ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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磐梯朝日国立公園 羽黒

247件の記事があります。

2012年06月20日飯豊連峰 頼母木山巡視

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 6月11~12日、飯豊連峰の丸森尾根から登り、頼母木小屋泊、大石山まで巡視を行いました。

 この冬は雪が多く丸森尾根登山口のある天狗平への林道は6月になってから開通しました。
 例年よりも一ヶ月近く遅れ、登山者には待ちに待った開通です。

 丸森尾根では、登山道利用等によって大きく掘れて荒廃してる箇所が多数あります。
 平成22年度には飯豊連峰保全連絡会の合同保全作業で保全修復作業を行いました。

 ※詳しい様子は、飯豊連峰保全連絡会ニュースレター第11号をご覧下さい。
http://www.env.go.jp/park/bandai/data/files/iide_hozen_news_11.pdf
 

 今回の巡視の目的の一つはこの作業箇所を確認することでしたが、一部課題は見られたものの、木を用いた土留め等は有効に機能していることが確認できました。
 

 地神北峰~大石山ではハクサンイチゲが満開で一面見事なお花畑です。
その他、イワカガミやハクサンコザクラも咲いていて、飯豊地域らしい素晴らしい景色が広がっていました。


 早咲きのイイデリンドウを見かけました。飯豊連峰の固有種であり、他の山では見ることができません。
ミヤマリンドウとよく似ていますが、中心の花弁が上を向いて立っているのが特徴です。


 飯豊連峰の稜線の風景です。頼母木小屋付近から大石山、鉾立峰、杁差岳方面。

 翌朝小国盆地方面は雲海で、山の稜線から流れ落ちる雲の滝を見ることができました。


 滝雲と呼ばれる珍しい自然現象の一つで、暖かい空気と冷たい空気がぶつかりあう気象条件が揃った時に観察されるもののようです。
そのスケールの大きさには圧倒されます。

 6月になったとは言え、飯豊連峰ではまだまだ残雪が豊富です。
例年、登山道上の雪渓が完全に消えるのは8月過ぎです。
登山をされる方は事前にしっかりと情報収集を行い、装備等を確認してから入山するようにして下さい。

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2012年06月14日子どもパークレンジャー事業 鳥とムササビの巣箱づくり

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 6月10日(日)、新潟県関川村にある環境省が管理をしている鷹ノ巣キャンプ場で、平成24年度子どもパークレンジャー事業「鳥とムササビの巣箱作り」を行いました。

 子どもパークレンジャー事業は、国立公園の自然保護官(パークレンジャー)の活動を子どもたちが体験しながら自然にふれあい、自然保護や環境保全の大切さを学ぶ自然体験プログラムを開催するものです。
 羽黒自然保護官事務所では、平成23年度から事業を始め、今年度は2回の活動を予定しています。
 
 第1回目の今回は、鳥やムササビのための巣箱を作って、キャンプ場内に仕掛ける作業を行いました。
設計図をもとに、一枚の板をノコギリやカナヅチを使って鳥の巣箱を作ります。



 樹洞性(じゅどうせい)の巣を作る鳥を対象とし、巣箱を利用する鳥が変わることを期待して、入り口サイズの異なる3パターンの巣箱を作りました。

縦3センチ、横2センチくらいにするとシジュウカラやスズメなどが、もう少し大きくするとアオゲラなどが巣を作ってくれるかも!?
また、底に穴を開けた巣箱も用意しましたが…



これ(真ん中)はコウモリ・ハウスです。

 巣箱が完成し、キャンプ場内の木を選んで仕掛けました。
「人が多いところは落ち着かないから、あまりテントに近くない方がいいかな?」
鳥の気持ちになって仕掛ける場所を考えます。




ムササビの巣箱にはあるものを再利用。
皆さん、これが何かわかりますか?



鏡割りの時に使用する酒樽の再利用です!

