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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

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2013年12月19日「冬の渡り鳥観察会」を実施しました

仙台 鎌田 和子

~シベリアから旅人・シジュウカラガンを
          動物園と蕪栗沼で見てみよう2013!~

長いタイトルの観察会を行いました。毎年、仙台自然保護官事務所では、仙台市八木山動物公園、大崎市との共催で年間2回にわたって実施しているのですが、今回は一日で2回分の観察会、しかも、シジュウカラガンにこだわって実施しました。
1980年から「八木山動物公園」と「日本雁を保護する会」が取組んでいるシジュウカラガン羽数回復計画の成果が見えており、今シーズンの飛来状況では500羽を超えてきていました。この計画を手掛けてきた日本雁を保護する会の会長である呉地正行氏に快く講師を引き受けて頂けたこともあり、今回は2回分を1回分に増量した形での観察会になりました。

第1部では、

呉地さんから、シジュウカラガンの群れが過去に仙台市周辺で越冬をしていたこと、シジュウカラガンがなぜ絶滅寸前までになったのか、絶滅したとあきらめかけた時に奇跡的に生存が確認されたことなど、講義して頂きました。また、羽数が回復してから渡りができるようになるまでの秘話を座学で伺いました。

園内にあるガン生態園で、間近にシジュウカラガンを観察、羽毛を触ってみたりしました。その後、水禽池では、その他の水鳥を観察しました。

第2部です。
午後からはいよいよ、大崎市の自然観察バス「マガン楽園号」で蕪栗沼、化女沼方面へ出発です。呉地さんは、参加者の皆さんが確実にシジュウカラガンを見られるよう、地元で調査していらっしゃる方からの情報を得て、現場に案内してくれました。

シジュウカラガンの群れを双眼鏡や望遠鏡で観察中です。しかし、午後からはあいにくの雪模様。視界が悪く、また私たちが到着する10分前に自動車が通過して360羽の群れが散らばったそうで、間近に見ることはできませんでした。それでも、200羽以上はいるようです。

写真の赤丸の中には、シジュウカラガン、マガン、オオハクチョウがいるのですが、「あっ、あれ!?」というような感じで、なかなかうまく観察することが出来ませんでした。
天気に恵まれ、うまくいくとこんな感じにシジュウカラガンを観察できたはずです。


この雪のため、ねぐら入りも早まりそうでしたので、蕪栗沼から化女沼に場所を変更して観察しました。

次から次へとマガンがねぐら入りしてきます。その中に、子犬のような鳴き声が聞こえてきます。シジュウカラガンの群れです。八木山動物公園での観察のおかげで、薄暗くなった雪降りしきるところでも、参加者の皆さんは違いを見分けることが出来ました。亜種ヒシクイもねぐら入りし、化女沼では3種のガン類を観察できました。

今回の観察会ではバスの定員もありまして、参加申し込み多数のため抽選とさせていただきました。残念ながら参加をお断りした皆様には大変申し訳ありませんでした。

長い丸一日を要した観察会は無事終了しました。八木山動物公園での体験をサポートしてくださった飼育担当者の皆さん、現地の情報を収集し、自然観察バスを出していただいた大崎市の皆さん、ご協力ありがとうございました。

シジュウカラガンの飛来数が1000羽を超えるくらいに増え、絶滅の危機を脱する日がそう遠くないことを願って、国指定蕪栗沼・周辺水田鳥獣保護区、国指定化女沼鳥獣保護区やその周辺がガン類にとって安全な越冬地であるよう見守りたいと思います。

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2013年12月06日アジア国立公園会議 仙台海浜エクスカーション

仙台 鎌田 和子

東日本大震災から1000日が過ぎました。震災後の仙台海浜、いろんなことがあったなと思いふりかえりとなった日が11月16日でした。

11月13日から17日に開催されたアジア国立公園会議では、16日に被災地である三陸復興国立公園、鳥獣保護区の取り組みを視察する日が設けられ、私たち仙台自然保護官事務所では、八戸種差・宮古浄土ヶ浜・気仙沼大島・仙台海浜4つのコースの中の一つとして仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区と井土浦特別保護地区の2箇所で解説を行いました。


井土浦特別保護地区に隣接する海岸公園冒険広場では、東北地方環境事務所職員の太田と遠矢レンジャーがガイドを務めました。震災後の井土浦の海岸や干潟の変化、取組などを解説。

