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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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仙台

257件の記事があります。

2009年05月13日初夏の雰囲気

仙台 鎌田 和子

伊豆沼は初夏の様相です。
ついこの前まで柳青める・・・でしたが、
俳句の季語にある柳絮(りゅうじょ)が飛び幻想的な
季節となりました。ヤナギの種子(綿毛)が風に乗って
多い時は雪が降るように、また洗濯物泣かせでもあるそうです。
そこに生活している人とビジターとして訪れる人にはその環境に
感じる温度差があると思いますが、水辺のこの季節ならではの
光景です。どうぞ、体験してみてください。

しかし、着実に自然の営みは夏に向けて進んでいました。4月30日から
オオヨシキリが鳴きはじめていますが、日ごとに数が増えているようです。



ヨシはまだ腰丈位ですが、昨年の枯葦のてっぺんにとまり、気持ちよさそうに囀っています。それが10m間隔でいるのですから、かなりの個体がいると思われます。雄が雌の気を引くのにも真剣!みんなペアになれるのでしょうか。

その賑やかさの傍らには残留組のヒシクイとマガンがのんびり日向ぼっこをしていました。

伊豆沼・内沼を一周していると、あちこちで湖面に漂うようにアサザの葉が顔を出し始めています。ほかにもヒシ、ハスも出てきました。水草の活動が宮城県は東北地方の中ではやはり早いように感じます。

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2009年05月11日自然にやさしく、楽しい釣りを!

仙台 鎌田 和子

今回は化女沼(けじょぬま)です。
国指定鳥獣保護区指定、ラムサール条約登録も昨年された
ところです。

ここ化女沼は、江戸時代には農業用ため池として現在は多目的ダムとして
利用されています。「ダム湖がなぜ、国指定なの?」と疑問に思われるかもしれませんが時代とともに環境の変化が、マガンや亜種ヒシクイの越冬地として
重要なところとなっていることです。

東北自動車道長者原SAからも見えるので「あっ!行ったことがある」という方もいるかと思います。

ぐるっと車で一周できるのですが、数か所に駐車場がありそこには平日でも数台の車が止まっています。冬場はガンカモ類が多く、今は植物でも昆虫でもなく釣りを楽しむ方々が多い季節です。


ダムの管理事務所のところからの化女沼です。湖面の面積は34ha、写真からはそんなに広いとは感じないかもしれません。

釣りをしていたおじさんが写真を撮らせてくれました。ブラックバス(上)、ブルーギル(下)です。釣り糸を垂らすとあっという間に釣れましたからかなりの魚たちが生息していると考えられます。魚たちをおじさんはちゃんとそこで始末していました。

ここは水生植物が面白いと思い水辺の歩けるところを回ってみましたが、踏み跡(小道)は釣り人につながり、岸には釣り針や釣り糸、水面を覗くとその稚魚がうじゃうじゃと、これでは在来の魚たちはどうなるのかな?そんなことを考えてしまいました。ちゃんとルールを守って釣りをする人々や在来の生き物のためにもルール、マナーを守り楽しい釣りをお願いしたいと思いました。
伊豆沼、蕪栗沼、化女沼は「緑の回廊」ならぬ「水の回廊」だなと感じながら
これからも見守りたいと思います。

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2009年05月07日ブラックバス駆除作戦第1弾

仙台 鎌田 和子

伊豆沼・内沼の毎年恒例のブラックバス防除作業が今年もまた始りました。
と、言っても私にとっては初体験ですので、私の視点で5月3日の報告をします。

宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団と市民ボランティア「バス・バスターズ」、漁協のみなさんが協力して春から秋にかけて、卵、稚魚、成魚をいろいろな手立てで防除・駆除をしていこうという活動です。これは、環境省の特定外来生物防除直轄事業です。しかも自然再生にもつながる活動です。
4月下旬に予定していた人工産卵床の設置は、雨のため水位が上がり延期されていました。水温15℃前後になるとブラックバスは産卵を始めるらしいのでその前に人工産卵床の設置をしなくてはと準備を進めてきたものでした。

天気にも恵まれて、温かな日和でイイかなと思いましたが、作業の種類によっては汗だくの人、水温はブラックバスにとっては水温むころでもウエダーを履いていてもさすがに長時間水に浸っていると体の芯から冷えた人とさまざまでした。



