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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2011年01月26日冬のカワセミ

秋田 足利 直哉

 通勤電車の中を見るとマスクを付けていらっしゃる方々が増えてきました。周囲からもインフルエンザで体調を崩したという話を聞きますが、秋田県内ではインフルエンザが「流行期に入った」そうです。自分で出来る予防をしっかりとしていきたいですね。


 はい。今日の日記はちょっとした報告です。

 一昨年から冬期間に1~2回程度【カワセミ】を観察する機会がありました。それも水辺がほとんど氷に覆われる厳冬期に・・・・。

 【カワセミ】は水中に棲む魚やその他の生きものを主な餌としていることから結氷して水面が減少する時期にはより南の地域へ移動していて厳冬期の大潟村には生息していないと思われていたようです。ところが西部承水路や南の池が結氷している時期に僅かに見える水面近くに【カワセミ】の姿を見たのです。

 考えてみれば・・水面が開けている場所が極々限られている地域を生息場所とするのは得策では無いと思われます。生きていくためには餌の確保は絶対条件ですから、より条件の整った場所へ移動するというのはごく当たり前のことでしょう。
 念のために付け加えますが・・・私の見間違いと言うことはありません。写真こそ撮れてはいませんでしたが【カワセミ】を見間違うということはありません。

 そして今期。例年よりも更に厳しい条件にも関わらず【カワセミ】が継続して観察できています。観察できる場所もほぼ一定ですから現在も定着していることは間違いありません。先日ようやく証拠写真を納めることが出来ました 


 雪の重みで倒れたヨシの穂先が最近お気に入りの「止まり木」です。この下の水路の中に獲物を探すのが日課のようです。



 私から見たら現在の大潟村はほとんどの水辺が結氷していて餌の取れそうな場所はほとんど無いと言っても良いと思うのですが、そんな限られた水辺であっても【カワセミ】が生きていくのに充分な餌の確保が出来るんですね。この水路ってそんなにたくさん魚がいるのかな??


 以上:大潟村には厳冬期も【カワセミ】が生息しているという報告でした。


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2011年01月25日野鳥と野鳥が暮らす環境の観察会Part2

秋田 足利 直哉

 年始からずっと続く寒波と大雪の為、通勤電車の運休が1回、80分の遅れが1回、30分程度の遅れを2回経験しました。だからでしょうか?最近は10分程度の遅れには全く動じなくなりました。我ながら困ったモノだと思いますけど・・・自然や状況に対応するしかないかと思うので。



 はい。今日は一日間を開けてしまいましたが観察会の実施報告です。

 先の日曜日、先週のPart1に引き続き『野鳥と野鳥が暮らす環境の観察会Part2』今回のサブテーマは『どうして大潟村の田んぼにはたくさんの野鳥が集まるの?』と題して実施しました。


 ガンやハクチョウたちは余程大潟村の田んぼが気に入っているらしく、例年この時期にはハクガン、シジュウカラガン、マガン、ヒシクイ、オオハクチョウ、コハクチョウとたくさんの種と羽数が田んぼで採餌する姿を観察することが出来ます。秋田県は全国有数の”米どころ”ですから田んぼは県内各地に広く存在するにも関わらず、どうしてこれほど迄に大潟村に集中するのか?もしかして田んぼにその秘密があるんじゃないか?と考え、田んぼのことは農家に聞くのが一番!!ということで大潟村で専業農家小林氏を講師にお招きして、「田んぼのシゴト」と題した講話を頂き、一年間の仕事の流れの中で”野鳥や野鳥が暮らす環境への配慮”等を織り交ぜながら貴重なお話しをしていただきました。


 昨今、『農家の方々は作物だけでなく環境も作っている』と言われますがそれをダイレクトに実感できるお話しには参加された皆さんも興味津々、我々スタッフも含めてたくさんの質問が出されました。



 その後、実際に田んぼなどフィールドに出て野鳥観察です。今期大潟村は長引く寒波と例年以上の積雪に覆われ、残念ながらいつものようなガンやハクチョウの大きな大きな群れがいません。それでも早朝から方々駆け回ってガンの群れがいる場所を下見してくださった野鳥観察の講師の方々のお陰で田んぼで採餌するマガンとヒシクイの姿を観察することが出来ました。