 無事に設置が終わり、今回作業したこと、学んだことをみんなで振り返りました。



 「洞ができるような大きな木が減って、樹洞性の生き物が住めるおうちが減っているんだよ」
 「ふむふむ、なるほどー…」

 巣箱に鳥が入るのか、とても楽しみです。 
 第2回を10月8日(月・祝)行います。今回仕掛けた巣箱の観察も行いますので、楽しみにしていて下さい。

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2012年06月04日湯殿山開山祭

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 6月1日、湯殿山神社本宮で湯殿山開山祭が行われました。

 湯殿山は出羽三山の奥の宮とされ、羽黒山と月山で修行を積んだ修検者が生きながら仏の境地に入る聖地とされています。
霊湯が湧出する巨岩がご神体として祭られていて、現在も履物をぬぎ裸足になり、お祓いを受けてはじめて参拝が許されます。
 
「語るなかれ」「聞くなかれ」と戒められ、写真撮影も禁じられているため、残念ながら現地の様子を今回の日記ではお伝えすることはできません。
参拝されたことがない方は是非足を運んで自分の目でご覧になってください。


 湯殿山の大鳥居

 当日は晴天に恵まれ、残雪とブナの新緑が美しい中での開山祭となり、山形県内外から約800人の参加がありました。
開山祭の間中、日暈(ひがさ)と呼ばれる太陽の周囲にできる大きなリング状の虹が観察され、参拝者の方々から盛んに歓声があがっていました。


  日暈です。残念ながら上手に撮影できませんでした^^;


 リュウキンカが競うように花を咲かせ、沢沿いは金色に染まっているかのようです。

 1ヶ月後の7月1日には月山開山祭が月山山頂で執り行われ、いよいよ夏山はシーズンインです。
これからアクティブレンジャー日記で、磐梯朝日国立公園の山情報を多く発信していきたいと思っていますのでお楽しみに!

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2012年05月30日月山ビジターセンター周辺 整備

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 報告が遅くなりましたが、5月18日に月山ビジターセンター職員の加藤氏と二夜の池周辺歩道の整備を行いました。

 多かった月山ビジターセンター周辺の残雪も、ゴールデンウィークが終わってようやく全ての雪が融け、歩道が歩けるようになりました。


 私はほとんど雪が降らない県の出身なので、羽黒で生活を始めて分かったことなのですが、冬期間の積雪は、自然環境(植物の生育や動物の生活等)や施設の維持管理にも様々な影響を与えます。
 AR日記を通して月山ビジターセンターの冬支度の様子をお伝えしてきましたが、春が来て雪融けが終わると、今度は春の準備をしなければなりません。

※冬支度の様子は、
こちら
をご覧下さい。

 春先に行う作業としては、歩道の清掃、整備、破損箇所等の確認などがありますが、今回は二夜の池周辺にロープを張る準備作業を行いました。
 
 
 ロープを張る支柱を設置します。


 重いのでちょっと大変です。

 二夜の池は、小川を堰き止めて造った人工湖で、月夜には水面に月が美しく映り、二夜分の月が楽しめると言う由来から、この名前が付きました。
 周辺は一部バリアフリーにもなっていて、気軽に散策が楽しめます。ビジターセンターに立ち寄られた際は是非足を運んで見て下さいね。

 
 これまでも何度もお伝えしていますが、今年は本当に雪が多いことから、5月も終盤になった今も、月山、飯豊連峰、朝日連峰登山口への林道がまだ開通していないところが数多くあります。
 登山を計画されている方は、事前にしっかりと状況を確認の上で山に入るようにしてください。

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2012年05月07日よもぎ餅つき

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 5月4日、月山ビジターセンターでよもぎ餅つきのイベントを行いました。

 ゴールデンウィーク恒例のイベントで、身近な野草であるヨモギを使って餅つきを行います。
当日はあいにくの曇天でしたが、60名近くの参加がありました。


 臼と杵を使って、餅米から餅をつきます。 
今回は、ビジターセンター職員やパークボランティアさんが大いにはりきったこともあり、ヨモギがたっぷり入った大サービスのおもちとなりました^^ 


 参加者の皆さん、My箸、Myカップを持参して大はりきり。
「毎年これを楽しみにしてるのよ~」なんて声も。

 おもちを食べたちびっこ達からは「草のにおいがする~!」と感想をいただきました。
 

 つきたてのお餅は本当に美味しく、参加者の皆さんと一緒に食べて自然のめぐみを味わって満喫しました。

 若葉はよもぎ餅やおひたしにして食べたり、乾燥させてお風呂に入れたり、お灸や生薬の原材料としても使われるヨモギは和製ハーブの代表格かもしれません。

 今回、初めて月山ビジターセンターを訪問された方もいるかもしれませんが、普段の週末は野鳥観察会や登山、トレッキング等のイベントを行っています。
今は二夜の池周辺でキクザキイチゲやミズバショウが見頃です。
興味を持った方は是非イベントにもご参加下さい。お待ちしています。

