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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

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2012年10月24日秋の自然体験プログラムが開催されました

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

10月14日に酸ヶ湯キャンプ場とその周辺で酸ヶ湯集団施設地区運営協議会による「紅葉の酸ヶ湯で楽しむ秋の自然体験プログラム」が開催されました。

酸ヶ湯周辺の自然散策をはじめ、イベントならではのユニークな野外料理体験やネイチャーゲームなどを行いましたので、いくつかのプログラムについて報告いたします。

【酸ヶ湯温泉の源泉で温泉料理に挑戦】
酸ヶ湯温泉の源泉井戸を特別に使わせていただき「鶏肉のコンフィ」を作りました。
コンフィとは70℃程度に暖めたオイルで肉や魚を長時間加熱する料理です。温度が高過ぎると肉がパサパサになってしまうため、温度管理が難しい料理ですが、源泉は常に一定の温度(約75℃)を保っているため、コンフィ作りには最適です。
作り方はとても簡単で、あらかじめ下味を付けておいた鶏肉を食品保存用バッグにいれてオイルで満たし、袋ごと源泉に入れて2時間放置するだけです。



出来上がったコンフィ

表面に軽く焼き目をつけて食べるのがおすすめですが、このままでもおいしく食べられます。ムネ肉とは思えないほど柔らかくてジューシーでした。

【地獄沼や東北大学植物園の自然散策】


酸ヶ湯温泉のガイドである浜部さんに案内していただき、酸ヶ湯周辺の紅葉を楽しみました。浜部さんはブナの木にまつわる話や紅葉のメカニズムなどを、とても分かりやすく解説してくださいました。紅葉のピークまではあと少しという状況でしたが、ウルシやカエデなどはとても綺麗に色づいていました。

【落葉で燻製作り】
各自の持ち寄った肉や魚を材料に、ダッチオーブンを使って熱燻を作りました。一般的に熱燻には木製のスモークチップを利用しますが、今回はキャンプ場の周りで拾ったブナの落葉と、事前に十和田自然保護官事務所前で集めたホオノキの落葉をスモークチップ代わりにしてみました。


協議会のイベントとしては初の試みでしたが、食材は見事に飴色に色づき、燻製ならではの芳醇な味わいを楽しむことができました。参加した方からは「ホオノキの香りがすごく良かった」などの声が聞かれました。木の葉を見たり触ったりするだけで無く、味覚や嗅覚を使ってブナやホオノキの葉の特徴を感じることができたのではないでしょうか。
今後はさらに樹種を拡大させて、香りが特徴的なカツラやオオバクロモジなどでも試してみたら面白そうです。

【ネイチャーゲーム】
地図とコンパスを使って宝さがしをするネイチャーゲームを行いました。コンパスの使い方は南北を示すだけと思われるかもしれませんが、熟知すると地図上で現在地を割り出したり、目的地を目指すこともできる便利な道具です。
登山用のコンパスには触れたことが無い方がほとんどでしたが、使い方を学びながら、全員がキャンプ場のあちこちに隠された宝物を発見することができました。




○今年度の活動を終えて
十和田自然保護官事務所では協議会事務局として、酸ヶ湯を拠点に子供から年配の方まで誰でも気軽に自然の中で楽しめるイベントを企画・運営して参りました。
今年度も夏のキャンプと秋の自然体験プログラムを実施し、たくさんの方にご参加いただきました。
これからも自然の中でのアクティビティを通して、郷土の自然の大切さと素晴らしさを伝えていきたいと思っています。

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2012年10月23日秋便り

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 十和田湖も例年以上に残暑が厳しかった9月。もういい加減にしてくれと思い始めた21日から一気に寒くなりました。
 そこからもう1ヶ月も経ってしまったのですね。すでに自宅はストーブフル稼働、事務所のペレットストーブも始動しました。



 さて、現在の十和田湖の様子ですが、例年より遅れていた紅葉もやっと全体的に色がつき始め、そろそろ見頃を迎えそうです。


20日に行われた十和田湖西側の外輪山、白地山観察会より、展望所からの眺め。



 

