ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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三陸復興国立公園

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2021年12月08日階上岳の積雪

三陸復興国立公園 八戸 大友千夏

八戸自然保護官事務所の大友です。

この頃運動不足です。

先日、現地調査で階上岳へ行って来ました。

この日の気温は10℃近くあり、風もなく登り始めてすぐにポカポカになりました。

7合目付近から雪がうっすら積もっていました。

マイナス気温ではないのですがやはり滑ります。

汗と息切れはいつも7合目付近がピークなのですが、運動不足が祟りました。

すさまじかったです・・・。

階上岳は通年登れる山で、雪が降っても行くと必ず足跡があります。

朝1番で登れば新雪を踏む事になるのでしょうか。

階上岳は8合目まで車道がありますが12月1日から冬季閉鎖となりました。

来年の4月中旬頃に開放されます。

階上岳8合目、大開平。

こちらにはバイオトイレが付いた休憩所があるため冬でもトイレの心配無用です!

水は凍結防止で止めるため地元の階上岳愛好家さんたちが水を担いで登り、

手洗い用・清掃用とタンクに溜めています。

また、ボランティアでトイレ清掃までしてくださり、本当にありがたいです。

冬が長い東北ですが、初雪や霜柱を冬のシーズン入の頃に見るとワクワクしてしまいます。

階上岳の頂上から見える八甲田山は真っ白ですが、

今年の階上岳は12月にしては雪が少ないと、すれ違った方がおっしゃられていました。

階上岳はこれからどのくらい雪が積もるのか楽しみです!

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2021年11月25日秋の首崎(こうべざき)

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

みなさんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

先日、大船渡市首崎へ公園巡視に行ってきました。

首崎は植生調査のため夏の巡視地としているのですが、スッキリとした秋空の絶景を拝みたいと秋にも足を踏み入れてみることにしたのです。首崎はメジャーな観光スポットではありませんが、「リアスの半島突端」「最果て感」がどっぷり感じられる、知る人ぞ知る秘境です。どんな秋が待っているでしょうか。

この日の空は雲がちぎれちぎれあるものの、風はなく、時折顔を出す太陽があたたかく歩いていると汗ばむほどでした。海上の空気がとてもきれいだったようで、直線距離で90㎞以上離れている宮城県石巻市の金華山まで目で確認することができました(カメラには写っていませんでした、残念)。

首崎の先端へ向かうために半島をぐるっと周回している林道を進みます。色づく広葉樹林や手入れの行き届いた針葉樹林を交互に楽しみながら平坦でとても歩きやすい道です。昨今の大雨や台風などの影響で崩れが発生している箇所もあり、林道とは言え、車ではなく歩きで向かうことをおすすめします。

大きな朴の落ち葉エリアは雪が降ったのかと見間違えるほど真っ白、自然のレフ板のようです。わざと葉の上を選びガサガサ音を立てながら歩く落ち葉ウォークを楽しみました。

苔むすエリアでは生命の発見もありました。コツボゴケの覆うしっとりとした地面に根を伸ばしたドングリです。軽くつまんでみましたがしっかりと根付いていたようでした。こんな小さな木の実も頑張って生きている、自分も頑張らなくちゃと元気をもらえますね。

先端へ進む道で見つけた不思議な色合いの樹。地衣類のピンクや黄色の斑模様がモザイクアートのようでした。自然に偶然に描かれた純粋なネイチャーアートに惚れ惚れし立ち止まってしまいます。

半島の先端付近には、寒冷地でも耐えられるカシワが群生をなしています。新しい葉がでるまで古い葉は枝で落ちずに待つ「代が途切れない」として縁起物と言われていますが、ここの厳しい環境下ではさすがに吹き飛ばされるのか、落ちているカシワの葉もありました。楽しみにしていたドングリの実も分厚い落ち葉の層や馬の背斜面のお陰か見つけることができませんでした。

