十和田八幡平国立公園 十和田
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2021年01月05日初春の慶び
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
謹んで初春のお慶びを申し上げます。
周辺の木々に多く見られる宿り木が、青空に映えてとても美しい季節です。
〈冬も元気なアカミノヤドリギ〉
「あしひきの 山の木末(こぬれ)の 寄木(ほよ)とりて
挿頭(かざし)しつらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとぞ 大友家持」
「山の木の梢の寄木を取って
挿頭(かざし=髪に挿す草花や枝)にしたのは、
千年(の世)を祝ってのことです。」
昨年の今頃は、こんな世情になるとは思いもせず、冬の間は何処の山に行こうかと
新しい年のわくわくすることばかりを考えていた伊藤です。
出かけたい山は、国内はおろか県外にさえも気軽に出かけられない状況が続いています。
そんな中で、少しでも十和田八甲田奥入瀬の美しい風景をお届けしようと思ってきましたが、
拙い写真ゆえ素晴らしさが伝わったかはわかりません。
昨年も温かく見守っていただき、たいへんありがとうございました。
新しい年も、すぐには平穏無事にとはいかないと思いますが、心穏やかに、楽しんで、
人の役にたてるような人間でいたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
さて、宿り木を良く観察すると、黄色や橙色の実の色の違いだけでなく、枝にも違いがあり
種類の違う宿り木であることを教わりました。
冬枯れの樹木に、花が咲いたように見える宿り木は、古くから神聖なパワーを持つとされる
縁起の良い植物と知ると、わくわくしてきますね。
〈ホザキヤドリギ:枯れ木に花の咲いたよう〉
〈ホザキヤドリギの実:葉が落ちても頑張っている〉
仕事始めの4日は、年末年始に降り続いた雪を一度に除雪しなければならなく、
事務所全員で作業しました。
〈4日の朝の積雪状況〉
〈除雪機では難しい部分は手作業です:十和田事務所長奮闘中〉
また、12月24日~1月31日まで、イオン下田ショッピングセンタースターバックス前にて、
「十和田八幡平国立公園写真展」を開催しております。
お近くにお越しの際は、どうぞお立ち寄りくださるようお願いいたします。
また今後、管内でも数カ所予定されていますので、下記スケジュールを参照のうえ、
ご来場よろしくお願いいたします。
○青森県
おいらせ町 イオンモール下田 12/24~1/31
○秋田県
鹿角市 文化の杜交流館 コモッセ 2/17~3/10
○岩手県
八幡平市 結いの広場(市役所ホール)1/15~2/4
最後に伊藤個人の恒例年始歌始め
ひさかたの まばゆき空に 寄木(ほよ)映えて
よろづのわざわい 去りゆかん
2020年12月22日寒さを楽しむ
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
全国的な寒波で大雪の様子が報道されていますが、
雪の被害に遭われた方々には、心からお見舞い申しあげます。
雪に慣れている地域なので、公園内では特段の混乱はありませんでした。
酸ヶ湯温泉の積雪量は2メートル以上になり、友人知人や家族から、大変ねと言われますが、
