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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2010年09月29日オキナクサハツ

秋田 足利 直哉

 長らくご無沙汰してました。その間にすっかりと秋めいてきて、道行く人達も半袖から長袖へと替わりました。それどころかすっかり厚着をしている方も見受けます。明日でクリールビス期間も終了です。明後日には10月を迎えます・・。月日の経つのは早いモノですね。



 山々ではキノコが目立つようになってきましたね。夏のうちからカラフルなキノコを数々取り上げて来ましたが、久々投稿の今日もキノコの話題。

 今日取り上げるのは、傘を上から見ると特徴的な模様が目に付く【オキナクサハツ】と言うキノコです。


 
 大振りで、キノコらしい形状をしていて、なおかつ傘の模様が特徴的で、私のような素人でも分かりやすく同定しやすいキノコです。


 
 横から見ても、肉厚な傘、太い柄、雨傘の骨を思わせる傘裏と色々な特長が見えてきます。


 ところで・・このキノコの【オキナクサハツ】と云う名前ですが・・・
 最後の「ハツ」は近い仲間の「ハツタケ」の「ハツ」だろうと云うことは直ぐに見当が付いていて、その前の「オキナクサ」について花の「オキナグサ」の事を云っているものかと思っていました。

 オキナクサは濃褐色の花弁に見える萼片6枚が集まっている花で、上を向いた花を真上から見ると、このキノコの模様のように見えなくもありません。なのでてっきりそんな事から付いた名前かと思っていました。
 ちなみに花の「オキナグサ」は漢字で「翁草」と書くのですが、萼片の外側は白く細かい毛で密に覆われているのでその様子が「翁」、つまり男性の老人の頭部のように見えたことから名前が付いたという説があるそうです。

 でもこのキノコの【オキナクサハツ】は漢字でどう書くのか?と思って調べてみると「翁臭初」となるそうです。「初」は先ほど書いたように「初茸」の初です。「翁」も「翁草」と同じ「翁」ですが、クサの部分が「草」ではなく「臭」となっています。これは・・・もしや・・・
 更に調べると【オキナクサハツ】は臭気を持ったキノコだと云うことが分かりました。つまり特徴的な臭いがあるキノコと言うこと。
 
 どうして「臭い」を「におい」と読まずに「くさい」と読ませたのでしょうか?その臭気がくさかったからなんでしょうけど、何も「翁」の後に付けなくても良かったのではないか?と思ってしまいます。

 整理してみると【オキナクサハツ】は漢字では【翁臭初】と表記する。このキノコには臭気があってそれが香しいにおいではなかった・・・。つまり臭いと感じられる匂いであった。それが・・・男性の老人の臭いと結びつく理由が解りませんが、臭いを知らない人がこの記事を読むと『このキノコは加○臭がするのか?』と思ってしまうかも知れません・・・。いやはやなんとも・・・。
 念のため言っておきますが、この【オキナクサハツ】は臭いわけではありません。確かに独特の臭いはしますが、それが加○臭とも結びつくとは思えません。臭いは人それぞれで感じ方が違うかも知れませんが、私にはそうは思えません。

 こうして見てみると何だかこの【オキナクサハツ】が不憫に思えてなりません。どうしてこんな名前になっちゃったのか?まさか悪意は無かったと思いますけど・・・(苦笑)。
 これ以上書くと要らぬ詮索をされて私自身にまで火の粉が及びそうなので今日はここまで!!



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2010年09月17日白いサギを見ると・・・

秋田 足利 直哉

 今日で大きな仕事が一段落して肩が少々軽くなった気がします。この件については機会を見て詳細をご報告しようと思いますのでお楽しみに・・。
 さて、明日からシルバーウィークが始まります。皆さんはもうご予定をたてられましたか?台風が気になるところですが充実した期間にしたいですね。



