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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2010年11月01日オオセッカの足環

秋田 足利 直哉

 このところ随分と日が短くなってきて、勤務時間内に事務所から窓の外を覗くと町並みの向こうに夕日が見えます。なので勤務時間が終わる頃には既に日は落ちて空は宵闇に包まれています。皆さんは秋の夜長をいかがお過ごしですか?


 このところなんやかんやとやることが多く時間が取れず(勿論言い訳です。ハイ!)・・・今日はちょっと時間を遡って夏の出来事をお伝えします。

 実は、今日書く日記は自分では書こうという気にならず・・お伝えしていなかったのですが最近、『そろそろあの【オオセッカ】の足環について書いたら?』とか『せっかくの貴重な事例なんだから書くべきなんじゃない?』とおしゃって下さる方々がいらっしゃいましたので、この場を借りて事例報告として書こうと思います。



 今期も大潟草原鳥獣保護区に【オオセッカ】が飛来しました。大潟草原鳥獣保護区ではかつてたくさんの【オオセッカ】が見られ、国内を代表する繁殖地でもありましたが、時の流れに植生の推移を任せていたところ、草原内が【オオセッカ】の好む環境からかけ離れていき、次第に生息数を減らし、一時期生息の確認も途絶えていました。
 それを平成13年度以降、様々な方法で植生の改善に取り組んで来ました。その甲斐もあってここ数年はオオセッカが長期間に渡って生息するようになり、今期ついに28年ぶりに繁殖が確認されました。
 これには関係者一同大いに喜び、これまでの取り組みに一定の手応えを感じているところです。


 今日、取り上げる【オオセッカ】はその繁殖に関わったオス♂の個体です。



 大潟草原鳥獣保護区の特別保護地区で囀り飛翔を繰り返す【オオセッカ】のオス♂の右足に足環を認めたのは6月の下旬でしたでしょうか・・・。
 初めて、足環を確認した日から「この足環に記されている文字を読み取れば大きな情報が得られるんじゃないか?」と思いはじめ、どうにかこの文字を一部だけでも読み取れないものか?と思いながら過ごす日が続きました。

 しかし、足環はそれ自体がとても小さな物です。小さな【オオセッカ】の足に装着されている訳ですからね。そこに記されている文字は更に小さな物です。どうにかならないか?とは思いながらも現実には、「無理かな~」と思いながら、他の調査にあたっていました。


 ある日のこと・・・その日は「○○の調査をする」予定でした。朝からその為に色々と準備をして、様々な下調べをしてその調査に向かいました。
 しかし、相手は自然界に生きる野鳥です。こちらの思うように事態が推移しないこともあります。その日も予定していた調査が出来ない事態になってしまいました。その日一日かける予定の調査が出来なくなって・・・複雑な思いを抱きましたが、切り替えて「せっかく時間が出来たんだから今日は足環に注目してみよう」と言うことにしました。


 その時に撮った写真がこちらです↓。








 何度も言いますが足環自体が小さな物なので、それを撮影するのはとても困難でしたがどうにか、運良く全ての文字を読み取る事が出来ました。写真をクリックすると拡大されますのでご覧下さい。

 この【オオセッカ】の足環には以下のように書かれていました。
1段目 KANKYOSHO
2段目 2AA JAPAN
3段目 80067

 これにより、この【オオセッカ】が何時何処でこの足環を装着されたかが解りました。
装着された日 2008年8月23日
装着された場所 青森県北津軽郡中泊町中里若宮岩木川

 そしてその時点では『幼鳥』で性別は『不明』とされていました。それが今回、大潟草原に飛来し、そこで繁殖に成功しました。


 この様に「観察・写真撮影」で足環の情報を読み取るという事例は少ないそうで、更に【オオセッカ】のような小鳥ではほとんどその事例はないのだとか・・・。


 長くなりましたが・・・以上報告でした。


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2010年10月29日”チュウヒありき”のお馴染みの光景

