ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2010年06月02日トチノキ 見頃です

秋田 足利 直哉

 6月1日より森吉山野生鳥獣センターが開館しています。今期も皆様のお越しをこころよりお待ちいたしております。



 さて、その森吉山野生鳥獣センターの周辺では樹上の大きな花が見頃を迎えています。その花はこちら↓。


 【トチノキ】です。
 この樹の葉は「掌状複葉」という掌を広げたような葉の付き方をするひときわ大きな葉で、実も栗に似た色合い&外見の大きな実です。更には花も大きくまとまっていて目立ちますから、車で通過していても直ぐに目に止まります。

 【トチノキ】はその花の咲く様子から「シャンデリアツリー」とも呼ばれています。しかし先日友人から『【トチノキ】は「シャンデリアツリー」って呼ばれているみたいだけど、シャンデリアってガラスが沢山ぶら下がった派手な装飾の電灯でしょ?この花は似てないよね?』と言われました。
 私自身はこの花を見て「シャンデリア」で納得していたのですが、確かにそんな見方も出来ますね?私たちが見かける「シャンデリア」は確かにイロイロと”ぶら下がっている”タイプの物が多いかも知れませんね・・・。

 さて、そこで「シャンデリア」がいつ頃から使われるようになったか?調べてみると、その起源は中世ヨーロッパの教会にあったローソクを灯して使う物にまで遡る事が出来るようです。今の「シャンデリア」のように天井から吊り下げられているのは同じですが、灯りがローソクなので沢山の「燭台」が集まっているような物を想像して貰えると良いかと思います。1本の軸に沢山の燭台が枝分かれしている感じ・・・で想像してみて下さい・

 現在の「シャンデリア」のような物が使われるようになるには電球の発明を待たなければなりませんが、これは1800年代の半ばを過ぎる事になりますから、”電球の発明よりもシャンデリアの出現の方が早い”と言うことになります。

 
 と、こんな事を考えながら【トチノキ】の花を見るとどうでしょうか? 


 1つの花序をアップにしてみました。大雑把に言えば”円錐形”でしょうか?”ぶら下がっている”タイプとは違いますね?


 さぁ、どうです??この【トチノキ】の花、「シャンデリア」に見えてきましたか??
 でもこれを見て「シャンデリアツリー」と言った人はどのタイプの「シャンデリア」の事を差して言ったのでしょうかね??



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2010年06月01日ツツドリの下尾筒

秋田 足利 直哉

 今週は気温が上がり夏らしい日が続いています。今日は道路上の気温表示が「20℃」となっていました。春も盛りを過ぎ夏が近いと感じさせます。


 愛鳥家の間ではカッコウや【ツツドリ】の鳴き声を聞くと『夏を感じる』と言われていますが、このところ巡視する度にカッコウの鳴き声を聞きますし、今朝は何故か?カッコウの鳴き声で目が覚めました。やはり『夏近し!』でしょうか?
 「ところ変われば、鳥変わる」と言うかどうかは解りませんが・・^^仕事中にツツドリやホトトギスの鳴き声を聞くと山の中に来ているという実感が湧きます。


 先日、あいにくの天気の中、私の前をカッコウの仲間が飛んでいくのが見えました。この仲間は鳴き声は良く聞きますがなかなか姿が見えない鳥で、特に山の中では見つけ難い鳥です。そんな鳥が私の目の前を横切っていったのです。直ぐに双眼鏡を持ち姿を捕らえましたが・・・カッコウなのか?【ツツドリ】なのか?はたまたホトトギスなのか?皆目見当がつきません・・・。
 しっかり双眼鏡では捕らえているのに・・・と焦り始めた時!『ホーッホーッ』と鳴いてくれました。
 鳴くまで待ちましたが、ホトトギスではなく【ツツドリ】でした。姿を見たのは随分と久しぶりのことでした。しかも撮影可能な範囲にいますから夢中でシャッターを切りました。しかしこんな時、どんな結末になるか?皆さんの予想通り・・・短い撮影に終わりました。


 撮影できたのはこの写真を含めほんの数枚・・・。しかも最後の写真は見切れて尾しか見えてないし・・・と落ち込んでいたら!!


