ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

秋田

1036件の記事があります。

2007年12月17日金のリングに魅せられて

秋田 足利 直哉

 もうすぐクリスマスだからプレゼントを選ぼうと思ってジュエリーショップへ!すると可愛らしい金のリングが目に留まって・・魅せられたようにあの人の指に輝く様子を想像すると・・・なんて言う話ではありません!!

 先日の日記でも書きましたがこの頃の大潟草原はガン達で賑わっているのでその様子を観に行ってきました。ガンやハクチョウの居そうな場所は何ヶ所かあるので事務所から近い順番に回って姿を探していました。
 何処に行っても見つけられるので「何処に何が何羽」と言った具合にメモを取っていきました。車を少し進めては双眼鏡で、時にスコープで鳥の姿を捉えます。遠くの田んぼの中を観て移動してると直ぐ横から視線を感じたんです・・。

 その視線を投げかけていたのが、ずーっと『会いたい』と願っていて休日も何回か足を運んでチャンスを心待ちにしていた「意中の鳥」で、偶然しかも至近距離で目が合ってしまいました。写真で見ていた時も瞳のリングに魅せられていましたが実際の金のリングはもう何と言っていいのか・・・

カメラを構えるとそっぽを向かれましたが・・・

「こっちを向いて」と呼びかけると向いてくれました。

今年一番のショットになりました。念願が叶った気分は最高です!!

 コミミズクは猛禽類の仲間なのですがこの表情はもう反則ですね!魅せられちゃって大変です・・笑 どれくらい経っていたのか分かりませんが目のあった瞬間に金のリングに引き込まれていきました。 
 写真に夢中になってちゃんと観察できないのも悲しいので数枚シャッターを切ってからじっくり観察していました。首だけを人間ではあり得ない角度まで回転させたり、小さな体に似つかない大きな羽を広げてみせたり、最後には音もなくスーッと飛び去っていきました。

ページ先頭へ↑

2007年12月14日ヒシクイ、あきたこまちを食べる

秋田 足利 直哉

 秋田県内でガン・カモの飛来地として知られているのが県北部の能代市にある小友沼(おともぬま)です。そこでガン・カモの飛来数調査などの活動をしている方の情報では「小友沼をねぐらにしているヒシクイは3000羽を越えた。」と言うことでした。
 これまではマガンに混じって観察されることの多かったヒシクイでしたが、最近はヒシクイを主体とする大きな群れが大潟村の水田で盛んに落ち穂をついばんでいる姿が観察されるようになってきました。数が増えてきていることが実感されます。

落ち穂をついばむヒシクイの群れ。

 大潟村の水田は稲作が盛んな秋田県内にあってもその広さは群を抜いていますが、その広い水田がヒシクイで埋め尽くされるようになってきました。それほどの数のヒシクイの腹を満たす食料があると言うことなのでしょう。気になったので彼らが去った後の水田を見てみました。するとあるはあるは・・稻藁の中に実の詰まった穂が大量に落ちています。収穫の際にこぼれたのでしょうが私の予想を超えた量の穂が落ちていました。触ってみても実が詰まっているのが分かります。

水田に落ちている穂。美味しい「あきたこまち」ですよ!

 ここに来ているヒシクイは殆どが小友沼をねぐらにしていて、毎朝7時前後にねぐらを出発して大潟村にやってきます。大潟草原鳥獣保護区内をねぐらにしているヒシクイもいますから、毎日相当な量の「あきたこまち」の落ち穂が消費されています。それでも大潟村に来ている限りは食糧難に苦しまずにすみそうな感じがします・・。

おなかいっぱい食べたのでしょうね?ヒシクイの糞もあちらこちらに落ちています。

 これほど充実した食料がありますからヒシクイ・マガンだけでなくちょっと珍しい鳥の姿も見られます。先日は日本野鳥の会秋田県支部の方から「サカツラガンいるよ」と教えてもらって会いに行ってきました。小友沼にはシジュウカラガンも居るそうです。更に一時新潟県の大鳥池に行っていたあのハクガンも戻ってきています。

ヒシクイの群れの中にいるサカツラガンに会うことが出来ました。居るという情報を聞いていましたが、探して探してようやく見つけられました。

ページ先頭へ↑

2007年12月13日鳥の巣もいろいろ

秋田 足利 直哉

 最近、大潟草原を巡視していると主が去って廃墟(?)となっている鳥の巣を見かける事が多くなりました。同じ場所は何回も通っているはずなのに・・今まで見つけられずにいました。以前の私の日記で大潟草原鳥獣保護区のB区と呼んでいる地区で見つけたコジュリンの巣を紹介しましたが、今回はA区と西区で見つけた鳥の巣を取り上げます。

