ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

257件の記事があります。

2011年09月15日チュウサギの舞う伊豆沼

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
この頃、鳥仲間たちの中で話題になっているのは、「今年のマガン初日はいつごろ?」となります。毎年のことなのですが、ワクワクしながら初日を待っています。私の予想は、伊豆沼で21日、蕪栗沼は翌22日かな?
何の根拠もないのですが、これから報告するチュウサギの大きな群れが伊豆沼に訪れた後にいつもマガンが飛来しているので・・・・・。

と言うことで、マガンを待っている伊豆沼の現在をお伝えします。ハスの残花も極わずかになり、伊豆沼、内沼の湖面には沢山の蜂巣を思わせるハスの実が頭を垂れています。沼の周囲に広がる黄金色の田んぼでも「頭を垂れる稲穂かな」といった具合です。




チュウサギです。決して稲穂を物色しているのではありません。イナゴやバッタを探しているのかな?次から次と田んぼを移動しています。

水路でも見かけました。奥の方がダイサギ、手前がチュウサギ大きさの違いこれでわかるかな?
チュウサギはこの日は、水面のハスの葉の上、田んぼ、水路、上空とあちこちで246羽を確認しました。
水面にいるのはコガモ、私にとってのこの秋初確認のカモです。

灰色の空に舞うチュウサギを見ていたら、高麗青磁の焼き物に描かれている白鷺を思い出しました。焼き物に描かれる身近な鳥のひとつと考えられますよね。
ようやく、水鳥賑わう季節が帰ってきました。
きっと、次回伊豆沼の報告では、いつマガンが飛来したという報告ができると思います。

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2011年09月09日蒲生干潟のいきもの「流れ着いたもの」

仙台 鎌田 和子

東日本大震災から間もなく6ヶ月になります。1000年に一度の体験、蒲生干潟の変化は訪れる度にビックリさせられています。

9月1日、雨の中の調査から報告します。



蒲生干潟全景を向洋緑地公園から撮影、8月9日には辛うじて流れていた七北田川も8月12日には河口部は閉塞、南蒲生まで砂浜が続いているようになってしまいました。


台風の影響で波は少し高く、それを待っていたかのようにトウネンの群れが忙しく餌取り、波と戯れていました。この日観察できたシギチ類は7種、約200羽を確認、雨でカメラは出せず、双眼鏡も滴にかすむという悪条件でも、シギチ類にとっては好天気だったようです。


8月はオカヒジキ、ツルナ確認を報告しましたが、漂着物が散乱する中、オカヒジキ、ツルナを何株も確認することができ、はじめは「ヨシ!」と思ったのですが、昨年までの調査と照らし合わせるとツルナは特に震災後に入ってきた感じがします。漂流物がストッパーとなりツルナの種子がどこからか流されてきて留まったと考えられるのです。
植物だけではなく、貝やゴカイの仲間でも震災前には確認されていなかった種類で、震災後に確認されたというものが多くあるかもしれません。また、震災前には確認されていてその後確認できない場合も当然あります。これからもいろんな場合を考慮しながら、1000年に一度の成り行きを観ていきます。

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2011年08月30日蒲生干潟のいきもの「シギチ」

仙台 鎌田 和子

8月19日の「蒲生干潟調査」の様子を報告いたします。

この日、午後2時37分ごろ地震がありました。丁度その時は私たち調査隊は七北田川河口部は波打ち際でおりました。携帯の緊急地震速報で気がつき、ラジオで津波の注意の呼びかけを知り、急遽避難開始、砂浜を急いで18分、高台である向洋緑地公園に到着、間もなく、次から次と車が、駐車場には結果66台が避難して来たのです。午後3時15分解除、あっという間にそれぞれ職場に戻って行きました。震度5弱、砂浜ではその揺れを感じることは有りませんでしたので、余計怖く感じたものです。普段から私たちは調査に出かける際、携帯電話、携帯ラジオを持参、もしもは想定していたのですが、波打ち際でのこの体験はさすがに、・・・・・まだまだ、一般の方々が出入りするには不安な仙台海浜です。

