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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

今年の冬も会えました!グルルル

2020年12月22日
大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

温暖な三陸沿岸もうっすら雪化粧、冬らしい冬を楽しんでいます。

冬らしいと言えば、ここ岩手県や宮城県の沿岸部では

毎年冬には楽しみ楽しみに「ある鳥」がやってくるのを待っています。

海藻が大好きで 海で暮らす 珍しいガンの仲間

そうです、「コクガン」です。

黒い嘴・顔・体に真っ白な首輪とおしりがかわいいコクガン。

海をスイスイと泳ぐ姿は優雅で気品すら感じますが

陸上を歩くぼってりとした体とのんびりした動きは

どちらかというと「かわいらしい」ですね。

震災後、ほとんどの岸が防潮堤工事で覆われていた際には

飛来しているかどうかも確認できなかったので

防潮堤ができて景色が変わってしまったら来てくれないかも

と心配されていましたが、工事が落ち着き観察できるようになってから

毎年冬から春にかけて海岸や漁港などに戻ってきてくれているのを確認できています。

雪の積もった砂浜を写真に収めようと気仙沼市大島にある

小田の浜(こだのはま)へ行ったのは12月18日。

日中気温が上がってしまったらすぐに溶けてしまう砂浜の雪景色。

きれいだなぁと見とれていたら

なにやら「ぐるるる」「もきゅもきゅ」と声がします。

そぉっと近づいてみたら、コクガンでした。

しゃがんだり一本足でお昼寝しているのかリラックスモードのみんな

波打ち際でこの後どうしようか作戦会議中のみんな

比較的警戒心が弱い鳥とは言われていますが、

私自身、こんなに近くまで寄れたのは初めてで、

砂浜で観察するとじりじりと近づけるからいい!と気がつきました。

これまで漁港や桟橋から泳いでいるコクガンを眺めていたので。

逆光じゃない写真も撮りたいと向きを変え、反対側へ移動したグループを追いました。

きれいに白い首輪が見えていますね。

雌雄同色ですが、黒色が濃いほど長く生きているそうです。

寒くて外に出るのはちょっと、、、ともったいないことは言わず

今しか見られない出会いを楽しむのはいかがですか?

コクガンたちは12月から3月あたりまで三陸の穏やかな海で豊かな藻をついばみ

越冬した後さらに北へと旅をします。

北海道から東北にかけ沿岸で見られる貴重な鳥で

国の天然記念物、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ種(VU)に指定されています。