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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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三陸復興国立公園 大船渡

82件の記事があります。

2019年04月15日復興のシンボル 気仙沼大島大橋開通

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

新年度早々、雪が降ったり暴風吹き荒れたりと天気も落ち着かない三陸でしたが

4月7日は穏やかな春らしい気候で記念すべき1ページが歴史に残されました。

宮城県気仙沼市の大島と本土を結び、東北初の離島架橋となる気仙沼大島大橋が開通したのです。

地域の方々にはそれぞれの立場で様々な思いがあり、実現までに50年かかった事業です。

地元の悲願が半世紀を経て、東日本大震災からの復興の象徴として実現した形になりました。

島民の利便性向上や島内観光の振興に加え、非常時の緊急輸送路としての役割が期待されます。

大島大橋は長さ356m、本土の鶴ヶ浦と大島の亀山をつないでいることから愛称は"鶴亀大橋"。

2車線車道の片側に歩道が設けられていますので、車だけでなく歩行者も島への行き来ができることに。

気仙沼大島は、気仙沼湾に浮かぶ東北最大級の島で、周囲約24㎞。

この美しい島は、『緑の真珠』と詠われ、島の最高地点亀山山頂からの眺めは絶景です。

周囲の海域も一部、海岸線ほとんどが三陸復興国立公園に指定されていて、

美しい砂浜の海水浴場、鳴き砂の浜、360度パノラマ満天の星空、キャンプ場などなど

見所あふれる自然豊かな島です、今年の夏は気仙沼大島にいかなくちゃ!!ですよ。

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2019年03月08日鳥獣保護区 三貫島(釜石市)へ上陸

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

先週、国指定三貫島(さんがんじま)鳥獣保護区の調査へ行ってきましたのでその様子をご紹介します。

三貫島は、釜石市箱崎半島の南東に浮かぶ島。

国指定の鳥獣保護区であるのと同時に、島全域が三陸復興国立公園特別保護地区であり、

オオミズナギドリ及びヒメクロウミツバメ繁殖地として国の天然記念物にも指定されています。

また、3種のウミツバメ類「コシジロウミツバメ」「ヒメクロウミツバメ」「クロコシジロウミツバメ」が

同所的に繁殖する場所としては国内唯一だそうです。

この貴重な島は上陸に許可が必要で、誰もが立入れる場所ではありません。

三貫島へはもちろん船で向かいます。

外洋に位置するため、島に近づいて波を確認してから上陸できるかどうかが決まるのですが、

実際、何度、船で沖まで出たのに波が高く上陸できず泣く泣く帰港したことか・・・

この日は過去最高じゃないかと言われるほどのグッドコンディションで上陸できました!

鳥しか住んでいない島、言ってみればほ乳類のいない島です。不思議な、幻想的な空間です。

今回のミッションのひとつは、オオミズナギドリがこの時期に飛来しているかどうか。

オオミズナギドリは夏の繁殖期に合わせて初春に飛来します。

三貫島での調査上、3月上旬の飛来記録があるそうで、2月末に行った今回飛来が確認できれば

調査上最速記録となります。

オオミズナギドリは地面に横穴を掘って巣とします。

左の写真のように、前シーズンの巣穴は使われない期間があるため、落ち葉でふさがれています。

今回、真ん中の写真のように落ち葉がどかされ、使われているらしい巣穴がいくつか見られました。

そして決定的なのは右側の写真。オオミズナギドリの羽と骨。

かわいそうですが、捕食されてからそんなに時間が経っていないものです。

以上より、三貫島では2月末に飛来を確認できたということで、記録を塗り替えたことになります。

オオミズナギドリの面白い生態を少し。

左の写真はタブノキの幹ですが、なにやら刃物で傷つけたような筋が沢山見えますね。

これはオオミズナギドリの引っ掻き跡です。

地表から飛び立つのが苦手な彼らは、高い木に登って飛び降りながら羽ばたくことをするそうです。

木を登るときに爪を立てて走るため、このような引っ掻き跡がつくんですね。

シーズンにはこのジャンプ台に何百羽と順番待ちの行列ができるとか。

そして右側の写真は海に向かって下がっている緩やかな斜面。

オオミズナギドリが地面を走って加速をつけ、パラグライダーのように飛び立つ、飛行場です。

早朝に沖へ飛び立ち食事に行って夕方まで帰ってこない彼ら、昼間の調査で見ることはなかなかないのですが、順番待ちをしている姿、にぎやかでかわいいでしょうね。

調査の大変さも少しご紹介します。

藪をかき分け進んだり(写真左)、ほぼ垂直の岩場を登ったり(写真真ん中)、足場のもろい急斜面を這ったり(写真右)。周囲4kmの小さな島ですが、様々な顔を持っています。

最後に。

右側の写真赤丸部分が上陸部です。

上陸したところに救命胴衣を置いてきたのですが、肉眼で確認できないほど高いところまで

這い上ったんですね。登ったはいいがあそこまで降りるのか~とちょっとがっかりした瞬間でした。

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2019年02月04日碁石海岸で野鳥観察会

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

大船渡自然保護官事務所の坂本です。こんにちは。

今朝は起きたら外気温9℃!あったか!

