ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

398件の記事があります。

2013年05月15日新緑の十和田湖ぐるっと!船上観察会

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 5月12日に自然公園財団十和田支部主催の「新緑の十和田湖ぐるっと!船上観察会」が開催され、サポートで参加させていただきました。当日は時折晴れ間も見え、遠くの山々も見渡すことができました。
 参加者は約120名と大変にぎやかでした。皆さん双眼鏡やカメラを片手に風景や鳥などガイドの方の説明を聞きながら、熱心にご覧になられていました。

 
  左上 船内風景    右上 写真撮影風景
  左下 御鼻部山    右下 御門石のカワウ

 この観察会のもう一つの楽しみは、「日本の駅弁ベスト10」に選出されたことのある、大館市の有名駅弁「鶏飯弁当」です。私も食べてみましたが、鶏の旨みがご飯にしっかりとしみていて大変美味しかったです。


鶏飯弁当

 あらためて十和田湖の広さと美しさを実感しました。これから十和田湖は新緑の美しい季節となりますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。また、6月23日にも船上観察会がありますので、興味のある方は是非参加してみてはいかがでしょうか。

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2013年04月30日ご挨拶

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

ご挨拶遅くなりましたが、4月より十和田自然保護官事務所のARとなりました畑中亮輔と申します。
五十嵐ARと協力して、十和田八幡平国立公園の魅力を皆様にお伝えできるよう頑張りますので、頼りないルーキーコンビですが、どうぞよろしくお願い致します。
4月14日に自然公園財団十和田支部主催のスノーシューウォークが秋田県小坂町白雲亭で開催され、そちらにサポートという形で参加させていただきました。雨男の私には珍しく、風が強いものの好天に恵まれ遠くの山々まで見渡すことができました。


観察会様子

白雲亭からの十和田湖

ブナの花芽も膨らんできているようです

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2013年04月12日はじめまして。

十和田八幡平国立公園 十和田 五十嵐 美保子

はじめまして。
今年度から十和田自然保護官事務所でアクティブレンジャーとして勤めることになりました、五十嵐です。

昨年度大学を卒業したての新社会人です。
初めてのことばかりで緊張しています。
たくさんご迷惑をおかけしてしまうと思いますが、暖かい心で優しくフォローしてください。
よろしくお願いいたします。

4月11日、一人で初めて十和田湖の野鳥巡視に行って参りました。
しかし、強風のためか、晴れているのに野鳥がまったく見当たりません・・・・・・
仕方がないので、十和田湖の美しい波を撮ってきました。


2013.4.11 子ノ口からの十和田湖
暖かな光は春が近いことを知らせてくれるようでした。


2013.4.11 御鼻部山の山中
しかし、御鼻部山~青橅山は2~3mもの雪に覆われていて、
まだまだ寒い日が続くことを実感いたしました。

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2013年03月11日十和田湖畔での現地研修会

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

3月10日に予定していた十和田湖畔での観察会は残念ながら悪天候により中止とさせていただきました。
2月28日に十和田八甲田地区パークボランティアの皆さんと観察会の下見を兼ねて十和田湖畔において現地研修会を行いましたので、その際の報告をいたします。


この日案内してくださったのは、地元でアウトドアガイドを行っている丹羽裕之さんです。


研修会では宇樽部(うたるべ)地区をスタートした後、御倉半島(おぐらはんとう)の縦走を経て小島ヶ浦へ下りるコースを歩きました。登山道は無いので、雪上にルートを探りながらの行程です。

樹皮に残されたムササビの爪痕や雪の上のイタチの足跡、数種類の小鳥が一緒に移動する混群、結氷した湖の沖合で休むオオハクチョウ、枯れ木に発生したキノコなど、じっくりと時間をかけながら自然を観察していくと様々なものに出会います。
丹羽さんは十和田湖でかつて起きた火山活動による地形の形成とその後の植物の遷移についても触れながら、自然界における動植物の関係性をとても分かりやすく解説してくださいました。
ただ美しい景色を眺めるのでは無く、その成り立ちの過程や関連性を知ることで自然をより身近なものとして感じることができるようになります。



