ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

秋田

1036件の記事があります。

2011年06月28日雨に佇む

秋田 足利 直哉

 今日も梅雨空に覆われている秋田市内です。市内には今も増水した川の水位が下がらずに警戒を強いられている地域があります。豪雪・大地震・頻発する余震・豪雨などの影響で地盤がゆるんでいるところが多く土砂災害にも警戒が必要な地域があります。最新の気象情報の入手に努めると共に細心の注意を払って行動しましょう。



 梅雨入り後、非常に強い雨が降っていましたが、この日もかなり激しい雨が降っていました。そんな時でも西部承水路沿いにある鳥影が目に入ってきました。
 この写真、水平もとれていない程、酷いモノで見ていると具合が悪くなってきそうですが・・・この状態で違和感というか・・何かの気配というか・・を感じて車を止めました。


 ススキの株の中に野鳥が居るのですがお分かりになりますか?ってこんな小さな写真では厳しいですよね?


 これでお分かりになりますか??ススキの株に薄茶色の野鳥が居ます。

 【ヨシゴイ】がいます。身体に似合わないほど大きな脚を開いてススキを束ねるようにして掴みながら立っています。
 【ヨシゴイ】はサギの仲間ですが、日本に生息しているサギの中で最も小さな種です。ちなみに嘴の先端から尾羽の先端までの「全長」は36~37cmでハシボソガラスより大分小さく、オナガやカッコウなどとほぼ同じような大きさです。サイズ的には”ちょっと大きな小鳥”って感じでしょうか?
 居るのが解っていながらこの道を走っていたこともありますが、ヨシやススキに身を潜めている【ヨシゴイ】は意外にも目に付きます。でも本人(本鳥?)はしっかりと身を潜めているつもりなのかも知れません・・・その証拠に


 擬態していました。私の目を誤魔化すためにしているのでしょうが・・・丸見えですね^^しかもこっち見てるし(笑)
 この場所では雨宿りにもならず次第に【ヨシゴイ】もビショビショになっているのが解るようになってきました。私の乗っている車も助手席がビショビショです。これ以上は限界!と判断して観察を終了しました。


 野鳥達は晴れの日も、風の日も、勿論雨の日も野外で暮らしていますから雨が降っても平気なのですが、それでも激しい雨の時にはあまり動きたく無いように見えます。そりゃそうですよね?いくら野鳥でも豪雨の中、わざわざリスクを冒して動き回らなくてもね・・・。止まない雨はありませんからね!!


 これから先も雨の日が多くなると思います。雨が降ると出かけるのが億劫になりますよね?でもこの様にしっかりと距離をとって観察すれば、じっくりと観察することが出来る野鳥もいます。この他にも雨の時にしか見られないような行動があるかも知れません。私たちも、『雨ニモ負ケズ』逆に雨を楽しんでいきましょう!!(集中豪雨はもう勘弁して欲しいですけど・・)

ページ先頭へ↑

2011年06月27日人工物の上で

秋田 足利 直哉

 梅雨入りした途端、降る雨の量が尋常ではありません。ここ数日の報道で何度「観測史上最高の雨量」というワードを聞いたか・・。秋田市でも近くを流れる雄物川の水位が異常に高くなったり、そこへ流れ込む支流の水位が高くなり広い範囲で影響が出ました。かなりの広範囲で家屋の床上床下浸水するなど大きな被害に見舞われ、一時避難勧告が出され付近の小学校等へ避難した方々がいらっしゃいました。畑など農地へも浸水し、収穫目前の農作物への被害も大きかったようです。それにしても、災難が続きます・・・。

 それでも上を向いていかなければなりません。




 はい。では今日もこの時期フィールで観察可能な話から・・・

 大潟村にはたくさんの【オオジシギ】が渡ってきます。春先、盛んにジェージェー♪ ジュージュー♪といった鳴き声が聞こえていましたが、そこからピタッと鳴き声が聞かれなくなりました。管理員さんと『繁殖期に入って忙しくなったんだろうな』なんて話していたのですが・・最近になって以前にも増して賑々しく鳴き声が聞かれるようになりました。