秋田 足利 直哉

 いよいよ10月も残り僅か・・・来週の月曜日はもう11月です。なんやかんやと忙しない毎日を過ごしているうちに・・・光陰矢のごとし。



 昨日の日記でこの時期は猛禽の観察が楽しい^^という話をしたのは完全なる前フリで・・・今日はそれを受けて【チュウヒ】を取り上げます。
 これまで何度か取り上げてきたカモが沢山飛来している時期の【チュウヒ】ですから、既にどんな内容になるのか想像が付いている方もいるかも知れません。お馴染みの光景といえば・・・
 そう!!【チュウヒ】が水辺のカモたちを追い回すあの光景です!!しかし、実際に生で見る時の迫力が私の腕ではお伝えすることが出来ませんので今回は断念しました・・・。この光景は一見の価値有りですから是非とも実際にご自身の目でご覧頂きたい。

 今日の日記は雰囲気だけをお伝えしようかと思います。


 承水路の上空を獲物を探しながら飛行する【チュウヒ】です。
 よく見ると顔の向きを忙しなく変えて獲物を探しながら飛んでいるのが解ります。この状態の時はそれほどスピードもなく、ある程度の高さを保って飛んでいますから私でも何とかフレームに納めることが出来ます・・・。

 が!!獲物を見つけたときなんでしょうけど・・・スピードも上がりますし、かなりの低空飛行になるので背景に紛れて見失うこともしばしば。
 そんな時は水辺にいるカモの群れが【チュウヒ】から逃げて右往左往する様子が観察できます。

 こういった時はコガモが特に敏感に反応します。より身体が小さいから【チュウヒ】の狩りの対象になりやすいのかも知れません。それより大きなカルガモやマガモたちは【チュウヒ】が頭の上を飛んでも反応しない事もあります。でも以前、【チュウヒ】がマガモのオス♂を捕食しているのを見ましたけど。その模様はこちら


 話はコガモの動きに戻りますが・・・既に数千羽規模に飛来が確認できるコガモ達ですが、実際には数羽~数十羽くらいの群れが各所に観られるので全部が一斉に飛ぶということにはなりません。いずれ水面が凍結したときには大きな群れが移動する場面が見られると思いますけど・・・。しかし、カモの群れの上空を【チュウヒ】が飛ぶとコガモだけがぶわっと飛び上がって逃げ回る様子は天敵の多い種の宿命のようなものが見えるような感じがします。

 とは言ってもなんとなくですが・・・コガモ達も【チュウヒ】が恐ろしいから必死で逃げているか?と言えばそうでもないようにも見えます。どちらかというと「恐ろしいから」というよりは「鬱陶しいから」逃げるみたいな感じです。

 同じ猛禽類でもオオタカが襲ってきた時は緊迫感が違います。ある場所から入念に獲物を探し、”これ”と決めた獲物目がけて一直線に猛スピードで飛んでくるオオタカが襲ってきた時には、全ての種のカモが逃げますし、一糸乱れぬ連帯感で大きな群れが激しく移動しますし、そのスピードも段違いです。オオタカから逃れるために水面に逃げ込む時も決してスピードを緩めず、水中目がけて飛び込みます。その光景はあまりに早く、一瞬の出来事なのでとても私ごときがカメラで追えるものではありません。


 では【チュウヒ】に追われたコガモがどんな感じで水面に逃れてくるかというと・・・・


 こんな感じです。スピードも控えめで、こうして滑り込むようにして着水します。これは実際に【チュウヒ】が追い回したコガモが着水する場面です。どうですか?緊迫感は感じられますか??


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2010年10月28日ノスリが増えてきた

秋田 足利 直哉

 紅葉前線が山から里へと下りてきて街の街路樹も色付き始めました。最近は通勤時の車窓からも季節の移ろいを感じることが出来ています。事務所の窓から見える木々も赤や黄色に色付き始めています。やっぱり秋田は秋が一番イイ!!と感じている今日この頃です。



 

 と言う前段とうって変わって・・・今日は【ノスリ】を取り上げました。


 先日、南の池近くの電柱で近くの草地を見下ろしていた【ノスリ】です。

 『大潟村ではトビよりノスリの方が多いかも知れない』と愛鳥家の皆さんがおっしゃるくらいお馴染みの【ノスリ】ですが、最近はいつにも増してその姿をよく見るようになりました。

