三陸復興国立公園 大船渡
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2021年04月12日春の花風景をどうぞ
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
岩手県沿岸南部もすっかり春めいて、サクラは最盛期を過ぎ
菜の花や木々の葉の芽吹きが見られるようになってきました。
今日は管内みちのく潮風トレイルルート上で出会える
春の花風景を一部ですがお届けします。
お花見気分でご覧いただけたら嬉しいです。
大船渡・碁石海岸 夕暮れのサクラ(2021/4/2)
釜石・本郷の桜並木 昭和三陸津波復興祈念(2021/4/8)
釜石・大平公園 釜石大観音の春(2021/4/7)
陸前高田・箱根山 桜色のフレーム(2021/4/11)
陸前高田・箱根山 春の合図ヤマザクラ(2021/4/11)
釜石・本郷 ジンチョウゲの香り(2021/4/7)
大船渡・越喜来 桜色の背景(2021/4/2)
釜石・平田 クロモジ開花(2021/4/8)
陸前高田・小友 春風に踊る菜の花(2021/4/11)
2021年03月26日春隣*はるとなり
三陸復興国立公園 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
テレビではサクラ満開・春爛漫な景色を目にするようになりましたが
三陸はまだ春寒が残っており、サクラの開花はもうちょっと先のようです。
でも日中はだいぶ暖かくなり、外を歩いていると芽や花の匂いを感じます。
野外業務中に見つけた春の訪れを感じた場面を切り取ったのでご紹介します。
【ヤブツバキ】2021.3.24@碁石海岸
存在感のある赤い花が遠くからでも目に留まります。
三陸で自生するツバキの花期は長く、2月から4月末頃まで楽しめます。
岩手県では大船渡市と陸前高田市が"市の花"に選定しています。
この辺では3月下旬に満開を迎え、いい香りが漂います。
まんまるな花弁花びらがかわいいです。
遊歩道の脇でひっそりと咲いていました。
控えめなこの色合いが私は好きです。
残念ながら葉は早いうちにシカに食べられてしまったようです。
春の訪れを告げる、"春の妖精"と呼ばれますね。
あと少しで開きそう。
ナッツのようなおいしい実でおなじみですが、
じつは私、開花の状態を初めて見ました。
調べてみると、フサフサ赤い糸状の部分は柱頭のようです。
とっても小さく繊細。見つけてとっても得した気分です。
【トウゴクサイシンの1枚葉】2021.3.24@碁石海岸
とっても不思議な形をした花が咲くこの植物。
調べると「東北の森の隠者」とありました。
「隠者」とは、、、納得です。
まだ葉が出てきたばかりですが、花が咲くまで観察したいと思います。
「ノリ」「マツモ」「ヒジキ」「フノリ」
三陸の豊かな海の恵みです。
海藻の開口が三陸の春を告げるのです。
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卒業、入学、異動、新生活
たくさんの出会いが交差する春ですね。
厳しい冬が明けてやってくる春が待ち遠しく、
解放される気持ちになるのは東北人だからでしょうか。
季節を感じさせてくれる自然に感謝の気持ちを込めて
これからも観察を続けていきたいと思います。
2021年03月12日10年目の3.11
三陸復興国立公園 坂本麻由子
みなさまこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
抜けるような青空、春の匂いを感じる暖かさで迎えた10回目の3.11。
10回目の3.11は気仙沼市で手を合わせました。
三陸沿岸道路の一部である気仙沼湾横断橋(愛称:かなえおおはし)が2021年3月6日に開通しました。
かつて気仙沼が「鼎浦」と呼ばれていたこと、夢・希望を「叶える」ことなどをかけあわせ名付けられた『かなえおおはし』。復興のシンボルであり、未来への架け橋です。
あの日はとてもとても寒い日でした。
10年後の今を作り上げてきたのは間違いなく、あの日から積み上げてきた涙や努力、葛藤や決断、交流や支援の優しさや温かさ、とにかくたくさんの力・パワーです。
10年だろうと100年だろうと変わらぬ思いを胸に、交わる出会いを大切に、一歩一歩進んで未来を繋いでいけたらと願います。
10年目の2021年3月11日、「追悼・伝承・再生」の場所として気仙沼市復興祈念公園が開園されました。
この公園は、安波山の麓、史跡陣山館跡に作られ、戦国時代に陣を張ったと言われている高台にあります。眼下には震災当時、大津波や津波火災により壊滅的な被害を受けた地域が見下ろせるのですが、気仙沼湾横断橋をはじめ、気仙沼大島大橋など復興の歩みを進める気仙沼内湾の今の姿が一目にできます。
