ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

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2007年02月13日昼休みの日課

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 ここのところ「暖冬」という言葉をよく聞きます。十和田湖も真冬日は数えるほどしかなく、自然公園財団の方が『十和田湖冬物語』のために作った雪灯籠も次々崩れていきます。
 そこで、私の最近の日課は昼休みに雪灯籠の修理をすることです。お昼ご飯を食べてからやっているので1日1個しかできません。崩れるのも早くてなかなか数がそろいません。でも、意外と簡単にでき、火を灯すと大変きれいです。作り方を説明します。


バケツに雪を半分ほど詰めます。


その上に穴の開いた缶を置き、さらに雪を詰めます。


上までいっぱいになったら


缶の中の雪をとり、缶抜いて


ひっくり返して、穴を開けたら


完成です。

暗くなったらコップの中のろうそくに火を灯せば・・・。


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2007年01月25日しぶき氷

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 前回、「冬の十和田湖の雪の白と湖の青の世界もなかなか神秘的でいいですよ」とお話ししました。今回はその続きで、冬の十和田湖の魅力の一つである“しぶき氷”を、自然公園財団十和田支部主催(東北地方環境事務所後援)の十和田湖しぶき氷観察会の様子と合わせてご紹介します。しぶき氷は打ち寄せた湖や川の水が岩や木などに付着してできる氷柱や氷塊で、冬の十和田湖を代表する風物詩です。


冬の十和田湖

 観察会が開かれた1月23の朝の気温は?5℃、時折薄日がさすものの雪が舞う天候でした。観察会といえば、いつもは始めに講師の方からテーマ説明があるのですが、「今日は寒いのでまず歩きましょう!!」ということで、話もそこそこに十和田湖畔の子の口から大畳石に向けて出発しました。


開会式

 講師の久末さんによると、しぶき氷は子の口から小畳石の間でよく見られるそうで、歩き出すと次々と様々な形のしぶき氷が見られました。しぶき氷はいろいろなでき方があって、それによって形が変わるそうです。写真のしぶき氷はどんなふうにできたのでしょうか?


岩についたしぶき氷


木についたしぶき氷


ツルの先にぶら下がっているしぶき氷

 参加者の中にはたくさん写真を撮っていらっしゃる方もいました。西日がしぶき氷に当たる午後が写真を撮るのに最適な時間帯だそうです。


 この日の観察会ではしぶき氷だけではなく、小畳石から大畳石の間では雪の上に様々な動物の足跡が見られました。講師の久末さんがそれぞれの動物の歩き方を実演してくれました。私もテンの歩き方の実演に挑戦しました。


タヌキの歩き方を実演中


私の作ったテンの足跡


本物のテンの足跡

なかなかそっくりに作れません。一人前のテンへの道は遠いようです。

 今年は風向が例年と違うため、岩や木にまんべんなく氷が付いていて小さいけれどきれいなしぶき氷だそうです。皆さんも一度しぶき氷を見に行ってみてはどうでしょうか? 子の口に車を止め、冬季通行止めの国道102号線を北に進むと湖畔沿いにしぶき氷が見られます。

※しぶき氷を見る際はくれぐれも足下にお気をつけ下さい。岸に水が打ち付けられ、地面が凍っているので非常に滑りやすいです。

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2007年01月22日雪像作り

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 先日、お昼ご飯を買うついでに休屋の中を歩いてみたところ、多目的広場では『十和田湖冬物語』のための雪像作りが進んでいました。今年は雪が少ないので、例年と違いどこかから雪を運んできていました。

 夏の十和田湖は見たことがあっても、冬の十和田湖を見たことがある人は少ないのではないでしょうか。『十和田湖冬物語』はそういう方のための冬の十和田湖入門編的(?)イベントです。冬は十和田湖に行けないと思ってる方が時々いらっしゃるようですが、雪の白と湖の青だけの世界もなかなか神秘的でいいですよ。


雪を枠に詰め込んでいます。


広場にできた大きな雪の直方体


縦15m、横30m、高さ10mぐらいでしょうか?

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2007年01月17日瞰湖台自然観察会

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

自然公園財団十和田支部で主催(東北地方環境事務所後援)している自然観察会に、サポートとして参加しました。
この日の観察会は、十和田湖の絶景が楽しめる瞰湖台(かんこだい)を目指すコース。昨年12月に冬期閉鎖となった国道をスノーシューで歩きました。

どんな動物の足跡が見られるかな?と楽しみにしていると、
さっそく何かが走り回った跡が。


これは、イタチの足跡だと教えていただきました。イタチはおなかを雪に引きずって歩くので、歩いた所は溝のように跡がつき、その中に小さな足痕が見えました。


自然公園財団のスタッフの方が、その溝の中に灰色の動物の毛が落ちているのを発見!きっと、ネズミか何か、獲物を追いかけ回して捕まえたのでしょうか?
さらに、雪の中にもぐったりしながら歩いた跡もありました。