 講師を努めてくださった日本野鳥の会あきたの方々が詳しく識別ポイントを説明してくださったり、野鳥達が何を食べているのか?解説してくださって参加された方々も熱心に観察していました。



 普段は探さなくても野鳥の姿を見ることが出来る大潟村も今はなかなかたくさんの野鳥達を観察できる場所がありません。そんな中、南の池にはいつもカモの群れやサギの小群がいるので今回も観察ポイントとしました。


 寒い風が吹き付けていましたが、参加された方から『どうしてカモたちは氷と水の境目に集まっているんですか?』や『サギたちはどうしてこの寒い中ジッとしているんですか?』と言った質問が出されるなど野鳥達の見た目だけではなく、習性、行動、好む環境等にも興味関心が向いていたようです。



 
 この日、観察できた野鳥は21種類。いないいないと言いながらも21種類もの野鳥を観察できるのも大潟村のもつポテンシャルの高さでしょうか?そのポテンシャルとは農家の方々が作物だけでなく環境も一緒に作っているからこそのモノなのです!!きっと参加された方々も同じ思いなのではないでしょうか?
 

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2011年01月24日氷上のオオワシ

秋田 足利 直哉

 秋田県内各地から雪の便りが聞かれます。特に内陸南部湯沢や横手周辺の大雪は近年にない程の量だそうですが意外にも・・・大曲や田沢湖等は例年同時期よりも雪が少ないんだそうです。秋田市内も大潟村も例年よりも多いのでてっきり秋田県全体が大雪に見舞われているのかと思ったのですが・・・。
 でも例年よりも少ないと言っても、そもそも豪雪地帯ですから降っている雪の量はかなりの大量ですけどね。 



 私が大潟で仕事をする際、いつも通る場所の近くに【オオワシ】観察ポイントがあります。例年であればオジロワシが時々観察できる場所なんですが今期はどういうわけか?【オオワシ】がかなりの高確率で観察することが出来ています。


 この日は遙か遠くにポツンと大きな黒い鳥の姿が見えました。これだけ離れていても肩の白い羽と黄色い嘴が眼に飛び込んできます。身体の大きさだかでなく纏っているオーラもそうさせるのかと・・・


 野鳥観察をされる方々には「憧れの鳥」「逢いたい鳥」というのがいるかと思うのですがこの【オオワシ】はオジロワシと並んで人気の高い野鳥のようです。管理棟に情報収集に来られる方々も【オオワシ】やオジロワシに逢いたいと足を運ばれた方が多くなっています。
 勿論そんな時には必ずこの場所お教えさせていただいています。そう言えば先日、鳥獣保護区管理員さんが教えたポイントで【オオワシ】に逢えたとわざわざ報告に来てくれた方がいたと嬉しそうに報告してくれました^^
 


 身近な場所に、こうした”憧れの野鳥と野鳥と逢える場所””逢える確率の確率の高いポイント”がある幸せ!!存分に感じていますv^^v


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2011年01月21日氷上のハヤブサ

秋田 足利 直哉

 大潟草原鳥獣保護区管理棟の水道が凍結してしまいました・・・。氷止めもしていただいていましたし抜かりは無かったのですが水道もトイレも水が出ません。皆さんのところは大丈夫ですか?



 今日現在、大潟村をぐるっと囲む旧八郎潟の残存部は一面凍結します。今期は低温の日が続いていますから例年よりも凍結範囲が広くなっていて広い水辺が広い広い氷原になっています。

 その氷原は猛禽類の観察スポットとなっています。私も時々堤防に上がって氷原を見渡しながら大きな鳥の姿を探すのですが・・・先日南部の氷原を見渡した時、思いがけない猛禽の姿を見つけました。


 これがその時の写真です。本来であればオオワシかオジロワシが見られることを想定していたのですが、それに比べると随分と小さくて、ずんぐりとした体格に見えました。
 パッと見たときにはノスリかな?と思ったのですがよく見ると胸部から腹部にかけて明瞭は縦斑があります。しかも顔には俗に言う「隼髭」が見えています。