カシワと言えば柏餅。東北人の私は大きなカシワの葉に包まれたお餅を食べていましたが、四国出身の現保護官に聞いてみたところ、柏餅は丸い葉っぱに包まれていたと言うのです。植物図鑑に"サルトリイバラの葉は柏餅の葉"と書かれていたのを見たことがありましたが、想像ができず全く信じていませんでした。まさか西日本では柏餅の葉っぱがサルトリイバラなんて。。。本当なんですね。「じゃぁじゃぁ鶏肉の"かしわ"は?」と東西カシワネタで会話が尽きません。

『柏黄葉/かしわもみじ』は晩秋の季語。まさに今かなという色づきでした。ちなみに『柏落葉/かしわおちば』は初夏の季語です。"落ち葉"と聞くとどうしても秋・冬のイメージですがカシワの生態が分かると理解できますね。季節の移り変わりを自然界から感じ取ることは昔から楽しまれてきたことで、今でもできること。山中巡視の辛い登りでは気を紛らわすのに植物や虫たちに助けてもらっています。

いよいよ先端部、首埼灯台が目の前です。尾根沿いの道から少し下りたこの場所で、必ず切り取ってしまうアングルです。

首埼灯台の建つ先端広場は水面からおよそ100mの高さに位置します。視界が良ければ北は山田町船越半島、南は大船渡市綾里崎まで地図通りのリアスの海岸線をはっきりと見ることができます。

灯台下の植生観察、最盛期は終わっていますが砂地で強風、乾燥しているこの厳しい地で頑張る植物たちです。

【左】赤く染まったキリンソウ 

【中】ぎっしりと実を付けたハマハイビャクシン

【右】アオノイワレンゲの残った穂と小さく揺れるハマエノコログサ

目的の首崎巡視を終え、帰り道近くの『鬼間ヶ崎/きまがさき』に立ち寄りました。津波をかぶったはずのこの小島の上には青々としたマツが生い茂っています。とても強い生命力を感じます。

首崎周辺の半島先端は「脚崎/すねさき」「死骨崎/しこつざき」など不気味なものが連なります。大昔、成敗した鬼を切り刻み海へ葬ったところ、それぞれの岬に鬼の体の一部が流れ着き、それを名前に残したという言い伝えがあります。牙(キバ)=鬼間(キマ)が流れ着いたのがここ鬼間ヶ崎とのこと。恐ろしい鬼伝説のある地ですが、景色はえも言われぬ美しさです。景色と併せて伝説や文化などその土地ならではのことに触れられると、記憶への残り方は変わります。人の営みとの関わりが深く、変わった地名の多いここ三陸復興国立公園ではそういった目線で楽しんでいただくのもおもしろそうです。

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2021年11月12日緑の真珠 気仙沼大島

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

三陸海岸へも秋がやってきましたが、早くも冬の気配を感じはじめました。

業務で国立公園エリアやみちのく潮風トレイルルートの巡視を行っているのですが、本日は宮城県気仙沼大島の秋をお届けします。皆さんのイメージする「秋色」とはちょっと違うかも知れません。

気仙沼大島は最近ロケ地となったテレビドラマの放映がありその効果で訪れる観光客が増えています。

この日も一組のご夫妻がロケ地になった田中浜を訪れていました。

気仙沼大島は東北最大の有人島で、豊かな海に囲まれ島特有の風土が感じられる気候も人情もあったかい土地です。そんな気仙沼大島の特産品と言えば冬の食卓を彩る「ゆず」です。鍋料理をはじめ、ジャムにお茶にお風呂、あったかく過ごす冬の必需品です。島中で見かけるゆず畑では間もなく始まる収穫を待つゆずたちが黄色く輝いていました。私も毎年ゆずジャムを大量に作って楽しむので、この時期を首を長くして待っているのです。

