ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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白神山地

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2008年08月13日白神岳縦走巡視

白神山地 檜垣 育子

 暑い日々が続きます。今日の最高気温は32℃。
 野外での仕事やレジャーをされるみなさん、熱中症や日射病には十分気をつけてくださいね。日中は暑くても、夕方から朝にかけては既に秋の空気を感じる白神です。明日からは雨の予報になっていたのでいくらか涼しくなるでしょうね。

 7月31日~8月1日に、1泊2日で白神岳縦走巡視を行いました。
冬の間に雪の重みで倒れてしまった標識の修復や状況確認、植物の情報収集などをするためです。

 白神岳は、白神山地世界遺産地域の西側に位置する標高1,232mの山です。日本海近くから登る山なので、ほとんどの標高を自らの足で歩く山と言えます。
 白神岳に登るには、マテ山コース、二股コース、十二湖コースの3コースがあり、マテ山コースは比較的緩やかな登り、二股コースは途中沢を横切る箇所があり、その後はほぼ直登する健脚コースになっています。※雨の日は、二股コースは沢が増水し危険です。また、十二湖から崩山・大峰岳を経由するコースは長距離の上かなりの起伏があります。

 今回は、白神岳登山口→二股コース→白神岳山頂(1232m)【避難小屋泊】→大峰岳(1020m)→崩山(940m)→大崩→十二湖という縦走コース。


【白神岳山頂から】
 あいにくの雨で、山頂からの展望はききませんでしたが、途中霧が晴れて視界が開けた時の山並みはとても美しかったです。この日、避難小屋は6名の登山客で賑わっていました。山頂付近には、ツリガネニンジン、イブキトラノオ、シュロソウ、トウゲブキの花が咲いていました。

 白神岳山頂トイレを掃除していた時、ふとトイレ入口に目をやると・・・


 突如現れたモリアオガエル(上の小さい方が雄、下の大きい方が雌です)。

 水たまりもない場所に卵を産み付けていました!こんな場所に産んでも、孵らないのに・・・なぜ?と切ない気持ちになってしまいました。以前、西目屋でモリアオガエルの卵を見つけたのが5月の下旬。標高の高い場所では、この時期にも産卵を行っているんですね!雌のお腹は産卵前に水を飲んでいっぱいに膨らんでいます。


【ヤマルリトラノオ】 
 朝方はガスがかかってましたが次第に晴れ、崩山に抜ける途中はヤマルリトラノオやタカネナデシコなどの花が咲き、とても綺麗でした。


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2008年08月13日白神の山・川・海のつながりを学ぶキャンプ

白神山地 檜垣 育子

こんにちは。
白神山地世界遺産センターでは、7月19日~21日に「体感!!パークレンジャー」を開催しました。『白神の山・川・海のつながりを知る』というテーマで行った2泊3日のキャンプ。近くは青森県内、遠くは横浜から子どもたち10名が参加してくれました。

1日目は、秋田県の二ツ森(1085m)登山。二ツ森は、登山口から約40分。登っていくうちにどんどん景色の変わっていく様子はとても見応えがあります。山頂からは、世界遺産地域がよく見えました。
2日目は、二ツ森を源流としている真瀬川の一ノ又沢で生きもの調査をしました。講師の日沼先生に、みんなが採ってきた生きものについて教えて頂きました。とっても冷たい沢の水でしたが、みんな真剣に沢の生きものを探しました。


サンショウウオ、カワゲラの幼虫、ヘビトンボ、ヤマメの稚魚など。
たくさんの川虫たちや魚を見つけることが出来ました。

そして、その真瀬川の水が流れ込む水田へ。ここは、講師の工藤先生が無農薬で育てた水田です。普段私たちが目にする水田とどこか違って見えます。それは生えている植物。みんなでどんな雑草が生えてくるのか、草取りをして観察しました。
田んぼに裸足で入るというのは初めて!という子どももいました。


「なんともいえない感覚~!」と大喜び。

その後、白瀑神社で滝浴びをして楽しみました。

最終日、山から川へと流れ出た水は海へと注ぎ込みます。わたしたちは、海で磯の生きもの観察をしました。アメフラシ、稚魚、クラゲ、海藻、カサガイなどなど。工藤先生に、アメフラシは貝の仲間だということも教わりました。触ってみるとちゃんと貝殻が背中に小さくくっついています。



この水、煮詰めるとどうなるかな?

