ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

257件の記事があります。

2011年07月06日動く砂

仙台 鎌田 和子

今日の仙台は暑いのですが、昨日までの蒸し暑さとは違い、カラッとしているように感じです。

6月下旬に仙台海浜鳥獣保護区に調査にでかけてきましたのでその時の変化をお伝えします。

蒲生干潟に出かける度に、「アッ変わっている!」とつい出てしまうのです。今回は七北田川から干潟に水が出入りする部分の導流堤が砂に埋め尽くされているのです。

昨年5月の導流堤付近の写真です。多くの人々が潮干狩りに訪れていました。


震災後、4月14日に撮影した導流堤部分です。この日は満潮に近い時間でしたので、水量たっぷりでした。


これは6月上旬、昨年の潮干狩りの写真に近い感じと思うのですが、どうでしょうか?干潟に降りるルートも流されているのですが面影がありますよね。



そして、6月下旬の状態です。たった20日間で砂が動いたのです。大潮、高潮、低気圧天候に左右される「動く砂」が海底にまだまだたっぷりあるのでしょうか?
津波で陸に砂を運んだはずなのですが、引き波で海に戻った分なのでしょうか?「動く砂」です。

今度、出かけた時にはどんな驚きが待っているのかしら?

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2011年07月04日ヌマアジサシの仲間だった!

仙台 鎌田 和子

今日も、仙台はどんよりと重い雲がたれこめ蒸し暑い一日となりました。

6月中旬に伊豆沼のアジサシを紹介しましたが、双眼鏡を覗いて見た時も、写真でトリミングしてみても何だか自分の中で納得がいきませんでした。そこで調べてもらったり、自分でも調べてやっと、スッキリ!したので報告します。

鳥の種は「クロハラアジサシ」でした。その仲間はヌマアジサシ類と呼ばれ、コアジサシやアジサシと区別しているようで、ヌマは沼で、沼などの淡水域で多く見られるのでそのように呼ばれているようです。空中で昆虫類を捕ったり、水面すれすれを飛行して捕獲も可能、しかもちゃんとダイビングも!万能選手の感じかしら!



疑問に思ったのは、飛んでいる時の尾羽が短く、外側尾羽が長くない。

脚が赤い、頭の色、腹の斑模様など、確かに幼鳥・成鳥、冬羽根・夏羽根など紛らわしいのです。でもその中から情報を拾って、導かれて答えに辿りつくのですね。6月下旬には、このクロハラアジサシのほかに、ハジロクロハラアジサシも確認されたそうです。疑問に思うことは、勘違いや新しいことに出会うチャンスになればと、「日々是好日」「日々これ何?」でいきましょう!



「節電について」
東北地方環境事務所も本日から、LEDライトが導入され、手元の明かりで仕事に向かっています。職員それぞれが節電、省エネに努力、試行錯誤で頑張っています。

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2011年06月27日オオクチバス・ブルーギル駆除活動

仙台 鎌田 和子

伊豆沼でのオオクチバスの駆除活動は、震災にもめげずに行われております。昨日の作業に参加してきましたので、その様子をお伝えします。

雨模様で気温も低めでしたが、ウェダーを履いて沼に入ると意外と温かく、水位は腰の高さくらい、そして何よりだったのは、陽ざしが無いため照り返しもなく、楽に作業ができました。

オオクチバスの産卵時期は既に終了、いつもであれば6月下旬で人工産卵床は回収し分解して収納となるのですが、今回の駆除作業の目的は、オオクチバスの人工産卵床をブルーギルが利用していることから、ブルーギルの卵と親を駆除すること、そして、もう一つは、今年既に孵ったオオクチバスの稚魚を網で丹念に掬い駆除することです。

人工産卵床は毎週、回収しては設置を繰り返しています。ブルーギルはオスが卵を見守る習性があるそうで、それを逆手に人工産卵床に産み付けられた卵と親を捕まえることができるのだそうです。昨年に比べて、今年はブルーギルの繁殖が多く確認されていて、(財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団のみなさん、ボランティアの方々は愕然、、駆除活動の期間を延長してがんばることになりました。


2ヶ所に設置してあった定置網を開けたところです。こんなにオオクチバスの稚魚が、大漁でした。その中から、モツゴやコイ、タナゴの仲間の稚魚はできるだけ逃しました。

中には、網の中で共食いが発生、5㎝にも満たない稚魚ですが姿は成魚そのもの、名前の由来の大口で仲間にガブリ!