 キンクロハジロなどの冬鳥の姿もすでに確認されていますが、まだまだ南へ下っていく途中の先発部隊。すぐにいなくなって鳥相がころころ変わっています。



 湖ではヒメマスやサクラマスといったサケ科の魚の遡上がピークを迎えています。
 十和田湖を代表する魚「ヒメマス」は、明治36年に和井内貞之によって十和田湖での養殖に初めて成功した魚です。サケ科の淡水魚で、食卓でおなじみのベニザケ(紅鮭)が湖で成熟するようになったもの(陸封型)です。産卵の時期になると生まれた川に戻ってくる回帰性を利用して、十和田湖の秋田県側の玄関口、和井内において孵化事業が行われております。現在孵化場では採卵作業が行われており、そこで受精された卵を孵化、5cmほどの稚魚になるまで育て、6月頃十和田湖へと放流します。そして3年後の今時期、成魚となってまたこの孵化場へと帰ってくるのです。
 今回特別に採卵作業の様子を見せてもらいました。明治の頃四苦八苦した和井内氏の努力の成果が今に息づいているのかと思うと、ただただ感動してしまいました。



ヒメマスのメス



採卵の様子

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2012年08月20日井戸岳植生復元作業

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

八甲田大岳・井戸岳植生復元協議会による井戸岳植生復元作業が8月11日に行われ、植生調査や杭の打ちなおし作業に十和田八甲田地区パークボランティア、青森県自然観察指導員連絡会、青森県自然保護課、環境省十和田自然保護官事務所から13名が参加しました。

井戸岳は北八甲田の最高峰である大岳の北隣にあるピークです。
この井戸岳の南斜面では昭和40~50年代にかけて登山者の増加により、多くの高山植物が踏みつけによって失われてしまいました。
その後、昭和60年頃から青森県により大規模な植生復元事業が行われ、現在はその維持管理を中心に土留め板や植生マット等の復元施設の設置と経過の観察を協議会が行っています。


植生調査の様子

調査用の区画に生えている植物の種類を判定しているところです。地面から芽を出したばかりの植物を見極める作業はなかなか困難で、熟練したボランティアの方が中心になって行っています。
調査を開始して今年で5年目になりますが、毎年少しずつ植物が増えていることが確認されています。

植生マットの上に進出しはじめているガンコウランやコメバツガザクラ



昭和60年の井戸岳南斜面の様子
これは今から27年前の井戸岳の写真です。歩道整備が行われた直後で、斜面の中間部分では裸地化が目立っています。


平成24年8月11日の井戸岳南斜面の様子
歩道周辺の植生が回復しているのが分かります。
※写真左側の裸地は、元々の地形や気候条件などの自然的な影響によるものであるため、本復元事業の対象外になります。

これまでの復元作業を通して感じたことは、回復の困難さとメンテナンスの重要性です。
裸地化した急斜面ではせっかく芽を出した植物も土砂と一緒に流れてしまい、なかなか根を張ることができません。したがって土壌を安定させることが回復のための非常に重要な条件になります。土留めの板や植生マットで土壌の安定を図りますが、環境条件が厳しく一冬で損傷してしまうこともよくあります。
ハイマツやミヤマヤナギなどによって土壌がしっかりと抑えられ、土留め板が不要になるまでメンテナンスを継続させていきたいと思います。

高山植物は一度失われてしまうと、回復するまでに非常に長い年月がかかります。山を歩く際は歩道以外には立ち入らないようご協力お願いいたします。
八甲田の素晴らしい自然をこれからも大切にしていきましょう。

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2012年08月09日酸ヶ湯グリーンキャンプが開催されました

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

酸ヶ湯集団施設地区運営協議会主催の「八甲田の自然を満喫!酸ヶ湯グリーンキャンプ」が7月28~29日に八甲田の酸ヶ湯キャンプ場で開催されました。

同協議会によるキャンプイベントは酸ヶ湯キャンプ場を拠点に八甲田の自然を楽しんでいただく目的で毎年開催されています。

1日目はテントの設営や炊事体験を通してキャンプの基礎を学ぶと共に、周辺のブナ林と東北大学植物園の散策を行いました。
7月下旬ということで花の数はだいぶ減っていましたが、解説を聞きながら時間をかけてゆっくり歩いていくと、クモキリソウやツルコケモモなどの花を見ることができました。

クモキリソウ

炊事体験のメニューはダッチオーブンを使った豪快な煮込み料理とキャンプ定番のカレーライスです。
日常ではなかなか経験できない火起こしや野外での料理に、参加した皆さんはとても楽しんでいました。



