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アクティブ・レンジャー日記 [東北地区]

東北地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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三陸復興国立公園 宮古

150件の記事があります。

2012年08月25日国立公園を利用してもらうために

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
宮古では、連日30度を超える暑さが続いています。震災後初めて海水浴場がオープンした浄土ヶ浜にはこの夏、大勢の海水浴客が訪れました。それまで、少し寂しかった浄土ヶ浜ですが、一気にかつての賑わいを見せました。例年ですとお盆を過ぎると夏が終わった感じがしますが、まだ観光客がちらほら見られ、今年の夏は少し長く感じます。是非、お時間がある方は、時より吹く心地よい陸中海岸の海風を感じにお越しください。

さて、今回は先日行った危険木・支障木の調査について紹介します。
8月22日(水)、森林組合の方と田野畑村の北山崎園地の危険木や支障木の確認を行いました。確認した木や枝は、後日森林組合の方々に処理をしていただくのです。

国立公園では、「禁止事項、規制が多い」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、自然とふれあっていただくための場所でもあります。ですから、安心、安全に利用してもらい、訪れた人に「来て良かった!」「また来たい」と思ってもらえるように、維持管理をしていかなくてはなりません。そのためには危険な木だけでなく、展望台からの景色も大切になります。昨日は、そのための調査でした。




危険な枝を確認します。





違和感なく見てもらえるようにこのようなことをするのも、大切なお仕事の1つです。
木が大きくなるまえに、手入れをします。





霧のない風景(以前に撮影したもの)





今回見た北山崎第一展望台からの風景



北山崎の第1展望台からは、幻想的な景色が見えていました。まっ白い霧に包まれた北山崎からの眺めもまた見事で、濃い霧が発生する陸中海岸国立公園ならではの魅力の1つです。景色が見えなくて残念と思うよりも、次にくる楽しみが増えた!みんなが見ていない景色を見ることが出来た!と思ってもらえれば嬉しいです。

陸中海岸国立公園は、これからの季節もまだまだ見所満載です。

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2012年07月19日―再び賑わう浄土ヶ浜への軌跡―

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
今日の宮古は、曇空で涼しい風が吹いています。長袖を羽織ってちょうど良い位です。宮古(沿岸部)に来るときは、念のために防寒対策をして来ることをお勧めします。


 前回の自然便りでは震災の影響を受けた植物を取り上げました。今回は今夏の利用者受け入れに向けて取り組んでいる浄土ヶ浜地区の様子について、紹介します。
岩手県から宮城県にかけて南北180kmに及ぶ陸中海岸国立公園は、平成23年3月に発生した東日本大震災により、全域にわたって甚大な被害を受けました。浄土ヶ浜地区においてもレストハウス、観光船遊覧施設、海岸歩道等、多くの施設が津波により破損・流出したほか、奧浄土ヶ浜の石浜形状も大きく変動しました。
早期の復旧に向けて、がれきの撤去や施設の安全点検、観光遊覧船等民間事業者の営業再開に向けた取り組み、また地域住民による清掃活動等、官民一体となった復旧作業が進められ、この夏は2年ぶりに海水浴場も開設されることになりました。
下の写真は、浄土ヶ浜の様子(震災の前、直後、現在までの経過)をたどったものです。

【奥浄土ヶ浜の浜の様子】



写真上 震災前の浄土ヶ浜です。
    干潮になると、写真左の岩までの道(砂洲)が現れてました。

写真中 震災後の平成23年4月18日の写真です。
    浜には、大量の瓦礫が流れ着きました。

写真下 平成24年7月17日に撮影しました。
    少しずつですが、元の形に戻ってきています。

【浄土ヶ浜レストハウス】

写真上 平成22年4月29日、リニューアルオープンした時の写真です。
写真中 平成23年3月11日の大震災で、壁と柱だけの姿になりました。
写真下 平成24年7月21日、建物の修繕が完了し、再び営業を開始します!

