ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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十和田八幡平国立公園 十和田

398件の記事があります。

2008年09月10日登山道パトロール【北八甲田・赤倉岳】

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

今週に入ってからはいい天気が続いている十和田です。
昨日は、北八甲田へ登山道のパトロールに行きました。
天気予報は一日晴れマークでしたが、山の上は雲がかかり、山頂付近は冷たい強風が吹いていました。山の天気はやはり下とは違うんだなと実感しました。
八甲田山はだいぶ秋の気配が強くなっています。
登山の際には、防寒着を一枚多めに持っていくと安心です。


毛無岱の様子。草紅葉が始まっています。

この日のパトロールでは、北八甲田の赤倉岳から八甲田温泉へ下るコースを歩きました。
赤倉岳→八甲田温泉のコースは利用者が比較的少ないコースであり、赤倉岳から下りる斜面は断崖を横目に尾根沿いを歩くようなところです。ここは年々崩落が進んでいるので、その状況確認も行いました。
今年は8月に雨が多かった影響もあるのか、登山道の脇が掘れていたり、赤倉岳の断崖でも、昨年よりまた少し崩落が進んだ印象を受けました。登山道は尾根沿いの低木などが茂る中にありますが、途中、歩道のすぐ横まで崩落が進んでいる箇所や、土壌(石ころ)があらわになっている斜面を歩く所もありますので、もしこのコースを歩かれる場合には十分注意してください。


登山道の様子。すぐ右側は断崖絶壁!


歩くのに注意が必要な所ではありますが…
素晴らしい景色も楽しめるところです!


ダケカンバが生える赤倉岳の急斜面と、その向こうには田代平が見えました。

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2008年08月04日十和田おもしろ自然キャンプ

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

今年も、8月1日~3日までの3日間、十和田湖畔にある生出(おいで)キャンプ場にて、地元の小学3年~6年生を対象とした自然キャンプが行われました。このキャンプは自然公園財団十和田支部主催の自然体験プログラムの一つで、私は昨年も参加させていただきました。
昨年の日記→http://c-tohoku.env.go.jp/blog/2007/08/13/index.html
私は、キャンプネーム『もっちー』のバッジをつけ、1班の子供たち8人のリーダーとして、子供たちのパワーに圧倒されながらも、3日間奮闘しました…。
プログラムの内容は、水生昆虫観察、ナイトハイク、十和田湖湖畔ハイキング、キャンプファイヤー、自然素材を使った工作と、盛りだくさん!十和田の子供たちはみんなとっても元気で素直で、どの活動も目を輝かせながら一生懸命に取り組んでいました。


キャンプ2日目、あいにくの雨で登山ができず、湖畔散策をしました。捜し物ゲームではカッパを着て広場をうろうろ。お題の小さなミゾカクシという植物をやっと見つけ、「あったー!」の声にみんなが駆け寄ります。




最終日の工作は、落ち葉や木の実、石などの自然素材をつかってお弁当を作る、というもの。一人ひとりが、思い思いの素材をお弁当箱に敷き詰め、みるみるうちにカラフルで個性豊かなお弁当ができあがっていきました。写真は作品発表会の様子です。





私は、子供たちに自然の中でいろいろなものに興味を持ち、その中でいろんな発見をして欲しいと思いながら子供たちと接しました。子供たちの絵日記に、「いろんなガがいることがわかった」、「かわいいクワガタを見つけた」、「サンショウウオを捕まえられてうれしかった」、「青いキノコがあった」など、その日自然の中で発見した内容が書かれているのを読み、なんだかとってもうれしい気持ちになりました。

国立公園の中にある十和田湖という、すばらしい自然の中で過ごした3日間の体験が、子ども達の心の中にいつまでも残っていますように…
そして、普段の生活の中でも、自然の中でいっぱい遊んで欲しいと思います。


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2008年07月25日酸ヶ湯で出会った生き物たち その2

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

7月24日に東北地方で起きた地震の被害が、奥入瀬渓流でも出ています。
テレビや新聞でご覧になった方もいるかと思いますが、「阿修羅の流れ」付近で大きな落石があり、現在奥入瀬渓流は子ノ口~惣辺までが通行止めとなっています。
迂回路としては、奥入瀬渓流の途中の惣辺からバイパスを通り、青ブナ経由で子ノ口へ抜けることができます。
(ただし青ブナ~子ノ口は、大型車は通行できません。)
この奥入瀬渓流の通行止めは7月30日9:00には解除になる予定のようです。
詳しくは青森県道路情報サイト“青森みち情報”
http://www.koutsu-aomori.com/cgi-bin/index.cgi
でもご覧になれますので、十和田湖・奥入瀬渓流へお越しの方は参考にしてみて下さい。


さて、先日もお伝えしました酸ヶ湯周辺の生き物について、また新たな出会いがあったのでご紹介します。

それはまた、東北大学植物園の中の「極楽沼」を歩いていた時のことでした。
木道の上をそろそろと歩いている姿を発見!!