 しかも、その鳴き声のする方向を見ると決まって”人工物の上”なんです。この様に屋根の上であったり電柱のてっぺんであったりと。

 先日、とある調査の時に担当した地区には5羽の【オオジシギ】がいました。まだ日の出から1時間くらいして辺りがすっかり明るくなり始めた頃、【オオジシギ】は活動を始めます。
 塒は仲良く、「フェンスの上」。そこで1羽が鳴き声を上げ始めるとそれが活動開始の合図になるようです。他の個体もそれぞれに泣き出したり、周囲を飛び回ったりします。そのうち5羽が編隊飛行でまるで飛行機が通過するときのような羽音をあげながら飛び回ります。鳴き声も挙げますし、猛スピードで飛び回るし・・・もう相当賑やかです。飛ぶのを止めてもその賑やかさは失われません。そこかしこで鳴き声をあげています。
 ですから懸命に探す必要なんてありません。そこに行きさえすれば、鳴き声や羽音で直ぐに存在を知らせてくれます。


 ここの他にもたくさん【オオジシギ】が観察できるポイントがあります。そしてそのいずれでも彼らは賑やかです。今年生まれた野鳥達が元気にスクスクと成長して今が”やんちゃ盛り”なんでしょうかね?彼らを観察しているとこちらも忙しくて、身体を動かすうちに自然に元気が出て来るような気がします。こんな時にはオススメの観察対象ですよ!!


ページ先頭へ↑

2011年06月24日『東北地方の外来生物 パネル展』と、ある調査の時・・・

秋田 足利 直哉

 以前、裏磐梯自然保護官事務所の星ARが報告していた『東北地方の外来生物』をまとめたパネル展が東北各地を巡回していますが現在は森吉山野生鳥獣センターで開催中です。


 7枚のパネルに情報をぎゅっと詰め込んだ内容になっています、是非ご覧下さい。そしてパンフレットもお持ちいただけるようにご用意しています。
 当初は森吉山野生鳥獣センターのあと宮城県内の施設で開催の予定でしたが、地震で建物が被害を受けて現在もなお完全には復旧していないそうで・・・予定を変更して6月7月の2ヶ月連続開催する運びとなりました。
 今後もこのような東北地方環境事務所で取り組んでいる事業等をまとめたものを展示していけたらと思っています。お楽しみに!!



 
 さて、話題は変わって・・・先日森吉山麓で実施している自然再生事業に係るモニタリング調査をしていたときの話です。かつて牧草地だった場所を元の様な森に再生しようという試みで植栽をしている箇所があるのですが、そこの活着率(植栽した苗木がどれくらいの割合で根付いているか?)を調べたのですが、中には見つけにくい苗木もあって草をかき分けながら探していると・・・


 なっ・・何かいる!!
 掌サイズの茶色いフワフワした物がありました。小さく丸まっていますが、目がキラキラしているのが解りました。


 小さな【トウホクノウサギ】でした。この春に生まれたばかりの赤ちゃんうさぎでしょうか?牧草の中に身を隠していたのに私が草をかき分けたものだからこうして写真に収まることに・・。
 特に逃げる様子もないので観察したり写真撮影したりしていましたが、まだまだ調査しなければならない箇所があったので早めに切り上げて調査を続けたのですが・・・まさかまさか!!この後3箇所連続で苗木の根元に【トウホクノウサギ】が身を潜めていました。これには一緒に調査していた保護官も驚いてしばしの間、調査の手を休めて2人で観察した事は言うまでもありません^^

 調査を再開しても苗木の側に【トウホクノウサギ】が留まっていたので、邪魔をしないように計測して、露わになった苗木の根元をウサギ達が身を隠せるように復元してそのエリアの調査を終えました。 


 一部では、春先に雪の上から姿を現した苗木を【トウホクノウサギ】が食べることで苗木の生長に影響が出るなどの食害の話も聞きますが、こうして植栽した場所でその姿を見ると・・個人的には『イッパイ食べて大きくなれよ!!』と声をかけたくなります。少なくとも彼らは悪いことをしているのではありませんから!!例え活着率が悪くたって、こうして生きものを支えていることが解ったんだから「よし」じゃないでしょうかね??