秋冬の木々は紅葉後落葉し、さみしいイメージがあるでしょうか。しかし気仙沼大島は海に囲まれていて比較的温暖なため、海岸特有の常緑の照葉樹が多く見られ、冬でもいきいきとした緑に囲まれます。気仙沼大島出身の詩人 水上不二が大島を「緑の真珠」と詠ったのも納得です。

サザンカが咲き始めていました。

遊歩道沿いではミヤマシキミが鮮やかな赤い実をたくさん付けていました。

赤い実だったらシロダモも負けてはいません。

いかがでしたか。燃えるような紅葉風景とは違った秋景色ですよね。

気仙沼大島ぐるっと一周約22㎞はみちのく潮風トレイルのルートになっています。冬の運動不足に備え、1日かけて歩くのにちょうどいい距離ですので秋の気仙沼大島ハイキング、おすすめですよ。

最後に、ちょっと珍しいものをご紹介します。

三陸海岸は大昔から地震津波の被害を受けてきた地域です。先人たちが未来の住民へ向けてその教訓を伝えるためにこれまでたくさんの石碑や記念碑を各地に残してきました。その石碑たちの中でもとりわけ珍しい、英語で訴える石碑がここ気仙沼大島にはあります。

"MEMORIAL OF THE EARTH QUAKE AND TIDAL WAVE"とあります。通常の石碑のこの碑銘部分には"震嘯記念"や"海嘯供養塔"などと刻まれています。なぜこの碑は英語で書かれているのでしょう。色々調べているのですが、まだ明確な答えに行き着けずにいます。

この石碑は気仙沼大島の小田の浜の少し北、長崎という地にあるものです。気仙沼大島を訪れた際には是非探して解読してみてください。

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2021年11月05日三陸、紅葉シーズン突入!

三陸復興国立公園 宮古 古館 百合子

宮古自然保護官事務所の古館です。

 

もっと先の未来を考えるエコ・マガジン【エコジン】をご存じですか?

気候変動や脱炭素などといった環境問題に関わるお話や、普段の生活にも役立つエコなお話などについてWebで分かりやすく発信しています。

 

そのエコジンで日本各地の国立公園の魅力を発信している【find 国立公園】にて、三陸復興国立公園を紹介させていただきました。

 

記事内でも触れていますが、10月中頃から山々が染まり始め、今年は大風で色づいた葉が落ちることなく紅葉が見頃を迎えています。

 

◆左:黒崎展望所からの景観(普代村・撮影21.10.27

◆右:県道及びみちのく潮風トレイルルート(普代村・撮影21.10.30

 


◆左:鵜の巣断崖(田野畑村・撮影21.10.27

◆右:鵜の巣園地からの南方面の景観(田野畑村・撮影21.10.27

  


◆左:蛸の浜(宮古市・撮影21.10.27

◆右:震災メモリアルパーク中の浜(宮古市・撮影21.10.29

 

1027日は曇天で、キラキラと太陽に照らされた紅葉は観られませんでしたが、しっとりとした深みがあって見応えがありました。

 

三陸復興国立公園は、海岸線に沿った縦に長い国立公園です。

写真でご紹介した黒崎展望所や鵜の巣断崖は見頃を過ぎましたが、紅葉はだんだんと南下し、事務所がある宮古市内の木々も色の深みを増してきました。

海と山の色づきが織りなす風景は、もう少しばかり楽しめそうです。ぜひ訪れて、紅葉とともに南下して楽しんでください。

 

では、また!