御倉半島の尾根からは十和田湖の中海(なかのうみ)と中山半島を眺めることができました。
十和田八甲田地区パークボランティアのメンバーは山歩きに精通した人ばかりですが、このコースを歩いた経験のある方は少ないようで、この絶景にみなさんとても感動した様子でした。
だだし、地形が複雑でコース取りが難しいエリアですのでガイド同伴での入山をお勧めします。



尾根から小島ヶ浦へ向けて下り始めると地形はなだらかになり歩きやすくなります。
初回の下見の時よりもさらに近い場所から御倉山の岩壁を見ることができ、その迫力に圧倒されました。



目的地の小島ヶ浦は雪で覆われていました。
丹羽さんのお話によれば、雪が解けると小島のような岩が点在する独特な景観を見せてくれるとのことです。


自然観察会には登山のような達成感はあまり無いかもしれませんが、自然の内面を深く知り、自分との関わりを考えさせる力があります。
今回の研修会で学んだ事を活かしながら、これからも自然の魅力を多くの方々に伝える活動をパークボランティアの方々と協力しながら進めて参りたいと思います。

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2013年02月08日冬の十和田湖畔を歩く

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

3月10日に開催予定の冬の観察会に向けて、コースの下見に行ってきました。

この日歩いたのは十和田湖畔の宇樽部キャンプ場(冬期閉鎖中)から御倉半島の付け根周辺にかけての湖畔沿いや旧国道です。
旧国道は冬期閉鎖され雪に覆われていますが、十和田湖の展望所の一つである瞰湖台(かんこだい)を訪れる人が度々歩いている模様で、スノーシューの跡が見られました。

宇樽部キャンプ場付近からは旧国道をそれて湖畔沿いに出ました。積雪は1m程で、雪面に飛び出たブッシュの間を通り抜けながら進みます。登山道の有る無しに関係なく、地形を考えながら自分でルートを選んで歩けることがスノーシューやスキーの魅力の一つです。


湖の奥に見えているのが御倉半島です。半島にそびえる御倉山(689.9m)は約7000年前の火山活動によって出来た溶岩ドームで、周囲を湖と断崖絶壁で囲まれた、まるで自然の要塞の様な姿です。この地形的な特徴が人の立ち入りを制限してきたことから、原生的な自然の姿を現在に至るまで保ち続けており、国立公園の特別保護地区にも指定されています。


雪上のカモシカの足跡を辿りながら歩いていると、湖畔からこちらを見ているカモシカと目が合いました。


なるべく驚かせないように静かにカメラを向けてシャッターを2回切りました。
その後、カモシカはそれまで歩いていた雪の上から突如湖の中に入り、湖畔に横たわる木々を軽々と飛び越えながら走り去って行きました。
この場所で素早く逃げるためには雪の中を行くよりも、湖の浅瀬を走った方が早いという事を知っていたようです。


宇樽部から1時間半ほど歩くと、小島ヶ浦という小さな湾に着きます。

小島ヶ浦から見た十和田山

ここは御倉半島の最もくびれた部分にあたります。旧国道からやや離れた場所にあり、夏場でも獣道程度の踏み跡があるくらいなので訪れる人は少なくひっそりとしています。太古から変わらない風景を間近に見ることができる貴重な場所です。

湖畔で少し休んだ後、御倉山の岩壁を眺めるため小さな尾根の上に登ってみました。


この日、最も御倉山に近づけたポイントです。木々の葉が落ちていることで、このように岩壁の様子をはっきり見ることができました。そもそもヤブの無い今の時期でなければ、ここまで来ることは恐らくできなかったと思います。この山の上には一体どんな世界が広がっているのでしょうか。想像をかき立てられます。


今回歩いて気がついたことは、独特な雰囲気を醸し出す御倉山をはじめ、この周辺の地形と地質はとても変化に富んでいるということでした。
小さな尾根や湾、周囲を取り囲むような不思議な形をした崖など、かつての活発な火山活動を想像させる地形に度々出くわしました。これらの地形的な特徴は地図や文献を眺めているだけでは想像し難いですが、実際に現地を歩いてみると非常によく分かります。
場所によって次々に変わる風景と高い自然度を満喫できる非常に面白い観察会コースでした。