 飛び去られた時にも気付いていました。「下尾筒が黄色い!」と・・・。実際にはバフ色くらいですから黄色ではありませんが・・・。


 ここで私の中で何か、スイッチが入った気がしました。というのは・・カッコウの仲間は野外での識別が困難な種として知られていて、余程のベテランでも姿を見ただけで識別するのは至難の業だ!と思っていたので、私的には野外での識別は匙を投げていました。ところが!!
 もしかして・・「下尾筒が見えたら識別が出来るのかも?」と思って、図鑑を片っ端から調べました。


 が・・・どの図鑑にもそんな記述はありません。ガッカリして、落ち込みましたが、何気なしに洋書の図鑑を見てみると!!!


 ありました!!それに関する記述が^^v思わずガッツポーズです!!
 原文のまま紹介します。


 1つは・・
 『COLLINS BIRD GUIDE 2nd EDITION』というイラストの図鑑ですが、【ORIENTAL CUCKOO】つまり【ツツドリ】の項にバフ色の下尾筒が描かれていてそこから矢印がのびて「much overlap with Cuckoo but a strong buff colour on the vent and undertail coverts, especially if also barred, is characteristic of Oriental」と説明されています。「Cuckoo」はカッコウの事で、「Oriental」はツツドリの事です。

 2つめは・・・
 『BIRDS OF EAST ASIA』というこれもイラストの図鑑ですが、同じく【ORIENTAL CUCKOO】つまり【ツツドリ】の項にバフ色の下尾筒が描かれています。そして解説文には「・・. Many Oriental have distinctly yellowish-buff undertail-coverts,lacking bars,but sometimes with distinct spots. ・・」との記述があります。



 確実に!と言い切ることは出来ませんが・・どうやら下尾筒が黄色味を帯びた色合いをしていれば【ツツドリ】の可能性がかなり高いと言えそうです。
 これで気分がのって観察記録をドンドン積み重ねたいところですが・・・【ツツドリ】とその仲間はなかなか姿を見せてくれません。早く、次の機会が欲しいのですが・・・いつになる事やら・・・

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2010年05月31日大潟草原のチュウヒ

秋田 足利 直哉

 最近、当事務所に『大潟草原に行きたいのですが・・・』と言った問い合わせが増えてきました。以前からガンの季節にこの種の問い合わせは数件あったのですが、最近は【チュウヒ】をお目当てにしたものが大半となっています。某テレビ局で大潟の【チュウヒ】を取り上げて放送がキッカケとなっているのでしょうか?


 そんな状況になっていますので、この日記でもたまには【チュウヒ】を取り上げようかな?と思いまして・・^^。


 大潟へ巡視に行くと【チュウヒ】との遭遇確率はほぼ100%です。私達はセンサス調査を実施しているので、どこで出会うかは決まっていませんが、一日の中でほぼ確実にその出会いは訪れます。
 普通に鳥見をするのであれば、移動しながら【チュウヒ】を探し回るよりも、じっくりと腰を据えて頻出ポイントで待つ方が確率が高まるような気がします。スタイルはそれぞれかとは思いますが、私としては『大潟草原鳥獣保護区の管理棟でじっくり待つ』事をオススメします。 



 管理棟からはヨシ原を低空で飛び回る【チュウヒ】を見ることが出来ます。


 こちらも頻出ポイントではありますが・・・場所の詳細を書くのは控えます(スミマセン)。



 他の猛禽類に比べても羽色の個体差が大きく、長年観察を続けている方々は『大潟のチュウヒは頭が白い個体が多い』なんて事も言います。私は他の地域を比べたことがないので、不確かなことは言えませんが、実際に観察していると確かに背中辺りまで白い羽をした個体をよく見ます。


 【チュウヒ】も他の鳥たちと同じように繁殖期を迎えています。繁殖活動を脅かすような事は絶対にしないでいただきたいと強く思いますが、翼を独特の浅いV字型にして緩やかなスピードで飛び回る姿とそこから急にハンターの顔に変わって獲物を捕らえる様子を是非観察していただきたいという思いは更に強く持っています。
 幸い、今週はずっとイイ天気が続きそうです。緑が鮮やかになってきたヨシ原の上空を飛び回る【チュウヒ】を観察・撮影するにはもってこいの条件となりそうですよ!!大潟でお待ちしてま~す^^。


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2010年05月28日大きくなれよ!

