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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2008年07月22日蓮にくる鳥

秋田 足利 直哉

 前回の日記の冒頭で蓮の花が見頃を迎えました。という話題から入りました。日に日に開花する花の数が増えてきたようです。
 大潟草原鳥獣保護区内で蓮の花が見られるのは『南の池』で、今ちょうど見頃を迎えています。蓮の花が咲いているその光景だけもキレイで見応えもあるのですが、それに野鳥達が加わった光景は、より一層”大潟村らしく”見えます。



 蓮の間を縫って【バン】が泳いでいました。今年は池で護岸工事が行われその影響で毎年ここを気に入って住み着いていた【バン】がもう来なくなるんじゃないかと心配しましたが、今年も元気に過ごしています。


 蓮の茎につかまって餌を狙う【ヨシゴイ】もここの常連さんです。今はまだ蓮が密に茂っていないのでこの様に観察できますが、花が終わって葉が大きくなるとこうやって見ることも出来なくなるんでしょうね~。それにしても【ヨシゴイ】の首って長く伸びるんですね~?


 蓮のつぼみの上に【カワセミ】がとまって餌を狙っていました。【カワセミ】にしてみたら餌を狙うにちょうど良い止まり木のような物だったのでしょうが、我々にしてみたらなんて絵になる行動でしょうか!カワセミGood job!!

 今の秋田市内は雨が降っていますが、雨が上がったチャンスを見計らって『蓮の花見と蓮に来る鳥見』を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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2008年07月18日続・オオバンの親子

秋田 足利 直哉

 大潟村の南の池では蓮の花が咲き始めました。秋田市街の公園でも蓮の花が見頃となってきました。近くに学校がある高校生が通学途中に足を止めて携帯で蓮の花の写真を撮っていました。きっと凄く綺麗に咲いているんでしょうね~私も帰りに寄り道してみようかな?と考えています。

 
 さて、以前(6月24日)この日記で「オオバンの親子」の記事を書きました。その時、雛たちは黒い体に頭部が赤くて、親鳥とはちょっと見た目の違う姿をしていましたよね?
 先日見たときは、それとはまた違った姿になっていましたのでご報告しようかと思います。



 成長した【オオバン】の雛たちは体は相変わらず黒いですが頭部は白くなっていました。雰囲気がちょっと柔らかくなったように感じられます。どうやら全身に羽が生えそろったみたいで、見た目からも雛らしいふわふわ感が感じられます。
 でも食欲が旺盛なのは相変わらずでした↓



 親鳥が潜って藻(?)を採ってくると直ぐに泳ぎ寄って、嘴から奪い取るようにして何度も何度もたくさん食べていました。雛同士で激しい競争をしているようです!!

 【オオバン】の親子を久しぶりに見られて、嬉しかったのですが雛の数が少なくなっていたのには複雑な気持ちになりました・・。生まれた瞬間から周囲には当たり前のように天敵がいる環境で育っているんですね!改めて自然界の厳しさを感じましたし、今いる雛たちにはどうか無事で成長してくれることを願わずにはいられません。

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2008年07月17日一石二鳥

秋田 足利 直哉

 引き続き森吉山の外輪山を歩いたときの話です。この日は黒石川林道の出会いから割沢森を経て小池ケ原までを往復で歩いてきたのですが、このコースは観察会を行った高場森よりも更に人気のないコースです。理由は割沢森と小池ケ原の間にある急な登山道です。私ももうすぐ小池ケ原だとは解っていても「まだかよ・・」と泣き言を言いたくなったほどです・・

 そんなコースですから当然整備も行き届かず場所によっては、歩道が見えなくなっていました。このエリアは地元の方々を中心にしっかりとした整備がなされますので、間もなくここもキチンと整備されるのでしょうが、その際一石二鳥になりそうな現場がありました。(私個人はプライベートで藪山も歩いているのでこれくらい全く意に介さないのですが・・・)



 【フキ】が密生していて木道が一部隠れてしまっていました。整備する際には刈り払われるのでしょうが、【フキ】はご存じのように食用になるんです。と言うことは刈り払った【フキ】を持って帰れば・・・一石二鳥じゃありませんか?