昨日までは暴風で震えるほど寒かったのに...

今週末もまた寒波がやってくると耳にしています。

寒暖差、乾燥、インフルエンザ、そして早々花粉を感じている人も出ているようですね。

まだまだ気が抜けない三陸の冬です。

そんな中、先週末の碁石海岸では野鳥観察会が行われました。

四季を通じて碁石海岸の自然を楽しんでほしいと、

今年度インフォメーションセンターが企画した年4回の自然観察会のトリを飾った野"鳥"観察会。

野鳥観察においてあまり活発な活動を耳にしない大船渡で

新たな自然の楽しみ方、冬でも楽しめる自然を提案できたのではないでしょうか。

当日の様子を写真でご紹介します。

 野鳥観察『初級編』ということで開催、観察開始の前に双眼鏡の使い方をレクチャー。

 うまくピントを合わせられなくて悪戦苦闘している方も...

 

 視界が広く取れる場所で、遠くで休んでいる鳥を観察。

 双眼鏡練習の他に、フィールドスコープも登場。

 

 いよいよ遊歩道に出て実践です。

 歩き始めて数分でカラの混群に遭遇。

 シジュウカラ・ヤマガラ・キクイタダキ・コゲラ・エナガなど可愛らしい小鳥たちが沢山!!

 動きの速い小鳥たちを慣れない双眼鏡で何とか見ようと皆さん必死です。

 それを察してか、小鳥たちは長い時間同じ場所にとどまって食事をしてくれていました。

  

 次は海鳥の観察です。

 海に突き出た碁石崎展望台は絶好の海鳥観察所。

 ウミネコ・ウミウ・シノリガモ・ウミアイサ・クロガモなどが観察できました。

 

 最後は、今日のおさらい。

 出逢えた鳥たちを参加者みんなでチェックしました。その数24種。

 この日は強風で野鳥観察には向いている日とは言えませんでしたので上出来だったのではないでしょうか。

 

寒い中みなさんお疲れ様でした。

出逢える鳥も季節によって変わります。

また三陸復興国立公園・碁石海岸へ遊びに来てくださいね。

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2018年12月12日きれいな浜で初日の出を

三陸復興国立公園 坂本麻由子

みなさん、こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

師走も半ば、寒さと忙しさとで外の空気を味わう時間を取れずにいる方も多いでしょうね。

私はこの時期ならでは、キリリと冷えた空気が見せるクリアな景色を楽しんでいます。

三陸復興国立公園、南部を代表する景勝地碁石海岸にて

地域の皆さんによるおもてなし清掃活動がありましたのでご紹介します。

碁石海岸は初日の出を拝もうと市内外から人が集まる、人気スポットです。

夏場と比べて観光客が少なくなる冬ですが、元日は大変な賑わいを見せます。

そんな碁石海岸の名の由来であるとされる 碁石のような石の浜『碁石浜』

年末年始気持ちよくお客様に訪れてほしい!と

碁石地域の住民・関係者で碁石浜のごみ拾いを行うことになり、

パークボランティアの皆さんにも参加いただき、一緒に汗をかきました。

流れ着いているゴミはそれほど多くありませんでしたが、

碁石のような玉石をきれいに見せたいので、海藻や落ち葉も回収しました。

きれいになった碁石浜で素敵な初日の出を拝んでいただけますように。。。

*脱線します*

碁石浜で必ずやってしまうこと...「碁石探し」

碁石の黒石のような真っ黒で真ん丸な石をさがします。

今日イチの黒石をみつけて写真に収めて満足するだけですけど。

がしかし、この日は違った石が見つかりました!