ゆっくりゆっくり近づいてみます。



まだ気づかれていないようです。
ちょっとまわりこんで…



ニホンカナヘビさん、こんにちは。

小さい頃はよく捕まえた思い出がありますが、最近ではあまり見かけなくなりました。彼らの生息環境もまた、脅かされているのでしょうか?
でも、そんなニホンカナヘビにこんなところで出会うとは!
酸ヶ湯周辺で、まだまだいろんな生き物たちに出会えそうな予感がしてきました。

ちなみにカナヘビの名前の由来は、“ヘビのように細長いが、可愛いので愛蛇(カナヘビ)とよばれるようになったということから”らしいです。


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2008年07月16日たくあんのしっぽ

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 本日は、持塚ARと北八甲田の酸ヶ湯から高田大岳、谷地温泉にかけて巡視を行いました。その途中で、たくあんのしっぽを見つけましたので、この件についてお話したいと思います。
 場所は酸ヶ湯温泉から仙人平方向に歩いて20分くらいのところ、持塚ARが、おもむろに立ち止まって、無言で指さすその先を見てみると、道の真ん中に20㎝位の長さの黄色い物・・・。




 まさしく、たくあんのしっぽです。これまで、いろんなゴミを拾いましたけれども、こんな山中でたくあんのしっぽというのは初めてです。不思議に思って、眺めていると、たくあんのしっぽがゆっくりと動いています。さらに近づいて見ると




ナメクジでした。持塚ARは最初から気づいていたようです。

ちなみに、高田大岳から谷地温泉へ向かう途中に焼きたらこ(無着色)も発見しました。

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2008年07月10日酸ヶ湯で出会った昆虫たち

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

6月から、酸ヶ湯にあるインフォメーションセンターに、月に2回ほど行き、窓口案内や周辺ガイドウォークを実施しています。これは昨年から始めたもので、八甲田地区パークボランティアの皆さんの協力を得ながら行っています。
この取り組みは、酸ヶ湯インフォメーションセンターが普段無人の施設なので、なるべく人がいて案内できる日を増やそうということと、酸ヶ湯の自然の魅力を少しでも多くの人に感じてもらうために、きめ細かい情報提供、案内をしたいということから始まりました。同様の取り組みを、同じく無人の施設である「蔦温泉ビジターセンター」でも行っています。酸ヶ湯インフォメーションセンターにアクティブレンジャーがいるのは、6月~10月の間の、第1・3金曜日です。またパークボランティアさんも窓口で案内を行っています。
登山道情報や季節の自然情報などをたくさん掲示していますので、どうぞお立ち寄り下さい。

先日酸ヶ湯に行った時、お客さんが少ない合間を見て周辺の歩道を巡視してきました。
酸ヶ湯周辺の散策ポイントは、実は結構あります。その代表的な場所が「東北大学植物園 八甲田山分園」です。ここの植物園は無料で開放されていますので、自由に見学することができます。
この植物園の真ん中には、「極楽沼」と呼ばれる湿原があります。
ちょうどワタスゲが真っ白な綿毛をゆらゆらと風になびかせている頃でした。

極楽沼とその向こうに見える八甲田山主峰「大岳」


この湿原で、トンボに出会いました。

調べると、「カオジロトンボ」というトンボでした。
北海道や本州の高山に生息し、高層湿原などで見られる小型のトンボです。
名前の通り、顔の正面は白く、雄は胸の部分が赤で、黒い腹にはオレンジ色の斑紋がポツンとついているなかなかおしゃれなトンボです。青森では八甲田あたりでしか見られないらしく、そんなトンボが酸ヶ湯でこんなにたくさんみられるなんて!(しかも山登りもせずに!)7月~8月にかけて見られますので、酸ヶ湯に来たら是非探してみて下さい。他にも、田代平湿原や毛無岱でも見られるそうです。



他にも、こんなチョウに出会いました。

「ヒオドシチョウ」というチョウです。
なんと、成虫で冬を越すそうです。そのため、春先早いうちから飛び始めるそうです。

酸ヶ湯周辺の生き物情報も、インフォメーションセンターに掲示していく予定です。
これからどんな生き物たちに出会えるか、とても楽しみです。


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2008年07月02日植生復元

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

今年も始まりました!北八甲田井戸岳の植生復元活動。
6月28日(土)、第1回目として、資材運搬や復元箇所の補修を行いました。
今回運搬する資材は…
板(幅20cm、長さ1.5m、厚さ2cm)です!!
以前運んだ丸太杭と比べると重さはたいしたことなかったのですが、
なにしろこの長さ ↓


(資材を担ぐパークボランティアの皆さん)

木の枝に引っかからないようにかがんだり、横歩きをしたりするのが大変でした。
酸ヶ湯温泉から毛無岱を通過して大岳避難小屋まで、この日は合計16枚の資材を運び上げました。

途中苦しくて足元しか見ていなくても、いろんな花が咲いているのが目に入り、それを見ると、ふっと疲れが和らぐ気がしました。

毛無岱の池塘に咲いていたミツガシワ


今年から新しい試みとして、これまで3年間続けてきた植生復元作業の成果がどれくらい出ているのかを見るために、簡単な植生調査を行おうと思っています。
一生懸命荷揚げし、皆で協力して作業した土留めや植生マットの隙間から、ミヤマキンバイやミヤマオダマキなどが顔を出している姿を見ると、本当にうれしい気持ちになります。それを励みに、また頑張って作業するぞ!と気合いが入りました。