 でも【フキ】なら何でも食べられるというわけではありません!と言うよりはどれを食べても美味しいわけではない!と言った方が正しいのかも知れません。


 【フキ】の茎部分を写してみました。赤みがかった茎と緑の茎があるのが分かるかと思います。秋田では赤フキ、青フキと呼んでいて食用に適しているのは青フキとされています。※赤フキは筋っぽくて美味しくないとか・・。



 今度は青フキが株立ち(?)している物を写してみました。写真に番号を振りました。この中で食用に適しているのは①と③だと言われています。②は真ん中にあって秋田では「真ん中はスカスカしていて味がない」として敬遠されます。
 更にはもう【フキ】を初めとした山菜のシーズンは終わったんじゃないか?と思われるかも知れませんが、余程日当たりの良い場所以外は秋まで大丈夫なのだそうです。

 登山道の整備になって、食卓が豊かになってと一石二鳥じゃないですか?
 これをきっかけにこのコースを歩く人が増えて、山菜などの地域食が更に見直されて・・・もしかしたら一石三~四・・鳥にもなったりして・・・。

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2008年07月16日蝶を食していたモウセンゴケ

秋田 足利 直哉

 今日の秋田は朝から気温が上がっています。風も止まっているので駅前でバスを待っている間にも汗がにじんできます・・。

 数日前に森吉の巡視を2日続けて行いました。初めは渓谷コースを、後からは外輪山の稜線歩きをしてきました。全く特徴の異なるコースを歩いてきたのですが、2日間ともに【モウセンゴケ】を観察できました。森吉エリアでは渓谷沿いにも山頂付近の湿原にも【モウセンゴケ】見る事が出来ます。
 
 ↓写真は2日目に小池ケ原の湿原で出会った光景です。【モウセンゴケ】に蝶が捕まってしまっていました。蝶はまだ捕まったばかりのようで必死にもがいていましたが、もがけばもがくほど自らの羽は破れ、粘着液に触れる箇所が増えていきました。
 時間の関係で長くは観察できなかったのですが、最初に発見したときと最後に見たときでは何となくではありましたが【モウセンゴケ】が蝶をしっかりと捕らえるために動いていたように感じました。



 ご存じの方も多いと思いますが、【モウセンゴケ】は食虫植物です。因みにコケの名前が付いていますがちゃんとキレイな花も咲く被子植物です。
 いつ来るとも解らない虫を待ち続けて葉を伸ばし、その葉には粘液が備わっていてこれに虫がくっつくと毛のように伸びている粘毛と葉自体がそれを包み込むように変形していき、やがてその虫を包み込み消化・吸収していくのですが、私が見たのはその最初の段階です。

 ↓の写真はその粘毛と葉を20倍の顕微鏡で見た映像です。毛の先端についた水滴にみえる物がじつはネバネバしているのです。



 【モウセンゴケ】の名前のうちコケは実は正しくないとは既述しましたが、モウセンとは何か?というと、漢字では「毛氈」と書きます。余計難しくなった気もしますが、ちょっと思い浮かべてみてください・・・日本庭園に茶席が設けられている場面を・・・。その茶席には赤いじゅうたんかフェルトのような布が掛けられていますよね?それを緋毛氈(ひもうせん)といいます。【モウセンゴケ】が密生している光景を見て昔の人はそれを連想したのだそうです。私が歩いた場所には残念ながらそれを彷彿させるほどの密生地はありませんでしたが・・。



 1番濃くあったところでもこんな感じでした↑。イワイチョウの方がかなり優勢ですね?でも想像をたくましくすれば・・・見えなくもないような・・・苦笑
 しかし緋毛氈が敷き詰められたように【モウセンゴケ】があったらどうなるんだ?と虫たちへの同情を感じますが、実際【モウセンゴケ】は虫を食べなくても根から養分・水分を吸収して生きていけるんです。
 そうやって色々考えていくと私は結構貴重な場面を観察したのかも知れないなぁという気になってきました。

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2008年07月15日コムクドリの子育て

秋田 足利 直哉

 事務所の窓を開けて仕事をしていると、雑踏の中からブラスバンドの音色が響いてきます。事務所近くにある球場でも高校球児達が甲子園目指して熱戦を繰り広げています。この雰囲気にも『夏間近』を感じますね~。

 
 このところ大潟へ巡視に行く際には、水辺へ注意を払うことが多くなっていました。承水路はもちろん、池や農業用の水路など「水」のあるところでじっくり観察する事が多くなっていました。
 特に林は葉が茂り、草丈が伸びて観察しにくくなってきていたので、意識はしていなかったのですが何となく、注意が欠けていたように感じて、この日は「林もじっくり見よう」と意識して巡視してきました。

 すると【コムクドリ】のペアが忙しく飛び回っている場面に遭遇しました。立ち枯れた松の木に向かって何回も何回も飛んできます。私の居た方向からは見えませんが、どうやらアカゲラの古い巣穴があるようで、それを【コムクドリ】が再利用していました。※以前、この日記でコムクドリがキツツキの巣を再利用しているという記事を書きましたがその場所とは違います。
 