ページ先頭へ↑

2011年06月23日いよいよ条件が整った

秋田 足利 直哉

 「夏至」の昨日は一日どんよりとしていて日の長さを感じる事などとてもとても・・・今日も灰色の雲が切れ間無く広がり梅雨らしさ満点の秋田市内です。こうも曇天が続くと晴天の時の画像が使いづらいですよね。。


 こんな前置きをしておきながらなんなんですけど・・・今日は大潟のシャッターチャンスの話です。
 大潟草原鳥獣保護区を巡視・調査しているとカメラを持った方々に出会うことが多いような気がします。プロ、アマを問わず、皆さん長い望遠レンズを装着していたりスコープをレンズ代わりに使って、超望遠で野鳥の姿を追っています。

 その様な方々は”野鳥そのもの”を出来るだけ大きく映し出すことを求めているようですが、大潟草原鳥獣保護区は”野鳥のいる風景”も自信を持ってオススメできる風景があります。そしてその光景がいよいよイイ感じになってきたんです。


 いつもお世話になっている大潟村のKさんのことろである本を見せていただいたとき、1枚の写真が目に止まりました。その写真は特に大きく掲載されていた物ではなかったのですがいきなり私の目に飛び込んできて、そして強い印象を残しました。

 先日、業務で少々帰りの時間が遅くなってしまった時、南の池を通りかかったら雲が多いながらも真っ赤な夕日が辺りを染めていました。その時、その写真を思い出して、なんとなく真似をして撮ってみた写真がこれ↓です。





 本に載っていた写真はコロニー松の梢に鷺の親子がシルエットで映し出されたそれはそれは美しい写真でした。この時はまだまだ鷺の雛達が大きくなっておらず、巣の上に伏せていることが多かったのですがここ数日で随分と大きく成長し、巣の上に立って様々な動きを見せるようになってきました。松の梢には沢山のサギの姿を確認することが出来ます。と言うことは・・・チャンス到来です!!残る条件は夕日!!雲の量でしょうか?それらの条件が整えば・・・



 この光景に関しては超望遠レンズは必要ありません。コロニーは細長い帯状に広がっていますのである程度の画角が欲しいところです。
 この光景が見られるのは南の池公園。駐車場もトイレも四阿もありますから長い時間過ごすのも問題はありません!!週間予報を見ると土曜日あたりがチャンスになりそうです。そこを逃すとサギたちが続々と巣立っているでしょうからシルエットが寂しくなります(私の写真のように・・・)。


 
 「夕日に浮かぶ野鳥がいる風景」を写真に残してみませんか?


ページ先頭へ↑

2011年06月21日タイミングが・・

秋田 足利 直哉

 今日の秋田市内は午前中から雨が降りだし、時々雷を伴って激しく降りました。暑い日が続いていた秋田県内では久しぶりの雨だったので、農家の皆さんにとっては待望の雨だったかも知れませんね。
 そして秋田県を含む『東北が梅雨入りしたと見られる』とのことです。いつもの年よりはちょっと遅めの梅雨入りだそうですが、これから暫くジメジメした日が続くかと思うと・・・それが当たり前と解ってはいても憂鬱ですよね。




 このところ、山を歩いて巡視していると足下に”白い大きな花びら”が落ちているのに気がつきます。よく見ると白に混じって”茶色いもの”もあります。そう!【ホオノキ】が花を咲かせています。
 【ホオノキ】は高木に育つ種で、その花も枝先にある為、森の中を歩いていても花の観察はしにくく、下から見上げたのでは様子もよくわかりません。そこで渓谷沿いなどの斜面で見やすい位置にある花を観察しようとするのですが・・・なかなかタイミングが合わないんです。


