ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2011年11月24日カラスが鳴くとき

秋田 足利 直哉

 1859年11月24日。チャールズ・ダーウィンの『種の起源』が発刊された日です。
 生き物はその生活環境へ適応するように変化するものだと言われます。今この世界にいる生きものたちも生活環境によって様々な行動をしているのかも知れない・・・そんな事を考えながら自分の住む地域の生き物に目を向けたら楽しいよな~なんて思っている今日この頃です。



 さて・・

 閉園時間間近の遊園地。聞こえてくるのは『・・・カラスと一緒に帰りましょう~♪』という音楽。皆さんも聞いたことありますよね?
 私が子供の頃、遊んでいた場所でもこの音楽が流れていた記憶があります。私は外で遊ぶのが大好きでしたからこの音楽を聴かなかったことにして遊んだこともあった・・・はず^^。なのでカラスが鳴いているのも聞かなかったことにしていたみたいです。だからでしょうか?カラスが鳴いているのを見た記憶がありません。聞かなかったことにしただけではなく、見なかったことにもしていたようです。
 そしてこうして随分と時間が経過した今、カラスが鳴くときの動きがとっても面白いと感じます!!


 現在、大潟草原鳥獣保護区で普通に見られる「カラス」は【ミヤマガラス】と【ハシボソガラス】の2種。ちなみに市街地などでも見られるハシブトガラスを大潟草原鳥獣保護区で観察するのは稀です。なので今日の日記では先の2種を取り上げました。
 私たちも大きな声を出そうとする時、大きく息を吸い込んでから爆発させるように声を出しますよね?カラス達も力一杯『カァーー』とか『ガァーー』と鳴き声を上げる時、息を吸い込むような動作と一気にはき出すような動作を交互に行います。そしてその動作は種によってちょっと違うようです。ではその動きを見ていきましょう!



 先ずは【ミヤマガラス】から。


 力一杯(?)鳴いていた【ミヤマガラス】を連続で撮影したものです。見ておわかりのように上が息を吸い込む(?)時の動きで、下が声を出して鳴いている時の動きです。
 【ミヤマガラス】は鳴き声を『前方』に向けて発しているように見えました。力を貯めるときは体を後ろに引き戻して、そこから前に出る勢いとともに『カァーー』と大きく一声!!


 続いて【ハシボソガラス】です。


 同じく力一杯(?)に鳴いていた【ハシボソガラス】を連続で撮影しました。上が息を吸い込む(?)時の動きで、下が声を出して鳴いている時の動きです。
 【ハシボソガラス】は鳴き声を『斜め上方』へ向けて発しているように見えました。力を貯めるときはお辞儀をするように前屈みになり、そこから頭を持ち上げる勢いとともに『ガァーー』と大きく一声!!


 いつも必ずこのような動きを見せるわけでもないようですが、この時この2個体は何かを伝えるべく(?)本気鳴きしているように感じました。
 またこれと同じようにカラスが鳴くときの動きや姿勢を調べて報告しているものはいくつもありますが、今回の報告は必ずしもそれらと合致しないかも知れません。ハシブトガラスはまた違った動きをするようです。
 でもそれもまた自然の生き物を観察するおもしろさではないでしょうか?私はこの2つの観察をしながら、『おぉ!こんな鳴き方もするのか~』とワクワクしていました。


 私たちの最も身近にいる野鳥の一つである「カラス」。皆さんの周りにいるカラス達はどんな鳴き方をしていますか??何か面白い行動をしてはいませんか?

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2011年11月21日獲物へ向かうハイイロチュウヒ

秋田 足利 直哉

 いよいよ冬将軍の到来です。風の音も「冬音」へ!空の色も「冬色」へ!!



 そんな季節にとっても似合う野鳥を見つけました。

 本当は別方向へと行くつもりでしたが、遠くに【ハイイロチュウヒ】オス♂が見えたのでその方向へ!! 地面に降りていることが多い【ハイイロチュウヒ】ですが運良く飛んでいる最中を見つけました。低空で飛翔するこの姿は少々距離があっても眼に入ってきます!というか・・・この季節になると『まだか?まだか?』と探してしまうんですけど・・


 農耕地を超低空でゆったりと飛んでいた【ハイイロチュウヒ】オス♂です。視線が忙しく動いていました。獲物を探しているんですね。


 その視線がある一点に釘付けになりました。と同時に【ハイイロチュウヒ】も体勢を変え始めました!!


