ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

257件の記事があります。

2013年04月08日一本の制札からはじまる鳥獣保護

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。今年度もアクティブレンジャーとして、宮城県内の4ヶ所の国指定鳥獣保護区の情報を伝えたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

今日は、よくばって二つのことを紹介いたします。
まずは、国指定仙台海浜鳥獣保護区の制札について報告します。制札は、鳥獣保護区の位置、境界、特別保護地区、普通地区などを知らせ、鳥獣保護のために設置している標識です。震災前は、30本の制札があり、普通地域18本、特別保護地区12本で保護していたのです。2年前の津波でそれらは全て流されてしまい、2年経過してしまったのです。


2009年6月にアクティブレンジャー成りたての頃、制札の調査をした際の写真で、日和山に寄り添うように建って「ここは、特別保護地区、蒲生干潟を守っています。」そんな制札でした。

3月下旬、2年ぶりに建てた角柱制札です。遠目に見ると杭に見えるかもしれませんが、制札です。たった1本?と思われるかもしれませんが、これからしばらくはこの一本の制札が蒲生特別保護地区を見守ります。

二つ目の話題は新アクティブレンジャー紹介です。
東北地方環境事務所管轄には10名がいるのですが、新年度3名が仲間入り、十和田自然保護官事務所に2名、羽黒自然保護官事務所に1名配属になりました。


左から、羽黒自然保護官事務所の白銀さん、中央は十和田自然保護官事務所の五十嵐さん、右が畑中さんです。仙台の事務所で新人研修の際撮影いたしましたのでまだまだ緊張しておりますが、スーツからレンジャー服に着替えて、地元に溶け込んで活動開始いたしますので見かけましたら、気軽に声を掛けてください。どうぞよろしくお願いいたします。

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2013年03月18日グリーン復興プロジェクト ~ハイカー後藤君 ゴール~

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。
宮古自然保護官事務所の高屋敷さんが『ハイカ-後藤、北部エリア完了』を1月11日に伝えておりましたが、ゴールの様子をお伝えします。

北の玄関八戸市をスタートしたのが12月はじめ、4ヵ月をかけて南の玄関になる相馬市までおよそ750kmを歩きさまざまな出会いをしながら3月16日正午に相馬市松川浦環境公園に到着予定。

3月16日朝8時、私はハイカー後藤君と相馬市松川浦を目指して、新地町駒ヶ嶺を出発、後藤君の希望で相馬駅周辺まで足を延ばし、「相馬野馬追」のパレードをする通りを歩き、相馬をからだで受け止めているようでした。ちょっと遠回り、途中、車から手を振って応援してくれる方に励まされ、嬉しい一コマも。

松川浦環境公園では、地元の方々と相馬市の立谷市長、東北地方環境事務所の鳥居所長が首を長くして待っています。

後藤君の後姿、ザックカバーを見ると、八戸からの各地の応援に支えられながら歩いたことが物語っています。

ゴールが近づいたとき、相馬高校の皆さんの相馬太鼓が鳴り出しました。後藤君はまだ気が付いていません。公園でお祭りをやっているとしか思っていません。更に近づき、待ち構えていた皆さんが拍手、後藤君に声を掛けはじめ、やっと、自分のために集まってくれたことに気が付きました。到着です。午後12時9分!立谷市長、鳥居所長が迎えてくれました。もう、もみくちゃです。地元の歓迎と報道陣に囲まれています。

後藤君、立谷市長、鳥居所長の三者で対談、これまでの思い出や「東北海岸トレイル」への思い、そして宮古市長からのメッセージを聞き、後藤君には記念品として立谷市長からは「相馬野馬追の旗」の模様の風呂敷、鳥居所長からは、ゴールテープ(出迎えてくれた方々の寄せ書き)が渡されました。

後藤君にはサプライズのこのゴールイベントでした。相馬高校の相馬太鼓、相馬市松川浦観光旅館組合から、あさりごはん、あさりの味噌汁、相馬双葉漁協組合から、ヤリイカのぽっぽ焼きが、会場の皆さんに振舞われました。地元のあたたかい歓迎と祝福に感激!!