写真の後方は震災後は震災がれきの山でしたが、すでに更地となり、がれき処理の完了間近な状況が見えます。海外からの皆さんには、通訳を介して伝えられています。

15.9mの高さここ海岸公園冒険広場では、避難した5名と2匹の犬が助かりました。

蒲生特別保護地区では、生物多様センター職員の佐藤と、私鎌田がガイドをしました。こちらでは、環境省で調査したデータ「東日本大震災が沿岸地域の自然環境に及ぼした影響」(概要版)を通して、蒲生干潟の変化を佐藤が解説しました。

「東日本大震災が沿岸地域の自然環境に及ぼした影響」(概要版)は日本語版と英語版が用意してあります。


蒲生干潟の変化や鳥類については、鎌田が解説。私たちアクティブレンジャーは、インタープリターとして自然解説をすることがよくありますが、この時ばかりは、自然解説(インタープリテーション)を通訳(インタープリテーション)していただき、エクスカーション参加者に現状を伝えることができました。震災直後、鳥類のモニタリングをはじめたころは、望遠鏡やカメラをさげて巡視の際、警察や消防の方々とすれ違う時の心苦しさ、心境なども伝えました。供養塔の場所では、参加者の皆さんが合掌する場面もありました。

今回の会議では、写真展とエクスカーションで地元を紹介したのですが、ガイド終了後に通訳の方を通じていただいた言葉があります。それは、「ローカルレンジャー、ありがとう。がんばって!」でした。アクティブレンジャーとして働いている私たちにとってうれしい名称をいただいたように感じました。地元とレンジャーをつなぐ仕事としては、アクティブでもありますが、「ローカルレンジャー」は心に響き、これからの励みとなりました。

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2013年11月20日第1回アジア国立公園会議 in  AR写真展

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。仙台の街は、落ち葉が道路をカラカラと音を立てて舞う季節となりました。

11月13日~17日に、「第1回アジア国立公園会議」は、東日本大震災からの復興を後押ししようと、秋深まる仙台市を会場に40の国と地域からおよそ800人が参加して開催されました。その会場で私たち東北のアクティブレンジャー10名の写真展を開催いたしましたので、様子をお伝えします。



宮城県のキャラクターである「むすび丸」君がアジアからのお客様をお出迎え!記念撮影も快く引き受けてくれましたよ。

初日の開会式です。

アクティブレンジャー写真展の写真は、これまでも東北管内で展示されてきたもので、「東北のいきものと風景」を一挙に60枚を展示することができました。

14日~15日は東北各地のアクティブレンジャー【西目屋の野原(左上)、宮古の高屋敷(右上)、羽黒の白銀(右下)】も応援に駆け付け、そしてスーツ姿で対応してくれたのは、この写真展のため、ポスターの英訳、写真展でも、通訳をしてれた職員の板橋(左下)、撮影者は鎌田です。
アジアといってもとても広く、遠方の国々の方や国内の方々に、東北地方の国立公園や世界遺産、鳥獣保護区を紹介いたしました。お返しにシンガポールやインド、アルゼンチン、中国、台湾、ブータンなどの国立公園に住む動物などの素晴らしさを教えていただきました。

アクティブレンジャーの仕事の紹介や様々なことを話す機会となりましたが、それ以上に、自国の国立公園について情熱的に語る外国のレンジャーに圧倒されました。見習わないと!

アジア国立公園会議についての詳細はこちらから。
http://asia-parks.org/j/
https://www.facebook.com/APC2013JAPAN

次回は、エクスカーションで訪れた仙台海浜の案内編をお伝えします。

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2013年09月26日初雁

仙台 鎌田 和子

秋と冬の便りを乗せて、マガン達が宮城県に到着しました。国指定伊豆沼鳥獣保護区では、9月22日に宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団がマガン14羽の飛来を確認、初雁となりました。

9月24日、仙台自然保護官事務所では伊豆沼でマガンの飛来状況を確認したところ、伊豆沼・内沼鳥獣保護区で1700羽を数えました。



まずは沼で一休み、ハスに覆われていない水面を選んで集まります。
今年は稲刈りが少し遅く、限られた稲刈りされた田んぼを目指して次から次と舞い降りていきます。

内沼でも、ハスに覆われていない水面を選び、ヒシの実をついばむ様子が見られていました。その中、1羽だけヒメシジュウカラガンが混ざっていました。渡りのはじめには、たまに迷子ではと思うような迷鳥、珍鳥が入っていることがあります。