【浄土ヶ浜マリンハウス】



写真上 神秘的な海の空間「青の洞窟」遊覧の拠点として人気を集めていたマリンハウスです。
     いつも、多くの人で賑わっていました。

写真中 震災では、壊滅的な被害をうけました。

写真下 全国各地から、応援メッセージが届き、平成23年7月16日にプレハブを建てて営業を再開。
     この夏建物の修繕も完了しフルオープンです。


 なお、浄土ヶ浜海水浴場開設期間の7月21日~8月19日の間、安全の確保ができた海岸歩道の一部(マリンハウス前から観光船発着場、砥石浜から奥浄土ヶ浜)が解放されることになりました。浄土ヶ浜ビジターセンターから災第の見所である奥浄土ヶ浜まで、海を近くに感じながら歩くことが出来ます。

詳細は→環境省HP http://c-tohoku.env.go.jp/pre_2011/0725a.html


ぜひ、陸中海岸に来て、現地を見てほしいと思います。そして、たくさん楽しんでいってもらいたいです。

環境省では引き続き、浄土ヶ浜地区を安全かつ安心に利用することができるよう、トイレや海岸歩道等の復旧・再整備について岩手県や宮古市の協力を得ながら取り組んでいます。

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2012年07月12日オオハンゴンソウ駆除活動

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
今日の宮古は朝から雨が降っていましたが、少し前からあがり、空が明るくなってきました。

今回は外来種駆除の活動について紹介します。
7月7日の陸中海岸国立公園北部地域のパークボランティア活動では、特定外来生物のオオハンゴンソウ駆除作業を行いました。場所は岩手県久慈市の横沼漁港周辺の自然歩道です。
現地につくと、まずその株の多さに驚きましたが、早速作業に取りかかります。


この時まだ開花はしていませんでした。葉です。もう少しすると、黄色い舌状花を付けます。

根がしっかりと張っていて引き抜くのには、力とコツが必要です。力任せに引っ張ると、途中でブチッと切れてしまうので、バールやスコップなどを用いました。大きいものだと、170㎝を越えるものもありました。体全体を使って引っこ抜きます。



「オオハンゴンソウ駆除作業中」と張り紙をして活動を開始しました。



この日は濃い霧と雨に見舞われましたが、あっという間に時間が過ぎ・・・約3時間で45リットル×35袋分回収をしました。「来年の今頃、オオハンゴンソウでいっぱいだったこの場所に、ニッコウキスゲが見られればいいなぁ」という声も聞こえてきて、期待を抱きながら作業を終了しました。顔や服など、みなさん泥だらけになった姿をみながら改めて活動の充実感を分かち合います。汗をかいた体に海風が気持ちよく吹きます。漁港では、ウニの口開けが行われており夏の到来を感じさせていました。

今回は3時間の作業で終了しましたが、久慈市の自然歩道にはまだまだオオハンゴンソウは残っています。今回の作業をスタートとして、今後の対策を検討して行きたいと思います。



 作業前の状況



作業後の状況


特定外来生物(植物)とは

外来種とは、もともとその地域にいなかった生き物で、人間活動によって外部から持ち込まれたものをいいます。中でも、生態系や人の生命、身体、農林水産業への被害を防止するため、「外来生物法」により、その取り扱いが厳重に規定されている生物種が、特定外来生物(植物)です。(オオハンゴンソウは、この特定外来生物に指定されています。)
栽培、運搬、保管、輸入、植える/蒔く、許可を得ていない者への譲渡、引き渡し(販売含)が禁止されています。
外来生物被害防止3原則:「入れない」「捨てない」「拡げない」を心にとめ、適切な対応とご理解ご協力をお願いいたします。

外来生物は身近なところに存在しています。
まずは、知る事から始めましょう!
詳しくは、こちらをご覧ください。
http://www.env.go.jp/nature/intro/2law/lawoutline.html