 一旦止まってから下へ向かうというのではなく、ごくごく小さな回転半径のまま一気に下へ向かって旋回したかのような動きでした。この写真でおわかりになるかと思いますが・・・急旋回をして尾羽がこれまでの進行方向を向いています。ちょっと他の鳥では見たことがない動きの質でした。


 この後、地面に着地した時には両の翼を広げて足下の獲物を威嚇するように凝視していました。どうやら獲物を捕らえることが出来たようです。この先の食事タイムは邪魔をせずに立ち去りました。
 

 このところ話題になるのは『○○は来たか?』『△△はまだか?』『○△はどこにいる?』という内容が多くなってきました。皆さんお待ちかねの野鳥に早く会いたくて仕方が無いようです。野鳥観察がますます面白い季節の到来ですね^^


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2011年11月18日肩羽ひらり

秋田 足利 直哉

 今朝の出勤時、道ばたの草が真っ白くなっていて、水たまりは薄い氷が張っていました。今日、秋田市内では初霜と初氷を観測しました。



 この季節になると野生下で暮らす動物たちの身体を覆う羽や毛の性能に感心してしまいます。寒い中でも体温を維持し、雨や雪が降ってもコンディションを保ち続けるなど高い性能を有しています。
 野鳥の全身を覆う羽にはその部分によって役割が分かれているそうで、その役割に合わせて多様な大きや質感をしています。

 さて明日明後日、秋田県地方の天気予報は「雨」となっています。内陸部では雪となるところもあるようです。この時期『雨』が降るとなると相当に厳しい時間を過ごすことになるはずですが、この時重要な役目を果たすのが『肩羽』と呼ばれる羽です。

 とは言っても、野外にいる野鳥のどの部分が『肩羽』なのかイマイチ分かりにくいのですが、先日風が強い日に『肩羽』がひらひらと浮き上がっている【トビ】がいました。


 静止している状態で、強い風が吹き付けたようで、時折ひらりひらりと『肩羽』がめくれ上がっていました。
 『肩羽』は同一個体の羽の中では大きな部類に入る羽で、特に幅の広さに関してはその野鳥の中でも最大級です。その幅広く大きな羽は身体の上面を覆っています。そのおかげで飛ぶための機能を持つ羽を雨や紫外線から保護して劣化を防ぎ、雨粒を身体の外側に排する役目をもっているのです。

 上の写真を撮りながら・・『なるほど!こうなっているから雨に濡れても身体の中まで入りこまずにコンディションを保てるのか!』と感心してしまいました。『肩羽』は傘の役割をもっているんですね。これからやってくる厳しい季節も高性能の羽で乗り切ってもらいたいものです。




 ところで・・・私、昨年も『肩羽』に注目した記事を書いていました。他の羽は(多分)取り上げたことがないはずなのに『肩羽』は2度目でした。私は「どうして野生動物たちは雨に濡れても平気なんだろう?」という事が気になるようです。。


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2011年11月17日道ばたの古巣

秋田 足利 直哉

 寒い日が続きます。日暮れも早くなってきました。
 ここ数日、東北電力管内では夕方の電力使用ピーク時の予想使用量が供給可能量を上回っているとのことで近隣の電力会社から融通を受けているそうです。無理のない範囲で節電に努めていきましょう!!



 今日見た遠くの山々は雪化粧をしていました。もうすっかり春から秋にかけての賑わいは過ぎ去ってしまいました。今年生まれた野鳥たちは今頃どうしているのかな?なんて事を思う今日この頃です。

 そんな中、道路沿いに野鳥が使った巣をみつけました。繁殖期にはこの辺に巣があるんだろうな~と思いながら通っていた場所でしたが、車の中からでも見つけられるような場所だったとは・・・


 ブラインド効果を発揮していた葉が全て落ちてしまったので巣が丸見え状態でした。枝が又になってる場所に乗っかるようにして巣を構えていました。


 巣の中にもたくさんの枯れ葉が入っていましたので取り除いて中を確認してみました。見事に「もぬけの殻」でした。

 さて、この巣についてのデータですが・・・
 地上から1.2m程の高さに作られていて、巣の外径が10~11cm、内径が4.5~6cm、巣の縁から産座の底までが2.5cmでした。月日が経って風雨にさらされて若干ゆがんでいました。
 巣材にはススキと思われる枯葉、サワグルミと思われるものの葉柄や不明草本の茎と思われる物などが組み合わされていました。産座部分には植物の根の細い物を選んで使用しているようでした。