 巣穴に来る頻度はかなり頻繁で、次々と餌を雛に運んでいたようです。巣穴の前でホバリングしながら餌を与えることもありました。



 しばらくして親鳥たちが休憩を始めました。かなりの長時間、何度も何度も餌を運んでいたのでちょっと一休みといった感じでした。すると巣穴から雛が顔を出して親鳥を探しています。オスともメスとも付かない羽色でやや黄色がかって見えました。キョロキョロして親鳥を見つけると『もっとちょうだい』と言っているようです。

 初めは顔だけを覗かせていた雛が徐々に身を乗り出してきました。猛烈におねだりを始めたようです。それを見た親鳥たちは、このあと餌探しを再開していました。

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2008年07月10日Fairy

秋田 足利 直哉

 森の中にはたくさんの妖精達がすんでいるのをご存じでしたか?「そんなのいるわけないじゃん!」って思っているかも知れませんが、本当に妖精はいるんですよ!!

 妖精達は森吉山麓のある場所にすんでいます。妖精には仲間が沢山いて楽しく過ごしているのですが、すめる環境が限られているから、そこまで歩いていった人にしか見ることが出来ません・・・
 しかも、かつて心ない人達が妖精達をさらっていったことがあったものだから地元の人達も妖精の存在を語らなくなってしまっています。いることを知っているのに誰も教えてくれないなんて悲しくないですか?



 森吉の妖精は白く美しい嫁入り衣装をまとい、肩の後ろ側には羽があります。うす紫色の角隠しと、首から提げたアクセサリーが印象的で、それはそれは小さく、美しく、儚い姿をしています。
 この妖精にあってみたいとは思いませんか?もしあなたがこの姿を見つけても連れ去ったり、傷つけたりしないと約束していただけるのなら、是非、妖精探しに出かけてみてください!もう少しの間、妖精達は姿を見せてくれているはずですから・・・

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2008年07月09日アオサギ くつろぎのポーズ

秋田 足利 直哉

 今、大潟草原鳥獣保護区の管理棟から見えるサギのコロニーでは続々とアオサギの雛が巣立っています。賑やかだったコロニーも随分と空になっている巣が目立ち始めてきました。

 その巣立ったアオサギ幼鳥や未だ繁殖期を迎えていない若鳥たちが、暖かな日中、南の池に集まって過ごしています。アオサギ版の乳児園&幼稚園といった雰囲気です!!

 アオサギと言えば野鳥観察会などでかなりの頻度で観察されるごく一般的な野鳥ですが、その殆どが単独行動をしていてここに1羽、あそこにも1羽、向こうにも1羽といった具合に個体毎に一定の距離を保って行動しているイメージを持っていたのですが幼鳥&若鳥たちは違っていました。
 若さ故に単独行動をとるにはリスクが多すぎるので集団行動をしてお互いの安全を確保しているのでしょうか?その数48羽!体の大きさも相まって大大集団に見えます。

 しかし彼らの動きや仕草はどこかコミカルで観察していると凄く楽しくなります。今日はついつい和んでしまうような仕草を集めてみました。


足を完全にたたんで”伏せ”状態でくつろぐアオサギ若鳥


足を曲げて”お座り”状態でくつろぐアオサギ幼鳥


”半身浴”状態でくつろぐアオサギ若鳥

 写真に『↓・→』を付けてみました。彼らは他のアオサギに比べてくつろぎの度合いも高いように感じられます。なんだか癒されますね~

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2008年07月08日土浴

秋田 足利 直哉

 最近、夕方になると窓の外から『竿灯まつり』のお囃子が聞こえてきます。街のあちこちで、このお囃子が聞こえ、竿灯の差し手の練習を見かけるようになると、夏はもうすぐそこまで来ていると実感します。

 今日はかなり蒸し暑い一日でした。

 いつものように大潟の巡視コースを回っていると、よく見かける【キジ】のオスに出会いました。個体識別が出来ているわけではありませんが、彼の縄張りと思しきエリアでかなりの頻度で出会っています。

 今日の彼は畑の中にいました。そこは何かの収穫が終わって次の耕作のために最近耕したばかりの場所でした。



 小さなうねりのある畑の窪んだところにうつぶせ(?)で彼はいました。しばらく見ていると嘴で畑を耕すような行動をはじめました。もっもしかして・・・






 彼の耕した(?)土が徐々に肩のところに乗っていったのでこれは『土浴』を始めるんじゃないかと直感的に感じてカメラを連射し続けました!
 かなり激しく土を舞い上げるんですね?彼が体をブルブルと震わせる音も、土が地面にたたきつけられるバラバラって音も聞こえ、迫力のあるシーンが観察できました。

 この畑の土は耕したばかりでフカフカなようでしたからきっと気持ちよかったのでしょう!何度も何度も浴びては頭を掻き、羽を広げて気持ちよさそうです!!でも小鳥たちの水浴を見た時ほど羨ましくは感じなかったのは何故でしょうか?(苦笑)

 土浴&羽繕いが終わって満足げな表情に変わっても彼はそこで腹ばい(?)のままで去ろうとはしません。その仕草が、犬が暑い日に土を浅く掘って、そこに腹ばいになって暑さをしのいでいる仕草とダブりました。もしかしてそんな効果もあったのでしょうか?

