ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2009年01月05日今年もよろしくお願いします

秋田 足利 直哉

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 今年はこれまで以上に地域で自然保護活動、野生鳥獣観察などに取り組んでおられる方々とのコミュニケーションを大切にし、密にしていきたいと思っています。そしてその活動の中から”旬の情報”を皆様にお伝えできるよう頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。




 新年一発目の写真は【タンチョウ】にしました。私の年賀状も【タンチョウ】の写真にしました。やはり”おめでたい”イメージがありますからね!


 ついでに【タンチョウ】の名前について調べてみました。
 学名はGrus japonensis(=日本の鶴)、英名はJapanese Crane(=日本の鶴)・Red-crowned Crane(=赤い王冠の鶴)・Manchurian Crane(=満州の鶴)・Sacred Crane(=神聖なる鶴)等の名前で呼ばれているようです。日本の漢字表記では「丹頂」と書き、丹は赤色、頂は頭頂部の事ですから英名のRed-crownedと同じ発想から付けられた名前であることが解ります。
 日本以外のロシアや中国東北部(旧満州地域)等にも生息している【タンチョウ】の生息地から名前が付けられたり、見た目の特徴から名前が付けられている点では他の多くの野鳥と共通していますが、地名から付いた学名・英名に「日本の」という語がある点からも、我々日本人との関係の深さを感じますね?
 
 観察中にお話しした方々の中には【タンチョウ】を単に『ツル』と呼ぶ方が多くいます。秋田では「ツル」と言えば「タンチョウ」を指すのが一般的なようで、昔話の『鶴の恩返し』の挿絵も【タンチョウ】が描かれていますし、おめでたい席などで見かけるツルの絵も【タンチョウ】をモチーフに描かれているのが主因でしょうか?

 またある時お話しをしていた方に「あなたはさっきから【タンチョウ】って言っているけど【タンチョウヅル】が正しい呼び方じゃないの?」言われた事があります。以前は私もそう思っていたのですが、図鑑や文献などを見ると【タンチョウ】と書かれてあります。これは鳥類学などの分野では『標準和名』である【タンチョウ】が使われているので、その様になっています。『標準和名』は野鳥の種類によっては日本各地で様々な呼び方をして、名前がいくつもある種がいて不都合だったために付けられた全国共通の名前で、日本鳥学会が定めたものです。ですから【タンチョウヅル】と呼ぶのは間違いなのか?というと決してそうではありません。(【タンチョウ】の標準和名以外の名前を調べてみるのも面白そうですね?)
 ちなみに図鑑や文献を見ると、日本で観察記録のあるツル目ツル科の7種のうち名前が「○○ヅル」でないのは【タンチョウ】だけです。

 色々調べてみると、この他にも面白いことがたくさんありましたが、長くなってしまったので、今日はこの辺で・・・また機会を作って他の話題にも触れられたらと思っていますのでお楽しみに!

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2008年12月26日2008年お世話になった皆様へ

秋田 足利 直哉

 いよいよ本日で2008年中の業務が終了します。鳥獣保護区管理員さん、森吉山野生鳥獣センター案内解説&清掃員さん、当事務所の日頃の業務でお世話になった方々、森吉の自然観察会に参加してくださった皆さん、大潟の野鳥観察会に参加してくださった皆さん、行事等で森吉&大潟へいらしてくださった皆さん、この日記を読んで下さった皆さん・・・・本当にお世話になりました。皆さんが良いお年を迎えられますようお祈りいたしますと共に来る年も当事務所業務・事業に際しまして変わらぬご理解とご協力をお願いします。

 今日は午後から大掃除を予定していますが、その前に自分が使っている机や書棚を整理して、今年頂いた「手紙」を集めてみました。総合学習で来られた中学生、愛鳥学習会で来られた小学生、授業で来られた大学生、観察会に来られた一般の方、地域の情報を詳細に報告してくださった地元愛鳥家の方・・・から心のこもった手紙は私の宝物となりました。この他メールでもたくさん頂きました。本当にありがとうございました。しかしこうして改めて見てみると嬉しさがこみ上げてきますね~!!




 では、皆さん良いお年をお迎え下さい。2009年1月5日にこのサイトでお会いしましょう!!

