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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2008年08月21日レアなツーショット

秋田 足利 直哉

 大潟草原鳥獣保護区の巡視へ向かう際、ちょっと寄り道する西部承水路から連続している水辺でかなりレアなツーショットを見ましたのでご紹介します。

 私がこの現場に到着したときには、白いサギだけが5羽いました。このところ観察され続けている【カラシラサギ】が3羽、ダイサギが1羽であと1羽は嘴を羽の下に隠すようにしてジッとしていましたが、大きな体でがっしりした体型だというのは双眼鏡を使わなくても解ります。
 「もしかしてっ??」と期待しながら双眼鏡を覗くと嘴の付け根部分から目の廻りが真っ黒です。そう!【クロツラヘラサギ】でした。

 
 この場所は、いつも中州状に砂場が現れている場所で、色んな野鳥が観察されるホットスポットなのですが、この時は潮の動きと放水が重なったようでどんどん砂場が見えなくなっていきました。そうなると【カラシラサギ】は餌が採りにくいのか1羽が飛び去り、続けてもう1羽が飛び去っていってしまいました。ちょっと離れた場所にいた【ダイサギ】もいつも間にか居なくなっていました。


 残った【カラシラサギ】と【クロツラヘラサギ】を観察していると・・・



背後にいた【カラシラサギ】がゆっくりと【クロツラヘラサギ】に近寄っていきます。【クロツラヘラサギ】は羽繕いに夢中になってしまって近づく【カラシラサギ】に全く気付いていない様子・・・

 

徐々に距離を詰めて、嘴が触れるほどの距離まで近づいたとき!【クロツラヘラサギ】がハッと気がついてお互いの目と目があいました・・・

 

 
 さて、このあとどうなったのでしょうか?(^^)皆さん想像してみてください!!

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2008年08月20日大潟のヨシ原でみられるトンボ

秋田 足利 直哉

 いつもの通勤電車に夏休み明けの学生達が戻ってきました。混雑した電車に雨で濡れた傘や洋服が湿度を上昇させて・・・電車に乗っている時間がいつもより長く感じられました・・。

 さて、昨日は森吉の渓谷で見られるトンボをご紹介しました。今日は大潟草原のヨシ原で最も多く見られるトンボをご紹介します。



 羽の先端の濃色が特徴的な【ノシメトンボ】です。とにかくもの凄い数です。この他にもシオカラトンボの仲間やアキアカネなども飛んでいますが数の上では圧倒的に【ノシメトンボ】が優勢です。



 【ノシメトンボ】は7月の上旬には既に観察できていましたが最近では連結して飛んでいる個体も見かけます。それにしてもびっくりするほどの数が飛んでいますから大潟草原のヨシ原はトンボたちにとってもすみやすい場所なんでしょうかね?

 普段、大潟草原のヨシ原を巡視する際には、大きな足音を立てないように静かに歩きながら周囲に注意を巡らせて歩きます。そして視界に入った野鳥たちの姿を観察するのですが、その時に紛らわしいのがこの【ノシメトンボ】です。視野の端に「なにかが飛んでる」と思ってその方向を見ると飛んでいるのはこのトンボって事がよくあります・・・苦笑
 いくら大潟草原に小鳥が多いからってトンボと見間違えるようなサイズではないのですが、飛ぶ物が目にはいると反射的にその方向を見てしまいます。すると「うわぁまたトンボだった・・」となるんです。最近特にその傾向が強くなってきました。
 パッと見たトンボが三宅ARが紹介していたチョウトンボだった時やイトトンボの仲間の時は、ちょっと嬉しくてそのまま観察するのですが・・・(こんな事ではいけませんね!!)