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2012年04月27日月山スノーモービル合同パトロール

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 4月22日(日)、月山でスノーモービル乗り入れにかかる合同パトロールを行いました。

 月山では、スノーモービルの乗り入れについて、地元組織が中心となって作成された自主ルール「月山特別ルール」によって入山期間や入山台数、乗り入れ可能箇所等が決められています。

 自主ルールが適切に運用されているかの確認も兼ね、東北森林管理局、朝日庄内森林環境保全ふれあいセンター、山形森林管理署とともに、合同パトロールを行いました。

 当日は20台ほどの入山利用があると連絡を受けていました。
月山第一トンネル西川側出口から、旧国道112号を通って大越峠付近まで、スキー隊とスノーシュー隊に別れてパトロールを行いました。


 巡視の様子です。


 雪庇です。今年は大雪だったこともあり、例年に比べて本当に積雪量が多いです。

 大越峠付近で、本日のものと思われるスノーモービルのトレースを確認しました。
樹木の損傷等はなく、確認した限りでは適切に利用されていると思われました。

 当日は非常に風が強く、天候が悪くなりつつあったため、大越峠付近で引き返すことにしました。 
 スノーモービル利用者も、どうやら午前中の早い時間で引き返したようです。
 気温も下がってきて、風はいっこうに弱まる気配はありませんが、なんとか雨が降る前に下山することができました。


 ウサギの食痕です。


 アカネズミを見つけました。
でもすぐに逃げてしまい、ピンボケながらもなんとかカメラに収めました。

 途中、アカネズミやウサギの食痕を確認しました。
 動物たちは人の気配を感じるとすぐに隠れてしまうので、山で動物の姿を見かける機会はとても少ないです。
けれど実際には小動物やそれらを餌とする猛禽類、ツキノワグマなどの大型ほ乳類など、山には多くの生きものが暮らしていて、本来は動物たちが暮らす場所であることを忘れてはいけないと感じています。

 自然環境の保全と公園の適正利用のバランスについて、今後も地域と共に考えていきたいと思います。

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2012年04月24日平成24年度パークボランティア年度はじめ集会

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 4月15日(日)月山ビジターセンターで新緑観察会が開催され、羽黒山山頂から羽黒山旧参道を通って月山ビジターセンターまで歩きました。
 
 新緑観察会、といっても今年の大雪と寒さで植物たちは芽吹く様子はなく、残雪の森のスノーシュートレッキングとなりました。
 冬の日本海側は滅多に晴れることがないため、久々に快晴の中自然を満喫し、参加者の皆さんと眼前に広がる月山や庄内平野を楽しみました。


 パークボランティアさんの案内のもと歩きました。


 引っ張って、これは何だろう? 答えはフジです^^
 雪で引っ張られてこんなにピーンとなっています。


 真っ白になった月山が顔を出してくれました。

 午後からは月山ビジターセンターで、平成24年度羽黒地区パークボランティアの年度はじめ集会と救命講習会を行いました。

 平成23年度まで月山ビジターセンターは冬期間閉館していましたが、ビジターセンター展示全面リニューアルに伴い今年から通年開館となります。

また、今年は月山ビジターセンターが開館25周年を迎え、25周年企画の一環として、遠方への登山や観察会といったイベントが企画されています。 
月山ビジターセンターの一層の利活用促進に向けてパークボランティアさん達からは熱いご意見をたくさんいただきました。


 年度はじめ集会の様子。

 集会後は、鶴岡市消防署から講師をお招きし、今年度から新しくなった心肺蘇生法とAEDの使用方法を中心に救急救命について学びました。
 自然観察会など野外でのイベントが多いため、いざという時を想定し、参加していただいたパークボランティアさん達に救命方法を学んでいただきました。


 救命講習会の様子。

地域の人に愛されるあったかい施設を目指して今年も皆で頑張りますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りくださいね。

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2012年04月16日月山スキー場安全祈願祭 巡視

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 磐梯朝日国立公園の出羽三山地域には、4月になってからオープンするという、全国でも珍しいスキー場があります。

 そこは山形県西川町にある月山スキー場です。
月山スキー場はあまりにも積雪量が多いことから冬期間は営業ができず、春になってからスキー場がオープンします。
 
 月山スキー場開きと安全祈願祭が、4月10日(火)に行われたので坂本自然保護官と一緒に出席してきました。
快晴の中の安全祈願祭となり、多くのスキーヤー待望のスキー場開きになりました。