 今から何年前の話になるでしょうか・・・ある先輩から『【ホオノキ】って性転換する樹なんだぞ!』と言われました。当時の私は何のことかさっぱり解らずに『え?どういう事ですか?』と聞き返しました。すると・・・その先輩は詳しく教えてくれました。その時の解説を要約すると・・・『【ホオノキ】が初め咲いた時は雌花の状態で、一度閉じてもう一度咲いたら今度は雄花の状態になる・・・』と言うものでした。今思えばとってもざっくりした解説で、しかも随分と端折った説明であることが解りますが、当時の私には衝撃的な話に聞こえ、以後今日まで耳に残っています。

 もう少し詳しく言うと・・・【ホオノキ】は開花した日には「めしべ」が開いて受粉可能な状態となる。その花は一度閉じて、再度開花した時には「おしべ」が開いて花粉を出す状態となる。そしてもう一度花が閉じて、次に咲いたときには「おしべ」が脱落して、やがて集合果となる部分を残し、花の命を終えていく(この説明も随分とざっくりしてますが・・・^^)。つまり【ホオノキ】の花の美しい場面を観察する機会はかなり貴重であると言えるのです。


 数年前に先輩から解説を聞いて、自分でも調べてみて何となく知ったようなつもりになってみても、なかなか実際に観察する機会がないまま今日まで過ごしてしまいました・・・。毎年毎年『今年こそは!!』と思いながらも果たせずにいます。


 決して早い時間ではないのですが・・・この日は天気が悪かったんでしょうかね?閉じてしまっています。


 こちらはもう少しで咲くのかな?と思って、あるコースを行く時に帰りには咲いているだろうと思ったのにやはりこの状態のままでした。


 同じ樹にも花びらが開いているものがいくつかあるのですが、こちらは既に「おしべ」が脱落してしまっているようでした・・・。


 梅雨入り前の晴天が続いている時に、2日続けて同じ樹を観察できればもしかしたら両性花をそれぞれ観察できるかも知れませんが、東北は今日梅雨入りしました・・・。
 「めしべ」が開いている雌花、「おしべ」が開いている雄花、う~~ん見てみたい!!皆さんは見たことありますか??

 まさか・・・【ホオノキ】の花を見たことがあると思っていたのに実は、この記事の3枚目の花と同じ状態ばかり!なんて事はないですか??チャンスはかなり少ないですからね・・・天気やタイミングも重要ですし!!




ページ先頭へ↑

2011年06月17日モズロケット帰還

秋田 足利 直哉

 昨日の『モズロケット発射』に続いて、今日は【モズ】が餌を捉えて、食事場所である杭の上に戻ってくるシーンを集めてみました。

 カラスやトビ、ノスリ達が電柱のてっぺんに止まろうとする時の様子を観察していると、電柱のてっぺんのやや下へ向かって直線的に飛んで行き、直前でブレーキをかけながら上昇しててっぺんに”ふわっ”といった感じで止まるのをよく見かけます。でもこの【モズ】はその様なことはしないで、てっぺん目がけて一直線に飛んできて、”ぴたっ”と静止していました。
 とは言え・・・絶対にブレーキをかける必要があるし、足を杭に向けて飛んできて接地しなければならないはずなので、どうやって止まっているんだろう?と疑問を持ち、観察&撮影を試みました。





 この2枚を見ていると、てっぺん目がけて直線的に飛んできて直前で、足を伸ばすと同時に翼を広げて減速しているんだろうな~と思えてきます。恐らくは足にかなりの大きな衝撃が加わっているはずです。


 こちらは前記のカラスやトビなどのようにやや下から浮き上がるような軌道で杭に止まろうとしているのが解ります。戻ってくる場所によるのでしょうか?

 いずれにしても・・飛んでいる間の体勢は、頭から尾羽までが水平方向に一直線になっていると思われますが、杭に止まろうとする瞬間はそれが足を前に出す事によってどちらかと言えば頭から尾羽までが垂直方向に位置しているようです。きっとスーパースローで見たら驚くような身体の使い方をしてるんでしょうね?


