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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

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2013年08月22日第三回井戸岳植生復元作業

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 事務所のある十和田湖周辺でもだいぶ夏らしく暑くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、8月17日に青森県自然観察会指導員連絡会、十和田八甲田地区パークボランティアの方々総勢10名で三回目の井戸岳植生復元作業をおこなってきました。
 平成17年から20年にかけて設置した12の調査区で毎年調査をおこなっており、今年は立っているのもやっとの風の中での作業となりました。植物同定ハンドブックというものを作成して植物の同定をおこなっているのですが、パークボランティアの方々も悪戦苦闘されていました。


このように体勢を低くしていないと立っていられない程の風でした。

 過去の結果と比較すると、植生が増えている調査区もいくつか見られます。一方で、場所によってあまり変化のない調査区も見られます。これは井戸岳が地形的に強風にさらされるため乾燥化も激しく、植物が発芽するには厳しい環境ということ加え、冬場には土壌が凍る「凍土」という地面が盛り上がる現象によって、植物はなかなか根を張ることも難しい状況が影響を与えているのかもしれません。

左上→平成21年の調査区a
右上→平成21年の調査区b
左下→平成25年の調査区a
右下→平成25年の調査区b

 そんな厳しい環境の中での植生復元の効果を出すには、時間もかかると思いますが、関係機関の方々と試行錯誤しながら、今後も作業を続けていきたいと思います。

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2013年08月06日第二回井戸岳植生復元作業

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 第一回目と同様あいにくの空模様となってしまいましたが、7月31日に青森県自然保護課、自然公園財団十和田支部、十和田八甲田地区パークボランティアの方々総勢11名で二回目の井戸岳植生復元作業をおこなってきました。

作業打合せの様子

 今回は平成23年に設置した実験区での植生調査となりました。実験区はA、B、Cの3種類あります。Aについては、1m四方の矢板で囲み、さらに植生マットを敷いたもの、Bについては、1m四方の矢板のみ、最後にCについては、植生マットのみとなっています。植物に詳しいパークボランティアの方々でさえ、同定にだいぶ苦戦されていました。

写真右上→実験区A
写真左上→実験区B
写真左下→実験区C
写真右下→作業の様子

 昨年の結果と比較すると、植物の種類や量がわずかに増加しています。実験区については、始めたばかりで検討することも色々とありますが、皆で知恵を出しながら井戸岳の植生が戻るよう長い年月をかけて取り組んでいけたらと思っています。久しぶりに作業に参加された方によると、植生がだいぶ戻ってきているとのことでしたので、今後もこういった作業続けて緑溢れる井戸岳となるよう皆さんと協力していきたいと思います。
 8月10日には3回目の植生復元作業をおこなう予定となっています。次こそは、青空の井戸岳を眺めながら作業ができることを期待しています。

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2013年07月22日オオハンゴンソウ駆除作業

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 7月18日にオオハンゴンソウの駆除作業を昨年と同じ宇樽部地区でおこないました。当日は、様々な関係機関の方々と以前五十嵐アクティブレンジャーが環境学習をおこなった地元十和田湖中学校の生徒職員の方々総勢41名にご参加いただきました。

地元十和田湖中学校の生徒

 オオハンゴンソウは特定外来植物に指定されており、種子だけでなく地下茎でも繁殖するため、在来植物に与える影響が大きいとされています。そこで、 環境省東北地方環境事務所では平成9年から関係機関の方々と協力して駆除作業をおこなってきました。
 今回の駆除作業ではオオハンゴンソウの花は咲いておらず、葉っぱの形が似ている在来植物のハンゴンソウ、ヨモギに注意しながら、中学生に負けないよう必死で駆除作業をおこないました。実際に作業してみると、オオハンゴンソウが辺りを覆っている姿に驚きました。


左上→花の咲いたオオハンゴンソウ(2011年十和田自然保護官事務所付近で撮影)
右上→繁茂したオハンゴンソウ 
左下→駆除前        
右下→駆除後

 トラックの荷台いっぱいのオオハンゴンソウを回収しましたが、去年に比べると半分くらいだそうです。昨年駆除作業をおこなった効果が出ているのではないでしょうか。ご協力いただいた方々本当にありがとうございました。


