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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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秋田

1036件の記事があります。

2011年07月27日繁殖期最終盤へ

秋田 足利 直哉

 暑い日が続きます。そろそろ「夏バテ」なんてワードが聞こえてくるようになりました。電力使用制限令が出され昨年比15%減の節電目標があるために無理をされている方も多いのかも知れません。熱中症の事例も例年よりも多くなってるのだとか・・。
 街を歩けば例年以上に「クール」「節電対策」「スタミナ」等のワードが目につきます。私もちょっとクール商品のコーナーを覗いてみましたが良さそうなグッズが色々ありましたよ!!自分にあったグッズや方法で暑い夏を過ごしていきましょう!!

 



 さて、大潟のヨシ原では今年生まれた草原性の鳥類たちが次々と巣立ち、未だあどけない巣立ち雛達がたくさん見られます。現在はちょっと遅れて繁殖活動をしているペア達が巣立ちに向けてラストスパートのように一生懸命に餌運びをしています。


 そんな中、巡視路で【ホオアカ】がせっせと餌を啄んでいました。狙いはミミズ(?)のようで、数匹をまとめて咥えて運ぶつもりのようです。


 梅雨が終わり気温の上昇に併せてヨシの背丈もぐんぐん伸びていき、巡視路が道でなくなりかけてきましたので、除草してもらいました。するとその場所に小鳥たちが次々にやってきます。この【ホオアカ】も雛が餌として食べやすく、栄養も兼ね備えたミミズや蛾などの幼虫を狙いやすくなったようです。かなりの頻度で餌をゲットして運んでいきますので雛達もだいぶ大きくなっていることでしょう。


 巣のおよその位置は解っていますから、その場所が見通せる位置で待ちかまえていると餌を持った【ホオアカ】がやって来ます。一応警戒はしますがそれも初めのうちだけで、邪魔をせずに観察しているとそのうち気にしないで巣へ向かっていくようになります。
 この暑い中、雛のためとは言えこれほどの頻度で餌運ぶのは大変なはずです。それでも決して止めようとはせず何度も何度も餌を探しては運んできます。
 
 これからしばらくの間は、巣立ち雛を連れた親鳥達が甲斐甲斐しく世話をしたり教育したりする姿が見られることでしょう。



 
 様々な野鳥達が巣立ち、広い世界で過ごすようになる頃、悲しいことにロードキル(※野生動物たちが車に轢き殺される事)が増加します。巣立ち後、間もない幼い鳥達が懸命に親鳥の後を追う中で不幸な事故が起きているのではないか?と思います。
 少しでもこうした事故が減るようにドライバーの皆さんに速度を抑えた運転をお願いします。

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2011年07月26日どっちでもチョウトンボ

秋田 足利 直哉

 このところ・・・森吉を歩くとヤブ蚊に悩まされ、大潟に行くと強い日差しに悩まされ、私の身体は虫さされ痕と日焼け痕でボロボロです。痒いやらヒリヒリするやら・・・


 今日は私の主な仕事先である森吉と大潟を巡視した際に両方で見つけたトンボの話題です。

 秋田県内では夏の盛りを迎えると各地で赤とんぼが群れをなして飛び回る光景が見られます。窓を開けているとビルの中でも自宅でも何処にでも入り込んできてしまうほどで、車を運転する時もトンボをひかないように気をつけなければなりません。
 勿論大潟でも森吉でもノシメトンボ、ナツアカネなどの赤とんぼが、たくさん飛んでいます。これらアカネ属のトンボは以前にも紹介しました。その他にもオニヤンマなど標高0m以下の湿地帯と標高600~800mの高原地帯では意外にも共通するトンボが見られます。その一つが今日紹介する【チョウトンボ】です。



 大潟で見つけた【チョウトンボ】です。標高-1~2mの特別保護地区内の水辺や大潟村の外周をなす承水路沿いで見ることが出来ます。数は多くはありませんが飛び方や身体の色等とても目を惹く存在です。
 毎年必ず観察できる存在ですが、見つけるとちょっと嬉しくなる存在でもあります。
 


