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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

257件の記事があります。

2015年07月29日サンクチュアリセンター・リニューアルオープン

仙台 鎌田 和子

暑中お見舞い申し上げます。

仙台自然保護官事務所の鎌田です。連日暑いですね。

今日は、国指定伊豆沼鳥獣保護区にあります「宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター」がこのほどリニューアルオープンしましたので、ご紹介します。

ハスの花に囲まれている伊豆沼のサンクチュアリセンター

7月25日、リニューアルオープン記念式典が行われました。(テープカットシーン)

今年、伊豆沼はラムサール条約湿地登録30周年と記念すべき年に展示内容を一新しました。センター内に入ると生き生きと描かれたマガンやハクチョウが壁面に、2階から見下ろすと400分の1の伊豆沼・内沼の写真が足元に広がり、沼を型取りしたテーブルには、沼の自然が手に取るように理解できる展示が施されています。

いつもよりハスの花の開花が早い伊豆沼、この夏休みのお出かけサイトとしてぜひ、皆様お越しください。

私が詳しく紹介するより、まずは足を運んで観てください。センター研究員の皆様から解説していただくこともできます。

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2015年06月15日仙台で「みちのく潮風トレイル」PR

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。

6月6日~7日に仙台市で開催されたモンベルクラブ・フレンドフェアで「みちのく潮風トレイル」のPRをしてきましたので紹介します。

二日間でイベントには、およそ4400人が訪れ、その中の568人の方々が、「みちのく潮風トレイル」のブースに立ち寄っていただきました。

アンケートやクイズに参加していただき、トレイルを理解していただけるよう心がけました。

訪れた方々、一人一人に「みちのく潮風トレイル」について、ルートについて解説、アンケートとクイズに参加した方には、みちのく潮風トレイルオリジナルバンダナをプレゼント!

歩きたいので、マップがほしい、情報がほしい、トレイルとは何?など様々な質問にお答えいたしました。

仲川希良さんと記念撮影トークショーでみちのく潮風トレイルを紹介してくださった仲川希良さんは、トレイルブースにも声を掛けていただき、バンダナと記念撮影しました。

希良さんのお話しを聞いていると、ほんとに「みちのく潮風トレイル」に愛着を持っている感がにじみ出ていました。

今回のPRで、実感したのは、知っている人が多いことと、相馬市で開催のイベントなどに参加した方が、「行ってきたよ}と気軽に報告してくれることでした。はじめてと答えた人は日本海側に多い感じ!

もっと多くの東北の方々に知っていただき、みちのく潮風トレイルのみちをつないでいきたいものです。

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2015年05月21日第69回愛鳥週間「全国野鳥保護のつどい」で受賞

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。

青葉若葉の季節、いたるところで夏鳥たちがさえずり、子育てを始めています。

仙台自然保護官事務所にとって、嬉しい嬉しい情報が飛び込んできましたのでご報告いたします。

「愛鳥週間」は5月10日~16日でしたが、その中の行事「全国野鳥保護のつどい」が東京都内で開催され、宮城県から「日本雁を保護する会」、「仙台市八木山動物公園」の二つの団体が、シジュウカラガンの保護活動の功績が認められ、環境大臣賞を受賞いたしました。おめでとうございます。

その喜びを携えて、仙台市八木山動物公園の阿部副園長がご報告にいらっしゃいました。八木山動物公園阿部副園長受賞報告に

環境大臣賞の賞状をご披露していただきました。(写真左から坂川所長、阿部副園長、西村次長です。)

シジュウカラガンの羽数回復計画や千島列島エカルマ島での放鳥についてお話ししていただきました。

宮城県北部にある国指定鳥獣保護区「伊豆沼」、「蕪栗沼・周辺水田」、「化女沼」は、マガンをはじめとするガン類の日本最大の越冬地です。シジュウカラガンは、7年前の飛来数は数十羽、観察するのも難しい鳥でした。それがここ4年の間にどんどん増えて、2014年ー15年の冬には、1000羽を超えたのです。

化女沼から飛び立ったシジュウカラガン

日本雁を保護する会と仙台市八木山動物公園は協働して、シジュウカラガンの羽数回復計画の策定、実践し、動物園で繁殖した個体を平成7年~平成22年まで13回、551羽を千島列島エカルマ島で放鳥するなどして尽力してきました。その努力が実を結び始めているのです。