 ではこの巣の主は誰なのか?と言うことですが・・・残念ながら断定は出来ません。普段の生息調査などで見る限りではホ○○ロが最有力ですが確かめてはいないので・・・。
 当事務所では、特別に調査している物を除いて基本的に繁殖中の巣には近寄らないようにしています。例えホ○○ロであってもその原則は変わりません!!正直なところ・・・野鳥の繁殖期にはちょっと行き過ぎだと思うやり方をしている事例を耳にしたこともあります。自分たちは大丈夫と思っていても『完璧』というのはなかなか難しいのでしょうね。

 
 今、越冬期に入ってそれぞれの場所で過ごしている野鳥の中に幼鳥を見つけると『まだ1歳にもなってないのに・・・凄いな~・・・』なんて事を思ってしまいます。
 皆さんの周りにもこのような古巣が見つかるかも知れませんよ。そこから色々と想像して自分流の物語を創作してみる。なんていう過ごし方はいかがでしょう?

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2011年11月16日桃洞横滝

秋田 足利 直哉

 昨日、県内各地で初雪を記録しました。事務所でも『いよいよ寒くなってくるな~』なんて話をしていましたが、そこから続く言葉は人それぞれ。雪道の運転や除雪などを思い浮かべて『イヤな季節だ』と思うよりはスノースポーツや様々な観察など『雪の楽しみ』を心待ちにしたいと思う今日この頃です。



 今日はこれまであまり取り上げてこなかった場所を紹介してみようと思い立ちました。思えば・・・私は子供のことから「寄り道」をするのが大好きでした。その好みは今でも継続していて、よく立ち止まったり、脇道にそれたりしているのでこうしたネタはいくらでも書けそうな気がします^^
 と言うわけで・・・この続きがあるのかどうか未定ですが、とりあえず「第1弾」です。



 名前は『横滝』と言います。でも森吉山麓一帯にはこの他にも『横滝』の名がある滝が存在するためそれらと区別するため『桃洞横滝』とも呼ばれています。その別名通り桃洞渓谷にあるのですが、よく『これも滝なの?』という声を耳にします。実際、国土地理院発行の1/25000の地形図にも記載されていません。そう話すと『じゃあやっぱり滝じゃないんじゃないの?』と聞かれますが、色々調べてみても厳密な『滝の定義』というのは定まっていないようです。もちろん語としての意味や、地形図に記載する際の目安のような物はありますが、それも厳密には『滝の定義』を表すものでありません。

 私がざっと調べた中には『河床にある段差』とか『・・・目標物となる』等といった基準もあるようですが、この『横滝』あるいは『桃洞横滝』はその点をクリアしていますので立派な滝であると思っています。そして何よりちゃんとした名前があるんですから間違いなく『滝』です。

 でも多くの方はここを横目で見て、通り過ぎるか数枚写真を撮って直ぐに通過してしまうようです。
 でもこのをコースを歩く際、この滝には大きな役割があります。それは『水量の指標』としての役割です。目的とする桃洞滝などへ向かう際には必ずここを見て『今日の水量はどうか?』確認をします。そしてこの滝全体が白い流れに覆われているようであればその上流を歩くのはかなり危険だと判断できます。

 更に、近くまで行って詳細に見る事もあります。私の場合はこの滝にコケがあるかどうか?を確認します。ここにコケ生していたらしばらくの間、増水もなく低い水位で安定して環境であることが分かりますし、水量が少なくてもコケがないようだと、ちょっと前にここを激しい水流が流れただろう等と推測してその後の行動に反映させます。


 この日はご覧のように水の流れも分からないほどに穏やかで、かつコケもちらほらと見えていました。と言うことはこの先の桃洞滝も水量は少ない。途中の河床にもコケがあって滑りやすい。等といった事が分かります。


 これも同じ日に『横滝』『桃洞横滝』を撮影したものですが、カメラの位置を変えるとまた違った表情に写ります。水の中に足を入れて撮影したわけですが歩道から見下ろしていただけでは見えなかった物が見えてくるものですね?