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2008年12月25日個人的感覚~シジュウカラについて~

秋田 足利 直哉

 アクティブレンジャーになり、野鳥観察を始めたばかりの頃『まずはシジュウカラから』というタイトルのお手製の小冊子を頂いた。野鳥の会秋田県支部の方がバードウォッチング初心者向けに作られたもので、【シジュウカラ】は年間を通して観察できて、しかも沿岸から山岳地域まで広い範囲に生息しているから観察できる機会も多い、というところから野鳥観察の第1歩として他種との識別や観察できる環境等について書いてあった。
 「野鳥観察をするぞ!」と意気込んでみたものの、何から手を付けて良いのやら?と困っていた私にはそのタイトルが響いて、暫くは手の届くところに置いてあった。

 が、意外に【シジュウカラ】を観察する機会は少なかった・・・正確には存在に気付いても観察できない・・・。小さな身体ですばしっこく、ヤブの中でも自由に動き回るので、その姿を追うのが一苦労で、双眼鏡のフレームに入れるのさえままならない・・・。そんな時がずーっと続いて「小さい鳥はまだ無理だ!」と匙を投げて、見つけやすい大きな鳥から覚えるようにしていきました。

 私にはその方法が合っていたようで、少しずつ野外で野鳥たちの姿が目に付きだし、観察できるようになってきたら小鳥たちの姿も目に入るようになってきました。そうなるとやはり【シジュウカラ】の観察機会は多かった!
 葉が落ちて幾分見通しが利くこの時期は特に姿を見つけやすいし、よく鳴くので声で気付くことも多いし、群れで行動しているから出会う確率も高い。
 先日も20羽ほどの群れに出会いました。その時は5羽ほどが地上に降りて何やら一生懸命に啄んでいましたが、観察している間に何台かの車がそばを通過し、その度に【シジュウカラ】達は松の木や近くの茂みに逃げ込み、車が通り過ぎるとまたその場所へと次々に降りてきて餌を採っていました。余程美味しい餌が沢山あったのでしょうか?



 木の上に目を向けると、松の樹皮の間に嘴を突っ込む様子が観察できました。小さな虫が入り込んでいたようで、枝を器用に渡りながら次々と餌を食べる様子を感心しながら観察していると、1羽だけちょっと変わった動きをする【シジュウカラ】がいました。



 まるでキツツキのように松の幹にしがみついて樹皮の下の虫を啄み、しかもこの状態で徐々に登っていきながら餌を採っていました。その動きはコゲラかゴジュウカラかとも思える動きでしたが、紛れもなく【シジュウカラ】!!『へぇ~シジュウカラってこんな事も出来るんだ~』と感心してしまい、松の木じゃなくてもこの動きは出来るのか?横や下への移動も出来るのか?と、次の観察機会への期待が高まり、【シジュウカラ】への興味が深まっていきました。

 【シジュウカラ】は、じっくり観察すると本当に面白い行動・動きを見せてくれます。一度は匙を投げてしまうキッカケとなった【シジュウカラ】ですが、野鳥観察の面白さを感じて、日々それが深まりつつある今、『これからはシジュウカラもかな?』

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2008年12月24日フィールドワーク特別編

秋田 足利 直哉

 メリークリスマス~♪ 今日は何年ぶりかでクリスマスカードを頂いておもいっきりテンションが上がってしまいました!!そのクリスマスカードはすっかり顔馴染みになった大潟中学校の生徒達が書いてくれて、手作りのフレームに収まった素敵なものでした。
 
 大潟中学校の生徒達はクリスマスイブの今日、『フィールドワーク特別編』ということで野鳥観察に来てくれました。特別なのはクリスマスカードだけではなく、そもそもこの”機会”も特別なもので、前回のフィールドワークの時、体調を崩していて参加出来なかった女子生徒がいたこと、と我々受け入れ側も鳥獣保護区管理員さんの都合が付かなかったこと等から担任の先生が周りに掛け合って実現したものでした。更には”生徒の父母も参加”して下さって一緒に野鳥観察が出来たこともこれまた特別なことでした。


