ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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白神山地

202件の記事があります。

2014年11月28日白神学習『続・保全を学んでみよう』

白神山地 野原七恵

前回の日記で紹介した、西目屋小学校の5年生のみんなとブナ林の調査。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2014/10/1994.html

前回は木の生長を知るために太さを測りましたが、その続きとしてブナ林にある木々の実を調べました。

森の調査の方法として、「葉っぱや木の実をその年に木がどのくらい作ったのかを毎年調べて、その森の変化を知る」というものがあります。

今回は、木の実の数を数えて、豊作か不作かを調べてみました。



秋の初め頃から、リター(落ち葉や木の実など)を集めるためのトラップ(ネット)をブナの木の下に設置していました。

昨年からの変化を調べるので、昨年と同じ場所に同じ時期に設置しています。
すでにこの日は、木々の落ち葉も落ちきっているようでした。

↓ネットの中には木から落ちた葉っぱがたまっていました

↑それを紙袋に回収するとそれなりの量です

これを乾燥させてから仕分けをします。

この仕分け作業を、長くブナ林の調査を続けている「白神山地ブナ林モニタリング調査会」の齋藤会長に教えてもらいながら行いました。


↑まずは中身を出して...

↓たくさんある葉っぱを広げて...

↑葉っぱだけを拾って分けてしまうと...こんなに少なくなりました

ブナの実やイタヤカエデの実など、木の実ごとに分けながら拾い集めていきます。

↓木の実だけをピンセットで頑張って拾います

↑こんなに小さい種も瓶に集めました

集めた木の実は数を数えて、昨年のものと比較して変化を見ました。
また、齋藤会長から木の実の図鑑を見せてもらい、なんの木の実なのかを教えてもらいました。



昨年はブナの実が豊作でしたが、今年は不作の様で全部集めても数個しか入っていませんでした。

この変化が分かるのは面白いですが、子どもたちにはなかなか難しいようで、
「今年は、ブナの実が少ない...」
と、ちょっとがっかりしていました。

この調査はブナの木の太さも含め、来年以降も続けて行く予定です。

1年や2年の結果だけでは、なんのためにやっているのかなかなか意義を理解するのが難しい調査です。
なので、そんな難しい理由は置いておいて...
実際にブナ林に触れ合う機会の少ない子どもたちが、ブナの木に直接触ったり、木の実を拾い集めるということが何かのきっかけになったり、思い出になってくれれば良いなと思いました。

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2014年11月06日秋のふれあいデー

白神山地 伊藤 亮平

先月10月18~19日、白神山地ビジターセンターにて、来館者とのふれあいを通じて、白神山地の魅力を伝えるイベント「白神山地ビジターセンターふれあいデー」が開催されました。



ビジターセンター内のイベントの一つとして、白神山地世界遺産センターからは木の実や葉っぱなどの自然素材を使ったクラフト教室「草木をつかったちびっ子アート教室」を開きました。



こちらは松ぼっくりやドングリ、トチの実などの木の実を使って白神山地のいきものなどを作る工作の様子です。木の実の形からイメージを膨らませて、色々ないきものが作られ、多様性豊かになりました。



次にビジターセンター周辺に落ちている葉っぱを使ったスタンプアートの様子です。筆を使って葉っぱの表側に絵の具を塗り、版画のよう様に上から葉っぱをこすってスタンプを押します。葉っぱの形や大きさも様々で、意外に綺麗にスタンプするのは難しいです。慣れてくると、大きな葉っぱや細長い葉っぱなど変わった形の物を拾ってきてスタンプに挑戦している子もいました。
紅葉の時期なので色は赤や黄色を使っています。本物に負けず劣らず綺麗に見えませんか?

参加してくださったみなさんが思い思いの作品を作る様子を見て、芸術の秋を感じる二日間でした。


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2014年10月29日秋の白神学習『保全と利用を学んでみよう』

白神山地 野原七恵

ここ数日でめっきり寒くなり、西目屋村の事務所から見える岩木山もいつのまにか白くなっていました。

少し前になってしまいますが、まだ紅葉が始まったばかりの頃、西目屋小学校5年生の総合学習の時間に野外で白神山地の学習を行いました。
4年生のときに、巨木までのトレッキングや川歩き、冬山の体験…とすでに白神山地の自然を体感してきている精鋭たちです!