昨年より改善された人口産卵床です。産卵が確認できたら沼から回収され、卵の時から駆除されてゆきます。新旧合わせて400基が設置されます。

伊豆沼も内沼も以外に浅いということが、写真でもわかると思いますが、今回設置した場所では深くても90㎝位でした。

伊豆沼に300基、内沼に100基設置し終わったのは午後5時ごろ、さらに漁協のみなさんは竹竿とロープで設置した産卵床が釣り人や船に分かるよう印してゆきました。本当にお疲れ様でした。これから産卵確認を毎週確認するそうです。これで全て駆除されましたという日が来るのかは、みんなの協力と努力だと思いました。脱帽!
この日はじめて沼に足を入れて、ビックリしたのは沼の底にボコボコと穴が開いているところがあり、それがハクチョウがマコモやレンコンを食べたところだそうです。ハクチョウは長い首を最大限活かしていました。作業しながらもその落とし穴に落ちないように、それでもついつい自然観察のアンテナが動いていまいました。それではまた報告します。

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2009年05月01日近づけないもどかしさ

仙台 鎌田 和子

蕪栗沼を観察してきました。
ここも当然、冬の賑わいはなく静かなのですが、
子孫を残すために頑張っている生き物たちの生活を
垣間見てきました。
先週までは迷路のような水路で鯉がピチピチ背びれや体を
くねらせ産卵をしていました。その奥に見える大きなヤナギの
木には先週も昨日も枝を組んだ大きな巣、双眼鏡では主は見えず、
望遠鏡のズームで確認したら、トビのお母さんでした。母の日も
もうすぐ、母はじっと我慢で卵を温めているようでした。

しかし、カメラの望遠400㍉でも、写真をトリミングしても主は
はっきりせず、大きな巣だけは確認できました。

「蕪栗沼、白鳥機場」がワンセットで蕪栗沼とみんなに親しまれています。
その両方を観察できる通路から蕪栗沼を見てみました。

シギの小さな群れが何回か旋回して水面に降りました。すると、一斉に足をグルグル回しては嘴を水中に入れるという行動をはじめました。しばらくすると一直線に並び、同じ行動です。まるでシンクロのようにも見えますが、きっと餌となる水の中のいきものをみんなで漁をしているのではと感じました。なかなか面白い行動が見られました。そのシギですが、遠すぎてはっきりしませんでしたが、シルエットと望遠鏡で見る限りツルシギのようでした。夏羽の黒い姿に変身途中のようです。これからも観察しなくてはと、ここでもワクワクしてしまいました。
しかし、天気がよいと帽子を被っていても日焼け注意でした。

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2009年04月28日春は海風にのって

仙台 鎌田 和子

ここ数日、東北地方は寒い雨が続きましたが、
晴れ上がった空、新緑の季節が仙台市には訪れました。

今日は蒲生干潟です。
海辺にある潮の干満でできる低湿地、訪れる時間によっては
干潟が現れている時や、そうでないときがあります。干潟が現れ
る時はみるみる砂と泥混ざった湿地が出現し、シギの仲間やカモメの
仲間が競って餌となるゴカイなどを食べています。ダイシャクシギ
は特に長い嘴を上手に使って、スゥーと泥の中に射し込み餌探し、
見ている私は、もしこの嘴が折れたらとそう思いながら観察しています。

干潟には、湿地のほかに砂浜やヨシ原、松林もあります。いろんな環境が
蒲生干潟を作っていることがわかります。



いつもより波は小さく感じましたが、海岸を掃除しても、また荒波が海藻や漂着物を持ってきます。そしてここはサーフィンのメッカでもあります。

砂浜に目を向けると、ヒバリが空中で囀り、コウボウムギ、ハマタタザオが花盛り、ハマボウフウも少なくなりましたがピカピカと輝いた葉っぱを展開しています。海辺にも春がはじまりました。
蒲生干潟はこの日和山からよく見渡せます。シギやカモメの中に人間が
潮干狩りをしています。