 【ノスリ】が渡りをすることは既にご存じのことと思いますが、恐らくは越冬のために渡ってきて大潟村で過ごしている個体がたくさんいるので”増えた”と感じるのかと思います。実際フィールドノートを見ても確かに確認している羽数が増えています。

 今、大潟で観察できている【ノスリ】は越冬のために渡ってきた、或いはその移動の途中の個体のようです。つまり春から夏にかけて繁殖していたあの個体と今見ている個体は違う【ノスリ】なんですね。




 観察していると・・・何だか最近は愛想の良い(?)個体が多く、写真も比較的苦労せずに撮れたりします。気のせいかも知れませんけど・・・繁殖期はどの【ノスリ】も警戒心が強く、神経を尖らせているからなのかも知れませんね。


 これからは【ノスリ】も含めた猛禽類の観察が面白くなる季節です。例えばあそこのオオタカや、あの辺りのチュウヒ・・・もっと寒くなると更に色んな種類が観察できます。いや~楽しみですね^^

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2010年10月27日初雪の日の出来事

秋田 足利 直哉

 昨日からテレビや新聞で報道されている通り、折からの冬型の気圧配置で一気に冷え込んだ北日本各地から初雪の便りが聞かれ、各地の高い山では初冠雪が記録された昨日、森吉山にも初冠雪、森吉山麓高原で初雪を観測しました。


 私もこの日記で昨日、お伝えしたところですが今日は画像付きで、今日の様子も含めてお伝えしようかと思います。

 昨日、森吉山野生鳥獣センターに向かう途中、秋田自動車道を降りた頃から雨が降り出し、これは寒い一日になりそうだと少々憂鬱に感じながら車を走らせていました。
 山間部に入り、一層寒さを感じながらどんどん標高を上げていくと雨粒が霙(みぞれ)状に変わりました。更に標高を上げると霙が白くなり雪へと変わり始めました。およそ500mまで上がったときには道路にも雪が見られ、紅葉し色づいた木々も白い雪を被った状態でした。
 

 森吉山野生鳥獣センターの建つ地点の標高は645m。たっぷりと水分を含んだ雪に一面覆われていました。





 駐車場に着くと、意外なほど車が駐車されていました。見るとほとんどが県外ナンバーで関東圏、関西圏の地名も見られます。タイヤをチェックすると8割ほどがいわゆる夏タイヤで、スタッドレスはごく僅かでした。天気予報は更に悪化することを伝えています。この車両が全て無事に帰着出来るのだろうか?と不安が過ぎりました。

 入山者の目的は大体察しが付きます。恐らくはこうでしょう・・・。

 「天気予報は東北や北海道の山間部では雪が降るでしょうと伝えている。となると・・・途中までは安心して車を走らせて行けて、目的地には雪が降っている。これは撮影の絶好のチャンスだ!!!」

 きっと目的地は桃洞滝でしょうからそこへ向かって歩いていけば三脚に添えたカメラを担いだ方々に次々と出会うはず・・・そう思いながら歩いていきました。
 すると予想通り次々とカメラを構えた方々に出会います。その時、雪は降り続け、どんどん激しくなってきています。それでも撮影に夢中な方々に『道路は既にシャーベット状の雪が積もっています。』と現状を伝え、安全に帰着で出来るようにくれぐれも無理をしないようにと注意を促しますが・・・・。


 中には、私の忠告を真摯に聞いて下さる方もいますが、大半の方々は私の声が右の耳から入って左の耳から抜け出ているのがハッキリと解るような対応でした。


 紅葉と雪のコントラストなんて滅多にあるチャンスじゃない!!
 渓谷の美しさと紅葉とだけでも足を運ぶ価値があるのに、それに雪が加わって居るんだからこれを逃すわけにはいかない!!と言うのが言い分のようです。

 このチャンス(?)の為に遠くから車を走らせて方々には、雪は想定内。帰り道の運転が緊張を強いられるのも覚悟の上。なんだそうです・・・。

 でもタイヤは夏タイヤ。ウェアは雨具のみで防寒対策も甘い・・・私の声は届かない・・・。


 急激に寒くなったときの寒さは体が慣れていないから、いつにも増して身に凍みるもの。シーズン最初の雪道は通い慣れた道であっても極度の緊張を強いられるもの。雪国に住む私からしてみればそんなリスクを冒してまで・・・と思ってしまい『撮影に夢中になるあまり身体が冷えて低体温症になったり、帰り道で車がスリップして事故を起こしたり・・・そんなことがあっては迷×$※%#・・』という言葉が出かかりましたが飲み込みました。





