ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園

226件の記事があります。

2022年01月31日十和田八幡平国立公園写真展開催中です

十和田八幡平国立公園 盛岡 工藤紀恵

皆様こんにちは。盛岡管理官事務所の工藤です。

本日は十和田八幡平国立公園写真展のお知らせです。盛岡管理官事務所管内では現在2カ所で写真展を実施しています。

【イオンモール盛岡(前潟)2階中央吹き抜けガラス】1月12日~1月31日

 

【岩手県雫石町中央公民館 ふれあい広場】1月28日~2月10日 

 

国立公園で活動している環境省アクティブ・レンジャーが、日頃の業務を通じて撮影した写真を展示するものです。四季折々の美しい風景やたくましく生きる生きものなど、東北各地に存在する自然の素晴らしさを多くの方に知っていただき、自然環境への関心と理解を深めることを目的としています。

全20点、本公園の様々な表情が見られます。盛岡管理官事務所からは4点、大焼砂から見た男岳、岩手山お鉢、雨氷のアオモリトドマツ、イヌセンボンタケを展示しています。

どんな写真なのか是非会場でご覧頂ければと思います。

※3月に予定されていた八幡平市結の広場での写真展は会場の都合により中止となりました。

また雫石町中央公民館では1月29日~2月10日まで町内小学校の生徒さんの冬休みの自由研究が発表されます。

今日は準備作業が行われていましたが、一足お先にちょっぴりのぞかせていただきました。

クマはなぜ冬眠するのか、猫の感情表現方法の研究、ダーツはどのように誕生したのかなど力作揃いでした。おつまみ昆布が好きで10種類のおつまみ昆布について調べた生徒さんもいて、私の晩酌の参考にもなりました。生徒さんの感性に乾杯です。ルネッサーンス。

 

写真展ではアンケートを実施しております。今年はQRコードを読み取ってアンケートに答えるとシークレット画像がダウンロードできますので、是非皆様のご意見をお聞かせ下さい。

国立公園でお会いしましょう

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2022年01月28日レンジャクの訪れと十和田ビジターセンター臨時閉館(2/28まで)のおしらせ

十和田八幡平国立公園 村田 野人

 こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。2つおしらせです。

 まずは、今年もヒレンジャクとキレンジャクが休屋に来ました。先週は小さな群れだったのですが、今日は100羽弱くらいの群れになっていました。ちりりりり、ちりりり、と鳴き交わしながらこずえからこずえへと飛び回って、ヤドリギのみを食べています。私が着任してからは、毎年確認しています。

キレンジャク<ナナカマドの木にとまるキレンジャク(休屋撮影)>

 休屋のヤドリギが食べ尽くされたくらいが写真の撮り頃かとおもいます。レンジャクたちがしぶしぶナナカマドの実を食べるために低い枝にとまっているかもしれません。写真家のみなさまは、レンジャクの食事に配慮して撮影して下さいね。

 2つ目は残念ながら新型コロナウィルスの感染拡大をうけて、十和田ビジターセンターは2月末まで臨時休館となりました。開催中の「十和田湖ふしぎな雪と氷の世界展」が延長になるかどうかはおってお知らせします。

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2022年01月26日しぶき氷、蓮葉氷、アニマルトラッキング、冬芽、野鳥観察

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

雪の季節は楽しみでもありますが、時には脅威となって我々を脅かします。

それでもやはり、雪の季節はわくわくしますね。

厳冬期の十和田湖畔は、厳しくも美しく、キリリとした空気に包まれています。此処では、生きている実感、生かされている感謝が心からわき上がってきます。

風と水が織りなす風景、しぶき氷が出来はじめています。

手前の凍った部分が波に砕かれて蓮葉氷(はすばごおり)になります。

暖かい日は、何事もなかったように消えてしまうこともあります。

写真は同じ場所の移り変わりです。

前回ご紹介した、通称「乙女の像」と岩手との関わりを更に紹介します。

前回の日記で、カメラを構えた私が台座に写っているのを発見できた方はいらっしゃるでしょうか?