太平洋側の海を初体験した私の失敗からですが、お出かけの際は、
紫外線が強いので帽子を是非お持ちください。

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2009年04月17日季節の変わり目

仙台 鎌田 和子

はじめまして!
仙台自然保護官事務所のアクティブレンジャー鎌田です。
これからどうぞよろしくお願いいたします。

あっいう間に2週間が過ぎました。担当するフィールドを熟知するまで
どのくらいの時間が必要なのか、日々発見、出会いが続くと思います。

これから野鳥や植物、昆虫などいろいろな出会いを綴ってみたいと思い
ますのでお付き合い願います。

今日は、伊豆沼での出会いです。
3月まではきっと賑やかだった沼もハクチョウやヒシクイも去り、静かに
なりました。時間の棲み分けか、ハシビロガモやツルシギがゆったり羽を休めていました。
柳青める水面では、紙飛行機のように飛び交うツバメ、気持ちよさそうに囀る
ウグイス、冬鳥と夏鳥が行き交う季節でもあります。


双眼鏡で見ていたら、シギの仲間がヨシと水草が折り重なるところに休んでいます。多分、ツルシギの若でしょうか。よく見ると、まだ誰か隠れています。

ヨシの折れたところと思ったら、嘴です。もしかしてタシギ?羽の模様も全てこの環境に馴染んでしまい、目を凝らさないと見えませんでした。


ハシビロガモです。真冬には、これだけの数がまとまっているのは見ることが少ないですし(写真では数羽ですがこの日は150羽でした。)、遠くからしか観察できなかったのですが、天気の良い日には
頭部の光沢がとってもきれいでした。

これからどんないきものたちとの出会いが待っているか、わくわく、心躍る
季節が私たちにもやってきました。

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2008年08月15日化女沼はチョウトンボがいっぱい

仙台 三宅 源行

こんにちは、仙台アクティブレンジャーの三宅です。

8月1日に宮城県の北部にある「化女沼」が国指定鳥獣保護区に指定されました。
化女沼は東北自動車道、長者原サービスエリアのスマートICを降りてすぐの所にあります。


現在、水面の大部分は「ハス」で覆われていて見頃を迎えています。

夏は鳥枯れの時期などと呼ばれることもあって、なかなか鳥の姿を見つける事は難しいのですが、化女沼は冬にガン類、特に「ヒシクイ」が飛来することで国指定鳥獣保護区になりましたので、冬が楽しみです。



夏の日差しが照りつける中、チョウトンボが止まっていました。
その奥には高速道路が見えています。



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2008年07月25日カッコウ

仙台 三宅 源行

仙台アクティブレンジャーの三宅です。

蕪栗沼の梢の先でカッコウが囀っていました。


翼を下げ、尾羽を持ち上げた姿勢は彼らが囀る時のお決まりの姿。

「カッコー、カッコー」とお馴染みの大きな声が聞こえるのに、クチバシはほとんど開いていません。

なんとハミングであんな大きな声を出しているとは驚きですね。

ちなみにカッコウと同じ仲間でよく似た姿をしているホトトギスは、大きな口を開けて「ホットトギス」とさえずります。

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2008年07月18日ホオアカの尾羽

仙台 三宅 源行

蕪栗沼の周辺を歩いているとホオアカをよく見かけます。


ホオアカは名前の通り、ほっぺたの辺りが赤いのが特徴です。



飛び立つと、尾羽の両端に白い羽が見えます。

以前、尾羽の両端に白い羽があるのは、ホオアカや、ホオジロの仲間「エンベリザ属」の特徴の一つなんだよ、と教えてもらったことがあります。
(但しエンベリザ属でも例外はいますし、ヒバリなど他の種類でも尾羽の両端が白い種類がいます。)

当時、「エンベリザ」という言葉がなんだかカッコ良くて、しばらく仲間内で連呼していた思い出があります。

ホオジロの仲間の尾羽を見るとその頃を思いだして、ちょっと恥ずかしい気持ちになります。

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2008年07月11日ハシボソガラスの子

仙台 三宅 源行

仙台のアクティブレンジャーの三宅です。

先日、伊豆沼へ行くと、ちょっとカラスが「カー」でも「ガー」でもないような、ちょっと聞き慣れない声で鳴いていました。

鳴き声の主を見てみると、ハシボソガラスの子でした。


クチバシの中がまっ赤!

親鳥からエサをもらっている期間は、クチバシの中が赤い事が知られています。そして、次第に色が変化し成鳥と同じ黒色になっていくようです。

ヒナの口の中の色は、親鳥がこれを見るとエサをあげたくてあげたくて仕方がなくなる信号のような役割をしているようです。

ヒナは巣立ってからも、しばらくの間は親鳥からエサをもらうので、
聞こえてきた鳴き声は、親鳥にエサをねだる声だったのかもしれません。

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