 この時期は野鳥達の渡りの季節。北の繁殖地での繁殖を終え南の越冬地へと向かう旅が始まっています。シギチドリに関してはそろそろピークでしょうか?カモ達はチラホラとエクリプス状態で見られるようになってきました。その他の野鳥達も普段とはちょっと違う場所で観察できたりいつも見ているように見えてちょっと違う野鳥のだったりと気を抜けない観察が続きます。
 その中で、最近気をつけて観察しているのが白いサギ達です。大潟村の中で繁殖していたチュウダイサギに加えて、チュウサギ、コサギ、アマサギが水路や田んぼなどの水辺で多く観察されています。更には身体が大きなダイサギがいてそれらがみんな夏羽から冬羽に移行している状態で観察されています。


 それらがたくさん集まった状態であればそれぞれに大きさの比較が出来たり特長の比較もしやすかったりするのですがたった一羽で過ごしている白いサギ
を遠くに見つけるとちょっと戸惑ってしまします。
 先日はこの白いサギを見て・・・ん??と思ってしまいました。この頃この日記でも野鳥を取り上げていなかったので私自身の「鳥見力」が落ちているのかも知れません・・・。


 西部承水路で餌を探していた白いサギです。夏の繁殖羽も抜け落ち冬羽に移行しているようです。


 かつてアクティブレンジャー写真展にこの様なポーズのダイサギを撮影した写真が取り上げられていました。先輩ARが撮影したその写真が印象に残り、是非このポーズを撮影してみたいと思いながら先日まで過ごしようやく撮影できました。
 こうして「ぬ~っ」と首を伸ばして獲物を追うのが彼らの流儀なんですね?ここまで伸ばしてもバランスは崩れないんですね?

 ところでこの白いサギは何なのか?と言うことですが・・・解る人には一見して【チュウサギ】と分かる個体かも知れませんが、あれこれ考えを巡らしてしまう私は・・・こうして顔を大きくして確認してしまいます。


 これでも・・なんか口角がチュウサギよりも奥の方に入り込んでいるんじゃないか?と気になってしまい直ぐに【チュウサギ】とは断定できなかったんです。オハズカシイ話しですけど・・・


 慎重になるのは悪いことではないと思っていますが時間を掛けすぎても良くないことがありますよね?場合によって・・。これからはカモのエクリプスもどんどん観察することになりますし、白いサギもオオダイサギがやって来たりします。そんな時期にネガティブになることが続くのは困りものですね。。此処で後退するわけにはいきません!!前に進まないと・・・。



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2010年09月16日ある実生

秋田 足利 直哉

 今日の秋田市内は昼頃から雨が降り出し、暑さが一段落しています。これから一雨毎にどんどん涼しくなることでしょう。来週にはお彼岸ですもんね?暑さも彼岸まで・・・となるのでしょうか??

 

 先日、地元で活動するNPOの方から輪切りにしたブナの木を頂きました。その年輪をざっと見て250年を越えていました。また森吉山野生鳥獣センターの周囲にベンチ代わりに杉を輪切りにしたものを置いています。

 ブナもスギもこれまでにこの日記で実生を取り上げて紹介してきました。生まれたばかりの小さな木の芽はやがてこの様な大木になるとは想像しがたいほど儚い存在のように感じますが、確かにその中から数十、数百年後の未来まで生き延びて森の大木となっているものがあるはずです。


 最近、多くの実生を見るにつけ、生まれて1年経っていない実生は、儚い物に見えて実は溢れんばかりの生命力を持っているのだと思うようになりました。かつて見た実生が成長している姿に触れたからでしょうか?



 さて、そんな折り、小又峡の遊歩道でこんな実生を見つけました。
 

 私の日記には初登場かも知れません。何の実生なのか?分かりますか。地面にたくさん葉が落ちているのでお分かりになるかも知れませんね。


 その樹の肌です。森吉の渓谷沿いの稜線ではお馴染みの樹種です。


 その樹の葉です。もうお分かりですね?森吉ではこの樹を【ネズコ】と呼びます。図鑑では【クロベ】と書かれているはずです。


 この【ネズコ】もやがて大木に成長する樹です。周りにはまだまだたくさんの実生がありました。かつて儚いものに感じていた実生を生命力に溢れた存在と感じるようになった現在、そのたくさんの実生を見て自分まで元気を貰えるような気がしてきます。


 実際には、北東北の厳しい自然の中で生き、更には厳しい生存競争があり、その上歩道として利用されている等、この実生達が大木となる可能性は僅かなものかも知れません。それでもやがて大木となる姿を思い描くのは私だけの空想の世界でしょうか??