※4年生の活動については、こちらの日記をご覧ください。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2014/03/1880.html

5年生になってからは自然を体験するだけではなく、その発展として、「保全」の面でブナ林の調査、「利用」の面でガイドさんや観光客へのアンケート調査という、なかなか高度な調査を実施しました。

まず「保全」の体験として、ブナ林の木々の太さを測る毎木調査を行いました。
この調査は昨年から継続して行っています。



ブナの木は成長が遅いので変化は少ないですが、まだ若いコシアブラの木などは成長して太くなっており、測りがいがありました。
木の成長を見る他に、落ち葉や木の実を回収するためのリタートラップも設置しています。
こちらは、もう少し木の葉が落ちきってからトラップの中身を回収して、どんな木の実がどのくらい入っているのか、昨年との変化はあるか観察する予定です。


調査の後は「利用」の体験として、実際に白神でガイドをされている方からブナ林の歩き方を紹介してもらいました。



すぐに目につく巨木だけでなく、ついつい見逃してしまいがちなツルの植物や足下のキノコなど色々な発見がありました。



さすが、白神山地の恵みの味を知っている西目屋のこどもたちはキノコ探しに興味津々です。


自分たちで自然を体感した後は、白神山地を訪れている方にアンケートをとり、「白神山地についてどう思っているのか」「なぜ白神山地に来たいと思ったのか」など、自分たちで考えた質問に答えてもらいました。



答えてくれた方たちからは「空気もキレイで素敵な場所」「これからもこの自然を残していってほしい」などの意見をもらい、これから自分たちに何ができるのか考えさせられた時間でした。

今後は、こどもたちが自分で学んだことをどう発信していけのるか、考えて行く予定です。
西目屋のこどもたちが学んだことが、白神山地の自然の豊かさについて多くの方が知るきっかけとなってくれれば嬉しいです。

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2014年08月20日夏の自然体験教室『川ガキ集まれ!』

白神山地 野原七恵

白神山地では、夏休みに子どもたちに豊かな自然を体験してもらうイベントをいくつか開催してきました。
その一つとして、7月31日には藤里町で藤琴川に親しむ子どもたちの集い『川ガキ集まれ!』を実施しました。

川で元気に遊ぶ子どもたちのことを親しみを込めて「川ガキ」と呼び、白神山地世界遺産センター藤里館で川の自然体験教室を毎年開催しています。
このイベントは「白神山地を源流とするきれいな藤琴川を子どもたちに体験してもらい、生きものたちの繋がりや、川の豊かさを感じてもらおう!」というものです。

まずはせせらぎで魚のつかみ取り体験。



みんな水に入って、藤琴川に多く生息しているアユを頑張って探します。



すばやい動きで最初は苦戦していましたが...慣れてくるとみんな上手く捕まえていました!
難しい分、捕まえられたときの達成感がとてもありました。


捕まえるだけではなく、アユはどんな形をした、どんな色の魚なのかも観察しました。



班ごとに分かれて、リーダーと一緒にアユの絵を描いてみました。
「ヒレがここにもある!」「黄色い模様がある!」など、描いてみることで、特徴を覚えることができたり、新たな発見があったりしました。


※アユはみんなで美味しくいただきました



内蔵が苦い...などと言いながらも、なんだかんだ美味しかったようで、2匹・3匹とたくさん食べていました!
みんなで白神の恵みを十分に味わいました。


その後は、実際に藤琴川での生きもの探しです。
班ごとに、違う生きものを探してみようということになりました。



お題の生きものを必死に探します!
見つけて、捕まえることができたら、また観察です。



それぞれ、上手く特徴を捉えています!
「ヤマメとカジカでは同じ魚なのに、なんで形が違うのか...」などの疑問には「同じ川でもすんでいる場所が違うからだよ」とリーダーたちが教えてくれて、また新たな発見がありました。


ふりかえりとして、川に入って思ったことや、分かったこと・発見したことを自由に書いてもらいました。



最後に、みんなの意見を発表し合いました。
「藤琴川はキレイで、冷たくて気持ちが良い」「魚や川虫など、いろんな生きものがすんでいる」などの感想がありました。みんな白神山地の恵みを体感してくれたようです!

