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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

インタープリターとともに自然を楽しむ

2023年11月06日
十和田 中園 顕三
こんにちは。アクティブ・レンジャーの中園です。
今日、ご紹介するのは紅葉時期の蔦沼(つたぬま)の様子です。
夜明け時に見ることのできる山水の風景はテレビやネットでの紹介で知れ渡り、限られたスペースの展望デッキに数百の人が一度に訪れるようになりました。
展望デッキ
展望デッキからの蔦沼〈令和5年10月25日撮影〉
関係機関や団体で組織する十和田湖周辺交通渋滞対策協議会では、令和2年から渋滞対策・環境保全協力金の徴収及び早朝時間の事前予約を行っています。
そして昨年度からは、自然とのふれあいをコーディネートするガイド(インタープリターと言います)とともに楽しむプログラムを期日限定で実施しています。
あいさつ
インタープリター登場!〈ミニビジターセンターにて〉
まだ暗闇に包まれた早朝5時、我先と蔦沼に行く来訪者を横目に、参加者との和やかな語らいからプログラムは始まりました。いやがうえにも期待が膨らみます。
その後、薄暗い森の沢の流れやブナのシルエットに包まれて歩く中で、自然に対する五感が研ぎ澄まされていくのを感じます。それを成すのはインタープリターの言葉、そして歩いたり立ち止まったりする合間(距離と時間)が必要です。
夜明け前の森
夜明け前の蔦の森
展望デッキに着いてから、山肌に光が差すまでしばらく待つことになります。
その時間をどう過ごすのか、そこでもインタープリターの働きかけが大切です。
水面が僅かに波立っていること、見上げた空がほのかに色づいていること、水鳥が飛び立ったこと、一方向に向いている集団の意識を解きほぐすように言葉を発します。ともすれば場所争いになりがちな場面、今日は雰囲気が何だかちがう気がします。
夜明け前の蔦沼
夜明け直前の空
夜明け御の蔦沼
夜明け後の蔦沼
夜明け前後の1時間半という時間が、ダイナミックな物語のようにあっという間に過ぎました。この魅力に多くの人が引きつけられるのは当然かなと思います。
その物語を言葉として伝えてくれる人、ただ見るということでなく気づきや発見をもたらしてくれる人がインタープリターという存在です。
森の魅力を語る
森歩きの魅力を伝えるインタープリター
奥入瀬でガイド(インタープリター)として御活躍されている丹羽さん、自身が大切にしていることはホスピタリティだと言います。
今の蔦が抱えているオーバーユース(過剰利用)という環境問題、その解決に一役買っているのがインタープリターの存在ではないかと僕は確信しています。