 森吉で見つけた【チョウトンボ】です。このエリアで見たのは初めてでした。親しくしていただいている方から『あの池には色んなトンボがいるから見ておいた方が良いよ』と教えていただいてから時々足を運んでいる通称「蜻蛉池」(←こう呼んでいるのは私だけかも知れませんが・・・)に1頭だけいました。周りには他の色んなトンボがいましたがやっぱり目を惹く存在でした。


 【チョウトンボ】は明るい開けた場所を好む傾向があるそうです。確かに2頭とも見つけた場所は周囲には高い木も少なく開けていて、観察した日は暑い日差しがガンガンと照りつける日でした。
 暑さ対策をしっかりして、低湿地や平地の水辺あるいは高原地帯の開けた水辺など【チョウトンボ】が好みそうな場所に出かけてみてください。きっとヒラヒラと優雅に舞っている【チョウトンボ】に出会えますよ。でも【チョウトンボ】は他のトンボに比べて羽が非常に(蝶々のように・・)デリケートなんだそうです。なので捕まえて手にとるのは遠慮した方が良いかもしれません!


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2011年07月25日まみ

秋田 足利 直哉

 「夏休み」の声が各方面から聞かれる今日この頃・・夏休みのない我々アクティブレンジャーはそんな声を羨ましく感じながら連日、各地で忙しく動き回っています。

 はい。前回の日記で衝撃的な傷跡を掲載したところ・・・『ひくわ・・』とか『寒いどころの話じゃない!』なんて感想が聞かれました。でも警鐘にはなったようなので皆さん改めて熊にはご用心を!!


 さて、今日のタイトル【まみ】ですが・・・森吉山鳥獣保護区が広がる北秋田市の阿仁地区(の一部?)で使われている【アナグマ】の呼び名です。

 最近、森吉山麓で【アナグマ】の目撃情報が多く聞かれています。私も2度ほど道路を横断する【アナグマ】を目撃していました。その場所がおよそ同じような場所なので毎回通る度に注意していたのですが、先日遂にカメラに納めることが出来ました。

 最初、大きな【アナグマ】が道路を横断しました。その直後から何度か聞いたことがある鳴き声がヤブの中から聞こえていました。しかも音源が2~3個ありそうです。これは!!!と思いカメラを構えて待つこと数分。


 もう1頭の【アナグマ】に続いて3頭の【仔アナグマ】が道路を横断していきました。うち2頭は走って横切って直ぐにヤブの中に消えましたが、この【仔アナグマ】は好奇心旺盛なのか?周りを見渡しながらゆっくりと歩いていました。


 そんな【仔アナグマ】を奥にいる母親(一目瞭然で母親です!)が叱るようにしながらこちらへ来るように促しました。


 そんな僅かな時間の出来事でしたが、3頭の【仔アナグマ】を確認したことで森吉山麓高原で【アナグマ】が繁殖していることが確認でき、【仔アナグマ】は親に比べて毛が白っぽい事も解りました。その他にも色々と得るものがあった観察でした。正に『百聞は一見しかず』

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2011年07月22日警告している!?

秋田 足利 直哉

 今日も暑い秋田市内、事務所の温度計は30度を示しています。この先の週間予報でも期間中ほとんど「30度」と予想されています。
 こんな時には何か涼しくなる工夫が必要です。そこで今日は思いっ切り寒気を感じた話です。


  
 観察会などで皆さんとお話しする中で『仕事中に熊と会ったりしないんですか?』という質問をされることがあります。その時は正直に『ありますよ。これまで仕事中に○回遭遇しました。』と答えます。すると必ず・・・『怖くないんですか?』『大丈夫なんですか?』といったリアクションが帰ってきます。それにも素直に『怖いですよ!』とか『大丈夫だったのでこうして過ごしています』と答えます。こうしたやりとりからも皆さん登山中やハイキング中に熊に遭遇することを心配されているんだと言うことが解ります。

 
 森吉山鳥獣保護区はツキノワグマが多数生息しています。マタギの本拠地である阿仁地区にも保護区が広がっている事からも想像していただけるかと思います。この地域では山の中に熊がいるのは当たり前で、その地域に入るにはそれ相応の備えが必要だと言うことが常識になっています。私も状況に応じて鈴や笛等を使い分けています。 