【アオジの巣】
外径11~12cm・内径7~8cm
巣の全高13cm・巣内部の深さ7cm
地上からの高さ1m
巣材:枯草が主で小枝、松葉等も混じる。ビニールテープといった人工物も使っている。
環境:アカシア林の林床にあるイタチハギの木を利用している。周囲は藪になっているが南側を水路が通っていて60cmほどで開けた空間が広がる。

【アオジの巣】毎年この周辺で繁殖しているそうで、今年も管理員さんが観察していました。この近くに2つの巣がありました。

【コジュリンの巣】
外径10cm、内径5.5~6cm
巣の全高6cm、巣内部の深さ3.5cm
地上からの高さ1m
巣材:枯草や木の根、ツルなどが絡み合う。
環境:ヨシ・ススキの草原の中で大きな塊となっているノイバラの木を利用している。B区とよく似ている。

【コジュリンの巣】B区の時もありましたがA区でも繁殖していました。よーく見ると卵の殻が残っています。巣から出さなかったのでしょうか?

【ハシボソカラスの巣】
地上から約3mの場所にあってサイズの計測は出来ません。
巣材:枯枝が大半でビニールひもや釣り糸などの人工物も利用。(針は着いてなっかたんだろうかと心配・・)
環境:承水路沿いのニセアカシアの木を利用。この周囲で一番高い木だと思われる。

【ハシボソカラスの巣】西区の承水路沿いにあります。ここでも管理員さんは雛が居るのを確認しています。巣立ちのタイミングは見逃したそうですが・・

 これからの大潟草原は日本海から吹き付ける強烈な風雪に見舞われる事になるでしょうから、これらの巣も壊れてしまうかもしれません・・。鳥の巣と一口に言っても実に様々な形態があって巣のある環境も様々です。実際に見ると「上手く作ってあるな~」と感心してしまいます。
 来年以降はこの巣のあった場所を丹念に観察していけば営巣、抱卵、育雛、巣立ちなどの観察ができるかもしれません。そう考えるとワクワクしてきます。

ページ先頭へ↑

2007年12月11日マイナス2mからの眺望

秋田 足利 直哉

 大潟草原鳥獣保護区のある大潟村は八郎潟(かつては琵琶湖に次いで日本で2番目に大きかった湖)を干拓して生まれた村で、その殆どが標高マイナス1~2mと海水面よりも低い陸地です。(海抜0mよりも低いという意味で!)大潟草原鳥獣保護区も同様にマイナス1~2mの標高です。
 一般的には標高の高い山などが眺望の利く展望地となりますが、海よりも低い干拓地も眺望はなかなかのものです。村には高い建物もなく(最も高いホテルで8階建です)、山なんて当然ありませんから障害になる物が少ないのです。
 
大潟草原から見える代表的な山に絞って挙げてみますと・・
 男鹿三山(最高峰本山715.2m)→地図上の距離(以下は省略)19.9km
 太平山(最高峰奥岳1170.4m)→38.9km
 森吉山(最高峰向岳1454.2m)→51.2km
 藤里駒ヶ岳(1157.9m白神山地の東部にある)→51km
 鳥海山(最高峰新山2236m)→100.8km

明確な基準があるわけではないようですが、「眺望」を追い求める方々の間では視程距離100kmを越えると『遠望』150kmを越えると『超遠望』として捉えるそうです。上の例はあくまでも地図上の距離ですから大潟草原のマイナス2mから標高2236mの鳥海山の山頂が見えれば視程距離は三平方の定理を使って距離100.8kmの2乗+標高差2238mの2乗の和が視程距離の(直線での距離)の2乗に等しいことになりますよね?

大潟草原から見た森吉山

鳥獣保護区管理棟から見た白神山地東部

上高地に肖像レリーフがあることでも知られる木暮理太郎氏は山岳展望の先駆者としての顔も持っていて、木暮氏は「東京から苗場山を見た」と言う記録も残っています。それは完全に超遠望と言える距離です。
 これからの季節は気象条件としての視程障害も少なく、遠望のきく日も多くあるかもしれません。海より低い陸地の大潟村からでも遠望の世界を楽しむことが出来るんですから!!
 何気なく眺めている窓からの景色の中にも『遠望』『超遠望』の世界があるかもしれませんよ?

