十和田八幡平国立公園 十和田
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2020年11月24日冬への準備2(高病原性鳥インフルエンザへの備え)
十和田八幡平国立公園 村田 野人
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
冬に向かって、十和田湖と八甲田山ではスキーやスノーボード、樹氷、しぶき氷、氷瀑など魅力的なモノがたくさんあります。
でも、冬にはあまり発生してほしくないこともあります。いわゆる高病原性鳥インフルエンザです。今回はそれに対しての準備業務の話です。
高病原性鳥インフルエンザは鶏など(家きん)で被害がでやすく、専門家から渡り鳥等の野鳥が関与している可能性があると指摘されていることから養鶏場における対策では野鳥が重視されています。また、海外では野鳥においても高病原性鳥インフルエンザの感染により数千羽に及ぶ大量死が報告されている種もあります。国内では20種類以上の野鳥において感染が確認されていることから、生物多様性の面でも重要です。
当事務所では、十和田、小湊、下北西部の3つの国指定鳥獣保護区の鳥類の生息状況調査※1と死亡野鳥等調査※2を担っています。
2つの調査のうち特に死亡野鳥等調査は、高病原性鳥インフルエンザウィルスの簡易検査を行う必要があり、普段触れることのない道具を使うため日頃から様々な準備が必要です。先日、改めて「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」※3を読み込み、調査の流れ、死亡野鳥の安全な取り扱い方法、適切な検体の採取方法、簡易検査キットの正しい使い方について復習しました。また、発生※4に備え調査用の資材(使用期限切れ、出動体制)についても確認しました。
今シーズン、家きんを除く野鳥では3件の高病原性鳥インフルエンザウィルス確定検査陽性の結果が出ており※5、例年以上に緊張感をもって準備しています。
※1 通常時の鳥類相を把握し、異常行動を示す野鳥や死亡個体の発見に努める。
※2 異常行動を示す野鳥や死亡個体を発見した場合に高病原性鳥インフルエンザウィルスの保有状況を調べる。
※3 http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/manual/pref_0809.html
※4 野鳥での高病原性鳥インフルエンザウィルスの感染または環境資料からの同ウィルスの検出を高病原性鳥インフルエンザウィルスの発生と呼ぶ(野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル3ページ「本マニュアルの目的」より)。
※5 2020年11月17日時点
<調査用資材>
2020年11月17日晩秋の十和田八幡平国立公園
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
大自然に抱かれ暮らし、仕事をしていると、
季節の移り変わりを知るのは暦ではなく、
肌で感じる空気や、目に映る色や、動植物の営みだったりします。
今年の気候をどのように感じとったのか、
十和田市焼山の駐車場に5月頃の花であるサツキの花が咲いていました。
〈朝方の雨に凍えそうなサツキが数輪〉
また、休屋には早春の花であるキクザキイチゲが一輪咲いています。
〈ひっそりと一輪だけ〉
植物達は自然界のあらゆる情報を全身でキャッチし、
巡り来る季節の準備をしているのでしょう。
休屋はイチョウが散らないうちに積雪となりました。
〈11/9の早朝〉
十和田湖では渡り鳥も増えてきました。
〈11/6 十和田湖畔休屋〉
〈11/8 十和田湖畔宇樽部〉
鳥達を眺めながら、
毎年同じ群れがやって来るのか、どこから来るのかなど考え出し、
湖畔で時間を忘れてぼんやりしている時もあります。
さて11月8日、自然公園財団十和田支部主催の
「奥入瀬クリーンハイキング」が実施され、
十和田発八甲田地区のパークボランティアの皆さんと一緒に、
晩秋の奥入瀬渓流の清掃をしてきました。
〈参加者45名のうち焼山集合の方々〉
朝は雨模様でしたが、作業を開始する頃には穏やかな小春日和となりました。
早朝の奥入瀬渓流の人出も車も少ない早朝は、せせらぎの音が身体の隅々にしみわたり
元気になるような気がしました。