 正直な話、真新しい熊の足跡や糞を見た時は、いつも以上に恐怖感を抱きます。また目撃情報が多数寄せられている箇所を通らなければならない時も特に緊張します。
 その一方で、木製の標識や看板などに熊の爪痕を見つけてももう驚かなくなってしまっています。”慣れっこ”というのは少々違う気がしますが、それも最早当たり前の光景になっています。


 こんな風にボロボロになった標識や木道をご覧になったことがあると思います。「自分の縄張りに新しい物が立ったから挨拶に来たんだ!」とか「防腐剤の臭いが気に入らないのか?」とか色々言われていますが、山中に木製の何かを設置する際にはこうした熊の被害は想定の範囲内となっています。これはもう防ぎようがありません!!

 
 その点、鳥獣保護区の「制札」はお馴染みの看板タイプであれ、最近増えている標柱タイプであれいずれも木製品ではないのでこうした被害に遭う心配はないとこれまでずっと思ってきましたが・・・先日巡視した際、かなりびっくりしました。


 隣に立つ歩道の標識は熊の爪痕がいっぱいついていてかなり痛んでいます。それに比べて制札はそんな心配がないはずでした・・・・。

 この標柱タイプの鳥獣保護区制札が倒れかけていたので補修しました(上の写真は補修後の物です)。根元部分に詰め物などをして倒れにくくしていると・・・なんかちょっと妙な傷があることに気付きました(下の写真参照)。写真の真ん中よりちょっと下に注目です。

 もう少し、近づいて見てみましょう。


 2方向から撮影しました。かなりの勢いで付けられた傷であることが想像できます。この標柱はかなり固く、頑丈で重い物なんですがそれが端っことはいえ見事に貫通しています。
 この森の中でこんな事が出来るのは「道具を使った人間」か「ツキノワグマ」だけでしょう。下の写真には1本の黒い毛が写っています。この傷を付けたときに抜けた物でしょうか?


 これを見た後に感じた恐怖感と言ったらもう・・・・しかも運の悪いことに巡視の出発点にある制札がいきなりこの状態でしたからこの後の巡視がどれだけ気が重かったか・・・・・・・・終始音を出し続けたことは言うまでもありません。
 ちなみに、私が持たされている熊対策は『鈴』のみです。以前他の装備の購入をお願いしましたが今のところ実現していません。。まぁ結局のところ自分の身は自分で守るしかないって事ですかね・・・


 最後に言うのも何ですけど・・・この山域に入山される際は特にツキノワグマ対策に万全を期して下さい。本来大人しく警戒心の強い動物ですので自分の存在を相手に知らせていれば向こうが先に逃げるとされていますが、それでも油断は禁物です!!

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2011年07月21日コチドリ水浴び

秋田 足利 直哉

 今日の秋田は最高気温が30度に達しない例年並みの気温だったそうですが・・屋外で業務にあたっていると、そうとは思えない暑さでした。
 現場では色々な思いを抱きながら精一杯努力している方や一生懸命に尽くして下さる方がいて本当に頭が下がる思いがします。その一方で・・・『はぁぁぁ・・・』とため息をつきたくなる事も・・・。

 そんなストレスは溜めたらいけませんから、その日の内にスッキリとさせないといけませんね?と言うことで・・・今日の日記は久しぶりの『水浴び』です。



 現在、大潟を回っていると巣立ち雛を連れた【コチドリ】一家をよく見かけます。小さな身体にカモフラージュ効果の高い【コチドリ】達が繁殖活動をしている最中はなかなか見かけることはありませんが、水辺では容易に見つけることが出来ます。
 この日も暑い暑い日で・・・見る鳥見る鳥みんな口を開けてはぁはぁと苦しそうだな~と思いながら巡視・調査していました。心なしか水辺に集まっている野鳥が多かった様に感じます。この水辺には【コチドリ】の他にトウネン、ケリ、ハクセキレイ、コサギ、チュウサギ、アマサギ、アオサギ、ヒバリ等が集まっていました。その中で最も羽数が多かった【コチドリ】は採餌する者、羽繕いする者、歩き回る者、水浴びする者など様々でした。