穴が開いているところが雪の中に潜った入口。
出たり入ったりしながら写真の下から上の方向に進んだようです。
最後は雪の中に潜って・・・どちらへ行ったのでしょう?
雪の上の足跡をたどっていくと、いろいろ想像がふくらみます。
車が通らなくなったこの道を、ウサギ、カモシカ、テンなど、いろんな動物たちが走り回っていることでしょう。
他にも冬芽やムササビの食痕の観察、倒木を利用しての樹高測定など、十和田湖の自然の豊かさを体験できた発見がたくさんありました。

そして瞰湖台に到着。


心のどこかがすぅっと透明になっていくような、静かな景色に見とれてしましました。
気候的には少々厳しいですが、冬の十和田湖、おすすめです!




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2007年01月10日自然の力

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 あけましておめでとうございます。十和田のアクティブレンジャー村田野人です。本年もよろしくお願いします。
 今日のAR日記は脅威的な自然の力の話です。

 周りの人から「十和田湖は多いよー」「雪が多いよー」と言われていたわりに、ほとんど雪のない正月を迎え、「雪かきなくて楽でいいなぁ」と、のほほんとしていましたが・・・、先日の発達した低気圧のおかげですっかり冬景色に戻りました。

 そして、低気圧の大風で倒木があったというので、十和田神社の参道へ行ったところ・・・


幹の途中から折れたサワラ


参道に倒れたイタヤカエデ


下敷きになった電線

 けっこうすごいことになっていました。電線は切れ、折れた幹の先端は地面に30?近く突き刺さっていました。

 自然公園財団の方に倒木を細かく切ってもらい、我々はそれをトラックへ片づけました。倒れたイタヤカエデは小さく切ってもらったのにかなり重く、凍った幹をたたいてみるとカンカン、コンコンと澄んだ音がしました。イタヤカエデの材は堅く、一般に、こけしや木のお椀などに使われるそうです。


作業風景


本日の成果

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2006年12月27日冬の自然観察

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

 今日は発達した低気圧のために大荒れの天気となっています。まるで台風のような雨風が事務所の窓をたたきつけていました。その雨もいつの間にかみぞれに変わり、夕方15時を過ぎると雪へと変わりました。

 一方、昨日の十和田湖はとてもいい天気でした。事務所の窓の外をふと見た十和田のもう一人のARの村田さんが、近くの木にキツツキの仲間である「アオゲラ」が飛んできたのを見つけました。絶好のシャッターチャンスとばかりに村田さんはカメラを構え、私は双眼鏡で観察していました。




どうやら、まだ木に残っている実をついばんでいるようでした。




アオゲラは何の実を食べているんだろう?
…必死に記憶をたどりましたが、何の木であるか全く検討が付きません。
勉強不足でした…。
というわけで、その後外に出た時に早速確かめに行ってみました。
同定の手がかりになる葉はもう落ちてしまっているので、冬芽や葉痕(枝に付いている葉の落ちた痕)をよく観察してみると、深いU字型の葉痕と、その中に赤くて丸い冬芽があります。

写真を撮らなかったので、絵を描いてみました。
こんな感じです↓ さて、これは…?



正体は、「キハダ」と判明しました。
キハダはミカン科の樹木で、内樹皮が黄色で苦く漢方薬(胃腸薬)として利用されていることで知られています。
キハダの冬芽と葉痕は、まるで顔のような面白い形をしています。ちなみに、「顔」の鼻のように見えるのが冬芽です。そして目と口に見える部分は維管束の痕で、水や養分が葉と枝を往き来していた部分です。

冬芽と葉痕が顔のように見える樹木は結構あります。今年の12月3日に開催した冬の自然観察会の準備で冬芽について調べたときにそのことを知ってから、この面白い「顔」をつい探してしまうようになりました。

皆さんも、晴れた日にはいろんな冬芽の「顔」を探しに出かけてみませんか?

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2006年12月15日十和田湖畔

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

 十和田湖には、美しい景色を求めて毎年たくさんの人が訪れます。湖を見下ろせる展望台は6箇所あり(瞰湖台・御鼻部山・滝ノ沢・紫明亭・発荷峠・甲岳台)、湖畔沿いを歩く歩道からも素敵な景色が望めます。ところが、そんな美しい景観を乱しているものがあります。それは、使われなくなって放置されたままになっているボートです。国有林の中に不法に置かれているボートも問題となっています。

 おととしからそれらのボートを何とかしたいということで、ボートの現状調査が行われており、昨年の7月と今年の3月にはアクティブレンジャーが調査を行いました。【昨年7月の調査→7/67/8

 そしてまた時期をずらして12月に調査をすることとなり、先週と今週で行いました。自主撤去されたものや、地域の人たちの清掃活動によってゴミが片づけられた場所もありますが、使われていない放置ボートは相変わらず同じ状態で置かれています。この問題は、国・県・市町村・地元自治体・漁協など関係機関が集まった協議会によって話し合いが行われており、撤去や放置防止の呼びかけが行われてきました。今後は持ち主の確認をし、持ち主がわからないものの撤去や、使われているボートの置き場の整理が検討されます。
調査の合間に、色んな発見や拾いものもしました。


湖面に並んでいる浮きは、十和田湖で行われているサクラマスの刺網漁。


湖岸に流れ着いた水草。(フサモかホザキノフサモでは?)水の底で水草の群落がゆらゆら揺れている光景を見てみたくなりました。


雪の上にたくさんのヤマブドウが落ちているのを発見!見上げると樹上にたくさん蔓がからまり、まだまだたくさん実が付いていました。今年は豊作だったのでしょうか?



