十和田八幡平国立公園
226件の記事があります。
2021年11月26日自然歩道調査③
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
住まば日の本 遊ばば十和田 歩きゃ奥入瀬三里半
大町桂月
蔦沼をこよなく愛し、蔦沼で終焉を迎えた高知出身の歌人大町桂月も、奥入瀬や十和田湖を愛し歌に歌っていました。
11月16日は奥入瀬渓流14キロの歩道調査でした。
奥入瀬渓流がひときわ輝く季節は少し過ぎてしまいましたが、葉っぱが落ちてしまった渓流は、緑濃い時期に比べると見通しがよく、いつもは見えない滝や柱状節理の様子を観察することができます。
歩道は、ブナやカツラ、サワグルミやトチなどの枯れ葉に覆われ、歩くとカサコソと音がしてとても心地良いです。そんな中、来年の為に命を繋ごうとしている植物達の力強さに触れると元気が出るものです。
季節を間違えたようなブナの芽が芽吹いていました。あちこちにランの仲間の緑が目立っています。
虫に寄生する菌から発芽するキノコ、冬虫夏草(トウチュウカソウ)の仲間でしょうか?虫の死骸から何かが出ています。
冬虫夏草は寄生する虫により種類が違い、セミ、トンボ、ガなど世界に500種以上、日本でも400種以上が確認されています。
奥入瀬渓流は、カルデラ湖である十和田湖の水が外輪山の一番低い壁を破って子の口から流れ出し、その膨大な水流が岩を削り幅の広いU字型の谷になったものです。
先日、渋滞対策業務中に会話したお客様が、30年ぶりに訪れた奥入瀬がほとんど変わっていなくて感動した、と嬉しそうに話していたのが印象的でした。
現在は、車で簡単に通り過ぎる事ができますが、かつて歩くしかなかった時代に思いをはせながら奥入瀬渓流を歩くと、感動もひとしおです。
何度となく歩いた奥入瀬渓流ですが、季節や時間、一緒に歩く人などにより、違う風景が見えるものです。
歩道の途中にあるベンチをよく見ると、熊の痕跡と思われる物がありました。傷を拡大すると、毛が付いています。
わずかな秋の名残に心癒やされます。
本日のゴール子の口が見えて来ました。
十和田湖がキラキラ輝いています。
御倉半島は、いつもどっしりと私達を迎えてくれます。
何度見ても違う光景が見られます。
変わる事の無い風景、この先もずっとこのままであってほしいですね。
2021年11月24日自然歩道調査②
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
一夜(ひとよ)にて 真白き羽衣 まとう峰
龍住む湖(うみ)に 長き冬の音(ね)
降りしきる雪の通勤路で、歌の文句を考えながら走っていると、倒木による通行止めでした。
少し遠回りの道路に迂回したら、そちらも通行止め、解除を待つしかありません。
通行止め解除を待ち、2時間遅れでの出勤となりました。
倒木の処理は終了して通行止めが解除された後も、坂を登れないトラックが牽引されて走っているので、
時速5キロほどで進みます。発荷峠にぬけると湖は一面の銀世界でした。
さて、秋も深まってきた11月15、16日、先日お伝えした八戸から十和田湖に繋がる
歩道調査に行ってきました。
15日は、十和田湖畔宇樽部から十和田神社までの道と、五戸から十和田市までの半分の行程です。
(前半は以前の日記をご覧ください)
五戸から十和田市までの道のり:<http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2021/11/post_795.html>
16日は奥入瀬渓流、焼山から子の口までの14キロの行程です。
今回は15日の行程のご紹介をします。
八戸から始まる自然歩道は、途中の町並、街道、田園風景や八甲田の山並などを眺めながら進み、
奥入瀬渓流を経て、十和田湖にたどり着き、十和田山に登り十和田湖を眺め(この様子は下記のURL)
再び外輪山に登り十和田湖を眺め、十和田神社に繋がっています。
十和田山の調査の様子:<http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2021/05/post_667.html>
15日の調査は、この自然歩道のフィナーレに相応しい風景が待っているでしょうか?