自然の中には、わたしたちが知らない生きものがたくさんいます。どんなものがどこに生きているかを知ることで、より自然が身近に感じられると思います。
キャンプも終わり、子どもたちから「自分たちが気づかない所にも生きものが生きていること」「山・川・田・海はつながっていて、ゴミを捨てたら全部につながる」「川には魚もいるが、夏はとんぼのような虫もいる」などなど多くの感想をもらいました。
白神にたくさんの生きものがいるんだということ、その自然の恵みで私たちも生活しているということを少しでも感じてもらえるキャンプが出来たかなと嬉しく思いました。

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2008年07月24日アクシバ

白神山地 石橋 史朗

この前の巡視の時に見つけた花です。

アクシバという植物なのですが、
高貴な感じがしてとてもすきな花です。
でも、ド○ルド○ックのガールフレンドのデ○ジーに似ている気もします。


秋には食べると甘酸っぱい赤い実を付けます。
実(じつ)はブルーベリーの親戚です。


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2008年07月18日ブナ林で調査を行っています

白神山地 檜垣 育子

こんにちは。
普段は涼しい青森も、最近はすこし蒸し暑く感じられます。

白神山地では世界遺産地域の長期に渡る自然環境の変化を把握するため、ブナ林を中心にモニタリング調査研究を毎年継続して行っています。
毎月1回、研究者や地域のボランティアの方々と協力して行っています。
 木の葉や実などを集める網を張り、その中に入っている物を集めます。これで、毎年どの種類がどのくらい実が付けるのか、今年は多いのか少ないか等を調べています。また、木の大きさや種類なども調べています。

調査の詳細については、世界遺産センターHPをご覧ください。

7月初旬、モニタリング調査を行いました。


沢を歩いて調査地へ向かいます。



ツキノワグマの踏み跡を見つけました。
エゾニュウ(セリ科の植物)を食べているようです。



ふわりと揺れるオニシモツケの花

調査は、今年で10年目を迎えます。この調査がずっと続けてこられたのも各地から来ていただいている研究者やボランティアの方々のおかげです。50年後、100年後、このブナの森が一体どうなっていくのか、みんなで見守って行きたいものです。

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2008年07月17日太極図

白神山地 石橋 史朗

お久しぶりです。西目屋ARの石橋です。

昨日村田ARは巡視中にたくわんのしっぽを見つけたそうですが、
我々白神チームも巡視中に「太極図」を見つけました!

太極図



檜垣ARは真ん中のぷりぷりした物体を見て、
ライチみたい~というコメント。
さわっても、ライチの感触だったようです。

ライチみたいに見えるのは、たぶん卵だと思います。
そして、それを取り巻いている2匹のなめくじ。
卵を大事に抱いているところでしょうか?
鳥と違ってなめくじに暖められても卵の温度はあまり変わらなそうですが、
子供を思うなめくじの気持ちが伝わってきます!?

ちなみに、ナメクジはオスとメスが一緒(雌雄同体)なので、
どちらもお父さんでどちらもお母さんなのだそうです。
なんか複雑な家庭が出来そうです。

*091021追記
ライチみたいなのは卵ではないようです。
つんつんしているとライチみたいなのがだんだんへこんで
ナメクジの体の中に入っていきました。

つつく前

つついた後

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2008年07月09日【募集!!】白神の山・川・海のつながりを知ろう!2泊3日キャンプ

白神山地 檜垣 育子

こんにちは。だんだんと夏の陽気になってきました。

 今回、白神山地では7月19日~21日(土~日)に子どもたちとその保護者(参加希望者のみ)を対象とした、2泊3日のキャンプを行います。
秋田県の二ツ森登山から始まり、田んぼで水の環境を調べ、また海で生きものを観察し、白神の山・川・海の繋がりをみんなで体感してもらおうという盛りだくさんの内容になっています。

 先日、下見に行って来たのですが、講師の工藤英美さんのお話を聞きながら、田んぼの生きものを観察してきました。なるほど~!と思うことがたくさんありましたよ(当日の楽しみのためにここではまだほんの少ししかご紹介できませんが。。。)

とっても面白い内容のプログラムです!!
ぜひ、振るってご参加くださいませ。お待ちしております。

詳細を知りたい方は、東北地方環境事務所のwebページTOPIC一覧にある【開催予定】環境省「体感!!パークレンジャー」事業世界遺産白神山地子ども自然体験キャンプ~白神山地の豊かさとつながりを学ぶ~(お知らせ)
をご覧ください。


前回行った子どもパークレンジャーでの様子です。

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2008年05月23日とらわれの者達

白神山地 石橋 史朗

 今日、3年間通行止めになっていた西目屋二ツ井線がついに開通しました!
早速その道を使って苔むしたブナ林がきれいな岳岱(だけたい)にカウンタの設置に行ってきました。


岳岱に設置したカウンタ

この道を使うと西目屋村から岳岱まで1時間ちょっとで行くことができました。
今まで国道7号線を使ってぐるっと回って3時間かかっていた道のりがうそみたいです!
なんか時間もガソリン代もCO2も押さえられていろいろ得した気分。

そして入山カウンタを設置した後、藤里駒ヶ岳のふもとに広がる田苗代湿原を巡視したのですが、
その時に「とらわれ者」を発見しました。

なんに囚われているのかというと…、

囚われのマイヅルソウ

そう葉っぱです。

そしてここにも、

囚われの??