「川に入れて気持ち良かった!楽しかった!」「また来年も来たい!」と言ってもらえたので、私たちもとても嬉しかったです。
これからも多くの子どもたちに白神山地の自然の豊かさを感じてもらえるよう、頑張っていきたいと思います。
今までの活動も白神山地世界遺産センターHPで紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
http://c-tohoku.env.go.jp/nature/shirakami/environmental/fuji/

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2014年07月11日白神山地世界遺産センター藤里館でAR写真展の展示を行いました。

白神山地 伊藤 亮平

7月3日に、白神山地世界遺産センター藤里館でアクティブレンジャー写真展の展示を行いました。
前回は白神山地ビジターセンターで「東北の自然~いきもの~」の写真を展示しましたが http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2014/07/1923.html
今回は「東北の自然~風景~」の写真を展示しました。



東北地方各地で撮影された海・山・湖・滝などの写真が並びます。

写真のキャプションには撮影された場所も書かれているので、気に入った写真があれば実際にその風景を見に行ってみるのも良いのではないでしょうか。

また、「日本野鳥の会秋田県支部写真展 あきたの野鳥」も同時開催されています。



秋田県に生息する鳥類の生き生きとした姿が写されています。

AR写真展と野鳥の写真展は同じ場所に展示されているので、今回の写真展はなんと、東北の風景と秋田の野鳥を同時に見ることができます!


写真展は8月25日まで開催されます。
白神山地世界遺産センター藤里館の開館時間は9:00~17:00、休館日は毎週火曜日です。
秋田県藤里町にお越しの際は是非お立ち寄りください。

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2014年07月01日AR写真展の展示を白神山地ビジターセンターで行いました

白神山地 伊藤 亮平

6月27日に白神山地ビジターセンターで、アクティブレンジャー写真展の展示を行ってきました。
アクティブレンジャー写真展とは、世界自然遺産地域、国立公園、国指定鳥獣保護区などの現場において、パトロール、調査、自然解説などを行っているアクティブレンジャーが、日頃の業務を通じて撮影した写真を展示するものです。
開催期間、場所等の詳細は下記URLをご覧下さい。
http://c-tohoku.env.go.jp/pre_2014/0512a.html

写真展のテーマは風景といきものの2つです。今回は「東北の自然~いきもの~」の展示を行いました。「東北の自然~風景~」も10月から展示の予定です。






白神山地ビジターセンターは白神山地世界遺産センター西目屋館(西目屋自然保護官事務所)のすぐ隣にあります。

この時期は建物が木に隠れてしまって見えにくいのですが、この看板を目印にすると入り口がわかります。


写真の展示はビジターセンター2階で行っています。
白神山地ビジターセンターでの展示期間は7月1日~8月31日までです。白神にお越しの際は是非お立ち寄りください。

また、今月の19~20日にビジターセンターふれあいデーが開催されます。ふれあいデーはビジターセンターの活動を紹介するイベントとして、毎年夏と秋に行われています。遺産センターも子どもたちを対象とした、白神山地の自然素材を使ったゲーム(蔓の輪投げなど)やストーンペイントなどのクラフト教室のイベントを予定していますので、こちらもよろしくお願いします!

過去のふれあいデーの様子(クラフト教室)







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2014年06月27日白神山地 初夏の大川巡視

白神山地 野原七恵

6月26日に大川の巡視に行ってきました。
西目屋村を流れる大川は、源流域は白神山地の遺産地域になります。

途中まではなだらかで、自然豊かな流れを楽しめます。



のんびりと、しかし、違法行為が無いかどうか確認しながら歩いていきます。

上流域に入ると急に渓谷らしくなり、深さも水温の冷たさも増してきました。



沢巡視は初めての藤井Rと伊藤ARは慎重に深みを渡っています。

水温が、ガクっと下がったと思ったら…上流にはかなりの残雪が残っていました!



写真の右に写っている人と比べると大きさが分かります。
白神山地の雪の多さが実感できます…

さらに上流に進んでいくと…



大きな雪渓がありました!!



