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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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磐梯朝日国立公園 羽黒

247件の記事があります。

2013年02月25日【大山・下池】野鳥ストラップづくりを開催しました

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 平成25年2月9日(土)、ラムサール条約登録湿地である大山下池の畔、鶴岡市自然学習交流館ほとりあで、木工クラフトイベント(野鳥ストラップづくり)を開催しました。

※ラムサール条約とは
 特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促進することを目的に制定された国際的な条約です。


 平成20年に大山・上池下池がラムサール条約登録湿地となったことを契機に、大山新酒・酒蔵まつりと連携した野鳥観察会を下池で開催してきました。

 ※その時の様子は下記をご覧下さい。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2011/02/14/index.html


 今年度はほとりあが開館したことを受け、ほとりあと提携イベントを企画し、おうら愛鳥館での野鳥観察会から一新。木工クラフトイベント(野鳥ストラップづくり)を行いました。

 講師は月山ビジターセンターの加藤氏、サポートに羽黒地区パークボランティア3名、羽黒自然保護官事務所2名の6名体制での実施です。


 こちらが、作成前のストラップ原型。
 ヒノキの丸棒から加藤さんが一つ一つ心を込めて作成してくださいました。


 「どんな鳥を作ろうかな?」。図鑑や雑誌から自分のお気に入りの鳥を探します。
 この作業もまた楽しく、自然の中には本当に多くの種類の野鳥がいることを実感します。もちろん自分オリジナルの野鳥を作成もよし。皆さんどんなストラップを作るのかな?

 作成する野鳥を決めたら、図鑑を見ながらストラップに色を塗っていきます。私も一つ作りましたが、普段見慣れている野鳥も実際に図鑑を見ながら色を塗ってみると「こんな特徴があったんだ」と改めて発見がありました。頭で分かったつもりでも実際に手を動かしてみると理解が深まりますね。

 一度作業を始めると夢中になり、席から離れられずめり込んでしまう人も。
子どもたちをはじめ、大人の参加者も皆真剣。「孫におみやげにするんだ」と嬉しそうに帰ってくださった方もいました。

 色を塗り終わったら、接着剤で目を付けて頭にストラップ金具を付けて完成です。


 この野鳥の種類は分かりますか?左はアカショウビン、右はアカゲラです


 こちらは・・・?


 たくさんのストラップができあがりました。

 広報期間が短かったにも関わらず、延べ86名と予想以上に多くの人が参加してくださり、作業台が不足したことから急遽途中で一つ増やしての対応となりました。

 下池の野鳥観察小屋「おうら愛鳥館」では、猛禽類保護センター(鳥海イヌワシみらい館)が主催する「冬のワシタカ探し」のイベントを開催していて、観察会後にストラップづくりに参加してくださいました。


 多くの方にご参加いただきました。

 今年、初めて開催した野鳥ストラップづくりイベント。とても好評で多くの方にご参加頂けたことを嬉しく思います。自分の作ったストラップの鳥を実際に観察しに外に出ても楽しいですよ!これを機に野鳥や自然にますます興味を持って貰えたらと思います。

 今回のイベントは大山新酒・酒蔵まつり実行委員会、場所を提供して下さったほとりあスタッフの皆様、野鳥ストラップ作成功労者の月山ビジターセンターの加藤さんやPVさん、広報や資料提供してくださった猛禽類保護センターの皆様をはじめ、たくさんの方々の協力の元、開催することができました。
 本当に有難うございました。
 今後、こういった関連施設間での相互協力をより推進していきたいと考えています。

※羽黒地区パークボランティアの募集について
 磐梯朝日国立公園 出羽三山地区において、自然観察会や美化清掃活動などの活動を行っている羽黒地区パークボランティアを現在募集しています。
 興味を持たれた方は下記URLをご参照下さい。
 
 http://c-tohoku.env.go.jp/pre_2013/data/0218aa.pdf

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2013年02月11日オンシーズンの活動に向けて(飯豊連峰保全連絡会 技術部会会合)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 平成24年1月26日(土)に、福島県喜多方市で飯豊連峰保全連絡会技術部会の会合を行いました。

 ※技術部会とは
 飯豊連峰保全連絡会の下部組織で、合同保全作業などの現場作業で活躍しています。リーダーとなれるようなフットワークが軽く実際に現場に携わることのできる若手によって構成されています。
 