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開園のこの日は市内の小学生が書いた未来へのメッセージが、黄色いかざぐるまになって風で踊っていました。40~50年で一度は津波が来る、そう言われて小さい頃から私たちは育ってきました。大きな地震が来たら高いところに逃げろにはじまる、自分の身を、地域を守る教訓を次世代へ伝えること、本当に大切にしなくてはなりません。
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2021年3月11日14時46分 黙祷。
海へ向かって、当時自宅のあった方向を向いて、愛する人がいた場所を向いて、思い思いに目を閉じ深く祈ります。
上の写真で奥に見えていた白いモニュメントは「祈りの帆-セイル-」で、高さ10メートル、船体の素材と同じ材料で、復興祈念の象徴として作られました。内部には祈り台が設置されていて、気仙沼湾に向かって静かに祈りを捧げることができます。
園内には、震災の記憶を想起させ、語り継ぐための伝承彫刻がいくつか置かれています。こちらの作品名は「海へ」。
内陸側の俯瞰です。こちらは鹿折(ししおり)地区といい、震災直後は打ちあげられた大型漁船が街に残っていた映像で取り上げられていた場所です。きれいに造成され、災害住宅が完成、商業施設も増えてきました。
かなえおおはしの完成と東日本大震災への追悼の意を込めて3/1に横断橋から花火が打ちあげられました。
この写真は安波山から撮影しましたが、かなえおおはしとその奥に大島大橋、二重のベイブリッジが見ら
れます。そして気仙沼のキラキラした街の光は復興の証、夜景スポットでも盛り上がりそうな気仙沼です。
2021年03月05日お宝マップ完成しました2020~陸前高田市広田小学校~
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
でマップ作りに向けて本格始動したご報告をしていましたが、
すみません、②のつもりが完結編のご報告となってしまいました。
1年間かけて広田小学校6年生のみんなは一生懸命取り組んできました。
そしてとうとうこの2月にマップが完成したのです。
中の地図にはルートを見やすく、トイレや買い物施設などの
歩く人にとって必要だろうと思うポイントが書いてあります。
そしてみんながおすすめする、広田で是非立ち寄ってほしい
『広田半島みどころスポット』20カ所が
生徒自身の言葉でまとめられています。
11月の授業では、近隣のガイドマップを参考に
自分たちのマップはどのようにしようかとみんなで考え、
様々なアイデアを出し合いました。
完成したマップをみんなでじっくり見て
1年間の取り組みを振り返る時間。
「トレイルハイキングの感想」
・なれていない道だったのでけっこう大変だったけど、いろんな花を見れて楽しかった
・山道を歩いて行くのが大変だった
・広田は海だけじゃなくて、山もいいんだな~と思った
「おすすめポイント探しの感想」
・小祝浜へ写真をとりに行ったとき、海に足を入れてとったので冷たくて大変でした
・家の隣によいところがあったので楽だった
・友達と一緒に夏休みに行ってポイントを探していろんな景色が見れてよかったです
「完成した地図の感想」
・広田を知らない方にも興味をもってもらえるところや一人一人の思いがあふれた
パンフレットになってよかったです
・この地図が人の役にたてばいいなと思いました。
・来年も、こうゆう行事をやって、もっといい地図をつくってほしいです
「全体の感想」
・アポなしとか、普段やってないことを体験できてとても楽しかった
・広田のことをもっと知れたいいきかいだった
・授業したらこのトレイルハイキングの勉強ができなくなるのが悲しいです
・広田にこんなに歴史があることが分かりました
そしてできあがったマップは一人でも多くの方に渡したい
ということで、代表生徒4人で市の観光物産協会さんへお願いしに行きました。
地元について自分たちで調べ、まとめ、発信するツールを作る
とても素敵な授業だったと思います。
私もこの取り組みに関われて幸せです。
みちのく潮風トレイルを歩くハイカーにはもちろん、
地元の方にもこのマップ片手にトレイル散歩を楽しんでいただけたら嬉しいです。
今年度の広田小の授業はこれで完了です。
岩手県立大学島田先生、ありがとうございました。
広田小学校の先生方、色々教えてくれた地域の方々、
ずっと支えてくださった親御さんたちなど、たくさんのご協力があり
6年生の楽しく取り組むパワーで大成功ですね!