※3月10日の観察会では、今回と同じような行程を歩く予定です。詳細につきましては、東北地方環境事務所ホームページ等でお知らせいたします。

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2013年01月25日水鳥の糞便調査

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

十和田自然保護官事務所では野鳥における鳥インフルエンザの発生を早期に発見するため、管内の定期的な巡視とウイルスへの感染を調べるための水鳥の糞便調査を行っています。

調査は主に冬場に行いますが、この時期に水鳥の糞を見つけるのはなかなか大変な作業です。
雪が降っている状況では糞がすぐ雪に埋もれてしまいますし、湖が凍り始めると水鳥たちは氷の上で休むため岸まで来なくなってしまうからです。

この日は水鳥が多く集まる十和田湖畔の2箇所で調査を行いましたが、二日連続で好天に恵まれていたため絶好の採取日和となりました。
カモ類の姿はあまり見られませんでしたが、桂ヶ浜でオオハクチョウの糞を採取することができました。

桂ヶ浜から見た十和田湖


採取の様子

採取した糞は密閉した容器に入れられ、検査機関に送られます。

宇樽部地区の桟橋でも調査を行いましたが、糞は発見できませんでした。
桟橋周辺ではすでに結氷(けっぴょう)が始まっており、水鳥達はかなり沖合にいる様子でした。

宇樽部地区からみた十和田湖

昨年十和田湖では24年ぶりの大規模な結氷が話題になりましたが、今年は昨年を上回るペースで結氷が進んでいる模様です。
今後の冷え込み次第では、今年も壮大な結氷が見られるかもしれません。

昨年の十和田湖結氷の様子

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2012年11月29日冬になりました

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 先日の朝、十和田湖畔もすっかり雪景色となりました。
 22日には周辺道路も冬期閉鎖に入り、雪と氷の季節の始まりです。そんな十和田湖の現在の様子をお伝えします。


恵比寿大黒島と越冬のために北から渡ってきたオオハクチョウ。現在約20羽ほど確認されています。



左手に南八甲田が見えていますが、すっかり真っ白です。右手の少し高いところが十和田湖外輪山の御鼻部山。御鼻部山には道路沿いに展望所があり、十和田湖がクルミ型をしていることが一番よく見える場所となっています。ここへ行く道路は冬期閉鎖となってしまいましたので、来年の4月23日までその景色はおあずけです。道路冬期閉鎖の詳細はこちらをご覧下さい。http://www.koutsu-aomori.com/Road/HakkodaMain.html (青森みち情報)


 冬の楽しみと言えば、他の時期には中々見ることができない、雪の上に残された動物たちの足跡です!
 巡視で面白いものを見つけたのでご紹介します。


 桟橋の縁にあったもので、鳥が羽ばたいた時の跡です。写真の下から上に向かって移動しています。写っていませんが羽の跡の後ろには足跡がありました。ということから、「桟橋の縁を歩いていた小鳥が赤丸地点で飛び立ち、雪面すれすれに黄丸地点まで移動。いったん着地し方向転換後また飛び立った。」と、推測することができます。ちなみに黄丸地点には糞もありました。
 他にもタヌキ、カモシカ、リスの足跡を見ることができました。特にタヌキはあっちへふらふらこっちへふらふらと歩いているのがわかり、行動を想像するのが楽しいです。冬は他の季節以上に、その地域に住む生き物(特に哺乳類)の存在を実感できます。


 そろそろ車の運転も冬仕様に切り替えないといけないですね。急ハンドル・急ブレーキ・急アクセル、気をつけましょう・・・。

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2012年11月21日第2回目 蔦野鳥の森歩道整備

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 十和田湖では昨年より3日遅い11月18日に雪が積もり、とうとう冬がやってきました。その約2週間前、蔦野鳥の森の秋の歩道整備を行いましたので報告致します。

 この作業は今年度から新たに始めたもので、年々歩道の傷みが進み少人数では手が回らなくなった整備を、十和田八甲田地区パークボランティアの方達の助けを借りて大人数で定期的に行おうというものです。1回目は5月17日の雪融け後、歩道にはみ出したり雪の重みで落ちてきたりした枝や倒木、ササ等の除去、側溝さらい等を行いました。詳しくはその時の日記をご覧下さい。
http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2012/05/1634.html