秋田 足利 直哉

 昨日はパンフレットの話でしたが、今日は写真。このところ、東北各地のアクティブレンジャー仲間が撮影したとっておき(?)の写真を見る機会がありました。流石に良いところで仕事してます!それが写真を見ても感じられるくらい・・・で、何故そんな写真を見ているのか?それはまた今度・・・(ここまで言ってまだネタばらしをしないのか?って言われそうですが・・・)  



 今日の日記も繁殖中の野鳥の話し。取り上げるのは【トビ】です。


 保護区の中にあってずっと観察していた【トビ】の巣で孵ったばかりの雛を観察することが出来ましたので報告します。
 この巣は私が知る範囲でも既に3年は継続して使われている巣で、実績もあります。今期、この巣に【トビ】の姿を初めて見たのは、4月1日。既に約2ヶ月を経過しています。その時既に巣の上で1羽の【トビ】が伏せていて、「まさかもう抱卵している?・・・そんなはず無いよね・・」と思って継続観察を始めました。その後いつまで経ってもずっと巣の上で1羽の【トビ】が伏せていたので、一体どのタイミングで抱卵を開始したのか解りませんでした。
 しかし5月の半ばを過ぎてから、抱卵中の個体に別の個体が餌を運んでくる場面を観察できたり、抱卵交代する場面を観察できたりしていたので、「順調にいってるんだな~」と思って過ごしていました。


 そして、遂に先日・・・。
 いつものように巣を見ると親鳥の姿がありません。「おやっ?」と思って双眼鏡で覗くと雛の姿が見えました。


 それがこの写真です。2羽までは確認できましたが全部で何羽いるのでしょうか?


 そうしているうちに親鳥が餌を咥えて巣に戻ってきました。早速雛に餌を与えているようでした。


 トリミングしてみると・・・蛙かな?と思うのですが口移しで餌を与えているのが解ります。
 こうした場面を見ると普段は精悍な顔つきに感じられる【トビ】がもの凄く子煩悩な顔つきに見えてくるから不思議です。


 雛は日に日に成長してあっという間に大人と同じくらいまで成長しますからこれからの観察が楽しみです。どうにかして足を運ぶ回数を増やしたいと思います。しかしこの時期は何かと・・・なぁ。


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2010年05月27日スズメ子育て中

秋田 足利 直哉

 このところ、業務で東北の国立公園や世界遺産地域、国指定鳥獣保護区やそれらがある地域のパンフレットを取り寄せていますが、どこも、どれも魅力的でついつい捲ってみては各地に思いをはせてしまう今日この頃です。どうしてパンフレットを取り寄せているのか?はまたの機会に・・^^



 以前、この日記でご紹介しましたシャッターの隙間に営巣していた【スズメ】を覚えていらっしゃるでしょうか??今日はその続編です。

 その後の観察で、前回の日記の時は営巣を始めたばかりだったようです。その時に運び出していたのは何だったのか?解りかねますが巣を構えるにあたって掃除でもしていたのかも知れません。
 あれから巣に近づきすぎないように気をつけながら観察を続けてきました。この時期は子育ての状況を詳しく観察しようと巣の上部にカメラを添え付けたり巣をのぞき込むようにして観察する方もいますが、鳥たちの心情を思うととてもそんな観察をする気にはなれません・・・。実際、何度その場へ行っても私の存在を警戒して親鳥が餌を運ぶのを躊躇するのを見ていますからね・・・。


 さて、話が逸れてしまいました。
 最近の親鳥たちは忙しそうです。両親共にひっきりなしに餌を巣に運んできます。しかもこの巣は入るのにちょっとコツが要りますから、毎回毎回、一苦労する様子が見られます。


 巣があるシャッターの前まで来ると脚を大きく前方へと引き上げます。シャッターの段差に爪をかけて身体を留めて・・・


 器用にもクルッと身体を反転させ、逆向きになって隙間の中へと潜り込んでいきます。
 この一連の動作で翼がブレーキの役目を果たしたり、バランス棒の役目を果たしたかと思うと畳んで隙間へと消えていきます。
 私が見ていたのはほんの数回ですが、これを毎回毎回繰り返して巣へ出入りしているのかと思うと本当に頭が下がります。



