ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

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2009年07月27日タンチョウの換羽

秋田 足利 直哉

 このところ、日常会話で「今年は何年か前にあったみたいに梅雨明け宣言がないままいつの間にか夏が来るんじゃないか?それも夏らしくない夏でさ・・」なんて声が聞かれるようになっています。本当にこのジメジメした天気はいつまで続くのでしょうか・・・。


 さて先日、【タンチョウ】が換羽して飛翔したことをお伝えしましたが、それに関連して換羽前と換羽後の比較をしてみます。

 1枚目の写真はまだ幼羽の頃の【タンチョウ】が片方の羽を広げてストレッチをしている様子。風切羽の先端に黒い縁があるのがお分かりになるかと思います。
 2枚目の写真は換羽がほぼ終わった現在の【タンチョウ】が同じようにストレッチをしている様子。残念ながら同じ構図の写真は撮れていませんが、以前はあった黒い縁が無くなって真っ白な羽に換わっているのがお分かりになるかと思います。


 換羽前の翼 撮影2009年6月2日


 換羽後の翼 撮影2009年7月22日



先日の日記で 「初列風切と次列風切の全てをごっそりと落として行うので一時的に飛べなくなります。」と書きましたが、↓の写真を見れば幼羽が落ちて、新しい羽が一斉に伸び始めた様子がお分かりになるかと思います。


 幼羽が落ちて、新しい羽が伸び始めた頃 撮影2009年6月26日

 この写真を見ると「この羽じゃ飛べないよな・・」と思いますよね?それにしても【タンチョウ】はいつ、風切羽を落としたのでしょうか?私の観察では6月8日にはまだ黒い縁のある羽を確認しています。その後しばらく(6月16日~6月18日)ヨシの中で隠れるようにして過ごすことが増えて観察しにくい時期があったのできっとその時にはもう羽が落ちていたのかも知れません。鳥獣保護区管理員さんに聞くと「15日頃にはもう羽が落ちていたんじゃないか?」と言うことでした。その話も加味するとあの行動も合点がいきます。 となると、元通りに飛べるようになるまで、およそ6週間を要したことになります。こういった事も幸か不幸か、1羽の【タンチョウ】を継続して観察することが出来たからこそ!と思います。


 一度秋田を離れた【タンチョウ】が再び大潟周辺に舞い戻ってきたのは『換羽をするのに安心できるから』だったのではないか?と勝手に想像しています。だとすればこの【タンチョウ】は『各地を色々回ってみたけど大潟が一番』と思って現在に至っていると言えますよね??
 

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2009年07月24日飛んだぁ~

秋田 足利 直哉

 今日は国土交通省 森吉山ダム工事事務所が主催する『森吉山ダム公開セミナー』で「アクティブレンジャーの目で見た森吉山周辺の野鳥たち」と題して講演を行ってきました。主催者の期待に応えられたかどうか解りませんが、大役を無事に勤めて、今はほっと安心してます。


 
 さて、もう一つ「安心」した話を・・・


 今日は【タンチョウ】の「決定的瞬間」をお伝えしようかと思います。

 ↓の写真は、秋田で過ごしている【タンチョウ】が静止状態から頭を下げて、助走に入り、飛翔するまでを大まかなコマ送りにした写真です。


頭を下げて・・・


ダダダダーッと助走して・・・


飛び上がりましたぁ~!!


 おそらくこの日記を読まれている方の中には『おいおい・・鳥が飛ぶのは当たり前だろ?何処が決定的瞬間なんだ?』とお思いになった方もいらっしゃるだろうと思います。

 この写真はこの【タンチョウ】が初めて飛び上がった”決定的瞬間”なんです。実はこの【タンチョウ】は換羽を行っている最中で、つい先日まで彼は『飛べない鳥』だったんです。【タンチョウ】の換羽はもちろん始めてみましたが、初列風切と次列風切の全てをごっそりと落として行うので一時的に飛べなくなります。それが先日ついに換羽後はじめて飛翔したのです!それ以前から本人(本鳥?)は飛ぶ気満々だったようで、未だ羽が短い状態にもかかわらず翼をバタバタさせて(助走のように)走り回ったり、ほんのちょっとふわっと浮き上がったりはしていたそうですが、この様に足をピンと伸ばして飛んだのはこの日が初めてだったようです。

 羽が伸びきらず飛べない期間は『どうか無事に過ごしてくれよ』と祈るような気持ちでしたが、これでようやく安心です!!(飛んだら飛んだで別の心配もありますが・・・)


