分の姿を隠す効果もあるかも知れません。果たして真相は・・・


 皆さんも大潟村にお越しの際には電柱のこの部分に止まっている【ノスリ】に注目して見てください。でもくれぐれも安全第一で!!通行の妨げにになったり他の運転手の視界を遮るような事は絶対にしないでください。
 電柱のこの場所に止まっている【ノスリ】は至る所で観察できますので安全な場所で観察してみてください。では良い週末を!!

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2011年12月08日食事作法も違う?

秋田 足利 直哉

 天気予報に雪マークが並び、二十四節気の「大雪」を過ぎました。この時期らしく寒さは身にしみるものの、窓の外に見える景色は雪がなく「冬枯れ」の秋田市内です。


 今日の日記は長くなります。内容もちょっと背伸びしているところもあります。その点を踏まえて・・・よろしかったらお読みください。


 西部承水路の中でもサギたちに人気の魚採りスポットでいつも見ているダイサギよりも明らかに大きな【ダイサギ】を見つけました。

 写真で見るとその大きさの違いは分からなくなってしまいますが現地で間近で観察すると『この【ダイサギ】でかいな~』と”一回り”では済まない違いに気づきます。

 複数の図鑑で【ダイサギ】の項を見比べてみてください。注目していただきたいのは『亜種』に関する記述です(図鑑によっては『亜種』に触れていないものもあるかもしれませんが・・・)。ダイサギという種名表記の他にチュウダイサギとかオオダイサギという記述が見られるかと思います。私たちにお馴染みの野鳥である【ダイサギ】にはいくつかの亜種が確認されているそうですがそのうち、日本で見られるのが亜種チュウダイサギと亜種ダイサギなのだそうです。図鑑によっては亜種チュウダイサギと亜種オオダイサギだとしているものもあるようです。

 話がややこしくなってきました(笑) 「大」だとか「中」だとか・・・「大大」?だとか・・・。『種』の名前が【ダイサギ】で漢字では『大鷺』と書きます。種を更に細かく『亜種』まで分類するとチュウダイサギとダイサギの2つがいますが・・漢字で書くのは止めときましょう!!また亜種を「2種類」と書くのも混同しそうなので止めときましょう^^!!

 日本鳥学会の『日本産鳥類目録改訂第6版』の【ダイサギ】の項を見ると亜種ダイサギと亜種チュウダイサギの2亜種が記載されていて、秋田を含む本州では亜種ダイサギは(IV=irregular visitor)となっていて「少数飛来する」と書かれており、亜種チュウダイサギは(RB=resident breeder)となていて「サギ類のコロニーで繁殖し」と書かれています。ここではこの『日本産鳥類目録改訂第6版』にそって話を進めていきましょう。


 私が冒頭で書いた『普段見ているダイサギ』というのは亜種チュウダイサギの事で、大潟村でも繁殖しているのでお馴染みの野鳥です。そして今回取り上げた『明らかに大きなダイサギ』が亜種ダイサギであろうと思います(言い切らない歯切れの悪さはご容赦ください。)。

 さて、この2亜種の外見上の違いですが大きさの他に冬羽の時の足の色の違いというのがあるそうです。私も体の大きな【ダイサギ】を見つけると足の色を確認します。【ダイサギ】の長い足の中央部に見られる関節を「跗蹠(ふしょ)」といい、人間でいうところの踵(かかと)に当たるのですが、白い羽で覆われた体から跗蹠にかけてのいろがどうなっているか確認したいところです。
 『肉色』と表現されるピンクとも橙とも言えそうな色の部分が跗蹠を超えて広がっているようだったら亜種ダイサギ、全体が真っ黒か、もしくは肉色があっても跗蹠まで達していないようだったら亜種チュウダイサギの可能性が高いと言うことのようです。