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2013年07月08日オオハンゴンソウ駆除作業の説明会

十和田八幡平国立公園 十和田 五十嵐 美保子

みなさん、こんにちは。
最近、雨や曇りが多い十和田です。梅雨明けはもう少しお預けのようです。

さて、みなさんは「オオハンゴンソウ」という植物をご存じでしょうか?
オオハンゴンソウはキク科の多年生草本で黄色いヒマワリのような花をつけます。また、草丈が3.0mほどまで伸びたり、種子だけでなく、地下茎で繁殖します。地下茎からはアレロパシーを放出し、他の植物や自身の種子が発芽することを抑制させる特殊能力を持った植物で、明治時代に鑑賞用としてアメリカから輸入されました。
しかし、脅威的な繁殖力を持つことから日本の特定外来生物に指定されています。


十和田八幡平国立公園では、オオハンゴンソウによって在来植生に影響が出始めているため、駆除作業がおこなわれています。
今年は7月18日(木)に行う予定ですが、地域の中学生にもお手伝いしてもらおうと、先日事前学習会をおこないました。


事前学習会ではまず、駆除予定のオオハンゴンソウを例に外来生物とはどのようなものか、それに関わる外来生物法ではどんな規制や罰則があるのか、他の地域ではどのような取り組みがおこなわれているのか、を説明しました。
また、オオハンゴンソウの駆除作業に伴い、駆除方法や駆除する際の注意事項などについてお話ししました。

外来生物は駆除するだけではなく、被害を拡大させないために予防することが大切です。
外来生物をむやみに持ち込まないこと、ペットは終生飼養すること、外来生物を他の地域に持っていかないこと、が被害を予防することにつながります。
どの生物が外来生物なのか、駆除対象になっているのかは下記を参照してください。
環境省外来生物法:http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html

【お知らせ】アクティブレンジャー写真展について
十和田ビジターセンターではいきものを題材として7月1日~7月31日まで、酸ヶ湯インフォメーションセンターでは風景を題材として7月1日~8月31日まで写真展を開催しています。
ぜひお越しください。

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2013年07月05日第一回目井戸岳植生復元作業

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 6月22日に北八甲田にある井戸岳南斜面で植生復元作業を関係団体の方々総勢18名でおこなってきました。ここ井戸岳は昭和40年~50年代にかけて登山者の増加に伴い、踏みつけ等が原因で多くの高山植物が失われました。これを踏まえて青森県が昭和59年~平成11年にかけて植生復元作業をおこなってきました。
 そして、平成17年からは青森県、自然公園財団十和田支部、十和田八甲田地区パークボランティア、環境省が中心となり、八甲田大岳・井戸岳植生復元協議会を立ち上げ植生復元作業をおこなっています。
昭和60年と平成23年を比較すると、植生復元が進んでいるのがわかると思います。


写真上→昭和60年撮影 写真下→平成23年撮影

 今回の作業では風雨と視界の悪い中、冬場に土壌が凍る「凍土」という地面が盛り上がる現象により、土留の杭が浮き上がってしまったものをハンマー等で打ち直す作業と、不要となった針金等の資材の回収をおこないました。この辺りは風が強く乾燥しやすいため、植物にとって生育環境が厳しいということを実感しました。また、一度失われてしまった植生を復元するのは大変なことだと思いました。

写真左上→杭の打ち直し作業① 写真右上→植生復元施設
写真左下→作業風景      写真右下→杭の打ち直し作業②

 7月24日には、本格的な植生調査をおこないますので、その際にはまたお知らせします。

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2013年07月05日南八甲田巡視

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 ここ南八甲田は北八甲田と比べて、登山道の整備はあまりされていないものの、原生的な風景を見ることができます。しかし、悪天候時に避難する小屋もありませんので登山の際には注意が必要です。
 今回巡視した旧道コースは、かつて観光用道路として作られましたが、一度も車が走ることなく今日に至っているそうです。目的地の櫛ヶ峰までは起伏こそ少ないものの、登山口の猿倉温泉から約9kmと長丁場です。
 櫛ヶ峰まで、途中ササや残雪で登山道がわかりづらい部分がありました。櫛ヶ峰手前の湿原でチングルマを始め多くの花々を見ると、疲れを一時的に忘れることができました。


写真左上→ササで覆われた登山道 写真右上→残雪により登山道がわかりづらい箇所①
写真左下→残雪により登山道がわかりづらい箇所② 写真右下→櫛ヶ峰手前の花畑

 そして最後の登りでは、大量の残雪に驚くとともに、雪に足を取られ大変でしたが、櫛ヶ峰の山頂からは360度の展望で十和田湖をはじめ近隣の山々をみることができました。

写真左上→櫛ヶ峰への登り      写真右上→櫛ヶ峰頂上直下
写真左下→櫛ヶ峰からの北八甲田  写真右下→櫛ヶ峰からの南八甲田

 今回の巡視では、地図の見方であったり、植物の同定とまだまだ未熟であることを痛感させられました。今後は、スキルアップを図り皆様に正確な情報発信ができるよう、日々の巡視に励みたいと思います。

