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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

白神山地四季を学ぶ ―西目屋小4年生総合的な学習の時間―

2014年03月31日
白神山地
白神山地のブナ林は、日に日に移ろいを見せています。しかし厳しい自然の中なのでなかなか地域の子ども達でも白神山地の自然とふれあう機会は多くありません。
白神山地の山懐にある西目屋村立西目屋小学校は、全校生徒50人足らずの小さな小学校ですが、4年から「総合的な学習の時間」を利用し、白神山地を舞台とした学習と取り組んでいます。
白神山地世界遺産センターでは、彼らに自然とふれあってもらい、自然と共生するためにどのように付き合っていくべきか考える機会を提供しています。

●自然についてまずは学ぶ
まずは、遺産センターにて白神山地の基礎的な自然に関する勉強をします。教科書では習わない「白神山地に暮らすいきもの」や「白神山地独自のいきもののつながり」、「動物と植物の相互の関係」など、ゲームを通して楽しく学びます。活動を通して、実際、白神山地のブナ林に立ち入るための準備を行います。


■遺産センターでの活動

●白神山地のブナ林、そして渓流
残暑がまだ厳しい9月には、待望の白神山地の大川と呼ばれる場所に出向き、自然体験活動を行いました。
今回は、大川の近くにある鍋倉森の「オオカツラ」まであるくトレッキングと、近くの小さな沢を歩くキャリオニングを体験しました。
「オオカツラ」は普段見ることができない大きな木で、子ども達が手をつないで囲んでも囲みきれない太さに、驚きが隠せませんでした。また、初めてのキャリオニングでは木や枝に邪魔されながら歩きましたが、小さな滝壺で男の子達が勇気をみせて飛び込みを見せてくれました。


■夏の大川での活動

●冬のいきものの暮らし、雪山の楽しみ方
夏山から一変。寒さ厳しい2月には、西目屋村の川原平と呼ばれる地域の雪山に出向き、冬の自然体験活動を行いました。
雪山では、夏山で感じることが出来なかった多くのウサギの足跡を見つけることが出来き、森の住人の気配を感じることができました。さらに樹木の冬芽を観察し、春に向かって植物達がすでに準備をしていることを確認しました。


■冬の雪山での活動

●体験を次世代に繋げる
次の3年生につなげるために1年間の活動を発表しました。ことしは、紙で作ったパペットを使い、自分の言葉で体験活動を振り返りました。自然体験活動をとおして「大変だったこと」や「面白かったこと」、「気づいたこと」など思い思いの体験の感想を後輩に伝えていきました。バトンタッチされた後輩の3年生も大変興味を持って聞いてくれて、自分が来年こんな楽しい活動をするんだとイメージが湧いたようです。


■パペットを用いた発表

●最後に…
私は、この春をもってアクティブレンジャーを卒業します。4年間にわたり西目屋小の子どもたちと野外活動を通して地域の自然を伝えてきました。子どもたちは自然を通して、課題に気づき、体験に挑戦し、事象について考え、心の動き表現する能力を身に着けていました。私はこの子達と一緒に、この地域で暮らしていきたいと思います。
この子達がやがて大きく成長したとき、白神山地はどうなっているだろう?自然と人間は本当に共生できているのだろうか?一緒に成長し、それを確かめてみたいと思います。
私のアクティブレンジャーとしての活動は、ここで一息ついてしまいますが、白神山地の「のっぽ」さんはこれからも地域の子どもたちと一緒に成長していきたいと思います。
今までお世話になった皆様。言葉で表されない感謝でいっぱいです。
また、どこかで、みなさんお会いできる機会を楽しみにしています。