こんな皆さんの様々な努力で、美しい奥入瀬渓流が保たれているのです。
〈晩秋の奥入瀬渓流〉
〈回収した後、自然公園財団の方が分別したゴミ〉
また先月になりますが、10月20日に業務で行った岩手山の様子をお伝えしたいと思います。
この時期にはめずらしく穏やかな天気で、終日無風の一日でした。
〈岩手山上坊登山口付近より朝焼けの岩手山〉
〈平笠不動避難小屋付近より山頂をのぞむ〉
〈外輪山よりのぞむ御苗代湖〉
〈山頂をめざします〉
〈穏やかな山頂〉
私は、30年もの間岩手山の麓に住み、
その姿を愛で、時には山頂を目指し、花を愛し、月や星を愛で、ご来光を拝むなど
沢山の恩恵を受けてきました。
岩鷲山、南部片富士とも言われる山は、特別な存在です。
父のようであり、恋人のようであり、
近くにいるだけで何とも言えない幸せな気持ちになります。
人生の中で、一番長く過ごした場所は、
私のコアな部分を形成しているとさえ思います。
〈帰り道でアスピーテラインから眺めた岩手山の夕景〉
現在は、十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田の山々の美しい風景に囲まれ、
また幸せな日々を過ごしています。
そんな幸せを感じる風景を皆さんにお届けできたらと思っています。
〈11/8 十和田湖畔宇樽部の紅葉〉
美しいものを多くの人にお届けしたくて、
通勤途中や業務中の一瞬を写真に残したいと思いますが、
伝えきれないものもあります。
寒さも加速度を増してくるこの時期、今しかない風景が待っています。
雪が降ると犬のようにはしゃいでしまう伊藤が、
これから冬ならではの風景をお届けしたいと思います。
〈11/13 雲海に浮かぶ中山半島と雪を抱いた南八甲田〉
2020年11月06日十和田湖畔で遊ぼう!
十和田八幡平国立公園 十和田 伊藤 あけみ
11月4日、標高600mの発荷峠は雪の朝でした。
〈11/4発荷峠の初積雪〉
休屋のこのイチョウに樹の葉が全て落ちると、休屋に雪が降ると十和田湖に来た年に教わりました。
〈並んで立つ樹齢200年以上のスギとイチョウ〉
イチョウの樹は今年はまだまだ葉を繁らせていますが、4日の早朝の湖畔は小雪がちらついたとのことです。本格的な冬を前に、イチョウが命を燃やしているように思えました。
昔々、十和田湖を訪れるのはとても困難を極めたそうです。
困難の先に最初にたどり着くのが休屋で、みんなここで一休みして、十和田神社にお参りしたとのことです。
詳しく知りたい方は、先日、村田アクティブが紹介していた、十和田ビジターセンターで行われている企画展「霊山十和田」をご覧になるのがおすすめです。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2020/10/post_57.html
今は、自家用車や公共交通機関で簡単に来ることができる十和田湖ですが、
楽しそうなアクティビィティが企画されていると聞いて行ってきました。
十和田湖自籠岩・空中散歩(VIA FERRATA ヴイア フェラータ)ツアーです。
(※)自籠岩(じごもりいわ):休屋地区に隣接する中山半島にあり、かつて
十和田湖を訪れる修験者が修行をしたといわれる場所
岩場の多い自籠岩までの歩道を、地上の植生を踏み荒らさずに移動できる
チロリアントラバースという方法で空中滑空したり、
人工的な設備を使って安全に岩場を登頂できるヴィアフェラータという手法で、
自籠岩へ登頂できるということです。想像しただけでわくわくしますね。
十和田湖畔の乙女の像の先から歩いて一時間ほどに位置する自籠岩は、
岩の多い歩道を歩いた先にそびえる湖面からの高さ40m、登り口からは20mの垂直の2段になった岩です。
江戸時代から残置してある鉄のハシゴは安全に登れる状態でないため撤去され、登れなくなっていました。
山頂からは休屋地区や、湖の雄大な景色が楽しめます。
説明はともかく、まずは実際に体験です。
〈体験開始前に道具の説明です〉
〈初体験、チロリアントラバース〉
〈中山半島の入り江と途中のハシゴ〉
〈自籠岩までの第一ステップと山頂〉
〈ずっと十和田湖を見守っている狛犬〉
〈自籠岩最上部から休屋をのぞむ〉
あっという間の2時間、もっと長くここにいたいなあと思いました。
〈いにしえに思いをはせながら賑わう湖畔を帰ります〉
11/8まで実施していますが、土日は予約でいっぱいとのことです。