 野鳥観察会は”いつも”のように野鳥の観察ポイントを巡っていきます。先ずは西部承水路で水鳥の観察から!ここではマガモ、オナガガモ、ホオジロガモなどを観察しました。
 愛鳥家達は口を揃えて「大潟のガンカモは警戒心が強い」と言います。この時も慎重に距離をとって観察していたのですが、我々の声や気配を感じて飛び立ってしまいました。その中には人なつっこい性格(?)で知られる【オナガガモ】も多く含まれていました。大潟の【オナガガモ】は”ある意味特別”かも知れません・・。
 

 続いて、この地域ですっかり”特別な存在”になった【タンチョウ】の元へ。この【タンチョウ】の存在は大潟村では知らない人はいない程で、実際に見たことがあるという人も多いそうです。【タンチョウ】自身は大体いつも同じような行動をしているのですが、その時のタイミング等で逢えない事もあるり、そんな日が暫く続くと「なんか心配になるんだよ・・」という方がいるくらい大潟では愛されている存在です。
 そんな思いを抱いたメンバーでの観察でしたから【タンチョウ】もサービス満点でした。我々に向かって翼を広げて見せたり、ほんの僅かな距離でしたが飛んで見せたり・・・【タンチョウ】からの”特別サービス”だったのでしょうか?



 その後は、現在1万羽を越える群れが生息し、村のあちこちで採餌している様子が観察できる【マガン】&【ヒシクイ】の群れを観察したり、2羽の【オジロワシ】にも逢いました。最後に管理棟で鳥あわせをしたら実際に姿を観察した野鳥は17種(遠くで飛んでいたものや、鳴き声だけのものは含まない)でした。


 今日の『フィールドワーク特別編』は色々と”特別”なことがありましたが、もっと広い視野に立てば、大潟ではお馴染みだったり観察機会の多い野鳥も実は全国的に見れば”特別”な存在であったり、野鳥の生息環境等の面からみれば大潟村そのものが”特別な地域”なんですね。

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2008年12月19日鈴なりスズメ

秋田 足利 直哉

 昨日の日記で最大勢力がハクチョウとなったと書いた矢先ではありますが・・・それは大潟村西部の日中に限った状況でした。他の地区では早朝の調査でかなりまとまった数のマガンやヒシクイが観察されていたそうです。もっと慎重にならないといけませんね・・・。


 さて、今日の大潟の巡視では多くの種の「群れ」を観察することが出来ました。種類によって群れの大きさはそれぞれではありますが、「普段は一度にこんなにたくさん見ることはないような・・・」と思うことも何回かありました。



 【スズメ】もその一つで、群れのほんの一部を切り取ってみてもこんな感じで、まさに『鈴なり』状態!

 この他にも、観察した順にミヤマガラス・ハシボソガラス・オオバン・マガモ・カルガモ・ホオジロガモ・オオハクチョウ・コガモ・シジュウカラ・ヒシクイ・マガン・ムクドリ等々・・・この種にしては多いなぁというのも含めるともっと名前が挙がります。
 
 この様に、この時期は多くの種が『群れ』で行動しています。1羽1羽をじっくり観察するのも楽しいですが、冬ならではの『群れ』の行動する様子は必見です。
 しかし、それを写真撮るのは難しい・・・。動きの速い種であれば目で追うのがやっとですし、ガンやカモ類は遠すぎて迫力に欠けるし・・・。やっぱり自分の目で見た程の迫力は出せないんですよね・・・
 と、言うことで、野鳥の群れを”生”で観察するために、週末はお近くの探鳥地へバードウォッチングに出かけてみてはいかがでしょう!!

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2008年12月18日最大勢力はハクチョウ

秋田 足利 直哉

 ガン類の飛来や生息については天候、特に積雪の影響が大きいそうで、その視点で今年の大潟村の天候を考えると、この時期としては比較的安定している印象があるので、多くのガン達が大潟村の空を舞い、水田で採餌する様子が観察され続けてい良いはずなのですが、実際はそうではないようです。

 一時期よりもマガンやヒシクイは数を減らしていますが、ハクチョウだけは大きな変動がなく観察され続けています。中でも【オオハクチョウ】にその傾向が顕著で、現在の大潟村では最大勢力となっています。
 村のあちこちで大きな群れであったり、家族単位の小さな群れが観察できますし、大きく白い身体は遠くからでも見つけられるので余計にそう感じるのかも知れません。