そんなこんなでしたが、調査では、

コチドリです。こんなかわいいチドリに会えるとうれしい!何か、以前にもお会いしたかしら? いつも同じところで見かけるようです。


キアシシギの中に1羽、名前の由来のくちばしの持ち主、ソリハシシギです。いよいよ、「シギチ」の渡りの季節なのかと、ワクワクしています。7月より多くのシギチを観察するようになりました。
渡り鳥は上空からいったい蒲生干潟をどうやって見分けているのかな?私たちには大きく変化した干潟ですが、ここに降りて休憩、食事をするシギチは?
不思議です。目印があるのでしょうか?


植物も新たに、ハママツナ2株(写真)、オカヒジキ1株、オニハマダイコン1株と出会うことができたのです。
今週は台風が近づいてきていますが、その影響がどのように出るのか心配ですが、蒲生干潟のいきものたちに悪影響がないことを願っています。

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2011年08月29日今年も青い絨毯

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
まだまだ暑い日が続いていますが、秋の気配をみなさんは感じることはありますか?
8月24日、蕪栗沼の巡視に出かけた際に、小さい秋に気がつきました。それは、ウグイスの鳴き声が地鳴きに変わっていました。8月15日には確かに「ホーホケキョ」を聴いていたのですが、「いつから変わったのだろう。いつ変えるのだろう。」そんな疑問を毎年感じているのです。

今日の報告はその蕪栗沼の青い絨毯です。



ミズアオイの群落が今年も青い絨毯を敷き詰めたように蕪栗沼は白鳥地区の湿地を彩っています。これだけの群落はそうどこにでもあるものとは思いません。ちょっとした自慢かもしれません。


ミズアオイを観察したり、撮影するのに、双眼鏡や望遠レンズを利用しています。もっと近づきたいと思うのですがやはり湿地に入るのはちょっと勇気がいります。ウェダーを履いて、カメラを持ってと考えると、もし転んだら、カメラが泥んこ、足が抜けないなど危険がいっぱいなので、安全のためミズアオイがもっとも近い岸辺からの観察となります。一番は荒らさないことですが。





こちらも、凧の足らしくなってきました。その名も「タコノアシ」、秋には茹でダコのように紅葉します。
ガンカモ類でにぎやかになる前の蕪栗沼も一度は見てもらいたい!おすすめです。

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2011年08月16日蒲生干潟のいきもの「干潟はいきている」

仙台 鎌田 和子

毎日暑い日が続いておりますが、みなさんお変わりありませんか?
今日も、国指定仙台海浜鳥獣保護区蒲生特別保護地区の状況をお知らせいたします。

8月12日に調査をしてきました。午前中は「蒲生を守る会」のメンバーのみなさんと調査いたしました。暑い中、多くの目で観ることができてありがたい時間でした。この場を借りてお礼申し上げます。

震災後、確認できていなかった植物で今回確認できたのは、

一株のオカヒジキです。そのとなりには、ツルナがありました。

潜望鏡のような目を動かしていたのは、ヤマトオサガニです。私たちのちょっとした動きに敏感に反応、その行動をしばし眺めて、「干潟はいきている」胸が熱くなりました。


前回の報告には、1匹のクロベンケイガニを載せましたが、今回はいっぱいいるところを「蒲生を守る会」のみなさんから教えていただきました。数えたら100匹はいたのではないでしょうか?