 2回目となる今回、秋の歩道整備は落ち葉かきを中心とし、春に設置した案内杭の撤去と、春の作業で時間が無くてできなかったぬかるみの対処を行いました。

 1回目と違い、あいにくの雨模様。昼前には降ってくるという予報でした。また今年は紅葉が例年より10日ほど遅く、予想していたよりも葉が残っており、これからまだ落ち葉が積もってしまうため、必要最低限の作業のみを行って昼までに終わらせることにしました。

 今回も十和田八甲田地区パークボランティアの方達に協力して頂き、総勢17名での作業。2班に分かれて沼めぐりの小路(周回コース)の両端から攻めていきます。だいたい中間に位置する長沼で合流したのち、沼めぐりの小路の真ん中を通る野鳥の小路を通って終了です。
 前回側溝さらいに大変な手間がかかってしまったので、今回は前回行った箇所の簡単な補修と、板の目詰まり解消、水が抜けやすいよう出入り口部分の泥の除去を行うだけにしました。歩道に溜まっている落ち葉は、階段の隅や泥が溜まりやすくなってしまう箇所などを重点的に取ってもらい、併せて水が歩道内に溜まらないよう逃がす道を作り、ぬかるみ対策としました。帰りは全員で野鳥の小路を、案内杭を外しながら戻り、予定通り昼頃終了となりました。


落葉かき

 側溝の補修


 今回は落ち葉の状況と雨天を考慮し、作業を簡単なもののみとしたため、時間通りに全ての工程を終了できました。回数を重ねるごとに作業にも慣れ、また定期的に実施することで毎回の作業量も少なくなると予想されるので、今回のような半日の作業が今後定期的にできたらと思います。

 次回は春。側溝さらいを中心に、効率的な作業方法と手順を検討していきます。


おまけ
作業を終え事務所に帰ってくると、良い感じに葉っぱがくっついていました。

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2012年11月09日晩秋の晴れの日

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 5日。晴。
 自然公園財団十和田支部主催(東北地方環境事務所後援)の十和田湖船上観察会が行われました。遊覧船に乗って十和田湖を一周するという何とも贅沢な観察会です。大変人気のある観察会のため、今年から季節ごとの年4回行っております。約4時間の遊覧で、希望者には1000円で日本の駅弁ベスト30の大館市の「花膳鶏飯弁当」が食べられます。もちろん私は毎回食べます。楽しみの一つです。

 四季の中でも、秋は特に訪れる方の多い季節。遊覧船とタイアップした企画のため繁忙期を少しずらして行うのですが、今年は紅葉が遅れ気味。例年であれば名残紅葉なのですが、見頃まっただ中の観察会となりました。しかも数年ぶりのきれいな紅葉!赤がよく出ています。十和田湖に来て4度目の秋ですが、一番きれいでした。
 この好条件の中、参加者、スタッフ、遊覧船関係者等も含め総勢約180名。人数過去最多を記録しました。




 午前中はまだ雲が目立っていましたが、午後にはすっかり晴天!約1週間ぶりです。そして予報ではまた1週間雲に覆われるようです。


 こんな日に活動が活発になるのは生き物共通なのでしょうね。子クモが糸を長く出して風に乗せ、その糸にくっついたまま風まかせに飛んで移動する「雪迎え」(雪が降る前に多く見られることから)やその糸だけが空中を漂う「遊糸」、綿のような蝋物質を身にまとい、ふわふわ白い雪または埃のように飛ぶアブラムシの仲間の「雪虫」(こちらも雪が降る前に多く見られるそう)などがたくさん、午後の日に照らされきらきらと湖上を渡っていきました。黄金色の山となめらかな湖面、そこに挟まれて細かったり粒だったりの光が流れていく様は、とても幻想的でした。


埃っぽく見えるのが「雪虫」。クモの糸も混じっているはずですが、うまく写せませんでした。



 観察会が終わったあとは、そのまま休屋の巡視を行いました。そこでボート屋が冬支度をしているところを見つけ、雪迎えや雪虫と同じ、虫も人も冬前の貴重な小春日和に厳しい冬に向けて準備をしているのだなぁと思い、昔から続いてきた変わらない自然と生き物の関係を見た気がしました。