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2021年10月25日『僕たちの気仙町』魅力発信~陸前高田市気仙小学校

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

皆さんこんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

10月の長雨が明け、すっきりとした秋晴で空に吸い込まれそうな三陸です。

岩手県陸前高田市広田小学校でみちのく潮風トレイルを題材にした出前授業をご紹介してきましたが、この秋同市内の別の小学校でも授業に取り入れたいというお話をいただき、2週続けてみちのく潮風トレイル授業に行ってきたのでご紹介します。

陸前高田市気仙(けせん)小学校の6年生が取り組む「地域の魅力を発信する」授業のひとつのツールとしてみちのく潮風トレイルを活用します。

気仙小学校は東日本大震災で全壊、2019年に気仙町の今泉地区に造成した高台に移転整備されました。壊滅的な被害を受けた陸前高田市は街全体の土地造成から長い間かけて行われていたため、気仙小学校の完成は岩手県の公立学校再建の中では一番最後でした。今回の授業の主役6年生は男子7、女子2の9名のクラスです。

私が出向く前から授業の中でみちのく潮風トレイルの勉強をしていたという6年生のために、担任の先生から「実際のハイカーに会えないかしら」というご要望があったので、昨年全線踏破されたみちのく潮風トレイルを管理運営しているみちのくトレイルクラブの加藤正芳理事においでいただき、歩いたときの装備やみちのく潮風トレイルの魅力などお話いただきました。

その中で加藤さんに「陸前高田市の印象」を聞いてみたところ、震災直後に同市を訪れた時の街の姿やその後の復興進度を見ての感想などに加え、"気仙大工"や"けんか七夕"などの歴史・伝統のお話がありました。外の

人からみた陸前高田の印象を聞き、彼らにとっては当たり前の地元ネタが"魅力"として認められているんだと、自信・誇りに繋がったのではないでしょうか。

最後に加藤さんへみんなからの質問タイムが設けられ、賑やかな時間が教室に流れました。用紙いっぱいに真剣にメモを取っていたみんな、何を感じ取ってくれたでしょうか。

その翌週、みちのく潮風トレイルの気仙町ルートを実地体験しました。実は気仙町を通るルートはほんの5キロほどで、気仙小学校もルートから少し外れています。しかしせっかく陸前高田市に来てくれる人や気仙町を歩いて通ってくれるハイカーに、気仙町の魅力を知って帰ってほしいという思いで、まずは公式ルートを実際歩き、どんな魅力が隠れているかみんなで探そうという授業です。

(左)小学校から公式ルートまでは新しくできた避難路を下りました。気仙川河口脇に見える建物は震災遺構になっている旧気仙中学校校舎です。

(右)漁港を通れば地元の漁師さんたち皆さん声をかけてくれました。地域の宝である子どもたちが地元の勉強をしている姿は応援したくなりますよね。

(左)今は生徒一人に一台タブレットが支給されています。いいなと思ったものをじゃんじゃん撮影していきます。

(右)この地出身という担任の先生がルートを逸れておもしろい道を案内してくれました。秘密基地に繋がるようなワクワクする小道、先生が子どもの頃よく遊んだ道だそうです。

(左)途中お食事中のシカに遭遇した場面ではもちろんタブレットで撮影会です。シカも逃げずにモデルをしてくれました。

(右)昔ながらの防波堤からは海がよく見えます。みんな揃って寄りかかり、漁港から出て行こうとする船となにやら大声でやり取りしていました。


(左)公式ルートから少し逸れたところには歴史を物語る史跡が点在しています。後に鉄砲隊となる足軽たちの住居跡について先生が説明しているところです。

(右)最後の浜では、自由に遊ぶ時間を先生が用意していました。震災後海と少し疎遠にならざるを得ない雰囲気の中育ってきた彼ら、先生はこうした時間を過ごさせたいと思ってこられたようです。男子たちはカニ探しに夢中でした。

気仙小学校の生徒たちはこの他にも様々な地域学を行っているそうです。気仙町の今泉地区は江戸時代は仙台藩気仙郡の行政中心地で、河川や街道の交通要所でもありとても重要な土地でした。気仙大工による立派なお屋敷が狭い路地をはさんでひしめき合うように建ち並び、幼い頃に訪れた私にも「どこか他と違うまち」という印象でした。津波で壊滅したこの地区の今はその当時を思い出すのが困難なほどきれいに整地された状態です。物として残せなかった歴史は記録し、そして語り継ぐことが必要です。未来を背負って立つ子どもたちが学ぶ地域学に、まだ始まったばかりのみちのく潮風トレイルが活用されて嬉しく思いながら、50年後100年後にこのトレイルにも語り継ぐ歴史ができているのかな...と遠い目。気が早いですね。子どもたちに負けないよう、私も地域についてもっと深く調べ、微力であっても伝えていきたいと思っています。

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2021年10月19日インターンで高校生がやってきた!