また、こちらは、網で魚影を追いながら1匹1匹を掬う作戦上、捕獲したオオクチバスのお腹をチョイと押すと、同等サイズの魚が口からこんにちは!?
何匹かのお腹を押して出てきたのは、モツゴ、エビなど、早くも解け始めている感じ!消化が早いのか、パクパク、在来魚の稚魚が食べられてしまいます。

もし、震災だからといって駆除作業を休んでいたら、来年のこの季節の沼の中は一体どうなっているだろう。昨年までの努力はどうなるのでしょうか。地道な作業ですが、まだまだ駆除作業は続けられます。

伊豆沼を外来魚から守りたいと、この日の参加者は小学生から大人まで約25名、皆さん、お疲れ様でした。

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2011年06月23日諦めない

仙台 鎌田 和子

東北地方も21日に梅雨入りし、昨日は32℃を超える暑さ、そして今日は雨で蒸し蒸し、皆さん体調管理は大丈夫ですか?巡視に出かけるときの水分補給に私は気を付けるようにしています。

化女沼の巡視でのできごとです。



カメラを構えていた目の前で突然、水しぶきが上がりました。それから連写で数枚の写真を撮影したのです。

ヌーっと水中から飛び出してきたのは、「ミサゴ」でした。

体勢を整えて、飛び上がっていく「ミサゴ」、足を見ると、失敗!獲物は逃したようですが、再び、遠くで水しぶき、諦めずチャレンジしていました。

この日、化女沼の水際で多くのブルーギル、オオクチバスの稚魚を確認していたので、都合の好いことを考えている私は、「このいっぱいの外来魚をミサゴさん、捕まえて!」と心で叫んでいました。釣り人のマナーに期待したいところですが、生きるために魚を食べるミサゴに思わず、期待していました。
ミサゴの姿に自分たちも諦めず、外来魚を少しでも減らし、在来魚を守ることに取り組まなければ・・・・・。

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2011年06月17日6月の出会い

仙台 鎌田 和子

仙台の空は、梅雨を思わせる薄暗い曇、どよ~んとしています。
今日は伊豆沼の巡視での出会いを報告します。

巡視に出かけるときいつも、密かに今日は何か出会いがあるかなと期待しています。その期待は何故かいつも叶っているような気がします。

秋田自然保護官事務所の足利さんの報告にもでてきましたが、「鳥獣保護区管理員」のみなさんの毎月の報告や過去の報告書も私にとっても大切な情報です。

その中でも、6月の過去の報告書に毎年のように「アジサシ」が伊豆沼で確認されています。今年の巡視はいつもより回数が少ない私にとっては、出会いの機会がそれだけ少なくなっているのですが、運がいいのか、出会うことができました。

白い紙飛行機のように旋回し降り立ちました。やった~!アジサシ!伊豆沼での野鳥確認の種がまたひとつ増えたのです、私の野帳に書き加えました。


こちらはカヤツリグサ科のオニナルコスゲです。伊豆沼・内沼でもどこにでもあるわけではないようですが、カヤツリグサ科の植物が気になり、カサスゲでもないし、なんだろ?と調べて「オニナルコスゲ」に行き当たりました。調べて答えが出るとうれしいものです。


今度は、チョウです。「オニナルコスゲ」のお陰で出会いました。「ギンイチモンジセセリ」、このチョウは、ヨシ、ススキなどの生える萱場を好むのですが、どこの萱場にでもいる訳ではありません。前任の三宅さんは化女沼で撮影していたので、いつか私も出会えるだろうと思っていたチョウでした。
この出会いは、野鳥、植物、昆虫と伊豆沼の環境の豊かさを物語る一端です。
次回はどんな出会いが待っているのでしょうか?