半年ぶりに多くの鳥を数える季節になり、私もリハビリをはじめました。それは、マガンの群れの数を数えるのに、カウンターを使用するのですが、勘を取り戻すため、1羽ずつ数えています。10羽、50羽、100羽と単位の精度を高めて大きな単位の羽数を数えれるようにします。その結果に、1羽の違いや、アレッという鳥と出会うことができているようです。

これから、宮城県北部の湖沼、田んぼや上空からマガン達の声や姿が多く見られるシーズン、にぎやかになります。ぜひ、観察にいらしてください。


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2013年09月25日蒲生干潟 カラーフラッグ装着のシギチドリ類 秋

仙台 鎌田 和子

東日本大震災から2年6ヶ月が過ぎて、蒲生干潟は秋のシギチドリ類の利用が盛んになってきています。

台風18号が通過した秋晴れの9月18日に、台風の影響とシギチドリ類の渡り状況確認のため、遠矢自然保護官と巡視してきました。
巡視の前の週から、「蒲生を守る会」の方からの情報で、カラーフラッグ装着のオオソリハシシギが観察されていたことを聞いていたので、今回確認できるかな、それとも台風でどこかに移動したかな、と思いながら蒲生干潟を観察しました。


写真をご覧ください。蒲生干潟で休息しているシギチドリ類です。左から、アオアシシギ、オオソリハシシギ、オバシギ、オオソリハシシギ(フラッグ装着)、ホウロクシギ、ダイゼン(冬羽)、ホウロクシギです。台風も蒲生干潟でやり過ごしたシギたちなのでしょうか?

オオソリハシシギの左跗蹠(ふしょ)に青(上)白(下)のカラーフラッグ装着しているのを確認できました。このカラーフラッグは、前にハマシギでも紹介したのですが、亘理町の鳥の海で装着したことの証です。今年生まれのジュニアで青のフラッグには、H8と読み取れました。

震災後、蒲生では、南オーストラリア州、ロシア・サハリン、亘理町鳥の海でフラッグを装着したシギチドリ類を幾度と確認してきています。


ここ蒲生干潟は、国際線、ローカル線(蒲生⇔鳥の海)の発着場所であり、休憩、退避所でもあることを、春、秋と季節ごとに鳥たちが教えてくれているようです。

ローカル線は距離が近いこともありますが、シギチドリ類にとっては重要な路線のようです。フラッグを装着していることによって、渡りの道が見えてきます。

これから南に渡るために餌を食べたり、休養したりしている鳥たちです。ぜひ、優しく見守ってくださいね。

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2013年08月30日おおさき生きものクラブ「草はらでバッタとり!」観察会

仙台 鎌田 和子

夏休み最後の日曜日に、国指定化女沼鳥獣保護区に隣接する「古代の里」で観察会が開催されました。私も講師として参加いたしましたので、その様子をお伝えします。

まずは、おおさき生きものクラブについて、少し紹介します。大崎市産業経済部産業政策課では、25年4月から、大崎市内の小中学生を対象に大崎市の自然や生きものに親しむクラブをはじめました。大崎市には、国指定鳥獣保護区(ラムサール登録湿地)が二つ「蕪栗沼・周辺水田」、「化女沼」がありますが、大崎市内の様々な豊かな自然環境を地元のNPOの皆さんと一緒に1年間を通して観察、体験するのが目的です。


「草はらでバッタとり!」観察会は8月25日に開催されました。約60名の参加午前の部と午後の部の2回の観察、朝8時に次から次と参加する親子が集まってきました。


バッタの仲間は基本的に手づかみするのですが、網を持ってきてもオーケー!
女の子もバッタをちゃんと捕まえることができました。観察会場は、芝生、くさむら、砂利などさまざまな環境があり、網の出番もありました。子供たちと競うようにお父さんたちも活躍しました。(写真提供大崎市産業政策課)

オンブバッタ    クルマバッタモドキ(翅の特徴)
ショウリョウバッタ コバネイナゴバッタ
コオロギの仲間のほかに、シマヘビもそれぞれのグループで観察。参加者全員がバッタとりを体験し、観察後には、自然に還しました。