 『明らかに大きなダイサギ』の足は跗蹠を超えて肉色が確認できました。どうやら亜種ダイサギと見て良さそうです。
 とはいえ、普段からダイサギを見かけるこの場所で採餌しているところを見て『餌を採る場所は同じところを選ぶんだな~。』なんて思っていたのですが・・・餌を採る時のスタイルというか体の使い方が違っていました。参考までに過去に同じ場所でチュウダイサギが採餌する場面をお伝えした記事がこちらです。この時は低い体勢から首から先だけを素早く動かして次々と魚を捕らえていたことをお伝えしました。ではこの『明らかに大きなダイサギ』はというと・・・


 4枚の写真を合わせてみました。上から・・ 
 ①歩きながら獲物を見つけたようです。②首を伸ばしてしっかりと確認しています。いくら首が長いからってそのままじゃ転ぶんじゃない?と思っていたら・・・③そのまま体を前方へ投げ出すように・・・④体ごと水中へジャボ~~ン!!
 なんとも激しい獲物の捕まえ方ですが・・ちなみにこの時は失敗でした。なのでこれはたまたまこうしただけで本当は違うやり方なんじゃないか?と思ってしばらく観察していたところ5回このようなやり方を披露してくれて、うち3回は見事に魚を捕まえて即座に飲み込んでいました。少なくともこの場所でこの個体はこのやり方で通していました。

 もしかして亜種チュウダイサギと亜種ダイサギは水中の魚を捕まえるスタイルも違うのかな?なんて思ったのですが・・・どうなんでしょうか?もっと観察を積み重ねたら何か分かるかも知れませんね。でも少数が飛来するとされる亜種ダイサギが採餌するシーンに巡り会う確率を考えたら気が遠くなってきますが・・・
 

 体にたくさん水がつくようで・・・こうして体を震わせる動作を頻繁にしていました。運動的にもかなり体力を消耗しそうです。と言うことは・・・捕まえた魚はよりおいしく感じられるのかな?


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2011年12月06日秋田大学にてアクティブレンジャー写真展開催中

秋田 足利 直哉

 この先の天気予報はずらっと雪だるま。今日もこの時期らしい寒さとなって、遅れていた冬将軍がいよいよやってきそうな気配です。そんな時は室内でゆっくり写真展でもご覧になってはいかがでしょうか?
 ということで、現在秋田大学手形キャンパス内インフォメーションセンターにおいて開催中の東北アクティブレンジャー写真展『心に残る風景』の様子をお伝えします。


 秋田では『秋大(しゅうだい)』と親しみを込めて呼ばれている秋田大学の手形キャンパス正門を正面に見て右側に守衛さんがいる建物があるのですが、インフォメーションセンターはそこにあります。私の記憶とは随分と違うキレイなキャンパスに生まれ変わった秋田大学の『顔』とも言える建物でアクティブレンジャー写真展が開催されています。

 誰でも自由に入館できる建物に入ると左手には職員の方がいるカンターとその奥に秋田大学出身の方々に関する常設展を行っているスペースがありますが、写真展はその反対側で実施中です。





 入り口を入ると直ぐに大きなクリスマスツリーが目に入ってきます。その奥にはグランドピアノ!!とっても落ち着いた雰囲気の施設です。この施設では月イチペースでミニコンサートも開催されるそうです。その際にも邪魔にならないよう(?)に写真は全て壁際に展示してあります。

 歩きながら写真をじっくりご覧いただくのも嬉しいですが、私的には温かい飲み物でも飲みながらソファーに座ってその空間と一緒に写真を楽しむのがオススメです!!これまでのアクティブレンジャー写真展とはひと味違った雰囲気になってます。是非ともご覧ください!!