「東北海岸トレイル」は、これがゴールではなく始まりです。多くの人々が元気、賑わいを取り戻し、復興につながることを願っています。

祝福に集まっていただいた皆様、本当にありがとうございました。心から感謝申し上げます。

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2013年03月15日東北のアクティブレンジャー集結

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。
伊豆沼に昨日渡り鳥調査に行ってきましたが、ヒバリが囀りをはじめ、マガンの群れが北に向かって高度を上げていく姿を確認しました。いつもより遅いのですが、着実に春はそこまでやってきていることを感じました。

三月、春といえば、私たちアクティブレンジャーは1年をふりかえり、新年度に向けての準備が始まります。3月4日~5日に、東北地方環境事務所の自然保護官、アクティブレンジャーが仙台に集まり、会議を行いました。

鳥居所長からのあいさつ、全体会議の様子。


自然保護官補佐(アクティブレンジャー)、自然保護専門官(アクティングレンジャー)の1年の業務報告と課題についてそれぞれが報告しました。国立公園、世界遺産、鳥獣保護区多様な地域で活動している私たちですが、それぞれの問題点を聞く年1回の機会です。日記には、観察会や保全活動、外来種防除、さまざまな調査、AR写真展、季節の便りを交えて報告していますが、それらの活動に至るまでの苦労や反省点を話し合いました。あくまでも自然保護官を補佐する職員ですが、それぞれの考えを持ち、東北の自然を保護する仕事だと確認する機会でもありました。


春は、アクティブレンジャー卒業の季節でもあります。新たなスタートをする仲間と別れを惜しみつつ、みんなで記念撮影。そしてそれぞれの自然保護官事務所に帰り、新たな気持ちで業務に取り組んでまいります。

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2013年01月21日セミナー&東北アクティブレンジャー写真展2012

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。
仙台市八木山動物公園で毎月1回開催されています「動物セミナー&園内ガイドツアー」で、1月19日に講師をさせていただきました。

題して、
「野生生物をまもる アクティブレンジャーってなぁに?」
仙台自然保護官事務所の業務を通して、アクティブレンジャーの仕事についてお話しする機会をいただきました。

東北地方環境事務所に所属するアクティブレンジャーは10名ですが、国立公園、世界遺産、鳥獣保護区とそれぞれの環境で仕事が少し違うので、鎌田が何をしているのかに絞ってお話ししました。

宮城県内の国指定鳥獣保護区4ヶ所での活動についてや、八木山動物公園と大崎市と協力して開催している自然観察会についてお話ししました。
(いつもであれば行事があるときは、写真撮影は鎌田ですが、今回は吉田自然保護官の撮影です。)


参加者の皆さんと折り紙とカードを使って、住んでいる環境の中で私たちにできる自然保護の活動について考える時間を少しだけ用意しました。
「清掃活動や外来種の駆除活動に参加する。」「いつも活動するマイフィールドを持つ。」「観察会に参加する。」など、一人でできることから皆でできることまで様々あります。自分にできることから始めてみませんか?


12月下旬から八木山動物公園ビジターセンターで「アクティブレンジャー写真展」を開催中ですが、セミナー終了後、写真解説をいたしました。動物園だけに、いきものに皆さん興味を持ち、鳥の擬態(保護色)に、クマなどが目にとまっていました。
1月31日まで写真展は開催中ですので、ぜひ八木山動物公園に足を運んでみてください。

寒く、路の悪いところ、セミナーにご参加いただきましてありがとうございました。

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2013年01月18日化女沼のシジュウカラガン

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。
今年も担当鳥獣保護区の様子をお伝えいたしますので、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