十和田湖畔宇樽部からスタートです。櫛ヶ峰は白く覆われ初めています。
葉っぱがすっかり落ちて青い空が良く見えます。
キャンプ場は閉鎖されていますが、冬期もカヌーツアーは行っています。
いつも車でばかり通る道ですが、冬枯れの道から眺める十和田湖や御倉半島が新鮮です。
登り切ると、瞰湖台展望台に到着します。
十和田湖の展望地の中では、平成18年の宇樽部トンネル開通以来、訪れる人の少ない場所ですが、
ここから眺める夕日は格別です。
中山半島が龍のように横たわっています。
雲ゆきが怪しくなり、休憩すると身体が冷えてしますので、先に進みます。
冷たい雨が降ってきました。休屋へ急ぎます。休屋の玄関口にある大きなイチョウの樹は
すっかり葉を落とし、雪が降るのを待つばかりです。
降り始めた雨にすっかり身体が冷えてしまい、ゴールの十和田神社でゆっくりしてもいられず、
昼食をとるため管理事務所に帰りました。
十和田神社の写真を撮るのをすっかり忘れていました。
ですので、少しまえの晴れた日の十和田湖の風景をご覧下さい。
桂浜の紅葉したサクラと、十和田神社に続く開運の小路の入り口の風の神。
ゴールの十和田湖は季節や天候により様々な表情があります。
優しく、厳しく、時には激しく、訪れる人を待っています。
皆さんはどんな十和田湖に出会えるのでしょうか。
昼食後は、十和田市の道の駅に移動して、五戸から十和田市の半分の行程を逆から歩きます。道の駅おいらせからスタートです。
まず、刈り取りの済んだ田園風景の中や、大きなお屋敷のある集落の中を歩きます。
牛を飼っているお家の方としばし談笑、帰ろうとしたらこんな風に顔を出してびっくりしました。
牛は何だか他人とは思えません。
五戸周辺の生け垣はオンコ(イチイ)を多く見かけます。
この地方では、子供が生まれるとイチイの木を植える風習があるのだそうです。
十和田山や、戸来岳にはイチイの木が群生していました。土地の気候に合った樹木なのでしょう。
以前にもお伝えしたように、実は甘くて美味しいですが、種には毒が含まれていますので、
お気をつけください。
たわわに実ったオンコの実と、刈り込んだオンコがきれいに並んでいる。
今回は、本来のコースを逆に歩きましたが、振り返ると八甲田がうっすら見え、おまけに虹も出ました。
集落に突如現れた私達にびっくりした方に、UFOから下りて来たのかと言われました。
それだけ、普段は歩いている人がいないのでしょう。
スギとヒバの林が隣り合っています。
二十三夜塔という石碑がたくさんあります。
二十三夜とは、民間信仰の一つで、この地域では特に女性が集まって、飲食や雑談をする
習わしがあったそうです。
秋の日は釣瓶落とし、あっという間に月が昇り、前回の五戸から十和田市までの半分のゴール地点に
到着して、当日の調査は終わりました。
翌日は奥入瀬渓流14キロの調査です。
これも二十三夜塔の一つです。
明日も晴れますように。
2021年11月19日酸ヶ湯温泉千人風呂
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
昨日、帰宅途中の気温表示がマイナス2度でした。
寒くなると、温泉が恋しくなりますね。
十和田八幡平国立公園には多くの温泉が点在していますが、酸ヶ湯温泉といえば知る人ぞ知る名湯です。
そして、酸ヶ湯温泉といえば千人風呂が有名ですが、なにせ混浴なので入るのが躊躇われます。
そんなとき、何やら楽しそうなプロジェクトがあるとのことで、行ってきました。
酸ヶ湯温泉湯あみ着の日です。
混浴に抵抗のある人もこれなら大丈夫ではないでしょうか?