 
 

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2011年12月05日田んぼのタゲリ

秋田 足利 直哉

 本日より秋田大学インフォメーションセンターにおいて東北アクティブレンジャー写真展『心に残る風景』を開催しています。会場には大きなクリスマスツリーがあり、グランドピアノがあり、ゆったりできるソファーありでとっても居心地の良い空間です!!是非お越しください。


 写真展の様子は明日にもお伝えするとしまして・・・


 このところ大潟には多くの渡り鳥たちが飛来してきていますが、その野鳥たちを観察するために多くの方々が訪れています。皆さんそれぞれに目的というかお目当ての野鳥がいるようで、田んぼにも牧草地にも水路にも多くのバードウォッチャーの姿が見られます。
 
 大潟村内の田んぼには多くのガン達が採餌していますが、その近くには多くのバードウォッチャーの姿があります。たいていの方はマナー良く観察したり撮影したりしているのですが中には残念な方もいるのが実情ですし、少数ではありますが『これは酷い!』と思うような方もいらっしゃるようです。。
 最近はバードウォッチャーの数も増えてきました。皆さん野鳥の観察を楽しみにして来られているはずですので、野鳥はもちろんのこと、バードウォッチャー同士お互いに思いやりを持って観察したいですね。



 さて・・今日はそんな多くのガンが集まり、多くの方が集まる田んぼに群れているのにあまり注目されていない【タゲリ】を取り上げました。

 歩きながらのルートセンサス調査を終えて道路に出るポイントで必ず田んぼの方向をチェックします。その季節によって様々な野鳥たちの姿があるので毎回楽しみにしているのですがこの時期は『【タゲリ】いるかな?』と思いながら目をやります。保護区に隣接する田んぼは【タゲリ】の群れが毎年決まって立ち寄るポイントになっているのです。


 このところ30羽ほどの群れが立て続けに確認できていますが、この日も27羽の【タゲリ】が田んぼで羽を休めたり、採餌する様子が観察できました。

 観察中、『何を見ているんですか?』と県内ナンバーのバードウォッチャーが声をかけてきました。私は『あそこにいる【タゲリ】の群れですよ』と答えたのですがその方々は『あっそう?【タゲリ】か・・・』と言って双眼鏡も使わずに直ぐに移動していきいました。他にお目当ての野鳥がいるようで【タゲリ】には関心が向かなかったようです。

 しばらくすると・・・今度はその田んぼにガンの群れを撮影するために1台の車がやってきました。位置関係は一番南側に私、その北側の田んぼに【タゲリ】の群れ、その北側にある農道をその車が進んできていて、更に北側にガンの群れという状態。車の進入に警戒した【タゲリ】はそろそろと歩いて移動しますが、その方は気がついていない様子。もちろん私にも気づいてはいないようでした。
  

 結果:【タゲリ】は私の直ぐ側までやってきました^^ 観察し放題の撮影し放題。でもなんだか【タゲリ】が居心地悪そうだったので早々に立ち去りました。
 ガンの群れに意識を集中するあまり、その反対側にいる【タゲリ】には全く気がつかなかったという事例。【タゲリ】の美しさに魅せられている方も多くいるなかでこうした事も・・・



 野鳥にも「人気ランキング」というのがあるようなので人気の高い野鳥とそうではない野鳥がいるのはしかたのない事でしょうし、希少な野鳥により関心が向くのもこれまた自然な事かと思いますし、人それぞれ興味や関心の対象が違うのは当たり前ですので『もっと【タゲリ】に注目して!!』なんて言うつもりはありませんし、今回の私の体験もどうだって良いことかも知れません。


 でもこれまでいろいろな事例を見たり聞いたりしてきた事から思うのですが・・・観察や撮影に優先順位をつけてその順位が高い野鳥には注意を払うけど、そうでは無い野鳥は扱いが大きく変わる事に違和感を感じます。更にはその順位が低い野鳥を観察しいる人までもが一緒になって軽視されるのはどうなんでしょうか?