12月の観察会でシジュウカラガンが観察できたことをお伝えいたしましたが、続報です。12月中旬から塒(ねぐら)を蕪栗沼から化女沼に移しました。

日中の採食は、大崎市古川の田んぼを利用しています。

12月18日の田んぼでの様子です。この日カウントしたら、約160羽がマガンと行動していました。


採食中のグループです。強風の一日でしたが、風に翻弄されながら小グループになったり、まとまって大きな群れになったりしていました。


1月はじめの化女沼の朝、いち早く亜種ヒシクイが散発的に飛び立ち、散らばっていたシジュウカラガンが集まりだしました。240羽超え、間もなく飛び立つところです。


一斉に飛び立ち!マガン約14,000羽、シジュウカラガンがこの中に映っているのですが、数羽しか確認できませんでした。それでも、感動です。

化女沼の塒立ちの特徴は、ダムの堰堤から観察していると、私たちに向かってくるかのように飛び出します。伊豆沼や蕪栗沼より小さな鳥獣保護区ですが、亜種ヒシクイ、マガン、シジュウカラガンを合わせて、2万羽弱の塒立ちを間近に観察、見送ることができます。
今季の塒立ち、塒入りを観察できるのも後1ヶ月位です。このチャンスを逃すと、また来シーズンまで待つことになってしまいます。
現在、越冬中のガン類の9割が宮城県北部に飛来しています。是非、圧巻の光景を体験してみてください。

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2012年12月18日冬の渡り鳥観察会 「八木山動物公園・蕪栗沼」

仙台 鎌田 和子

仙台自然保護官事務所の鎌田です。
毎年冬は二本立てを恒例に観察会を開催しておりますが、今年も開催いたしました。
題して「~豪華二本立て!動物園と蕪栗沼で見てみよう2012!~」

1回目は11月17日土曜日に仙台市八木山動物公園で、飼育されているガン・カモ類を間近に観察したり座学で学びました。

八木山動物公園の獣医師の牛尾さんが講師です。鳥の生態や羽の構造など、何と言っても、動物公園の一押し、「シジュウカラガンの羽数回復」、園内ではガン生態園でシジュウカラガンを直接、クチバシや尾羽の付近にある尾脂腺を観察しました。撥水性も確かめました。

モデルになってくれたシジュウカラガンさん、ありがとう!羽根をキレイに整えるための自前のポマードという感じを参加者のみなさんは関心していました。これは、動物園ならではです。
シジュウカラガンに触れたことで、参加者の皆さんの期待は、12月1日にマガン、ヒシクイ、是非、シジュウカラガンを見たいと膨らみ始めました。


2回目は12月1日、蕪栗沼での塒入りを観察します。集合は国指定化女沼鳥獣保護区内のダム管理事務所、ここで、まずは、ガンとカモの違いを学び、大崎市の「マガン楽園号」で出発です。蕪栗沼までの途中、バスからマガンの水田での採餌行動を観察し、塒入りの観察場所へ。

蕪栗沼の案内、講師は蕪栗ぬまっこくらぶの事務局長伊藤のぞみさんです。写真では、ガン類の見分けカードで解説しています。

強風のこの日、参加者の皆さんは寒さに耐えながら、マガン達の塒入りを観察、水面に次から次と降りだした鳥たちを望遠鏡で覗いてみました。
最初は観察できないかなと心配したシジュウカラガンでしたが、1羽、2羽数えだしたら、100羽を超えました。参加者の皆さん全員が観察することができました。実は、最もこの日喜んだのは八木山動物公園のスタッフの方々だったかもしれません。永年シジュウカラガンの羽数回復計画をすすめてきて、数年前までは野生で見られる数は1羽、2羽でした。それが、昨年は200羽を超え、この冬はこれからも飛来するでしょう。
参加者とスタッフが喜ぶ観察会となりました。
久々に書いたら長くなってしまいました。
最後に、現在蕪栗沼では、震災に伴う復旧工事が行われております。北側の駐車場は立ち入り禁止となっておりますので、工事に伴う案内に従ってください。ご協力お願いいたします。

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2012年10月12日冬の渡り鳥、ゾクゾクと

仙台 鎌田 和子

こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
この夏、8月の暑さが9月の後半まで継続され、いつもの通りにマガンが飛来するのだろうかと、ちょっとだけ心配していたのですが、国指定伊豆沼鳥獣保護区と蕪栗沼・周辺水田鳥獣保護区に、9月20日にそれぞれ、マガンが確認されました。季語では初雁(はつかり)です。やっと、秋、冬の鳥たちの季節到来です。

今回は、10月5日に渡り鳥調査した際の伊豆沼の様子をお伝えします。

まずは、この写真から!