 森吉山麓では昨年、雪があるため通行を禁止しているコースに入り込んだアマチュアカメラマンが足を滑らせて命を落とすという事故がありました。彼らの言う『滅多にないシャッターチャンス』を目指して行った果ての不幸な事故でした。
 普段であれば気軽に散策できるコースも雪が降ると一変します。なんてこと無いはずの箇所が思わぬ難所になったりもします・・・・。「いつもと同じ」ではないんですよね。
 


 私たちはそんな不幸な事故はもう2度と起こって欲しくないと強く思っています。その事だけは声を大にして言いたい!!


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2010年10月26日ざっと2万

秋田 足利 直哉

 今日は森吉山麓で初雪を観測いたしました。普段であれば大体この時期に森吉山の初冠雪を見て「もうそろそろあの雪が麓にも降りてくるんだな~」なんて思いながら気持ち的にも冬に備えていくのですが、今日は森吉山の初冠雪と森吉山野生鳥獣センター周辺の初雪を同時に観測しました。その画像は後日の日記で・・・



 さて・・・今週は初雪やら飛来の確認やら色々とイベント(?)が多くて何を取り上げて良いのやら?と迷ってしまいますが今日は予定通り(←何の?誰の?というツッコミが聞こえそう・・・)大潟村内で確認した【マガン】の群れを取り上げます。

 既に何度も書いているかも知れませんが、大潟村にガン達が飛来するのは国内の主な飛来地から飛来情報が聞かれた後、遅れて飛来する傾向にあります。今年も近くの小友沼に飛来した【マガン】が4万に達したとか・・伊豆沼と蕪栗沼を合わせると8万くらいになっている・・・なんて各地の飛来情報を羨ましく聞いていましたが、先日大潟村北部の承水路脇の水田にざっと2万羽の【マガン】が採餌しているのを確認しました。
 羽数や場所からして小友沼を塒としている【マガン】の群れが採餌場所として大潟村にやって来ているものと推測されますが、それでもこれだけまとまったガンの姿を見るのは今季初でした。


 甲高い鳴き声を上げながらやって来る【マガン】達。


 警戒心の強い彼らは人通りのある道路から直接見えないような場所を選んで降り立ちます。
 この時も水路に沿って生えているヨシがブラインドとなる田んぼにまとまって降りていました。

 この時期はまだまだ色んな場所に多くの落ち穂があってある意味食べ放題のような気もしますが、彼らは自分たちの安全を第一に考えて行動しているのが解ります。そんな彼らに安心して採餌してもらい、その後ゆっくりと休憩できるように私たちは配慮していかねばなりませんね!!

 
 さてさて、今年はガン達の渡りにも大きな変化が生じているようで・・・未だにヒシクイの姿を見ていません。聞くところに寄れば、ほんの数羽は【マガン】の群れに混じって姿を見せているようですがまとまった飛来情報は未だ耳に入ってきません。『今年は紅葉も遅かったから、ガン達の飛来も遅くても不思議はないよ』なんて声も聞きますがその真相が気になるところです・・・。


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2010年10月25日マヒワの群れ

秋田 足利 直哉

 今期初めて「雪」を見ました。それも昨年降ったものや万年雪ではない正真正銘のつい先日降った新雪。とはいえ・・・ところどころに僅かに残っているだけでしたけど・・・。
 でもこんな小さな情報でもソワソワし出す人がいるんじゃないかな??そう言えば今週の天気予報には「雪マーク」がお目見えしましたね??もうそんな時期ですか~。



 さて・・先週までは会議やらなにやらでいつもとは違った環境で仕事をしていましたが、今週からは通常業務に戻ります。なんだか久しぶりに双眼鏡とスコープを使ってしっかりと鳥を見た気がします。この時期はちょっとご無沙汰のつもりがたくさんの出会いを棒に振ってしまうことに・・・。その分、今週は多くの野鳥達との出会いを報告できたらな!と思っています。