女性は左と右、男性は右を着て入浴します。
入り口でお客様に説明する管理官は、手前のポスターのモデルも務めています。
許可を得て撮影させていただきました。
本日が初日で、11月21日(日)、23日(火)、25日(木)、27日(土)、10:00~15:00が
湯あみ着の日となっております。
5日間の取り組みですので、酸ヶ湯温泉の千人風呂に入りたいけど混浴は苦手と思っている方、
ぜひ体験してみてください。
混浴と湯治文化に関わるお話しはまた別の機会に。
詳細は下記をご覧ください。
2021年11月18日絶景
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
以前から行きたいと願っていた、日本一のダケカンバが鎮座するという
戸来岳(大駒ヶ岳、三ッ岳の総称)の巡視に11月8日に行ってきました。
三ッ岳(1159m)は十和田八幡平国立公園に含まれ、1144mの大駒ヶ岳、お隣の十和田山(1053m)
十和利山(991m)などの周辺の山の中では一番標高が高く、天気が良いので展望が期待されます。
登山道に向かう道中に、まずはキツネのお出迎えです。
登山口はわかりやすい場所にありましたが、トイレや水は無いようでした。
登山口から しばらくは気持ちの良い広い道が続きます。ふかふかで足に優しい道です。
ブナの奇樹、巨樹があちこちにみられました。
登山道で振り返って、ついつい岩手山を探してしまいます。
急な登りを過ぎると、突然現れました。
2009年のデータによると、樹齢約300年、幹周り4.76m、樹高8.7mの日本一のダケカンバです。
周辺には幹周り3メートル以上のダケカンバが数本存在するそうです。
日本一のダケカンバの木から30分ほどで大駒ヶ岳山頂です。
山 頂周辺は矮生(樹高の低い)のオンコ(イチイ)の木の群落でした。
大駒ヶ岳山頂から、 今から向かう三ッ岳と十和田湖が見えます。
特徴的な山容の高田大岳をはじめ、北八甲田の山並がくっきりと見えました。
大駒ヶ岳から30分ほどのアップダウンの登山道を歩くと、三ッ岳に到着しました。
まず岩木山と十和田湖がお出迎えです。
右奧より、北八甲田、南八甲田、岩木山、左中ほどに十和田湖、手前は十和田山。
一目でこれほど見渡せるのは、ここ以外に思いあたりません。
名残おしいですが、少し休憩したら下山です。
三ッ岳と大駒ヶ岳の中間にある、 十和利山への登山道は藪で覚悟がいります。
紅葉は終わっていますが、カラマツの葉が晩秋の森を彩り、輝いています。
十和田湖を眺める管理官。どんな思いで眺めているのでしょうか。
私も、またここを訪れることができるのか、など考えて、感慨深いものがありました。
山の素晴らしさは標高の高さや知名度とは比例しないものだと思います。
それぞれの山に個性があり、主張があり、同じ山に何度行っても、その時により感じ方も景色も違い、
だからこそまた人は山へ向かうのでしょう。
数え切れないほど登っても、30年間毎日眺めても岩手山は決して飽きることなく、
八甲田も岩木山も、そして初めて訪れたここ戸来岳も、みんな違ってみんないい。
(どこかでこんな台詞があったような)
そして冬へ向かうこの時期、冬の装備のチェックをしなければなりませんね。
道具の整備不足や選択ミスは命に関わります。
冬も技術に合った山を楽しみましょう。
十和田湖は晩秋の色濃くなりました。初雪のお知らせをするのも間もなくでしょう。
やがて白く覆われる大地のひとときの賑わい。
枯れ木に花が咲いたようなホザキヤドリギの実。
2021年11月15日自然歩道調査
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
現在は十和田湖へ通じる国道や県道がいくつもあり、車で簡単にたどり着く事ができますが、かつて交通機関が未発達の時代、人々はどんな苦労をして十和田湖へ向かったのでしょうか?