稲刈りが終わった田んぼ、前の田んぼから奥の田んぼまで、マガンが一杯です。写真では見えない左右に広がる田んぼにも・・・・・。数えてみたら、この区域で7000羽はいました。まだ、初日から2週間なのに、伊豆沼・内沼、そして周辺の水田にはこの日、ざっと数えたら、2万羽、7ヵ月ぶりに懐かしい光景が帰ってきました。

長旅を終えてこの伊豆沼にやってきたマガン達は、特に神経質で、人間との距離を大きく離したいようで、何かに驚いたのか、沼で休んでいた群れが一斉に飛び立ちました。不思議と農作業車には気を使わず、自家用車には過敏なのです。
これだけのマガンが群れ集まるところなので、迷鳥、珍鳥が混ざっている可能性があり、初雁の情報以来、バードウォッチャーが増加中です。バードウォッチングの際は、できるだけ野鳥にストレスを与えないよう配慮して、観察をお願いいたします。



内陸の湖沼で、この季節に見られるシギの仲間の1種ですが、オグロシギです。マガンで賑わうエリアを避けて、羽を休めていました。

こちらの写真は、クロハラアジサシ。日本列島を縦断した台風17号が伊豆沼にお土産を残していったようです。内沼で17羽を確認しました。丁度、同じ頃、仙台海浜鳥獣保護区蒲生干潟周辺でも、クロハラアジサシが確認されていたことから、台風の通過経路では思いがけない野鳥に出会えていたと、思います。

いよいよ、宮城県北部に集うマガン達の季節がやってきました。10月12日現在、マガンの飛来羽数、伊豆沼、蕪栗沼周辺には、約10万羽、10月5日とは比べ物にならない数になってきています。
これから3月までの期間毎日、圧巻の塒入り、飛び立ち、田んぼでの採餌を是非、観察してみてください。

※観察の際の注意ですが、 現在、伊豆沼、蕪栗沼では、震災復旧工事が行われております。通行、観察時にはどうぞ、事故のないように注意していただき、工事関係者から指示があった場合はそれに従って行動していただければと思います。ご協力お願いいたします。

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2012年09月11日化女沼で外来魚駆除・調査体験 インターンシップとともに

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
今日は、国指定化女沼鳥獣保護区で行われている魚類調査について報告いたします。
この夏、地域の新聞に大々的に載った記事のタイトルが「在来魚ほとんど姿を消す バスなど外来魚が98.5%」でした。

今年5月からNPO法人「エコパル化女沼」のみなさんが大崎市の委託を受けて調査を行っています。

丁度、インターンシップで「環境省の仕事とは」を体験している大学3年生の野田さんと、環境省の小保根職員と共に、化女沼で行われている外来魚駆除・調査に参加させていただきました。

エコパル化女沼のみなさんと一緒に、フィールドワークが好きという野田さん(右端)が定置網を引き揚げています。この日は、定置網6基を引き揚げました。

定置網にかかった魚は全て数えます。モツゴ(在来魚)11匹は沼に返し、残るは外来魚!

数えてみると、オオクチバス稚魚165匹、成魚12匹、ブルーギル33匹、カムルチー稚魚2匹、成魚1匹。大きさ、重さを計測、産卵期には、雄雌も調べるそうです。確かに化女沼は外来魚に占領されていることを実証するものとなりました。

NPO法人「エコパル化女沼」では、この沼を「ねぐら」としている亜種ヒシクイがここ数年減少してきているのは、釣りをする人が増えているからではないか、と考えています。そのため、この沼には外来魚がいなくなるように努力しているそうです。

「エコパル化女沼」のみなさんの努力が実を結ぶよう、私たちも協力できたらと思います。

野田さんはこの後、八木山動物公園で希少種の保全について、動物公園の取り組みを見学しました。短い時間の中で、生息域内(鳥獣保護区)、生息域外(動物公園)の取り組み、それぞれの間で環境省がどんな役割をしているのかを学んだようです。5日間のインターンシップでの経験が、いつか活かされることと思います。