2日目は毛無岱(けなしたい)ハイキングに行く班と、田代平湿原とグダリ沼を散策する班に分けて行動しました。
毛無岱は八甲田山の標高1000~1200m付近にかけて広がる高層湿原で、ちょうどキンコウカが一面に花を咲かせ、一帯は金色に染まっていました。
また、足下をよく観察してみるとトンボソウやモウセンゴケの花もかわいらしい花を咲かせていました。

キンコウカ


毛無岱

田代平湿原とグダリ沼は八甲田の北側の高原地帯にあります。
この一帯にはかつて巨大なカルデラ湖があり、広大な平地は当時の湖底の名残です。
田代平湿原やグダリ沼も高山植物の見所で、北八甲田の高山帯とは少し違った種類の花や独特の開放的な雰囲気を楽しみました。

田代平湿原

キャンプ場を利用しながらゆっくりと時間をかけて自然を楽しむことで、これまで気にかけてこなかった小さな動植物の存在や樹木の分布の違い、空の色や雲の形など、多くの自然の事象に気がつくことができました。
日帰りではなかなか知ることのできない八甲田の魅力というものをより多くの方に体感していただけるよう、今後もこのようなイベントを継続させて行きたいと思います。

なお、10月にはキャンプ場を利用した日帰りのイベントを計画しています。
昨年は酸ヶ湯周辺の自然散策とダンボールを利用した燻製作り、酸ヶ湯温泉の源泉での温泉卵作りなどを行いました。
今年もまた新しい取り組みを交え、誰でも楽しめる気軽なイベントを企画しますので、どうぞご期待ください。


酸ヶ湯キャンプ場やイベントについての情報はこちらからもご確認いただけます
http://www.sukayu.jp/camp/news.html

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2012年06月22日白い花のあとには

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 5月終わりから咲き誇る小さな白い花シリーズ。その終盤に咲き始めるのは、日本で一番大きな白い花のホオノキです。

 大きいためすぐに見つけられそうなものですが、高い位置にしかも上向きに咲くため、中々下から見上げるだけでは見つけにくく、花の匂いや上からの落とし物(花びら、おしべ)で咲いているんだなぁと気づくことが多いです。

 ホオノキの花を見るには、木が高すぎなかったり、視界を遮るものが無かったり、あるいは木よりも高い位置から見下ろせる場所であったりと、様々な条件が必要です。

 そんな条件を満たしつつ、かつ手軽に毎日見られる、そんなホオノキの花観察の最高の立地、それが十和田自然保護官事務所です。木を見下ろせることはないのですが、事務所の窓から双眼鏡でいつでもチェック可能です。

 今年は開花が早く、4日から咲き始め、先週をピークにそろそろ終わりを迎えそうです。一番手近に咲いていたホオノキの花。ちょっと失礼して中を拝見。


 大きな花びらの中に先が赤い、マッチ棒のようなものがたくさんこぼれていますが、これがホオノキのおしべです。真ん中にでんとあるのがめしべ。ホオノキは開花してから1日ごとに雌花→雄花→開花終了と雌雄が変わる樹木なのですが、開花初日のめしべが開いている状態は中々目にする機会がありません。
 
 毎年ホオノキの開花には気をつけているのですが、いい場所に咲いているものでも、気付けば開花2日目のおしべが開いている状態になっているものばかり。ちなみに写真は、3日目以降、おしべが落ちている状態のものです。

 立地は良くても写真に撮りやすい場所に咲いてくれるかどうかはホオノキ次第。来年こそは、と毎年思います。





 そして6月の蔦野鳥の森瓢箪沼といえば!蔦野鳥の森見所の一つ、木の上に卵を産むことで有名なモリアオガエルの産卵シーズンです。早い個体では7日に卵塊がありましたが、今がピーク!沼の脇の樹木には泡状の卵塊が鈴なり状態です。


 21日の巡視で、なぜか瓢箪沼脇の地上に落ちていたモリアオガエルの卵塊の切れ端?を発見。上を見ても樹木はなく、なぜこんなことになっているのか?
 卵をよぉく見ていたところ、何かうごめいている…。孵化している?!

 小さな小さな、まだ黒い色にもなっていない、白色透明なオタマジャクシが何匹か孵化していました。黒い卵はそのまま黒いオタマジャクシになりますが、モリアオガエルの白い卵からは白色透明なオタマジャクシが生まれるのですね!