ボートの調査をしながら、十和田湖の美しい景色に見とれてしまいました。
十和田湖の良さを改めて感じた数日間でした。

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2006年12月12日冬の十和田湖 西湖畔 自然観察会

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 先日、12月3に十和田自然保護官事務所、今年度最後の自然観察会、「冬の十和田湖西湖畔自然観察会」を開催しました。サブテーマは 「生き物たちの冬の世界をのぞいてみよう」 です。普段あまり見ることのない冬の十和田湖の自然を見てもらおうということで企画しました。
 当日はあいにく、雪まじりの曇り空という天候でした。一般参加者の方14名、他にスタッフとして八甲田地区パークボランティアの方7名に来ていただきました。


開会式

 講師は秋田県自然保護指導員で、日本自然保護協会認定の自然観察指導員でもある山仲芳雄さんにお願いしました。山仲さんは観察会を開いた十和田湖の西湖畔に住んでいて、付近の自然と仲がよいので、講師と場所の組み合わせは最高でした。
 雪が降ったりやんだりで足跡が消えてしまうため、アニマルトラッキング(*)は集合場所の大川岱駐車場でちょっとしかできませんでした。その代わり野鳥や冬芽の観察は十分できました。レンジャクが食べるというオレンジ色のアカミヤドリギの実、芽鱗(がりん)という防寒具で身を包んだトチノキ(ねばねば)やキタコブシ(白くふわふわ)の冬芽、などなど、興味深い解説を聞きながら3時間かけてゆっくりと湖畔の歩道を歩きました。

(*)アニマルトラッキング・・・雪の上などに残された動物の足跡から、どの動物が、いつ、どの方向に歩いたか、などを読みとる自然観察の手法の一つ。


アカミヤドリギ観察中


アカミヤドリギ


大川岱桟橋からの十和田湖


冬芽の観察


キタコブシの冬芽


 今年は十和田八甲田地区が国立公園に指定されて70周年目の記念すべき年ということで昨年の3回より1回増やし、四季に合わせ4回の自然観察会を行いました。参加した皆様には楽しんでいただけたでしょうか。来年も充実した観察会になるように努力します。よろしくお願いします。

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2006年12月05日休屋でバードウォッチング

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 先月末くらいから十和田自然保護官事務所の周りでも本格的に雪が積もり始め,十和田湖の休屋地区は非常に静かです.けれど,御前ヶ浜の付近だけはオオハクチョウを始めたくさんの水鳥たちで非常ににぎわっています.

おなじみオオハクチョウ

カモメ・・・の仲間もちらほら

ホシハジロ

ホオジロガモ

 中でも最近のお気に入りはホオジロガモです.このカモは頻繁に潜水しますが,十和田湖は水が澄んでいるので風が無くて波が静かな時なら潜っている姿を撮影できそうなのでねらっています.

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2006年12月04日今年最後の瞰湖台からの眺め

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

 11月25日、十和田湖畔の休屋と宇樽部を結ぶ宇樽部トンネルが開通しました。休屋?宇樽部間は、今までは急カーブの続く山道を通らなくてはならなかったのが、トンネル開通によってスムーズに行けるようになり、車での所要時間も半分ほどになりました。宇樽部の自宅から十和田自然保護官事務所のある休屋まで毎日通っている私にとっては待ちに待った開通でした。

 そして、12月1日朝9時から、もとの山道の方の道路が冬期閉鎖となりました。この道には、途中「瞰湖台(かんこだい)」という、素晴らしい十和田湖の景色が見られる展望台があります。よく観光用のポスターやパンフレット等で、ここから撮影した写真が使われています。私も、ここからの眺めがとても好きです。トンネル開通で交通は便利になりましたが、冬の間、瞰湖台へ行けなくなってしまうのが少し残念です。でも車が通らなくなって、森に住む動物たちは、これで静かになったと喜んでいるのかも知れませんね。

 12月1日の朝、今年最後の瞰湖台からの眺めを見届けてから出勤しました。


瞰湖台左手側:中山半島



瞰湖台正面:十和田湖の最深部(水深327m)



右手側:御倉半島 こんなポスター見たことありませんか?

※写真はすべて12月1日の朝に撮影したものです。
雪で真っ白になった外輪山がとてもきれいでした。

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