この日、お世話になりました「エコパル化女沼」、「仙台市八木山動物公園」の皆様、ありがとうございました。

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2012年09月05日国際空港の蒲生海岸

仙台 鎌田 和子

こんにちは!仙台自然保護官事務所の鎌田です。
仙台海浜鳥獣保護区もシギ・チドリ類の渡りの季節となりましたので報告いたします。

間もなく震災から1年6ヶ月になりますが、津波や、干潟の水質が目まぐるしく変化し、台風など多くの試練があった中、今年秋も、シギ・チドリの仲間にここ蒲生海岸は必要なところになるのか心配していました。
朗報です。

8月下旬になり、シギ・チドリ類の渡りが本格化してきました。調査では、オオソリハシシギ、チュウシャクシギ、トウネン、ミユビシギ、キアシシギ、キリアイ、ソリハシシギ、シロチドリ、メダイチドリなどが確認されています。

オオソリハシシギとキアシシギ8月30日撮影

蒲生干潟を眺めるチュウシャクシギ9月2日撮影

オオタカに追われて群れ飛ぶトウネン8月30日撮影

波打ち際で採餌するミユビシギ9月2日撮影(小さい写真ですみません。)
「蒲生を守る会」の皆さんが行っているセンサスに同行した際、写真の右下の赤丸のミユビシギの右脚にオレンジ色と黄色のフラッグが装着されているのを確認!調べてみると、何と、南オーストラリア州で装着したものでした。
この日、トウネン、ミユビシギ、キリアイ、オオソリハシシギ、チュウシャクシギなどを次々に確認していて、いつになく目元、口元がほころび、笑顔の広がるセンサスでしたが、さらに皆さんの心にも、私自身も、蒲生海岸は国際空港であり、長旅をする渡り鳥にとって重要な場所であることを確認したセンサスとなりました。
蒲生干潟、蒲生海岸を訪れる皆様へ
サーフィン、水遊び、釣りに夢中で、気が付かないこともあるかもしれませんが、皆さんの遊んでいるすぐそこにも、シギ・チドリ類が餌を求めたり、休憩のためいるかもしれません。ちょっと見回して観てください。もし、観察できたら、かわいい姿を観察し、小さな体で長旅をしていること、ちょっと頭の隅っこに置いて優しく見守ってくださいね。

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2012年08月13日つくづく惜しい~!

仙台 鎌田 和子

残暑お見舞い申し上げます。
仙台自然保護官事務所の鎌田です。今日も、やっぱり、国指定仙台海浜鳥獣保護区のことです。

8月10日、巡視に行った際のことです。巨大津波にも耐えた松林では、すでにミンミンゼミやアブラゼミが鳴いていたのですが、ようやくこの夏初のツクツクボウシの声を聞くことが出来ました。きっと、震災前であれば「夏が終わるのが惜しい」と鳴いていると感じるのですが、今回は、「つくづく惜しい!」多くの犠牲を惜しんで泣いているかのように聞こえたのです。

これまでに、震災後の蒲生干潟や井土浦のいきものについて、「生きていた!」と喜びを伝えてきました。ツクツクボウシの声を聞いたとき、津波や塩害を乗り越え、夏を一生懸命生きていること、子孫を残そうとしていることを感じました。

あれから1年5ヶ月が過ぎて、松林が消失した場所には小さな湿地、池ができその周辺ではいろんな生命が誕生しています。そして、思わず、喜んだのは、これです。

荒野に赤い茎の植物がすっくと立っていました。タコノアシです。その足元にはマツの実生も!

数は多くありませんが、嬉しかったのです。


このような動植物の息吹を感じることができるのは、仙台海浜鳥獣保護区だけのことではありません。
海岸部では災害復旧等で環境が目まぐるしく変化しています。海岸に住む鳥獣への影響調査は入念に行われているとは思いますが、それでも心配です。
ここは鳥獣保護区なんだから、鳥獣だけ心配したらと、いう人がいるかもしれません。でも、生態系、食物連鎖の頂点を保護するのであれば、底辺である動植物も保護しなければなりません。

人間の営みと自然界の営みの双方がうまく汲み取られることは非常にむずかしいのです。

「つくづく惜しい!つくづく惜しい!」環境の変化に憂慮して泣いている、鳴いているように感じたのです。

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