(前回の日記)http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2022/01/post_838.html

二人の乙女をしっかり支えている台座の素材は、折壁石という折壁花崗閃緑岩でできています。

(折壁は岩手県一関市室根町にある地名)

閃緑岩は地球の古い地質から出てくるもので、北上山地、北上山脈の南の尽き果てる所で地表に現れたのではと推測されています。東京の有名デパートの床や壁、国会議事堂にも使われていて、現在は採り尽くしてしまいほとんどないそうです。

高村光太郎が岩手県の山荘にこもっているということで、設計者が配慮したのではとも考えられています。

「乙女の像」に至る歩道は深い雪に覆われ、除雪がされていない箇所は歩くのが困難となっています。

しっかり装備をすれば、楽しみも倍増です。

外輪山に日が沈み始めます。

ふかふかの雪に、ずっとこのまま抱かれていたい気分です。

夕暮れ時に十和田湖湖畔の冬を満喫する二人

訪れる人の少ない湖畔は、動物達が生き生きと活動している様子が見てとれます。

テンかイタチが、湖畔で何か餌を探して彷徨っているのでしょうか?

大きい足跡は私の足跡です。

湖畔では、花咲く日のためにしっかり準備をしている冬芽の様子は、とても愛おしいです。

寒さを耐えて耐えて咲くからこそ、咲いたときの喜びはひとしおです。

マンサクの花芽の観察を始める時期となりました。

まだまだ固く蕾を閉ざしています。2022/1/4

イガイガしたものはマンサクメイガフシアブラムシによる虫こぶです。

※虫こぶ:虫癭(ちゅうえい)とも言われ、昆虫や細菌によって新芽や花芽、葉芽などが異状に成長したもの。

まだ小さなハリギリが地面から顔を出しています。若芽は山菜に、成長するとトゲが無くなります。

美味しいお茶にもなるクロモジはとんがった葉芽とまん丸い花芽が愛らしい。

力強く万歳しているようなヤドリギの赤ちゃん。

春咲く花々は、暖かい雪の布団の下で、すやすやと眠っているのでしょう。

木々の葉っぱが落ちてしまった今の時期は、野鳥観察もお勧めです。

毒が無くなった事をどうやって判断するのか、ヒヨドリがナナカマドの実を啄んでいます。

楽しみいっぱいの冬の十和田湖の様子を随時お届けしたいと思います。

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2022年01月19日霊験あらたか十和田神社

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

みなさんは、1月18日、2022年最初の満月を見る事ができたでしょうか?

風雪の中で待っていると、一瞬だけ顔を見せてくれました。

〈17日深夜〉

〈18日早朝〉

〈外輪山に沈む睦月の満月〉

〈はるか白きたおやかなる櫛ヶ峰〉

〈樹氷原ができています〉

まだまだ続くコロナ禍の中、思うように初詣などに行けない方もいらっしゃることと思います。

そこでパワー溢れる新年の十和田神社の様子をお知らせします。

私は、毎月1日と15日に欠かさず十和田神社に参拝し日頃の感謝を伝えます。

年末は晦日参りもしました。新たな年の1日は氏神様に一番に詣で、2日に信仰する神社と十和田神社にお詣りすることを数年続けています。

十和田神社は青龍大権現を、明治の神仏分離以降は日本武尊(ヤマトタケルノミコト)もお祀りしています。

早朝の空気が澄んでいる時間が、一番美しくパワーがありますので是非早い時間がお勧めです。

はらはら雪が舞って幻想的な山門と窓木のご神木

愛らしい狛犬のお出迎え

手洗い場の龍神様は氷を吹いています

目隠しされてもみんなお見通し?

みちのくの霊場と呼ぶにふさわしい佇まいが見えてきました。

優しい表情の狛犬が待っています。

随所に龍神様の彫刻が施されています。

熊野大社、稲荷神社、青龍大権現のお宮がありますので、そちらもお忘れなく。

青龍大権現は、階段を100メートルほど登った場所にあり、そこから鉄製のハシゴ(現在は使用出来ない)を湖まで下りた場所に「占い場」があり、以前は吉凶を占う場所でした。今は船でしか行けません。

占い場への階段と、登った先にある青龍大権現。(昨年秋撮影)