この先には、まだしばらく行けそうにありません。

なかなか6月末では考えられない景色に感動しました。
こういう瞬間に白神山地の奥深さと、奥深いからこそ自然が残ったんだということを感じられます。

最後に、環境省が設置している看板の確認と補修作業を行いました。
国指定鳥獣保護区と、世界遺産地域の境界を示している看板を設置しているのですが…
やはり、積雪と雪どけ水の影響で曲がってしまっていました。

とりあえず必死にまっすぐに直します。



ここはやはり男性の出番です!
雪の多い白神山地では、雪で壊れてしまう看板の見回りがかかせません。

遺産地域の自然を守っていくために地道な巡視と保守作業も頑張っていきたいと思います。

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2014年06月20日海岸漂着ゴミ調査 鰺ヶ沢町編

白神山地 伊藤 亮平

6月17日に、青森海上保安部が実施する海岸の漂着ゴミ調査に参加しました。
予定では舞戸小学校の子どもたちと一緒に海岸の漂着ゴミ調査を行うことになっていました。
しかし、当日は雨や雷の予報が出ていたため海岸でのゴミ調査は中止になり、小学校の体育館で海洋環境保全学習や救命講習を行いました。




模擬漂着ゴミ調査として、体育館の中に小さな海岸を作ってゴミや流木を並べ、落ちている物が海、山、街のどこからやってきたものか考えて貰いました。




ゴミ拾いが終わったら、なぜ色々な場所のゴミが海岸に落ちているのか、自然の中にゴミを捨てると自然や生き物にどんな影響が出るのかというお話をしました。


救命講習では海上保安部の方々の劇が披露され、ライフジャケットの重要性やペットボトルを使った救命道具の作り方を学ぶことができました。



最後に巡視船おいらせの見学をさせて頂き、海をパトロールする巡視船の仕事を知ることができました。

実際に海岸でのゴミ調査が出来なかったのは残念でしたが、舞戸小学校の皆さんは熱心にお話を聞いていて、漂着ゴミや環境について関心を持ってくれた様子でした。


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2014年05月21日平成26年度白神山地 入山者カウンター設置第1弾!

白神山地 伊藤 亮平

先週の5月15日に入山者カウンターの設置を崩山と白神岳で行ってきましたので、その様子をお知らせします。

入山者カウンターとは、入山者数を把握するための機械で、白神山地では秋田県・青森県で全12箇所の登山口に設置しています。得られたデータは、環境保全対策の基礎データとして活用されます。

白神岳登山道入り口に設置しました。



せっせと組み立てて行きます。

崩山でも同じように設置しました。
近くには、ニリンソウがたくさん咲いていました。




初のカウンター設置でしたが、無事に設置することができて安心しました。
冬の間休んでいたカウンターも、久しぶりの仕事に張り切っているように見えました。

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2014年05月14日みどりの日の観察会

白神山地 野原七恵

5月4日に白神山地世界遺産センター藤里館で観察会「みどりの日の集い-峨瓏峡から高山を散策-」を行いました。

「毎年、これに参加すると春が来た感じがするわ」と楽しみにしてくれているファンも多いです。



世界遺産センターに集まり、観察会の講師の藤里館自然アドバイザーの齋藤さんや、ガイド協会副会長の藤田さんから説明や注意を受けて出発です!

白神山地を水源にもつ藤琴川の川沿いを歩きながら藤里町の話を聞いたり、大イチョウを見たりしながら峨瓏峡まで散策。



峨瓏峡では峨瓏大滝や白糸二段の滝、森林鉄道の跡などを見ることができました。
今回は雨が少なかったため滝は少し水量少なめですが、雪解けの時期などは大迫力です!

高山の登山道では多くの春の花を観察することができました。
もう散っているかも…と思っていたヤマザクラやカタクリ、ミズバショウも楽しむことができました。



大変な登り下りも、バラエティーに富んだ齋藤さんの解説に皆さん聞き入っています!



山頂からは、世界遺産地域に接している小岳や、ちょうど残雪が駒の形になっていた藤里駒ヶ岳など白神山地の山並みが遠望できました。
この日は今までにないほどの良い天気!こんな良い天気の高山は私も初めてでした!



最後に藤里町民俗資料館を見学。

藤里町の自然や歴史の魅力を余すところなく感じることができた観察会でした。

白神山地世界遺産センター藤里館活動協議会では、藤里駒ケ岳登山や子供達を対象とした水辺の観察会など様々な企画があります。
http://www.town.fujisato.akita.jp/c.html?seq=550

白神山地の自然に触れてみたいという方はぜひご参加ください!

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