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2012年07月03日~陸中海岸の浜辺の花~

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

 昨日から宮古では濃い霧に包まれ、少し肌寒いです。いつもと違って、霧にすっぽりと包まれた街や海、山は今の時期にしかみられない風物詩です。

 さて、今回は陸中海岸の浜辺に咲く花を紹介します。

 震災前の今頃、陸中海岸の浜辺では可愛らしい植物を見ることができました。ハマエンドウ、ハマナス、ハマヒルガオなど、本当に沢山の海浜植物が浜辺を彩り、訪れる人を迎えていました。
 そして震災の爪痕が残る今、浜辺で植物は少しずつではありますが、株を増やし、力強い姿を見せてくれています。


【野田村・十府ヶ浦】
 ハマヒルガオ、ハマベンケイソウ、ハマナス、ハマエンドウが咲いていました。


【宮古市・真崎海岸前】
 法面にたくさんのニッコウキスゲが咲いています。


【普代村・普代浜】
普代浜には、ハマヒルガオの他にハマナスやハマエンドウも見ることができました。


 

【宮古市・女遊戸浜(オナツペ)】
ハマナスの香りが浜を包みます。



再び浜いっぱいに広がる植物が見られますように・・・。そんな想いを込めて清掃活動のイベントを行います。


「陸中海岸の浜辺に再び花を!プロジェクト」

 日 時:7月21日(土) 9:00~14:00  ※ 雨天中止

 場 所:宮古市 栃内浜 (集合場所は浄土ヶ浜ビジターセンター)

 持ち物:昼食、飲み物 ※軍手はこちらで準備します。

 内 容:栃内浜の海岸清掃と、拾った貝殻などを使ってオリジナルクラフト作り。

 参加費:子供300円、大人500円(保険料・クラフト代込)

 申し込み・問い合わせ:浄土ヶ浜ビジターセンター(0193-65-1690)
            http://www.jodogahama-vc.bz-office.net/

 

~栃内浜~
ハマベンケイソウやハマエンドウなどの他にハマナスの群生地でもありました。
潮の香りとバラのような香りが広がっていた浜辺です。

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2012年06月19日浄土ヶ浜に漂着したアカモク

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

「アカモク」ご存じですか?(秋田県では「ギバサ」と呼ばれているようです。)
 アカモク(正式名称:ホンダワラ科アカモク)とは、ワカメ、メカブ、コンブ、ヒジキの仲間で褐(かっ)藻類(そうるい)と呼ばれる海藻です。浮袋(気泡)を持っていて、水中でまっすぐ生育しています。1年草で、真冬に芽を出し、4月から6月に繁殖をし、それを終えると自ら根を放しその生涯を終えます。全国で見られる海藻で、水深3m~4mのところに生息します。

 今週、アカモクが宮古市浄土ヶ浜の浜辺に大量に打ち上がりました。海面もアカモクでいっぱいです。6月11日(月)から浄土ヶ浜では、浄土ヶ浜をきれいにする会、周辺施設のスタッフやボランティアの方々による除去作業が行われました。「毎年、この時期になるとアカモクが打ち上がるがこんなに大量なのは見たことがない!」といっていた方もいらっしゃいます。

海面に浮いたアカモクを船で回収し陸に揚げ、それをゴミ袋に入れるという作業です。海に浮いている部分はほんのわずかで、少し拾い上げると、そこから5~6メートル根まで続きます。長く伸びたアカモクはとても重たくて全身を使います。みんなが、声を掛け合って夕方5時過ぎまで作業を行いました。
マリンハウス前の浜が終わると、次の日は朝から奥浄土ヶ浜です。船やボートに乗って集める人や、男の人たちは、腰まで浸って海面のアカモクを陸まで引き寄せてくれました。それを陸まで上げる人、長いままのアカモクを袋に入れやすい様に切ってくれる方、袋に入れる人、袋に入れた物を運ぶ人、みんなが役割を持って効率良く作業のスピードも上がります。観光客からは「がんばって~!」という声援もありました。時間はあっという間に過ぎ、気づくともう夕方です。集積されたものを見ると、その量の多さに驚きます。