 ↑こういった光景がごく普通に見られます。この辺りが「大潟村の鳥」として指定されている主因なのかも知れません。
 そんなこんなで、最近「じっくり観察」する対象はもっぱら【オオハクチョウ】です。私の個人的な印象ですが、【オオハクチョウ】達はマガンやヒシクイ達に比べて採取場所を変える頻度が高いように感じられます。なので大潟村で観察していると頻繁に採餌場から飛び去ったり、逆に飛来してきたりする様子が観察できます。


 【オオハクチョウ】を観察していて私が最も興味を引かれるのが、着地シーンです。それまで水平に広げていた翼の角度を変えながら減速し、高度を落として狙った場所へ着地しているようなのですが、その時同時に水掻きの付いた足もブレーキの役割を果たしているように見えますし、尾羽もバランスをとるのに重要な役割を果たしているようです。その一連の動きの中で胴体の傾きが変わっていくのも興味深い動作でした。そういった細かな事に気付いたときは「おぉぉ~凄~い!!」と思わず声を出してしまいましたし、「鳥の様子を観て飛行機が進化していったんだなぁ」なんてところまで思いが駆けめぐりましたからね~(笑)





 皆さんもハクチョウ達を観察する際には、彼らの見せる”動作”に注目すると面白い発見があるはずですよ!!

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2008年12月17日タンチョウの水飲み

秋田 足利 直哉

 このところの【タンチョウ】の1日のおよそのタイムスケジュールです。なお私もさすがに終日タンチョウを観察し続けた経験はありません。なので自分で見た情報と鳥獣保護区の管理員さんから聞いた情報を合わせて、書いていることをご承知下さい。
 
「12月中旬のある日」
 ほぼ日の出時刻(ここ数日は6時55分くらい)と時を同じくして塒から飛び立ち、決まって旧若美地区のとある場所へと向かう。最近は冷え込みが厳しくなりそこの土がカチカチに凍結していて、落ち穂も拾いづらいようです。
 通勤通学時刻になると近所の小中学生や会社などに向かう方々が立ち寄る。その後ご近所の方が散歩の途中に立ち寄ったり、鳥好きの方が入れ替わり立ち替わり【タンチョウ】観察に訪れる。その間、採餌したり、水を飲んだりする傍ら接近してくる方への警戒をしつつ、羽繕いにも精を出す。
 そして危険を感じたり(?)、居心地が悪くなったり(?)すると、飛び立って別の場所へ移動して同じように採餌したり、水を飲んだりして過ごす。
 お腹がイッパイになったり、疲れたときには足を折り曲げて”伏せ”状態で休息することも・・・
 終日採餌、水飲み、羽繕いなどをしながら人間相手のモデルも務め、日没後辺りが暗くなってから塒へと戻っていく。この時刻は日によってまちまちなようです。


 こうして書くと餌を食べている様子や、羽繕いをしているシーンはよく観察できるのですが、水を飲むシーンの観察機会は意外に少ない事に気付きます。
 これまで私が観察した水を飲む場面は、①タニシやアメリカザリガニを食べていた水路で食べ物を流し込むかのように時々水を飲んでいたシーン②稲刈り前の稲穂を食べたあとやはり流し込むように水を飲んだシーン③長い時間かけて羽繕いしたあとおもむろに広い水路に入って流れに向かって嘴を付けて水を飲んだシーンの3回でした。
 先日観察できた4回目の水飲みシーンは稲刈り作業の時に機械が旋回して出来たであろう轍に溜まった泥水を飲んでいるシーンでした。




 長い嘴の下部分(下嘴)が水平になるように足を曲げて、首を曲げて水中に入れて15~16cm位あるという嘴に水をためて、首を持ち上げて水を飲んでいました。


 アップで見ると喉を大きく膨らませて水を飲んでいるのが解ります。決して大きくない水溜まりの水を飲み干すくらいの勢いで4度5度とこの動作を繰り返していました。落ち穂が喉につっかえていたのでしょうかね?それともこの乾燥した時期だから喉が激しく渇いていたから?? 