ハート♡が埋め込まれている石です。

堆積岩のようで、うまく削られた結果ハートが浮き出たみたいですね。

恋する灯台もある碁石海岸、恋人の聖地になるかも??とちょっと盛り上がってしまいました。

国立公園内の浜です。

好みの石探しをした後は、持ち帰ることはせず、自然に帰してあげてくださいね。

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2018年11月05日出前授業に行ってきましたpart2~陸前高田市・広田小学校

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

みなさんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

9月に報告しました、広田小学校への出前授業ですが、

先月末、第二弾の授業として野外授業へ行ってきましたのでご紹介します。

野外授業の舞台は、広田町内、東北自然歩道にもなっている"黒崎仙峡を訪ねるみち"。

国立公園内、海岸線に沿って整備された約5キロの遊歩道です。

みちのく潮風トレイルでもこの遊歩道をルートとして設定しています。

三陸復興国立公園らしい海岸線の景色、松林、豊富な植物など

自然を体感するにはもってこいの散策路です。

広田小学校の目と鼻の先にあるこのコース、歩いたことがあるという生徒はなんとたったの1名でした。

震災後、周囲は浸水地域や工事車両の作業路ということで、登下校はスクールバスで、

学校周辺を自由に歩く機会がほとんどない彼ら。

みんなで歩くというだけでとても盛り上がっていました。

そんな機会に立ち会えて、こちらもとてもうれしくなる授業でした。

こどもたちと歩くと、目線が低いためか、我々が気が付けない場所の植物を見つけます。

彼らの視線の高さでの発見が、私にはとても新鮮でした。

自然や植物、ジオからの地球の歴史、海と山の関係や漁業、松くい虫被害や石浜での水切り。

散策路でたくさんの興味のタネを見つけられたようです。

こどもたちが学ぶ舞台として、国立公園がもっと利用されるよう、働きかけができたらいいなと思います。

講師をしながらだったので思うように記録に残せませんでしたが、

自然に触れる生徒たちの様子をご覧ください。

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2018年10月18日首崎(こうべざき・大船渡市)の自然環境調査

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

紅葉の便りが各地から聞こえていますが、三陸沿岸はまだもう少し先のようです。

先月になりますが、大船渡管内でも特に自然性が高く、独特な景観を持つ

三陸町崎浜の首崎(こうべざき)へ自然環境調査へ行ってきました。

昨年6月以来で、今年は季節を変えて初秋に実施しました。

首崎は太平洋に突き出た半島先端にあり、雄大な外洋・海食崖・連なる半島など絶景が眺められる場所です。

徒歩でしか到達できない先端、そこで見る景色は格別ですよ。

気軽に訪れることができないため、パークボランティア活動の一環で不定期に調査しています。

半島先端へ向かうため、序盤は林道を歩きます。

この林道はしっかりした作業車であれば通行できます。

私たちはせっかく気持ちのいい道なので歩いて進みます。

 

 

林道に別れを告げ、先端へ向かううっすら残る道へ逸れます。

半島先端部の自然の厳しさを示すように、木々はまっすぐ高く伸びずぐにゃぐにゃ。

強風で倒れている木もいい雰囲気です。

 

 

林道を逸れてから1㎞ほどでこの辺りでは珍しい、カシワの群生林。

その先いよいよ木々は少なくなり、視界が開けてきます。

夏と違って咲いている花は少なく、木の実や種など落ち着いた感じ。

 

 

馬の背、道なき道を先端目指して進みます。

陸中南部地区の海岸部では珍しい草地の植生になっています。

すぐ下に崖、岩場、荒波が見えるので高いところが苦手な方はちょっと大変です。

いよいよ首崎灯台が見えてきました。

すぐ下の斜面が崩れてきているように見えます。

このまま崩れが進んでいくと、灯台のある先端へ行けなくなってしまうかもしれません。

昨年の調査の写真と比べてみます。

撮影するときの立ち位置がちょっとずれていて、左側の斜面の崩れ具合が昨年の写真では見えませんが

赤丸の箇所に注目、昨年は崩れて草が剥げてしまっていた箇所が植物で修復されているのがわかります。

稜線に沿って生えるマツも一回り大きくなっています。

崩れが進んでいるかと思われる左側の斜面を次回はしっかり記録してこなくては。。。

引き続き、首崎の植生、地形などの変化を記録していこうと思います。

この日見られた植物たち。

厳しいこの秘境の地でひっそりと生きているかと思うと愛おしくて仕方ありません。

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2018年09月05日出前授業に行ってきました~陸前高田市・広田小学校~