 これまでの活動に参加された皆様からの「技術面について学ぶ場がほしい」、「これまで行ってきた飯豊連峰での取り組みを方式として一度整理する必要があるのではないか」等の意見を受け、平成24年2月に立ち上がりました。


 合同保全作業では技術部会が中心となって作業を行っています。

 飯豊連峰は3県8市町村にまたがる面積40,000ha以上の広大な山塊です。
関係者も広範囲に及び、技術部会のメンバーも3県各地から喜多方市に集まりました。

 当日は発達した低気圧の影響で、暴風雪警報が発令、大雪の天気。会合は14時からですが、私たちは事務所のある鶴岡市を朝9時出発、地吹雪の中4時間以上もかかってやっと到着しました。
雪の影響は大きく、到着に苦労する方が多かったようです。

 平成24年度の活動報告として、朝日連峰と飯豊連峰の両連峰における合同保全作業について振り返りを行いました。毎年ボランティアを中心として行っている合同保全作業も、計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルが重要です。
今年の作業を振り返り、改善点はあったのか。あった場合はどう改善し、来年度の作業に繋げるのか。

 これまでも日記でお伝えしてきましたが、山の整備は自然が相手であり、その時々の状況に合わせた順応的管理が重要です。
保全手法に正解はなく、PDCAサイクル、切磋琢磨を繰り返して初めて糸口が見えてくることがあり、本当に手探りによる前進です。

 飯豊連峰、朝日連峰ではこの部分を重要視していて、これは会の大きな特徴といえると思います。
その中枢を担うことが、今後の技術部会メンバーの課題ではないでしょうか。


 会合の様子です。

 環境省からは、今年度東北地方環境事務所が実施した金玉水植生復元施設と大鳥池朝日岳線道路(以東岳直登ルート)の整備について報告を行いました。
 本工事で粗朶を使った工法は、今年度に朝日連峰で実施した技術講習会でも学んだとおり、資材の調達が可能な樹林帯等では非常に有効な手段であり、活発な質疑応答がありました。

 金玉水と以東岳直登ルートの保全修復工事は以下をご覧下さい。

http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2012/09/05/index.html
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2012/09/1673.html


 平成24年8月に行った技術講習会の様子です。

 粗朶を使った技術講習会は以下をご覧下さい
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2012/08/20/index.html

 また、山形大学農学部森林影響学研究室からは、今年度に三方境で実施した植生復元の研究について中途報告が行われました。
 科学的な知見に基づく研究データは、自分たちの活動を別の視点から見ることができ、意見交換を行いながら技術部会メンバー共々大変興味深く拝聴しました。
 今後このような研究機関との活動連携を強化することで、山岳域での保全活動をより順応的に実施することが期待されます。


 飯豊連峰最高峰の大日岳です。
 
 来年度の活動も粗朶を使った技術講習会の開催や合同保全作業等などを予定しています。

 私も日記を書いていて、これからの飯豊連峰、朝日連峰の活動が更に楽しみになってきました。
今後も飯豊連峰保全連絡会、朝日連峰保全協議会の活動にどうぞご期待下さい。

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2012年12月25日飯豊・朝日連峰の保全推進(幹事会開催報告)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 12月になり、いよいよ雪の季節になりました。
 事務所の周辺では吹雪の日もあり、暴風雪警報発令もしばしば。これからは除雪が日課になりそうです。

 今回の日記は、12月上旬に開催した飯豊連峰保全連絡会と朝日連峰保全協議会の幹事会の報告です。飯豊、朝日両連峰の取組みの紹介をしたいと思います。


<平成24年度 飯豊連峰保全連絡会幹事会>
 日程:12月1日(土)
 場所:新潟県関川村

 登山シーズンを終えて、連絡会の活動や登山道の状況等について各幹事より報告・情報共有いただきました。
 各避難小屋の利用者数が東日本大震災前の人数に戻りつつあること、御沢~大日杉の大規模林道が開通したことなど様々な報告がありましたが、中でも印象的だったのが、民間事業者による登山道整備が困難になってきているということでした。