 最後にもう一枚写真をご覧下さい。



 どうですか?この体勢・・・。まるで野球選手がベースに向かってスライディングしているよう(両足ですけど・・)だとでもいいましょうか?それともプロレスの選手がドロップキック(スピード感が段違いですけど・・)をしているかのようなとでも言いましょうか??とにかくもの凄い迫力です。


 頭が先になるようにして飛んできた【モズ】が杭に止まろうとする瞬間には足を先にして飛んでいるんですよね?これって・・・。ますますスーパースローで見てみたい!!

ページ先頭へ↑

2011年06月16日モズロケット発射!

秋田 足利 直哉

 皆さんお気づきになりましたか?この右側にあるカレンダーの上に『がんばろう!東北』のメッセージボードが付いたことを!!これまでもこれからも東北地方のアクティブレンジャー10名全員がこの思いを胸に日々の業務にあたっていきます。
 ちなみに東北地方環境事務所のホームページにも同様のメッセージボードが掲げられています。



 巡視のために車を走らせていると環境整備のために各地の道路沿いで草刈り作業が実施されています。雪が溶けて以降、芽を出した種々が背丈を伸ばして来たために行われているのですが、この時期の風物詩的な光景です。大潟の管理棟周辺でも草が伸びてきたので管理員さんがボランティアで草刈り作業をして下さいました。駐車場から通路、管理棟の周辺を一人で刈るのは骨の折れる作業です。
 このお陰で大潟草原に野鳥観察に来られた方々が快適に観察が出来ますのでとても感謝しているのですが、もう一つとても有り難い効果があるのです。





 草刈り作業が一段落すると【モズ】がやって来ました。どうやらこの場所を餌の狩場にするようです。
 草を刈ったお陰で獲物が見つけやすくなったようで、ここを基点に何度も何度もロケットのような勢いで獲物を捕らえにいく様子を観察することが出来ました。




 高性能な連写機能があればもっと迫力のある画像が見られたことと思いますが、【モズ】が獲物目がけてスゴイ勢いで飛び出していく様子がお分かり頂けるかと思います。杭の上ではクリッとした目が愛らしい印象ですが、その目がガラリと変わったように見えませんか?

 この【モズ】は杭の上から草刈りが終わった範囲を見渡して、獲物を見つけたら一直線に飛んでいき、そこで獲物を捕らえると咥えたままこの杭に戻ってきてここで食事をする。嘴に付いた汚れを拭ってはまた獲物を探す。見つけては飛び込み・・・この繰り返しを延々と続けていました。

 この充実した観察が出来たのもボランティアで草刈り作業を行ってくれた管理員さんのお陰です!!ありがとうございます。



 獲物が見つけやすくなって【モズ】に感謝され、その【モズ】が餌を捉えるシーンを何度も何度も観察できて私も大感謝。更にはこの時来館された方も一緒にこのシーンを観察して大喜び!!満足していただけたようです^^


 本来の業務でも緻密なデータをキチンと整理して報告していただいて感謝しているのですが、こうした環境整備に汗を流し、その他にも様々な分野で大活躍していただいています。
 私たちの業務は自然保護官やアクティブレンジャーだけではとてもとてもこなすことは出来ません。各地で支えて下さる方々の力による部分もとっても大きいのです。国指定鳥獣保護区では「鳥獣保護区管理員」さんが大活躍してくれています。


 皆さんの周りでも草刈り作業行われていませんか?そこに野鳥や動物たちはやって来ていませんか?そこが安全な場所ならば”観察”をする絶好のチャンスですよ!!