日ごろから、鳥獣保護区や観察会でお世話になっている二つの団体が環境大臣賞を受賞したことは、嬉しく、誇らしく思います。

今年、仙台市八木山動物公園は50周年を迎えるそうです。また、ラムサール登録湿地として伊豆沼は30周年、蕪栗沼・周辺水田は10周年、化女沼は7周年を迎えます。そんな記念すべき年、日本雁を保護する会、仙台市八木山動物公園の野鳥保護の取り組み、功績を感じながら、動物園にまた宮城県北部の3つの国指定鳥獣保護区を訪れてはいかがでしょうか。

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2014年11月05日蕪栗沼クリーン作戦

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
宮城県北部にある3つラムサール登録湿地「伊豆沼・内沼」、蕪栗沼・周辺水田」、「化女沼」には続々とガン類、ハクチョウ類が集まってきています。
この季節、毎年恒例となりました蕪栗沼クリーン作戦が10月31日に行われたので、参加してきました。

大崎市田尻観光協会では、毎年ガン類が渡ってくるこの季節に、蕪栗沼に通じる道路沿いのゴミ拾いをしています。参加協力しているのは、地元住民の方々、宮城県・大崎市の職員の方々、2012年にユネスコスクールに加盟した大崎市立大貫小学校の皆さんは授業の一環で参加協力しています。勿論、仙台自然保護官事務所も協力しました。

ゴミ拾いをする道路沿いの田んぼには、多くのマガンが集まっています。

クリーン作戦を行う場所やそれぞれの担当の説明を受けて作業開始です。


みんなのゴミ袋は、次から次といっぱいになります。口々に「昨年より多いのでは?」、「大貫小学校みんなが注意を呼びかけた看板を見ていないのか!」そんな声がする中、みんな一生懸命に拾い集めました。


その結果のゴミの山です。古いタイヤ、空き缶、ペットボトル、家庭ごみ、オムツ、テレビ、農業用ビニールなど様々なものがありました。

毎年、作戦に参加する皆さんの気持ちは、「今年こそ、ゴミが無ければ、少なければ!」と願っていたはずです。
大貫小学校のみなさんも、ゴミを集めながら、残念な思いだったことを察します。

ひとりひとりが、道端に捨てないこと、絶対に自分くらいはと思わないことです。

「いつかきっと!」そんな願いを抱きながら、今年のクリーン作戦は終了しました。

後付けになりますが、12月6日に宮城県大崎市で開催される生物多様性地域セミナー in 大崎の開催についてご紹介します。

本セミナーは、地域における生物多様性の認識の向上、多様なセクター間の連携促進を図るため開催しています。

午前の部では、地球いきもの応援団の一人である大桃美代子さんの講演、UNDB-Jキャラクター「タヨちゃんサトくん」と大崎市マスコットキャラクター「パタ崎さん」による「生物多様性キャラクター応援団共同宣言式」を、午後の部では、田んぼと生物とのかかわりを学びながら生物多様性の保全のためにできることを考える子どもワークショップを行います。

なお、午前の部は「第3回生物の多様性を育む農業国際会議」と合同のプログラムとなります。

詳しくは、下記のURLをご覧ください。
http://c-tohoku.env.go.jp/pre_2014/0917a.html


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2014年10月17日外来種 「ベニバナボロギク」から見える牡鹿半島

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
7月から10月にかけて、トレイル踏査などで牡鹿半島を何度か訪ねて気になった植物についてお伝えします。

今年春、女川町の大六天山を地元の女川ネイチャーガイド協会の方に案内していただいたときに、「秋になるとすごいんだよ。」という言葉が気になっていました。何がすごいんだろう?
その答えは外来種のベニバナボロギクでした。



夏から秋にかけて花を咲かせ、種をつくり枯れていく1年生草本です。名前のベニバナは写真の通り、花の先端が紅色、ボロは襤褸、花の集まりがボロ雑巾のようとか、綿毛の付いた種からか、種を飛ばした後のボロボロに枯れた様子から諸説あるようです。原産は熱帯アフリカ、日本で確認されたのが、九州北部1946年だったそうです。地域によっては、食用にもなる植物。生育環境は、山火事跡、伐採跡など。