以前から調査を続けている、太平洋側八戸から十和田湖に通じる歩道の調査の一部に同行しました。
今回は、青森県三戸郡五戸町から、十和田市までの約14キロです。
五戸町は沿岸都市である八戸市と、十和田湖のある十和田市との間に位置する町です。
「戸」と名の付く市町村は、「一」から「九」まで「四」以外は全てあり、一戸、二戸、九戸は岩手県、
それ以外は青森県にあります。「戸」の意味は、馬産地として知られていた地域の牧場に関連させる説があります。諸説ありますので、ご興味の有る方は調べてみてください。
歩道の調査へは、周辺市町村の職員はじめ環境省東北地方環境事務所八戸自然保護官事務所、十和田八幡平国立公園管理事務所、八戸高専の河村先生含む9名です。
〈坂の町と言われる五戸の町並みを歩く〉
〈女性は飲んではいけない水だそう と五戸川の流れ〉
五戸川流域保全地域として青森県から指定を受けていて、自然豊かな地域である。民家の庭先に普段目にすることのない花があると思ったら、コハマギクとのことでした。
しばらく歩くと神社の鳥居が見えてきます。
〈正面に龍神様がお出迎えの八幡宮〉
〈樹齢300年以上のオンコの樹(イチイ)〉
〈随所に龍の彫り物が施された本殿と薬師堂〉
十和田神社の龍神様と五戸八幡宮の龍神様、何か繋がりがあるのか、調べてみたいですね。
〈薬師堂から、三十三観音への道〉
〈地図で道を確認しながら進みます〉
〈所々にある史跡やあぜ道など飽きることがありません〉
〈この先には何があるのでしょう〉
〈何を祈っているのでしょう〉
〈ほっとするひととき:珍しい缶飲料に歓声〉
〈八甲田が見えて来ました:なんだかほっとする自分がいます〉
〈十和田市に入りました:電灯に古い市標が残っていました〉
〈ふと見上げた樹上に枯れ葉とおもいきや産卵前のヒメウスタビガ?〉
〈日が落ちてきました〉
〈一日の終わりが近づいてきました〉
集落の入り口にこんなものがありました。左が男性、右が女性を表し、疫病などが集落に入ってこないように祈願するものだそうです。春に設置し、秋には御炊き上げするとのこと。故郷岩手の西和賀地区にも同じ風習があり、巨大な人形がある場所があります。
地域の歴史を学んだり、自然を感じたりしながら歩むのは、身体も心も脳をもリフレッシュできるように
感じました。
2021年11月10日白き訪問者
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
季節の変化は、その空気感や、音、香り、様々な事で私に語りかけてきます。
山々の頂きは白さを増し、容易に近づけない季節がやってきます。
白鳥が渡っていく声が時折聞こえてきます。
先日自宅の気温は氷点下近くまで下がりました。
湖畔には10月前半からから渡り鳥がやってきています。
地面を覆ったカツラの葉っぱは、香しいばかりで空腹の時はちょっと辛いですね。
八甲田や八幡平の道路の通行止めの情報を耳にすると、いよいよやってくる
白くまばゆい季節にわくわくします。
紅葉の時期、多忙な業務に追われる中でしたが、たくさんの素敵な景色に会えました。
〈湖上にかかる虹の架け橋〉
〈二重になっていました:内と外では色の順番が逆です〉
〈紅葉と虹と倒木のコラボレーション〉
少し残念な光景に出会うこともありました。
〈上10月8日と12日、下10月29日蔦沼デッキからの様子〉
紅葉前にススキを配して撮った写真と同じアングルで写真を撮ろうとしたら、ススキが二本
折られたような跡がありました。(写真上2枚目)
紅葉時期に行って同じ場所からの写真を撮ろうとしたら、ススキの穂は一本も無くなっていました。
写真を撮る際に邪魔になるからでしょうか。
悲しい気持ちでいると、蔦沼の上部に虹が見え始めました。
〈蔦沼にも虹の架け橋が〉
一年で一番混み合う紅葉の時期ですが、そんな自然を守るために、沢山の人達の努力があることを
忘れてはいけないと思いました。
〈蔦沼渋滞対策にて〉
〈外輪山から善光寺平と左奧に岩木山〉
〈外輪山から十和田湖:光のカーテン〉
2021年11月05日「網張の森」樹名板取り外し作業
十和田八幡平国立公園 盛岡 工藤紀恵
皆様こんにちは。盛岡管理官事務所の工藤です。
11月3日、網張ビジターセンターの前に広がる散策路「網張の森」で、国立公園内で活動を行う
パークボランティア17名と共に春に設置した樹名板の取り外し作業を行いました。
樹名板は網張の森に100枚以上設置されていますが、皆さんの協力で1時間半ほどで全て回収す
ることが出来ました。お疲れ様でした!!