ページ先頭へ↑

2011年06月14日観察会を実施していて思うこと

秋田 足利 直哉

 昨日は、日曜日に実施した自然観察会の実施報告をしました。この観察会でもそうでしたが、これまで実施してきた森吉での自然観察会でも大潟での野鳥観察会でも、普段あまり見つからないような生きもの、昨日まで居なかったはずの生きものが見つかることがよくあります。
 例を挙げると、5月の大潟での野鳥観察会ではこの時、今季初のシマアジを観察することが出来ました。見つかった場所は普段から管理員さんも私も巡視・調査している場所なので見落としとは思えないのですが・・・それでも確かに昨日まで見つかっていなかった種が見つかりました。
 そんな事が先日の桃洞滝コースで実施した自然観察会でもありましたので今日はその話をしようと思います。



 【エゾハルゼミ】です。セミと言えば木の幹で大音量の鳴き声を上げている様子を思い浮かべる方も多いかと思いますが、実際には足下の草の上で音も出さずに静かに過ごしている個体も結構見つかります。
 この日は足下に咲いている花々を観察していたとは言え、沢山の【エゾハルゼミ】を観察することが出来ました。雌雄の違いや、胸や腹の動きなどじっくりと観察しました。



 【ヤマアカガエル】と【クロサンショウウオ】が卵を産み落とした池では沢山のオタマジャクシ達がいました。
 その中から【クロサンショウウオ】の幼生を探すのはなかなか大変な作業なのですが、この時は参加された方が『あそこにちょっと違うのがいない?』と短時間で見つけてくれました。せっかくなので、幼生とオタマジャクシには悪いことをしましたが、ちょっと小さな器の中に移ってもらってじっくり観察させてもらいました。
 ちなみに大きくて黒いのが【ヤマアカガエル】(だと思います・・)のオタマジャクシで小さくて褐色で足があって前足の付け根に平衡桿(へいこうかん)があるのが【クロサンショウウオ】の幼生です。



 包接する【モリアオガエル】です。太陽が照りつける日中にこの様に産卵準備をしている【モリアオガエル】を見ることは稀だと思うのですが・・・恐らくこのペアは全参加者&スタッフが観察したことと思います。しかも背後にはこれから始まる産卵時に自分も参加しようと目論んでいるらしきオス♂個体もいました。
 このペア達はプライバシーを覗かれて嫌な思いをしたかも知れませんが参加者は大喜びだったようです。



 ブナの幹に止まっていた【イボタガ】です。私もお目にかかるのは2度目。こんな見やすい位置で見たのは初めてでした。
 森吉山野生鳥獣センターに【イボタガ】の写真を展示してあるのですが、『こんなのよく見つけるよね?』っていう声を耳にすることもあります。正面から見るともっと実感できるのですがそれは参加された方々の特権と言うことで^^
 中には、ブナの幹に止まる【イボタガ】のあまりに見事な擬態に直ぐ近くで見ているのに『えっ?どこ?何処にいるの?』と至近距離まで顔を近づける人もいましたので、見慣れない方には、本当に見つけにくいんだろうなと思います。



 この様に・・普段は見つけるのに時間が掛かるものであったり、なかなか見つけにくいものであったり、滅多に逢えない生きものと逢うことが出来たりと観察会で眼の数が増えていることによって出会いが増えることを私は観察会効果だと思っています。
 この効果を生み出すのは、講師が普段以上に注意を払って辺りを見ていることと、参加されている方々が様々な興味の元に津々と見つめているので普段とは違う沢山の視点だと思います。これが相まって貴重な出会いが生まれているのだと感じています。


 この後も森吉山野生鳥獣センター運営協議会主催の観察会がありますし、各地で同様の観察会が開催されます。皆様も参加されてみてはいかがでしょうか??



ページ先頭へ↑

2011年06月13日【実施報告】自然観察会『新緑のブナ林を散策・桃洞滝を訪ねる』

秋田 足利 直哉

 事務所のある秋田市内は一日イッパイどんよりとしていたらしいのですが、森吉では天気予報を裏切って、昼前から青空が広がり気持ちの良い天気の中、自然観察会を実施しました。タイトルには『新緑の・・』とあるのですが、この時期は既に『新緑』から『深緑』へと移り変っていて、周囲の森では林床へは陽光が届かないくらい葉が生い茂ってきています。なのでタイトルの『新緑』は『深緑』に置き換えてご覧下さい。