牡鹿半島をドライブしている人は、きっと道端や斜面に群生するこの植物を目にしているはずです。


晩夏の雪ではなく、ベニバナボロギクの種の旅立ちです。幻想的で、本当にすごいんです。でも地元の方に聞いたら、この綿毛が網戸や洗濯物にへばりついたりで、困っているようです。

では、どうして牡鹿半島にベニバナボロギクが群生するようになったのかを考えてみました。

平成18年10月の爆弾低気圧で大規模な倒木被害がありました。ベニバナボロギクの生育環境と牡鹿半島の倒木被害と合致したためではないでしょうか?
ここは、ニホンジカが多く生息していますが、シカには食用にしてもらえなかったようです。

ベニバナボロギクから見えてくるのは、牡鹿半島の環境だと思います。山火事や伐採跡ではありませんが、自然災害のため生まれた好適地、指標生物として観ることができます。春には、シカの食害のため、ヒトリシズカやミミガタテンナンショウが目立つ、それぞれを判断するとシカの好みが観察できました。ベニバナボロギクの生育する倒木跡地の今後がどうなるのか見守りたいと思いました。
一つの植物のからでも、環境や生態系が見え隠れする。トレイルルート候補地の牡鹿半島を今回は外来植物から観察をしてみました。


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2014年10月03日マガンの季節

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
今日は久々に、国指定伊豆沼鳥獣保護区の話題です。

今年の初雁は9月13日に31羽が、伊豆沼に帰ってきたそうです。いつもより1週間早く、びっくりでした。その後、どんどん大きな群れが飛来しているのかなと期待して、9月26日に調査を行ったときのことです。空を見上げても、耳を澄ましてもそれほど、マガンの声はしません。真っ先に旅の疲れを癒すいつもの田んぼに行ってみました。約800羽が落穂おついばんだり、休んでいました。じっくり見ていると、4~8羽位の家族と思われるグループがその田んぼめがけて降りていています。

そして、10月2日に調査のため、伊豆沼に向かいました。沼が見え始めるころから、車の窓を全開、群れ飛ぶマガン、鳴き声が響いています。

仲間を見つけて沼に降りてきています。まだまだ、ハスが繁茂し、降りるのに適した水面は少なく、限られたところに集中しています。

旅の疲れを癒すがごとく、沼で水浴び、休息、食事と思い思いに過ごしているようです。

特別保護区内の田んぼにも、マガンがいっぱい!この日伊豆沼周辺では約8000羽、9月26日の10倍に増えています。約1週間でどんと増えています。マガンの増加と共に、観察者も増える季節でもあります。

観察者の皆様へ
地元の生活されている方々に迷惑にならないよう、マナーを守って観察をお願いいたします。

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2014年09月24日あるいて、つないで、みちになる 座談会

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
暑かった8月20日、東北地方環境事務所を出発した、大学生8名がゴールの報告に9月12日、事務所を報告に訪れました。11日ゴールの様子は宮古自然保護官事務所の古館さんの日記をご覧ください。

12日は、「みちのく潮風トレイル」の今後に役立つように座談会を行いました。


嬉しかったこと、怖かったこと、困ったことなどを聞きました。
一日あたりの歩ける距離は? 20㎞
トレイルを終えて、一番食べたいものは? お肉(スキヤキ)
怖かったことは? デカいクマの足跡、北山崎の階段
疲れはどのようにして解消したの? 水風呂、マッサージ
持っておけばよかったものは? 爪切り、細かい地図、
               お返しのお土産(※)

気になる似顔絵こけしの杖、歩き終えて長さを計ってみました。減り具合に差がありました。7cmの差が、歩くときに、転ばぬ先の杖となり、みんなの脚を支えていたようです。勿論、地元の方々と話をする時にも役立っていたようです。