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2011年12月02日食料のストック

秋田 足利 直哉

 今日はスッキリとした青空が広がった秋田県内。お出かけには絶好の日和でした。でも明日からはあれた空模様になるようです。週末の悪天応が巡ってくるサイクルになっていますね・・。


 この時期はいつそうした悪天候がやってくるのか分かりませんし、いつやってきてもおかしくないので様々な冬支度をしている事ともいますが、野鳥達にも来るべき冬に備えてしっかりと準備をしている鳥がいます。

 今日の日記は、来る冬に備えて食料をストックし、現在はそのストックから小出しにして食事をしていた【ゴジュウカラ】を取り上げました。
 


 10月下旬、【ゴジュウカラ】は木の実を咥えながら森の中を忙しく飛び回っていました。ミズナラやブナの実を何処からか運んできては食料をストックする場所へと収納し、また次の木の実を探しに行くと言う作業を続けていたのでした。
 それからおよそ1ヶ月、現在は山には雪が降って地面を覆ってしまったため落ちている木の実を探すのが難しくなったようです。でも【ゴジュウカラ】には食料のストックがあるので大丈夫!!


 コケが木の幹を覆い尽くしている木は【ゴジュウカラ】の食料庫になるようです。枝とコケの隙間などは格好の食料庫のようです。


 蔓が巻き付いている木も【ゴジュウカラ】は食料庫として利用します。蔓と幹の間にも木の実をしまい込んでいるようでした。


 取り出した木の実を咥えている【ゴジュウカラ】の表情が嬉しそうに見えるのは気のせいでしょうか?

 いったいどれだけの食料を保管しているのか分かりませんが、何となく『アリとキリギリス』のキリギリスと重なって見えた【ゴジュウカラ】。この先の厳しい冬をしっかりと乗り切って欲しいものです。


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2011年12月01日マガンの群れに幼鳥を探す

秋田 足利 直哉

 いよいよ師走突入!今年も残り一ヶ月となりました。
 今日の秋田市は最高気温が一桁。明日の最低気温は氷点下の予報が出ています。何かと忙しい時期ですからくれぐれも安全に留意して行動してください。



 本格的な寒波到来を前にガンの群れが大挙、南下してきたのでしょうか?大潟村やその周辺で確認できるガンの群れがこれまでとは段違いに増えています。更には種類も増えてかなり賑やかになってきました。
 

 普段・・・大きなガンの群れの中からマガンが○○羽、ヒシクイガ○○羽、シジュウカラガンが・・ハクガンが・・と一通りカウントして、余裕があればヒシクイとオオヒシクイの割合をざっと見渡してみたり、標識のついた個体を探してみたりと様々な事を調べていくのですが、最近は群れの中から「幼鳥」を探してみたりもしています。
 ハクチョウ達やハクガンであれば成鳥と幼鳥とではハッキリとした違いがあって確実にカウントすることも出来ますが、そのほかの種についてはかなり難しい種もいたり正直お手上げという種もいます。しかし【マガン】はよ~~く見れば幼鳥を探し出すことが出来ます。


 ちょっと前に撮影した【マガン】の群れの一部です。この中に2羽の【マガン】幼鳥が写っています。お分かりになりますか?
 
 【マガン】の成鳥と幼鳥の識別ポイントとしてあげられるのは嘴の付け根部分から額にかけて見られる白い羽が、あるか?ないか?とよく言われますよね?でもこの一点だけでは少々心許ないと感じます。出来る事ならそのほかにも識別ポイントがあればそれらを総合的に判断できますからより確実性が増しますよね?
 そこで最近、私が実際に観察するときにチェックしているポイントを挙げてみようかと思います。

 と・・・その前に。上の写真には2羽の【マガン】幼鳥が写っています。中央奥にいる個体と写真左側の上にいる個体です。


 この写真の上にあるのが『中央奥』の個体で下にあるのが『写真左側の上』の個体です。いずれも嘴の付け根部分から額にかけての白い羽が無いようです(あるいはほとんど無いようです)。【マガン】の英名は【White-fronted Goose】といいますが幼鳥の場合、この名前の通りの外見ではないことになります。その視点でもこの2羽を見つけることは可能だとは思いますが、もう少し細かく見ると・・・
①嘴の色が成鳥はピンク色だが幼鳥はオレンジ色。
という特徴もあります。しかしこの色味というのは注意が必要です。天気や日当たり具合によって微妙に変化したりしてなかなか確かな決め手にならない場合もあります。
そこでもう一つ
②嘴の先端部分(嘴爪)が成鳥は「白」で幼鳥は「黒」。
これは文字通り白か黒か?というハッキリとした識別点なので①よりは確実性が高くなるでしょう。この部分は真横からであればしっかりと見えますし、それよりも前を向く体勢で確認できればますますよく見えます。