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2009年07月23日大集合

秋田 足利 直哉

 山形県酒田市にある猛禽類保護センターでアクティブレンジャー写真展を開催中です。今年度は2つのタイトルの写真展が東北各地のビジターセンターなどで開催されていますが、こちらでは2つ同時に開催中です。これから夏休み!涼しい鳥海山麓にお出かけの際には是非お立ち寄り下さい。詳しくはこちらをご覧下さい。



 さて、この日記でもお伝えしてきたサギのコロニーですが、昨日見た印象ではほぼ半数の巣が空になっているようです。つまり【アオサギ】も【ゴイサギ】も【ダイサギ】もそれぞれ半数以上が既に巣立って、それぞれの生活を始めました。
 今日は、その巣立ったサギたちは何処でどう過ごしているのかをお伝えしようかと思います。


 先ずは【ゴイサギ】ですが・・・


 コロニーの東側にある南の池のまわりに繁茂するヨシ原の中に集合しています。見ると、成鳥も巣立ち雛も若鳥もみんなまとまって過ごしています。きっと今年生まれたばかりのホシゴイも子育てを終えた成鳥も同じ場所で過ごしているんでしょうね?
 夜はどうしているのか解りませんが、日中は南の池で”まったり”して過ごしているように見えます。



 続いて【アオサギ】です。


 こちらも南の池に大集合しています。半島状にせり出した場所に、どういう訳か今年生まれたばかりの幼鳥だけがまとまって過ごしています。時々成長の姿も見かけますが、基本的には若鳥や成鳥は極々少数派です。同じ鷺の仲間でもその点でゴイサギとは大きく異なります。


 【ダイサギ】については、数が少ないこともあってか?これほどまでに集合している箇所はありません(私が知らないだけかも知れませんが・・)。



 ご紹介した、シーンはどちらも毎年繰り返される光景ですが、ここで何をしているのか?単独行動を好むイメージのあるサギたちがどうしてこんなに多くの個体が集まって過ごしているのか?私には良くわかりません・・・どなたか理由を知っている方はいらっしゃいませんでしょうか??


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2009年07月22日避難中

秋田 足利 直哉

 雨、雨、雨・・そろそろ降り止め!!
 この大雨は各地で甚大な被害をもたらしています。今日現在も各河川の水位が高いままのようで、橋を通る度に不安に駆られます。更には巡視に向かう道路が決壊しているようです。これ以上被害が大きくならなければいいのですが・・・


 さて、大雨で生活に支障が出ているのは野鳥たちも同じようです。
 大潟の水辺や水田の上空を飛び回りながら虫を捕らえている姿をよく見かける【ツバメ】ですが、こうも雨が強く、風も吹き荒れると流石に避難するしかなさそうです・・・。



 3羽が寄り添うようにしてヨシに止まっていました。もしかして、こんな狭い範囲でもより上の方に強い風が吹いているのでしょうか?一番右の個体は落ち着きがなく、何度も体勢を入れ替えたり、隣の個体にもたれかかったりしていました。



 よく見ると、手前にももう1羽の【ツバメ】がいました。見渡すと全部で6羽の【ツバメ】が避難中でした。
 彼らもきっと早く天気が回復することを願いながらじっと耐えているのでしょうね??天気には逆らえませんからね・・・


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2009年07月21日アカ or オオアカ

秋田 足利 直哉

 3連休はずっと雨でした。既に報道等でご存じのように秋田県内も各地で大雨による被害に見舞われました。雨の降り方は尋常ではありませんでしたから一見、無事に見える場所でも地盤が酷くゆるんでいます。細心の注意をもって行動しましょう!!


 さて、前段の大雨被害の話しのまとめにある「細心の注意」にからめて話をするのはいかがなものか?と気後れしますが・・・我々アクティブレンジャーの仕事の中には「調査」もあって、私の場合、国指定鳥獣保護区内の野鳥生息調査を定期的に行っています。
 その際には当然、「野鳥の識別」をする必要があります。その識別には細心の注意が必要だという話なんですが・・・この日は山の鳥獣保護区にしては鳥影が多く、鳴き声だけではなく姿もたくさん見ることが出来ました。
 その中に↓の野鳥がいました。唐突ですが・・・この野鳥はなんという種でしょうか?



 パッと見て、「頭が赤い」「下腹部に黒っぽい縦線がある」ので【オオアカゲラ】と思ってしまうのは私だけでしょうか??では↓の写真をご覧下さい。同一個体が横向きになった際に撮影したものです。



 どうでしょう??(野鳥に詳しい方はつまらない話をしているな・・・とお思いになるかも知れませんね?)
 背中(肩羽の先端)に【アカゲラ】に特徴的な白斑が見えます。よく見ると胸の辺りには黒い縦斑がありません。と・・いうことは??