本人は美しいこの時期を楽しむ気満々ですので、ご安心ください。
そんな寒い季節の楽しみを挙げてみたいと思います。
雪が降るとまず目につくのが、雪原に残された足跡ですよね。
アニマルトラッキング(動物の歩いた足跡、羽跡、爪痕、食痕、糞などから動物の行動や生活、
生態を読み取ること)は、冬の自然観察の楽しみの一つで、探偵気分が味わえます。
〈冬も青々としたツルマサキの枝とリスの足跡でしょうか?〉
春を待ちわびる樹木の冬芽の観察も欠かせません。
〈寒さに耐えるムラサキシキブの実と冬芽〉
〈マンサクの丸い花芽と尖った葉芽と虫こぶ〉
〈芽鱗が剥がれかけ、陣笠を被った顔のように見えるリョウブの冬芽〉
〈不思議な模様のコブシの冬芽〉
〈←葉芽に毛があるのがコブシ、無いのはタムシバ〉
〈王冠を被り微笑んでいる王子様のようなオニグルミ〉
厳冬期の十和田湖周辺では、蓮氷(割れた氷が波でぶつかり合い丸くなって蓮の葉のように見える)や
しぶき氷(風が強く気温の低い日に、波が木などに凍り付いたもの)が出来て、
寒ければ寒いほど素晴らしい芸術作品が出来上がります。
また奥入瀬渓流の多くの滝は凍り付き、車に特別なライトを積んで滝を照らし、
鑑賞するためのツアーも開催されています。
この寒波で一気に成長しました。
https://www.towada.travel/ja/oirase-ice-falls
そして何と言っても冬の醍醐味を味わえるのは、八甲田や八幡平の樹氷ではないでしょうか。
何度見ても圧倒されてしまいます。
日本三大樹氷の一つである八甲田、日本一のオオシラビソの密度と言われる八幡平と、
十和田八幡平国立公園内では、この二つの広大な樹氷原が存在しています。
〈2018/1/中旬 八甲田の樹氷〉
〈2019/2/下旬 陵雲荘付近から岩手山を望む〉
そんな恵まれた環境で仕事をさせていただいて幸せなことです。
遠くに出かけなくても、湖畔にやってくる野鳥をのんびり観察するのも楽しいものです。
〈車に驚いて飛び立つオオバン〉
さらに、忘れてはいけないのが、「食」ですね。寒さゆえの食文化は地域によって様々ありますが、
私が個人的に心待ちにしているのは、味噌仕込みと干し餅作りです。
母の教えは、「味噌は大寒に仕込むこと」でした。雑菌が少なく失敗が少ないということです。
十和田湖に来た年の冬に仕込んだものが、良い味になっています。
また登山の際の行動食にしている干し餅(独自のレシピで、お粥に塩や砂糖などで味付けし
成形して低温下で乾かすもの)はマイナス10度以下にならないと上手くできないので、
気温が低くなる日を待って、作業をします。
今年は、北陸や信州の郷土料理である、柚子釜という茶菓を作ってみました。
寒風に2~3ヶ月吊して干し、春が来る頃に食べることができるそうです。
とても楽しみです。
「寒酒」「大寒卵」「寒の水」という言葉があるように、冬は豊かな食を提供してくれる有り難い季節です。
スノーランブリング(雪の上をぶらぶら歩く)や、冬景色の中を漕ぐカヌーも楽しそうですし、
めいっぱい楽しんでいるうちに、あっという間に春になっていそうです。
〈天気が良ければ一年中楽しめるカヌー〉
更なる楽しみは、昨年たった一度しか運転しなかった除雪車を(業務ではありませんでしたが)
今年は運転する機会があるのか、わくわくしています。
伊藤の楽しみばかり挙げてしまいましたが、皆さんもご自身の冬の楽しみ見つけてみませんか?