約4日間、みんなが一丸となって、浄土ヶ浜を綺麗にしました。約40トンもの回収量です。

 今回、何らかの影響で大量に漂着したアカモクは、水質浄化作用があると言われています。魚の産卵場所となり、小さな魚たちにとっては、外的から身を守ったりゆりかごの役目もしています。おとなりの山田町では、アカモクを有効活用した栄養たっぷりのラーメンや佃煮、そして以前はソフトクリームも開発、発売されていました。生きものを育てる大切な役割を持ち、食べてもおいしいアカモク。様々な研究がされているようです。

 これから夏がきます。7月には震災で休業中だったレストハウスもオープン予定ですし、海水浴場も開設予定です。海の恵み豊かな陸中海岸国立公園に是非おいでください。
 
 今回のように国立公園は地元住民やボランティアの方々の力によって美しく保たれています。多くの人に憩いの場として活用してもらいたいと思います。


大量に浮かぶアカモクです。

これは、ほんの一部。みんなでアカモクを袋詰めしています。

アカモク

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2012年05月21日復興への前進 ~浄土ヶ浜のトイレ第1号~

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
今日の宮古周辺はあたたかく、浜辺では磯とりをする人や、お孫さんとお散歩をする人を見ました。
サクラの花は終盤を迎え、今はチゴユリが見頃を迎えています。チゴユリが咲くと、今度は、マイヅルソウが花を咲かせます。


さて、今日は復興へむけて、うれしいニュースがあるので、お知らせします。
ついに、浄土ヶ浜のマリンハウス前のトイレが、完成します!
このトイレは、浄土ヶ浜マリンハウスの前にあり、3月11日の大震災により、大きく被害を受けたトイレです。浄土ヶ浜の浜辺にあった3カ所のトイレは震災により、すべてが使用不可能状態となり、今まで仮設のもので対応していました。
最近は、散歩や観光で浄土ヶ浜を訪れる人も多くなってきました。このトイレができあがるのを待っていた人も多いと思います。5月25日(金)から使用可能になります。あと、4日!みなさんに使用していただける日がくるのが待ち遠しいです。
女子、男子、そして車いすの方でもご利用いただけるように、バリアフリーのトイレです。新しくて綺麗なトイレ。この綺麗な状態をいつまでも保つため、利用する皆さんのご協力もいただければと思っています。

今回、古い配管を撤去する際に、携帯電話やお財布などが大量に出てきたそうです。トイレを使用するときは、携帯電話やお財布など便器内に落とさないように、十分に気をつけてください。

復興への取り組み、第1号の情報でした。

これは、2011年3月13日に撮影したトイレです。

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2012年05月08日祝・『「みどりの日」自然環境功労者大臣表彰』

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

この度、陸中海岸国立公園のパークボランティアである岩渕要夫(いわぶちよおふ)さんが『みどりの日自然環境功労者大臣表彰』を受賞されました。①保全活動部門②いきもの環境づくり・みどり部門③自然ふれあい部門④調査・学術研究部門⑤国際貢献部門の5つの部門があり、岩渕さんは、「③自然ふれあい部門」での受賞です。東京新宿御苑にて賞状授与式に出席し、部門を代表して副大臣より伝達されるという大役を務めてくださいました。

この表彰は自然環境の保全に関し、顕著な功績があった個人や団体を表彰するもので、平成11年度から行っています。今年度は5部門で計35件(個人16件・団体19件)が選ばれました。

岩渕さんは大正14年生まれ、今年で87才になります。今でも現役で、観察会やウォーキングイベントでは先頭を務め、ペースを崩さずに歩いてくださいます。マタギをしていた頃の話はとても好評です。平成3年から現在に至るまで、20年にも及び、自然歩道の危険木処理、清掃活動、そして技術向上の講習会などにも積極的に参加してくださっています。
「ボランティア活動をすることによって、みんなから元気をもらうし、健康のためにもなるから、続けられるんだよ」といつも言っています。その言葉の通り、体調を崩すことなく、ほとんどの活動に出席しています。
 