 パッと見て識別していれば、この個体は【オオアカゲラ】としてカウントしていたかも知れませんが、注意してみると【アカゲラ】の幼鳥であることが解ります。危ないところでした・・・


 こうして書いてくると「常に細心の注意を払っている」とアピールしているかのように思われそうですが、実はこれには布石があって・・・以前十和田の種村ARが保護したキツツキの記事を書いた時『頭をぶつけているようだったので、あまり詳しい判別に至らず種名がどちらかとははっきりと言えないです。』と書いてありました。
 これを参考にし、念頭に置いて調査していたのが幸いしました。勿論、この時期はたくさんの幼鳥が居ることも承知していますし、余程のことがない限りパッと見ただけでは識別しないように心がけていますが、まだまだ未熟な私は往々にして油断をします(こんな事を言いきるな!とお叱りを受けそうですが・・・)。
 森吉では観察機会の多い【アカゲラ】【オオアカゲラ】は随分と見慣れてきた感じがしますが、やはり油断大敵!細心の注意が必要です!!



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2009年07月17日オニノヤガラ

秋田 足利 直哉

 今日は西目屋の石橋ARが秋田県立大学の公開セミナーで行った講演を聞いてきました。同じアクティブレンジャーの仕事ぶりに触れる機会はほとんど無いので貴重な時間でした。アクティブレンジャーの仕事にはこういったものもあるんです。


 さて、今日のネタはこれ↓!!見たことありますかね??



 図鑑に因れば分布は北海道・本州・四国・九州となってますから、見たことあるって言う方も多いかと思います。
 名前を【オニノヤガラ】と言います。ちょっと話は逸れますが・・・ちょっとお年を召された方と植物や野鳥の名前の話をすると『図鑑に書いてあるのはみんなカタカナで解りにくいよな?』という声をよく聞きます。図鑑などの名前は「標準和名」をカタカナ表記するようになっていますから、どれも皆カタカナですが、確かに漢字表記にした方がその植物や野鳥をイメージしやすい事もあります。
 今日、ご紹介する【オニノヤガラ】もその一つで、漢字では【鬼の矢柄】と書きます。



 真っ直ぐに伸びた花茎を弓矢の矢柄に見立てて付けられた名前だそうです(鬼はどこから来たのか解りませんが・・・)。そう言われてみればピンと立ったその様子と花の付き方が矢柄に見えなくもない・・・ですよね??

 『和名なのになんでカタカナなんだ?』という疑問をもってこの花の名前を見ると『和名はやっぱり漢字だよな?』って思ってしまうかも知れませんね?


 ちなみにこの【鬼の矢柄】はランの仲間で葉緑素を持たない腐生植物です。ナラタケの菌糸と共生し、その地下茎はナラタケ菌から養分を得ているそうです。

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2009年07月16日バンは逞しかった!

秋田 足利 直哉

 皆さんがお住まいの地域でもそうでしょうけど、秋田では高校野球の県予選の真ただ中です。今朝の秋田駅前は自分の学校の応援に向かう高校生達であふれかえっていました。事務所の側にも球場があってアナウンスや応援が聞こえてきます。「熱い夏」ですね~


 さて、昨日のオオバンに引き続き、今日は西部承水路での汚れた水域で巣作りしていた【バン】の続報です。

 いや~【バン】は逞しいですね!!!!!ホントびっくりです。な、なんと雛が3羽も孵っていました。



 実際の巣の場所とは違う場所に姿を見せていた【バン】の親子。(巣は写真右奥にあるはず・・・)ヘドロに塗れて巣を作り、恐らく同様に餌も何度も何度も運んだんでしょうね~。



 ちょっと引いて(実際は上の写真をトリミングしてるんですけど・・)見てみると直ぐ側には投げ捨てられたペットボトルが見えます。この写真だけ見ると『こんな場所で良かったのか?』と言いたくなりますが、(想像も込みで・・)この辺りに巣を作らざるを得なかった理由を知っているだけに『よく頑張った!!』と声を掛けてやりたくなりました。