 トリミングしてみるとやはり【ハヤブサ】の幼鳥でした。
 【ハヤブサ】といえばシュッとした瞬発系競技のアスリートのようなイメージを持っていましたが、この時は羽を膨らませて一回り大きくなっていましたから格闘技系のアスリートのような佇まいでした。

 時々ファインダー越しに目が合うような感覚があるのですが、その眼光の鋭さにはハッとさせられます。
 この【ハヤブサ】幼鳥、恐らくは獲物になりうるモノを見つけてその様子をうかがっていたのだと思いますが、辺りを見渡すと近くには7~8羽のミコアイサの小群がいました。
 時々視線を送っていたので狙いはミコアイサでしょうが、【ハヤブサ】からしたらこの群れを飛び上がらせる必要があります。逆にミコアイサからすれば飛び上がらずに潜水すればかわすことが出来ます。お互いに得意とする”動き”が出来れば充分に勝算があるはず!!

 この両者の様子を見守りたかったのですが、此処に私がいたのでは双方に要らぬ神経を使わせそうだと思ったのと、余りの寒さに我慢できなかったので退散しました。


 【ハヤブサ】にしてみれば本来、氷上で獲物を探したり捕らえたりというのは得手では無いはずでず。もしかして【ハヤブサ】に狙いを絞られたミコアイサ達以上に追い込まれていたのは【ハヤブサ】だったのかな?なんて思ってみたり・・・。


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2011年01月20日気がつけばハクセキレイ

秋田 足利 直哉

 今日は大寒らしい空気に包まれています。1年で最も寒い頃だそうですが・・まだまだこれからもこれくらいの、或いはこれ以上の寒さは続くはずです。それにしても・・・秋田の雪は横に降る!!


 はい。こんな天気の中、野鳥達の姿を探すのは大変な作業です。そもそもこの大寒波が襲来したため冬の渡り鳥たちは南下してしまい、ガンやハクチョウの姿は探してもなかなか見つからないほど・・。猛禽類たちの姿もいつもより少ない気がします。

 そんな中でも元気なのが小鳥たち!!最近は小鳥たちの観察がメインになった感じがします。その中でも何処に行っても、いつでも逢えるのが【ハクセキレイ】です。

 
 小鳥たちに逢うにはある程度場所というのが決まってくるのですが【ハクセキレイ】の場合は何処に行ってもその姿を見つけることが出来ます。


 この水路の上、周辺はお決まりの場所。ほぼ確実に会うことが出来ます。

 この他にも管理棟周辺。道路。スーパーの駐車場。公園などなど様々な場所で見かけたり、あの鳴き声を聞いたり出来ます。


 最近では水辺でもその姿を見かけます。こんな氷と水の境目は彼らのお気に入りの場所らしく、承水路でも港でも川でも見かけます。

 氷と水の境界にはどんな餌があるんでしょうか?かなり頻繁に嘴で摘み上げて何かを食べているのですがその正体が分かりません・・・。いずれにしても他の鳥達がいなくても【ハクセキレイ】だけはかなりの頻度で観察可能です。きっとそれはこうして色んな場所で餌を得る術を持っているからではないでしょうか??



 昨日のハシボソガラスといい、今日の【ハクセキレイ】といい、いつも見かける野鳥達はこの寒気の中であっても喰うに困ってはいないようです。


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2011年01月19日蓮の実を食べるハシボソガラス

秋田 足利 直哉

 あちこちから雪に悩まされている悲鳴のような声が聞かれます。私も雪寄せで身体が痛んできました・・・。今期は雪も降るけど特に寒さが身にしみます。痛んだ箇所の回復も遅い・・。そんな事を言っている今も横殴りで雪が降っています。 


 はい。こんな時は元気でたくましく生きる野鳥の話題から元気を貰っちゃいましょう。

 巡視を行った先日のこと。青空と吹雪&地吹雪が交互にやってくるなんとも仕事のしにくい天気でした。吹雪や地吹雪は数十分で止むのでそれをやり過ごす為に停滞を余儀なくされなかなか前に進めず、仕事が全く捗らずにいました。
 南の池の横の道路でどれだけの時間を過ごしたでしょうか?薄日が差し始めたので調査を再開すると、直ぐ横で【ハシボソガラス】が何かを食べているのが見えました。