ページ先頭へ↑

2007年12月10日あるブナの定点観測

秋田 足利 直哉

 今年の7月上旬から森吉山麓高原のあるブナを対象にして定点観測を続けてきました。先週そのデータをまとめましたので、一つの試料になれば・・と思い今回の日記を書きます。
 始めてからの2ケ月位はあまり変化を感じられず、その前を通過する度に条件反射的に撮影していてじっくり観察することもなかったのですが、改めて見返すと実は日々変化していたことに今更ながら気付かされます。

7月12日撮影

8月19日撮影

9月4日撮影

10月14日撮影

10月23日撮影

11月27日撮影

 実際にはこの倍くらいの写真があるのですが、ここに載せただけでも大きな変化が見て取れるかと思います。分かりやすいところでは10月14日に撮影した写真以降の変化は劇的ですよね。また前半もよく見ると僅かながら変化しているかな?と感じられます。(もちろん天候などの条件が異なるので一概には言えませんが・・)今年はやり始めたばかりで試料としては弱いかもしれませんがこれからも継続して定点観測を続けていくつもりです。
 改めて見て、定点観測って普段は気付かないことを気付かせてくれる観察方法だな!と感じました。

ページ先頭へ↑

2007年12月06日撮影にも愛を♪

秋田 足利 直哉

 今時、出かけるときにはデジカメは必需品ですよね?私は普段から私物を持ち歩いていますし、携帯電話のカメラ機能も5MEGA PIXELの物を使っていつでも、何処でも気楽に写真が撮れるようにしています。(私物や携帯は万が一仕事用のデジカメを忘れたり充電を忘れた時のための保険的な意味もありますが・・)
 当然普段の業務でもデジカメは必需品です。最近よく撮影するのが野鳥です。記録用として手当たり次第(?)に写真を撮ります。撮った写真の使い道は色々ですが、種類がわからない鳥の写真を撮ってきて後で図鑑で調べることがよくあります。自分のメモ代わりですから中にはひどい写真も沢山あります・・ハズカシナガラ・・で、図鑑を見て解決すればいいのですが時々自力で解決できなくて鳥獣保護区管理員さんに教えを請うことがあります。
 その時に指摘されたことです。曰く「記録写真だからしかたないとも言えるけどこの写真は痛々しいな・・」と言われました。どんな写真だったかというと・・・

悪い例 【カシラダカ】ミヤマホオジロと判別できなくてこの写真を見て教えてもらおうとしました。

『痛々しい』の意味が分かりますよね?木の枝が邪魔になっているだけでなく鳥の体を貫いているように見えます。この様な写真は野鳥愛好家達が『串刺し』と言って、特に鳥の場合は最大のNG行為なのだそうです。そう言われると急に胸が締め付けられるような感覚になりました。実際はこの後、羽ばたいて行ったのですが何か悪いことをしたような気分になってしまいます・・

良い例 【モズ】これだと自然な感じだし、枝もそれほど気になりませんよね?

そう!!私の写真の撮り方は手当たり次第で『愛』が足りなかったのです。メモだからといって何を書いても良いのではないのと同じで、写真も何でも撮れば良いっものでもないんですよね?今では写真を撮るとき、その点を配慮して撮影しています。

ページ先頭へ↑

2007年12月05日今は狩猟地として

秋田 足利 直哉

 最近、大潟草原鳥獣保護区の管理員さんと話をすると「管理棟の周りはすっかり寂しくなった」と言うのが決まり文句です。春~夏にかけては小鳥が賑やかだったし、先月中頃までは池の中にカモがたくさん見られたのですが今ではそれも「・・夢のあと」といった雰囲気です。

 そんな中で時々姿を現すのがチュウヒやオオタカです。チュウヒは下をキョロキョロ見渡しながら旋回し、オオタカはお気に入りの木に留まって辺りを見渡している。そんな姿を見ることができます。まさに「獲物を探す」といった様子です。是非その瞬間を見たくて彼らの姿を追うのですがなかなかその機会には恵まれません・・。