 【タンチョウ】がいるエリアをよく見てみるとこの時期は田んぼに水を必要としないので、水が流れている水路はほとんどありません。なのでこの様な水溜まりの僅かな水も貴重な飲み水になっているようです。もしかすると今、もっとも【タンチョウ】が苦労しているのは『飲み水の確保』なのかも知れません。


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2008年12月16日日没後

秋田 足利 直哉

 昨日久しぶりに【タンチョウ】に逢ってきました。

 最近私が習慣としているのは【タンチョウ】が採餌しているエリアに来たら、全体が見渡せる場所でその姿を探すと同時にその近くで観察している人影がないか確認すること。何といっても超人気者の【タンチョウ】の廻りには常に人影がついて回ります。
 昨日もいつもと同じように見渡すと、【タンチョウ】のそばに車が3台と数人の人影が見えました。「今日は平日なのに大盛況だな~」なんて思いながら近くまで行くと車は4台、観察している方は8名でした。そのうちカメラマンは5名で近所の方々が3名といった感じ・・・。私はその光景が見られるちょっと離れた場所に車を止めて、【タンチョウ】を観察している方々を観察していました。(自分でもなんか嫌な感じがします・・)

 やはり、残念なことに『適切な距離』は保っていただけない方もいらっしゃいます。カメラマンの構えるカメラには標準レンズが装着されていて、中には広角レンズの方もいるといえばおよその距離が想像できるでしょうか?
 中には「それはダメでしょ!」っていう行為に及ぶ方もいますので、その行為を見たときには改善を促します。これまでは私がする話を理解して下さって直ぐに改善していただき、その後は情報交換をする機会になったりして幸いに感じていますが、今後も注意して見守る必要がありそうです。

 私がその場から立ち去った後も結局状況は変わりませんでした。たまたま管理棟から見える位置にいたので遠くから状況を観察していましたが、あまりに至近距離まで近寄られて嫌だったのか?落ち着いて餌が食べられなくて嫌になったのか?解りませんが、珍しく【タンチョウ】が羽ばたいて大きく移動しました。やはり我慢の限界というものがあるのでしょう!!


 飛んだ方向からおよその予想が付いていたので、帰りに立ち寄ってみました。


 時刻は午後4時20分頃。昨日の日没時刻が午後4時16分頃でしたから、既に辺りには暗闇が迫ってきていました。上空を見挙げると塒に向かうオオハクチョウやヒシクイの群れがひっきりなしに飛んでいきます。そんな中でも【タンチョウ】は採餌を止めようとはしません・・・。



 人気者の宿命かも知れませんが・・・日中はなかなか落ち着いて採餌出来ないから人間達が家路についたあとから日没までの僅かな時間が唯一落ち着いて食事できる時間なのかも知れません!!その後、休む間もなく落ち穂や大豆を食べて、とっぷり日が暮れて宵闇が辺りを支配した頃、ようやく塒へと飛び立っていきました。

 こんな状況を見るに度に、「本当に此処が気に入っているのだろうか?」「ここは安住の地なのだろうか?」という思いが頭をよぎる今日この頃です・・・。

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2008年12月15日富士山の麓で・・

秋田 足利 直哉

 先週1週間まるまる日記を更新できませんでしたが、その期間は富士山麓の田貫湖ふれあい自然塾で「平成20年度自然解説指導者研修専科研修企画展示コース」という研修を受けていました。
 私が担当している鳥獣保護区には森吉山野生鳥獣センターと大潟草原鳥獣保護区管理棟という2つの施設があって、それぞれに展示物があり一般の方々にご覧いただけます。そのうち大潟の施設は鳥獣保護区の管理員さんがご自身で撮影した写真などを所狭しと展示してあって、しかも時々展示が更新されているのですが、森吉の施設では平成16年度のオープン以来ずーっと同じ展示のまま現在に至っています。

 『このままで良いはずがない!』とホワイトボードを使ってその時に見られる花等の情報を書いたり、掲示板に周辺で見られる野鳥の情報を書いたり(←それすらやれていなかったのはお恥ずかしい限りです)、「野鳥って難しいよね?」という声を受けて代表的な野鳥の識別に役立てば!と思い、自分で絵を描いて展示してみたり・・・しかしどれも来館者・利用者さんの反応がイマイチ!既存の展示も一通りさーっと見て終わり。一番長い時間かけて見ていただいている展示が『奥森吉物語』と題したハイビジョン映像のコーナー。つまりその画像が流れている間は足を止めていただけてるということ・・・