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2011年06月14日生きるために

仙台 鎌田 和子

東日本大震災から3ヶ月が過ぎました。被災した皆さんにとって「あれから何日、何ヶ月」と数えながら、ふりかえり、ふりかえり、そして前をみつめて心の傷を治療しているような気がします。

国指定仙台海浜鳥獣保護区を巡視してきましたので報告します。5月末に台風と大潮が重なり、蒲生干潟の北側にある小高い松林の端は随分波に削られてしまい、前回の巡視の際には、砂浜の漂着物が片付けられていたのに、新たに大量の漂着物が海岸を埋め尽くしていました。これは、嵐の都度繰り返されるのかもしれません。


昨年9月から3月はじめまで観察されていたミヤコドリですが、震災以来観察できていませんでした。越冬のために飛来していたはずなので、夏場はいないのは当然なのですが、・・・・・

せっせと、干潟で好物のイソシジミを探しています。蒲生干潟で越冬した個体なのかは?ですが、何となく勝手知ったる感じです。繁殖地に行きそびれたのでしょうか?それとも、好物の貝が沢山あるからでしょうか?


その側では、ウミネコがご馳走にありついています。アシハラガニのようです。
どちらも生きるために食事をしている光景を観察していると、、「縁の下の力持ち」底生生物も頑張っているのではと、想像してしまいます。


蒲生干潟の側にある工場敷地内のサギのコロニーでは、多くのサギが観察されました。
生きるために、食事、繁殖、自然界でもこの3ヶ月、大きな困難を乗り越えようと頑張っているようです。

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2011年06月03日化女沼周辺の湿地の植物たち

仙台 鎌田 和子

肌寒い日が続いていましたが、今日の仙台はお日様が時折顔を出し暑くさえ感じます。

久々に化女沼に巡視に出かけてみたら、湿地が華やかに見えました。
湿地といっても、休耕田、青紫や黄色の花が咲いているのに通行中の自動車は見逃して行きます。なんだか、もったいない感じがします。その花の正体は?

準絶滅危惧種のカキツバタでした。この季節になると、お庭にジャーマンアイリスや、菖蒲などが咲いているのを見ると思いますが、自生のカキツバタやアヤメ、ノハナショウブを観察できたらイイですよね。
ご存知かもしれませんが、ここで見分け方です。
カキツバタ: 花びらに白い筋、もっとも水湿、水辺を好む
アヤメ: 紫と黄色の網目模様、やや乾いた草地
ノハナショウブ:花びらに黄色い筋 湿り気のある草地
生育地の環境も違いますから、みなさんの近くにも咲いているかもしれません。

黄色い花は、サワオグルマです。耕作放棄水田や人里の谷地に群生しているのを見かけます。草丈をみんな揃えて、背比べしているみたい。


カキツバタやサワオグルマの足元には、やはり耕作放棄水田に群生するアゼスゲです。カヤツリグサ科の目立つ季節でもあります。
いよいよ、湿地や沼、水辺の植物たちが気になる季節がやってきました。楽しみです!

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2011年05月25日砂浜で頑張っています!

仙台 鎌田 和子

気がつくと新緑は深緑へと変わりつつあり、もうあれから2ヶ月半が経とうとしています。
国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生干潟を巡視してきました。周辺のがれきや自動車、家屋の片づけは少しずつ進んでいます。いきものたちはどうしているだろうか?
5月20日は午前11時29分が干潮、これはチャンスと、思い切って砂浜をぐるっと見て回りました。

最初に出会えたのは? んっ、砂?

解りますか、ココ、ここだよ!砂粒をよく見ていくと、コメツキガニです。周りには、砂団子も沢山!お~っ、生きていたのね。


あれっ?あの嘴は、ホウロクシギです。(写真:森林R撮影)
残された干潟や干満の差でできた潮だまりの周囲を上手に嘴を差し込み採餌しています。

この穴はホウロクシギが餌を捕ろうと差し込んだ痕、これは食痕!石膏を用意していたら型が取れたかも!津波の恐怖を感じる海岸なのですが、私の好奇心のアンテナが活動しだしています。


