アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
過酷かつ美しき十和田山
2021年05月28日十和田湖の外輪山に位置する山の中で、十和田と名前の付いた山があります。
今回は、歩道の調査ということで、子の口から十和田山を縦走して宇樽部に下りる行程に
同行しました。通常の十和田山の登山道は、宇樽部の民家の脇から入山しますが、子の口側は記録も少なく、いまどんな花が咲いているのか、藪がどの程度あるのか、どんな風景が待っているのか、
〈自然のトンネルの中グリーンシャワーを浴びて〉
〈まずはゆるりと登って行きます〉
〈クロモジのアロマでリラックス〉
〈今の外輪山を彩る代表選手はこの二人:ツバメオモトとシラネアオイ〉
十和田湖の外輪山の山々は、雪解けの時期はツバメオモトが登山道脇に咲き乱れ、
シラネアオイなどとともに早春の風景に彩りを添えています。
十和田湖の外輪山の西に位置する白地山(1034m)の登山バッジは、ツバメオモトがデザインされていました。(残念ながら現在は販売していないそうです)
〈しっとり輝くミツバアケビ:雄花のクルクルが愛らしい〉
〈笹の花が咲いていました〉〈ツバメオモトは虫にも人気者〉
〈ツツジ祭り:ヤマツツジにコヨウラクツツジ〉
笹の花は、60~120年に一度咲くと言われ、吉凶の諸説があるようです。珍しい花ではありますが、
笹は全国各地にあるので、山を頻繁に歩く人は、案外何度も目にすることがあると思います。
自身も2年に一度くらい何処かの山で出会います。
まばゆい新緑の中を進んでいくと、時折木々の間から八甲田の山々が顔をのぞかせます。
〈綠の額縁に白きたおやかな櫛ヶ峯〉
〈八甲田オールスター:櫛ヶ峯から高田大岳まで一望〉
〈上を見たり下を見たり忙しい:ミネザクラとムラサキヤシオ〉
〈お日様を浴びたサンカヨウも美しい〉〈地面のトチの倒木に咲いていた花〉
花や風景の写真を撮っていると、どんどん置いていかれます。
誰も居なくなり、声も聞こえず踏み跡もなく、一時斜面を下り始めてしまい、
危うくルートを外れるところでした。
冷静になり、周囲を見回し(ほとんど眺望はありませんが)足元の地形を足裏で確認し、ルートを決めます。
最後は地図とコンパスが確実ですが、まずは自分の経験や感を頼りに歩きました。
〈背丈以上の笹をかき分け、踏みつけ進みます〉
もと山岳部管理官はどんどん先に進んで追いつけません。この辺りから、後続の4人の先頭をルートを探しながら進みました。古い登山道らしき道が現れた時はほっとしました。
(ほぼ藪に覆われて道とはいえませんでしたが)
〈山頂にてまずは岩手山を探す私がいます〉
〈岩木山もぽっかり〉
〈山頂からの十和田湖:御倉半島と中山半島が龍の頭としっぽ〉
〈未踏峰 戸来岳方面:今度行きますよ!〉
山頂での写真は、樹木が高いのでカメラを高くかざしての撮影です。
苦労した先の展望とご飯は何よりのご褒美です。
下山途中に、もと生物部の所長から教えていただいた陸貝の一種が写真がぼけていて残念でした。
瑠璃色に輝くハンミョウもぼけて写っていて、カメラも藪をこいでかなりの披露だったのでしょう。
積雪期の晴れた日なら、きっと楽に登頂出来るだろうと考えたのは私だけでしょうか?
次回は是非、雪景色の十和田山を、と誓います。