立ち入り禁止の占い場をのぞき込む。

Sea to  summit という概念で、海抜0メートルから山の頂へとチャレンジする登山や自転車のレース、トレッキングなどを楽しむ人々がいます。

かつていにしえの人々が太平洋側から十和田神社まで歩いていたように、自分の足だけで到達する感動を味わってみたいものです。

十和田神社から少し歩くと、観光客が必ず立ち寄る「乙女の像」があります。

正式名は「十和田国立公園功労者記念碑のための裸婦像」といいます。

春から秋は、観光バスのお客様が旗を持った添乗員さんに引率されて歩いている姿も見かけますが、今は越冬で訪れている白鳥と私だけでした。

写真の中に、白鳥と私がいます。探してみてください。

いつ眺めても他人のように思えなく、どっしりと大地を踏みしめる足を自分と重ね合わせて見てしまいます。

雨にも負けず、風にも負けず、の精神を感じます。

ここまで日記を書いた後に、タイミング良く「乙女の像」の作者高村光太郎の連翹忌(れんぎょうき:光太郎の命日に行われる)運営委員会代表の方の講話を聞く機会に恵まれました。

光太郎は「智恵子観音」を製作したいと、雑誌の対談で話していたことや、高村祭(光太郎岩手県花巻市に疎開した日に行われる祭典)が私の誕生日であること、宮澤賢治や岩手との関わりなど、たくさんの事を学びました。

湖畔にある十和田市の施設「ぷらっと」に高村光太郎や大町桂月の様々な資料が展示されています。展示の様子、高村光太郎や「乙女の像」については、後日の日記でまたお知らせしようと思います。

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2022年01月11日十和田ビジターセンター企画展「十和田湖ふしぎな雪と氷の世界展」のおしらせ

十和田八幡平国立公園 村田 野人

 こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所の村田です。

 冬の企画展の紹介です。十和田ビジターセンターでは、令和4年2月13日(日)まで「十和田湖ふしぎな雪と氷の世界展」を開催しています。

ポスター「十和田湖ふしぎな雪と氷の世界展」<ポスター:十和田湖ふしぎな雪と氷の世界展>

 冬の十和田湖では、厳しい寒さとはげしい風によって市街地では見られない雪景色が出現します。企画展では十和田ビジターセンターの職員が長年撮りためた美しい雪と氷の写真を公開しています。写真に収められた雪と氷の現象は、気温や天候によっては、一瞬しかみられないとても貴重なものです。また、それらの雪と氷がどのようにできるのか、その科学的な説明にも取り組みました。かわいいイラストで説明されています。ご覧下さい。

 なお、十和田ビジターセンターでは、新型コロナウィルス感染症への対策を実施しております。お越しの際はマスクの着用をお願いいたします。

※企画展の詳細

タイトル:「十和田湖ふしぎな雪と氷の世界展」

期  間:開催中ー2月13日(日)9:00ー16:30

(毎週水曜日休館)

会  場:十和田ビジターセンター

(〒018-5501青森県十和田市奥瀬十和田湖畔休屋486)

主  催:十和田ビジターセンター運営協議会

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2022年01月04日謹賀新年

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

「新しき年の初めはいや年に雪踏み平し常かくにもが」 大伴家持

現代語訳:新しい年の始めは、毎年毎年雪を平に踏んで、常にこのようにありたいものです。

あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

管理事務所の仕事始めは、年末年始に降り積もった雪と戯れる事から始まります。

深い雪を乗り越えて事務所にたどり着き、ペレットストーブに火を入れていると、窓越しにストックを使用しながら歩いてくる管理官が目に入りました。

なんと、スキーで通勤してきた模様です。

〈事務所の玄関までスキーで来ることができます〉

〈車の雪は手でどかすしかありませんね〉

今日は、久々に私が除雪機を動かしましたが、なかなか上手く出来ません。

見かねたA利用企画官がかわってくださいました。

更になんと、所長が名乗りをあげてくださるという新年。

〈的確に機械の説明をしています〉

〈あっという間に除雪機の動かし方を会得〉

さて、北駐車場に隣接するトイレが、昨年12月26日より供用を開始したのでご紹介します。

供用に際して、工事業者からの説明を受けました。

〈降りしきる雪の中での説明です〉

〈女子トイレ入り口と内部〉

〈男女共用トイレ内部とドアロック部分:小物置が付いています〉

〈化粧室入り口と内部〉

〈バリアフリートイレ〉

「日本一綺麗な国立公園のトイレ」との声も聞かれましたが、けして過言ではないと思います。

いつまでも、綺麗に大切に使っていきたいものですね。

トイレといえば、十和田八幡平国立公園管理事務所内のトイレは、男女両方とも事務補佐さんが毎日ピカピカに掃除してくれています。いつもスッキリとした空間は本当に気持ちが良いものです。感謝です。