下記を参照のうえお問い合わせくださるようお願いいたします。
2020年11月02日初冬の八甲田
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
標高が八甲田よりは低い蔦沼などが紅葉真っ盛りの10月24日、
渋滞対策の業務の後に、十和田八甲田地区のパークボランティア活動である、
八甲田薬師沢に残雪期の道迷い防止のために設置してある
ロープの撤去作業に同行してきました。
蔦沼は、デッキ上が立っていられないほどの強風が吹き荒れていました。
八甲田の山々の悪天候も予想されたため、活動中止も念頭に入れながら
酸ヶ湯インフォメーションセンター前駐車場に向かいました。
参加者4名の方が、既に登山の準備をされて待っていました。
悪天候のため活動中止も提案しましたが、途中下山も視野に入れつつ出発しました。
私は、参加予定の方を待ち、少し遅れて出発しました。
酸ヶ湯インフォメーションセンター駐車場には、車は少ないものの
登山の準備をして向かっていく方々が見受けられました。
地獄湯ノ沢から上部は風が強く、戻って来られる方数人とすれ違いました。
仙人岱で作業されているパークボランティアの皆さんと合流し、ロープを撤去し、
仙人岱避難小屋の地下に収納しておき、春の残雪期に再度設置作業をします。
〈仙人岱上部に張ってあるロープの撤去作業〉
作業は一時間弱で終わり、避難小屋で休憩して解散しました。
〈十和田八甲田地区パークボランティアの精鋭部隊〉
八甲田大岳の上空は雲が激しく流れていて、かなりの風が予想されましたが、
途中撤退覚悟で大岳に向かうことにしました。
〈薬師沢から小岳をのぞむ〉
アオモリトドマツの木々の綠、霧氷の白と、時折見える青空の色は、
冬の始まりならではの彩りです。
〈仙人岱避難小屋から八甲田大岳〉
森林限界から上は、時折立っていられないほどの突風で、
立ち止まって耐風姿勢をとる場面もあり、
慎重にゆっくり歩きました。
しかし、慣れた道は先が想像できるので安心感があるものです。
高山植物の凍り付いた様子や、霧氷の中で鮮やかに揺れるナナカマドの赤い実が、
とても美しく、寒さも忘れてしまいました。
〈薬師沢から大岳の途中にある鏡沼〉
山頂も変わらず風が強く、写真を数枚撮っただけで大岳避難小屋方面に下山しました。
〈八甲田大岳から高田大岳をのぞむ〉
〈八甲田大岳山頂〉
毛無岱を通って酸ヶ湯温泉に下山です。
〈大岳避難小屋に下りる途中からのぞむ毛無岱〉
名湯酸ヶ湯温泉に入りたいのは山々ですが、次の日も早朝業務ですので
早く帰って寝なければなりません。
八甲田の山々は一年を通して入山者がありますが、既に積雪もあり、
気温も氷点下に近い日もありますので、しっかりとした装備でお出かけください。
寒い日の登山は、下山後の温泉が格別ですね。
これからの季節は冬期通行止めの道路もありますので、情報収集が必須です。
冬も楽しい八甲田でお待ちしています。
2020年10月30日冬への準備1(田代平湿原歩道沿いの踏み外し防止ロープ撤去)
十和田八幡平国立公園 村田 野人
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
今回は久しぶりにパークボランティアの皆様と作業したので、その報告です。
今、十和田八幡平国立公園は紅葉の真っ盛りですが、紅葉の次は雪の季節ということで、国立公園に関わる事務所ではこの時期冬への備えが始まります。その1つが、歩道沿いに設置した踏み外し防止用のロープ柵の撤去です。国立公園にいらした利用者が、きれいな景観に目を奪われて危険な場所へ入って行かないように、入っていったために貴重な自然が回復不能なダメージを負わないように、歩道沿いのあちこちにはロープ柵が設置されています。そのまま冬を迎えてしまうと、雪の重みでロープが切れてしまったり、杭が折れてしまったりするので、来年も使えるようにこの時期に撤去し、きちんと整理しておきます。
当日、田代平湿原に八甲田地区パークボランティアの方が6名集まってくださいました。いずれもベテラン揃いで、作業内容は私よりも熟知しているくらいです。集まって数分も話せば、作業手順は決まってしまい、それぞれが回収する予定のロープ柵の場所へと向かいます。
田代平湿原は、八甲田山の北東側、田代牧野と温泉の中間にある湿原です。湿原には池塘が点在し、それらをつなぐように周遊する木道が設置されています。木道から見える八甲田山の景色はとても迫力があります。