 中の雛の様子は良くわかりませんが、時々こうして中から雛がしたであろう「う○こ」を運び出します。その様子が↓こちらです。


 目測で100円玉くらいの大きさでしょうか?見た目は白いグミのようです。ゆるい液体でもなく、固い固体でもないのでまさしくグミという表現がぴったり!!(こんな事を言うとグミを食べる時に戸惑いそうですが・・・)

  
 こうして親鳥たちが一生懸命に子育てしていますから、もうすぐ巣立ちした雛を見ることが出来ることでしょう!見逃さないようにしないと!!なん言ったって【スズメ】の雛は可愛いですからね^^。

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2010年05月26日ツノハシバミ咲いてます

秋田 足利 直哉

 今日の秋田県内、一日の最高気温を観測したのが早朝!!その後気温は下がる一方で・・・低温注意報が発令されています。突然の寒さに、しまった暖房器具を引っ張り出してきた方もいたのではないでしょうか?
 花や鳥や虫たちには身にしみる寒さでしょうね・・・。


 さて、そんな時こそ花の話題。それも周囲の芽吹きに先んじて咲いていてそこだけ暖かく感じられそうな花をご紹介!

 早春の花と言えば・・・皆さんいくつか名前を挙げることが出来るかも知れませんが、足下に咲く花が多いような気がしませんか?カタクリやキクザキイチゲはその代表格でしょう。どうしても花が大きく色も鮮やかな花に目がいきがちですが・・・低木の新芽に混じって小さな小さな花が咲いていました。それがこちら↓。


 【ツノハシバミ】の雌花です。まだようやく咲き始めたばかりでしたが、濃ピンクの小さな花を見るとそこだけ”熱”を帯びて見えてきます。数日前に撮影しましたからもしかしたら今は見頃を迎えているかも知れません。
 とは言ってもあまりに小さな花ですから気がつく方は少ないかも知れません・・・。そんな時はこちら↓を目印にしてみてください。


 【ツノハシバミ】の雄花です。こちらもおよそ”花”のイメージからは遠い外見ですが、枝先にこうしてぶら下がっていますから目印にはもってこいです!!


 この【ツノハシバミ】は食用可能ですから、その実はご存じの方も多いかも知れません。英名をAsian Beaked Hazelといいます。
 スルドイ方は、「ん?Hazel?」と思ったかも知れません。そうヘイゼルナッツのヘイゼルです。私たちが食べるヘイゼルナッツはセイヨウハシバミという同属の植物の種子です。【ツノハシバミ】の実もやや似たような味がします(というか・・するそうです)。


 ところで・・・「花と実が一致しない植物」って意外に多くないですか?花の時は良くわかるけど、実がなる頃にはなんの植物だったか解らなくなってしまったり・・・、実がなるとお馴染みなんだけど花はどんなものか解らないってことありませんか??
 私にとって、数年前までこの【ツノハシバミ】がそんな存在でした。特徴的な実の付け方をする秋にはこれが【ツノハシバミ】だと意識できていてもそれ以前は全く気がつかない植物でした。




 『うん、そうそう』と共感して下さった方々。花を見るなら”今”ですよ。早速探しに行ってみてはいかがですか??


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2010年05月25日コムクドリの住宅事情

秋田 足利 直哉

 今は様々な野鳥の繁殖期です。そのせいか・・承水路の釣り人や、森の中のカメラマンなどの行動が気になってしまって、注意を促す回数が増えています。これまでのところ、皆さん好意的で、私の注意をよく理解してくださっているので助かっています。



 さて、今日は野鳥の繁殖活動について書きます。取り上げるのは、大潟で繁殖活動を始めた【コムクドリ】です。
 【コムクドリ】は春先になるとやって来る渡り鳥で、大潟では多くの【コムクドリ】が繁殖活動をします。しかし、近年大潟村では防風林の中に点在していた枯死木を伐採した為、繁殖に必要なキツツキの古巣などが絶対的に不足してしまっています。特に保護区やその周辺では顕著で・・・繁殖場所を失った【コムクドリ】が新たな繁殖場所として選んだのは・・・