 この実生の側にある樹には『ヒノキアスナロ』と書かれた看板が添えられています。私はどうして【ネズコ】と書かないんだろうか?せめて【クロベ】と書いてくれたらいいのにと思ったのですが・・・ある方から聞いたこの話を思い出してこれで良いんだな。と思い直しました。

 その話というのは・・・「昔は子供が生まれると山にこの樹(【ネズコ】のこと)を植えたんだよ。それはね、子供がスクスクと成長するように願って植えるんだけど、この樹はヒノキアスナロと言って、大木に育つ樹だからそれにあやかって『大きな桧に明日なろう!!』」っていう意味があるんだよ。」というものです。

 看板を掲げた人もそんな願いを込めて、敢えてヒノキアスナロとしたのかも知れませんね。



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2010年09月15日ヒメオオクワガタみっけ^^

秋田 足利 直哉

 暑さ、ヤブ蚊、遺憾な出来事・・・などなど悩みはつきませんが大事な一点だけは譲れないと思いながら過ごしている今日この頃。突然なんだ?と思われるかも知れませんが・・・色々とあるんですよ・・・苦笑


 さて、この日記も私の大事な業務ですから鮮度命を大事な一点としてお送りしていきますのでよろしくお付き合い下さい。



 先日の巡視は「夏の名残」と「小さい秋」の競演あるいは饗宴とでもいいましょうか?仕事ですが歩いていて本当に楽しい時間を過ごすことが出来ました。そこで今日は夏の名残の中からテンションが上がる話題を!!(全くの私感ですけど・・・)

 歩道に大きめのクワガタを見つけました。大顎から見てメス♀だと直ぐ分かります。それでもクワガタを見つけた時のテンションたるや^^・・・。


 こちらがそのメスのクワガタです。ここで直ぐに種の識別をしようとするのはもはや職業病でしょうか?

 胸部の”くびれ”を確認し、持ち上げて足の付け根部分を確認し・・・【ヒメオオクワガタ】のメス♀と分かってからやおら撮影を開始する。


 そのうちの一枚がこちら。大顎と胸部が大きく写るようにと・・・。


 その後も上から撮ってみたり横から撮ってみたり・・・その時の私はと言うと地面に腹ばいになって身を捩りながら・・きっと笑みも浮かべていたはず・・。この時同行していた保護官の目にはどう写ったのか?聞くのが怖いです^^。

 画像をPCに入れて確認しながら今年はたくさんクワガタに逢えたな~としみじみと感傷に浸っている私も事務所にいた保護官の目にどう写っていたのか?怖いです^^。

 そろそろ半袖から長袖に切り替えている方も見受けられるようになってきました。暑かった今年の夏も終わりですね~。皆さんはどんな夏の思い出が出来ましたか?夏にやり残したことはありませんか?今年の夏は一度きりですからね?後悔の無いように。


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2010年09月14日どろぼう ~ウマノミツバ編~

秋田 足利 直哉

 さて、今日は「どろぼう」シリーズ第3弾です。取り上げるのは【ウマノミツバ】です。
 この【ウマノミツバ】森吉では以外と見る機会は多くありません。歩道が沢を渡る時にその岸辺にチラホラと見える程度。イメージ的にはもっとたくさんあっても良さそうですが・・・。しかし「どろぼう」になると草丈も高いので急に存在感を増してきます。


 現在の【ウマノミツバ】の様子です。分かり難いかも知れませんが左下にクローズアップした画像を添えておきました。これが熟し始めるとパチンコ玉くらいの大きさの「どろぼう」となります。

 【ウマノミツバ】も昨日のキンミズヒキと同様、実に棘状の突起があってその先端が釣り針状に曲がっています。それが「どろぼう」の正体となります。このタイプの「どろぼう」は熟した実を持って友人の背中に投げつけて遊んだ記憶があります。皆さんの中にもそうした経験をお持ちの方がいらっしゃることでしょう。