 水浴びをしていた【コチドリ】成鳥です。浅瀬に濁った水が溜まっている場所で、お腹、尾羽(1枚目参照)、翼(2枚目参照)、背中、頭(3枚目参照)に念入りに水を浴びせるように激しく動いていました。ジッと観察していると水浴びする順番にも拘りがあるのか?一度何かがあって中断すると又最初からやり直していました。

 毎度思うことですが・・・こんなににごった水を浴びているのにどうしてこの綺麗な白い羽が維持できるのか?不思議です。
 水を浴びた後は、軽くひとっ飛びして水気を切り、スッキリした様子で過ごしているようでした。


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2011年07月20日水浴び直後?擦り切れ?部分白化?んんん・・

秋田 足利 直哉

 暑い日が続きます。今日は風がある分いくらか過ごしやすいでしょうかね?事務所の窓からは風に乗って竿灯のお囃子が聞こえてきます。各地で練習に熱が入ってきた頃だと思います。通勤時に通る道路でも竿灯の観覧席を設置する工事が始まりました。地元のお祭りって良いですよね^^




 先日、ある冊子を読んでいると・・・チェルノブイリの原子力発電所の事故現場付近では野鳥にも目に見える影響が現れている事が書かれていました。特に汚染地域で繁殖した野鳥には大きな影響が現れると言うことで、そこには部分白化する【ツバメ】の事例や異形が現れるシジュウカラの事例が挙げられていました。どちらも身近な野鳥なのでちょっと気になって読み進めていきました。

 読み終えて・・・「これからはそんな事も気にしながら野鳥観察をすることになるのかな?」なんて思い、何とも言えない気持ちになりました。



 そんな記事の印象が鮮明に残る中・・・1羽の【ツバメ】に目が釘付けになりました(とは言うのは大袈裟かも知れませんが・・・)。


 【ツバメ】の成鳥です。水辺を飛び回っていた【ツバメ】がヨシに止まって羽を休めたり羽繕いする、よくある光景ではありますが、私は直ぐに喉元に見える白い羽に気付きました。


 羽繕いする時に見えた後頭部から背中にかけて・・斑状に白い羽が見えました。んんん・・・


 その記事では尾羽に異形が現れることもあると書かれていましたがこの個体は特に問題があるようには見えません。他の写真で見てもいたって普通の様です。



 野生生物の世界ではアルビノ、白化個体、部分白化個体、バフ変個体など通常の色彩とは異なって身体全体或いは一部分が白くなったりバフ色になっている個体が存在します。私もこれまでにいくつかの種で部分白化やバフ変個体を観察したことがあります。なのでそれ自体は特段に驚くことはないのですがタイミングがタイミングだったために余計に目に付いたのかも知れません。



 しかし、そもそもこの【ツバメ】に見える白い羽は、この直前に水浴びをしたために羽が部分的にまとまって白い部分が透けて見えているのか?時期的にも羽が擦り切れて白い羽が見えてしまっているだけなのか?それとも本当に部分的に白い部分がある個体なのか?ハッキリしません・・・。言えるのは部分的に白い羽がある以外に他に気になることが全くなく、直前まで他の個体と一緒になって水辺を飛び回っていたことなどから、この【ツバメ】自体はいたって健常であるらしいということ。


 更に言うと・・・そもそもこの【ツバメ】は成鳥であること、現在の生息場所も秋田県であることから、特に気にするべき点がありません。つまり私の反応は”過剰反応”であり、”冷静さを欠いた反応”であると言うことです!!!

 
 私のオハズカシイ話はさておいても、現在も原発事故の収束がなかなか見えてこない。という時期が時期だけに・・問題が問題だけに、何かが起こった時、何かを見つけた時の反応や対応が過剰になってしまったり、冷静でいられなかったりという事が予想されます。とにもかくにも冷静に!!適切に!!
 