午後、引き続き調査をしていたら、干潟の水面を一団の群れがさーっと飛来、旋回して降り立ちました。シギチ類は、午前中確認したのはイソシギ1羽、メダイチドリ1羽、トウネン2羽、キアシシギ13羽だったのですが、午後のカウントでは、トウネン10羽、キアシシギ13羽がまとまって行動していました。

降り立った先では、採餌行動、水浴びを、この光景も私にとっては、干潟が生きている象徴に感じるのです。大げさかもしれませんが!
今日の河北新報の1面には、大きく「蒲生干潟 復活の息吹」と記事が掲載されています。
これからも、「蒲生干潟の生きている証」を見つけていきます。

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2011年08月11日今が盛り「はすまつり」

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
この頃セミの鳴き声も凄いのですが、夕べ気がついたのはコオロギやウマオイなどの「秋の虫」たちがにぎやかに演奏会を開催、これからしばらくは連日開催されることでしょう。


伊豆沼では、現在「はすまつり」を開催中です。連日、ハスの花に誘われて多くの観光客が訪れています。


伊豆沼サンクチュアリセンターは3月11日と4月8日の地震で展望スペースの大きなガラスが割れてしまい大変でしたが、7月下旬にガラスの入れ替えが終了し、展望スペースからハスを眺めることができます。

伊豆沼周辺の水路ではアサザが花盛りでしたが、沼ではハスが勢力を強め、アサザやガガブタは少し控え目のようでした。


東日本大震災から5ヶ月、極楽浄土を思わせるハスの花園を船で遊覧して、目と心を癒すのも一考かもしれません。


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2011年08月08日蒲生干潟のいきもの 「ほのぼの親子」

仙台 鎌田 和子

東北の夏まつり、みなさんは楽しまれましたか?仙台七夕も今日が最終日となりました。心なしか日が暮れるのも早くなってきた仙台です。

今日も、仙台海浜の報告です。震災から間もなく5ヶ月、蒲生干潟のがれきの撤去が進み、養魚池の水を抜いての捜索もそろそろ終盤となるのでしょうか。
7月下旬の養魚池の光景からです。

この日の調査が間もなく終わるという時のことでした。カルガモの親子発見!
荒涼とした空間に一筋の光明を見出した感じでした。

どうやら、この親子の姿は地域で作業されている方々の心と目にも癒しをあたえているようです。私たちがカルガモを見ていたら、捜索活動をされていた方から「かわいいなぁ!親子の姿はホッとするよ!」と。
がれき撤去に水抜きなど様々な重機が動いている中、子育てしているのですから。凄い!「頑張れ、お母さん!、お父さん!」応援しています。

調査では、カニを一種確認追加、クロベンケイガニのようでした。
カルガモの子どもが無事に成長すること、そして細々でも生きているいきものたちと会いたいものです。

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2011年07月25日蒲生干潟のいきもの その2

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
7月中旬にまた、蒲生干潟の巡視、調査をしてきましたので報告いたします。

蒲生干潟に出かけると、干潟に目印の棒があったり、ハマナスにナンバーテープが貼られたりと、各機関で調査を行っていることが察せられます。それぞれの調査結果が共有できたらどんなにいいだろうかと思います。


やっと撮影しました。チゴガニです。ハサミの白い方がオス、背を向けているのはメス、甲羅の大きさは小指の爪位です。万歳のダンスを見ると、「助かった!」と見える。この写真を撮った時のダンスは、みんなにエールを送っているようにも見え感動! 小さなからだで次の命を繋げるために頑張っていました。


「フトヘナタリガイ」こちらも生きていました。震災前に生息していた場所ですので、何とか生き延びたことになるのかしら?数は指折り数える程度でした。


一株だけ残っていた「ハママツナ」です。今回のいきものたちはいずれも同じ場所で観察しました。

巡視の4日後、「蒲生を守る会」のセンサスに参加させていただき、「フトヘナタリガイ、ハママツナ」を確認することができました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
これからも調査のたびに一つでもいいから、生きものの種が追加されて行けたらいいなと感じています。