 夏に撮影した花の画像も載せておきます。同じように左下にクローズアップした画像を添えておきます。この時期には他にも目を引く花がたくさんあってなかなか注目を浴びないかも・・・。


 おまけに葉も載せます。葉だけを見ると似たような葉が多く識別するのが難しいので花と実と葉をセットで覚えるようにしてみました。こういうのはホームコースでないと難しいですね。


 『森吉の花図鑑』の著者である田中さん曰く・・・「植物は花だけを見がちだけど花と実と葉をセットで覚えるようにすると良い」そうです。そのアドバイスに従って自分なりにやってみると確かにと納得です。その成果の一つがこの日記の「どろぼうシリーズ」に繋がった事を思うと、物覚えの悪い私にも有効な方法のようです。皆さんも是非ご参考に!!



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2010年09月13日どろぼう ~キンミズヒキ編~

秋田 足利 直哉

 このところ・・有感地震が続いていますね。遂、今しがた揺れを感じたところです。事務所で『今、揺れませんでしたか?』と聞いたら『ええっ?』と驚かれ自分の体調不良で目眩がしたのか・・と不安になりました。
 幸い、当事務所関連では被害らしい被害もないようなのでホッとしています。あとは体調不良を疑う必要がないようにしないと・・・。



 さて今日の日記は先日取り上げた『どろぼう』の別ネタです。『どろぼう』とは?については先日の日記をご覧下さい。

 今日の植物は【キンミズヒキ】です。森吉では渓谷沿いの歩道でも稜線上の歩道でも見られるお馴染みの植物です。随分と花期の長い植物のようで今でも黄色い可憐な花を付けているのを見ることが出来ますが見頃は場所によっても違いますが・・7月下旬から8月上旬でしょうか?
 その見頃の時期に花を付けていた【キンミズヒキ】が現在実を付けています。徐々に熟しているようなので間もなくズボンの裾などにくっついて来る『どろぼう』になる頃だと思います。


 【キンミズヒキ】の実。これは未熟な実ですが徐々に黒っぽくなってきているはず・・実には棘状の突起が多数付いていてその先端が釣り針状に曲がっている。それが泥棒の正体です!!


 こちらが【キンミズヒキ】の花です。小さく可憐な黄色い花を付けます。


 ついでに葉も載せておきます。よく似ているヒメキンミズヒキは本種に比べて鋸歯に丸みがあるので葉のチェックも大切です!!


 『どろぼう』シリーズ(←勝手にシリーズ化してますけど・・)もこれで2回目。次のネタも既に準備できています。この先いくつ紹介できるかな??


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2010年09月10日連結ノシメトンボ

秋田 足利 直哉

 9月も早10日となりました。空を見上げるともうそこには秋の装いの雲が見られるようになってきました。私たちは自分たちの入り場所がまだまだ暑いから夏の終わりの実感に乏しいところですが、鳥達は空を見て渡りを始めているのでしょうかね?


 「空を見上げる」と言えば・・・童謡『あかとんぼ』に唄われているアカトンボを思い浮かべます。そこで今日は【ノシメトンボ】を取り上げます。
 このところ空を見上げるとアカトンボ達がたくさん飛んでいるのが目に入ります。それは特に「見よう」という意思に関係なく目に入ってくるほど。何だか『秋だな~』なんて思う光景です。

 そんな日が続いている中、大潟では連結しているアカトンボが目立つようになってきました。でも飛びものの撮影は私にはハードルが高すぎます。何処かに止まってくれるペアは居ないか?と探していると・・・中にはそんな状態でもモデルをつとめてくれるペアがいました。しかも連結しているだけではなく交尾している最中です。(なので・・実は私など眼中に無いだけでしょうけど・・・)