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2011年07月19日【実施報告】自然観察会『ヒバクラ湿原のお花畑』

秋田 足利 直哉

 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の女子ワールドカップ優勝”世界一”おめでとうございます。
 凄すぎて何と言っていいのか・・・。全国民が喜び、日本人としての誇りを感じているのではないでしょうか?想像できないくらいの波及効果がありそうですね?例えばこの日は『女子ワールドカップ優勝記念日』として国民の祝日になるかも・・。



 そんな出来事は開催地ドイツの現地時間17日に成し遂げられましたが、日本時間の17日、私は森吉で自然観察会のスタッフを務めていました。今日はその報告をします。

 

 未だ涼しいうちに秋田市内を出発し、途中道路に設置された気温計の数値はどんどん上昇。30度近くまで上がっているのを確認しながら森吉山野生鳥獣センターへと向かいました。到着すると思ったよりは暑くはなく、やはり高原は涼しいな~なんて思いながら準備を始めました。


 参加者30名が続々と到着し、全員集合したのは予定時刻よりちょっと早め!この後移動もあるので直ぐに会を進行しました。
 今回のコースは先日の日記でオススメした『ヒバクラ湿原』を目指すもの。ガイドマップ等に寄れば登りの所要時間はおよそ2時間。それを2時間半かけて観察&散策する日程。しかしそれもあくまでも目安。実際には3時間かけて湿原へと到着しました。

 と言うのも・・・このコースは植生の垂直分布がハッキリとしていてまるで教科書通りとでも言いたいほど。周囲に生える樹木を見ているだけでも良い観察が出来ます。


 このコースの見所ともなっているネズコの巨木あり、ブナ林あり、モロビ(オオシラビソをこの地域ではこう呼びます)あり、そして最後には高層湿原が待っています。更にはそれぞれの林床には花々が咲き競い、疲れた登山者を励ましてくれます。


 このコースは歩道も変化があって歩き応えも充分。晴れの日が続いてもぬかるんでいることの多いコースで、足下の道具を選ぶのもこのコースの攻略には欠かせない要素となります。
 常時あるぬかるみ、荒れて出来るぬかるみ、2回の(小さな)徒渉、急斜度の階段、木道等が次々とやって来ます。今回の観察会のスタッフを見ても登山靴あり。スパイク長靴あり、長靴あり、スパイク地下足袋ありと様々でした。


 そして夏の熱い時期に行う登山では休憩の取り方も重要な要素となります。このコースには「この先が頑張りどころ」って場所に湧水があります。真夏でも湧水地には5分と手を入れていられないほどの冷たい水で手や顔を洗い、周囲の空気も相まって汗が引いていくのを感じて元気を回復。
 ブナ林のやや斜度が増してきた辺りでは、沢の源頭が稜線に詰め上がって来ていて足下から涼しい風を運んできます。
 そして何と言っても山頂部に広がる湿原ではニッコウキスゲやハクサンシャクナゲなどを見るだけで疲れも吹っ飛ぶことでしょう!!



 斜度やぬかるみ等のコース条件や気温、風通りなどを考慮しながら「安全第一」で行った事もあって予定時間を1時間近く過ぎてしまいましたが・・・皆さん大満足だったようで我々スタッフも喜んでおります。ありがとうございました。お疲れ様でした。

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2011年07月15日隠れてる

秋田 足利 直哉

 明日から3連休という方も多いのではないでしょうか?日曜日までは好天に恵まれそうですが・・・台風の進路が気になります。これ以上の災害は勘弁して欲しいんですけどね・・・。


 はい。昨日の日記は随分と長かったので今日は短めに・・・f^^;

 一口に水辺とかヨシ原とか・・野鳥が生息する環境を挙げてはみても実際には野鳥が好む場所というのは意外にもピンポイントだったりします。西部承水路のこの場所も色んな野鳥が見られるポイントです。

 ここは水路の水質浄化試験を行っている施設ですがこの上には多くの野鳥がやってきます。
 この日は思いがけない出会いがあったのでちょっとテンションが上がりましたが・・・それがいけなかったのか?野鳥が隠れてしまいました。


 何処に隠れているか解りますか?身体の一部がちょっとだけ見えてしまっていますね^^






 隠れているのは誰なのか?それをお伝えするためにちょっと時間を逆戻りさせてみましょう!!いつもよりちょっとテンション高めの私を見て・・・イソイソと物陰に隠れようとしている野鳥がいます。


