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東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

朝日連峰・保全修復工事が完了しました。

2012年09月20日
羽黒
 朝日連峰で実施している保全修復工事ですが、以東岳直登コースに続き、9/11~金玉水の施工を行いました。


 金玉水はかつて美しい雪田草原だったそうですが幕営地として利用された影響によって、現在は大規模に裸地化・崩落しています。
一雨降る度に土砂崩落が進み侵食が進行してしまうほど、深刻な状況です。


 写真は粗朶(昔から河川工事や暗渠排水等に活用されている広葉樹の枝)を使った土留め工です。
金玉水は地形的に雨が降ると雨水が集中し、その集中した水によって侵食が進行しています。
土砂を堆積させること、水が流れる速度を遅くして今以上の侵食を防ぐことを目的にこのような施工を行いました。


 こちらは別の粗朶と現地の石による施工です。



 雨水を集中させず分散させて排水させると、水による侵食作用を低減できます(これを分散排水と言います)
写真は、分散排水させるために、地面を掘って粗朶を詰めて暗渠排水を設置している作業です。


 最終日は天候に恵まれ、無事ヘリコプターによる荷下ろしも完了しました。
 地元山岳会や大朝日小屋の管理人さんを始め、様々な人に支えられ、9/14に一通りの作業を終了することができました。


 施工後の金玉水全体像の写真です。
分かりにくいかもしれませんが、景観になじむ整備を行いました。

 工事は終了しましたが、施行箇所は土砂が安定するまで少し時間がかかります。通行の際は十分にお気をつけてお通りください。

 飯豊朝日両連峰ではそれぞれの山を愛する人たち、関わる人たち、登る人たちの協働により、原始性の高い自然を永続的に維持することを目的とし、多様な主体が多様な方法で山を守ってきています。
 今回環境省が行った整備がその一助となることを願ってやみません。