 これは飯豊連峰のみならず朝日連峰も同様ですが登山道の整備は、各自治体が山岳会や民間事業者に委託をして行われていることが多いです。
飯豊連峰は山懐深い山岳地域であって、急峻な登山道を6時間以上も登り続けてようやく稜線までたどり着くなど、登山を行うだけでも相当な体力が必要です。
 

 登山道整備の様子。重い草刈機を担ぎ上げての現場作業は本当に重労働です。

登山道の整備、維持管理には私も何度か現場作業に同行させていただいたことがありますが、1時間程度で歩ける距離の整備に丸一日時間を要する場合もありました。
天候にも左右され、雨が降りしきる中で山中泊をしながら作業を行わなければならないときもあります。山の知見がないと厳しい場面もしばしばです。

 草刈や整備のための機材、宿泊のための荷物を背負って移動しつつの重労働になると担い手は多くないことは想像に難くないと思います。
 
 そのような状況の中でこれまで登山道の整備等を行ってきましたが、現状維持が困難になっていることが現場で浮き彫りになってきています。

 登山道の整備だけではなく、保全活動、避難小屋の管理、トイレ問題など様々な課題も同様です。
永続的に美しい山岳域を保全していくため、今後の山岳域の利用のあり方について「今」考えていかなければならないと実感しました。


 飯豊連峰のハクサンイチゲ

 美しい飯豊連峰の自然を次世代に手渡すため、連絡会の活動は続きます。
 なお、飯豊連峰保全連絡会第10回会合は平成25年2月6日(水)に福島県で開催予定です。



<平成24年度 朝日連峰保全協議会幹事会>
 日程:12月8日(土)
 場所:山形県大江町

 登山シーズンを終えて、協議会の活動報告と情報共有を行いました。

 今年度東北地方環境事務所が実施した金玉水植生復元施設と大鳥池朝日岳線道路(以東岳直登ルート)の整備について、
概ね好意的なご意見をいただいた他、施工現場の荒廃が落ち着くまでの間、段階的な施工を行ってほしいとの強い要望を頂きました。
 
 平野部の道路工事であっても、車の通行や積雪、経年劣化などに対し継続的に整備・維持管理していく必要がありますが、
山岳部の場合は平野部より更に厳しい自然が相手であることもあって、その時々の状況に合わせた順応的な整備・管理が求められます。

 公共整備としての性質やヘリでの資材運搬の必要性などを鑑みると山岳部の順応的な対応は非常に困難であり、これはどこの山でも共通する課題だと思います。
そのような状況であるからこそ、可能な限り現場に寄り添ったきめ細やかな対応を心がけたいと感じました。


 古寺鉱泉の登山者カウンター

 また、今年度から設置している登山者カウンター(日暮沢 朝日鉱泉 泡滝 古寺)の報告では、朝日連峰の各登山口の具体的な登山者数が初めて数値となって出てきました。

朝日連峰主峰であり日本百名山でもある大朝日岳へのメイン登山口である古寺鉱泉口では、入山者の数が3千人を超えました。
飯豊連峰での経験を踏まえて、今後更にデータ分析を進めていきたいと思います。
分析結果は次回の朝日連峰保全協議会で皆様に公開させていただきたいと考えています。


 初夏の大朝日岳。

 来年度の技術講習会や合同保全作業等の活動についても活発に議論が行われました。

飯豊、朝日両連峰でのこれからの活動にもどうぞご期待下さい。

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2012年12月20日月山ビジターセンターがリニューアルオープンしました

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 改装工事を行っていた月山ビジターセンター(以下月山VC)ですが、12月8日についにリニューアルオープンしました。今回の日記は新しくなったビジターセンターを紹介したいと思います。

 月山VCは昭和62年に開館し、今年で25年を迎えます。
 展示についてはこれまでも職員による手づくり展示等によって更新されてきましたが、ハード面では老朽化が進んだものも多く、平成21年度からリニューアルについて計画を進めていました。

 平成18年度に策定した羽黒集団施設地区再整備計画に基づき、羽黒野営場や園地の整備をすすめ、平成21年度は月山VCのレクチャールーム、クラフトルームがリニューアル、今年度9月からはいよいよVCのメイン展示室であるエントランスロビー、ガイダンスルームの工事に着手しました。

 3ヶ月間の工事期間を経て12月5日に工事が完了、12月8日に地域の皆さんに初お披露目となりました。
工事終了が冬期間であることもあり、グランドオープンイベントは暖かくなった3月~4月頃に行う予定ですが、プレオープンイベントとして、12月8日に花の苗プレゼント、9日には振る舞い餅つきを行いました。


 振る舞い餅は今回特別に『とちもち』です。香ばしくって大好評!