 隠れているのはこの野鳥です。

 『わっ見つかっちゃった・・・』と思ったのか?イソイソと急ぎ足で物陰に隠れようとしているこの野鳥。皆さんもうお分かりですね??(ヒントが多すぎるだろ?とつっこまれそうです・・・)
 





 では正解です。イソイソと急ぎ足で隠れようとしていたこの野鳥の名前は【イソシギ】でした!!(お後がよろしいようで・・・・)

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2011年07月14日トビの繁殖観察

秋田 足利 直哉

 各地で暑い日が続いているようです。当事務所の入居するビルでもここ数日はエアコンを使っている事務所が多いようです。節電もとっても大切なことですが体調管理も大切です。特に熱中症には充分に配慮しなければなりません。今年は秋田県内でも熱中症で緊急搬送されるケースが多くなっているそうです。皆さんしっかり対策をしてください。
 ちなみに環境省でも熱中症に関する情報を発信していますので参考にして下さい。




 さて・・・継続して観察してきた「南の池公園」の【トビ】が巣立ちました。今年も無事に巣立った喜びと、あんなに人目に付く場所にあるにも関わらず皆さんが温かく見守って下さったお礼の意味も含めて報告します。



 年度が新しくなって、最初の大潟草原鳥獣保護区巡視の日。『今年もこの巣で繁殖が見られるかな?』と思い、何となく巣の上をみると既に1羽の【トビ】が巣の上で伏せていました(写真1枚目の上段参照)。流石に『この時期から卵を抱いてはいないだろう』と思ったのは4月の初旬でした。

 この巣を観察してきて、【トビ】は未だ卵を産む前に抱卵している様な姿勢で巣の上に伏せることがあると解ってきました。過去何度かの経過観察と巣立ちの日から一般に言われている繁殖スケジュールを当てはめてみても、1ヶ月近く計算が合わないことが通例です。なのでこの1枚目の写真の上段の段階では未だ卵は産み落とされていないと思われます。

 その後、巣の上にいたりいなかったりと安定しない状態(写真1枚目の上段の左下参照)が4月下旬まで続きました。きっとこの頃も卵は産み落とされていなかったと推測されます。

 【トビ】がその後継続して巣の上で伏せるようになったのはGWの頃でした。近くで作業する人がいても、近くに大型車両が来ても警戒はするものの巣から動こうとはしませんでした(写真1枚目の下段参照)。この頃には抱卵を開始したものと推測しています。この時には『このまま順調にいけば、7月の中旬頃に巣立ちかな?』なんて思ったことを思い出します。



 5月は何時行っても巣の上でこちらの様子を伺う【トビ】と巣の上に何か変化がないか?伺い知ろうとする私が視線を合わせるだけの日々が続きました。



 6月になって直ぐ、巣の上に親鳥の姿が無くなる時がありました。巣の上には2羽の雛が見えます(写真2枚目上段参照)。この時既に雛の身体に茶色い羽が見えていますので孵化後数日が経過していることが解ります。抱卵日数をおよそ30日とすればGWの頃に産卵したと見て間違いなさそうです。

 6月の中旬から下旬にかけては日に日に成長する雛の姿を観察する楽しい時間を過ごしました。サイズもどんどん変化しますし、羽もどんどん【トビ】らしくなっていきました(写真2枚目下段参照)。この時期になると親鳥が交替でどんどん餌を運んできます。それを争うように食べようとするのですが2羽の雛の体格差が大きく、どうしても身体の大きな雛の方が有利だったようです。それでも小さな雛も日に日に逞しさを増していったように思います。
 


 6月も末になったころ、巣の上に1羽の親鳥と2羽の雛が同時に観察できる日がありました。この頃にはサイズは親鳥と変わりなく、羽の色が赤っぽいことからこの2羽が雛だと解る位にまで成長してきました。



 7月の初旬。いつものように巣を観察すると1羽の雛が巣からちょっとだけ離れて枝を移動しているのが確認できました(写真3枚目上段参照)。いよいよ精神的にも一人前に近づいてきた証拠でしょうか?この時、『もうそろそろ巣立ちだな。』と感慨にふけってしまいました。

 今週行った一番最近の巡視の時、既に巣の上には1羽の雛しかいませんでした(写真3枚目下段参照)。いくら周囲の枝を探しても、もう1羽の雛の姿が見えません。1羽は一足先に巣立ったようです。これまでの成長段階を見てきても随分と差があった2羽の雛ですが巣立ちの日にも差が出たようです。でも今頃は既に巣立って親鳥や兄弟や他の仲間達と一緒に大空にくるりと輪を描いている頃でしょうか?