 ちょっと前のことになりますが、カエルの話をしていた時、その流れで『横滝』『桃洞横滝』に話が及びました。実はこの滝の滝壺周辺にはある時期ビックリするほどのアズマヒキガエルが集まってくるのですが、まさかその話で盛り上がろうとは思ってもいなかったので驚きました。
 いつもは通過する場所で立ち止まってみる!いつもとは違った時間に行ってみる!誰かと一緒に歩いてみる!自分はまだまだ知らないことがイッパイあるなとしみじみ感じます。。と言うことは知ったときの喜びをイッパイ経験できると言うこと!!ワクワクしてきました^^


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2011年11月15日ツキノワグマとブナの実

秋田 足利 直哉

 ちょっと前になりますが、岩手県大船渡市で被災された自治体職員の方とお話をする機会がありました。その時、当時の様子を色々と伺ったのですが、今は別の地域へと異動となったその方が現地の方々を思い浮かべながら『今頃はちゃんと休日に休みが取れるような状況になっているといいのだけれど・・』とおっしゃった言葉がずっと頭から離れません。。




 はい。最近野鳥に関する記事が続きました。まだまだお伝えしたい事はあるのですが、今日はちょっと鳥から離れて森の中で見つけた話です。


 先月21日の記事『熊棚 今年はミズナラに・・』では「今年は秋田県内のブナの実が凶作なので今期はミズナラの木に熊棚を多く見かける」と言った内容の記事を書いたところですが・・・すっかり葉が落ちて上空視界が良くなった森を歩いていると確かにミズナラの木に高い割合で熊棚があることが分かるのですが、よくよく見るとブナの木にもミズナラと同じくらいとはいいませんが、結構な数の熊棚を見つけることが出来ます。


 ブナの木に熊棚が集中していたエリアを見上げてみました。その周囲のブナの木にも熊棚があってこのエリアには何度も何度も足を運んだんだろうな~と思えるほどの密度です。

 今期のブナの実は各方面から聞こえているように『良くなかった』と言えそうですが、その中にあっても多くの実をつけたブナもあったようです。
 森吉山鳥獣保護区内にはそうしたエリアのまとまりがいくつかあって、熊棚が見つかるとその周囲にはもう何本かを見つけることが出来ます。広い広いブナ林では凶作のエリアと並作から豊作に近いようなエリアもあったようです。
 特にたくさんの熊棚が集中していたエリアではこんな物を見つけました。

 お食事中の方にはスミマセン。。






 ブナの実の外皮がびっしりと詰まっているツキノワグマの糞です。これほどまでにブナオンリーの糞は初めて見ました。
 これまでに何度もツキノワグマの糞は見つけていて、その時々の旬の食料を集中的に食べたことをうかがわせる均質の糞を多く見てきましたので、ブナの実でもこのようなことは起こるであろうとは想像できていましたが・・・やはり実際に目の前にすると驚きます!!きっとこの糞の主はお腹イッパイになるまでブナの実を食べたことでしょう。


 この時期になってもまだツキノワグマの目撃情報は減りませんし、立ち入る人間が少なくなってきたので、むしろツキノワグマが残した痕跡は目立つようになっています。まだまだ警戒を緩めることは出来ません。お出かけの際には十分にお気をつけください!!


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2011年11月14日ミヤマガラスの頭掻き 

秋田 足利 直哉

 業務のため所管地に向かっていると各地で忙しく『冬支度』が行われています。公園のトイレや東屋が閉鎖され、神社仏閣などの雪囲い、庭木の雪囲い、道路の防風柵設置、タイヤ交換作業等々。皆さんは冬の準備は万端ですか?

 

 野鳥たちが日常的に行う行動に『頭掻き』があります。いずれの野鳥も爪は先端が鋭く尖っているので、その爪でひっかいたら痛いんじゃないかな?なんて心配もしますが、頭掻きをする野鳥たちはとっても気持ちよさそうです^^

 先日、カラスの群れを観察していた時の事・・採餌場所では【ミヤマガラス】もハシボソガラスも一緒になって餌を食べていたのに、休憩のためか防風林に戻ってくる時には、ハシボソガラス達はハシボソガラスが集まる木に集合し、【ミヤマガラス】達は【ミヤマガラス】が集まる別の木に集まって過ごしていたので、同じように見えてもやっぱり仲間意識ってあるのかな?なって思いながら観察していると1羽の【ミヤマガラス】が頭掻きをしていたので、観察してみました。

 この頭掻きはそれぞれの野鳥の体型や特性によって趾に頭を近づけ行うスタイルと翼越しに趾を持ち上げて頭を掻くスタイルとがあるようですが、【ミヤマガラス】は後者のスタイルで、これを『間接頭掻き』と言うそうです。


 真ん中の個体が結構長い時間頭掻きをしていました。


 私から見て遠い方の足を使っていたのでちょっと分かりにくいかも知れませんので、トリミングしてみました。
 頭を傾けて掻く仕草はどことなく、私たちと似ているような気がして・・・そうしているうちに何となく、顔が浮かぶ人がいたり^^