 この辺りはシーズンになれば蓮の花が綺麗な場所。周囲に見えているのもその蓮です。
 大きなシャワーヘッドのような形をした種子の入っている部分を懸命にほじくったり、振り回したりしています。


 そうしてこぼれ落ちた蓮の実を大切そうに一粒咥えていました。【ハシボソガラス】が蓮の実を食べる機会はきっと稀な事だと思います。こうして池が氷に覆われてしまわないとそこに辿り着くことも出来ませんからね・・・。


 でも【ハシボソガラス】達は、蓮の実が食べられることも、どうすればその実にありつけるかも知っているのです。知能が発達していると言われるカラス達の知能の高さなのか?それとも経験値の高さなのか?



 積雪によって他の野鳥達が餌の確保に苦戦している中、【ハシボソガラス】達はこんなレアな食材をしっかりとゲットして食糧を確保していました。【ハシボソガラス】の生活力の高さに感心しました。

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2011年01月18日野鳥と野鳥が暮らす環境の観察会Part1

秋田 足利 直哉

 連日、雪と低温の日々が続く秋田県内。そろそろ寒の緩みを期待したいところですが週間予報にはずらっと雪だるまが並びました。中には斜めに傾いた雪だるまもあったような・・・。まだまだ雪かきの疲れが積み重なるかと思うと・・・ふぅ。


 はい。今日は日曜日に実施した、いつもとはちょっと違った観察会の様子をお伝えします。
 そのタイトルですが、普段であれば『野鳥観察会』としているところ今回は『野鳥と野鳥が暮らす環境の観察会』と題して行いました。サブタイトルを『野鳥の暮らしに思いをはせる2days』として2回に分けて野鳥を見るだけではなく、野鳥達を取り巻く環境や鳥獣保護の取り組みなどに触れていただいたいとの思いで、企画・実施しました。
 先の日曜日にはその1回目『鳥獣保護センターってどんなところ?』を実施しました。会場はこの観察会を共催していただいた秋田県自然保護課が管轄する施設で秋田県鳥獣保護センターとその周辺です。

 秋田県鳥獣保護センターは文字通り鳥獣保護に携わる機関で主に怪我をしたり弱ってしまった野生鳥獣を収容し、養生し野生復帰を助ける業務を担っています。


 今回はその秋田県鳥獣保護センターの職員の方に昨年度と今年度の12月末までに行った収容の実例を語っていただきました。
 日頃の業務の様子を生々しく語ってくださる職員の方のお話しを参加された皆さんは熱心に聞き、収容される鳥獣の数の多さと種類の多さに驚いた様子でした。



 続いて野外に出て里山とため池の野鳥観察です。「日本野鳥の会あきた」にご協力を頂き、講師を務めていただきました。


 野鳥と野鳥が生活する環境を観察するには双眼鏡がしっかり自分に合った状態でなくてはなりません。なので出発前に先ずは自分用に双眼鏡を調整します。


 準備万端整って観察を始めたのですが・・・耳を澄ましても・・眼を凝らしても里山の野鳥達との出会いがありません。これも自然界での出来事です。こんな時もどうして野鳥達の姿が少ないのか?このように荒れた天気の日が続くと野鳥達は何処でどのようにして過ごしているのか?思いを馳せていきます。


 ため池にはマガモを初めたくさんの水鳥達がいました。ここの特長は野鳥達との距離の近さ!!どういう訳か・・・?1羽たりとも逃げることなくこの距離で観察することが出来ます。
 肉眼でも充分に観察できる距離にいるカモ達を双眼鏡やスコープを使って入念に観察します。参加された方からは『カモの爪なんて初めて見た』とか『嘴の先に爪のようなモノがあるなんて初めて知った』といつもより身近で見られる利が存分に感じられる感想が聞かれました。

 いつもの野鳥観察であれば『あれが○○という鳥です』とか『あの△△という鳥はこういう特長があります』といった解説をするところですが今回は餌を得られる環境や天敵から身を守る事など野鳥の周りの環境に関する解説を多くしていただきました。


 ある参加者さんから『いつものような野鳥観察会もたくさん野鳥が見られて楽しいんだけど正直な話、数が多くなるとなかなか全部を覚えられないんだけど今回のように野鳥の名前や見た目だけではなくて生活環境や身体の仕組みについて教えて貰えると凄く興味を持てるし、印象にも残る。今日は○○○を教えて貰ってこれだけでも来て良かったと思う』と声をかけていただきました。この感想を頂けただけで今回の観察会は大成功です。


 次回も「来て良かった」と言っていただけるように精一杯頑張ります。ではまた次の日曜日にお会いしましょう!!