 それとこの【ノシメトンボ】は野鳥たちにとっては食糧となるようで、これを咥えている小鳥たちをよく見かけます。その光景を見る度に「この大潟草原で過ごしている小鳥たちも廻りには天敵がたくさんいて緊張感のある生活をしているんだろうけど、その彼らの餌になってしまうトンボたちも同じような状況で日々を過ごしているんだろうな~」なんて考えてしまいます。

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2008年08月19日森吉の渓谷でみられるトンボ

秋田 足利 直哉

 今日の秋田市は、朝方に降った強い雨による”打ち水”効果で昨日までの暑さが一段落しています。


 昨日は赤水渓谷での観察会の模様をお伝えしました。その赤水渓谷をはじめ、人気の桃洞滝コースなどの渓谷では【ミヤマカワトンボ】がよく観察されています。

光沢を放つメタリックブルーともメタリックグリーンとも見える躯に黒い羽の個体はオス♂


茶色い躯に暗褐色の羽の先に白斑が見られる個体はメス♀

 
 夏の日差しが良く入り込む渓谷の中をバシャバシャと歩いていると、ヒラヒラと優雅な姿を見せてくれます。「飛ぶ」というよりは「舞う」と言う表現がぴったりです。

 私の印象では完全に開けた場所よりは、少し日陰になっていたり、渓谷に被さるように低木が生えているような場所で多く見られる気がします。
 渓谷沿いのコースを巡視する際には【ミヤマカワトンボ】がよく見られる場所で昼食を取るのが私の定番になっています!日差しを和らげる木陰で、足下には穏やかな水の流れ、それを渡ってくる爽やかな風・・・そんな中で【ミヤマカワトンボ】に囲まれながらおにぎりを頬張る・・・なんとも贅沢な時間です。

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2008年08月18日【実施報告】自然観察会『天国の散歩道 赤水渓谷を歩く』

秋田 足利 直哉

 昨日、森吉山鳥獣保護区内にあり、『天国の散歩道』と賞されている赤水渓谷を歩く自然観察会を行いました。赤水渓谷は最近マスコミでも取り上げられるようになってきて注目度が上がってきているようで、多数の方々に応募いただきました。
 参加者は40名。今回は”渓谷歩き”と云うことで講師陣・事務所スタッフに加え、鳥獣保護区管理員さん2名にも手伝っていただいて、参加者の安全確保に努めました。

 当日は曇空の雲間から時折青空がのぞき、渓谷に日差しが入り込む絶好の日和となりました。
 観察会は森吉山野生鳥獣センター前から始まり、そこから渓谷の入口まではブナの森の中を歩きます。緑がイッパイの森の中から野鳥や動物たちの姿を見つけるのはちょっと難しいのですが、あたりには野鳥たちの残した「フィールドサイン」がいっぱいです!!



 ここではキツツキたちの食痕を観察しましたが他にも歩道脇のホンドタヌキの足跡や渓谷の砂の上のカモ類の足跡などなど・・よく見ると生き物たちのサインが見つかります。
 また植物に詳しい講師は咲いている花や、実がなっている植物を観察、樹木に詳しい講師は樹木の葉や肌を観察するなどそれぞれ自分の得意分野での観察を織り交ぜていました。



 いよいよ赤水渓谷に入渓すると、ナメ状の川床を甌穴に注意し、浅いところを選びながら歩いていきます。長靴越しに感じる涼やかな水の感触と頬をなでる爽やかな風を浴びて、皆さん自然と笑顔がこぼれてきます。
 赤水渓谷は遙か昔の火山活動によって発生した泥流が沢を埋め、冷えて固まった後、気の遠くなるような年月を掛けて浸食された1枚岩の渓谷といわれ、その景観とそこを流れる水と風と時間が別世界を演出しています。天国がどんなところかは解りませんが、もしこんな場所だったら毎日穏やかに気持ちよく過ごせそうだなぁと思わせます。



 赤水渓谷には多くの湧水ポイントがあるのも一つの特徴です。滾滾と湧き出る清水は渓谷のあちこちで見られ、以前渇水時に数えた時には3桁に到達したほどです。そのうちの1箇所で一口飲んでみましたが、とても冷たくまろやかでとても美味しかったです。天国が育んだ水だからでしょうかね?


 今回の観察会は兎滝と赤水峠の分岐点付近で引き返しました。皆さんは「兎滝まではあとどれくらいですか?」「これをずっといくと何処まで行けるんですか?」「紅葉の時はどんな感じになるんですか?」など色んな興味をそそられたようで、「今度は○○まで行ってみたい!」「秋にもう一度来たい!」と思っていただけたようです。
 観察会は全員無事に森吉山野生鳥獣センターに帰着して終了しました。これをきっかけに赤水渓谷がお気に入りの場所になって、その自然を大切にしてくれる方が増えたという手応えに充実感を覚えた一日でした。

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2008年08月15日飛び込むのかと思ったら・・・

秋田 足利 直哉

 昨日の激しい雨も上がり、今朝の秋田市内は雲間から青空が覗いています。


 さて、昨日に引き続いて【ミサゴ】の話題です。そうしたくなるほど良く逢うんですよ!!