フェイスブックのコメントは? 多くの方々から応援のメッセージといいね!をいただいてうれしく、励まされた。帰ってからゆっくり、じっくり読みたい。

あるいて、生まれた手ぬぐいの軌跡です。いろんな出会い、思い出が8枚につづられています。

元気に帰って来た8人、特別な夏休みだったと思います。「一人では歩きたいとは思わない、仲間がいたから歩けた。」別れを惜しみつつ、秋風吹く夕方、それぞれの生活に戻っていきました。
フェイスブックを開くと、歩き終えても、余韻のように続いている。みちのく潮風トレイル効果だろうか。
https://www.facebook.com/bokurano.shiokazetrail


皆さんも、自分に合った計画で歩いてみませんか。

最後に※について、歩いていると、様々な方と話したり、お世話になったそうです。その時、何かお返しができたらと思い、お土産を持って歩けばよかったと思ったそうです。小さなお土産もその時の気持ちで良いと思います。それよりも、再び「みちのく潮風トレイル」の道をたどり、お世話になった方々と再会することがお礼となり、永く愛される道をつなぐことになると思いました。

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2014年08月29日みちのく潮風トレイル 宮城県石巻市牡鹿半島ルート候補地踏査

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
今回のルート候補地は、石巻市牡鹿地区にある林道から御番所公園までのルートを石巻市観光協会、石巻市役所、牡鹿総合支所の皆さんのご案内で歩いてきました。

歩き出す前に、入り口ではスプレーを取り出しみんなに、「今日みたいな湿った日は注意が必要だから!ヤマヒルが出るんだよ。」、予防策としてヒル用の忌避剤を足元や、シャツに吹きかけ、出発です。

颯爽とみんな歩いていますが、空けたところでチェック、ヒルが着いていないか見ています。どうやら、被害者が出ているようです。全員の足元に数匹は連れてきているようです。やはり、ニホンジカの多い場所は、ヤマビルも多いようです。


金華山一の鳥居と金華山(写真左)、その昔、女性はこの鳥居まで、金華山には渡れなかったそうです。今は、女性も金華山に渡ることができます。

仙台藩唐船番所(再現)とそこからの景色(田代島が見えています)・唐船番所(写真右)は、江戸時代に唐船の来襲を見張り、烽火で仙台のお城に知らせる役割をしていたそうです。空気の澄んだ日には、ここから今でも仙台の街が見えるそうです。
ヤマビルが心配ですが、季節を選んで歩くと、きっと素敵なところです。
ご案内いただいた皆様、ありがとうございました。

「あるいて、つないで、みちになる」北上チームの様子も紹介します。
ルート候補地を歩き終えてから、丁度8月28日は、石巻市内に入るはずです。探してみました。

あれ?、3人だ!もうひとりは? どうやら、歩いていると、復興の工事などで、歩けるところや行き止まりがあったようです。その為、一人は先行して石巻市内をリサーチ中とのことでした。みんな、元気に歩いていることを確認できました。
Facebookでも度々出てきているこけしちゃんを見せてもらいました。こけしは杖の頭で、それぞれ分身のようにそっくりさんです。杖の先は8日目にしてすでにブサブサにすり減り、歩いている大学生の脚をサポートしていました。
手ぬぐいも見せてもらいました。行き先々で出会った人から、メッセージなどを書いていただいているようです。
石巻担当の似田貝自然保護官からは、この先の情報や石巻市内の愉しみ方を受け取り、北に向けて歩き出しました。
牡鹿半島周辺をここ数日歩いています。見かけた際には、お声掛けしてみてください。

北上チームの皆さん、海の幸、島、半島、いろんな魅力を発見してくださいね。

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2014年08月20日「あるいて、つないで、みちになる」 スタート!

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
みちのく潮風トレイルニュースです。

今日から、東北芸術工科大学を中心とする大学生8名が、北上するグループ、南下するグループ二手に分かれて、みちのく潮風トレイルを歩き出すに先立って、東北地方環境事務所に挨拶に訪れました。

「あるいて、つないで、みちになる~ぼくらのみちのく潮風トレイル 三陸沿岸700km~」という、みちのく潮風トレイル普及啓発プロジェクトがスタートしました。集まった大学生はそれぞれの思いを抱いて、北の玄関「八戸市蕪島」、南の玄関になる「相馬市松川浦」から歩きだし、中間地点になる「恋し浜駅」を目指します。

坂川勉所長から、700kmを歩くに当っての激励と健康面の注意の言葉、8名の大学生のみなさんからは、参加の動機や抱負が述べられ、一人一人の目がキラキラと輝いて見えました。