 新しくなったVCは、白い壁が多く使われ、大きな窓からの明かりを反射してとても中が明るくなりました。
 照明もLEDに変わってCO2削減対策にも取り組んでいます。

 エントランス左手側には大きな月山VCフィールドマップがあります。
ここでは月山登山や周辺の情報を得ることができます。
リアルタイムでの情報発信に力を入れていきたいと考えています。


 フィールドマップの次は月山VCの館内案内図と磐梯朝日国立公園の概要についてのグラフィック図です。
 

 エントランスロビーには、月山を取り巻く市町村(鶴岡市、庄内町、西川町、大蔵村)の観光パンフレットや図鑑などが豊富にそろっています。


 総合案内所では施設や観光案内、登山情報など直接職員さんから話を伺うことができます。

 映像ルームでは、総合案内所で視聴を希望するDVDを借りて自然情報の映像を見ることができます。
 レクチャールームには大きなスクリーンがあり、研修の際などに使います。一般の方も大画面で映像を見ることができるので、職員にお尋ね下さい。


 ストーブの近くにベンチや椅子もあるので休憩時にご利用下さい。

 ガイダンスルーム中央には月山の模型が据えてあり、普段見ることのできない上空からの月山を眺めることができます。
 床には大きな航空写真が転写されていて、月山の模型と相まって出羽三山を本当に空から眺めているかのようです。


 月山の模型です。

 部屋の四面では全国の国立公園紹介、登山時の注意点や出羽三山の歴史などについてのパネル等が並んでいます。
ムササビの滑空体験や、ハクチョウの重さを感じることができる人形もあり、見て触って体験できる展示に生まれ変わりました。

今後も更に充実した展示を皆様にお目にかけることができるよう、いろいろ工夫を凝らしていきたいと考えています。


 エントランスルームとクラフトルームをつなぐ廊下部分では、アクティブレンジャー写真展「ひかり」を開催しています。こちらも是非ご覧下さい。
 
 月山VCでは、自然観察会などのイベントもほぼ毎週末実施しており、これからの季節はスノーシュートレッキングを中心に行う予定です。

 スノーシュートレッキングではウサギをはじめ様々な動物の足跡などフィールドサインを見ることができ、晴れ間が広がったときの雪景色と青空の対比は息を吞むほど美しいです。


 スノーシュートレッキングに是非いらしてください。

四季を通じて行っているイベントには根強いファンが多く、イベント参加のたびに月山VCが地域に愛されている施設であることを実感します。

 これからも皆様をあたたかくお迎えできる月山VCを目指して頑張りますので、是非お越し下さい。お待ちしています!

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2012年11月29日磐梯朝日国立公園パークボランティア合同研修会(羽黒より)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 11月10日(土)~11日(日)に、磐梯朝日国立公園パークボランティア研修会を、裏磐梯自然保護官事務所と合同で行いました。

 合同研修会は平成22年度から毎年裏磐梯地区と羽黒交互地区で実施しているもので、今年で3回目、今回は裏磐梯地区で行いました。

 裏磐梯ビジターセンターは、手作り展示に力を入れていて、いつ訪れてもその季節季節の最新情報などがわかりやすく解説されています。
 VC主任自然解説員 金野志帆さんから、手作り展示の魅力や発想のヒント等についての講義のあと、実際に自分たちの地域の魅力を発信する手作り展示を作成しました。


 講義の様子です。


 実際に自分たちで手作り展示を作成しました。


 完成した手作り展示です

 今回の研修を受け、手作り展示は自然や来館者に対する作り手の温かみを感じられることが一番の魅力であり、最新情報をこまめに更新できることが強みだと感じました。
 手間暇はかかりますが、研修で学んだことを活かし月山ビジターセンターでもそれぞれの季節の様々な魅力を発信していればと思います。


 裏磐梯地区、羽黒地区それぞれからの活動報告の様子です。

 他地区のパークボランティアの活動内容を知ること、また自分の地区の活動を発表することで、自分達の活動を客観視することができ、新しいアイディアを得ることもできるので両地区のパークボランティアさん達にとって大変励みになっているようです。