2021年02月15日冬の野鳥観察会
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
皆さんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
暦の上ではとうに立春は過ぎましたがまだまだ寒い日が続きますね。
今日は今の時期だからこその話題です。
国立公園内で寒い冬でもフィールドワークを楽しみましょうということで
小雪舞う中パークボランティア活動として、勉強する目的で野鳥観察会を行いました。
野鳥観察初心者の私たちは観察しやすいカモなどの水鳥を勉強することにしました。
三陸復興国立公園内で選んだ観察場所は、陸前高田市の古川沼(ふるかわぬま)、
そして気仙沼市大島の小田の浜(こだのはま)です。
古川沼は内陸から流れる川が広田湾に注ぐ付近に発達した砂州によって、
湾の一部が閉塞されて形成された潟湖で、海水と淡水の混じる汽水湖です。
2011年の大津波で高田松原と共に広田湾と古川沼を隔てていた砂州の大部分を消失し
海と一体化してしまった古川沼ですが、現在は復興工事が進み
東日本大震災追悼祈念公園の一部として震災前の姿に近い形に整備がされています。
震災前に見られた水鳥たちも安心して過ごせるようになり戻ってきています。
(左)左2羽はマガモのペア。カルガモが1羽なぜかつきまとってます。
(右)ホシハジロ3羽そろって背中に顔を埋めてお休み中、背眠(はいみん)と言うそうです。
(左)ウミアイサのペア。嘴と目が赤く、ボサボサ頭がトレードマークです。
(右)ホオジロガモの雄。遠くからでもほっぺの白い模様がよく見えます。彼女募集中?
(左)スズガモの雄(奥)雌(手前)。雄のグレーの嘴、雌の嘴の根元の白い模様が特徴です。
(右)ヒドリガモのペア。雄のおでこの金髪がかっこいいですね。
なぜスズガモだけ"ペア"と書かなかったか・・・
その理由はこの写真をご覧ください。
右3羽が雄。それを見つめる雌5羽が左側にいます。
この中でペアリングされるとすると雌が余っちゃいますね。
既にペアになっている子たちもいますが、彼らにとって今が恋の季節。
鳥たちの世界の恋模様を想像しながらの観察も面白いですよ。
種類を問わずたくさんカモたちが集まっている場所がありました。
うがいをしていたり羽繕いをするような仕草が見られました。
ここは内陸を通ってきた川が古川沼に注ぐ河口部です。
上流で河川堤防工事が行われているために泥混じりの水が流れてきていますが
彼らにはどうしても必要な淡水なんですね。
海水で活動し、体に付いた塩や体内の塩分を落とすために
定期的に淡水域を求めて来るようです。
さて次は場所を気仙沼大島に移動しまして今度は海の水鳥の観察です。
小田の浜での観察ターゲットは12月の日記でご紹介したコクガンです。
見つめる先には海上で食事中のコクガンたちがおよそ40羽いました。
前回は運良く砂浜に上陸していたコクガンを見ることができたのですが
この日はあいにく海の上でした。
海藻を餌とするコクガンたちも塩分調節のため淡水を必要とするということを知り
そのつもりで観察してみると・・・
砂浜に残っていた足跡です。
海から上がってきて向かった先には内陸から流れてきている沢がありました。
淡水で体を洗い、整えてからまた海へと向かったんでしょうね。
沢の終点にはちょっとした池のようになっている水たまりがあって
その周りにはたくさんの水鳥たちの足跡がありました。
水浴びでごった返すコクガン団子をいつか観察してみたいと思いました。
海藻を咥えているコクガンの姿が見えます。
黒い体のコクガンに混じって、同じく黒いオオバンがいる模様。
潜水の得意なオオバンが潜って海藻を咥え、水面から顔を出すと
すかさずその海藻を横取りするというコクガンの行動がよく見られました。
優雅な姿から勝手にかわいい優しいコクガンを想像していましたが