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2008年07月07日【実施報告】自然観察会『森吉山麓のスギ原生林を訪ねる』

秋田 足利 直哉

 週末の秋田県内は「曇り時々晴れ」悪くはない天気でしたが、エリア全体に”もや”がかかったように見通しもきかず、肌に湿気がまとわりつくような梅雨独特の空気が立ちこめていました。しかも日曜日は県内各地で気温が30度を超える暑い一日・・・。こんな日は森の中で過ごすに限りますね!!

 
 今回の観察会は39名と定員(と私の予想)を超える方々にご参加いただきました。秋田での森吉エリアと天然杉への関心の高さなのでしょうか?
 観察会がスタートして直ぐにモリアオガエルの卵塊、ツキノワグマの足跡、可憐な花、大きくなり始めた木の実・草の実など、解説をする方も聞く方も忙しい!順調な滑り出しとなりました。



 今回は特に樹木に詳しい講師・スタッフ陣がその手腕を大いに発揮して、詳しい説明がなされていました。樹木の識別の仕方・実について・特性について・活用方法などそれぞれが自らの経験を元に話をしますから、そりゃ説得力もありますよね?



 ↑の写真は隣の小ピークから高場森の天然スギ自生地を眺めています。写真では解りにくいのですが・・・この森には樹齢200年を軽く越える大木だけでなく、まだまだ成長を続けている育ち盛りの若木も見られます。よく見ると全体に丸まっているもの(樹齢200年を軽く越える)に混じって、空に向かって尖ったもの(育ち盛りの若木)も散見できますから・・・。この天然スギの森は世代の異なるスギが同時に存在する森なのです。



 足下にはこんな次世代への力も芽生えていました。力尽きて倒れた杉の幹に新しい芽が出ていました。他にもよく見るとここ数年の間に生まれた新しいたくさんのスギが確かに育っていました。
 ある参加者の方は『ここは秋田の宝だね!』とおっしゃいっていましたが、このお宝は天然更新がなされていて、まだまだ未来に希望を繋いでいるお宝です。

 観察会終了後には『知識が増えて賢くなったようだよ』と感想をいただいて我々スタッフ一同も嬉しくて、気分良く家路につきました。

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2008年07月04日地味かもしれませんが・・

秋田 足利 直哉

 秋田では昨日の昼過ぎから雨が降り出し、今も梅雨らしさ満点です!週末日曜日に森吉での観察会を控えているので空模様が気になります・・・。

 昨日はその下見に行ってきました。今回の観察会は『高場森のスギ原生林を訪ねる』と題して行います。その高場森の頂上部は天然スギ主体の森です。「秋田杉」の山地として高名な秋田県にあってもその存在は稀有なもので、国の天然記念物に指定されています。
 本来、天然スギは標高600~700mが最も生息に適した標高とされています。造林するにあたっても標高700m以内を目安に行うそうです(秋田県内の場合)。それに対して高場森の標高はぴったり900mですから、その差200m!!標高が100m高くなれば気温が0.6度下がると言われていますから最小でも1.2度の気温差が常にあるとも言えますよね?(もちろん一概には言えないのですが・・・)そんな厳しい環境にありながら天然杉の大木がたくさん見られます。



 そんな事が主因で天然記念物となっているのですが、正直いって”地味”なんですよ・・・登山者やハイカーにも人気・知名度共に低く、巡視中も人に会うことは、ほとんどどありません。今回の下見も我々以外に歩いている人はいませんでした。
 しかしその分、どっぷりと森の中に浸って・じっくり自然観察をし・ゆったり流れる時間の中で休日を過ごすには良い場所だと思います!


 観察会では多くの花が見られる事と思いますが、花盛りを迎えていた花もどういう訳か地味な花が多かったです。


【ツクバネソウ】足下にたくさん見られます。以前「どれが花?」って質問されたことがありますが、それを観察する絶好の機会になると思います。


【サワグルミ】逆に足元ばかり見ていると見逃してしまいます。クルミの実は丸いですが、花は紐状です。実がなった様子を想像すると・・・秋が楽しみですね~

 来週にはその観察会の模様をお伝えします。

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