 11日は、ジオパークとしても知られる磐梯山の銅沼(あかぬま)までトレッキングを行いました。
 磐梯山は日本ジオパークの一つでもあり、磐梯火山の誕生と変遷、特に水蒸気爆発による山体崩壊と岩なだれがもたらした大規模な地形を見られることが魅力です。
 羽黒地区周辺にはジオパークはないため、とても新鮮なトレッキングとなりました。


 銅沼は鉄分を多く含む強酸性の沼ですが、今夏の猛暑で干上がり、赤茶けた世界が広がっていました。
 
 沼の奥の山肌からは今でも火山活動を感じさせる噴気があがっていて、「山が生きている!」ということを実感できました。

 磐梯朝日国立公園という同一公園でありながら、裏磐梯地区、羽黒地区では全く異なる景観・自然や文化を持つ地域であることをパークボランティアの皆さまと一緒に感じました。

 裏磐梯地区のパークボランティアの皆さま、大変お世話になりました。

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2012年11月12日鳥獣保護区案内板を新しくしました。

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 朝日鉱泉の近くサルワタリ橋周辺に設置してある国指定鳥獣保護区大鳥朝日の案内板が老朽化しているので、交換作業を行ってきました。


 まずは旧案内板の撤去です。
周辺は藪となっているので、草刈機を使って草刈作業。

草刈後は、旧案内板をスコップを使って掘り出しました。
長年の風雪で地面が固くなっていて、掘り出し作業だけで2時間近くかかりました。


 いよいよ新しい案内板の設置です。
まずは案内板を組み立て、続いて設置場所の穴掘りをしました。
しっかりと設置するため、1m近くの穴を2箇所掘ります。

組み立てた案内板の支柱を穴に入れて土で被せて終了です。

今回作業は、地元山岳会の方にご厚意でお手伝い頂きました。有難うございました。
午前中から作業を始めましたが、終わったのは夕方でした。
なかなか骨の折れる作業でしたが、新しい案内板はやはり気持ちのよいものです。


 左は作業前 右は作業後の様子です。
これからも老朽化や破損した案内板、表示板等には目を配っていきたいと思います。


 作業時は天気が悪く、いい写真が撮れなかったのですが、サルワタリ橋のかかる朝日川では、紅葉が見頃でした。

現場は登山口から車で5分ほどのところで車で通過してしまうことが多いのですが、朝日川の清流と紅葉が素晴らしかったです。
 普段車で通り過ぎてしまうような林道も、徒歩で歩いてみると新しい発見があるかもしれませんね^^

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2012年10月31日錦秋の飯豊連峰 (丸森尾根モニタリング)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 10月17日、平成22年飯豊連峰保全連絡会の合同保全作業を行った丸森尾根に登り、作業箇所のモニタリングと修復作業を行いました。

 ※合同保全作業については、飯豊連峰保全連絡会ニュースレター第11号をご覧下さい。
http://www.env.go.jp/park/bandai/data/index.html


 モニタリング時は紅葉が素晴らしかったです。

 丸森尾根は昨年度まで登山道利用と登山道に集中する雨水によって、大きな段差ができていて、両手を使ってよじ登らなければならないようなところが何箇所もありました。
 今回モニタリングでは土留め工に土砂が溜まっていることが確認でき、驚くほど歩きやすくなっていて、同じ道を歩いているとも思えないほどでした。
 

 木組にはしっかりと土砂の堆積が確認できました。

 丸森尾根で合同保全作業を実施してから効果を実感するまで3年かかりました。
 近自然工法による登山道の整備は、すぐに効果が出るわけではなく施工後モニタリングをしつつ、きめ細かな維持管理を実施していくことが大切だと改めて感じました。


 ブナの美しい紅葉。

 暑かった今年は紅葉が遅れていましたが、ようやく紅葉が進み、錦秋の飯豊連峰を見ることができました。
モミジやナナカマドの紅葉が素晴らしかったです。
天気がよかったこともあり、思わず稜線まで足を伸ばしたい気持ちになってしまいました。


