アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]
クロコシジロウミツバメの雛、確認!
2020年09月28日こんにちは、宮古自然保護官事務所の古館です。
去る9月8日に国指定鳥獣保護区の日出島へ調査に行ってまいりました。
今年度の調査は7月に続き2度目。今回は、今まで設置した巣箱で実際に雛がかえっているか確認することが調査の目的で、私は今年度初同行でした。
【左:ナラ枯れ、右:ミズナラの幼木】
日出島に上陸すると目に付くのが立ったまま枯れた木々。これは周辺で猛威をふるっている"ナラ枯れ"というナラの木を枯らしてしまう"カシノナガキクイムシ"の媒介(通称:ナラ菌)によるものです。今まで日陰をつくってくれていた木々が枯れてしまい、海鳥にも影響が出るのではと危惧していますが、巣箱を設置している区域でミズナラの幼木を発見しました。このまま順調に生長してほしいものです。
そして、こちらは調査区域の一部。
四角い板は巣箱の日よけで、この日よけの下にある巣箱を1つ1つゆっくりと開けて確認していきます。今回は7月に親鳥や卵の確認があったところを中心に調査します。
こちらの区域では、クロコシジロウミツバメの成鳥が抱卵しているのとコシジロウミツバメの雛がかえっているのを確認できました。
両種似ているため見分けが難しいですが、山階鳥類研究所の方に教えていただいたところ、尾羽の白い帯がくっきりと出ているのが一番見分けやすいポイントだそうです。
【左:クロコシジロウミツバメの尾羽拡大、写真右:クロコシジロウミツバメ成鳥】
※クロコシジロウミツバメは種の保存法により国内希少野生動植物種に指定されており、
許可を得た専門家が捕獲しています。
コシジロウミツバメの雛は、ふ化したタイミングが異なるため生育にも差があり、産毛が取れ、飛ぶための羽が生えそろい始めてきている雛と、まだ産毛に覆われたままの雛とそれぞれ確認できました。
【左:産毛がほぼ取れた雛、右:産毛に覆われている雛】
そして、もう1つの調査区域で最後にフタを空けた巣箱内に...
ついにクロコシジロウミツバメの雛を確認!親鳥は不在で、エサをとりに海上へ飛んでいっているようです。
さっそく体重測定をすると33グラムでした。産まれて間もない雛で、一人前になるのは11月頃のようです。それまでこの巣箱で無事に育って、羽ばたいていってくれることを願います。
ではまた!
過去の日出島調査についての記事はこちらから↓
2020.3.17 http://tohoku.env.go.jp/blog/2020/03/2019_1.html
2019.8.19 http://tohoku.env.go.jp/blog/2019/08/vol42019.html