 この他にも識別できるポイントはあるようですが、大きな群れの中から探す際には英名の由来となった白い羽の有無に①と②のポイントを加えてチェックすることが出来れば、かなり確度の高い識別が出来るのではないでしょうか?


 参考のため、【マガン】剥製の嘴部分をアップで撮影した物を掲載しました。褪色と着色で実際の色とはちょっとかけ離れていますが『嘴爪』は確認できるともいます。
 この剥製の【マガン】は白い羽があって、嘴爪が白(っぽい)いので成鳥と言うことが分かります。



 私だけかも知れませんが・・・大きな群れの中から幼鳥を見つけ、その周囲の個体を見渡してみると何となく「家族」が見えてきたり、幼鳥同士が何羽か集まっていると「幼稚園」が見えたりしてちょっと”ほっこり”した気分を味わうことが出来ます。
 
 動物園などでは、そこにいる動物たちに赤ちゃんが生まれるとその可愛い姿に多くの人が引きつけられて人気者になりますよね?自然界に生きる【マガン】の群れに「幼鳥」を見つけるとそれと同じように愛おしい存在に感じられるんですよね~^^

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2011年11月30日オオタカとコガモの攻防戦

秋田 足利 直哉

 突然ですが・・・『もし自分に羽があって鳥のように自由に暮らす場所を選べるとしたら?』なんて質問をされたり、考えて見たことはありませんか?あれこれ想像してみるのは楽しい時間ですが、実際に自由に動き回れる野鳥たちってどうして今いる場所を選んでいるんでしょうかね?


 私たちは野鳥の生息環境を考えるとき、単純にカモやサギは水辺、カラ類は山や林などを漠然と考えがちです。しかし事はそれほど簡単ではなく例えばカモについて細かく見ていくと塒となる安全性の高い水辺と餌が豊富でそれを得やすい環境が整った水辺などいくつかの条件が整っていることが鍵になるようです。なので今、私たちの周りで暮らす野鳥たちはそれぞれにそれぞれの生活に必要な環境条件を満たす場所を選んで生息しているわけです。

 
 大潟村やその周辺の水辺にはたくさんの【コガモ】がやってきています。ここが他の地域よりに比べて越冬するカモの中でコガモの生息割合が高いのは西部承水路や南の池など水深の浅い水辺が広く存在することが大きな理由ではないか?と考えています(あくまでも私の推察ですけど・・)。
 大潟村やその周辺は日本にやってくるカモの中で最も小柄な【コガモ】にとって塒として利用できる安全性の高い水辺と、水深が浅く餌が採りやすい水辺が広範囲にあって過ごしやすいと思われる反面、彼らを狙う猛禽類たちも多く生息しているため天敵である猛禽類に常に命を狙われている危険と隣り合わせで生活しています。

 一方、【オオタカ】は大潟村内で繁殖もしており(厳冬期のごく一時期を除いて)ほぼ年間を通じて観察する事が出来ます。彼らにとって大潟村は繁殖のための巣を構えられる安心できる林地があって、生きるための食料調達が年間を通じて可能なエリアであるが為にここで生活しているのだと考えます。


 
 この時期、【コガモ】と【オオタカ】はそれぞれの特徴、能力、生きるための戦略などを駆使した攻防戦を毎日毎日繰り広げています。


 水辺近くの木の上から狙いを定めて飛び込んでいく【オオタカ】です。分かりにくいかも知れませんが松の木の左側に写っています。遠く離れた管理棟の2階からも丸見えだったので池にいるカモ達は当然それを承知していたはずです。
 
