十和田八幡平国立公園
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2017年08月23日井戸岳植生復元作業と八甲田ロープウェーまでの登山道巡視
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
こんにちは。
十和田八幡平国立公園管理事務所の伊藤です。十和田湖畔での勤務も4ヶ月が過ぎて、最近は慌てないで電話に出ることが出来るようになってきました。
8月も終わりに近づき、事務所の前にあるナナカマドの実が赤く色づき、風にそよぐ様子がパソコンのモニターごしに目に入ってきます。秋の訪れを感じさせる空気が漂う十和田湖畔です。
8月20日に、パークボランティアの皆さんが毎年実施している北八甲田の井戸岳の植生復元作業に同行しました。
井戸岳は、北八甲田の最高峰大岳(158 5m)からロープウェー山頂駅方向に向かう登山道沿いにある1550メートルの山です。
【北八甲田の大岳方面から井戸岳、赤倉岳方面を望む】
【三班に分かれて作業】
北八甲田のほぼ真ん中に位置する大岳避難小屋から、井戸岳に向かう途中の登山道の植生復元作業箇所において、一年に数回、植物の調査をしてデータを取っています。
登山道脇には、イワブクロ、ハナイカリ、イワギキョウが可憐に咲き、コケモモが赤い実を結んでいました。アキノキリンソウやヤマハハコも所々にありました。前年度には無かった植物が増えている箇所と無くなっている箇所があり、興味深く思いました。
【イワブクロ】
ハナイカリは山地の草地に生える植物で、花が船のイカリのような形をしていることから、このような名前がついているということです。
作業後は、八甲田ロープウェーから田茂萢岳(1324m)周辺の散策路と登山道を巡視しました。大岳~井戸岳~赤倉岳に向かう登山道を登ると、太平洋側から「やませ」と呼ばれる冷たい空気が吹いてきて、稜線にぶつかり独特の風景になっていました。
【尾根は「やませ」の冷たい空気で分断されている】
登山道は高山植物に彩られ、とても気持ちよく歩くことができます。
また、ロープウェー山頂駅付近にある田茂萢のデッキからは、天気が良ければ、大岳、井戸岳、赤倉岳が望めます。
ロープウェー山頂駅に着くと、8月1日に落成したばかりの展望デッキが迎えてくれます。
スロープが設置してあり、車椅子でも八甲田の雄大な景色が楽しめます。
【バリアフリーのデッキ】
登山される方が楽しめる多彩な登山道、ゆったりと景色を楽しめる散策路など、八甲田の魅力はまだまだたくさんあります。
これから迎える紅葉の時期はすでに満室の宿もあるようです。情報を収集のうえお越し下さい。ゴールデンウイークの時期と同様に、紅葉の時期は渋滞が予想されますので、余裕をもってお越し下さい。錦秋の十和田八甲田が今から楽しみですね。
2017年08月14日南八甲田植生調査と十和田湖の今
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
8月のカレンダーを眺め、今日の日を目で追うと、もう半分が過ぎてしまい秋の気配が感じられます。
十和田湖畔に根を張る樹木のように、どっしりと構えていたい伊藤ですが、現在やり残していることを頭の中で思い巡らせ、そわそわしてしまいます。
今回は7月下旬に行ってきた南八甲田の登山道と植生の調査の様子をお知らせします。
南八甲田の山々は懐が深く、数多くの湿原や雪田が点在しています。
ただ、ぬかるみが多く笹も茂っていますので、足元をしっかり整えて入山することが必要です。
【数日前の大雨により崩れた登山道】
山登りでは、可憐な高山植物を愛でる楽しみもあります。今回の調査で珍しい花がまだ咲いているかも、という期待でわくわくしながら向かいました。
【キンコウカ満開 矢櫃湿原】
矢櫃湿原までは、南八甲田登山道管理連絡会による刈り払いが済んでいる箇所もありますが、所々滑りやすい箇所もあるので注意が必要です。
長い距離を歩いて行った先にある風景は感動もひとしお、空も雲も花々も輝いて見えます。
【池塘の青に映えるキンコウカ】
また登山で大地のパワーをもらったら、水の癒やしを得るために、十和田湖畔の散策に出かけてみてはいかがでしょうか。
【龍に見える倒木 生出キャンプ場付近】
【十和田湖外輪山の白雲亭展望台より 龍が寝そべっているようだ】
【十和田湖がハートの形に見える 紫明亭展望台より】
十和田湖畔には景色の良い場所が数多くあり、時間や場所により様々な表情を見せてくれます。
秋の気配も感じられる十和田八甲田、今日から制服を長袖にしました。
夏と秋の狭間の季節の移り変わりを、十和田八甲田で感じてみませんか。
2017年08月02日奥入瀬の夏
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
8月のカレンダーを目にした時に、何故か松尾芭蕉の奥の細道「月日は百代の過客にして行かふ人も又旅人也」が浮かんできました。