 早速今日は、西部承水路で調査をしている時『黄色と白の小群』を見つけました。地元の方々の軽トラで道路を通る度にぶわっと群れで飛び立ちますが、直ぐにまた戻ってきて採餌をしていました。


 その小群は【マヒワ】の小群でした。鮮やかな黄色の個体もいれば、淡い黄色の個体も・・・。白に褐色の縦斑が明瞭な個体もいれば、全体が淡い色彩の個体も見られます。

 きっと北の彼の地で繁殖した【マヒワ】が生まれたばかりの幼鳥も引き連れて移動している最中だったのでしょう。私との距離はほんの数メートルでしたが、それでもお構いなしで花の種子を一心に啄んでいました。

 この花は結実はしていたものの、種が見える状態までは成熟していなかったようですがそれを無理矢理嘴でこじ開けて中の種子を貪るようにして啄んでいました。よく言われることですが・・・渡りには想像以上のエネルギーを使うから中継地ではたくさんの餌をしっかりと食べて体力を回復して、その先の長旅に備えているんだと言うことがその行動から伝わってくるような食べっぷりでした。



 普段見られないような野鳥達の行動を観察できるのは渡りの時期ならではですが、彼らを直ぐに見送らねばならないのがちょっと寂しいです。でも大潟にもたくさんの冬鳥達が到着していましたよ!!彼らとは暫くお付き合いすることになるでしょうから、この日記にも度々登場して貰うとしましょう!!


 

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2010年10月22日首を長くして待ってます

秋田 足利 直哉

 夜になると暗闇の空からハクチョウ達の鳴き声が聞こえてくるようになりました。秋田県内でもハクチョウの飛来が確認され、『冬の使者到着』なんて見出しも見られます。



 そんな季節を待ちわびている(?)ハクチョウ達が大潟村とその周辺にいます。1羽は翼を怪我して飛べなくなったオオハクチョウ、もう1羽はやはり翼を痛めて骨が見えているコハクチョウ。どちらも成鳥で南の池や西部承水路、その周辺の田んぼで元気に過ごしています。

 この時期、群れで渡ってくる仲間達のように大空を飛ぶことが出来なくなった彼らはこの地域を「終の棲家」に決めたのでしょうか?それぞれお気に入りの場所があってそこで羽繕いをし、のんびりと過ごしている姿を見るとなんだかホッとしたりもします。
 そんな彼らも時々「いつもの場所」から姿を消すことがあります。歩いての移動しか出来ないはずですからそんなに遠くまでは行っていないはずと思いきや・・・よくこんなところまで歩いてくるな~と思ってしまうほど遠くで見つかることもあります。

 そんな機会に触れる度に、彼らも色々な場所へ旅をしたいのかも知れないな~と感傷に浸ってしまうのですが、最近は続々と仲間のハクチョウたちが上空を移動していっているのが彼らの目にも入っているはず!!上空を飛びながら挙げている鳴き声が彼らの耳にも届いているはず!!
 それを彼らはどんな気持ちで見ているのか?聞いているのか?私には想像するしかありませんが・・・


 いつ来るかも解らないのに待つってツライよね?
 もうそろそろ来るはずだと思いながら過ごす時間って長く感じるよね?
 自分の存在に気付かずに通り過ぎていくのを見送るのはツライよね?


 それとももっと前向きに捉えているのかな??


 怪我をして飛べなくなってしまった彼らにはお互いにパートナーもいません。きっと日々の生活も心細いものでしょう。危険を感じ、一人(一羽)神経をすり減らしているのかも知れません。


 南の池の【オオハクチョウ】
 

 西部承水路脇の水田の【コハクチョウ】

 大潟村やその周辺で2回目の夏を過ごした彼らは、仲間達がやってくる冬を首を長くして待ちわびているように見えるのは私だけでしょうか・・・・。

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2010年10月20日クチベニタケ

秋田 足利 直哉

 このところ、この日記をご覧になって下さっている方々とお会いする機会が続き、「あの時の記事は面白かったね~」とか「あの時書いていた○○を見てみたいんだよね」などなど・・・たくさんの『声』を聞く機会に恵まれています。そう言った反応は本当に嬉しいですし、励みになります。逆に以前はご覧になっていただけていた方から反応を頂けなくなったりすると悲しくなります。



 さて、そんな一喜一憂がある中でもいつも通りに日記を書いていきます。今日取り上げるのは【クチベニタケ】です。このところキノコの話題がヘビロテですね?