この日の毛無岱の風景。緑の絨毯がキレイでした♪

活動に参加された皆さん、本当にお疲れ様でした。

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2008年06月25日枯れ枝調査

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 本日は、十和田湖畔の休屋地区で、歩道の周辺にある枯れ枝の調査を行いました。枯れ枝がある樹木の位置、枯れ枝の高さ、太さ、長さを記録しました。このデータをもとに松岡自然保護官が専門家と相談し、切る枯れ枝を判断します。
 長時間、真上を見上げるため、首と腰に負担が大きく、苦手な作業なのですけれど、双眼鏡で木の枝をにらみながら、つったっている私を木だと思うのでしょうか、小鳥たちがすぐ触れられそうな距離まで近づいて来ることがあって、そういう時は体の痛さも忘れてしまいます。今日もキバシリという小鳥を間近に見ることが出来ました。

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2008年06月19日入山者カウンター

十和田八幡平国立公園 十和田 村田 野人

 先日、6月18日に北八甲田の主要な登山口の一つである酸ヶ湯に、入山者数を調べるためのカウンターを設置しました。場所は、仙人平への登山口の鳥居の手前と毛無岱への登山口の湯坂の下のところです。
 カウンターは、直径2㎝くらいの金属製の柱にカウンター、バッテリー、太陽光発電パネルをつけた、現代風のトーテムポールみたいな感じの物です。
 急に出現したので驚かれる方も多いと思いますけれども、入山者数を出来るだけ正確に把握したいので、不審に思ってカウンターの前を行ったり来たりしないよう、よろしくお願いいたします。

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2008年06月18日【実施報告】山野の花を楽しむ白地山トレッキング

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

6/14(土)、十和田自然保護官事務所では、自然観察会を開催しました。
前日は強雨の上に雷、雹、津軽では竜巻まで起きたすごい天気でした。
開催が危ぶまれましたが、当日の天気は曇りという予報だったので、開催することとしました。

が、当日の早朝、目が覚めるとザザーとすごい雨の音。
集合時間にはやんでいましたが、直前まで大雨が降ったこと、まだ降ったりやんだりしていたこともあったので、楽しみにしていた白地山(※1)登山を断念し、十和田湖の西湖畔を歩くこととしました。
(※1)白地山とは十和田湖の西側にある外輪山の一つです。

参加者の皆さんからは、「雨で登山ができなくて本当に残念だ」という声をたくさん聞きました。でも、湖畔沿いの歩道はあまり多くの人が歩いていない歩道で、存在を知らなかった人も多く、「湖畔沿いの散策も楽しかった」という感想も聞かれました。



この写真は西湖畔の歩道の様子です。
緑の深い、ひっそりと静かな林の中のように思えますが、実はすぐ近くを車道が通っているんです。
時々日が差したりする湖畔を、オオハナウドやホオノキ、トチノキの花などを観察しながら散策しました。

当日、参加者の皆さんに是非見せたかった白地山の花を、少しだけご紹介します。
6/10に行った下見では、シラネアオイやツバメオモト、サンカヨウ、山頂付近に広がる白地湿地帯ではヒナザクラ、ミツバオウレン、イワイチョウなどの花々が風に揺られていました。




ツバメオモト

これらの花々と十和田湖の景色を、参加者の皆さんと一緒に楽しめなかったのが本当に残念です…!

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2008年05月27日季節の移りかわり

十和田八幡平国立公園 十和田 持塚 陽子

今年は雪融けが早いなぁと思っていたら、あっというまにいろんな花々が咲き出し、1週間で咲いている花ががらっと変わっているくらい、めまぐるしく自然は変化しています。

5月の中旬、蔦野鳥の森では、まだ芽吹いて間もない柔らかいブナの葉っぱが、淡い黄緑色をしていました。5月17日に蔦で開催した野鳥観察会では、いいお天気の中、キビタキなどのさえずりを聴きながら散策することができました。鳥だけでなく、エゾハルゼミの鳴き声もひっきりなしに聴こえていました。


野鳥観察会の時の様子 2008.5.17

エゾハルゼミといえば、先週十和田湖の西岸の歩道を巡視した時、こんなところに抜け殻を発見しました。咲いている花はキバナイカリソウです。こんなところで羽化するなんて、ステキな場所選んでいますよね!

キバナイカリソウにくっついていたエゾハルゼミの抜け殻 2008.5.22


現在はどんな様子かというと、ナナカマドやウワミズザクラ、マイヅルソウ等が咲き、ホトトギスやカッコウが鳴きはじめています。奥入瀬渓流では、トチノキの花が咲き始めていました。ホオノキの大きくいい香りのする花が咲くのも、もうすぐです。

あっという間に初夏ですね。
そしてそろそろ夏山のシーズン。
雪が消えていくのがなんとなく寂しく思っていましたが、今度は高山植物に会えるのが楽しみになってきました。

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