 さて、この【ノシメトンボ】のペアですがどちらがオス♂でどちらがメス♀なのか?ちょっと解りにくい体勢をしていますが・・・左上がオス♂で右下がメス♀です。

 トンボの交尾というのはちょっと変わったやり方をするそうで・・・
 まずオス♂は交尾をする前に腹端にある交尾器(あるいは性器)から腹部上方にある副交尾器(あるいは副性器:以下省略)と言う場所に精子を移します。そうしてスタンバイを済ませてから交尾に移るわけですが、その時、写真のようにオス♂は尾角でメス♀の頭を上から挟むように捕まえて、メス♀は腹を曲げてオス♂の副交尾器から精子を受け取ります。これがトンボの交尾のスタイルなんだそうです。


 オス♂がメス♀の頭を挟み込んで捕まえているところをアップにしてみました。かなりがっちり固定されている様にも見えます。この状態で連結して飛ぶんですから確かにがっちりと固定する必要がありますよね??


 さてさて、今回は「連結の状態をよく見てみたい」と思っていたら想定外に交尾の場面を見ることが出来ました。それにしてもトンボの交尾ってちょっと変わってますよね?図鑑などをみると『交尾の形態が他の昆虫と最も異なる特長』と書いているものもあります。それだけ独特のスタイルで行われるということですね。そして幸運にもこうしてまた命が繋がる一場面に出会うことが出来ました。



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2010年09月09日どろぼう ~ノブキ編~

秋田 足利 直哉

 タイトルにある『どろぼう』とはこの地方でいうところの『ひっつきむし』とか『くっつきむし』と呼ばれ、知らず知らずのうち洋服などに種がくっついてしまっている”あれ”の事です。皆さんも一度は自分の洋服にくっついている種を煩わしく感じた経験があるのではないでしょうか??
 それにしても何故それを『どろぼう』と呼ぶのか?よくわかりません・・・何かを盗んでいるとは思えないのですが・・・ちなみに私個人としては『くっつきむし』と呼んでいました。なので『どろぼう』という呼び方には馴染みがないのですが郷に入っては郷に従えと言いますから・・・森吉で一般に呼ばれている呼び方を使うことにしました。


 さて、今日取り上げるのは『どろぼう』のうち森吉山麓の登山道脇でよく見ることが出来る【ノブキ】です。
 現在、【ノブキ】は花が終わり、実が稔り始めました。今は未だ固い未成熟な実が多いので巡視中もそれほど気を付けることはありませんが、間もなく実が成熟するとズボンの裾に『どろぼう』がくっつかないように気をつけなければならなくなります。


 背景が緑色なので見にくくてスミマセン・・。これが【ノブキ】の種子です。複数の実が同心円状に並んでいます。その実には『腺体(せんたい)』と呼ばれる粘液があってそれが『どろぼう』の正体です。ネバネバの液体で洋服に付着するんですね。


 ちなみに【ノブキ】の名前は葉が山菜の蕗に似ていることから付けられたそうです。どうですか?似てますか?


 参考までに以前に撮影した花の写真も載せておきます。花を見て、実を見てもそれほど違和感がないように感じるのは私だけでしょうか?「この花にしてこの実あり」みたいな・・。


 
 この他にも色々な『どろぼう』を見ることが出来ますのでこれから紹介していきますね。お楽しみに~^^



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2010年09月08日手入れは必要

秋田 足利 直哉

 台風の進路を心配していましたが、温帯低気圧に変わって秋田県内ではほとんど影響もなかったということでホッとしているところです。それでも台風に伴う前線の影響で激しい雨が降ったところもありました。このところ秋田では『最近雨が降ればイッパイ降るし暑い日には参ってしまうくらい暑いし・・・極端だな~』という会話が日常化しています。



 今日は久しぶりに大潟での話し。このところ・・森吉での話題ばかり続いていましたからね。その間に大潟でも季節が移ろい、鳥達の様子も随分と変わってきました。先日はコガモやマガモのカモの群れ第1陣(?)の飛来を確認しました。まだまだ9月の初旬ですがもうカモの姿が見られるとは・・・
  