三陸復興国立公園 坂本麻由子

大船渡自然保護官事務所の坂本です。

陸前高田市広田小学校6年生の「地元地域を学ぶ」をテーマにした

総合学習の授業にお邪魔してきました。

三陸復興国立公園の一部である、彼らのふるさと広田半島の自然の素晴らしさを知ってもらうため、

環境省から"国立公園について"、

三陸ジオから"ジオパークについて" の話題提供をする出前授業を行いました。

そして、私はその授業の中で、三陸復興国立公園の素晴らしい自然に多くの人が触れてほしい

と始まった取り組みとして"みちのく潮風トレイル"という面白いものがあるよと紹介してきました。

☆みんなまっすぐ前を向いて聞いてくれました

☆トレイルマップを広げて自分たちの住んでいる場所を確認中

自分たちの住む場所の魅力をこれからの学習で学び、発見し、

地元の誇りをもって社会に、世界に飛び立ってほしいと思います。

教室での授業の後は、岩手県立大学島田准教授指導のもと、

昨年から継続して取り組んでいる「海浜植物の再生活動」の現場、

大野海岸の植生調査に同行させていただきました。

児童たちは花いっぱいの海岸にすることを目指しているようで、

実現すればトレイルの見どころにもなると期待されます。

その様子を少しですがご覧ください。

☆去年の秋に自分たちで海浜植物を植えた場所の状況をモニタリング

【ハマヒルガオ】       【ハマニガナ】         【ハマニンニク】

☆各種順調に育っている様子でした

 

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2018年07月30日碁石海岸*夏の香

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

みなさん、こんにちは。

大船渡自然保護官事務所の坂本です。

 

夏休み、どうお過ごしですか?

今日は碁石海岸の夏の花風景をご紹介します。

*ツリガネニンジン*

ベル型の小さな花姿がとってもかわいいですよね。

*オミナエシ*(左・黄)と*オトコエシ*(右・白)

秋の七草、オミナエシですが、夏に咲いています。

仲良く女と男が並んで咲いていました。

*ナンバンギセル*

ススキなどの根に寄生する植物。パイプのような形からキセルという名が付いたそう。

陰にひっそりと咲いているので、草をかき分けて探します。

*キンミズヒキ*

全体的にはほっそりと地味な植物ですが、その姿から"金水引"...

その名づけセンスに心をグッと掴まれた植物です。一つ一つの星形の花がかわいいですね。

*スカシユリ*

三陸の夏を代表する花です。

が、主に岩場で上を向いて咲くため、なかなか近くで観察できないのです。

無機質な岩場に鮮やかなオレンジ色が映えます。

 

*ヤマユリ*

夏の碁石海岸の主役です。園内は甘い香りでいっぱいです。

右の写真のヤマユリ、花弁のかたちが・・・細く、まるでスカシユリのようです!!

珍しい形だったので発見した時にはドキドキしました。。。

まだまだご紹介したいところですが、今回はここまで。

 

最後に。

ヤマユリのやっと開いた花がポキポキ折られる現象が毎年起きます。

出くわしたんです、現行犯です!!

ご覧ください。

カモシカくん・・・

お口の周りにしっかり雄しべの赤い粉がついてます。

まぎれもなく、犯人はあなたですね。

碁石海岸のヤマユリが咲くの楽しみにしているのは、人間だけじゃないのですね。

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2018年07月23日山林火災その後 自然環境モニタリング*5月・6月・7月

三陸復興国立公園 坂本麻由子

皆さん、こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

 

しばらく報告できずにおりました、すみません。

楽しみにしているよとお声を頂いていた、「山林火災その後」。

月1回の調査は実施しておりましたので、5月~7月まで比較形式で報告したいと思います。

 

この調査では、条件別に5カ所の定点を設定しています。

 