三陸復興国立公園 宮古 古館 百合子

みなさん、こんにちは。宮古自然保護官事務所の古館です。

105日~7日の3日間、宮古市内の高校生3名が職業体験(インターン)で訪れました。

 

【体験1日目】

浄土ヶ浜ビジターセンターで行われるクラフトイベントにて使用される貝紹介カードを作っていただきました。

 

貝を拾うところから、図鑑等を見て分類・調査し、楽しく貝のことを学べる名刺サイズのカードとなりました。デザインもそれぞれ工夫して描いてくれて、可愛く仕上がっていますよね。

 

【体験2日目】

浄土ヶ浜園地内の歩道を点検しながら、案内板の清掃や文字を修正するシール貼りなどを行い、隅々までピッカピカに磨いてくれました。

 

3日目】

翌週にみちのく潮風トレイルのトレッキングイベントを控えており、ルートの下見を行うパークボランティア活動と重なったので、一緒にルートの下見・点検をしていただきました。

 

パークボランティアのみなさんから植物などについて色々と解説いただきつつ、交流を深めていました。

心なしか、パークボランティアのみなさんもいつも以上に楽しんでいる様子でした。

また、ルートの目印となるテープの付け替えやゴミ拾いも実施。

最終的には45リットルゴミ袋2袋分がパンパンになりました。

 

高校生インターンのみなさま、3日間お疲れさまでした!

この場を借りて御礼申し上げます。

 

また、これからは紅葉狩りを楽しみながら歩けるシーズンを迎えます。

ぜひみなさまもトレイルを歩きにいらしてください。

 

では、また!

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2021年10月11日碁石埼灯台お色直し

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

10月10日は"体育の日"と私の頭には染みついていますが、今は"スポーツの日"と改められさらにハッピーマンデー制度により10日という枠も外れ10月の第2月曜日ということに。人間界ではひとつの変化があちこちに影響を与え、あたふた対応に追われるものですが、自然界はどっしりしていますね。世の中がどうあろうといつもと変わらず、季節は巡る。今はしっとり秋の気配に包まれている大船渡市の碁石海岸です。

碁石岬に鎮座する碁石海岸の白亜のシンボル『碁石埼灯台』が、この度化粧直しをすると言うことで海上保安庁立ち会いの下、環境省パークボランティアはじめ碁石海岸で観光に携わる関係者に作業のお手伝いをさせていただく機会がありました。

碁石埼灯台は地上高10.5メートルと小ぶりながら海面からは約37メートルの位置で点灯し、昭和33年から航海の安全を見守ってきました。また、平成28年には「恋する灯台」(日本ロマンチスト協会・日本財団)に認定され、観光面でも役目が増え存在感を示している灯台です。

平成11年にタイル張りから吹き付け状に改装した時から22年ぶりの化粧直しということでとても貴重な体験ですよね、皆さん張り切って作業してきましたのでその様子をご覧ください。

では全体像のBefore-Afterです。別日に撮影したので空模様の違いはお許しください。

左がお色直し前で右がお色直し後です。

今回の作業は手の届く範囲でと言うことで灯台の1階部分と囲いを塗りました。灯台本体より囲いを見ると違いがよく分かります。白く輝く姿に生まれ変わった碁石埼灯台がなんだか誇らしげに見えるのは気のせいでしょうか。たくさんの来訪者に楽しんでもらいつつ、しっかり役目を果たしてもらいましょう。