 そんな状況に『もうちょっと何とかならんもんか?』という思いがあった中での今回の研修はとても得るものの多い充実した研修でした。持ち帰った”展示のヒント”は2つの施設で成果としてご覧いただけるように私に期待された業務の一つとして力を入れていこうと思っています。

 
 そんな力が湧いてきたのは”この景色↓”を眺めたのも一因になっていると思います。思い返してみれば・・・これまで何かに悩んだり、落ち込んだりした時、山頂から見た雄大な景色に抱えていた悩みが吸い込まれていったり、大木の圧倒的な力に後押しされたりということが何度となくあった気がします。今回は学生時代毎日のように見て過ごした『富士山』と神々しい『ご来光」が背中を押してくれたのですから、大きく”一歩”を踏み出せそうな気がします。




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2008年12月05日広大な土地にあって・・・

秋田 足利 直哉

 今、大潟では至るところで野鳥の姿を見ることが出来ると昨日の日記でも書きました。大潟村は干拓によって生まれた大地で、海抜-2mの広大な土地が広がり、標高の高い場所がないにもかかわらずかなり遠くまで見渡すことが出来ます。その中で多くの野鳥たちに出会うことが出来るわけですが、その主役は何と言ってもガン達です!!

 昨日もかなりの数のガン・カモに出会いました。マガン・オオヒシクイ・ハクガン・シジュウカラガン・オオハクチョウ・コハクチョウ・マガモ・コガモ・ヒドリガモ・オナガガモ・カルガモ・カワアイサ・ミコアイサ・スズガモ・etc.・・・どんどん名前が挙がります。ですが、村中何処へ行っても色々な種に出会えるのか?と言うとそうではありません。
 特にガン達にその傾向が顕著なのですが、【マガン】の群れが採餌する田んぼはこの地区とこの地区、【オオヒシクイ】の群れが採餌するのはこの地区とこの地区、【ハクガン】が採餌するのはこの地区といった感じで広大な大潟村にあってもかなりピンポイントに見られる場所が決まっています。勿論その時、付近で作業されている方がいたりすると別の場所に移動する事はありますが、それでも「此処にいないならあそこかな?」と見当が付きます。
 私などは「この辺でいいや!」なんて大雑把に場所を決めがちですが、ガン達にはざっくりと大雑把に「この辺」というような場所決めはしていなそうで、「この田んぼ」ときっちり決めて行動しているようです。

 そのうちの1箇所である【オオヒシクイ】が採餌に集まる場所で観察した時のこと・・・警戒心の強い【オオヒシクイ】は遠くに停車した私の車をめざとく見つけ、警戒した視線を投げかけてきます。余り刺激しないように時間を掛けてスコープで観察できる距離まで近づき、観察を始めました。
 すると間もなく上空から【マガン】の鳴き声が聞こえてきました。遅れて【オオヒシクイ】の声も聞こえてきます。どこか別の採餌地から移動してきた群れが次々と私が観察しているポイント目指してやって来ているようでした。


【マガン】の群れ

【オオヒシクイ】の群れ

 飛来してきた【マガン】【オオヒシクイ】は数回上空を旋回したあと次々と田んぼに降りたってきます。


田んぼに次々と降り立つ【オオヒシクイ】

 それまで約300羽の【オオヒシクイ】の群れが彼らが加わりあっという間に約500羽の【オオヒシクイ】と【マガン】の群れになりました。飛来してくる方向を見ていると北東方向からこの場所を目指して一直線に飛んでくる感じでした。ちなみに、此処での観察のあとその方向にある採餌地を除いてみたら案の定作業中の方がいて、ガン達の姿は見当たりませんでした。

 この広大な大潟村にあって、彼らは『安全な採餌地』というポイントをかなり絞り込んだ上で何ヶ所か決めていて、その時条件の良い場所で採餌するという行動をしているようです。
 勿論その場所に餌となる落ち穂などが無限にあるわけではないので、そこに餌が無くなったら別の場所で採餌することになるのですが、その場所も決まっているようで、毎年同じ傾向が見られるようです。




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