![]()
![]()
取り外して泥などを洗い落としてから収納します
尚、樹名板は取り外しましたが、散策は可能です。
網張の森は通年楽しめる散策路です。散策の前にビジターセンターに立ち寄ってスタッフに今
だからこその見どころなどを聞いてみてはいかがでしょうか。
普段から網張の森を見つめているスタッフがきっと新しい世界へ導いてくれると思います。
落葉すると森を見上げた時の青空の分量が増えますね。気持ちがいいです。
※網張ビジターセンターでは、新型コロナ感染症対策として館内数カ所に消毒液を設置していますのでご利用下さい。またマスクの着用もお願いいたします。
国立公園でお会いしましょう
2021年10月16日晩秋
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
昨日の通勤時の気温は7度でした。
しかし八甲田の初冠雪の便りはまだ聞こえず、雪の降るのが待ち遠しい私はわくわくする季節です。
先日、業務で行った蔦沼、田代湿原、雛岳の今の様子をお伝えします。
例年、パークボランティア活動として行っている田代湿原のロープ撤去を、コロナ禍で中止としたため、
管理官と二人で行いました。
〈撤去したロープと杭は一人分20キロ以上〉
華奢な管理官ですが、ネパール6000mの経験があり、いつも頼もしいです。
パークボランティアの皆さんは軽々とあっという間に終わる作業、
日頃の活動には本当に頭が下がる思いでした。
〈距離が短く平坦なので二人で何とか運びました〉
〈何を思う?〉
〈こちらを見ています〉
〈湿原に彩り:ナナカマド ハイイヌツゲ〉
〈蔦沼から赤倉岳、1001ピークをのぞむ〉
〈蔦七沼のひとつ長沼:1001ピークが紅葉真っ盛り〉
〈花火のようなソウシシヨウニンジンの実〉(想思子様人参)
〈熊の命を支えるブナの実〉
来る冬に向けて、命の輝きを放つ動植物達や木々です。
巡視で行った、雛岳は雨模様でしたが、ブナの森に癒やされます。
〈奇怪なブナがたくさんあります〉
〈下山途中に虹が〉
〈雨ありて虹あり〉
2021年10月08日秋色
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
風景にはいつも色や香りがともにあり、その季節に彩りを添えているのではないでしょうか。
私は、この風は何色かな、今の気持ちはどんな色かな、などなど、五感をフル活用しながら
大自然に身をまかせます。
十和田湖畔は今、香しいカツラの香りで満たされています。私は美味しいお菓子を連想してしまいます。
〈桂浜がカツラの葉で黄色に染まるのももうすぐです〉
業務で休屋の写真撮影をしていたら、どんぐりが頭に落ちてきました。
〈ミズナラの実はいつもより数が多いように思います〉
ふと見上げた針葉樹に赤い実がちらほら見えました。オンコの樹(イチイ)ですが、何やら様子が違います。
〈ひときわ目をひく赤です〉
赤い実は甘くて美味しいのですが、果肉以外は全て有毒で、特に種は微量でも死に至ることがあります。
種に傷がついていたものなら、口に含んだだけでも非常に危険です。ペットの誤食にもご注意ください。
〈ツルウメモドキの太いツルが絡みついています〉
〈全体の様子〉
〈反対側の様子:ツルウメモドキの他に、カエデなどが複雑に絡み合っています〉
厳しい環境で、このような樹形になってしまったのでしょうか。
また、木々は既に来年の準備を始めながら、来る厳しい冬に備えていて感心します。
〈キタコブシはすでに暖かそうなふわふわの服をまとっています〉
〈紅葉のトップバッターともいえるニシキギ〉
〈まだまだ湖畔のあちこちで花を咲かせているノコンギク〉
私達人間は、果たして動植物のように、正確な営みができているのでしょうか?