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2011年07月13日ガサガサ体験

仙台 鎌田 和子

梅雨の明けた蕪栗沼・周辺水田鳥獣保護区白鳥地区です。いつもは、オオヨシキリやアオジの囀りが響いているのですが、7月12日は違い子どもたちの歓声が響きました。

大崎市立古川第一小学校4年生103名の皆さんが総合学習で訪れ、自然に直接触れ、蕪栗沼の魚類や水生昆虫の採集を通して自然環境の豊かさを体験してもらうのが目的です。

今回のガサガサ体験を支援するのは、地元蕪栗沼をよく知っている大崎自然界部、NPO法人蕪栗ぬまっこくらぶ、NPO法人田んぼ、大崎市、そして私たち仙台自然保護官事務所の面々10名です。

私たちが担当したのは蕪栗沼の南側駐車場から直ぐ下に広がる白鳥地区教育ゾーンでガサガサ体験、北側駐車場近くの水路では定置網の仕掛け、大きく2班に分かれて交替で二つを体験します。


駐車場直下の目的地に降りていく子供たち、小さいながらも丸木橋を渡るグループは、怖々、森林Rが手を貸して渡します。

約50人が一斉に網を沼に、ガサガサが始まりました。「あっ!魚が入った」「何にも捕れない」「網の使い方は?」「捕れたけど、触れないからどうしよう」、様々な声が飛び交いました。夢中になって網を水に入れる際、手を草で切ることも、暑過ぎて、ギブアップ!

「捕れたものは何かな?」ふりかえりでは、魚類では、ギンブナ、モツゴ、メダカ、昆虫は、マツモムシ、マイコアカネのヤゴ、幼体のカマキリ、オケラ、そしてほとんどの子供たちが網に入ったのがスジエビ、ヌカエビ、他にはマルタニシ、サカマキガイ、ウシガエルのオタマジャクシ、子どもたちの報告では定置網は、オオクチバス、ウシガエルのオタマジャクシが多数入っていたとのこと、この体験を通して、古川第一小学校4年生はどんな発見があっただろうか?気づきがあっただろうか?

虫や魚に触れるようになったかな? 100人が網を入れてもエビがいっぱい捕れた! 暑いと捕ったいきものがどんどん弱ってしまう。外来生物はどうしてダメなの?
いろんなどうして?を感じてほしい。そしてその先に自然の豊かさや大切さを見つけてほしいですね。また、遊びに来てね!

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2011年07月11日蒲生干潟のいきもの

仙台 鎌田 和子

今日で東日本大震災から4ヶ月となりました。昨日もちょっと大きな地震、津波注意報がでましたので、忘れられない3月11日と重ねたことでしょう。

前回は砂について報告しましたが、6月下旬同日の調査の際に出会ったいきものについて報告いたします。

津波で変化している干潟、砂浜を歩いていると、あれだけのダメージを受けているのに、「あっ!生きている。」と感じるのです。


シギ類が水際を歩いて餌取りに夢中ということがよくあるので、どんな餌となるいきものがいるのかと近づいたら、ゴカイの仲間でした。

カニを撮影したかったのですが、直ぐに隠れてしまうので巣穴の写真にしました。主はものすごく小さく白いハサミをうまく使ってダンスをします。そうです、チゴガニでした。昨年夏、「蒲生を守る会」のみなさんの観察会で観察したことを思い出し、ちょっと嬉しくなりました。



こちらは、ゴイサギに似ていますが、「ササゴイ」です。餌となる小魚をじっと見つめていました。(森林R撮影)干潟にはボラやメジナなどの幼魚の群れを多く見られるので、それを狙っていたかも知れません。

本来であれば潮干狩りの季節、大勢が干潟に入ってシギ類と人間がアサリの奪い合いとなるのでしょうが、今年は違います。そして、貝をよく見ると、あるところから模様が違うのが解りますか?この日、見つけたアサリどれも同じように5~6ミリでみぞがありそこから模様が違うのです。そういえば、6月上旬に新聞記事で見たのですがある大学の研究発表とそっくりなので、津波によるストレスで起きた「障害輪」のようです。台風や海水温の変化でも現れることがあるそうです。
ストレス!そうですよね、私たち人間だってかなりストレスを受けているのですから、このようにはっきり解るような現象が他のいきものでもあるかもしれません。

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