 この観察会には毎年多くの方々にお申し込みいただき、大人数で実施しているのですが今年も定員を上回る38名の皆さんにご参加いただいて実施しました。
 今回も地元で長きにわたって活動しているベテランガイド達に講師をしていただきながら12~14人の3斑に分かれて森吉山野生鳥獣センターから桃洞滝を目指しながら散策しました。
 森吉山野生鳥獣センターは初めてこられる方々は決まって『本当にこの先に建物なんかがあるんだろうか?と心配になった・・』と口を揃えるほど山深い場所にあります。なので出発して直ぐにブナの原生林に足を踏み入れることが出来ます!!


 出発して直ぐにこの景色の中を歩いていくんです。東北を中心に各地にブナの森が広がっては居ますが、いきなりこれだけの豊かな森に入っていける場所は少ないはずです。


 この森には多くの生きものたちがいます。そしてその痕跡も多数見つかります。講師陣も参加された方々も足下の花を見て、樹上のアニマルトラックを見て、遠くの水辺を見て・・と観察に忙しくなかなか前に足が進みませんでした。


 講師陣もそれぞれに豊富なネタを持っているし、参加された方々も強い興味関心を示してくれます。講師陣は『もっと伝えたいネタがあったのに・・』と話していましたし参加された方からも『久しぶりに楽しく勉強することが出来た^^』『今日は色々教えてもらって大収穫だった^^』と言っていただきました。



 ご参加下さいました皆さんどうもありがとうございました。そしてお疲れ様でした。森吉山野生鳥獣センター運営協議会ではこの後も自然観察会を予定しております。またのご参加をお待ちいたしております。


ページ先頭へ↑

2011年06月10日アカゲラの足指

秋田 足利 直哉

 昨日の日記に書いた、森吉山野生鳥獣センターの進入路の件ですが早速、北秋田市に対応していただけまして一方通行と駐車マナーについて告知する看板が設置されました。素早い対応で本当に有り難いです。あとは利用される方々のマナーに期待します。


 震災発生から3ヶ月が経とうとしています。あの日も金曜日でした・・。金曜日に業務で出かける度に思い出します。このところ震災関連の報道も少しずつ減ってきていますが、私たちは忘れることは出来ないはずです。震災直後、『私に何が出来るのか?』色々と考えてこれまで様々な行動をしてこられたことと思います。これからも『今、何が必要か?何が出来るか?』考えて行動していきましょう。


 

 さて、唐突ですが・・・皆さんは横に渡した丸太にぶら下がる時、手指をどう使いますか?丸太の太さにも寄りますが、【アカゲラ】がこの様な体勢で木を突いた場面を観察したのでご報告します。


 キツツキの足指はアルファベットの「X」の形になっていてそれでバランスをとって垂直に立つ木に掴まることが出来ると言うことは皆さんご存じのことと思います。でもキツツキが皆、常にその様にして生活しているはずもなく・・・時に枝に止まったり、地面に降りたりもします。そしてまたこの写真のように枝にぶら下がることだってあります。


 部分的に枯死していた枝にやって来た【アカゲラ】は中に潜む虫を様々な角度から捕らえようとします。
 そうしているうちに、逆さまになって餌を捕らえだしました。実に上手に中の虫を探して捕まえてあっという間に飲み込んでしまうのですが・・・その事よりも足指の使い方が気になりました。
  

 その部分をトリミングしてみました。

 どうですか?皆さんも丸太にぶら下がる時、そんな感じで掴まることを想像しませんでしたか?これを見た私の感想は・・・『【アカゲラ】も同じなんだ~』でした。

 以前この日記で、同じように「X」型の足指配置をすることが出来るミサゴを取り上げて、その時々に応じて「前2後2」の状態から「前3後1」の状態を臨機応変に対応していることをご報告したと思いますが・・・【アカゲラ】も自分の体勢や掴まる木の状態によって様々な足指の使い方をしていることが解りました。野鳥達の適応力ってスゴイですよね??


ページ先頭へ↑

ページ先頭へ