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<田代平湿原の景観(青森市の工事により解説板と木道が新しくなりました!)>
パークボランティアの皆様はとても手際よく、杭とロープをまとめていきます。あまり手際がよいので写真を撮っている暇がありません。作業を開始して1時間ほどで、ロープ柵をすべて回収し、入り口の駐車場へ戻りました。
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<回収の作業の様子>
長年の経験から設置場所の地図と記号が書かれた札を回収したロープ柵につけてきちんと整理しています。これで来年の春の設置もスムーズに進みそうです。
2020年10月29日蔦沼に虹
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
蔦沼は十和田八幡平国立公園十和田八甲田地域の南に位置する、蔦七沼の一つです。
蔦沼周辺の山々の紅葉が、日が昇る短い間だけ、太陽に照らされて赤く見える様子が
「死ぬまでに一度は見たい絶景」とメディアで取り上げられ、
近年たくさんの観光客が国内外から訪れるようになりました。
特に早朝の時間帯は、蔦沼に設置してあるデッキに入りきらない人が、湿原に踏み込んで写真を撮ったり
駐車場に入ることができない車が路上駐車して通行の妨げになったりと、問題になっていました。
今年度、デッキの混雑防止、周辺道路の渋滞対策、環境保全のため、
またコロナウイルス対策を目的とした新しい試みとして、
紅葉の最盛期の蔦野鳥の森への完全事前予約制による入場制限と有料化を
10月22日~27日の6日間実施しました。
その6日間のうち4日間の早朝の時間の業務に従事してきました。
〈2018/10/22(月)早朝のデッキの混雑状況〉
〈2018/10/22(月)早朝 デッキ上は身動きできない〉
〈2018/10/22(月) 湿原にはみ出して撮影する人々〉
〈2018/10/22(月)の周辺道路の路上駐車状況〉
〈2020/10/22(木) エリアを区切って時間差での入場を行った〉
〈2020/10/24(土) 強風のためお客さんが帰ってしまったが、ゆったり見ることができた〉
〈2020/10/24(土) 蔦温泉に架かる虹:アニメのキャラクターみたいな木々〉
〈2020/10/25(月) 雪をいだいた赤倉岳と明日への希望のような虹の架け橋〉
〈蔦温泉が終焉の地である大町桂月像〉
十和田八甲田奥入瀬を世に知らせた一人である大町桂月は、
どのような思いで今の状況を見守っているのか、聞いてみたいと思いました。
「今の自然は、未来からの借り物」と最近どこかで読みました。
未来に生きる人々に、今の自然の素晴らしさを失うことなく伝えて残していく、
それが今を生きる私達のなすべきことなのでしょう。
何十年、何百年先も、この景観が変わることなくここにあってほしいです。
〈2017/10/26 初めてみた蔦沼の紅葉〉
〈2017/10/26 初めて見た朝焼けの蔦沼〉
2020年10月28日企画展忘れられたもう一つの十和田湖「霊山十和田」
十和田八幡平国立公園 村田 野人
今回は今年度3回目の企画展の紹介です。十和田ビジターセンターでは、令和2年11月8日(日)まで「忘れられたもう一つの十和田湖『霊山十和田』」を開催しています。
<ポスター:忘れられたもう一つの十和田湖『霊山十和田』>
十和田湖といえば、国内有数の観光地のイメージがありますが、実は十和田湖は信仰の歴史、鉱山の歴史、観光の歴史の3つの顔があります。今回はその中で最も古い信仰の歴史にスポットをあてた企画展です。
監修は、昨年、有識者の方(弘前大学斉藤利男名誉教授)との連名で十和田湖の信仰について本を出版した「十和田湖伝説の伝え方を考える会」に協力していただきました。地元有志の集まりですので、皆様本業がある中、時間を作って勉強会や研修会など盛んに活動されています。今回の企画展については、主に夕方以降集まって、十和田湖の信仰の歴史の基礎部分についてわかりやすい企画展となるよう議論を重ね、企画展となりました。
奥入瀬渓流などで紅葉を楽しんだ帰りに寄っていただければ幸いです。休屋は比較的に空いております。十和田ビジターセンターで企画展を見た後に、紅葉を愛でつつ、十和田神社や杉並木の参道を散策してみてはいかがでしょうか?