おおさき生きものクラブの皆さんは、バッタやいろんな生きものに興味をしめし、何に対しても興味津々です。記念撮影をして観察会終了です。夏休みの最後の思い出となりました。
この体験が大崎市の自然を大切に思い、自然保護の担い手に育つことを願います。

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2013年08月28日回復する伊豆沼

仙台 鎌田 和子

朝夕涼しくなってきましたが、日中はまだまだ暑い仙台です。

7月に2回の豪雨でダメージを受けた伊豆沼・内沼のその後をお伝えします。
いつもの夏だと、大勢の観光客で賑わうところでしたが、訪れる人も少ない夏となりました。
湖面のハスが枯れて、見る限りではもう11月かなと思うほどでしたが、さて、どうなったでしょうか。

写真上が8月6日の湖面、下の写真が8月22日です。新たなハスの葉が出てきました。まるで、7月上旬を思わせる緑の葉です。

花を探すと、ちらほら、それでも急いで回復しようとしています。遅れを取り戻そうと、小さなつぼみも見られます。もしかすると、9月のお彼岸の頃まで、花が次々と咲くかもしれません。そうなると、マガンの飛来時期と重なり、夏と秋の同居が見られるかもしれません。
残念だったのは、アサザやガガブタが回復できなでいることです。来年以降に後遺症が出なければよいのですが、心配の種です。


こちらは、周辺の水田、ハス田で咲く、ミズアオイです。沼がさびしい分、ミズアオイが華やかに見えました。
周辺の水田では、5月から子育てしていたケリは、親と同じ位に成長し、農道で4~5羽のグループで行動しています。白と黒のコントラストが美しい翼で羽ばたく姿が見られたり、チュウサギ、アマサギも観察できます。
静かに回復しつつある伊豆沼です。

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2013年08月14日子育て上手な沼、「切伏沼」

仙台 鎌田 和子

残暑お見舞い申し上げます。
今日は、国指定蕪栗沼・周辺水田鳥獣保護区に隣接した沼の様子を紹介いたします。沼の名前は「切伏沼、キリフセヌマ」といいます。地域の農業用水の水源として利用されているのですが、水鳥たちにとっては蕪栗沼が干上ったり、異変を感じた時、避難所になる沼でもあります。

この沼は、6月に観察した時は、カイツブリが子育てしており、親鳥が先頭だって潜り、ヒナたちの潜水学習を行っていました。蕪栗沼でもカイツブリの声を聞くのですが中々姿を観察できません。また、伊豆沼では、カイツブリの子育てを私は2~3年見ていないのです。この沼では3つがいを観察していることからとても過ごしやすいのだと思います。

現在は、ゴイサギやダイサギ、アオサギ、カルガモ、カイツブリが観察できます。

ゴイサギですが、下の写真を見ると、抽水植物であるフトイやガマの中にホシゴイと呼ばれるゴイサギの若鳥がいます。成鳥のゴイサギは、フトイをうまく束ねて止り木に活用しています。それぞれを遠くから観察するとうまくカムフラージュになっていました。


こちらは、ダイサギ、アオサギたちですが、ジーッとして餌が来ないか待っています。ダイサギが動きました。左端のダイサギのクチバシを見ると、ウシガエルのオタマジャクシのようです。


拡大写真を見てみると、ドジョウかと思いきや、やはりオタマジャクシでした。この時、10分位の時間、私もダイサギに倣って、ジィーッと観ていましたが、オタマジャクシを次から次と、10分間に7匹も捕まえていました。沼全体のウシガエルのオタマジャクシと比較できませんが、外来生物の駆除に貢献してくれています。

解放水面がたっぷりあり、ヒナを隠してくれる水生植物も繁茂し、餌も豊富とあって、子育てには好条件の沼のようです。
子育て上手な沼を参考に鳥獣保護区内の沼の管理を行うことで、伊豆沼でもカイツブリの子育てを再び見ることができるようになるかもしれません。

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2013年08月08日干潟の小さな生き物たちに会いに行こう!