私自身の新年の目標を、「トイレ掃除を丁寧にすること」に決めました。

小さなことの積み重ねが、大きな幸せを運んでくることでしょう。

令和4年も、この降り積もる雪にも増して、たくさんの幸が皆さんのもとに舞い降りますように。

「あらたまの年を経てなお降り積もる雪の重さや五穀豊穣」

         詠人 十和田アクティブレンジャー 伊藤

年が明けてもずっと降り続いている雪の重さと同じくらい実り多い年となることを祈って。

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2021年12月27日網張の森でクリスマス気分

十和田八幡平国立公園 盛岡 工藤紀恵

皆様こんにちは。盛岡管理官事務所の工藤です。

寒さが本格化してきました。毎朝自宅の窓の結露と戦っております。

1225日、網張ビジターセンターのスノーハイキングシューイベント「クリスマスを新雪の網張の森で」が開催されましたのでその様子をご報告いたします。

毎年同時期に開催されるこの人気イベントは今年も17名の方々が参加されました。

国立公園内で活動を行うパークボランティアの方々が参加者の足にスノーシューを合わせてくれます。


 

準備運動をしていざ網張の森へ!


慣れないスノーシューに緊張気味だった子ども達も徐々に新雪の網張の森で遊び心を爆発させていました。

イベント終盤には、サンタ氏も登場し、ビジターセンター職員手作りのクリスマスオーナメントが参加者にプレゼントされましたよ。

パークボランティアのハーモニカの演奏に乗せてクリスマスソングを全員で歌い、イベントは終了しました。私自身も新雪の網張の森でクリスマス気分をたっぷりと満喫しました。

 

網張の森は通年楽しめる散策路です。散策の前後にはビジターセンターに立ち寄って是非スタッフとのおしゃべりも楽しんで下さい。

※網張ビジターセンターでは、新型コロナ感染症対策として館内数カ所に消毒液を設置していますのでご利用下さい。またマスクの着用もお願いいたします。

国立公園でお会いしましょう

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2021年12月24日師走の湖畔にて

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

2021年、令和3年も静かに暮れようとしています。

22日は冬至でした。

柚子を大量に購入して、柚子釜ゆべし(長野や岐阜などで作られている)を仕込みました。

三ヶ月後が楽しみです。

さて、みなさんはどんな一年だったでしょうか?