 こうした場面は1日に何度も何度も観察できます。つまりは狩りが得意だと思われる【オオタカ】も百発百中からはほど遠く、獲物を狩ろうと飛び込んでいっても失敗するときの方が多いと言うことです。


 【コガモ】も自分たちを狙っている【オオタカ】に対して攻撃を受けにくい場所であったり、相手から離れる等と積極的に動き回って防御につなげています。
 この写真の時の【コガモ】にはやや余裕がありました。スピードも超本気ではなくまだいくらかの余力があるようでしたし、着水時も余裕を持ってスライディングして来ました。【コガモ】達は【オオタカ】等に狙われて、本当に危険だと判断するとマックスのスピードで飛んでいる状態から水中めがけてそのまま飛び込んできます。着水の衝撃など気にしている余裕がないほど切迫している事がよく分かる行動です。
 それに比べるとこの時の【コガモ】達からはかなりの余裕を感じます。きっと【オオタカ】はいつにも増して悔しい思いをしていたのではないでしょうか?


 こうして【オオタカ】と【コガモ】の攻防戦は一区切りを迎えます。【オオタカ】は再び見通しの利く木の上に陣取って次の狙いを定めるかのような動きを見せます。【コガモ】はというと・・・


 逃げるために急激に運動をしたのでクールダウンさせるかのようにあちこちで羽ばたきが見られ、その後羽繕いを始めます。次のラウンドに備えて万全の準備をするつもりのようです。


 この攻防戦はカモが生息している大潟村やその周辺で日常的に見られる光景です。以前もこの日記でお伝えしていますがそれからも毎日のように繰り広げられてきた光景ですし、きっとこの先しばらく続く光景でしょう。今回は【オオタカ】と【コガモ】の攻防をお伝えしましたが、この他にも攻撃側にはハヤブサやチュウヒなどがいますし、防御側にもたくさんのカモなどがいます。

 
 こうしてみていくと・・・野鳥の生息環境を保全すると言うことは単に水辺や林地を今のまま残せば良いと言うことではなく、その生き物の「食」「住」など様々な生活場面を想定しなければなりません。でもそれって自分に置き換えてみれば当たり前な事だったりしませんか?



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2011年11月29日【実施報告】野鳥観察会『大潟草原の渡り鳥たち』

秋田 足利 直哉

 観察会にご参加いただきました皆様には既にお知らせしているところですが、12月5日より秋田大学手形キャンパスインフォメーションセンターにおいて東北アクティブレンジャー写真展『心に残る風景』を開催いたします。
 これまではビジターセンター等の環境省の施設等を中心に実施してきた東北のアクティブレンジャー写真展ですが、今回は秋田大学の多大なご協力により大学施設内で開催できることとなりました。多くの学生に見てもらいたいと期待しているところです!!一般の方々も来場できる施設とのことですのでお近くの方は是非ともお越しくださいませ!!


 今日は日曜日に大潟草原鳥獣保護区やその周辺で実施した野鳥観察会のご報告をします。このところ当事務所が実施している観察会は当日の朝は雨がお決まりになってしまいました・・・。この日もそのジンクスを破れずに「雨」。しかも雨雲レーダーは大潟村周辺に集中しているような・・・。
 今期はガンの飛来が遅く、しかも採餌場所がばらけていて大きな群れが観察できていないとはいえ、見所満載の野鳥観察が出来るはず・・・。どうにか雨さえ降らなければ・・という願いが通じました!!きっと行いの良い方々が集まったからでしょう^^

 今回も(財)日本野鳥の会秋田県支部にご協力いただいて2名の講師にお越しいただき、更に大潟草原鳥獣保護区管理員も加わって万全の体制で観察会を実施いたしました。参加してくれた方は少なめでしたがその分、内容の濃い観察会になったのではないでしょうか?