さらに、南下グループにはすでに完成しているトレイルマップを、北上グループには、間もなく完成する相馬、新地のマップを配布しました。
西村次長からは、これからできるトレイルルートは皆さんが歩いて、様々な魅力地発見と出会いが、みちとなることや、歩くコツを伝授いたしました。

8月20日正午、仙台市を出発です。東北地方環境事務所の有志がお見送り、「気を付けてね!頑張って!」、「行ってきま~す!」北と南に出発しました。北と南のグループが出会うのは、9月11日の予定です。詳しくはfacebookで!

アクティブレンジャー日記を読んでいただいている皆様へ
このプロジェクトでは、大学生8名の皆さんは、白いTシャツの背中に写真のロゴがプリントされています。歩いていると、大きなザックを背負っているので見えないかもしれませんが、首にはスカイブルーの手ぬぐいが目印になるかも、三陸沿岸で見かけたら、ぜひ声をかけてくださいね。

三陸沿岸から遠く離れたところで、応援してくださる皆様へ
「あるいて、つないで、みちになる」では、facebookを活用しています。

https://www.facebook.com/bokurano.shiokazetrail?ref_type=bookmark

facebookをお使いの方は、ぜひ彼らの目線の「みちのく潮風トレイル」、見どころ、出会いをご覧ください。また、声援や「いいね」をお願いいたします。

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2014年08月11日井土浦の干潟に歓声が響いた日

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
みなさん、夏休みの思い出づくりしていますか?今日は、思い出と一緒に調査の記録も残した観察会を紹介します。

せんだい生態系再生コンソーシアム主催の「親子自然観察会in井土浦干潟」が8月9日に、国指定仙台海浜鳥獣保護区井土浦特別保護地区に隣接する震災で生まれた干潟で震災後はじめての自然観察会が開催されました。

写真は井土浦特別保護地区、左の川は名取川、赤丸印のところが観察会場所です。



観察会の講師を務めたのは、東北大学の鈴木孝男先生です。参加者は、親子、大学生、大人を合わせて約30名。
観察は小さな子供さんでもはじめての人でも参加できる市民調査方法です。干潟の表面を探すグループと干潟の泥の中を掘りながら探すグループ二手に分かれ、それぞれ見つけたものをビニール袋に入れていきます。

カニを捕まえようと四苦八苦、はじめはすぐに逃げられていたのですが、段々慣れてきて、小さな手でカニを捕まえては歓声が、また大学生や大人はシャベルで20センチ四方をザクッ、ザクッと一人15カ所を掘り、泥の中の生きものを袋に入れていきます。時間にしておよそ40分の作業でした。

今度は、見つけた生きものを自分たちで調べます。昨年、鈴木先生が蒲生干潟の生きもので作成した表を使い、「どれかな?あっ!これかな?」探しています。勿論、鈴木先生にこれは?とたずねるとすぐに答えが返ってきます。

結果は、アンケート用紙にそれぞれが見つけた生きものを用紙に書き込み、回収された用紙を鈴木先生はじめ大学生によってまとめられます。


写真は、アシハラガニ(左上)、ヤマトオサガニ(左下)、泥の中のゴカイの仲間(右上)、コメツキガニ、婚姻色(右下)です。そのほか、蒲生干潟でも見られる生きものたちや、絶滅危惧種の貝も観察できました。

この場所は、震災前はヨシ原が広がり、ヒヌマイトトンボの生息地でした。震災でヨシ原は消失し、ヒヌマイトトンボは震災後観察できていません。失ったものもありますが、干潟という環境の変化により、井土浦の干潟や、蒲生干潟、仙台湾の干潟の生きものたちの新たな拠りどころとなっているようでした。多くのカニやゴカイなどがこの場所で生活している、生きていることの喜びと同時に、この日、干潟には、観察者の歓声が響いたのがとても印象に残った観察会でした。

干潟となったこの場所は、当分そのままの形で残されます。干潟になって3年5か月、これからも干潟として生きものたちのゆりかごとなります。今回も観察された生きものは、その場に返し、いつもの生活をしています。これからも、静かに見守りたい場所となりました。

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