 次の巡視の日には空を見上げて『あの巣から巣立った【トビ】何処にいるかな?』と思いながら巡視・調査することとなりそうです。


 

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2011年07月13日『節電の夏』は涼を求めて・・その2

秋田 足利 直哉

 例年になく短期間で終わった今年の梅雨。この先、厳しい夏がいつもよりも長く続くのかと思うとなんだか、しんどくなってきますが・・暑い暑いと室内に籠もっていても『節電の夏』を涼しく過ごすことは出来ないでしょう。なので『涼』を求めてお出かけしましょう!!ということで・・・


 前回(7月1日)に続いて第2弾。「黄色」繋がりで今日のオススメは「高層湿原のニッコウキスゲ」です!!


 花の山として名高い森吉山とその外輪山には『お花畑』と呼ばれる高層湿原が点在しています。稚児平(ちごだいら)、山人平(やまびとだいら)等は「雲上の楽園」あるいは「山上のオアシス」等と賞賛され、花の時期には多くの登山者で賑わいます。
 『そんな場所はお花も良いけど人の数も凄いんでしょ?』とおっしゃる方もいらっしゃいます。私も個人的には静かな山歩きを好みます。そこで広いお花畑があって、かつ比較的静かなヒバクラ岳の山頂付近に広がる『ヒバクラ湿原』をオススメします。


 ヒバクラ岳へ登る方法はいくつかありますが、最短距離で行けるのは森吉山野生鳥獣センターなどのある森吉山麓高原の登山口から登るルートです。山頂までの所要時間は約2時間。個人の体力や技量によって前後しますが、初めは森の中を緩やかに登りますが、周囲にモロビ(オオシラビソをこの地域ではこう呼びます。)が見え始める頃になると傾斜が増して体力的にもきつく感じるところです。
 なのでその急傾斜の登山道を登る前に湧水地点で休憩しましょう。


 ルートからちょっと逸れた場所にありますがほんの1分ほどですので是非立ち寄って下さい。夏でも豊富な湧水がこんこんと湧き出ています。水も冷たいですが周囲の空気も冷たく感じ、汗がスーッと引いていくのが解ります。
 余談ですが・・登る時に水場に行って涼んで、冷たい水で顔を洗って一段落してから急登に向かった私は余裕を持って山頂に着きましたが、水場に行かずにルート上で休憩をとった保護官は急登でバテバテでした。


 水場で回復した元気で急登を登り切るとそこはもう高層湿原の入口です。現在は【ニッコウキスゲ】が見頃を迎えています。今シーズンは【ニッコウキスゲ】の当たり年のようで、いつもより花株も多く、株毎に付く花の数もやや多いように感じます。


 『ヒバクラ湿原』からは東北の山らしいどっしりした姿の森吉山本峰「向岳」が目の前に聳えます。【ニッコウキスゲ】越しに見る森吉本峰はまた一段と美しい!!

 木道に腰を下ろし、花と眺めを楽しんでいると街の喧噪や、茹だるような暑さが想像できなくなるほどです。。


 ここでも未だ余裕のある方は、森吉山本峰の向岳や、小池ヶ原、割沢森などの外輪山を巡る縦走路のいずれかに脚を伸ばしても良いでしょう!!


 どちらのルートに向かってもお花畑は連続します。途中【ニッコウキスゲ】が木道や歩道を覆うようになっている箇所があります。このような道では誰もが優しい気持ちになって花をいたわるようにして歩くことでしょう!!


 この記事では一番の見所と思われる箇所の写真を敢えて使っていません。一面に広がる【ニッコウキスゲ】やその他の花々はご自分の目で見るのが一番です。見頃はこの先数日間でしょう!どうやら天気の心配はないようですので是非お越し下さい。


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