 保護区に隣接する水田でヒシクイやシジュウカラガン等を観察し、西部承水路ではたくさんのカモ等が観察できました。しかもベテラン講師の超詳しい解説付き!!鳥獣保護区管理員さんのレア情報もたっぷり!!ついでに私が描いた詳細な(?)識別イラスト付き!!
 『野鳥観察楽しい!!』『今回も大満足^^』と言っていただきましたのでおそらくは満足していただけたんじゃないかな?と思っております。


 この日観察できた野鳥は次の31種類でした。
 カワウ・カイツブリ・カンムリカイツブリ・アオサギ・ダイサギ・トビ・チュウヒ・ノスリ・オオタカ・ハヤブサ・チョウゲンボウ・オオハクチョウ・コハクチョウ・アメリカコハクチョウ・マガン・ヒシクイ・シジュウカラガン・マガモ・カルガモ・コガモ・オナガガモ・ホオジロガモ・ミコアイサ・カワアイサ・キンクロハジロ・キジ・オオバン・ハクセキレイ・スズメ・ムクドリ・ハシボソガラス

 風の強い日だったこと、猛禽類の頻出ポイントへは足を運ばなかったことなどを考慮すればかなり多くの種類を観察できたと言えそうです。皆様お疲れ様でした。またご一緒に楽しい野鳥観察をしましょう!!


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2011年11月28日シジュウカラガンが警戒したとき

秋田 足利 直哉

 とあるシンポジウムのような「集い」に参加したときの事。
 主催者された方と談笑した時『こういう会での挨拶って緊張するね』とホッとしたように話しておられました。きっと試行錯誤して何度かリハーサルもして臨まれたのではないでしょうか?私は明確な”ねらい”をシンプルに短くまとめた良い挨拶だと思っていました。確かな成功例です。

 とある会の冒頭。
 担当者の挨拶に致命的な言い間違いがあって・・・周囲からは失笑が。配付された資料も間違いが複数箇所あり、体裁も調わず・・・「資料」としてはなんとも残念な物に。どうみても大失敗の事例です。

 対照的な2つの事例に、それに望む意欲と事前の準備によって大きな差が生まれることを思い知ったところです。




 さて・・・

 今期は多数の【シジュウカラガン】が日本にやって来ているようです。その羽数を聞いて『それが全部揃ったら・・・』なんて想像をするだけでワクワクします。
 昨日の時点で、大潟やその周辺には10羽(もう少し多いとの情報もありますが・・)の【シジュウカラガン】が確認できています。その時々でハクチョウの群れに交じっていたり、ヒシクイの群れに交じっていたり、過ごす場所もその時々でバラバラですが、私的にはあまり探さなくても行く先々に【シジュウカラガン】がいてくれるので観察機会も多く、楽しい観察も出来ています。今日はその中から【シジュウカラガン】の警戒姿勢について取り上げました。



 塒や採餌場所にで過ごす【シジュウカラガン】を観察するしている時、彼らは私たち人間に気づくとその首をイッパイに伸ばして出来るだけ高い視線で遠くにいる私たちの動きを確認しようとしますよね?直立して首をピンと伸ばすその姿勢は『気をつけ!』状態のように見えます。


 『気をつけ!』をしている【シジュウカラガン】です。この姿勢は皆さん見たことがあるでしょう。明らかに私に注意が向けられています。


 
 でもこの姿勢は、私たち人間に対して警戒するときに見せる動きのようで、自然界にいる警戒すべき相手の前では全く違った姿勢を見せます。


 首を地面スレスレに下げて、腹ばいにならんばかりに低い体勢で視線を上空へと向けています。先ほどまでは時々私に視線を向けながら採餌していましたが、今は私は眼中にありません!!【シジュウカラガン】が見ているのは、この後しばらくしてから猛スピードで上空を通過することになるハヤブサ幼鳥です。