 この時は承水路沿いを歩いていた私の頭上に【ミサゴ】が現れた!と思ったら、鳴きながら旋回を始めました。いつもならば近くで観察していても気にせずに魚を狙っているか、私に気付くとスーッと移動して遠くで魚を狙って居ることが多く、その姿をじっくり私に見せてくれる機会はほとんど無いのですが、なぜかこの時はずーっと何度も何度も頭上を旋回しています。私は見(魅)とれて「こんなシルエットなんだぁ~」とか「翼の内側はこんな模様なんだぁ~」なんて思いながら見とれていました。

 暫くじっくり観察していましたが、【ミサゴ】には魚を狙う素振りも、飛び去る気配も無いので、カメラを構えてみました。



 カメラを構えても頭上での旋回を止めません。サービス良く私の上を飛んでくれたときにシャッターを切りました。キレイな模様がバッチリ見られました!「キレイだなぁ~」と益々見(魅)とれる私・・・



 すると通り過ぎて間もなく、【ミサゴ】が足を現しました。「おっ!ついに狙うのか?」「あれ?でもそっちの方向は水辺じゃねぇよ!」と思いながらシャッターを押し続けていると・・・



 【ミサゴ】の体の後方に無軌道に落下してくる白い物体がハッキリと見えました。そう!排泄でした。よく見ると2枚目の写真にも総排泄腔がハッキリと見えていましたね。
 【ミサゴ】って飛びながらあんなスタイルで、あんな動きで排泄行為をするんだぁ~?となかなか良い(?)シーンが観察できたなぁと喜んでいましたが、よく考えると・・・ちょっとタイミングがずれていたら・・・んっ??

 排泄シーンを観察できて喜ぶよりも、被害に逢わずに済んだことを喜ぶべきだった??

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2008年08月14日ミサゴの魚運び

秋田 足利 直哉

 秋田では今朝の暗いうちからやや強い雨が降り、今も降り続いています。天気予報では雷の心配もあるとのこと。お出かけの方は十分にご注意下さい。


 このところ、私にとって【ミサゴ】との遭遇率の高くなっています。多いときには「あれ?ここにもいる」「あっまた!」ってな具合です。彼らは私が日頃巡視している西部承水路や南の池に餌となる魚を求めてやってきます。
 なので彼らの漁の模様を見かけるチャンスも多くて、いつも「上手いもんだなぁ」と感心してしまいます。
 彼らは水面の上空数十mでホバリングしながら狙いを定めて落下してきます。その様子はカワセミのように一直線に飛び込むスタイルではなく、翼を広げ、何度か翻りながら落下して、大きな音を立てて水に突っ込みます。これは嘴で魚を捕らえる種と足で魚を捕らえる種の違いから来る動きの差なのでしょう!それにあの大きな鳥が水面に突っ込んでいく様は迫力がありますよ!(なんか上手く伝えられてないようで気になってしまいますが・・)

 落下のシーンは撮れていませんが、魚を捕らえた直後の様子をご覧下さい。



 観察していると百発百中と言うわけにはいかないようですが、この時は1回のダイブで見事に魚をゲットしました。結構大きな魚を捕まえるんですね!!



 上の写真は水面から上がってきた直後だったので魚が横向きになっていますが、下の写真ではいつの間にか持ち直して【ミサゴ】の進行方向に合うように魚の頭を進行方向に向けて持っていました。
 以前、鳥獣保護区の管理員さんと話していたときにミサゴが魚を持って飛んで行く時の話になって・・・管理員さん曰く「俺が今まで見たのは全部魚の頭が進行方向を向いているんだよ!」とのことでした。確かに今回もそうなっています。こうした方が運びやすいのでしょうか?本当に逆方向を向けて運ぶことはないのでしょうか?どんな理由があるのでしょうか?
 この時はハシボソカラスがミサゴの魚を横取りしようとしていましたが、【ミサゴ】はしっかりと魚をつかんで放さずに飛んでいったので、ハシボソカラスが諦める。というシーンも観察できました。そんな状況が起こりうるということが、その理由に繋がっているのかも知れませんね?
 