 モミジの紅葉が美しいです。


 少し霞がありましたが、遠くには朝日連峰です。


 ナナカマドの紅葉も素晴らしい。

 明日から11月。紅葉前線は山麓にまで下がってきて、事務所周りもこれから紅葉です。
しっかり装備を持つことはもちろんですが、皆さまもどうぞ晩秋の山をお楽しみ下さい。

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2012年10月23日子どもたちとの自然体験 (子どもパークレンジャー第2回)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 10月8日(月・祝)、子どもパークレンジャー事業(JPR事業)、平成24年度第2回「野鳥観察とエコデコイづくり」を開催しました。

 ※第1回につきましては、下記をご覧下さい。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2012/06/14/index.html

午前中は鷹ノ巣キャンプ場の展望台までトレッキングしながら野鳥の観察をしました。
展望台は徒歩で20~30分ほどですが、かなりの急傾斜、岩場もありスリル満点です!


 目的地の展望台です。みんなあそこまでがんばるぞ!


 ちょっと危ないところでは、ロープを出して着実な安全確保を心がけて登りました。
「みんな、目的は山登りじゃなくて野鳥観察だよ~」
 子どもたちは鳥よりも山登りの大冒険に夢中です。


うーん、なかなか見つからないな。あ、なにか大きな鳥がいました!

 トビです。トビは尾の形が三味線のバチのような形をしているのが特徴です。
小さな鳥はシジュウカラ。皆、見られたかな?


 お昼はキャンプ場に戻って食べるので、昼前にはみんなで下山しました。
岩場ではまたみんなワーワー、キャーキャー!本当に子どもたちは元気!

 お昼ご飯後は、野鳥のエコデコイづくりを行いました。
デコイとは一般に狩猟で囮に使う鳥の模型のことを言いますが、鳥島でのアホウドリ保護活動の一環にも取り入れられています。


今回皆で作ったエコデコイは、5cmほどの小型鳥模型。
カモ、ハヤブサ、カワセミ、ツバメ、ジョウビタキ、メジロから各自好きなものを選んで鳥の図鑑を見ながら、特徴をよく観て色を塗ります。



 同じカワセミの仲間でも図鑑を見るとアカショウビン、ヤマショウビン、ナンヨウショウビン…いろんな種類がいるね、生物多様性ってなんだろね。
そんなことを学びつつ、中には自分流の色を塗ってオリジナリティあふれる鳥を作る子もいます。

エコデコイは、バイオマスという間伐材などを原料とする木粉プラスチックを使用しています。
石油由来のプラスチックに比べて二酸化炭素の排出量をほぼ半減できる素材なんだよ、
人間以外の生き物も快適に生きられるにはどうしたらいいんだろう? と最後に自然エネルギーの大切さについても学びました。


 平成24年度のJPRはこれでおしまいです。
昨年度に引き続き参加してくれた子どもたちもいて、楽しく行うことができました。皆さんありがとうございました。

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2012年10月12日山と登山者の関わり (H24朝日連峰保全協議会 合同保全作業)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 9月29日~30日かけて、平成24年朝日連峰保全協議会の合同保全作業を行いました。

 今回の作業箇所の三方境です。現地は、風衝裸地、登山道の複線化、踏圧によるガリー侵食等によって現在も荒廃が進行しています。
 平成20年度実証試験、平成22年度合同保全作業に続き今年度で3度目の作業となりました。
前回の日記でお伝えした、飯豊連峰同様の近自然工法による作業です。


 作業前に施工法について確認します。

<過去の施工箇所の修復作業>
 これまでに設置した土留の下部や側面等から土砂が流出し修復が必要になっていたため、ヤシ繊維を隙間に詰めて土砂流出防止を図りました。


<ガリー侵食部への土留め工、排水工の設置>
 ガリー侵食部にはヤシ繊維と現地土砂を詰めたヤシ製土嚢袋、ヤシ製緑化ネットにヤシ繊維を中に詰めてロール状にしたものを設置し、土砂堆積と流水のコントロールを図りました。
 新しい試みとして、耐久性に優れたヤシ製土嚢袋を試験的に使用しています。効果が楽しみです。


<歩行路固定>
 現地は風衝裸地であるため、どこが歩行路なのか不明瞭な状態です。

 歩行路の荒廃低減と歩行路以外の場所の踏みつけ防止のためにヤシ繊維やヤシ製土嚢袋、現地の転石を用いてステップを設置し、登山者が歩きやすいように歩行路を固定しました。
 