続くコロナ禍でも、前を向き一歩一歩前に進んできました。

何事もないように過ぎていく季節と、淡々と続いていく動植物の営みを間近で見ていると、人間はなんと小さく非力なのだろうと思う時もあります。

しかし、どんな状況であろうと、延々と続く歴史の中であらゆる困難を乗り越えてきたことを思えば、必ずや出口はあると信じることができます。

私が着任当時から、勝手に龍神様と崇めている倒木の、四季の変化の様子をお知らせして

今年度のしめくくりとさせていただきます。

春 2020/4/8

夏 2018/9/26


秋 2018/10/4              冬 2018/11/22

ふりしきる 雪の重さも 風の音(ね)も

            一陽来復 春に向かいて

いつも読んでくださる皆様に感謝いたします。

少し早いですが、Merry X'mas and Happy New Year

虹と龍神様 2021/10/28

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2021年12月17日日々徒然なるままに

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

毎日が風のように流れてゆきます。

春から取り組んできた写真展の十和田八甲田管内最後の会場の撤去を終え、紅葉の繁忙期が終わり一段落したら、もう冬将軍に囲まれていました。

11月だけでも、私の通う通勤路は、雪による倒木で二度も通行止がありました。自然の脅威には逆らえないと思うばかりです。

ところが、雪を待ちわびている私の意にも天気陽報にも反して、湖畔には雪が全く降りません。

美しい雪景色の様子をお届けしようにも、これまた自然の摂理には逆らえません。

2017年に十和田湖に着任した年の雪景色をお届けします。

2017/11/28 十和田ビジターセンター前の太陽広場の風景。双子のドロヤナギ。大好きな場所です。

2017/11/28 ナナカマドの赤が、空の青と雪の白に映えます。

さて、師走の事務所周辺の様子や、業務途中で出会った風景などをご覧ください。

使われていなかったホテルの撤去が完了して、湖の見通しが良くなりました。

ふと足元に目を移すと、工事で残された土砂の中に、フキノトウが芽を出していました。

北駐車場の側に、新しいトイレが完成し、間もなく供用開始となります。

湖畔のブナには、鈴なりに実がついています。

地面に目を移すと、大量のブナの実が落ちています。

枯れ木に花が咲いたように見える、ホザキヤドリギ。

アカミノヤドリギはまだまだ葉が繁っています。

夕日に輝く十和田三山。

発荷峠からのぞむ櫛ヶ峰。

業務途中に、外輪山からこんなにくっきり岩手山が見える日は、泣けるほど嬉しくなります。

岩手山から八幡平、秋田駒ヶ岳まで一望できます。

秋田駒ヶ岳を遠望する。

近頃「風の時代」という言葉を耳にすることがあります。西洋占星術の一つの概念のようです。

吹き荒れる風も、そよそよと心地良い風もあります。どんな風が吹こうと抗うことなく、流されることなく、風に乗って軽やかに生きていきたいものです。

「雨にも負けず、風にも負けず、雪にも夏の暑さにも負けない丈夫な身体を持ち」と唱った宮沢賢治が描いたイーハトーヴォの郷(くに)に生まれて、育まれた精神は、いつも私を支える柱です。師走も風のように去って行きそうです。

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2021年12月06日蔦沼の紅葉

十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ

死ぬまでに一度は見たい絶景の一つと唱われた、蔦沼の紅葉シーズンが終わりました。

雪景色になった十和田湖、八甲田、奥入瀬渓流は長い静寂の時に入ります。

蔦沼 2018/1/11

昨年から、紅葉時期の蔦沼周辺の渋滞対策の一環として、早朝時間の予約制、駐車場料金の徴収等、新たな取り組みが始まりました。

蔦沼の紅葉として良く紹介されているのは、真っ赤に色づいた森が鏡のように穏やかな湖面に映っている様子ですが、行けば必ず見られるわけではありません。

2017年10月28日 初めてみた蔦沼の紅葉

蔦沼の周囲の森はブナやミズナラなど、真っ赤に色づく樹種はそれほど多くありません。

東の空から太陽が上がる瞬間、太陽に照らされた森が、風の無い穏やかな水面に映し出されるほんの数分の間だけ、このように赤く見えます。

メディアで取り上げられるようになってからというもの、全国からその様子を映像に残したい人、一目その光景に出会いたい人々などが、深夜から早朝にかけて蔦温泉の駐車場に詰めかけるようになりました。満車になると周辺に路上駐車するのが日常化し、周辺の交通の妨げになり問題となっていました。

また、朝日の昇る時間に押しかけた大勢の人々は、沼に設置されたデッキに入りきらず、その光景を一目見るために湿原に踏み込んでしまい、一部に植生の踏み荒らしが確認されました。

2019年は早朝の時間の通行規制を行い、シャトルバスを運行しましたが、デッキの入場規制は実施していませんでした。コロナウイルスが蔓延したこともあり、入場制限に踏み切ることになったのが、2020年のことです。

2021/10/29 業務の様子

昨年度と今年度の業務に携わってみて思うことは、入場制限することで、来場者の満足度は非常に高くなったのではということです。

また、周辺の渋滞もほとんど無いようでした。若干、湿原に踏み込んだ跡は見受けられましたが、入場制限する以前に比べれば格段に減ったように思います。

入場制限や、駐車場料金徴収について、賛否両論あるかと思いますが、私が現場で実際に見た来場者の方々はとても満足そうに見えました。

2021/10/29

あまりにも有名になってしまった蔦沼ですが、蔦七沼と言い、あと六つの沼も忘れてはいけません。(赤沼は少し離れていますが)

せっかく蔦沼までお出かけの際には、是非沼巡りコースを歩いていただきたいと思います。紅葉の時期は、黄金のブナ林と小鳥の囀りが訪れる人を癒やしてくれるでしょう。 

2021/10/21 蔦沼から長沼までの歩道

美しい風景は、後世に残る努力をすることによって、いつまでもそこにそのままに有り続けてほしいものです。

2019/10/31

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