 先日、管理棟前のヨシ原を歩いていると鳥の羽が散乱した現場を見つけました。捕食されたことは一目瞭然です。そこにはたくさんの羽が散乱していましたが黒っぽい地味な羽が多く「捕食されたのは何かな?」と色々考えながら拾っていました。間もなく緑色の光沢を放つ特徴的な羽を見つけました。「あっコガモだ!やっぱり可哀想だな・・」などと複雑な心持ちで拾い続けるとどうも別の鳥の羽が混じってきました。「あれっ?」と思い、立ち上がって見渡すと数は少ないですが確かに別の鳥の羽も散乱していました。こちらはまだフワフワ感が残っていたので大半は風で飛ばされたのでしょうか・・その柔らかい羽を集めながら「キジかな?」と見当をつけて帰ってきました。

【コガモ♂】の羽。

【キジ♀】の羽。

 事務所で図鑑を使って調べてみるとどちらも見当通りだったようです。大潟草原は営巣地、繁殖地、休息地、中継地などと時期によって、また鳥の種類によって様々な性格を持っていますが、今はチュウヒやオオタカたちの狩猟地となっているようです。捕食される側から見れば終焉地となるのでしょうか・・これからもっと色々な性格が見えてくるようにアンテナを張っていかないと!!と思っています。

 そう言えば・・先日管理員さんからこんな話を聞きました。「このあいだ、管理棟から見える池の辺りでオオタカがゴイサギを捕らえたんだよ!いつもの木にずっと留まっていて狙いを定めたんだろうな~いきなり飛んであっという間にゴイサギを捕まえたんだよ!!仕留めるのもあっという間だった。それからオオタカは時々周りを気にしながら1時間20分くらいで食べ終わった。ずっと見てたけど凄かったな!!いや~興奮した!!」と言うことでした。やっぱり私もそんな現場見てみたい!!

ページ先頭へ↑

2007年12月03日ここに行けば・・

秋田 足利 直哉

12月になり、この先の秋田県地方の天気予報はずらっと雪だるまが並びました。いよいよ冬将軍が到着した模様です・・今年の将軍の実力やいかに?
先日カメムシと積雪の関係の記事を書きましたが、場所によってはカメムシ大発生といった地域もあったようです。さてさてどうなりますか?

冒頭から滅入りそうな感じになってしまいましたが、こんな時期に熱い人達がいらっしゃいます。それは野鳥愛好家達!!
彼らを熱くさせているのは猛禽類。先日も秋田の愛鳥家の間に「オジロワシが来た!」と言うニュースが駆けめぐったばかりです。残念ながら私はまだお目にかかってませんが・・
大潟草原にもハイイロチュウヒやケアシノスリが来てますよ!!冬の鳥というと水鳥を思い浮かべますが猛禽の迫力も魅力的です。そんな彼らの姿を多く見られるのが大潟草原鳥獣保護区の東区に接する秋田県立大学大潟校の実習田や実習畑・牧草地となっている広大な敷地です。勿論保護区内にもやってきますが、より観察しやすいのはこちらです。先月の野鳥観察会でもここで猛禽の観察をしました。
この敷地内に生息するネズミなどの小型ほ乳類やキジなどを狙って上空を旋回したりホバリングする姿が見られます。


【チュウヒ】地面を見ながら獲物を探していました。

おなじく【チュウヒ】獲物を見つけたのでしょうか?急降下していきました。

【ノスリ】ほぼ確実に出会えるでしょう。よく見ると愛嬌のある顔つきをしています。

【トビ】これもほぼ確実に出会えるでしょう。羽の色の明暗などに注目するとかなりの個体差に気づきます。

【ハイイロチュウヒ♀】11月の上旬から見られるようになりました。雄は中旬にようやく確認しました。

勿論天候などにもよりますが、ここに行けば多くの猛禽たちに出会えるでしょう!しかし・・
ここは秋田県立大学のご厚意によって野鳥観察をさせていただいている場所です。本来は学生達が実習するための敷地です。そのことを片時も頭から無くすことなくマナーを守って観察してください。

ページ先頭へ↑

2007年11月29日鳥たちの警戒心

秋田 足利 直哉

 先日、雪の中の森吉巡視で不思議な体験をしてきました。と言うとちょっと大げさなのかもしれませんが・・・
 桃洞滝まで行って戻ってる最中でした。そこは湿地帯で夏であればそこら中に水が溢れてぬかるんでいるような場所なのですが、そこに差し掛かったとき何種類もの鳥の声を聞きました。私が歩いてきたからびっくりしたのかな?と思っていたのですが、鳴き声は遠ざかりません。それどころか私の直ぐ近くでコゲラやアオゲラやアカゲラがドラミングをしています。他にもたくさんの鳥が直ぐ近くで飛び回っています。