潜りの不得意なコクガンは意外とずる賢いのかもしれませんね。
小田の浜の淡水の水たまりで見られたオナガガモ(雄)です。
丁寧に自慢の尾羽を念入りに嘴でお手入れしていました。
他のカモたちと比べるとスラッとしていますね。
今回出会った全ての鳥たちをご紹介できたわけではありませんが、
寒さも忘れ、数時間でたくさんの発見がありました。
みなさんも双眼鏡片手に冬の鳥たちを観察してみてくださいね。
最後に、陸前高田市に戻ってきてくれているオオハクチョウの姿を。
震災後、街中復興工事で、餌場となる農地が不確定だったため
なかなか里で見ることができなかったオオハクチョウ。
田畑の実りが復活すると同時に彼らも戻ってきてくれました。
後ろに見えるのは震災遺構の「旧道の駅高田松原タピック45」です。
まだ復興半ばではある陸前高田の街ですがハクチョウたちが復興の光を
射してくれているようで嬉しくなります。
この日この田んぼに来ていたオオハクチョウ約80羽。
たくさん食べて体力付けて行ってね。来年も楽しみに待っています。
2021年01月07日碁石海岸*冬さんぽ
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
謹んで新春のお喜びを申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
大船渡自然保護官事務所の坂本です。
【2021年初日の出@大船渡市三陸町越喜来湾_みちのく潮風トレイルルート上です】
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積雪が少ないと言われる三陸沿岸の中でも特段温暖な大船渡ですが、
この冬は朝のうちうっすら雪化粧しています。
珍しい碁石海岸の銀世界を"冬さんぽ"気分でご覧ください。
碁石海岸の名前の由来でもある「碁石」のような丸石の浜での雪は
朝の早い時間にしか見ることができません。
石が太陽にあたためられすぐに雪は溶けてしまいます。
日中の気温がさほど上がらないので日陰は溶けそうにないですね。
サクサク雪を踏みしめる音も楽しいです。
真下に見える冬の海は透明度が高く、本当に美しい。
ツバキは大船渡と陸前高田の市の花とされ市民に親しまれている花です。
ここ椿園では早生から晩生種までツバキ各種約1,000本植えられているので
秋から春にかけて長い間ツバキの花を楽しむことができますよ。
今日咲いていたのは真っ赤なサザンカ。
地面をほじくり返して餌を漁るカシラダカが足元で見ることができました。
スズメによく似た鳥ですが、頭の毛がモヒカンのように立っているのが特徴です。
餌になる木の実が雪に埋もれてしまって慌てているのでしょうか、
いつもは高い枝の上に見かけることが多いのですが
この日はだいぶ低い地点で見ることができました。
公園内ではありますが漁船や釣り人などと出会え人の営みを感じることができます。
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碁石海岸遊歩道で最大の難関"心臓破りの階段"を今日は下りでホッとしたのも束の間
雪や氷におっかなびっくりしながらの急な下り階段で
想定外に心臓に負担をかけつつ無事たどり着いた垂水浜(たれみずはま)。
みちのく潮風トレイルの標識が迎えてくれます。
楽しかった雪上ハイキングもこの上り階段の途中で終わってしまうようです。
足元から雪が消え、土の上を余韻に浸りながら歩いていると
風が吹き枝が揺れる音がサラサラと雪が飛ぶ音が聞こえました。
見上げてみると枝葉に積もっていた雪が風に吹かれ
太陽の光を浴びキラキラと輝いて舞っていました。
ここは厳冬地ではないので、空気中の水蒸気が凍って光る
ダイヤモンドダストではないのはわかっていますが
儚い雪の一粒一粒のフラッシュを観察することができました。
思い切って外へ出て自然に触れてみませんか?