十和田の伊藤です。奥入瀬に夏が訪れました。
松尾芭蕉が奥入瀬を訪れたとしたら、どんな句を詠んだのでしょう。
「奥入瀬やああ奥入瀬や奥入瀬や」とでも詠んだのでしょうか。
奥入瀬渓流は十和田湖畔子の口から焼山までの約14キロの奥入瀬川の渓流で、国指定の特別名勝及び天然記念物です。
【子の口付近のゆるやかな流れ】
渓流沿いにはいくつもの滝が点在し、「瀑布街道」とも呼ばれています。十和田湖への魚の遡上を阻止してきた魚止めの滝でもある「銚子大滝」をはじめとして、「阿修羅の流れ」
「雲井の滝」等多くの景勝地があります。
【銚子大滝】
夏の奥入瀬は深い緑に覆われ、せせらぎの音も爽やかで、夏の暑さを忘れさせてくれます。
明治~大正の文人で十和田湖や奥入瀬を全国に広め、この地を愛した大町桂月が「住まば日の本 遊ばば十和田 歩きゃ奥入瀬三里半」と詠んだのが実感出来る季節です。
夏の奥入瀬渓流で、自然に身をゆだねながら、ゆっくりすごしてみませんか。
【九段の滝】
2017年07月31日国指定下北西部鳥獣保護区巡視
十和田八幡平国立公園 村田 野人
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所アクティブレンジャーの村田野人です。
ここ数日、十和田湖は涼しい日が続き、暑い日が少し懐かしい感じもします。さて、その涼しい十和田湖を離れて、先日巡視をして参りました。
十和田八幡平国立公園管理事務所は、もちろん国立公園に関係する業務が多いのですが、その他にも3つの国指定鳥獣保護区に関する業務があります。今回は、その一つ国指定下北西部鳥獣保護区に向かいました。
下北西部鳥獣保護区(以下、鳥獣保護区)は青森県の下北半島にあり、ニホンザル、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、オジロワシ、ハヤブサの生息地として保護されています。
キャプション<ニホンザル>
当事務所からは往復で500㎞弱の距離があります。普段は、鳥獣保護区を熟知した地元にお住まいの管理員の方と綿密な連絡を取りつつ、要所要所で職員が出かけていく体制をとっています。
地元のむつ市とも連携しており、維持管理をお願いしている鳥獣保護区管理舎の状況を確認しつつ、むつ市農林畜産振興課の方とも情報交換をさせていただきました。管理舎内には、日々集められたニホンザルのデータがいっぱいでした。
キャプション<鳥獣保護区管理舎>
また、鳥獣保護区の状況を把握するために、むつ市脇野沢地区にある鳥獣保護区特別保護地区の踏査を行い、制札や案内板の破損状況を確認しました。うっそうとした天然ヒバ林が広がっていて、下北の森の深さの一端をうかがえました。
今後も折りをみて、巡視を行い、鳥獣保護区の適正な管理に努めます。
2017年07月27日「十和田ビジターセンターへようこそ」
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
朝の気温が20度を下回り、秋を思わせる空気が漂う十和田湖畔です。
ここに住み始めて4ヶ月が過ぎようとしている伊藤です。
朝は、鳥の声や木々の葉が擦る音で目が覚め、外輪山に沈む夕陽を見ながら帰宅し、湖に写る月や満天の星空を眺めながら眠りにつく。そんな生活は、自分の細胞まで生き生きさせてくれるような気がしています。
事務所の周りはに今、オオウバユリがやっと私の出番よ、とばかりに競い合って咲いています。
さて今回は、十和田湖畔の休屋にある十和田ビジターセンターを紹介します。
平成26年4月に開館した当施設は、十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田連峰の自然について、パネル写真や模型を用いてわかりやすく解説しています。
ビジターセンターに入るとすぐに目に付く十和田湖のジオラマを見ると、十和田湖の成り立ちが良くわかります。館内には、十和田八甲田の自然が四季に応じて再現してあったり、十和田の森や湖で録音した音が流れていたりします。また、ゆったりとくつろげるラウンジやキッズコーナーもあります。さらにレクチャールームでは、映像で十和田八甲田の四季を楽しむこともできます。
吹き抜けの大きな空間に展示してある十和田八甲田の四季の様子やレクチャールームで流れている映像を見ていると、実際にその風景に自分が居るかのような感覚になります。この地域の秋や冬をまだ経験してない自分は、その美しさと壮大さを想像して、これからの季節の訪れにわくわくしてきました。
湖が見えるビジターセンターのデッキには、ハンモックもあり、目を閉じて遊覧船の汽笛の音を聞いていると、ふと故郷に帰ったような錯覚に陥りました。
十和田八甲田の情報を収集はもちろんのこと、ビジターセンターにいるだけで、自然の織りなす醍醐味を感じることのできるビジターセンターへ是非お立ち寄りください.