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2009年07月15日オオバンの縄張りに

秋田 足利 直哉

 蒸し暑い毎日が続きます。太陽は顔を出していないけど、湿度が高くて不快な感じ・・・参っちゃいますね。周囲からは早くも「夏バテ」なんて声も聞かれます・・


 さて、この日記でお伝えしている、大潟の西部承水路で繁殖している【バン】と【オオバン】の様子を見に行ってきました。
 先ずは順調に子育て中の【オオバン】親子が過ごしている水辺へ行ったのですが・・・親子の姿が見えません。水面をよーーく見ると・・



 無数の水紋が現れては消え、消えては又現れを繰り返しています。この水辺でこれほど多くの水紋を作るのは・・・



 【マゴイ】です。大きな個体から小さな個体まで、水面近くまで上がってきてパクパクと口を出していました。足下に【マゴイ】の大群が居たので【オオバン】親子も居心地が悪かったのかも知れません・・・双眼鏡で確認するとちょっと離れた場所で過ごす親子を確認することが出来ました。
 確かにこの【マゴイ】の大群が自分の足下に居ることを想像すると私も避難することでしょう・・・(笑)



 【オオバン】の雛は随分と大きく成長していて、羽も殆ど揃っていて、前回お知らせしたときに比べると別人(別鳥?)のようです。
 しかし独り立ちまでには、まだしばらくの時間を要しますからこれから先も無事に過ごして欲しいと願っています。



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2009年07月14日【実施報告】 自然観察会『ヒバクラ湿原のお花畑』

秋田 足利 直哉

 昨日の日記で、観察会の報告に先んじて山上湿原のニッコウキスゲの話をしましたので前後しますが、今日は観察会のご報告を!

 森吉山野生鳥獣センター運営協議会主催の観察会は地域的な特色を踏まえて渓谷沿いの歩道や渓谷そのものを歩きながら行う自然観察会が多いのですが、今月は珍しく登山をしながらの観察会を行いました。
 募集に際して各新聞や北秋田市のHPや広報誌など各機関にご協力していただいたところ、多くの方々にお問い合わせ・ご応募いただき、当日は34名の方々にご参加いただいて実施しました。




 いつものように10名ほどの班に分かれて各班の講師が随所で解説をしながら、余裕を持ったペースで登っていきました(一人何度注意しても徐々にペースの上がってしまう人もいましたが・・・)。



 このコースはブナ帯~ネズコ(クロベ)&杉帯~モロビ(オオシラビソ)帯と植生の垂直分布が明瞭で歩いていると、自分が今、どれくらい歩いてきたのか把握することが出来ます。
 モロビの香りがしてくるころから、コースの傾斜がきつくなります。これからの頑張りどころに備えて、自然解説しながら一服します。森吉山一帯にはモロビにまつわる古くからの習慣があって、講師達は自分の体験を交えて話をしていました。参加者のアンケートを見ると、この時した話が好評だったようです(詳しくはいずれ機会を見てご紹介しようと思います)。



 そして、急坂に備えるならやはり冷たい湧き水が一番でしょう!!湧水の豊富な森吉山界隈にあって、知名度では1,2を争う名水です。ここで喉を潤しもう一頑張りして、山上湿原のニッコウキスゲに迎えられたのでした。


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2009年07月13日当たり年

秋田 足利 直哉

 週末、とある写真展に行ってきました。プロの写真家の写真展とはこれほどに迫力がありストーリーがあるものか・・・と衝撃を受けてきました。私も見る目を養えば”自然”とはかくもダイナミックでドラマティックに見えるものなのかしら??


 昨日の日曜日、観察会で森吉山の外輪山の一つ「ヒバクラ岳」に行ってきました。そこで講師を勤めていた地元ガイドと長年この地域を歩いている鳥獣保護区の管理員さんが口を揃えて『ここ数年こんなにいっぱいのニッコウキスゲは見たことがない』と言ってました。

 なので先ずは観察会の報告に先んじて今が見頃となっている「ヒバクラ湿原」の【ニッコウキスゲ】をご紹介しようと思います。



 花の百名山「森吉山」の外輪山である「ヒバクラ岳」にも「ヒバクラ湿原」と呼ばれる山上湿原があってハイカー達の人気を集めています。その湿原が近年稀に見るニッコウキスゲの当たり年となっています。



 森吉山へ向かいながら木道を行けば、両脇にニッコウキスゲの群落が広がります。ガイド達が『今日は来て良かった』と顔がほころぶほど・・・



 観察会に参加した女の子ももちろん、とびっきりの笑顔です!!それにしても可愛い女の子とお花畑って絵になりますね~(^^)v


 私の感触では今週いっぱいはニッコウキスゲ咲く綺麗なお花畑が見られることと思います。これを見逃すと次のチャンスはいつになるか解りませんよ~!!




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