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2008年08月13日マルバマンサクの実

秋田 足利 直哉

 世間では「お盆休み」・「夏休み」の真っ最中ですがアクティブレンジャーには夏休みがありません!!なので今日もいつもと変わらず仕事しています。


 最近、森の中を歩いていると、樹木の枝先等にまだ青いけど確実に”みのり”つつある木の実を見つけることがあります。ヤマブドウやサルナシなどはご存じの方も多い代表的な果実ですが、中にはあまり人目にも付かない地味な実もあります。今日はそんな【マルバマンサク】の実をご紹介いたします。(そんな言い方はマルバマンサクに失礼かもしれませんね・・・)


 【マルバマンサク】の実

 大きさはちょうど指先で摘めるくらいですから、「パチンコ玉大」といったところでしょうか?それが地味ながらたわわに実っていました。実には全体に毛が生えていて、触ってみるとちょっと堅めの毛で、実をつまむと僅かに柔らかい部分がありましたよ。熟すとどうなるんでしょうかね?

 【マルバマンサク】と言えば未だ雪の残る春先に黄色い花を咲かせるので、春を知らせる花として、一時期は大注目を浴びるのですが、周囲が緑に包まれ、多くの花が咲き出す頃になると、いつの間にか忘れられてしまう。そんな存在ではないでしょうか?


 【マルバマンサク】の花 撮影:2008年4月16日

 ついでですから「葉」も見てみましょう!先っぽが尖らない、丸みのある葉を”マルバ”と見て名前が付いたんだろうなぁと想像が付く形をしています。

 【マルバマンサク】の葉

 他にも花の時期は注目するけど、それが終わると忘れられてしまう種類がありますよね?そんな植物をもっと紹介できたらなぁと考えています。皆さんも何処かを歩いていて、「この実はなんの実だろう?」と思ったことはありませんか?調べてみると花と実の意外な組み合わせも見えてきてなかなか楽しいですよ!!

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2008年08月12日タマゴタケ

秋田 足利 直哉

 このところ、巡視などで山を歩いていると足下に”キノコ”がたくさん顔を出してきているのに気がつきます。出来るだけ特徴が解りやすいように写真を撮ってくるのですが、これがなかなかハードルが高い!!
 撮影した写真と図鑑を見比べて「これはなんていうキノコだろうか?」と調べるのですが、なかなか図鑑と同じようなものが見つからずに、結局「何だか良く解らない」なんてことも時々・・・キノコに関しては時にベテランさえも間違って食中毒に陥ることもあるので、私のような未熟者は”とる”のは”写真だけ”にしといた方が無難なようです!!

 今日はそんな私が撮影したキノコの中から【タマゴダケ】を紹介します。これは私のような初心者でも比較的同定しやすいので・・・






 下にいくに従って発生から時間が経過した成菌になるように並べてあります。1番上の写真を見ると『真っ赤なタマゴ』にも見えますが【タマゴダケ】の名前の由来は、全ての写真で柄の根元部分に白いものが見えていますが、幼菌の時は、それがタマゴのように見えることからその名前が付いたそうです。1番上の写真は、白い卵の殻が割れて真っ赤な実が出てきたところにも見えますよね?解りやすいいい名前だと思ってしまいます。



 この【タマゴダケ】は比較的大型であるし、真っ赤な傘が目を引いて見つけやすいキノコです。それほど数多くは見つかりませんが森吉山麓では毎年何処かで見かける種類です。
 先日この日記でもお伝えしたR大の授業の際にも歩道脇にみつけて、ほとんどの学生が興味を持って写真撮影をしていました。ある学生から『これはなんて言うキノコですか?』と質問されたので『これはタマゴダケっていうんだよ!根元にある白い物がタマゴの殻みたいでしょ?』と言うと『あっ本当だ!』と言って殻を触って『柔らかい殻ですね?(笑)』と言った後『これ食べられるんですか?』と聞いてきました。『うん!食べられるよ』と言うと『えーーーーっ食べられるんだぁ?』そして『美味しいんですか?』と・・・。『うん、美味しいらしいよ!っていうか美味しいよ』と笑顔で答えたのですが、若干ひいていましたね・・・(苦笑)
 まさかこんな見た目にも毒々しいキノコが美味いなんて・・・って事ですよね?私もそう思っていましたよ。詳しい方に実物を見ていただいて『間違いない』とお墨付きを頂いてもほんの一口しか食べられませんでしたから・・・


<注意>
 このキノコによく似た毒キノコがあるそうです。食す場合にはキチンとした知識を持った方に同定していただいて、確実な場合にのみ食すようにしてください。にわかな知識でよく解らないキノコを食すのは絶対に止めましょう!