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2011年01月14日積雪多く、風雪吹き荒れる日の過ごし方

秋田 足利 直哉

 この冬は普段、積雪の少ない大潟村にもいつにない量の雪を降らせています。そして西部承水路や南の池でも結氷する時期が早く、しかも範囲が広くなっています。今年に冬は野鳥達にとって厳しい冬になっているようです。


 そんな厳しい冬を大潟村やその周辺に飛来しているガンやハクチョウたちは
どうやって過ごしているのか?見てきました。

 この日は最高気温がマイナスとなった真冬日。時折止み間があるものの吹雪に見舞われ、巡視も野鳥の生息調査も相当やりづらい日でした。
 それでも鳥獣保護区内を隈無く周り、更に周辺の状況を確認していてもガンやハクチョウの姿が見当たりません。いつもであれば田んぼに大きな群れが見られるのですが・・・風が避けられる場所にいくつかの小さな群れが確認できただけ。この悪天候を見越して宮城県などへ移動していたとしてもこれほど少ないわけがありません!

 と言うことは・・・



 ガンやハクチョウたちが塒として利用している場所へ行ってみました。



 某水辺の塒です。いつもより結氷範囲が広くなっていて僅かに残る水面とその周囲にオオヒシクイ、コハクチョウ、オオハクチョウの姿がありました。


 某田んぼです。こちらも一部のオオヒシクイ達が塒として利用しているのですが此処にも数十羽のオオヒシクイがジッと背眠した状態で過ごしていました。


 この2枚の写真からも解るように・・・この日は水面は氷に覆われ、田んぼは積雪に覆われ思うように餌を採ることが出来ない状態でした。
 ですから餌を食べるためには大潟村ではない何処かへ大きく移動するしかありません。僅かに移動したくらいでは氷や雪の状況は変わりませんから。なので多くのガン達はより南の宮城県や新潟県へと移動してしまったようです。今の大潟村にはその選択をしなかった主にオオヒシクイの一群だけが残っている状態です。

 そんな彼らはこの特に厳しい数日を乗り切る為に、餌を食べないかわりに体力をあまり使わない省エネモードに切り替えて過ごしていたのです。その為、塒から移動もせず、そこでもあまり動き回らずじっと、ただひたすらじっと耐えていたようです。


 天気予報は週末日曜日~来週月曜日にかけて秋田県内は大荒れになるでしょうと告げています。もしも!週末に大潟村やその周辺でガンやハクチョウたちを観察しようという予定がおありでしたら、ここ数日ひたすらにじっと省エネモードで過ごし耐えている彼らの健康を考慮していただけたら幸いです。

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2011年01月13日喉袋?

秋田 足利 直哉

 真冬日が続きます。寒いとそれだけで体力が消耗していく気がします。列車ダイヤの乱れが続きます。電車をひたすら待ち続けるのはこれまた体力の消耗が激しいです。更に除雪に労力を注ぎ・・・疲労困憊です。
 真冬日も秋田では珍しくもないし、大雪でダイヤが乱れるのは時々あることですし、除雪も毎年想定済みなんですけどね・・・。



 はい。元気出していきましょう!

 先日、巡視時に撮影した【ダイサギ】の写真を見てちょっと気になる部分を見つけました。


 ちょっと前に撮影した西部承水路にいる【ダイサギ】です。
 気になったのは赤い矢印の部分。下嘴の付け根から喉にかけて見える筋のようなモノ。


 拡大してみました。ついでに正面から見た写真も併せて拡大しています。どうやら筋状あるいは袋状になっているようです。

 ここで「ハッ」と気付いて以前、【ダイサギ】が魚を捕まえて飲み込む時に撮影した写真を確認してみました。


 【ダイサギ】は捕まえた魚を基本的に丸呑みします。その捕まえた魚が大きかった時、この喉袋(仮称)が威力を発揮していました!!