 野鳥と私たち人間の外見は大きく違うかも知れませんが、じっくり観察すると、全く違う生き物とは思えなくなってきます(私だけでしょうか?)。今日取り上げた『頭掻き』に限らず、色々と私たちとよく似た行動もしますし、長く観察していると何となく気持ちが分かるような気がしたり・・・。

 私たちの周りに生息している他の生き物達をじっくり観察して、いろいろなことが分かってくると、その生き物の気持ちというか立場というか・・そんなことも意識するようになって、それが高じてその生き物の生活する環境に思いを巡らせることが出来たら・・・・・・。なんてことを考えた観察でした。


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2011年11月11日so cute

秋田 足利 直哉

 何とも慌ただしい一日。。11日と言えばあの震災が起きた日。2011年11月11日で1がズラッと並ぶなんとなく特別な日のような気がしますがあれから8ヶ月が経ったんですね。



 最近はガンカモ類の話題が続きましたが、今日もまたカモの話題です。
 現在、大潟草原鳥獣保護区の管理棟からはカモの群れとそれを狙う猛禽類が観察できる!という事は既にご報告しているところですが、今日はその中で最も小さな登場人(鳥)物である【コガモ】の普段の様子を取り上げました。

 大潟草原鳥獣保護区内の水辺は西部承水路にせよ、管理棟周辺に点在する池にせよ・・ほぼ一様に水深が浅いことからカモ達が好んで利用していて、管理棟周辺の池は主に採餌地として利用されています。
 皆さんご存じのように【コガモ】は日本に飛来するカモの中で最も小柄な種です。その【コガモ】が浅い水深の池でとってもキュートな姿勢で採餌する様子が観察できます。

 この場所で採餌する他のカモ達は場所によって顔から首を水中に差し入れるだけで餌のある場所に到達しているようですが【コガモ】はほとんど毎回逆立ちしているような姿勢で餌を採っています。


 【コガモ】のオス♂も・・


 【コガモ】のメス♀も・・


 時にはシンクロしながら・・


 【コガモ】達は警戒心が強いので建物の中にいても姿を見つけられると逃げ出してしまうのですが食事に集中している時だけはやや警戒心を解いてじっくり観察させてくれます。【コガモ】の腹部ってオス♂とメス♀で色合いや模様が違うんですね??

 厳しい自然の中で生きる【コガモ】。時に非捕食者となってしまうため常に命の危険を感じながら生活しているのかも知れませんが、時折見せるこのようなキュートな姿には自然と笑みがこぼれてきますね。



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2011年11月10日この個体を目印に

秋田 足利 直哉

 これまで数日、冬が足踏みしてこの時期としては暖かい日が続いたからでしょうか?今日の「平年並み」の気温でも随分と涼しく(寒く)感じました。いよいよ週間予報に「雪マーク」が見られるようになりました。


 
 いよいよ大潟でも『雁の季節』到来です。まだ定着とまではいかないようですが、それでもまとまった数が田んぼで採餌する様子が観察できるようになってきました。
 これまでに確認できたのはマガンとヒシクイ(オオヒシクイが主体)と【シジュウカラガン】です。今日はその【シジュウカラガン】の群れで見つけた特徴のある個体を取り上げてみました。


 実は・・広い広い水田地帯の中からガンを探すのはなかなか難しいのです。『あんな大きな鳥が見つけられないのか?』と思う方もあるかも知れません。大潟村に来られた方はご存じだと思いますが・・平坦な干拓地に延々と続く広い田んぼの中に茶色いガンを見つけるのは結構難易度の高い事です。

 この日は運良くコハクチョウの群れの中に【シジュウカラガン】を見つけることが出来ました。これはラッキーと言っていいでしょう!!今期の初観察がこんな好条件だったのでじっくりと観察しました。


 久しぶりの対面を懐かしむように、身体の大きさ、色合い、頭の形、嘴から額へのラインなどなどを一羽一羽チェックしながら見ていました。


 すると、他の個体とは色合い等が異なる個体を見つけました。



 中央に写っている個体がそれです。特に頬の白い羽のラインと範囲が違うんです。
 

 トリミングしてみました。運良く左右両方の横顔が撮影できたので合わせて掲載してみました。

 先ずは上の写真にのみ記した「黄色い矢印」ですが、こちらはかなり微妙な特徴です。【シジュウカラガン】に見られる白い首輪のようなラインが前側にごくごく僅かに見られるだけで、姿勢によっては全くないようにも見えます。これは観察する条件によって異なるので、軽く頭に入れておいていただいて・・・
 続いて上下についている「赤い矢印」にご注目ください。他の個体と比べて白と黒の境目が曖昧で、他の個体では滑らかなカーブを描くラインも不整です。
 もう一つ、これもまた上下についている「ピンクの矢印」にご注目してください。他の個体は頬の白い模様が下嘴側へと続いているのにこの個体は頬の部分で途切れていて下嘴側までは到達していません。