来る冬に向けて、様々な準備をしなければと思う今日この頃です。


ここ数日、十和田湖の湖畔は雪が積もりすっかり冬の気配がしてきました。道路には雪が残っているところもあります。いらっしゃる際、車のタイヤはスタッドレスタイヤでお越し下さい。
さて、本日は国指定小湊鳥獣保護区の更新についてです。
<鳥獣保護区で羽を休める水鳥>
まず、鳥獣保護区についてざっと説明します。日本では、そもそも野生鳥獣(鳥類とほ乳類)をつかまえたり殺したりすることは禁止されています(狩猟や一部のネズミ、海生ほ乳類などの例外あり)。鳥獣保護区は、特に守りたい野生動物種があるときに、その鳥獣を保護するために指定される区域です。鳥獣保護区内では狩猟も禁止されます。設定期間は最長20年とされており、少なくとも20年ごとに守りたい野生動物が減っていないか、今後も守っていく必要があるか判断する更新または解除の作業があります。
国指定小湊鳥獣保護区は先日10月30日が指定期間の更新の時期でした。詳細は下記の東北地方環境事務所WEBページをご覧下さい。
http://tohoku.env.go.jp/to_2021/post_5.html
更新のためには、様々な作業があり、私は地元の方との調整や情報の収集を担当しました。鳥獣の有識者の方や地元の自然観察者、鳥獣保護区内で生業を営んでいる農家、漁師、林業、観光業に関わる方など様々な方から国指定小湊鳥獣保護区に関する意見をお伺いするところから始まり、更新する鳥獣保護区の位置を明瞭に示すための図面や情報の収集・文言の確認、専門業者とやりとりしつつGISを用いての鳥獣保護区の様々な数値の計算なども実施しました。これらの仕事は主に令和元年度に行い、上局である東北地方環境事務所に情報を進達し、あとは会議等の重要なタイミングで上局からの質問に情報を整理して回答したり、地元の方へ意見照会する際の事前連絡したり等でした。
これまで、クマやカモシカなどのための広大な森と山の鳥獣保護区、水鳥が休むため池の鳥獣保護区の更新に携わったことはありましたが、今回のように住宅地や農耕地を含んだ鳥獣保護区は初めてで、最初、関係者の多さに面食らっておりましたが、多くの方の協力を得てまとめ上げることができました。皆様ありがとうございました。
国指定小湊鳥獣保護区は、オオハクチョウやコクガンなど冬の水鳥たちの生活の場として指定されています。ゴツゴツとした岩でできた磯、白砂青松の砂浜、とうとうと流れる川、いそがしく漁師さんが働く漁港などの様々な美しい景色があります。実はこれらの環境それぞれが水鳥の重要な生活場所になっています。特に平内町の中心部を流れる汐立川(小湊川)の河口は遠浅の海になっており、北東北ではやや珍しい干潟の景色が見られます。折々に訪れてみてください。
冬は、水鳥たちが漁港の中でのんびりと休んでいて、比較的見やすい季節です。漁師さんの邪魔にならないよう気をつけてですが、バードウォッチングもお楽しみください。