5月1日(火)は、宮古地区のパークボランティア会長と共に、宮古市長に表彰の報告をして来ました。


宮古市長へ報告。左は宮古地区のパークボランティアボランティア会長の田屋さん、中央が岩渕さん、右側が宮古市長


岩渕さんの受賞は、他のパークボランティアの人たちにも、大きな活動の活力となりました。大きく被災した陸中海岸国立公園ですが、これからも、このような方々とともに復興に向けて活動していきたいと思います。

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2012年04月11日東北海岸トレイルモニターツアー 第2回 報告

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

みなさん、こんにちは。
いつもなら、今頃にはすでに満開になっている事務所前のウメの花。まだ蕾です。

さて、今回は東北海岸モニターツアー第2回目の実施状況を紹介します。
第2回は、以下の日程で19名のモニター、21名の関係者に参加していただきました。

3月19日・・・姉吉~魹ヶ埼灯台~姉吉  7.6㎞
    本州最東端の灯台で知られる魹ヶ埼灯台。本州4端制覇を目指す人や、元旦には初日の出を見ようという人が、全国から訪れる場所です。
     
3月20日・・・漉磯~ロラン局跡地   5.1㎞
    急勾配の少ない歩道で、秋には色とりどりの葉で自然歩道が照らされます。紅葉が終わり冬になると音だけでなく、その時期しか見られない風景が発見できます。野鳥も多く見られ、1年を通して楽しめる自然歩道です。
     
ガイドを務めてくださったのは、自然公園保護管理員の清水さんと武藤さんです。少しなまりの入った言葉もモニターの方々には新鮮に聞こえたようでした。お二人はこの自然歩道の維持管理を担当されており、誰にも負けないくらいご存じで、愛情と熱意を持って日々歩道のパトロールをされています。

季節柄、花を見ることはできませんでしたが、ちょうど落葉した木々の合間から海を見ながら歩くことができました。海と断崖絶壁を見ながらに歩けることが、この自然歩道の最大の魅力だという声も聞きました。

今回は、最近登山を始めた人、海外のいろんなトレイルを何度も歩いている人、滝巡りが好きな人、地元の宝物(伝統や風習)を探すのが好きな人・・・
本当にいろいろな人が参加してくださいました。だから、感じ方もそれぞれで、様々な視点で歩道を歩き、感想を持ったようです。

このモニターツアーで感じたことは、「地元らしさ」と「出会い」を楽しみに求めている人が多いということでした。
「地元らしさ」というのは、そのままの姿でそこに昔から伝わる食べ物、言葉、そして風景です。
「出会い」とは、そういった「地元らしさ」の発見、新しい経験をすることです。
トレイルづくりは自然だけではなく、それを利用した生活やそこに伝わる風習や伝統、文化にまで目を向けていくことが大切で、そこにはやはり地元に住む人々との交流が重要になってきます。何か取り組む際には地元の人たちの協力が必要不可欠であるということを改めて感じ、知りました。
陸中海岸の魅力や求められる課題など、普段は聞けない遠方からの生の声で聞くことができた貴重な経験でした。

また、モニターツアーに参加してくださった方々で、繋がりができて、集まったり、インターネットやそれぞれが出来るかたちで陸中海岸国立公園を応援してくださっているようです。この輪が広がり、より多くの人たちに関心を持っていただければ非常に嬉しいです。環境省をはじめとした行政機関、現地の人、遠方の人々、みんなで関わり東北海岸トレイルを作り上げていければいいと思います。

「東北の人たちの強い笑顔が印象的だった。大きな震災に負けずに、迎え入れてくれたその強い笑顔にこちらが元気をもらいました。また、その笑顔に会いに来たい」こうおっしゃってくださった方もいらっしゃいます。
皆さんと歩いた自然歩道には、そろそろ眠っていた植物たちが目を覚まし、自然歩道を飾ります。雰囲気の違った自然歩道でまたいつかお会できることを楽しみにしています。モニターの皆様、陸中に来てくださってありがとうございました。
また、おでんせ(来てくださいね)





本州最東端の魹ヶ埼灯台!!