2020年12月22日今年の冬も会えました!グルルル
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
温暖な三陸沿岸もうっすら雪化粧、冬らしい冬を楽しんでいます。
冬らしいと言えば、ここ岩手県や宮城県の沿岸部では
毎年冬には楽しみ楽しみに「ある鳥」がやってくるのを待っています。
海藻が大好きで 海で暮らす 珍しいガンの仲間
そうです、「コクガン」です。
黒い嘴・顔・体に真っ白な首輪とおしりがかわいいコクガン。
海をスイスイと泳ぐ姿は優雅で気品すら感じますが
陸上を歩くぼってりとした体とのんびりした動きは
どちらかというと「かわいらしい」ですね。
震災後、ほとんどの岸が防潮堤工事で覆われていた際には
飛来しているかどうかも確認できなかったので
防潮堤ができて景色が変わってしまったら来てくれないかも
と心配されていましたが、工事が落ち着き観察できるようになってから
毎年冬から春にかけて海岸や漁港などに戻ってきてくれているのを確認できています。
雪の積もった砂浜を写真に収めようと気仙沼市大島にある
小田の浜(こだのはま)へ行ったのは12月18日。
日中気温が上がってしまったらすぐに溶けてしまう砂浜の雪景色。
きれいだなぁと見とれていたら
なにやら「ぐるるる」「もきゅもきゅ」と声がします。
しゃがんだり一本足でお昼寝しているのかリラックスモードのみんな
比較的警戒心が弱い鳥とは言われていますが、
私自身、こんなに近くまで寄れたのは初めてで、
砂浜で観察するとじりじりと近づけるからいい!と気がつきました。
これまで漁港や桟橋から泳いでいるコクガンを眺めていたので。
逆光じゃない写真も撮りたいと向きを変え、反対側へ移動したグループを追いました。
雌雄同色ですが、黒色が濃いほど長く生きているそうです。
寒くて外に出るのはちょっと、、、ともったいないことは言わず
今しか見られない出会いを楽しむのはいかがですか?
コクガンたちは12月から3月あたりまで三陸の穏やかな海で豊かな藻をついばみ
越冬した後さらに北へと旅をします。
北海道から東北にかけ沿岸で見られる貴重な鳥で
国の天然記念物、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ種(VU)に指定されています。
2020年12月11日年末大掃除開始です
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
大船渡観光の横綱です。曇り空ではありましたが今日も素敵です。
いつのまにか12月も半ば、みなさん忙しくお過ごしのことと思います。
自宅の大掃除には全く手を付けておりませんが
碁石海岸の年末準備が始まりました。
毎年多くの人が初日の出を拝みに訪れる碁石海岸、
気持ちよく歩いてもらえるよう公園を守る有志たちが一肌脱ぎます。
今日の有志たちはいつもお世話になっています、パークボランティアのお二人。
駐車場から穴通磯まで伸びる遊歩道脇の側溝の泥かきをしました。
自然豊かな遊歩道ですので生えるものは生え、落ちるものは落ちる。
水路としての側溝ですが、泥と落ち葉のたまり場になっています。
これでは大雨来たら氾濫です。
少しは溜まりを遅くできるのでしょうが・・・
作業途中に訪れた観光客の皆さんに
「ごくろうさま!!」「穴通磯より側溝がきれいだったよ!」
などと笑顔を交わし励まされ、満足満足。
側面・底面の凝った石組みも見えました。
やっぱり風情を優先、蓋は設置したくないですね。
たくさん観光客に来てもらいたいのはもちろんですが
地域の方に守られ利用され、誇りに思ってもらえる公園にしたいです。
公園で私たちを見かけたら気軽にお声がけくださいね!
今日の有志です。おつかれさまでした!!