先に「恋する灯台」と言いましたが、灯台までは石畳が敷き詰められた坂道が続きます。容易には辿り着かない、秘境感を味わえる、まさに「恋する人生のようだ」とこれが一つの認定要素だそうです。その石畳の中に見る人が見ると浮かび上がる『ハートの石』がありますよ。一つも見つけられない人も多くいます。「こじつけだろう~」なんておっしゃらずに碁石海岸にいらした際にはゆったりとした気持ちでハートの石探しをしてみてくださいね。

下の6つのうち私が見つけたハートは4つ。他の2つは別の日に友人が見つけたもの。

最後に、松林が美しい碁石海岸では燃えるような紅葉風景は拝めませんが、小さな花々が秋を知らせてくれます。少しご紹介しますね。

上段(左)ハマギク 海に向かって咲いているので海を絡めて撮影するのが難しいのです

  (右)リンドウ 背の高いライバル植物たちの足元にひっそりと咲く姿が愛おしい

中段(左)アキノキリンソウ この個体は頭でっかちで重たそうですね

  (右)ハギ 秋といえばのハギですが、西陽に輝く姿を見てつい撮影

下段(左)ナガボノシロワレモコウ イモムシみたいな花姿、長い名前ですね

  (右)ハマボッスの実 春の開花から秋の結実まで楽しませてくれる海浜植物です。

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2021年10月04日浜をきれいに~宮古市重茂・種刺海岸~

三陸復興国立公園 宮古 古館 百合子

宮古自然保護官事務所の古館です。

去る930日、宮古市重茂半島の種刺海岸での清掃活動に参加してきました。

 

活動場所は、本州最東端・魹ヶ崎(とどがさき)へと続くみちのく潮風トレイルのルート沿いの【種刺(たねさし)海岸】。青森県八戸市の【種差海岸】とは漢字違いの浜辺です。

【種刺海岸 撮影:2018215日】

東北太平洋側は、冬でも積雪が少ないです。一年を通してトレッキングが楽しめる場所なので、みなさんにも訪れてほしい場所の一つです。

 

この種刺海岸、台風や高波のあとはゴミがたくさん打ち上げられてしまうのです。

宮古市職員の方、浄土ヶ浜ビジターセンターのスタッフ、普段みちのく潮風トレイルの草刈などの維持管理に携わっている方々、さらに青森県八戸市からみちのく潮風トレイルをスルーハイクで南下してきた方2名も加わり、総勢13名でゴミ拾い。

 


私が拾ったゴミの一部です。ペットボトルや発泡トレー、食品の包装フィルム、油性ペン、ロープなど種類は様々。

 


こちらの写真は、プラスチックカップの一部。卓球ボールを握るほどの少しの握力だけですぐ粉々に。

※私が怪力というわけではありません。

 

屋外で太陽光や風雨などにさらされて劣化すると、こんなにももろく壊れてしまいます。荒波にもまれ、石と擦れるなかでだんだんと小さくなり、魚や鳥が誤食するなど影響が出てしまうことをこの手で実感しました。

 


1時間半で漁具などの大きなものから、缶や瓶、たばこのライター、プラスチックの破片などの小さなものまでこれほどのゴミが集まりました。

 

海洋ごみの約8割が、まちなかなどの陸地から川を伝い海へと流れ出たものだとされているので、海洋ごみを減らすためには、海だけではなく陸地でもポイ捨てをしないことが大切です。

 

全国一斉清掃キャンペーン『秋の海ごみゼロウィーク』は918日から開催となりましたが、期間を過ぎても全国各地で清掃イベントがまだまだ実施されていますので、ぜひ下記リンクをのぞいてみてください。

→→ 海ごみゼロウィーク

 

では、また!