2020年12月02日十和田八甲田地区パークボランティア研修会が行われました。
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
2020年もあっという間に師走になってしまいました。
十和田湖畔に来る前は、師走に突入したとたんに走り回り、31日の夜まで慌ただしくしていたのを、
ふと思い出してしまいました。
ここ十和田湖畔はゆるやかに時が流れているように感じますが、
きっと誰にも平等に、時間は過ぎていっているのでしょう。
各地の積雪情報や、最低気温とともに、スキー場のオープン時期についても気になる季節になりました。
さて、11月15日、十和田八甲田地区パークボランティア会員対象の研修会が行われました。
毎年、秋の研修会は環境省主催で行われ、春から研修会のテーマや講師の選定を始めます。
環境省パークボランティアの皆さんの活動は時折この場を借りて紹介させていただいていますが、
そんな皆さんがいつまでも元気で活動していくために、「山でのセルフレスキューおよびバテない歩き方」
というテーマで、登山ガイド、山岳看護士でもある熊谷久美子さんに
研修会をお願いしました。
研修に先立ち、環境省認定パークボランティアとして認定され、活動が15年にあたる方に対して
感謝状の贈呈が行われました。
十和田八甲田地区では12名の方が表彰対象となっており、
当日参加された9名に感謝状が授与されました。
15年の長きにわたり、十和田八甲田地区の自然保護や施設の維持管理等にご尽力いただき、
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
〈十和田八幡平国立公園管理事務所長より代表者に感謝状が贈呈されました〉
続いて、いよいよ研修会が始まります。
熊谷さんは最近講演依頼も増えており講話の内容を楽しみにしていましたが、数年来の友人で
知っている人であるがゆえに、自分も同じようにドキドキしてしまいました。
〈当日の資料より抜粋〉
令和2年度十和田八甲田地区パークボランティア
秋季研修会
日時:令和2年11月15日(日)13:00~15:00
場所:十和田ビジターセンター レクチャールーム
講師プロフィール
熊谷久美子(くまがいくみこ)氏
●日本山岳ガイド協会
東北マウンテンガイドネットワーク所属
●日本登山医学界 山岳看護師
●日本看護協会
●看護師歴30年
●秋田県総合保険事業団
メディカルコンシェルジュ
●ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン
野外救急法 国際資格 WFR
24年間、看護師として中通り総合病院で、救急、整形、がん医療に意欲的に関わっていたが、
一昨年の1月、突然「北アルプスの山小屋で働きたい」といった意欲が降って涌き、転職を決意。
春には退職し、山小屋で働く「山ナース」となる。
「山岳医学」や「野外救急法」を学び、実践するうちに、
がんばらない「山歩き」「山徘徊」が一番だ、と気がつく。
翌年には、日本山岳ガイド資格を取得。「バテない、転ばない楽しい山歩き」の伝導ガイドとして
活動の場を広げている。
現在は、登山ガイドのほか、介護ナース、ツアーナース、救護ナースなど多様な「働き方改革」を実践中。
今年度9月、山岳看護師認定
現 秋田県高総体登山部ファーストエイド講師
〈以上 当日の資料より〉
昨今、あちこちの山で山岳事故も多発しており、上半期はパークボランティアの方の急逝
(山岳事故ではありませんが)などもあり、パークボランティアの皆さんに安全に山などでの
活動を行っていただくために、何かできることは無いかと、考えての企画でした。
熊谷さんの研修内容は、登山ガイドと看護士の両方の立場からみた具体的なことが多く、
すぐに実践に役立つことばかりでした。
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。
今回は十和田ビジターセンターで開催中の企画展の紹介です。
現在、十和田ビジターセンターでは、令和3年1月12日から2月21日(日)まで、企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」を開催中です。
江戸時代に十和田湖は、最盛期から衰退しつつも信仰の山であり人跡まれな奥山でした。そのわずか30から40年後大正の初め、湖畔にはホテルが立ち、自動車が走り、郵便局があり、観光地として注目を集め始めていました。この信仰の時代と観光の時代をつなぐ、ミッシング・リンクこそ鉱山の時代でした。
十和田湖に人が住み始め、集落ができていく、その過程には湖畔の鉱山開発と深い関係がありました。企画展では歴史資料を基に明治時代の十輪田銀山・鉛山の発展と生活の様子、後世に鉱山が遺したものについて紹介します。
<企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
※企画展の詳細はこちら
タイトル:企画展「鉱山から始まった十和田湖のくらし」
期 間:令和3年1月12日(火)から令和3年2月21日(日)9:00ー16:30
(毎週水曜日は休館)
会 場:十和田ビジターセンター
(〒018-5501青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋486)
主 催:十和田ビジターセンター運営協議会
資料提供・協力:小坂町総合博物館「郷土館」、小坂町町史編さん室
協 力:環境省東北地方環境事務所十和田八幡平国立公園管理事務所、(一財)自然公園財団十和田支部