なお、十和田ビジターセンターでは、新型コロナウィルス感染症への対策を実施しております。お越しの際はマスクの着用をお願いいたします。
※企画展の詳細はこちら
タイトル 企画展忘れられたもう一つの十和田湖「霊山十和田」
主 催 十和田ビジターセンター運営協議会
監修・協力 十和田湖伝説の伝え方を考える会
協力 (一財)自然公園財団十和田支部
東北地方環境事務所 十和田八幡平国立公園管理事務所
日 時 令和2年9月17日(木)ー11月8日(日)9時ー16時30分
(毎週水曜日は休館)
場 所 十和田ビジターセンター
内 容 現在、十和田湖は多くの人が訪れ、観光地として有名です。しかし、かつて十和田湖は岩手県を含む南部藩全域から信仰を集める大きな霊場でした。十和田湖伝説の伝え方を考える会が有識者の指導の下勉強を重ね、明らかになった十和田信仰の様子を、歴史資料とともに紹介します。
問い合わせ 十和田ビジターセンター運営協議会
TEL 75-1015
FAX 75-1016
2020年10月21日十和田湖でワーケーションしませんか?
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
日ごとに紅葉が進み、観光客も戻りつつある十和田湖畔です。
〈大型バスが行き交う駅前広場に続く道の紅葉〉
コロナウイルスが社会的な問題になってから、
テレワーク、ワーケーションという言葉を耳にする機会が増えました。
自宅のパソコンで仕事をしたり、
ネット環境が整備されたリゾート地に滞在して仕事をしながら、余暇を楽しむ。
今後そんな生活が少しずつ広まっていくのではないだろうかと漠然と考えていました。
十和田湖畔にある十和田市の施設、「十和田湖観光交流センター"ぷらっと"」に
ワーケーションができる設備が整備され、その内覧会が行われるとのことで行ってきました。
〈報道関係者や地元の方を対象に行われた内覧会〉
"ぷらっと"は、観光案内のほか、生きた「十和田湖ひめます」の展示や
十和田湖の発展に貢献した人々の紹介、交流室を備えた観光施設です。
既に設置のWi-Fiに加え、会議に必要なテレビ、プロジェクター、ウェブカメラ、ヘッドフォンが完備され、リモート会議も可能になりました。有料なのは会議室の使用のみで、器材は無料で借りることができます。
〈ネット環境が整備された会議室〉
"ぷらっと"内には、十和田湖の風景を眺めながら仕事ができるデスクが4席、
外の広場に設置してあるテーブルでもインターネットが繋がりますのでリモートワークができます。
〈2階の館内席〉
〈2階オープンデッキ席〉
〈2階オープンデッキ席前部〉
〈ぷらっと前広場のテーブルでのリモートワークも気持ち良さそうです〉
十和田湖畔に宿泊しながら美しい風景の中で仕事をし、
天気の良い日は周辺の散策やアクティビティを楽しむ。
想像しただけでわくわくしますね。
毎日同じ時間に眺めても、日々移り変わる風景は飽きることがありません。
十和田湖は長期滞在してこそ、その素晴らしさを更に実感できると思います。
これから寒くなる季節ですが、冬しか会えない風景や
アクティビティを楽しみながらのワーケーションも素敵ですね。
ご興味の有る方は「十和田湖観光交流センター"ぷらっと"」に
直接お問い合わせくださるようお願いいたします。
http://www.city.towada.lg.jp/docs/2014072500014
季節の移ろいを感じながら十和田湖畔で過ごす時間は、
安らぎ、癒やしなど、身体ごと元気になる気がします。
早朝のみ出会える通勤時の風景をお届けします。
〈10/21朝 十和田湖畔の色づき〉
〈10/21朝 写真奥より 紅葉終盤の櫛ヶ峰 色づきはじめの外輪山と中山半島〉
2020年10月19日神無月の十和田湖畔より
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
あっという間に日照時間が短くなってしまい、
通勤時も退勤時も暗くなってしまう季節がやってきました。
八甲田に雪の便りを聞き、十和田湖畔も氷点下に近い気温の朝です。
昨日の八幡平は吹雪だったと山の友人から聞きました。
〈朝靄の桂浜とナナカマド〉
〈桂浜の朝:湖畔を黄色に彩るカツラの紅葉〉
通勤時に通る道すがら、