 一つは「建物」です。農機具小屋であったり、車庫であったり、廃墟(?)であったり、建物に依存した繁殖行動をとるペアが何組もいます。


 このペアもこの建物を繁殖場所と決めたようです。具体的な巣が何処にあるのかは申しませんが、なんともはや・・・


 更に驚くのがこちら↓。「道路でよく見る筒状の物」です。


 上部が壊れた筒の中を伺っています。暫くすると巣材らしき物を運んできました。まさかこの場所で?と言葉を失ってしまいます・・・


 とは言え、直ぐに環境の変化に対応している適応力には感心させられます。また同時に我々の活動が野鳥達に与える影響の大きさも感じる事例です。
 キツツキの古巣にせよ、建物にせよ、他者に依存して繁殖場所を確保していく【コムクドリ】にとってみれば、大潟村には「まだまだ子育て出来る場所が豊富にある」と言えそうで、幸いと思っています。【コムクドリ】は逞しい野鳥ですね~。


 とは言え・・・野鳥の中には、かなり『神経質』な種もいます。また普段は柔和であっても繁殖期には警戒心が強くなっているのが一般的です。どうか、野鳥達の繁殖を脅かさず、温かく見守ってください。

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2010年05月24日後に気付いたこと <2題>

秋田 足利 直哉

 自分の仕事場で色んな機会に色々な事を見て、聞いて、調べて、感じることで他の地域のことも見えてくるものだなぁ~なんて感じている今日この頃です。
 と言うのも・・このところ、自分が仕事をしているエリアではなく仲間のアクティブレンジャー達の仕事場へ行く機会が続きました。私にとってお馴染みの場所もあれば新鮮な場所もあり色々な刺激を受けています。



 さて、今日は現地で仕事をしてきてその時に撮った写真を見てイロイロ調べていて気付いた写真を元にした日記<2題>です。


 先ずは【コゲラ】の話し。

 お馴染みの【コゲラ】は森吉でも大潟でも見ることが出来るキツツキです。このことで、平野部の林から奥山の森林までの広い生息域を持つことを体験的に学んでいます。
 これは森吉で忙しく採餌していた【コゲラ】です。暫く観察していると、自分の口にも餌が入っていたようですが、更に咥えて運んでもいたようです。そろそろペアのメス♀が抱卵している頃でしょうか?


 と、言うことはこの個体はオス♂なのかな?なんて思っていたのですが、事務所に戻って写真を見ると・・・


 やっぱりオス♂でした。
 野外では気がつきませんでしたが、かすかに側頭部に赤い羽根が見えています。もう繁殖行動に入っているんだと推測できたので、これからは繁殖の邪魔をしないようにしながら観察しないといけないな!とも感じました。




 次は【カタクリ】の話し。

 森吉のブナ林の林床は今、スプリングエフェメラルと呼ばれる早春の花々が見頃を迎えています。同じ森を何度も歩いているとおよそ、何処に何の花があるのか把握できるようになってきました。
 【カタクリ】は好きな花なので写真もちょっと多めに撮影しまし^^、この写真もいつもと同じ場所で去年と同じように咲いていたものをファインダーも覗かずに撮影したものですが、花びらが大きく後ろに反っていたので中心部にある模様がしっかりと見えて「こんな模様があったんだ~」と思いながら、写真をよく見ると、一匹のハチ(?)が写り込んでいました。と言うより、私がハチの食事を邪魔した形ですけど・・・。


 写真を見ることによって、【カタクリ】の「模様」もさることながら、そこに集まる昆虫の存在に気付くことが出来ました。彼らも厳しい冬を乗り越えて、新たな活動を開始していたのです。




 現地では「【コゲラ】が採餌していた」「【カタクリ】が綺麗に咲いていた」としか解っていませんでした。が、花も鳥も昆虫も次の世代へと命を繋ぐため一生懸命になっていることに気付きます。(私に現地での観察力が足りないからだと言われたら返す言葉もありませんが・・・)
 その事に気付くと、自然界には様々な生きものたちがいて、それぞれが懸命に活動している場なんだという、当たり前のことが当たり前に感じられるようになります。そしてその活動がこの先もずっと続いていって欲しいと強く感し、その思いがドンドン大きく膨らんでいくのを感じます。

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2010年05月21日オオジシギの眼

秋田 足利 直哉

 今日の秋田は朝から霧雨で視界が悪くなっています。本当ならば窓を開けて気持ちの良い風を取り込みたいところですが・・・ジメジメした空気がまとわりつくようで不快感を覚えます。