【P1】火災の被害が少なかったエリア。クマに壊された看板のある丘の背後の林に火の手は回った。

  植物種は確実に増えて地上に現れているが、7月になっても大きく成長するものは見当た

  らない。小高い丘になっているので、日照条件は悪くはない場所なのだが。

【P2】火災の影響が激しかったとみられる杉林の中。日陰の地面。

  植物種が著しく増えた様子はなし。5月に出ていたヤマジノホトトギスに7月には花芽が

  ついていた。その他多く見られたのはフタリシズカ。他の火災被害を受けていない杉林の

  地面と比較してみるとよいかも。

【P3】火災の影響が激しかったとみられる杉林の中。日当たりのよい、開けた斜面。

  4月の時点で群生地になるであろうと見られていたマルバダケブキが、6月の時点で地上か

  ら消滅。おそらくシカの食害かと思われる。葉はおろか、茎もすべてなくなっていた。

  他の山林では、シカはマルバダケブキには見向きもせず、ほとんど食べないため、繁茂群生

  している状態。このエリアを訪れたシカたちは他の植物がないために食したのでは。

【P4】火の手が回った雑木林の開けた場所。

  植物は確実に増えている様子。目立って大きく育つ種は見られない。

【P5】延焼範囲の先端部。尾根をまたぐ箇所。

  半島先端側から半島根元を向いて撮影。

  5月にはナツトウダイとキツネノカミソリの葉が群生。6月にはナツトウダイの花期が終わ

  り枯れ、キツネノカミソリの葉も花の準備のため地上から消えていた。7月に残っていたの

  はフタリシズカの群生。

どこの定点に於いてもいえることですが、火災が起きていない、日照条件等が似ている

同時期の杉林、雑木林の地面を比較の意味で観察してみることも必要かなと感じました。

今は、季節や条件に応じて植物が芽吹いているようで、長い時間をかけて火災前の植生に近づいていくのかと思います。

 

 

最後に、植物から少し目線を外して、7月には生き物の姿が見られたのでご紹介します。

 

まずはヤマカガシ。

猛毒ヘビですが、見ている分にはとてもかわいい顔をしています。

夏に産卵をするはずなので、この子は生まれてそんなに時期が経っていないのだと思います。

首の黄色がしっかりと残っています。

 

そして種類はわかりませんが、セミの抜け殻が沢山ありました。

セミの幼虫は土の中で数年以上生活しているはずなので、去年の火災の時にも土の中にいたはずです。

火の影響は地中までは及ばなかったのですね。無事羽化できて良かったです。

調査の復路、羽化場所を探してウロウロしている幼虫に会いました。

午後だったので這い上がってくる時間にはちょっと遅い気がしますが、

火災にも負けず生き抜いてきた幼虫です。

無事羽化して羽ばたいて欲しいですね。

7月までの報告はここまで。

また次回をお楽しみに。

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2018年07月02日国立公園で楽しむ☆みちのく潮風トレイルイベント

三陸復興国立公園 坂本麻由子

みなさん、こんにちは。

大船渡自然保護官事務所の坂本です。

ここ三陸はまだジメジメ梅雨と暑さに辛抱の時期ですが・・・

6月開催された、みちのく潮風トレイルイベントの様子をお伝えしたいと思います。

いずれも国立公園の自然を満喫するウォーキングになりました。

 

◎まずは6月2日陸前高田市・黒崎仙峡にて◎

黒崎仙峡は、果てしない年月による荒波が

陥没して切り立った崖と崖の間に狭い水路を造り

岩々を侵食してきた、自然の造形を楽しめる場所です。

その黒崎仙峡を目指し、広田半島のちょうど真ん中六ヶ浦漁港からスタート、

約5㎞の自然歩道を歩くコースです。

このコースは昔から、東北自然歩道として地域の方々に愛されていた道です。

みちのく潮風トレイルにふさわしい海と自然に存分に触れられるコースということで、

これからは国外・県外のハイカーも訪れて、楽しんでもらえると期待しています。

パークボランティアの自然解説付きでした。

海のすぐそばに遊歩道が整備されています。まさに潮風トレイル。

歩く道は林の中を縫っているので陽射しが柔らかで歩きやすいのです。

黒崎仙峡。断崖の上にコロンと置かれた岩、直径2メートルほどあるのですが

『天狗の投げ石』と呼ばれています。天狗がお手玉にして遊んでいたとか・・・

◎そして6月23日大船渡市・碁石海岸にて◎

碁石海岸にはリアス海岸特有の海岸風景・地形・地層など、たくさんの景勝地があり、

碁石海岸丸ごと国の名勝及び天然記念物に指定されています。

この日のイベントでは碁石埼灯台のある碁石岬から北上し、

大船渡の宝・穴通磯を目指す約4㎞のコースです。

とてもきれいに整備された遊歩道ですが、階段でのアップダウンもあり、
リアス海岸ならではの迫力を楽しめるコースになっています。

日本ロマンチスト協会で認定された『恋する灯台』

たくさんの入り江を通過します。海の色が深さによって変わります。

何度かお目見えしてます、『穴通磯』。何度見ても迫力があります。

楽しかった思い出の集合写真。また次のイベントでお会いしましょう!!

みちのく潮風トレイルが新しい国立公園の楽しみ方として浸透してきたと実感しています。

国立公園はなぜか敷居が高いと思われがちのようですが、そんなことはありません。

ここ三陸復興国立公園は、たくさんの方々に訪れてもらってこそ

存在の意味があると思っています。

皆さんのお越しを心よりお待ちしております。

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