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2013年06月19日残雪期の北八甲田

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 6月11日に毛無岱(けなしたい)~大岳~仙人岱(せんにんたい)経由で巡視をおこないました。晴天に恵まれ、大岳の山頂からは遠くの山々まで見渡すことができました。
これから本格的な夏山シーズンとなります。下毛無岱付近と仙人岱登山口付近では目印もありますが、登山道が雪で隠れている部分も多く迷いやすくなっていますので、登山の際には、くれぐれもご注意ください。


写真左上→湯坂からの酸ヶ湯温泉 写真右上→上毛無岱からの下毛無岱
写真左下→大岳から仙人岱方面  写真右下→仙人岱付近の登山道

 ここ北八甲田では毛無岱や仙人岱をはじめ多くの花を見ることができます。普段あまり花に興味のない私ですが、これだけ多くの花が見られると、花々の季節の移り変わりが待ち遠しいです。


写真左上→イワカガミ(仙人岱付近 写真右上→ショウジョウバカマ(毛無岱)
写真左下→チングルマ(大岳付近) 写真右下→ミヤマキンバイ(大岳付近)


 大岳から仙人岱方面へ下っていくと鏡沼があります。ここは、青森県では最も標高の高い両生類の産卵場となっており、クロサンショウウオ、メススジゲンゴロウ、モリアオガエル等が生息しています。先日、パークボランティアの方から実際にサンショウウオの卵があったと聞いています。北八甲田へ花々と両生類を見に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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2013年06月05日田代湿原ロープ張り作業

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

 6月2日(日)に青森市にある田代平湿原でPVの方々と湿原保護のためにロープ張りの作業をしてきました。晴天にも恵まれ、鳥のさえずりとカエルの鳴き声がこだまする中、気持ちいい作業となりました。

写真左上:作業説明風景 写真右上:作業風景
写真左下:ロープ設置後 写真右下:ロープ設置後

 ここ田代平湿原は八甲田山の火山活動によってできたカルデラ湖が湿性遷移の進行によって、湿原化したもので、湿原の多い八甲田山系の中でも最大の面積を誇っており、青森市の天然記念物に指定されています。
 湿原には木道が整備されており、1周約1時間程度のハイキングを楽しむことができます。所々、木道が浸水している部分もありますので、ハイキングの際にはご注意ください。


 例年ですと、5月下旬から6月上旬にかけてワタスゲの群生が見られるところですが、今年は積雪量が多かったせいか、ワタスゲがぽつぽつと見られる程度でした。これからは6月下旬頃にキンコウカが群花するそうです。また、ここ田代湿原では様々な花を見ることができますので、是非足を運んでいただければと思います。

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2013年05月30日新緑の赤沼トレッキング!

十和田八幡平国立公園 十和田 畑中 亮輔

5月19日に自然公園財団十和田支部主催の「新緑の赤沼トレッキング」が開催され、サポートで参加させていただきました。今年は例年に比べ雪が多く、道中登りにくい場所もありましたが、新緑の中素晴らしい景色を楽しむことができました。

散策風景


熱心にガイドの方の説明を聞いている参加者の方々


ここ赤沼は正面に見える赤倉岳の火山爆発によって形成されたと言われています。本州の湖沼としては一番の透明度(18m)を誇る場所で、ルリイトトンボが見られます。周囲はブナ林に囲まれ、静かでいて自然の力強さも感じることができる場所ですので、紅葉の頃の赤沼も皆様にお伝えできればと思います。 

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2013年05月21日蔦野鳥の森

十和田八幡平国立公園 十和田 五十嵐 美保子

5月16日に十和田八甲田地区のパークボランティア16名と蔦野鳥の森内の歩道点検をしてきました。蔦野鳥の森は蔦温泉の周りにある蔦沼、鏡沼、月沼、長沼、菅沼、瓢箪沼を約90分で散策できる森です。
今回の歩道点検は霧が濃い中、散策するときに危険となりやすいササや枝を払ったり、水はけが悪くなった側溝の清掃をしました。


歩道点検の説明

散策路にかかったササを払う

土が詰まった側溝の清掃

今年は雪が多かったため、雪があちらこちらに見えていたり、歩道が雪の下にあったりと側溝の清掃が難航しました。
秋に行う歩道整備では落ち葉かきを中心に今回できなかったところの側溝をきれいにしていきます。
パークボランティアの皆様、ご協力ありがとうございました。
また、秋もよろしくお願いいたします。

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