 先ずは・・この写真をご覧下さい。大潟草原の管理棟からみて南側にある水辺を写した物です。撮影日は2007年9月11日です。



 次に・・こちらの写真をご覧下さい。こちらも同じ水辺を撮影した物です。厳密にはやや角度がずれているのですが・・・水辺の様子の違いが一目瞭然だと思います。



 上の写真は・・当地が鳥獣保護区の特別保護地区であり、当時は特別保護指定区域となっていたこともあり自然のままに・・何も手を加えずに長い時間を経過していた状況を撮影した物です。
 それに対して下の写真は、かつては多くの水鳥が泳ぎ、カイツブリなどが繁殖していた水辺を取り戻そうと繁茂しまくっていたヒメガマを3年がかりで徹底的に除去した後の様子を撮影した物です。

 昔を知る人達から聞くかつての大潟草原内の水辺の様子にはまだまだ遠いようではありますが失われた水辺が人の手によって復活してきているのです。

 そうして水辺が現れてくるとそこを利用する野鳥達が格段に増えてきています。かつてはオオヨシキリなど数少ない野鳥の姿しかなかった場所に、カワセミが採餌に訪れ、アオサギ・ダイサギ・ゴイサギが日中を過ごす場所となり、先日は【カルガモ】の小群が採餌していました。



 もし・・・この水辺に何も手を掛けずに放置し続けていたらどうなっていたでしょうか?
 想像するのも何だかな・・と思ってしまいますが恐らくは徐々にヒメガマが勢力を伸ばし、水面は全く見えなくなりそこに野鳥の姿を探すのは難しくなっていたかも知れません。少なくとも色々な種類の野鳥が観察できるということは無かったでしょう!それが今では『最近は毎日カワセミがやって来ている』とか『カイツブリが定着しているみたいで朝夕には鳴き声が聞こえる』という水辺に変わりました。これも全て難儀をしながらヒメガマの除去作業をして下さった方々のお陰です。

 こうして私たち人間が手を入れることで復活する環境があります。4年前と現在ではそこを利用する野鳥の数と種類は雲泥の差です。
 勿論全てに於いてこの様に人手を入れるのが良いというのではありませんが、場合によっては野鳥などの生息環境を維持するために人手が必要な事もあると言うこと。

 とかく・・「自然保護」というと手をつけずに自然のままにというイメージがありますが、積極的に手を入れないと失われていく環境というのもあって、今回のように繁茂していたヒメガマを除去するというような一見、そこの自然を破壊しているかのように見えても結果として「自然保護」に繋がる事もあります。そうした視点をもつと各地で行われている活動にも関心が及んでいきます。
 私たちの周りの『生物多様性』を私たちの手で保つこと、守ることが出来るのです。決して難しいことばかりでもありません。皆さんもご自身の周りで行われている活動に参加してみてはいかがでしょうか??


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2010年09月07日沢蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹・・・

秋田 足利 直哉

 先日は「道路で見つけた」ヤマカガシで日記をお伝えしましたが、今日もまた「道路で見つけた」【サワガニ】で日記を書きます。同じようなくくりで日記を書くのが私の得意技(?)ですから・・・^^


 先日、業務のために森吉山野生鳥獣センターへ向かっていると道路を横断するカニの姿が目に入りました。こんなところにいるカニは十中八九【サワガニ】だと思いながら車を止めて近づいてみると・・・


 やはり【サワガニ】でした。と・・・これだけでは日記のネタとして「弱い」事は十分承知しています。たまたま道路の上という見やすい環境で見つけ、思いの外近くで撮影できたからでもありません!!


 よ~くご覧下さい。お腹の辺りを・・・何か見えませんか?


 初めは「卵かな?」と思っていたのですが・・・・











 なんとそこには小さな小さなカニカニカニ・・・
 卵から孵ってカニの姿になっても親カニの身体に寄り添って過ごすんですね?この子供達は親カニの身体の上で歩き回っています。それでも決して落ちることなくしっかりとしがみついているようです。
 小さな小さな身体には親カニの身体が一つの”世界”のようなものなんでしょうかね?


 これでまた一つ、新しい命が育まれた事をお伝えすることが出来ました。こういった光景に何度も巡り会える幸せを噛みしめている今日この頃です。



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