クラフト体験コーナーもありますので、自然の恵みを使って、思い出を形にしてみませんか。
2017年07月27日好天の八甲田
十和田八幡平国立公園 阿保 聡
2017年07月21日十和田湖PWC※1安全啓発パトロール
十和田八幡平国立公園 村田 野人
※1 PWCとはPersonal Water Craft(パーソナルウォータークラフト)の略語。Personal Water Craftは英語で、水上オートバイを含む幾つかの水辺の乗り物の総称。
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所アクティブレンジャーの村田野人です。
十和田湖も海の日を過ぎて、冷えたスイカがほしくなるような天気が続いています。いよいよ水遊びの季節です。今回は、7月9日に行われた水上オートバイの安全啓発パトロールについてお伝えします。
十和田湖では数年前から、NPO法人パーソナルウォータークラフト安全協会(以下、PW安全協会)が中心となって、水上オートバイの安全啓発パトロールが行われています。PW安全協会は水上オートバイメーカーおよび販売者が主体となって設立された団体で、全国各地で水上オートバイの安全操縦、マナー・モラル向上を図り、自然及び社会環境の保全に努め、健全なPWCスポーツの普及・発展を目指して活動しているそうです。
7月9日は、十和田湖畔の宇樽部地区、休屋地区、大川岱地区、銀山地区、滝ノ沢地区の水上オートバイ利用者やマリーナ経営者の皆様に、カヌーへの引き波や岸沿いの散策者への騒音に配慮するようお願いするとともに、十和田湖の水上オートバイの乗り入れ自主規制エリアについても説明しました(他の注意事項としては、救命胴衣を着る、ウェットスーツを着るetc.)。当日は述べ9グループの方に声かけし、45台のジェットスキーを確認しました。
水上オートバイの利用者の方々はそれぞれのグループごとに、マリーナでバーベキューなどをしつつ、水上オートバイを楽しんでいました。中には、過去に同様の説明を聞いたことがあるという方も多く、説明には理解を示してくださる方が多い印象を受けました。
遊覧船、水上オートバイ、ボート、カヌーそして湖岸の散策を楽しむ人たち、それぞれが互いに思いやりをもって、十和田湖で安全かつ楽しく過ごせるといいですね。
2017年07月21日十和田湖と八甲田の夏
十和田八幡平国立公園 伊藤 あけみ
こんにちは。
十和田湖の空の青、森の緑と、湖の紺碧の色が夏色を織りなしているような7月もなかば、鳥のさえずり、湖をわたる風の音、暗闇に輝く星や、月、すべてに癒やしを感じる、伊藤です。
十和田湖や八甲田の山々に夏が訪れました。
十和田湖や八甲田にはたくさんの楽しめるスポットやアクティビティがあります。
その一つにカヌーがありますが、7月8日にビジターセンター主催で開催されたカヌー体験に、友人二人と参加しました。
"神秘の湖"を肌で感じよう、という企画です。
水上から眺める乙女の像や、十和田湖の外輪山はまた違った魅力がありました。
7月13日は蔦野鳥の森休憩所の写真展示と歩道の巡視に行ってきました。
蔦温泉一帯は、過去の赤倉岳の火山爆裂によって大量の泥流が発生し、それらが谷々を埋めて形成された地域で、泥流が川をせきとめたことにより蔦沼や赤沼など7沼ができたといわれています。
うっそうとした深い森の中を歩いていて、朽ち果てた木の上に目を移すと、苔や地衣類で形成された小さな森を発見しました。苔や地衣類は小さな生き物たちにとっては、とても大きな森なのかもしれません。
【蔦沼】
7月19日は、パークボランティアのみなさんが行っている北八甲田井戸岳植生回復作業の下見でした。
ボランティアのみなさんが作業する場所を、同行のアクティブレンジャーと確認する作業でした。素晴らしい景色が広がっていました。
【酸ヶ湯から登った下毛無岱からのぞむ北八甲田の山並み】
【登山道の途中からの景色】
【池塘に飛んで落ちるワタスゲの果穂】
【北八甲田大岳にかかる環水平アーク】
7月に入ったばかりと思っていたのに、7月も残りあと10日あまりです。
北国の夏は、花火のようにぱっと咲いて散るようだと、山の景色を眺めながら思いました。
写真ではお伝えできない感動を、五感をフル活動させて味わってみてください。
燃えるような紅葉の前の、まばゆい十和田八甲田の夏へぜひ一度お越しください。
【十和田湖外輪山からの展望台より】
【子の口付近の湖岸より御鼻部山に沈む夕陽】
2017年07月10日夏の夜の観察会へどうぞ
十和田八幡平国立公園 盛岡 工藤紀恵
皆様こんにちは。盛岡管理官事務所の工藤です。
東北の中でも寒いイメージのある岩手ですが、盛岡市は内陸部に位置しており、夏はしっかりと暑いです。
本日の予想最高気温は34度です。塩分水分をお忘れなく!