 普段であれば人間が近づくと直ぐに飛び去っていたはずなのに・・・その時の私は何とも言えない体験をしている気分でただただ眺めていました。そのうち正気(?)を取り戻して「そうだ!カメラ!」とカメラを取り出して撮影しだしました。それでも離れようとはしません。そのうち撮影に夢中になりアングルを変えるためにウロウロしだしましたがそれでもまだ離れません。それなら!と近づいていったその時・・・一斉に飛び去ってしましました。あれだけ賑やかだったのに突然静寂に包まれました。

【コゲラ】小さな体ですがドラミングの音は力強かった!

【アオゲラ】近くでドラミングを繰り返し、この日一番サービスしてくれた。

今、思い返しても不思議な感じがします。歩き疲れて気配が消えていた?こんな時期に山を歩いているから人間と認識されなかった?まぁそのどちらでもありませんよね・・実際近づこうとしたら飛んでいってしまったんですから。でもいつもよりも確実に距離は近かった。彼らの警戒範囲が狭まっているのでしょうか?

そう言えば・・秋田の鳥愛好家さん達から「伊豆沼辺りにいるガンカモ達は直ぐ近くを車が走っても平気なのに大潟のガンカモは警戒心が強くてカメラに納められる範囲にすらなかなか近寄れない」といった言葉を良く聞きます。私も週末に伊豆沼に行ってきたのでそれは実感できます。
鳥たちの警戒心・警戒範囲は場所や時期によって変わってくるのでしょうか??

ページ先頭へ↑

2007年11月28日まだ冬眠前

秋田 足利 直哉

 昨日積雪後初めて森吉に巡視に行ってきました。県内有数の豪雪地帯ですから私の住む秋田市内とはその量が全く違います。秋田市にいて森吉の正確な状況を把握するのは難しいのです。そこで週末に周辺に出かけた人の情報を集めて「まだ行けそう!」との判断で行ってきました。

 森吉山麓高原までの道路の積雪状況ですが・・県道は全く無し。市道は入口から西ノ又沢までは路肩に雪が見える程度。西ノ又~東ノ又は道路一面に雪があるが車の轍があって通行可能。東の又からは雪の量が増え車の下部に雪がこすれる。次第に轍もなくなり牧場から上部は一面の雪世界です。当然車での通行は無理です。

 ですからいつもよりだいぶ手前に車をデポして歩き始めます。この時期は雪の上に動物の足跡がたくさんあって楽しさが1ランクあがります。(動物の足跡については以前の日記を参考にしてください。)この日もニホンカモシカトウホクノウサギホンドタヌキなどの足跡がたくさんありました。その中に・・

ツキノワグマの足跡】右前足を置いた場所に右後足、左前足を置いたところに左後足とキッチリ几帳面に歩いたようです。

足跡が二つ重なっていますが、より大きな後足の痕跡がクッキリと分かります。

 私の行き先を横切るように、時にはこちらに向かってくるように足跡が残っていました。「しかしこんな時期にまだ食料はあるのだろうか?」と思っていましたが・・・ありました。ヤマブドウです。私はてっきり高いところにあるヤマブドウは鳥の餌になるのだと思っていましたが、実際は鳥には不人気食材のようです。寒くなって甘みを増し、完熟状態のヤマブドウが雪の上にたくさん落ちていました。一つ味見をしましたが雪の上で適度に冷やされ、甘くてさっぱりした後味が癖になりそうです。ヤマブドウは雪の上にたくさん落ちています。その近くには・・

完熟ヤマブドウが落ちている場所にはツキノワグマの足跡がいっぱい。

 ツキノワグマはヤマブドウが大好きなのですが、わざわざこの時期まで完熟して落ちてくるヤマブドウを待ちわびていたのでしょうか?っていうかまだ冬眠しなくて大丈夫なのかよ?と要らぬ心配をしてしまします・・・

ヤマブドウを食べたツキノワグマの糞。丸ごと食べて種は消化されずに排便される様子が分かります。

【ヤマブドウ】これは1ヶ月ほど前に森吉山野生鳥獣センターからの帰り道、道路で拾った物です。
 
 これから山に入る予定のある方々はまだ熊対策が必要です。私も熊鈴を付けて歩いてきました。「雪も降ったし、こんたに寒いし熊ももう冬眠さ入ったべ!」なんて油断は大敵です!!

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