 ほっそりして見える【ダイサギ】の首は驚くほど柔軟に獲物の大きさに合わせて広がります。そして丸呑みした獲物は消化器官ですりつぶされるそうですが、先ずはその獲物を丸呑みしなければいけませんよね?


 こうして一度気になると過去のモノも調べたくなるのですが、当然ながら・・こうしたシーンは何度か撮影することが出来ていました。単にこれまで気付いていなかったというか、見ていても気にしていなかったと言うことでした・・・。

 いつまで経っても初心者的「観察眼」だな~自分・・・・

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2011年01月12日ヨシ原にチュウヒ

秋田 足利 直哉

 暴風雪警報が発令されている秋田市内です。今日は朝方から雷が連続で聞こえていました。「冬の雷」ってこれまであまり経験もイメージもないんですけどね・・。この時期の秋田は低い雲が立ちこめてるので雷雲が見えず。だから前触れも無くいきなり雷がやって来た感じがしました。怖いですね・・・「冬の雷」



 はい。こんな大荒れの天気の中、野鳥達がどうやって過ごしているのか?気になるところですが・・・今日は今や大潟を代表する野鳥となった感がある【チュウヒ】を取り上げました。

 【チュウヒ】は冬になると大潟よりも温かい地域へと移動していく個体がいる中で、数羽の【チュウヒ】が厳冬期の大潟村で観察することが出来ています。そして今年の冬は雪が多いので、大潟草原鳥獣保護区特別保護地区や村の各地に点在しているヨシ原は例年以上の雪に覆われて餌が採りにくくなるのでしょうか?【チュウヒ】を見るのは決まって西部承水路沿いのヨシ原です。

 この日も水路沿いに広がるの枯れたヨシ&ヒメガマ原にハイイロチュウヒのオス♂とこの【チュウヒ】がいました。


 雪ではハイイロチュウヒのオス♂が保護色になり、枯れヨシ&ガマでは【チュウヒ】が保護色になります。特にこの個体は頭部から肩部に白い羽が多くいっそうの保護色となっていました。

 飛んでいる【チュウヒ】を見る機会はそれなりに多いのですがヨシ原に佇む【チュウヒ】を観察する機会はそれほど多くはありません。この様な姿は積雪があってヨシやガマ等が疎らに押し倒されて見通しが利く限られた条件があってのことです。
 そんな滅多にない機会に遭遇したので、【チュウヒ】が飛び上がるまで観察することにしました。

 暫く見ていると、まるでフクロウのような動きをしました。
 身体を動かさずに首だけを回転させて周囲を伺うのです。【チュウヒ】の顔を見るとフクロウと同じように顔の周囲をぐるっと囲むような『顔盤』があります。この様な動きはこうしたフクロウと共通する身体的特徴に起因するものなのでしょう。観察していて『なんだかフクロウっぽい』と感じました。


 そんな観察をしているうちに・・・【チュウヒ】がソワソワと落ち着かなくなりました。咄嗟に『飛ぶっ』と思ってカメラを構えました。
 

 予想通り、飛び上がります。
 その動きは他のどの猛禽類とも似ていませんでした。もちろんフクロウとも違うようです。
 初動動作は跳躍に備えて身を屈めて、翼は広げるのではなく、肩胛骨を引き上げるかの如く上方へ。そしてその翼を縦方向へ伸ばすようにして広げて、跳躍と併せて一気に斜め上方へと飛び上がるのでした。


 これは引き上げて広げた翼を「ひとかき」した状態。つまりたった1回羽ばたく動きをしただけでこの高さまで飛び上がったのです。勿論周囲のヨシやガマを邪魔にすることもありませんでした。


 こうした動きは【チュウヒ】(とその仲間)にしか出来ないモノでしょう。なかなか見応えのあるモノでした。以前この日記でもヨシ原に消えていく【チュウヒ】を紹介しましたが脱出に際してはこの様な動きをしていたんですね!!草原の鷹としてその生息環境であるヨシ原で生活するために特化した【チュウヒ】の行動観察は毎回毎回驚きと発見が盛りだくさんです。



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