 泡の中から黒いオタマジャクシが出てくるのを見たことがあったので、卵が白くてもオタマジャクシは黒いのだなと思った記憶がありましたが、なるほど。
 きっと白いお腹にある栄養を使って泡の中で成長し、ある程度大きく黒くなったら、泡から出て水中生活を始めるということなのでしょうか。

 大きくなると言っても、泡の中から出てきたオタマジャクシは指の爪に乗る程度でしたが…。

 カエルになるって大変。思わずそんなことを思ってしまう出会いでした。


おまけ



 同じ日の巡視で、奇妙なエゾハルゼミを発見。

 …お腹がない? え?

 死んでいるのかと思ったら動きました。しつこく撮影していたらゆっくりですがカメラから逃げるように枝の反対側に回ったり上ったり。あんまりその状態で追いかけ回すのも申し訳なかったので、名残おしくなりながら撤退。

 事務所で調べてみると、蝉の雄の腹の中は、音を反響させるために空洞らしく、取れても動く…らしいですが、じゃぁこのエゾハルゼミに一体何があったのか…


 不思議に出会える、雨の蔦野鳥の森…。

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2012年06月01日緑と白

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 6月に入り、十和田湖の新緑も深い緑に変わっていき、ニリンソウが終盤にさしかかってくる頃となりました。森の中では夏を先取りしてエゾハルゼミの大合唱が響き渡ります。木々の下では白い可憐な花々が次々咲き出しています。



休屋 御前ヶ浜の林内に生えるチゴユリ(6/1)



同じ場所 チゴユリと葉の形が似ていますが、つぼみのように見えてこれで開花しているホウチャクソウ(6/1)



 他にもクルマバソウやマイヅルソウ、アジサイに似たオオカメノキの花や、トチノキ、ナナカマドなどの樹木の花など、みんな白の小さい花たちです。小さくて同じコントラストのため目立ちませんが、じっくり見てみて下さい。同じ白い花でも、種類によって様々な形をしていてとてもかわいらしいですよ。




おまけ。蔦野鳥の森にて 5/24。
 羽化したばかりで乾き待ちのエゾハルゼミ。

 こちらも白と緑のコントラストが美しいです。

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2012年05月22日蔦野鳥の森歩道整備

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 5月も半ばになると、蔦野鳥の森の歩道の残雪もあらかた無くなってしまいます。そこでグリーンシーズンに向けた歩道の整備を、十和田八甲田地区パークボランティアの皆様と行ってきました。快晴に美しい新緑という絶好の作業日和の中、十和田自然保護官事務所の人数も入れ、総勢30名での作業となりました。


 作業内容は①側溝の泥を除去する側溝さらい、②雪融け水がたまっている箇所の水抜き、泥道の応急処置、③歩道上に落ちている枝や倒木の除去、繁茂したササ等の刈り払い、④歩道周辺のゴミ拾いの4つです。作業ごとに班分けをし、さらにその中で沼めぐりの小路班と野鳥の小路班に分かれてもらい、各々の資材を持って出発です。

作業の様子(左上:側溝さらい、右上:倒木処理、左下:ササ刈り払い、右下:ゴミ拾い)



歩道上に茂ったササの刈り払い(上:作業前 下:作業後)
ササが生い茂って歩道がほとんど隠れているような道だったのですが、すっきりと見えるようになりました。




 実は今回、パークボランティアの協力を得た歩道整備は初めての活動でした。今まではアクティブレンジャーや管理員さんが少しずつ手をかける程度であったのですが、年々歩道の傷みが進んだため、定期的にある程度の人数で整備を行うこととなったのです。1回目ということで試験的な部分もあり、資材の不足や作業量、やり方など不備が多々ありましたが、経験豊富なパークボランティアの方達のおかげで一通りの作業を進めることができました。ありがとうございました。今までかゆかったところに手が届き、とてもすっきりです。時間の関係もあり、全行程ですべての作業を終わらせることはできませんでしたが、これから継続的に同様の作業を行う予定ですので、パークボランティアの方々にはやれる範囲で少しずつご協力頂ければと思います。

 これで観光客の皆様にも、すっきりとした歩道を歩きながら蔦野鳥の森の自然を楽しんで頂ければいいなと思います。


 次回は、落ち葉が積もった冬直前の11月に行います。それまでに今回の作業で必要となった資材を購入し、作業の進め方を検討、より効率よく作業が行えるように準備したいと思います!