黄金色の稲穂が刈り取られた田んぼがパッチワークのように広がり、
その先に見慣れた山容の南八甲田の山々が見渡せました。
100キロ近く離れた南八甲田の山々が目に飛びこんできて、嬉しくなりました。
〈鹿角盆地から南八甲田をのぞむ:中央に櫛ヶ峰〉
〈赤丸内がうっすらと見える櫛ヶ峰〉
10月後半は、十和田八甲田奥入瀬周辺の紅葉が美しい季節になります。
その時期に合わせて、昨年までも渋滞対策の様々な取組が行われてきました。
今年度は新しい取組として、蔦沼の期間限定事前予約制および入場有料化が行われます。
期間限定の募集は終了し、期間外については予約は必要ありませんが、
蔦温泉駐車場は混み合うので、いつ行っても駐車できると限りません。
HPなどで十分な情報収集のうえ、おこしくださるようお願いいたします。
http://tohoku.env.go.jp/to_2020/post_261.html
その、蔦沼の歩道を定期的に整備して下さっている
十和田八甲田地区パークボランティの
歩道整備活動が14日に行われました。
〈歩道を塞いでいた朽ちたブナの倒木を移動させるパークボランティアの皆さん〉
歩道上の倒木やかかり木を手際良く処理してくださり、
快適に歩ける歩道になりました。
いつもありがとうございます。
朝日が昇り始めるわずかな時間に赤く染まって見える、
紅葉の様子があまりにも有名になってしまいましたが、
蔦沼周辺には巨樹も多く、近くで眺めると圧倒されます。
環境省の生物多様センターのホームページにも紹介されていますので、ぜひご覧になってください。
https://kyoju.biodic.go.jp/?_action=gtcontents&_command=modelCourse005
〈樹齢約300年、幹周り592mのトチノキ〉
樹洞が大きく開いていますが、まだまだ元気な木です。
〈樹齢約400年、幹周り457mの栗の木〉
栗の木は鉄道の枕木に使用されるため伐採され、全国的に巨樹は少ないそうです。
〈紅葉は始まったばかりの蔦沼:10/14〉
染まり行く山々の木々の彩りを眺め元気になったり、
やがてやって来る冬に思いをはせ、もの悲しくなったり、
秋の空のように心も揺れる季節です。
冬は寒いばかりではなく、雪が織りなす特別な風景が見られたり、
ウインタースポーツが楽しめたり、わくわくすることがたくさんあります。
十和田湖冬物語も今年は新たな試みが企画されているようです。
https://www.towada.travel/ja/news-events/towadako-festa-luce
美しく、楽しい冬を思い浮かべ、日々を過ごしてまいりましょう。


2020年もあっという間に師走になってしまいました。
十和田湖畔に来る前は、師走に突入したとたんに走り回り、31日の夜まで慌ただしくしていたのを、
ふと思い出してしまいました。
ここ十和田湖畔はゆるやかに時が流れているように感じますが、
きっと誰にも平等に、時間は過ぎていっているのでしょう。
各地の積雪情報や、最低気温とともに、スキー場のオープン時期についても気になる季節になりました。
さて、11月15日、十和田八甲田地区パークボランティア会員対象の研修会が行われました。
毎年、秋の研修会は環境省主催で行われ、春から研修会のテーマや講師の選定を始めます。
環境省パークボランティアの皆さんの活動は時折この場を借りて紹介させていただいていますが、
そんな皆さんがいつまでも元気で活動していくために、「山でのセルフレスキューおよびバテない歩き方」
というテーマで、登山ガイド、山岳看護士でもある熊谷久美子さんに
研修会をお願いしました。
研修に先立ち、環境省認定パークボランティアとして認定され、活動が15年にあたる方に対して
感謝状の贈呈が行われました。
十和田八甲田地区では12名の方が表彰対象となっており、
当日参加された9名に感謝状が授与されました。
15年の長きにわたり、十和田八甲田地区の自然保護や施設の維持管理等にご尽力いただき、
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
〈十和田八幡平国立公園管理事務所長より代表者に感謝状が贈呈されました〉
続いて、いよいよ研修会が始まります。
熊谷さんは最近講演依頼も増えており講話の内容を楽しみにしていましたが、数年来の友人で