こちらは、カレイの幼魚、流のあるところで見つかりましたが、じっとしていれば解らなかったのにね!コメツキガニ同様に身体は砂模様、カモフラージュして生きぬいています。しかし、それを狙っているのはダイサギ、ウミネコなど、生きていくためそれぞれが頑張っています。

この日観察できた鳥類:ホウロクシギ、チュウシャクシギ、メダイチドリ、ウミネコ、カルガモ、ダイサギ、コサギ、オオヨシキリ、アオジ、ヒバリなど
海辺のいきもの:コメツキガニ、アシハラガニ、クサフグ、カレイ(幼魚)、イトマキヒトデなど
海岸植物:ハマニンニク、ハマナス、テリハノイバラ、ハマヒルガオなど

元気のでるいきものたちとまた、会いたいと願っています。

※当然ですが、まだまだ、周りでは、捜索活動も続いています。今回も許可を得て現地を調査しています。津波にも十分気を付けて巡視をおこなっています。

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2011年04月18日日和山の今、蒲生干潟は

仙台 鎌田 和子

仙台市にも春が、先週の開花宣言からあちらこちらに優しい桜色がひろがり始めています。まるで人の優しさに包まれていくような感じです。

仙台海浜鳥獣保護区蒲生干潟に3度目の巡視です。日和山方面からは今回がはじめて、ショックな情報は聞いていましたが本当に日和山はえぐられたように消えています。蒲生の人々、探鳥に訪れた人々が必ずといっていいほど登り、干潟を眺めたり、地元の人々との交流の場であったのですが無くなっていました。



日和山のあった場所です。過去に日和山に行ったことのある人にとっては信じがたい光景かもしれません。
日和山:標高6.05mの築山で、登山道は14段の階段が整備されていたのですが・・・・・

ようやく「いきもの情報」を少し掴むことができました。
野鳥:ユリカモメ、ウミネコ、コガモ、カルガモ、オカヨシガモ、キンクロハジロ、ヒドリガモ、シロチドリ、カワウ、ハクセキレイ、スズメ、トビ、ツバメ、ダイサギ、コサギ、ヒバリ、カワラヒワなどを確認。



葦原だったところ(現在は砂場)でアシハラガニが、カニ穴もあちこちに開いていて、「生きていたんだ!」よかった。このほかには、イソシジミ、以外な感じで見たのは、イトマキヒトデです。これは、干潟だった部分がすっかり海水に入れ替わったことを表すのでしょうか?


地表は大津波で家屋や電信柱、樹木もなぎ倒された3月11日はまだ地中で眠っていたので救われた「ツクシ」です。



避難しているだろう主を待っているかのよう、庭のスイセン。ブラザース・フォーの「七つの水仙」が心の中で流れてきたような感じがします。
どうも、仙台海浜を歩くと、感傷的になってしまいます。

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2011年04月11日国指定仙台海浜鳥獣保護区の変貌

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。新年度がスタートしました。と明るく行きたかったのですが、まずは、重たい報告からです。

仙台海浜にやっと行ってきました。巨大津波は、東北地方の太平洋側の海岸を大きく変えたのは、すでに皆さんは報道を見てご存知のことでしょう。

どれだけ変わったかを、以前の写真と比較してみました。

高台にある向洋海浜公園から今年1月4日に撮影した蒲生干潟の様子です。砂浜と干潟がはっきりみてとれます。


震災後3月30日に同じところから撮影しています。海岸線が変わっているのがわかりますか?海岸に流れ着いているのは仙台港のコンテナ、望遠鏡で見てみるとドラム缶も多く流れ着いていました。




仙台市若林区荒浜付近の鳥獣保護区の制札です。防潮林の松、電柱、家屋が流されている中、がんばった制札!ほとんどの制札が原型を留めず、流されたり、クシャクシャになっていたのです。

本来、いつもの巡視ルートのはずが、あまりにも変貌していて、言葉にならない。写真1枚1枚に大変さを感じたので、さらっと見れる写真を選びました。

今回はどの程度の被害なのか、見て回れる場所がまだ限られており、生息状況までは至っておりません。調査はこれからです。どう変わっていくのか、今年の目標にと考えています。

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