 更には首から上の黒い羽も他の個体のような真っ黒ではなく、光沢がない暗褐色をしています。晴天時に他の個体を比較するとその特徴もよく分かると思います。



 【シジュウカラガン】のみならず他のガン達も越冬のために日本にやってきてからも天候や採餌地の状況などによって随時移動します。私たちの感覚ではちょっと離れていると感じる新潟県や宮城県とを頻繁に行き来することも珍しくはありません。また大潟村周辺であっても何処に行って餌を採るのか分かりません。
 そこで!!この個体に注目してみてはいかがでしょうか??【シジュウカラガン】を見たらこの個体がいるかいないか?チェックしてもらって、もし確認できたならばその情報を共有して時系列で行動を知ることが出来るのではないでしょうか?

 例えば・・・○月○日までは小友沼を塒として使い、日中は大潟村の○区で採餌していた。その後○○県へ移動して○月○日まで滞在。なんて詳細な行動が判明するかも知れませんよ。

 

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2011年11月08日マガモ 換羽進行中

秋田 足利 直哉

 今日は二十四節気の『立冬』です。暦の上では冬が始まりました。周囲を見渡しても「冬の使者」と呼ばれる渡り鳥達の大群が見られたり、朝方は霜や氷が見られたり。白い季節がもうすぐそこですね。。



 冬に向けた準備は、越冬のために日本に渡ってきたカモ達もぬかりはありません。多くの野鳥たちが繁殖に向けて鮮やかな羽衣になるのは春から夏にかけてで、それは『夏羽』といわれたり『繁殖羽』と言われます。しかしカモ達はこれから恋の季節を迎えるので秋から冬にかけて他の多くの野鳥たちで言うところの『繁殖羽』へと衣替えをしオス♂は特徴的で鮮やかな羽衣へと変わっていきます。現在大潟村やその周辺の水辺では換羽進行中のカモたちの姿が見られます。

 少々混乱するかも知れませんが・・・カモ達の繁殖期も他の野鳥たちと同じように春から夏にかけてとなります。それなのに「これから恋の季節が始まるのか?」「ちょっと早すぎやしないか?」とも思いますがカモ達にとってはそれがスタンダード!!

 私ごときがここでカモの繁殖生態を書くのもなんですから、そこは大きく割愛しまして・・・
 秋が深まる頃、遙か北の地から続々とやってくるカモのオス♂はエクリプスと呼ばれる地味な姿(羽)でやってきます(完全なるエクリプスばかりとは言えませんが・・・)。エクリプスとは「光沢を無くした」という意味を持つ語だそうで、それを踏まえて観察すると『ほぉ~』と思ってしまいます。そして徐々に冬が近づくにつれ輝く恋の季節到来に向けてオス♂達は勝負服へと衣替えをしていくのです。
 

 一見するとまだまだ地味な印象の個体ですが既に換羽済みの箇所もあるようです。よく見るとエクリプスとはちょっと違いますよね?


 こちらの2羽は一見すると既に勝負服への衣替えが完了しているように見えますがよく見ると所々に茶色いエクリプス時の羽が残っているのが分かります。

 ここにあげた【マガモ】オス♂3個体は換羽の進行具合に違いがあるものの、いずれも「現在換羽進行中」です。各所で見かける【マガモ】ですが、今までのところまだ完全に換羽が終了している個体には出会っていません。
 
 そして換羽の進行似合わせて、間もなく勝負服を纏ったカモのオス♂達はパートナーを求めて求愛行動を見せるはずです!!去年はなぜかカモの求愛行動をほとんど見ることが出来なかったので『今年こそ!』との思いを強めています。【マガモ】だけでなくオナガガモやコガモの求愛行動も見てみたいですね!そのシーンが見られた暁にはここで報告したいともいます。


 と静かに決意したつもりでしたが・・・











 逃げられちゃいました。。警戒心の強いカモを観察するのはなかなか難しいですね。

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