本日はヒメボタル観察会についてお知らせいたします。
網張ビジターセンターでは毎年恒例のヒメボタル観察会が7月11日(火)~7月17日(月)に開催されます。
ホタルと言えば小川や田んぼなどに棲んでいるイメージが強いですが、ヒメボタルは陸生で、森林内の湿った場所で見られます。ヘイケボタルやゲンジボタルとは棲み家だけではなく、光り方にも違いがあり「ピカッ・ピカッ」と発光し、まるでイルミネーションのような雰囲気です。
普段はなかなか体験できない夜の森ですが、ビジターセンター職員となら安心して観察することができますよ。
詳しい情報は網張ビジターセンターHPをご確認下さい。
http://amihari17.ec-net.jp/index.html
また網張ビジターセンターでは、この夏、「国立公園で楽しむ親子の自然体験」と題して
「網張・夜の生き物観察会」「ナイトハイクと星空観察会」「炭火でお米を炊いてみよう」という3つの親子参加型イベントを開催します。
夜の森で、コウモリや昆虫の観察、親子でのんびり星空観察、お父さんお母さんも初めての炭火での炊飯など、夏休みの素敵な思い出になるイベントです。
是非ご参加下さい。
※すでに定員となっているイベントもございます。お申し込みはお早めにどうぞ。
十和田八幡平国立公園でお会いしましょう。
こんにちは、十和田八幡平国立公園管理事務所アクティブレンジャーの村田です。
先週半ばから『やませ(東北地方北部の夏の冷たい季節風)』もやや治まり、十和田湖に夏が戻ってきました。残りわずかな暑さを味わいたいと思います。
一方、業務の方は秋を感じる内容が増えています。高病原性鳥インフルエンザが疑われる死亡野鳥への対応の準備です。もうすぐ(北東北は10月頃から)、カモ科の渡り鳥の季節です。
高病原性鳥インフルエンザについては、専門家から渡り鳥が関与している可能性が指摘されており、3つの国指定鳥獣保護区を管轄している当事務所でも感染が疑われる死亡野鳥の確認や常日頃からの渡り鳥の飛来状況の把握に努めています。
先日、死亡野鳥等調査用の新しい資材が届きました。それを受けて、必要な資材が十分にあるか、使用期限の切れた資材が無いか等、在庫を確認しつつ、工具箱に調査・検査に必要な一連の資材や取扱いマニュアルなどを準備し、万が一の時には車に積んですぐ出発できるように備えています。
<資材の整理中>
また、9月からは国指定鳥獣保護区における渡り鳥等の飛来状況調査が始まります。カモ類が北の国に帰り、当事務所管内の昨シーズンの飛来状況調査が終わったのが5月。個人的にはつい先日のように思いますが、渡り鳥は待ってくれません。
【渡り鳥の飛来状況調査(過去のシーズンの結果)】http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/index.html
<平成28-29年シーズンの調査時の様子>
平成28-29年の冬鳥のシーズンには、全国調査を始めてから過去最多の22都道府県218件の高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたのは記憶に新しい所です。今シーズンは同じような事態にならないことを願っています。
【国内での野鳥における鳥インフルエンザ発生状況について(平成28-29年シーズン)報道発表資料一覧】
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/press_h28_h29.html
野鳥は様々な原因で死亡します(この日記を書いている間にも、窓ガラスにぶつかったヒヨドリが保護されました)。野鳥が死んでいる(倒れている)からといってすぐに鳥インフルエンザを疑う必要はありません。ただ、細菌や寄生虫などの病原体がある事がありますので、素手では触らないでください。もし、野鳥が同じ場所で多数死んでいる場合にはお近くの都道府県、市町村役場、環境省の事務所に御連絡ください。
【死亡した野鳥を見つけたら(パンフレット)】
https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5/docs5-3.pdf