 このところ、大潟村内やその周辺ではハクチョウやガンの群れに襲いかかるハヤブサ幼鳥を見かけることがあります。実際に狩りをする場面は見たことがありませんし、万が一狩りをしたとしてもハヤブサの体力ではガンやハクチョウを運ぶことが出来ないでしょうから『獲物』であるかどうかも怪しいですし、ハヤブサ成鳥ではその様な行動は見かけないと聞きますから、幼鳥の戯れの様な行動である可能性が高いようです。

 そのハヤブサ幼鳥がハクチョウと【シジュウカラガン】が採餌している田んぼにやって来た時・・・ハクチョウたちは全く意に介していないようで採餌を続けていましたが、日本にやってくるガンのうち最も身体の小さな【シジュウカラガン】は警戒せずにはいられなかったのでしょう。まだ遠くにいるハヤブサをめざとく見つけてしっかりと警戒して態勢を整えていたのです!!


 ハヤブサ幼鳥が遠くへ去った後、それを確認するように徐々に首をあげる【シジュウカラガン】です。
 この後、私に対する警戒心がどうなったか?と言いますと・・・ビックリするほどノーマーク状態に。。餌を食べながら徐々に近づいてきたほど^^


 【シジュウカラガン】に限ったことでは無いようですが、彼らは警戒すべき相手によってその警戒の仕方も変えて対応しているようです。そして自然界で暮らす彼らにとってはちょっと離れた場所で見ている観察者(私)よりも自分の上空を猛スピードで飛ぶハヤブサ幼鳥の方がずっとずっと警戒すべき相手なんですね。

 厳しい自然界をこれまで生き抜いてきた【シジュウカラガン】の「能力」に触れた気がした観察でした。


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2011年11月25日背眠泳法

秋田 足利 直哉

 「白い季節」です。気温が下がって吐く息も白く、雪が降って積もり、荒波が打ち寄せて・・。この季節らしいと言えばらしい様子となってきました。あと足りないのは白い○○かな?



 このところカモの飛来数が増加しています。各所で大きな群れを見ることが出来るようになってきましたが、場所によっては落ち着きがなく、人影を見ただけで逃げてしまうような場所もあります。そんな中、大潟草原鳥獣保護区の『南の池』では比較的のんびりと過ごすカモの姿を見る機会が多い場所ではないかと思います。そこで今日は久しぶりに『南の池』での観察から・・

 カモ達の休憩中の姿勢と言えば『背眠』。嘴を肩羽の下に潜り込ませて丸くなるあの姿勢です。この体勢で目を閉じている個体もいれば、しっかりと見開いている個体もいますが、先日はこの体勢のまま移動している個体を見つけました。


 水面に波紋が広がっているのがお分かりいただけるでしょうか?背眠姿勢のまま泳ぎ進んでいるのです。まさかこの状態で移動するとは・・・


 時々止まっては回転したりして周囲に注意を配っているようです。何を警戒しているのでしょうか?天敵?それとも私?でも私にどんどん近づいてきてるしな・・・
  

 再び背眠姿勢のまま泳ぎ始めました。私の目の前を通過しようとしています。しかし・・意外に早い!!本気で泳ぐときと大差ないんじゃないか?


 この姿勢でいる時は「休憩」であったり「睡眠」であったりとリラックスして過ごしているのかと思っていました。そんな中でも時々周囲に注意を払う場面は何度も観察していましたが泳ぐとは・・・。周囲をよく見ると同じように背眠しながら泳いでいるカモが散見されます。特にコガモではたくさん見かけました。これってよくある行動なんですね?今まで気がつきませんでした。まだまだ観察力不足です・・・



 それより・・・気になったのはこのカモが何であるか?ということ。この池にはコガモとカルガモが多数いて、マガモやオナガガモがチラホラという感じですが、このカモの『白い羽』はそのいずれにも該当しないような・・・と思っていたその時!!


 一瞬だけ顔を上げてくれました!!撮影しながら『君だれ?きみ誰?』とつぶやいたのが通じたのでしょうか?いや~顔が見られてホッとしたやら、スッキリしたやら、ビックリしたやら。。


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