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2008年08月08日続・カンムリカイツブリの親子

秋田 足利 直哉

 昨日が立秋でしたから『残暑お見舞い申し上げます』と言うべきなのでしょうが、秋田ではようやく本格的な夏を迎えています。盛夏にしろ残暑にしろ体調管理をしっかりとしてこの暑さを乗り切りましょう!!

 今日は大潟草原鳥獣保護区にいる野鳥の親子の様子をお伝えします。6月23日のこの日記で取り上げた【カンムリカイツブリ】の親子の姿の続編です。
 その時は親鳥の背中の上(翼の下)にのっかって行動していた雛の写真を載せましたが、今はこんなに大きくなりました。


 まだ姿形は親鳥と大きく異なりますが、サイズは随分と大きくなったでしょう?もうさすがに背中には乗れませんね!
 餌も少しずつ自分で採りだしたようです。時折親鳥が魚を与えてはいますが、自分でも潜っていく様子が観察できるようになってきました。しっかりとは見えなかったのですが、小さな魚を自分で捕まえて食べるようになってきたようです。
 独り立ちまでにはもう少し時間が掛かるのかも知れませんが、きっと逞しく育ってくれることでしょう!


 ちなみに【カンムリカイツブリ】は西部承水路に限らず大潟村をぐるっと囲む承水路全域で繁殖していますので、観察する機会も多いかと思います。是非この可愛らしい姿をご覧頂いて、この雛たちがスクスクと育って、独り立ちし、ずーっとこの地で暮らしてくれるように温かく見守っていきましょう!!

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2008年08月07日エゾアジサイの変異

秋田 足利 直哉

 周囲から”夏バテ”という言葉が聞かれるようになってきました。秋田ではまだまだ暑い日が続きそうです。ご自愛下さい。


 森吉山野生鳥獣センターから始まる各コースでは今、【エゾアジサイ】が見頃を迎えています。この花は装飾花の色の変異が大きく淡いブルーから紫に近いものまで様々な色合いを見せてくれます。稀に濃い紫やピンクのものも見ることが出来ます。




 一般に「あじさいの花の色は土壌が酸性ならば青っぽい発色なり、アルカリ性ならば赤っぽい発色になる」と言われている通り、色の変異が大きいことは広く知られた事実です。
 ちなみに・・・アジサイにはアントシアニンという色素物質が含まれていて、花の発色に影響を与えているとされていますが、淡いブルーの花にも紫色の花にも同じアントシアニンが含まれています。
 しかし本来アントシアニンは酸性で赤色、アルカリ性で青色の発色をする物質で、アジサイの土壌による発色の変異とは全く逆の性質を持っています。これはどういう事でしょうか?興味を持った方は詳しく調べてみてください。


 さて長々と色の変異について書いておいてなんですが・・ここでは装飾花の形状の変異についてじっくり見てみてください。↑上の1枚目の写真で淡い青の花と、やや濃い青の花が見えると思いますが、それぞれにちょっと寄ってみましょう・・・




 淡い青色をした【エゾアジサイ】の装飾花はギザギザが付いていて、やや濃い青色をした【エゾアジサイ】の装飾花はギザギザもなくスッキリしていますよね?更には濃い方は萼片が4枚のものしか見当たりませんが、淡い方は萼片が3~5枚と様々です。
 「それは種類が違うんじゃないの?」とも思えますが、どちらも①丸みを帯びた②ノコギリ歯状のギザギザした③光沢のない葉っぱという点で共通していて、それは【エゾアジサイ】の特徴でもあります。


 装飾花の色が違っても、形状が違っても、萼片の枚数が違っても【エゾアジサイ】とはなんとも不思議な花ですね~?もっとじっくり観察していったらもっともっと面白い『変異』が見つかったりして・・・

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