 さて、気持ちを切り替えて!
 野鳥観察をしていて見つけた「そうなのか!!」をお伝えします。今日は【オオジシギ】の話です。
 【オオジシギ】と言えば識別の難しいシギの中でも更に一段ハードルが高くなるジシギと呼ばれる仲間で、大潟にもコレとよく似た【タシギ】が確認できるためその居場所によっては識別に苦労しています。この日も草地にいて「どっちかな?」と時間をかけて観察していたのですがその際、面白いことに気付きました。

 先ずは↓こちらの写真をご覧下さい。


 【オオジシギ】の正面顔(ややズレてますけど・・)です。注目して欲しいのは眼です。左右に大きな黒目がパッチリと見えていますよね?


 続けて↓こちらの写真をご覧下さい。クリックで大きくなります。


 今度は【オオジシギ】の頭部を真後ろから撮影しました。やはり眼に注目してみてください。こちらでも左右に大きな黒目が確認できますよね?


 と言うことは・・・【オオジシギ】の視界ってどれだけ広いのでしょうか?我々は目の位置からして真後ろを視野に入れることは出来ませんが、【オオジシギ】は少々離れていれば真後ろも視野に入れることが出来そうですね?眼の付き方も我々は身体の全面についていますが【オオジシギ】の場合、身体の側面についているとい言えそうです。猛禽などの天敵に襲われる機会が多く、常に警戒を怠れない実情からこの様に進化していったのでしょうか?
 確かにこの眼では見えない範囲はかなり少なそうです。そしてこの目を使って実際に警戒している場面がこちら↓


 これは上空を通過したノスリを伺っている時の様子です。この時【オオジシギ】にはどの様に見えているのでしょうか?とっても興味があります^^。

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2010年05月19日【実施報告】野鳥観察会『大潟草原につどうアオサギと小鳥たち』

秋田 足利 直哉

 私にしては珍しく(?)実施から時間があいてしまいましたが・・・良く晴れた16日の日曜日、大潟草原鳥獣保護区にて野鳥観察会を実施しました。今日の日記はその時のもようをお伝えします。


 この時期、秋田では田植えの最盛期で超が着くほどの農繁期。山菜が豊富に出そろい、各行楽地ではようやく温かくなってきたこともあってイベント盛りだくさん。参加者が思うように集まらないのでは?と心配しましたが・・・野鳥観察には最適の人数が集まってくださり。じっくり、ゆったりとした野鳥観察会が出来ました。


 「大潟草原」の名前の元になったヨシ原で野鳥観察。オオジュリン、コジュリン、オオヨシキリ、コヨシキリなど名前もよく似た野鳥が何種も確認できました。


 見つけた野鳥は図鑑でおさらいします。講師を務めてくださった日本野鳥の会秋田県支部の方々が外見の特長や鳴き声の特長など詳しく説明してくれます。

 3人の講師をそれぞれ数人ずつの参加者が囲んで説明に聞き入ります。中でもこの日、お目当てのオオセッカの観察は一筋縄ではいきません。いつ、どこから飛び上がるのか解らないオオセッカに参加者さん達は大苦戦。でも講師陣の手ほどきで囀り飛翔するオオセッカを全員が観察できました。
 他にもウグイスやカワラヒワなどのお馴染みの野鳥もスコープで大写しで観察するとその意外な美しさに感激する参加者さんが多かったこと。思わず講師の口から『そう!これが野鳥観察の醍醐味なんですよ。』という言葉が。「知ってるつもり」でもしっかり観察すると意外な発見があるものです。私も改めてよく観察することが大切なんだと心にとめました。




 野鳥観察の後は村道のクリーンアップを行いました。参加者からは『あんなに綺麗な野鳥がいるのにゴミだらけだったら残念だからね~』という感想が聞かれました。全くその通り!!野鳥が棲む環境もキレイに保っていかなければなりません。



 最後になりましたが、ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。講師を務めてくださった日本野鳥の会秋田県支部の方々、ありがとうございました。皆さんの人柄がにじみ出ているこの和やかな野鳥観察会が大好きです。これからもよろしくお願いいたします。皆様のお陰で本当に充実した野鳥観察会でした。
 


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