 【クチベニタケ】の発生状況です。このキノコは暗くジメジメした場所が好きなようで撮影するのに手こずります。この日も天気が良くなかったとは言え、シャッタースピードが遅くなりがちで手ぶれのオンパレードでした(涙)。


 この【クチベニタケ】は先日の観察会でもネタとして使わせていただきました。その際、地元で使われている面白い地方名を聞きました。
 その名も『ぷっぷぅたけ』だそうです。どうしてこんな名前になったか想像できますか??


 この【クチベニタケ】はホコリタケの仲間で、成熟すると外皮の一部が破れて中からホコリ(胞子)が出てきます。その様子が『ぷっぷぅ』なんです^^。ホコリタケの外皮を突くと”ぷっぷぅ”と煙が出ますよね???なかなか親しみを感じる名前ですね!

 でも個人的に、この【クチベニタケ】を見ると連想してしまう物があって、最近はもうそれにしか見えなくなっています。



 それは・・・・一星球(イーシンチュウ)。色といい、中央の”星”マークといい、もうこれしかないでしょう?どうです?あのピラフが持っていた球ですよ^^。



 と言うわけで「ぷっぷぅたけ」もなかなか良いのですが個人的趣味で「一星球(イーシンチュウ)」に1票!!


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2010年10月19日【実施報告】 自然観察会『紅葉の安の滝を訪ねる』

秋田 足利 直哉

 このところ「データの整理をちゃんとしておけよ」とか「観察記録をきちんとまとめておくように」などと忠告される事が続きました。確かにごもっともな忠告なので、耳が痛いのですがこれが私にとって難しい作業なんですよね・・・。そろそろ「時間が無くて・・・」という言い訳も厳しくなってきました。そもそもそんな言い訳自体が見苦しいとは解っているのですが・・・。




 さて、先日の日曜日、森吉山野生鳥獣センター運営協議会主催の自然観察会を実施してきましたので報告します。

 週末の天気予報は『曇り一時雨』。しかも午後から雨の確率が高いという・・絶好の行楽日和とはいかないようだ。でも安の滝紅葉は今が良い時期だし・・。かと言って雨に濡れながらの観察会じゃ・・・。
 と、色々なことが頭を駆けめぐりながら日曜日早朝、奥阿仁の名瀑「安の滝」を舞台とした自然観察会へと向かいました。

 集合場所の打当温泉前に到着した時には青空が覗かれ、明るい兆しが見え、どうにか観察会は出来る!と安心して受付を設置し、参加者の皆さんを待ちました。

 今回の観察会は初めて奥阿仁での開催となり、参加者の募集に際しては不安もありましたが蓋を開けてみると予想以上の申し込みがあり・・最終的には定員の2倍ほどの申し込みを頂くこととなりました。しかしながら現地は駐車スペースも限られ、歩道も狭いのでどうしても人数を制限せざるを得ず・・。多くの方々の期待に添えられずに心苦しい思いがありました。
 それでもいつもより1つ班が多い体勢で観察会を実施。講師には鳥獣保護区管理員や地元ガイドの方々にお願いし、そこに私が加わりました。
 

 参加者の大半は「安の滝に行くのは初めて」という方々で、言葉や表情や行動から楽しみにされているのがビンビン伝わってきます。地元の方々も『同じ北秋田市に住んでいるけどなかなか機会がないからね』ということで申し込まれた方もいました。我々講師、スタッフとしてはその期待に添うように様々な話題を盛り込んで案内をしなければならないと気を引き締めて望みました。
 

 空はやや暗くなってきて・・・不安を感じながらのスタート。歩道沿いの随所で観察&解説しながら歩いていきます。
 個人的には色々と頑張って解説をしていたのですが、時々「私の解説を聞くよりも綺麗な紅葉を眺めて貰った方が余程印象に残るんじゃないか?」と感じ、眺めの良い場所では暫く黙って景色を堪能してもらいもしました。
 でもやはり雨が気になって・・・皆さんは雨具をお持ちなっているので心配ないように思いますがこの時期に雨に当たりながら長い時間を過ごすのはなかなか厳しいことです。
 早く安の滝を心ゆくまで眺めていただきたい!しかし雨に濡れながら歩くのも出来るだけ避けたい!こういう時ってどうするのがベストなんでしょうかね?


