
アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
日出島のクロコシジロウミツバメ調査
2025年08月14日
宮古
こんにちは。
7月の下旬に国指定鳥獣保護区である日出島に行ってきました。
日出島では繁殖数が減少しているクロコシジロウミツバメの繁殖環境の保全を行っており、今回は島内に設置している巣箱内での営巣数を確認することが目的です。
ところで皆さんはクロコシジロウミツバメをご存じでしょうか?
「種の保存法」に基づく国内希少野生動植物種に指定され、日本では岩手県沿岸の限られた島でしか繁殖していません。そんな貴重な鳥の繁殖地の一つが宮古市にある無人島の日出島です。
日出島ではクロコシジロウミツバメの他に、よく似たコシジロウミツバメ、オオミズナギドリやミサゴ、アオサギも繁殖しています。そのせいか、日出島に上陸すると独特な匂いが漂っています。動物園の鳥ゾーンの匂いです。あの匂い……分かります?
ここでクロコシジロウミツバメとコシジロウミツバメの違いを簡単に紹介します。
実は、私が初めて調査に同行した2年前にも見分け方を教えていただいたのですが、名前と色に混乱させられ続けていたので、白黒つけるために今回改めてもう一度教えていただきました。
見分けるポイントは色です。
〇クロコシジロウミツバメの方が全体的に黒みがかる。
〇白い部分の羽軸がクロコシジロウミツバメは白く、コシジロウミツバメは茶色っぽい
クロコシジロウミツバメ↓
7月の下旬に国指定鳥獣保護区である日出島に行ってきました。
日出島では繁殖数が減少しているクロコシジロウミツバメの繁殖環境の保全を行っており、今回は島内に設置している巣箱内での営巣数を確認することが目的です。
ところで皆さんはクロコシジロウミツバメをご存じでしょうか?
「種の保存法」に基づく国内希少野生動植物種に指定され、日本では岩手県沿岸の限られた島でしか繁殖していません。そんな貴重な鳥の繁殖地の一つが宮古市にある無人島の日出島です。
日出島ではクロコシジロウミツバメの他に、よく似たコシジロウミツバメ、オオミズナギドリやミサゴ、アオサギも繁殖しています。そのせいか、日出島に上陸すると独特な匂いが漂っています。動物園の鳥ゾーンの匂いです。あの匂い……分かります?
ここでクロコシジロウミツバメとコシジロウミツバメの違いを簡単に紹介します。
実は、私が初めて調査に同行した2年前にも見分け方を教えていただいたのですが、名前と色に混乱させられ続けていたので、白黒つけるために今回改めてもう一度教えていただきました。
見分けるポイントは色です。
〇クロコシジロウミツバメの方が全体的に黒みがかる。
〇白い部分の羽軸がクロコシジロウミツバメは白く、コシジロウミツバメは茶色っぽい
クロコシジロウミツバメ↓
コシジロウミツバメ↓
写真で比較すると分かりやすいですね。え?黒さが分からない?
私も実物を見ても体色の違いがよく分かりませんでした。ウミツバメは海上で見られるので、双眼鏡で白い部分の羽軸を頑張って確認してくださいね。
さて、今回の調査では80基ある巣箱の中を一つ一つ確認していきました。
なんとクロコシジロウミツバメは5基で抱卵していることが確認できました。たった5基?と思うかもしれませんが、昨年度までは最多で4基でしたので、1基増えて記録更新しました!
コシジロウミツバメも巣箱を利用しており、今年度は25基で抱卵または雛が確認できました。ちなみに巣箱にいた成鳥の内3羽は以前に巣箱で生まれ育った個体と判明しました。
私も実物を見ても体色の違いがよく分かりませんでした。ウミツバメは海上で見られるので、双眼鏡で白い部分の羽軸を頑張って確認してくださいね。
さて、今回の調査では80基ある巣箱の中を一つ一つ確認していきました。
なんとクロコシジロウミツバメは5基で抱卵していることが確認できました。たった5基?と思うかもしれませんが、昨年度までは最多で4基でしたので、1基増えて記録更新しました!
コシジロウミツバメも巣箱を利用しており、今年度は25基で抱卵または雛が確認できました。ちなみに巣箱にいた成鳥の内3羽は以前に巣箱で生まれ育った個体と判明しました。
使われていない巣箱もあり、クロコシジロウミツバメの巣箱利用率を上げることが課題の一つとなっています。
自然の巣穴も何個か見られ、どちらの種も調査区以外の島内で繁殖しているはずですが……日出島はウミツバメ両種にとって理想の環境とは言い難くなってしまいました。
自然の巣穴も何個か見られ、どちらの種も調査区以外の島内で繁殖しているはずですが……日出島はウミツバメ両種にとって理想の環境とは言い難くなってしまいました。
日出島ではオオミズナギドリも繁殖しており、巣穴の密度が高い状態が続いています。沢山のオオミズナギドリが巣を掘ることで地表が荒らされ草が育たず、腐葉土が雨などで流されてしまい、ウミツバメの繁殖には適さない環境になっているのです。
そのため、調査区の1か所ではオオミズナギドリは通れずウミツバメが通れる大きさの網目の金網を敷設し、オオミズナギドリが巣を作れないようにしてあります。
そのため、調査区の1か所ではオオミズナギドリは通れずウミツバメが通れる大きさの網目の金網を敷設し、オオミズナギドリが巣を作れないようにしてあります。
金網が敷いてある区画は草が育ってきており、去年の春にはカタクリが咲いていました。
ミズナラの幼木も育ってきています。樹木は日陰を提供し、枯葉は巣材に使われ、時間をかけて腐葉土になり、ウミツバメが繁殖しやすい環境を作ります。踏んだり折ったりしないように気を付けながら、成長を見守っています。
ミズナラの幼木も育ってきています。樹木は日陰を提供し、枯葉は巣材に使われ、時間をかけて腐葉土になり、ウミツバメが繁殖しやすい環境を作ります。踏んだり折ったりしないように気を付けながら、成長を見守っています。
コシジロウミツバメは9月頃、クロコシジロウミツバメは10月頃に巣立ちます。
無事に成長して生き抜き、また日出島に戻ってくることを願っています。
過去の日出島の記事はこちら
無事に成長して生き抜き、また日出島に戻ってくることを願っています。
過去の日出島の記事はこちら
※日出島の上陸や野鳥の調査は関係法令の許可を得て実施しています。