どうしてこういう事になったのでしょう。
この写真を見ればなんとなく分かるかな?

 囚われのエンレイソウH19.5.9撮影

葉に穴が開いてますよね。 
おそらく、春になって芽を出そうとしたらたまたま葉の穴があって
そのまま伸びてみたら見事にはまってしまったのでしょう。


囚われのカタクリ H20.4.15撮影

その姿は愛らしくも見えますが、植物にとっては死活問題です。
葉を開けないということは光合成が出来ないということ。
人間に例えればご飯が目の前にたくさんあるのに
食べれないのと一緒です。
葉をちょっと開けばふりそそぐ太陽光線で光合成ができるのに…


あまりにもかわいそうなので
はずしてあげました。
しばらくしたら葉を開いて元気よく光合成をしてくれるでしょうか?






おまけ


ザゼンソウ
花粉をまき散らしています。


今年種から出たブナの双葉
上にひょろっと出た部分がこれから本葉になるところ

平地ではもう花が終わったり本葉が出たりしていますが、田苗代湿原は
標高が高いので春の来るのがちょっと遅いようです。

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2008年05月15日雨のブナ林

白神山地 檜垣 育子

こんにちは。
白神山地では、雪解け後、道路が開通した地点(登山口)から順に登山者カウンターの設置を行っています。
※白神ライン(県道28号線)は5月25日に開通予定です。

昨日(14日)は、西目屋村の大川林道終点と、高倉森入口へカウンターの設置をしました。
この日はあいにくの雨。精密機械なので組み立てるのに、水が入らないように気をつけながら設置を行いました。
その後、暗門ブナ林散策歩道を巡視してきました。ざっと数えても22種の花が咲いていました。雨で水分を含んだブナ林は、とても綺麗です。


シラネアオイ



ニリンソウ



ヒトリシズカ

雨の日は、昼間でもカエルが活発に鳴いています。
どこにいるのか分かりますか?すっかり周りの色に溶け込んでいました。


タゴガエル

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2008年05月13日カウンタ設置

白神山地 石橋 史朗

今年も入山者の数を自動で数える機械(入山カウンター)の設置作業を始めました。
まずは、白神岳のマテ山・二股コースの登山口と十二湖コースの登山口に設置しました。

入山カウンタを設置する檜垣AR

私は一昨年、去年に引き続き3回目の設置なのでこんなん楽勝だぜ!
とか思っていたら結構細かいミスが…
意外と忘れているものです。



白神山地のいたる所にこのような機械が
設置されているので、
見かけたら一列になって
すばやく駆け抜けてください!

昨年の調査結果はこちらです。



おまけ

白神岳登山口に3種類の花がきれいに咲いていました。





フジの花

タニウツギの花

ミツバウツギの花

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2008年05月07日春ですね

白神山地 檜垣 育子

こんにちは。暖かい日が続き、白神山地にもすっかり春がやって来ました。
先週末(5月2日)に暗門へ巡視に行きました。
ブナ林散策歩道は、4月25日から散策が可能となり、現在春まっさかりです。
色鮮やかなオオルリやキビタキがうっとりするような声でさえずっていました。この時期は、小鳥たちの繁殖の時期。ブナ林を歩いているとあちこちから、さえずりが聞こえます。
観察していると、オオルリがブナの木についている幼虫を食べていました。虫たちも活発になっています。

また、ブナ林散策道ではオオバキスミレ、スミレサイシン、チゴユリやシラネアオイが華やかに地面を彩っています。


オオバキスミレ(手前の黄色いスミレ)とスミレサイシン(奥の紫色のスミレ)

暗門駐車場から高倉森入口へ上がると、尾根ではオオカメノキやムラサキヤシオが一斉に花開いていました。


ムラサキヤシオ

生きものたちが、がぜん賑やかになる春。じっと耳を澄ませて、一体どんな生きものたちがいるのかを探してみるのもとても面白いなぁと思います。
とてもリフレッシュした気持ちになった一日でした。



ブナ林散策歩道 

※暗門の滝歩道は、雪が残っているため現在通行止めです。ご注意ください。

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