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2012年11月02日白地山トレッキングを開催しました

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

十和田自然保護官事務所主催の秋の自然観察会として、10月20日に十和田湖の外輪山である白地山(しろじやま)で自然観察会を兼ねたトレッキングを開催しました。



白地山(秋田県小坂町)は十和田湖外輪山の西側に位置する標高1034mの山です。なだらかな山頂部分には湿原が広がり、春から夏にかけてはキンコウカなど高山植物の花も見られます。
山頂への登山ルートは何本かありますが、今回の観察会では県道2号線(樹海ライン)沿いの鉛山峠登山口(標高830m)から十和田湖外輪山を縦走して白地山を往復する約15㎞のコースを歩きました。
距離はありますが、歩道はしっかり整備されておりアップダウンも比較的少なく、のんびり歩く観察会にはぴったりのコースです。

例年よりも紅葉は遅れていましたが、標高の高い所では色づき始めていて、緑から黄色へと葉の色を変えるブナ林に、ナナカマドやウルシが赤い色を添えていました。




コース中には十和田湖が展望できる場所が数カ所設けられており、展望台に立って十和田湖を眺めると、この湖の不思議な形が形成された過程を想像することができます。


十和田湖は二重カルデラ湖というカルデラ湖の中にさらにもう一つのカルデラ湖ができたとても珍しい形の湖です。ちなみにカルデラとはスペイン語で「鍋」や「釜」を意味し、火山活動による爆発や陥没によって凹んだ地形のことです。この窪地に水が溜まったものをカルデラ湖と呼びます。十和田湖は面積約60k㎡の大きなカルデラ湖ですが、南岸から湖の中心に伸びるように中山半島と御倉半島という二本の半島が突き出ています。この半島に囲まれた部分(中海)が内側のカルデラにあたり、外側のカルデラ(現在の外輪山)が出来上がった後の噴火活動によって形成されました。


登山道付近の自然に目を向けてみると、多くのキノコや植物たちを見ることができます。

キツブナラタケ(左)とナメコ(右)

特にキノコの種類はとても豊富でした。上の写真はキツブナラタケ(通称サモダシ)とナメコですが、面白いことに同じ倒木に発生していました。通常はナメコの方が遅い時期に生えてくるのですが、今年は暖かい日が続いていたためにサモダシの発生が遅れ、急に冷え込んだタイミングで同時に生えてきたものと思われます。

一般的には食べられるキノコばかりに興味が注がれますが、自然界においてはどんなキノコも有機物の分解者という大切な役割を担っているので、人が利用しないキノコ達も観察会では立派な主役になります。この日はツキヨタケ、クチベニタケ、チシオタケ、ツリガネタケ、ウスキブナノミタケなどを見ることができ、見分け方や生態的な特徴について観察しました。
普段あまり意識することの無い「食べられないキノコ」のことも知り始めると、観察対象が一気に広がり山歩きの楽しみも増えます。


キノコに夢中になっているとつい足下ばかりに気をとられてしまいますが、登山道沿いではイチイやヤシャビシャクといった植物も見ることができました。イチイはオンコとも呼ばれ彫刻材によく用いられる針葉樹で、十和田湖周辺では標高1000m付近に自生しています。庭木などでも良く見かけますが、直径50~60㎝に成長した古木の姿はとても迫力がありました。

ヤシャビシャクはスグリの仲間で、ブナの大木のウロ(樹洞)などに着生するため、生育するには巨木の存在する自然豊かな森が必要です。樹上に生えているので気付かれないことが多く、今回の観察会で初めて見たという方も多かったようです。注意深く探してみると、登山道沿いだけでも割とたくさん見つけることができました。

ヤシャビシャク


今回の観察会では、自然の美しさをただ眺めるだけでなく、十和田湖周辺の豊かな自然の成り立ちを地形的な特徴や生態系の仕組みを理解しながら学ぶことができました。
見るだけではなかなか知ることの出来ない自然の摂理を、ボランティアスタッフなどの解説を聞きながら分かりやすく学べるのが自然観察会の魅力の一つです。
「知っているようで実は知らなかったこと」に焦点をあて、地域の自然に対する興味が深まるような観察会をこれからも企画していきたいと思います。

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