東北地域のアイコン

東北地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

コアジサシの繁殖を願って 蒲生干潟

2024年04月24日
仙台 鎌田 和子
こんにちは、仙台自然保護官事務所の鎌田です。
国指定仙台海浜鳥獣保護区を巡視してきましたので,春の海岸の様子をお伝えします。
まずは、植物を紹介します。
仙台海浜鳥獣保護区の蒲生海岸はコウボウムギが満開
仙台海浜鳥獣保護区の蒲生海岸では、セッカやヒバリ、ウグイスのさえずりが響き、コウボウムギの雄花が満開でした。地味ですが、これも花です。
コウボウムギの雌花
こちらは、コウボウムギの雌花です。今ようやく砂の中から顔を出した状態、砂粒を纏って白ぽっくみえます。実になり目立つようになるのは6月頃になります。
ハマエンドウの花
ハマエンドウの花も咲きだしていました。これからの海岸は、ハマヒルガオ、ハマニガナなどの海浜植物が砂浜を彩ります。
次は春の恒例になりました大切な準備です。七北田川河口に近い海岸の盛り土を中心としたエリアに、コアジサシに今年も繫殖地として蒲生干潟の周辺を安心して利用してもらえるように、蒲生干潟自然再生協議会では蒲生干潟や海岸を訪れる皆さまにお願いの看板とロープを張りました。なお、5月には、シロチドリの繁殖エリアにも同様の看板の設置が予定されています。
コアジサシの繁殖地に人が立ち入らないようにお願いする看板
看板の設置は日本野鳥の会宮城県支部の皆さまが4月13日に行いました。
看板を拡大
看板には、「ここは絶滅危惧種コアジサシの繁殖地です。子育てが終わるまで離れて見守ってください。」蒲生干潟自然再生協議会からのおねがいです。
看板近くで見つけたゴルフボール
設置された看板の近くで見つけたゴルフボールです。コアジサシやシロチドリの営巣は砂浜に直に産卵するので、砂浜でのゴルフはしないようにお願いします。
また、こちらは蒲生干潟・日和山前の駐車場に設置してある宮城県の仙台海浜県自然環境保全地域の看板で、3月に板面を更新しました。
蒲生干潟・仙台海浜県自然環境保全地域の看板
板面の左上は震災前の蒲生干潟の風景(イラストマップ)、左下は蒲生干潟の生き物の紹介、右上は蒲生干潟自然再生協議会の誕生と取り組みについて紹介しています。右下の空欄には、今後、皆さまへのお願いや蒲生干潟利用のルールなどが掲載される予定です。
国指定仙台海浜鳥獣保護区の区域図は、東日本大震災から2か月経った平成23年5月に蒲生干潟の北側にある向洋海浜公園に設置しました。仙台海浜鳥獣保護区の制札や標識は全て津波で消失してしまったので、重要な区域図となります。
国指定仙台海浜鳥獣保護区区域図
国指定仙台海浜鳥獣保護区、特別保護地区の区域を地図上に示し、そこで見られる鳥類を写真で紹介しています。一般の利用者が多いこの場所に設置したのは、鳥獣を保護していることを知っていただくためです。
コアジサシの繁殖が成功するよう願いながら、蒲生干潟の様々な生き物たちの営みを引き続き見守っていきたいと思います。

昨年5月19日に掲載したAR日記も併せてご覧ください。
https://tohoku.env.go.jp/blog/2023/05/page_00141.html