知っている人であるがゆえに、自分も同じようにドキドキしてしまいました。
〈当日の資料より抜粋〉
令和2年度十和田八甲田地区パークボランティア
秋季研修会
日時:令和2年11月15日(日)13:00~15:00
場所:十和田ビジターセンター レクチャールーム
講師プロフィール
熊谷久美子(くまがいくみこ)氏
●日本山岳ガイド協会
東北マウンテンガイドネットワーク所属
●日本登山医学界 山岳看護師
●日本看護協会
●看護師歴30年
●秋田県総合保険事業団
メディカルコンシェルジュ
●ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン
野外救急法 国際資格 WFR
24年間、看護師として中通り総合病院で、救急、整形、がん医療に意欲的に関わっていたが、
一昨年の1月、突然「北アルプスの山小屋で働きたい」といった意欲が降って涌き、転職を決意。
春には退職し、山小屋で働く「山ナース」となる。
「山岳医学」や「野外救急法」を学び、実践するうちに、
がんばらない「山歩き」「山徘徊」が一番だ、と気がつく。
翌年には、日本山岳ガイド資格を取得。「バテない、転ばない楽しい山歩き」の伝導ガイドとして
活動の場を広げている。
現在は、登山ガイドのほか、介護ナース、ツアーナース、救護ナースなど多様な「働き方改革」を実践中。
今年度9月、山岳看護師認定
現 秋田県高総体登山部ファーストエイド講師
〈以上 当日の資料より〉
昨今、あちこちの山で山岳事故も多発しており、上半期はパークボランティアの方の急逝
(山岳事故ではありませんが)などもあり、パークボランティアの皆さんに安全に山などでの
活動を行っていただくために、何かできることは無いかと、考えての企画でした。
熊谷さんの研修内容は、登山ガイドと看護士の両方の立場からみた具体的なことが多く、
すぐに実践に役立つことばかりでした。
〈講話の後に行われた上半身の怪我と腰の痛みに対する処置と経口補水液(※)の試飲〉
※経口補水液:スポーツドリンクよりも身体に吸収されやすい、塩分と糖分が濃い飲み物
山やスポーツの場面で良く使用される漢方薬(私自身の周りでも良く服用するのを見かけ、
自身は飲まないが誰かのためにと持ち歩いている)ものがあります。
それをすぐに飲んでしまうことで、いったん症状は良くなるものの、本当の原因を
分かりにくくしてしまうことがあるということです。
症状が出てすぐに服薬したことが、結果として別の怪我を引き起こすといった実例も聞くことができました。
山では、何かあっても誰かがすぐには助けに来てくれませんし、普段の生活でも事故や災害の場面に
遭遇することもあるでしょう。そんな時、自分が良かれと思ってしたことが
別の災害を引き起こす可能性があることを念頭に入れて行動しなければなりません。
救急法などの知識もどんどん新しくなりますので、常に勉強をしていくことが必要だと感じました。
〈ツエルトを使用したレスキュー方法〉
しかし山のレスキューでは間違いを恐れて行動しないことよりも、助けたいと思う気持ちが大切だと、
自分自身が日本赤十字救急員養成講習を受講した際に教わりました。
助けたいという気持ちを優先すべきで、山中においての事故の救護に際して、その結果を
後日とやかく言う状況では無いと教わった記憶があります。
研修会は実技も交えて行われ、質問も活発に出され、時間が足りないほどでした。
私自身が山に行く際に参考にしたい事も多くあり、パークボランティアの皆さんにとっても
有意義な研修会だったようです。
今回の講師の熊谷さん始め、私の周りには、あらゆるジャンルのプロのような方々がたくさんいて、
何かあるとすぐに頼りになる人ばかりです。
たくさんの方に支えられ生かされていると感じる今日この頃です。
そんな思いで見る十和田湖は今日も美しかったです。
〈おもいおもいに波間にただようオオバン〉
今年初めての試みの「光の冬物語」も始まり、先日少しだけ見てきました。
〈初めて見るライトアップされた十和田神社〉
十和田湖の冬の始まり、コロナウイルスの影響で新しい時代がやってくるように感じました。
寒さも厳しくなりますが、わくわくすることを探しながら、春の訪れを待ちましょう。
https://fuyu-monogatari.com/