写真上は震災前の様子です。

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2012年03月22日東北海岸トレイルモニターツアー 第1回 報告

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

3月17日(土)、3月18日(日)に第1回目のモニターツアーが開催されました。
首都圏からの一般モニター16名、関係者21名が参加しました。

3月17日(土)【大沢海岸~姉ヶ崎まで約5.6㎞】

 大沢海岸から姉ヶ崎までの自然歩道は、陸中海岸国立公園の中でも、多くのアップダウンがある歩道のひとつで、健脚者向けのコースです。春には、カタクリやフクジュソウ、沢沿いにはニリンソウの群落を見ることができますし、今の時期だと、木々の合間から見える海の景色も格別です。

出発地点である大沢海岸に到着し、ガイドから簡単なコース説明を受け、準備体操をしたあと、歩き始めました。いよいよ東北海岸トレイルモニターツアーの開始です!第1回目のガイドは地元のパークボランティアでもある田屋さんと寶さんが務めてくださいます。
 風景や植物の解説を聞きながら歩きます。植物の解説の際には、ねじれた松が強い海風に耐えていることや、山菜の地元での活用の方法なども紹介されました。モニターは、積極的に質問をします。普段私も気づかなかったこともあり、とても参考になりました。ガイドの仕方でも気を配るポイント等勉強になりました。
 登った分だけ下るという、その繰り返しでしたが、風景や歩くことを楽しみながら歩き、モニターの皆さんは海が見える度に写真を撮っていました。長い自然歩道でも、「疲れた」といってくったりする事は無かったと思います。時間通りに到着し、怪我人など出すこと無く、全員無事にトレッキングは終了しました。
その後は親睦を兼ねた意見交換会でモニターや関係者が交流を深めました。



3月18日(日)【田老漁港~真埼灯台まで 約5.4㎞】
 田老を代表する奇岩・三王岩や、大きく被災した沢尻海岸を通ります。三王岩はあの大きな津波にもかかわらず、姿を変えることなくしっかりと3つ並んでいます。沢尻海岸から真崎までの自然歩道には、春にはマイヅルソウや紅色の花をつけるイワカガミなどの群落を見ることができます。約1時間30分でコースをまわることができ、お手軽コースのひとつです。

 津波で大きな被害をうけた田老の漁港をスタートした私たちは、三王岩へ向かいました。途中には、崩れた歩道脇の岩や、海に浮かぶ大きなコンクリートの塊を見ながら進みます。周辺の景色は、生々しい跡が残っていますが、海水のきれいなことに、感激していたモニターもいました。カメラを持っている人は写真におさめています。

 三王岩を通過し、登り階段を上ったあとは、車道を歩き沢尻海岸を目指します。途中の日当たりの良い場所ではフキノトウが芽を出し始めていました。思わぬサプライズで春を感じることもできました。


沢尻海岸に近づくにしたがって、被害の大きさが強く残っているのに気づきます。道路やトイレ、休憩所が流出した沢尻海岸では、津波の恐ろしさと力の強さを目の当たりにしていました。



 少し休憩したあと、真崎へむけて、林間の歩道に入ります。最初は少しきつめの登りがあります。海を右手に、心地よい風を感じながら先へ進みます。湾曲した海岸沿いの風景や、アカマツの間をくぐり、真崎へ到着しました。
ゴールの灯台まではあと少しです。最後の登りを約5分歩き続け到着。トレッキングは、ここで終了です。記念撮影をして、灯台をあとにしました。




津波でも形を変えなかった三王岩(写真上)と被害の大きかった沢尻海岸(写真下)です。



昼食は地元の食材を使った煮物やホタテ、ウニの乗った「復興べんとう」を食べて、宮古の味を経験してもらいました。「うまい!」という声が聞こえてきます。歩いた後だからこそ、より一層おいしく感じるのかもしれません。