仙台 鎌田 和子

8月4日、蒲生干潟で記念すべき観察会が開催されました。
蒲生干潟を守ろうと1970年に発足した「蒲生を守る会」主催の観察会ですが、震災後途絶えていたもので、今回で177回目を数えるそうです。

この日、参加者は110人を超えていました。震災前からの常連さん、干潟がどうなったか心配していた多くの人々が集まりました。

干潟のベントス調査グループは、「干潟の表面の生きものを探す」「干潟の泥の中の生きものを探す」グループに分かれました。また鳥類、魚類、植物などなんでも観察のグループという観察方法に分かれて観察しました。

ウミネコやダイサギ、カワウなどを観察したグループが次に望遠鏡で覗いている先では、小さなチゴガニがハサミを上下してダンスしています。「盆踊りみたい!」、「縄張りを主張していいるの?」参加者の皆さんはいろいろな見方をしています。


干潟のベントス調査グループでは、たくさんの生きものを発見したようです。「蒲生を守る会」の熊谷さん(写真左)は、ひとつひとつ丁寧に解説しています。今回の観察会には、特別講師として東北大の鈴木孝男助教も協力してくださり、次から次と、みんなの見つけた生きものの名前が呼ばれていきます。
鈴木先生や蒲生を守る会の皆さんが喜んだものでは、震災後初確認となる貝類、サビシラトリガイ、クリイロカワザンショウのどちらも準絶滅危惧種が確認されました。また、鈴木先生が蒲生干潟で3個体しか確認していなかったフトヘナタリも1個体発見できました。

クリイロカワザンショウ(大きさ3㎜)写真右上、魚類は、ボラ(幼魚)、チチブ、ウキゴリの仲間、タテジマイソギンチャク、カニや貝など様々な生きものが発見されました。震災前の観察会でもそうでしたが、子供たちは、生きものの前からなかなか離れず、とっても目が輝いていました。

今回の観察会では、蒲生干潟の今を知ってもらうことができました。また、干潟が渡り鳥にとっての国際空港だったり、多くの生きもののゆりかごだったりと多様な役割があることを理解してもらうこともできたと思います。

この日を迎えるために、「蒲生を守る会」の皆さんは安全面や交通面などを準備していました。その様子を見てきたのでなおさらですが、震災直後の瀕死の干潟からこぎ着けた観察会。とてもうれしそうでした。しかし、これで終わりではなく、はじまりの観察会として、これからも蒲生干潟の様子を伝えてくれることでしょう。

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2013年08月05日「知って楽しい 猛禽類!」in 仙台市八木山動物公園

仙台 鎌田 和子

仙台市も梅雨明け、8月3日、久々に青空が広がりました。
平成25年度八木山動物公園の動物セミナーの第1回が開催されました。
講師を務めるのは、「環境省猛禽類保護センター 鳥海イヌワシみらい館」の水落自然保護官と長船自然保護専門官(アクティングレンジャー)、それからワッシー君です。

参加者は夏休みということもあり、小学生を含む親子、大学生、一般の約30人です。



右から水落自然保護官、ワッシー君、長船アクティングレンジャーです。

長船アクティングレンジャーから、『猛禽類とは?」猛(がむしゃらに強い)、禽(鳥)類(仲間)イヌワシ(空の王者)、クマタカ(森の王者)の他、トビやノスリについて解説がありました。

水落自然保護官からは、「猛禽類を守るとは?」と題して、強いはずの猛禽類ですが、なぜ絶滅危惧種になっているかの解説がありました。
守るということは、イヌワシ、クマタカそのものだけではなく、その生活している環境そのものを守っていかなければならず、餌となるウサギやヘビが多く生息するためには、その餌になる小動物や植物が豊かでなければならないことが学べました。

後半は、猛禽類のペリット(食べたものの消化できなかった部分を基地から吐き出したもの)を解体して、どんな環境で生活しているかを観察しました。動物園の餌を食べている鳥と自然界の餌を食べている鳥では、ペリットの中身に違いがありました。動物園では餌として与えているネズミなど、自然界では、甲虫やアカネズミの骨や毛(鳥やネズミ)、中には、ウロコも出てきました。普段だと、気持ち悪いと思うペリットも、生活を垣間見る情報、お宝となります。
もしかすると、セミナー参加者の中から、未来の猛禽類の専門家が誕生するかもしれません。

仙台市は、楽天イーグルス、ベガルタ仙台のキャラクターがいずれもワシです。セミナー終了後、動物園内を散策しようとしたワッシー君でしたが、人気者のワッシー君は子供たちにすぐ捕まり、八木山動物公園の2羽のイヌワシとは対面できずに、イヌワシみらい館に帰っていきました。
きっとまた、イヌワシのこと、猛禽類のことを語りに来てくれるでしょう。

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