三陸復興国立公園南部地区では一緒に活動する仲間を募集しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
2020年11月20日みちのく潮風トレイル 三陸浜街道
三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子
皆さんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
三陸復興国立公園においてコンテンツのひとつ「みちのく潮風トレイル」。
このアクティブレンジャー日記で知ってくださった方もいらっしゃいますよね。
総距離1,025㎞で、今のところ日本一長いトレイルとなっています。
全線開通は2019年6月、これまであちこちのメディアで取り上げられて
聞いたことあるよ 少し歩いてみたよ という方も増えてきていたら嬉しいです。
みちのく潮風トレイルのイメージ、まずは「海」ですよね。
そして「震災を語り継ぐ道」。
三陸の絶景海岸風景を歩ける道でもあり
自然の厳しさと優しさとの共存を考える道でもあります。
今日ご紹介したいのはあまりイメージにないであろう「歴史道」。
ほとんど海の見えない山の中を歩くルートも実はあるんです。
岩手県南部はご存じの通りリアス海岸が有名ですね。
そのリアスから住民たちは多くの恩恵を受けているわけですが
ものを運ぶ・人が行き来することに関してはハンデでしかありません。
海に突き出す半島ぐるっと周回
=>高低差少ないが距離がぐーんと伸びる
半島根元を最短距離で峠越え
=>距離は短いが高低差がひどい
道というものは必要とされて作られ、使われ続けるから残るのですが
三陸浜街道は時を経て現在の国道45号線へと進化しています。
そんな中でもうっすら残っていた初代の三陸浜街道に
みちのく潮風トレイルを通しています。
なぜこんな峠道を通しているのか、海が見えないのに潮風トレイルなのか
結局は三陸の海・地形があるからこその道で
先人たちが切り開いた苦労を想像しながら進む
重要な区間でもあると思っています。
前置きが長くなりましたが、そんな歴史道のひとつ
岩手県釜石市に通る"石塚峠(いしつかとうげ)"の巡視をしてきたので
どのような巡視をしているのかご覧ください。
石塚峠は岩手県釜石市の尾崎半島の根元を縦断する峠です。
巡視で行うことは
①路体の確認
歩くルートの状態を確認します。
崩れや分岐、通行するのに障害になる倒木や落石はないかなどです。
手を加えすぎない処置までにします。
昨年の台風19号の爪痕がまだ色濃く残っていました。
復旧作業や迂回路などの情報も関係各所とすり合わせをします。
②標識・目印の確認
設置済みの標識やテープが役目を果たしているかのチェックをし、
必要であれば更新作業を行います。
木の杭は野生動物にかじられたり、草刈り機で傷ついたり
テープにおいては日光や雨で劣化するのでこまめな付け替えが必要です。
迷いやすかったという声を聞いた場合はテープの位置なども考え更新します。
③ ①②で得た情報を関係各所と共有し、ハイカーへ情報発信
秋冬は写真のようにすっきりとした地面ですが、
春夏は道が消えてしまうほど草が元気よく生えてくるので
巡視に草刈り整備が加わります。
また実際に歩きに来たハイカーからの声を聞き、
次の巡視に生かせるよう普段から情報を整理することもしています。
最後に石塚峠に残る街道の面影を。
"石塚の七里塚"
一里ごとに置いたはずの塚なのになぜ『七』里塚か?
そんな謎も現地の案内看板で解決しますよ。
この七里塚は当時(1800年代)の原型をほぼ保っていると計算されているそうです。
歴史好きな方は是非岩手県南部を楽しみにいらしていただきたいと思います。
様々な道をつないでいるみちのく潮風トレイルは楽しみ方も色々ですね。


こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。
パークボランティアについては、この日記をご覧になってくださっている方ならご存じですよね。
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国立公園において、自然観察会等の解説活動や美化清掃、利用施設の簡単な維持修理などの各種活動について、広く国民の参加を求め、一層の活動の充実を図るとともに、自然保護の普及啓発を図ることを目的として、これらの活動に自発的に協力して頂ける方々をパークボランティアとして登録しています。
令和元年度時点で、全国の25国立公園の37地区において、各地区の特性に応じた活動実施計画に沿ってさまざまな活動を行っていただいています。
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環境省のホームページにはこのような説明がなされています。
三陸復興国立公園では、国立公園に加え、みちのく潮風トレイルのルートも活動の場とし、私たち保護官事務所のスタッフと共に様々な取り組みをしています。
今年度、三陸復興国立公園南部地区では、新規パークボランティアを追加募集しました。
先週、パークボランティアとして登録いただくために受けていただく応募者に対する研修会を行いました。
午前中は国立公園やパークボランティア制度についての座学研修。
福濱保護官からスライドを使用した講義がされました。
午後は実際に活動する際に役立つ、三陸の特徴や野外活動における安全管理などについての座学と、外へ出ての実地研修を行いました。
宮古自然保護官事務所の渡辺利用企画官が講師です。
今回の最初に受ける研修会の他、定期的に開かれる研修を受けたり、仲間と活動しながらさらに知識や経験を積み重ね、自分自身が国立公園を楽しみながら自然保護の普及啓発にお力を発揮いただきたいと思います。
国立公園を訪れ、パークボランティアの皆さんに会った時は是非お声をかけてくださいね。
「たくさんの人にこの地の国立公園を楽しんでほしい、知ってほしい、そのお手伝いをしたい」
そういう思いがパークボランティアの根底にあります。
訪れた人も、迎える側も笑顔で楽しめる国立公園を目指していきたいと思います。