午後は、浄土ヶ浜の散策です。初めて来た人がほとんどでした。ウミネコや白い岩肌の浄土ヶ浜をバックに記念撮影をしているモニターもいました。「花巻、平泉、盛岡には旅行で来たことがあるけれど、沿岸には来たことがなく、来ると良いところですね。また来たいです。」という声も聞かれました。
 
浄土ヶ浜散策を終え、いよいよ帰りの時間です。モニターの方々は2日間ガイドをしてくださった田屋さん、寶さんと名残惜しいお別れをしていました。浄土ヶ浜で、みなさんが互いに手を振り合い、お別れをしました。また、みなさんが陸中海岸の来てくださいますように・・・。
 第1回目のモニターツアーでは、海岸沿いの風景と、陸中の自然歩道の特徴でもあるアップダウンを体験してもらいました。そして、大きく被災した場所も実際に見ることによって、津波の恐ろしさも実感してもらえたかと思います。
モニターの方々には「体験記」というものを作成していただき、後日提出していただくことになっています。どのような感想をお持ちになったのか、とても楽しみです。

第2回の様子は、次につづきます・・・。
 19日・・・姉吉~魹ヶ埼灯台 (宮古市)
 20日・・・漉磯~ロラン局跡地(山田町)

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2012年03月13日復興への取り組み 第1弾! ~東北海岸トレイル素材探し~

三陸復興国立公園 宮古 高屋敷 七恵

 
 東日本大震災が発生してから1年が経ちました。
宮古では昨日から雪が降っています。震災当時も雪がちらつき、寒さに耐えていたことを思い出します。
1年経過した現在でも、海岸沿いの浜辺や流失した施設など、かつての姿を思い出すのが難しい場所もあります。しかし少しずつではありますが、再び立ち上がろうと地域の方々が一生懸命に前に進んでいます。ここでがんばる姿、東北の立ち上がる姿を是非、見に来てほしいです。みなさんが来てくださることにより、それが東北沿岸に住む人たちのパワーとなります。

東日本大震災で発生した津波はまさに陸中海岸国立公園を襲いました。浜辺を飾った海浜植物、海辺にあったキャンプ場などはその多くが姿を変えてしまいました。環境省では、地域とともに立ち上がろうと、現在、「三陸復興国立公園(仮称)」の構想を検討しています。そのひとつが、「東北海岸トレイル」です。青森県蕪島から、福島県松川浦までの間に、地域の自然や暮らし、震災の痕跡、利用者と地域の人々など様々なものを「結ぶ道」と設定し、新しい利用形態を構築するとともに、災害時には避難路に利用する事などを目的とした長距離歩道です。
 陸中海岸国立公園にはたくさんの魅力があります。しかし、浄土ヶ浜や北山崎などの景勝地への観光客は多くても、自然歩道の利用者が少ないのが現状でした。
 


 そこで、「東北海岸トレイル」のアピールポイントや課題点等を確認して、今後の検討に役立てようということで、3月17日(土)~3月20日(日)の4日間にわたり、「東北海岸トレイルモニターツアー」が開催され、首都圏からの参加者が国立公園の自然歩道を歩くことになりました。(募集終了)

 当日ガイドをしてくださる方と、所要時間やトイレの有無などを確認しながら、3月17日と18日に歩くルートの下見をしてきました。岩手県宮古市の大沢海岸~休暇村陸中宮古までと、同市 田老漁港~真崎海岸までの区間です。歩道には、雪が残っていたり、落ち葉が詰まっている沢がありましたが、出来る範囲で措置してきました。
 この自然歩道は、津波によって一部流失した箇所も通ります。地元ではない人が歩くと、どのように感じるのだろう・・・。とても気になります。国立公園が沢山の人に利用されるための大切な資料として多くの人の意見を聞きたいと思います。
 



雪道の自然歩道。ここからは、浄土ヶ浜の裏側を見ることができます。




沢にたまっていた落ち葉を取り除き、水の流れを正常にもどしました。






道路まで、飲み込んだ津波の跡です。ここも当日のルートになっています。


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