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2012年05月15日ブナの森での小さな変化

十和田八幡平国立公園 十和田 嶋村 道

八甲田にもようやく春が近づいてきました。
5月11日の酸ヶ湯周辺の積雪は約1.5m。
つい一ヵ月前まで4mを超える積雪があったことがうそのようです。

場所によっては地面が見えている所もあります。
ブナの周りの雪が溶けてぽっかりと穴が空いていました。



これは「根開き」と言って、日光で暖められた樹の幹が周りの雪を溶かす現象です。
まるで木の体温で周りの雪が溶けているようですね。

酸ヶ湯周辺のブナの新緑はまだ見られませんでしたが、一足先にナナカマドが葉を広げていました。



この緑の葉をつけている植物はブナの枝ではなく、ブナのウロ(樹洞)に着生(※)したナナカマドです。
なぜこの樹だけ周りのブナよりも早く芽を出すことができたのでしょうか?
初めは、「樹種が違うから」と単純に考えましたが、ブナの根開きを見て「ブナの幹の周りは暖かいのかもしれない」ということに気がつきました。

ブナのウロにはこの他にもヤシャビシャクというカシスの一種も着生しますが、このヤシャビシャクもブナの枝より早く芽を出します。
ブナが葉を広げる前のわずかな時間を利用して、日の光をいっぱいに浴びようとする着生植物達の工夫なのかもしれません。

※着生:樹の幹や岩など土壌以外の場所にくっついて生育すること。宿主から養分をもらう「寄生」とは異なる。

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2012年05月14日一気

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 例年に比べ雪が多く中々融けなかった十和田湖ですが、さすがにGWが近づく頃になると暖かい日射しに雪もあっと言う間に消えていき、そしてあっと言う間に季節が進みました。

 いつもならば順番に咲いていく花々も遅れを取り戻そうと一気に開花。芽吹いたばかりの木々の新芽も日に日に色を変えていき、赤や黄、黄緑などで山が彩られていきます。秋とは違った山の色づきを、このあたりでは「春もみじ」と言うそうです。

 秋の紅葉は山の上から段々下がっていきますが、春もみじは里から山の上へ緑が上がっていきます。新芽が芽吹きだして葉が開く段階で色が変わっていくので、見るたびに山の表情が変わり、春を喜ぶ木々の躍動を感じます。


 日曜日に行われた自然公園財団十和田支部主催の「新緑の十和田湖ぐるっと!船上観察会」にスタッフとして参加し撮影したものです。

 一昨年から年2回(7月・11月)行われていたのですが、好評につき年4回(春・夏・秋・冬)に増え、今回初めての春のクルージングです。3日前から連続雨で気温が低かったのですが、当日は待ちに待った晴れ!蕾で待機していたサクラたちも一気に花開きました。

 今回も参加者は多く、新緑の眩しい外輪山と真っ青な十和田湖、所々にアクセントとなって際立つヤマザクラなどの春もみじはもちろんのこと、船からでしか見られないカルデラ湖らしい岸壁の荘厳さなども堪能されたようでした。





 蔦野鳥の森も新緑真っ盛り。まだまだ見頃です。ただし雪融け水で足下がぬかるんでいますので、散策される際は汚れてもいい靴や長靴をオススメします。

5/11撮影

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2012年04月20日蔦と十和田湖の春

十和田八幡平国立公園 十和田 種村 由貴

 まだ肌寒い時もある十和田八甲田地域ですが、あちこちでどんどん雪が溶けその隙間から約4ヶ月ぶりの土が見えてきました。待ってましたとばかりにそこからのぞき出す植物もどんどん見えています。



蔦野鳥の森のミズバショウ

 まだ仏炎苞(ぶつえんほう:特徴的な白い葉のこと)が開いているものは少なかったですが、あっという間に大群落になるでしょう。



十和田湖畔のキクザキイチゲ(キクザキイチリンソウ)

 日当たりの良いところではお花畑になっていました。
 青、青紫、白・・・微妙な濃淡の違いで一つ一つ色が違います。



静かな湖畔ではカワウが休憩中。カワウのあくびの瞬間を初めて撮りました。



 春の陽気で微睡むにはまだ寒かったですが、イワツバメが集団で飛来し、オシドリも数多く見られるようになりました。桜はまだまだこれからですが、観光シーズンの到来です。十和田八甲田地域にお越しの際は、まだ道路に通行止めの区間もありますので、事前に道路情報をご確認下さい。また、ゴールデンウィークを過ぎるまでは天候によってなごり雪が降る可能性が あります。夏タイヤに交換済みの方は天気予報に注意してください。

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