 安全祈願祭の様子。

 安全祈願祭終了後には、利用状況等の調査も含めて月山まで巡視してきました。
天気がよかったこともあり遠く朝日連峰や鳥海山まで見渡すことができ、月山山頂までスノーボードや山スキーを楽しむ利用者がたくさんいました。
 

 月山スキー場から月山に向かいます。


 朝日連峰を見渡すことができました。


 月山の山頂小屋の様子です。
強い風によって、霧氷ができています。初めて見た人はこれが小屋と言われても分からないかもしれませんね。
いかに冬期間が厳しい環境であるかが分かります。


 月山山頂の様子です。風紋ができていることが分かります。

 月山は日本海からの季節風を直接受けることから、冬期間は風が強いこともあり、雪上にははっきりとした風紋ができます。
風紋上では、黄砂が見られました。前日は自家用車にも黄砂がつくほどだったので、月山の上でもかなりの黄砂があったようです。


 今年は例年に比べて雪が2メートルほど多く、月山スキー場では7月末まで滑走することができるそうです。
 まだまだスキーが楽しめる東北に是非お越し下さい。

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2012年04月09日大山下池 春を告げる観察会

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 4月8日(日)に、鶴岡市の大山下池にて、月山ビジターセンター主催イベント、「春を告げる観察会」が開催されました。

 大山下池は、国指定大山上池・下池鳥獣保護区に指定されており、鶴岡市内からも車で20分ほどの距離であることから、市民の憩いの場としても利用されています。
冬期間に離れていた水鳥たちが春になって戻ってきており、今の大山・上池下池は、鳥たちで賑わっています。

 ここは標高が低いことから、4月でも残雪豊富な月山ビジターセンター周辺とは違い、今は積雪はほとんどありません。
例年であれば4月にもなれば暖かくなり、下池周辺にはカタクリなどの春の花が多く花を咲かせます。

ところが、今年は気温が上がらないことから、花もあまり見られず、春の気配はまだまだ先のように思われました。


 観察会の様子。


 秋に落ちて、越冬したと思われるフジの実があり、殻を割ると中から実が出てきました。まだ冬かな?

 まだまだ春は遠いと思っていても、周辺をよく見てみると、キクザキイチゲやエンレイソウなどの早春の花の一部が花を咲かせていて、カタクリなどもつぼみをつけていました。
寒い年でも、ちゃんと季節は移り変わっていて、植物たちは春を待っているのですね。


 キクザキイチゲ。春の花が見られました。

そんな自然から便りを感じながら、参加者の皆さまと一緒に歩きました。
ご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。

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2012年04月06日平成24年度 月山ビジターセンターがオープンしました

磐梯朝日国立公園 羽黒 佐々木 大樹

 4月となり、平成24年度となりました。
新しい生活と忙しい毎日が始まった方もいると思います。

 4/3~4/4に発達した低気圧が日本全国を襲い、春の嵐が吹き荒れました。
鶴岡市内でも屋根が飛んだり、木が倒れたりといった被害が相次ぎました。
被害状況等を確認するために、昨日月山ビジターセンターや二夜の池周辺、羽黒山キャンプ場を巡視してきました。
 幸い今のところ木が倒れたりといった大きな被害はなく、ホッとしているところです。

 
 さて、前置きが長くなりましたが、4月1日より冬期間閉館していた月山ビジターセンターがオープンしました。

 今年は本当に雪が多い年で、4月になってもまだ小雪が舞っているような状態で、雪融けが進みません。


 現在の月山ビジターセンターの様子。まだまだ雪が多いです。


 二夜の池周辺もこのとおりです。
水面にはまだまだ雪が多く積もっています。ビジターセンター周辺では、昨日も20センチほどの降雪がありました。
 

 ビジターセンターから休暇村羽黒へと続く遊歩道は、春になるとミズバショウが綺麗な花を咲かせますが、
まだこのような状態ですので、花が咲くのはゴールデンウィーク頃かもしれません。

 周辺を散策できるまでにはもう少し時間がかかりそうですが、少しずつ春は近づいて来ています。
 今年度から月山ビジターセンターは体制等も新しくなってイベントもたくさん実施する予定です。

 皆さま、今年度もよろしくお願い致します^^

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