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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

熊棚 今年はミズナラに・・

2011年10月21日
秋田
 この週末、秋田県内では各地でイベントが目白押し!!どれもみんな楽しそうなイベントで目移りしそうですが、ただお天気だけが心配です。楽しい週末を過ごすために、みんなで空に願いを届けましょう。 



 紅葉の盛りを迎え、赤や黄色の葉とその上に広がる青い空との対比が美しく、上を見上げながら歩く機会が増えていました。そんな時、歩きなれた歩道沿いに熊棚を見つけました。


 森吉山鳥獣保護区の多くはブナが主体の森です。今期秋田県内ではそのブナの実が凶作だそうです。となるとツキノワグマたちは主食にありつけない事態となります。そこでツキノワグマ達は今期ミズナラにターゲットを絞って餌を採っているようです。

 写真の中で枯れ葉が集まっている箇所は、この木に登ったツキノワグマが枝を折っては集めてドングリを食した痕跡です。


 森吉山野生鳥獣センター内の展示物に熊棚をイメージした(ツキノワグマは剥製ですし、ブナの葉も本物そっくりに作ってあるのでかなりリアルですよ!!)ものがありますので参考までに写真を掲載します。

 このイメージと今回の現物とが異なる点は2つ。一つは樹種の違い。イメージはブナですが、現物はミズナラ。そしてもう一つが・・・


 こちらを見て”ピン”ときた方はかなりツキノワグマの生態に詳しい方かもしれませんね。

 上に集められた枝と同じくらいの分量が木の根元に落ちていました。これはおそらく、木の根元にもう一頭ツキノワグマがいたことを示しているのだろうと思われます。つまり母熊が木に登ってドングリのたくさんついた枝を下にいる子熊に与えるために落下させたものでしょう。
 
 この写真の奥に橋が映り込んでいるように、この熊棚は歩道の直ぐ脇というか、もう枝は歩道の上に伸びています。そんな場所で木に登った大きなツキノワグマと木の根元にも小さなツキノワグマがもう1頭。2頭でドングリを食べていたのかと思うと・・・。

 きっとここでの食事の後は大満足で過ごしたのではないでしょうか?というのも・・目を皿のようにして残っているドングリはないか?と探してみても一つも見つかりません。また地面に落ちているものも同様に探してみましたが見つけられませんでした。。


 そこにあった枝を拾い上げて見てみると、歯形と思われる痕跡と器用にドングリの帽子部分を残して食べている痕跡がたくさん見つかりました。

 森吉山野生鳥獣センター周辺ではツキノワグマの出没があったり、目撃情報も多数寄せられたりと、今期は例年以上にツキノワグマに対する警戒をしてきましたしその対策も実施してきました。今回見つけた熊棚も森吉山野生鳥獣センターから歩き始めて5分もしないうちにたどり着く場所でした。県内では最近になってまたツキノワグマに襲われるという事件が起きています。野外で活動する際には今一度ツキノワグマに対する警戒心を引き締めて行動しましょう!!