<緑化ネット敷設>
 裸地部を中心として緑化ネット(麻製緑化ネット、ヤシ製緑化ネット)を敷設しました。
 麻製緑化ネットは耐久性が低く1~2年で風化してしまう為、風あたりの強い風下側には麻製緑化ネットを敷設後、上から麻製ネットを風化から保護するために耐久性に優れたヤシ製緑化ネットを敷設しました。
 より発芽の可能性が高い風当たりの弱い部分の播種を優先的に行うなど、工夫して作業しています。


 作業終了後には、施工の意図を全員で共有する振り返りを行いました。
 振り返りは施工への理解を深め、ボランティア各自のスキルアップに繋がります。

 三方境は朝日連峰の最奥地で、最短ルートでも片道約7時間はかかります。
現地にたどり着くだけでも大変な上、作業を行って下山するのですから本当に骨が折れる作業です。

 そのような作業に今年も多くのボランティアの皆さんが集まりました。
また、狐穴小屋、竜門小屋の管理人さんには大変お世話になりました。


 作業帰りには紅葉が始まりました。

 保全作業は自然が相手なので、一喜一憂、試行錯誤の繰り返しです。手探りな部分が多く、効果の確認をできるまでにも時間がかかります。

 最近は登山をするだけではなく、山と関わり、山の為に何かをしたいという気持ちを持っている登山者が徐々に増え始めているように感じます。

 本当に嬉しいことであり、今後も山に関わる人たちと手を取り合って山の保全を進めて行くことが大切なことだと感じています。

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2012年10月03日山を愛する一員として (H24飯豊連峰保全連絡会・合同保全作業)

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 9月22日(土)に平成24年度飯豊連峰保全連絡会の合同保全作業を行いました。

 今年の施工箇所は梶川尾根上部です。
これまでも平成21年度、22年度に合同保全作業等で作業を行ってきた箇所です。

 これまでの作業で敷設した緑化ネットからは順調に芽吹きがあり、設置した土留め工には土砂の堆積が見られるなど、一定の効果は得られたものの、今年度新たな荒廃が確認されたこともあり、重点整備箇所から梶川尾根上部が選定されました。

以前の日記でもお伝えした技術講習会での講習を行った上での近自然工法による作業です。

 ※合同保全作業事前調査、近自然工法普及技術講習会については下記をご覧下さい。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2012/08/1667.html


 <種子の採取、播種、緑化ネット敷設>
 裸地部の植生を復元されるため、あらかじめ許可を得て周辺の植物から種を採取し、播種を行いました。
その上で、あらかじめ荷上げしておいた緑化ネットを敷設しました。


 緑化ネット敷設の様子。

 <ガリー侵食部への土留め工、排水工の設置>
 ガリー侵食部へ土砂を堆積させるため、現地転石やあらかじめ荷上げしたおいた土嚢袋やヤシ繊維を用いて土留め工を設置し、要所には排水工を設置しました。


 土留め工を設置します。

<歩行路固定>
 梶川尾根上部は登山道が大きく拡幅しているため、歩行路の固定を行いました。
 登山者の踏みつけが軽減が期待されます。


 写真では分かりにくいかもしれませんが、登山者が道をはみ出さないように歩行路に緑ロープによる目印を設置しています。
 

 作業終了後には、全員で作業の振り返りを行いました。
 どこでどのような意図を持って作業を行ったのか自分達で把握することが、来年以降の活動に繋がります。


 今回の作業に使うために事前に荷上げした資材の一部です。
  軽トラック2台分はあろうというほどの緑化資材を全てボランティアさん達が人力で荷上げしてくださいました。
 中には毎週、連日荷上げ下さった方もいました。
 飯豊連峰を想う人たちの熱意に頭が下がります。


 これまでも日記で書いてきましたが、磐梯朝日国立公園には本当に多くの人の支えと協力、協働の中で整備や保全作業を行っています。
 私もその一員として、今後ともこの地域に貢献できるよう精進していきたいと改めて思いました。

※合同保全作業の報告については現在ニュースレターを作成しています。
完成しましたら、関係者の皆さまには郵送するとともに磐梯朝日国立公園のホームページにもアップしますので少しお待ち下さい。

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