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2021年09月29日最近の仏沼。

三陸復興国立公園 八戸 大友千夏

八戸自然保護官事務所の大友です。

今月中旬に国指定鳥獣保護区である三沢市仏沼の案内板のペンキ塗りをしました!

2018年に塗って以来のため3年ぶりの化粧直しです!

すっかり塗装が剥がれ、寂しく見える案内板。

2時間半、黙々と塗りました。

ARの先輩が以前「ペンキ塗りは無心になって黙々と出来る作業でけっこう面白いよ~」

と言っていたのを思い出しました!

また、併せて仏沼内にある池の状況確認も行いました。

以前から仏沼の自然環境をみている鳥獣保護区管理員の方によると、

少しずつみられる生物に変化が起きており、今後も注視が必要とのことです。

引き続き、関係者で情報共有・対策検討を行っていきます。

最近の八戸市周辺は20℃前後の秋晴れが続き半袖だと肌寒く感じるようになりました。

冬に向けて生き物や植物の変化を著しく感じる9月、

仏沼も少しずつ冬支度が始まっているようです。

ハムシを見つけ広角レンズで接写を試みる、太刀川レンジャー。

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2021年09月16日被災地に癒やしの青紫の花

三陸復興国立公園 大船渡 坂本麻由子

こんにちは。大船渡自然保護官事務所の坂本です。

三陸でも稲刈りが始まり、木の実や果実が食べ頃のなにかと忙しい秋がやってきました。

今日は被災地で晩夏から秋にかけて目を楽しませてくれる素敵な植物をご紹介します。

【2021/9/5撮影】

きれいな青紫色の花を咲かせるこの植物は『ミズアオイ』といいます。淡水に生える植物で、花期は8~10月、肉厚の葉はハート型で特徴的です。このミズアオイ、環境省レッドデータブック2020では準絶滅危惧(NT)に分類されていますし、いわてレッドデータブックでもAランクとされ、とても希少な植物です。古くから日本全国の水田・湖沼などで親しまれていた植物でしたが近代の水路の改良や、除草剤が使用されるようになってから数が激減、簡単に目にすることができなくなってしまったとのことです。

人間たちの都合で姿を消してしまったミズアオイですが震災後、岩手・宮城・福島の被災地各地で復活していると話題になっていました。私が最初に耳にしたのは震災翌年2012年、福島県の楢葉町のミズアオイでした。ミズアオイの種子は底泥や土壌中で休眠し、適した環境が整うまで待つという、「埋土種子(まいどしゅし)」でした。大津波で大規模な土壌の攪拌がおき、復興工事の手の回らない場所で現れた湿地環境でここぞとばかりに大発生したのです。今咲き誇っているミズアオイの種は、震災前の街の状態に開発された時に埋まったものなので、40年以上も間泥の中で眠っていたことになります。

復興工事は防潮堤や宅地、主要道路などが最優先で行われてきましたが、年月が進むにつれ以前の生活環境に戻すため隅々まで区画整理や整地がなされてきました。実は、震災後せっかく復活したミズアオイたちも再開発・復旧のため埋め立てられ再び眠りにつかされた場所もあるそうです。今までの生活を取り戻すための開発がもちろん最優先で大切ですが、生態系もうまく守れる、共存できる方法なども考えていけたらよりよい未来が待っているのではないかと思いました。

「ミズアオイ復活!」と嬉しい話題ではあるのですが、いろいろ考えさせられました。とはいえ、ミズアオイの埋土種子戦略のすごさは被災地に元気と勇気を与えたことには違いありません。未来に残せる何かは今どう行動するかにかかっていますね。考えることを怠らず、日々精進して参りたいと思います。

今回撮影したミズアオイ群生地は、岩手県釜石市片岸町の新しい防潮堤沿いにある遊水池です。片岸町では震災の前からミズアオイを守ろうと活動してきた方々がいるそうです。今はこの遊水池に部分的に生育している状態ですが、ミズアオイで一面が覆われる景色が今からとても楽しみです。

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