 やはり途中で雨が降ってきてしまいました。濡れる前に早めに雨具を装着する時間をとります。
 滝がもうすぐ目の前に現れてきました。周辺の紅葉と相まってなかなか見応えのある景観です。この眺めの前で言葉は無用かも知れませんね。
 今頃何人かの方々はこの時撮った写真を携帯の待ち受けに使っているんでしょうね!!


 雨が降っていましたが時間をとって撮影して貰いました。この後、更に歩を進めて滝の直下まで行ってきました。数日分の雨を湛えた安の滝はいつもより水量が多く、大量の水飛沫を上げて荒々しい姿を見せてくれました。参加者も大変喜んでくれたようです。

 滝を眺めるには雨もまた重要なエッセンスとなって眺めに彩りを与えてくれるんですね。シトシトと雨が降る中、豪快な水しぶきを浴びて見上げた滝の姿の何と印象的だったことか・・・。







 今回の観察会で今期、森吉山野生鳥獣センター運営協議会が主催する自然観察会は終了しました。参加して下さった皆様ありがとうございました。今後の予定は未だ未定ではありますが、きっと観察会は継続していくだろうと思います。来期以降も多くの方々にご参加いただくことを願っております。


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2010年10月18日見向きもしない(?)キノコ アラゲコベニチャワンタケ

秋田 足利 直哉

 この日記で「行楽の秋」「実りの秋」をお伝えしていますが、秋にはその他にも色々とやりたいことが多くて困ってしまいますね。
 先日は知人のギャラリーに足を運んで「芸術の秋」も楽しんできました。自然を題材にした木版画や水彩画に囲まれた空間はもの凄く居心地が良かったです!!



  
 さて、今日の日記もキノコの話題ですが、私的にキノコは観察素材ですから、皆さんがあまり目を向けない類のキノコを取り上げて、「食べられるキノコ」以外のキノコにも目を向けて貰えたらイイかな?と思っています。

 取り上げるのは【アラゲコベニチャワンタケ】というキノコです。里山、奥山に限らず山の中を歩いていると「湿った倒木」を目にする機会があります。この【アラゲコベニチャワンタケ】はそんな場所で見られるキノコです。


 発生の様子。倒木に赤いウロコがあるかのような発生の仕方をします。遠くから見ても目を引く色彩なので見たことがある方も多いかも知れません(あまり気にはしていないでしょうけど・・・)。


 ぐぐっと寄ってマクロ撮影してみました。
 私の場合はどうしても名前は漢字にした方が理解しやすいと感じてしまうのですが・・・私が調べた中では【アラゲコベニチャワンタケ】を扱っている図鑑に漢字表記が無かったので、これからは私の想像ですが・・・。
 アラゲ=粗毛、コ=小、ベニ=紅、チャワン=茶碗、タケ=茸と分解します。「ベニチャワンタケ=紅茶碗茸」は間違いないでしょう。その前段も多分合っていると思うのですが・・・その根拠として↑の写真をご覧下さい。
 茶碗の縁にあたる場所に短い剛毛が見えるかと思います。それが不規則にある小型のキノコですから「アラゲコ=粗毛小」となるのではないか?と言うことです。ですから【アラゲコベニチャワンタケ】を漢字で表記すると【粗毛小紅茶碗茸】となるはず・・・?。



 先日参加したある観察会で『不知不愛』という言葉を聞きました。「その対象のことを知らないとそれを愛することは出来ない」と言うことだそうです。確かに実感として私自身もその生き物のことを知れば知るほど引き込まれていく気がしています。もっともっと色んな生き物のことを知れば、自分の周りの自然のこと、環境のことにを知るキッカケになるのではないでしょうか?



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